JPH11124729A - 抗菌性繊維及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性繊維及びその製造方法

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JPH11124729A
JPH11124729A JP29071397A JP29071397A JPH11124729A JP H11124729 A JPH11124729 A JP H11124729A JP 29071397 A JP29071397 A JP 29071397A JP 29071397 A JP29071397 A JP 29071397A JP H11124729 A JPH11124729 A JP H11124729A
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fiber
antibacterial
forming polymer
inorganic fine
fine particles
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JP29071397A
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English (en)
Inventor
Tadayoshi Koizumi
忠由 古泉
Kenichi Yoshioka
謙一 吉岡
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたり極めて良好な抗菌性を保持す
ることが出きる抗菌性繊維を提供する。 【解決手段】 銀イオンを保持させた無機微粒子を配合
したポリエステルを溶融紡出し、紡出糸条を一旦繊維形
成性ポリマーのガラス転移温度以下まで冷却し、次いで
チューブ型加熱装置内を走行させて延伸熱処理した後、
油剤を付与し4000m/分以上の引取速度で巻取る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌性繊維およびそ
の製造方法に関する。詳細には、本発明は染色、洗浄な
どの後加工や後処理、洗濯、着用や使用などを経ても抗
菌性が失われず、長期間にわたり従来にない程極めて良
好な抗菌性を保持することが出きる抗菌性繊維及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人間の生活環境下には種々の細菌類やカ
ビなどが棲息しており、人体、繊維製品などに付着して
繁殖し、皮膚障害や喘息などの様々の疾病を引き起こし
たり、繊維製品の変質や劣化、または悪臭の発生をもた
らしている。特に合成繊維は天然繊維に比べて吸汗性が
低いために、合成繊維製の衣類を身につけた場合には、
汗の付着した皮膚や衣類等に微生物が付着し繁殖して腐
敗現象を起こし易く、汗くさい臭いを生ずる。そのため
悪臭を発生せず、快適で安全な清潔感のある抗菌性のあ
る合成繊維が古くから求められており、そのための研究
開発が従来から色々行われている。
【0003】繊維に抗菌性を付与するために有機錫化合
物や有機水銀化合物が繊維に対して用いられていた時期
があるが、これらの化合物の毒性が問題となり、その大
半が現在使用中止となっている。また安全性の高い抗菌
・防カビ剤であるシリコーン系の第4級アンモニウム塩
などを後処理によって繊維に付着させて抗菌・防カビ性
のカーペットを製造することが提案されている(特開昭
57−51874号公報)。しかし、シリコーン系の第
4級アンモニウム塩はセルロース系繊維には反応性や親
和性を有し洗濯耐久性のある抗菌効果を示すが、合成繊
維に対しては反応性または親和性に劣るためその抗菌作
用は一時的なものに過ぎず耐久性がない。
【0004】また、抗菌性を有することが古くから知ら
れている銀、銅、亜鉛等の金属イオンを溶出させ得る金
属化合物を繊維形成性重合体中に混合して繊維を製造す
る方法が提案されている(特開昭54−147220号
公報)。しかし、この方法による場合はそれらの金属化
合物が繊維形成性重合体に及ぼす影響が大きく、添加割
合が著しく制限されたり、繊維化工程での工程通過性が
低下し、特に紡糸時の単糸切れ、パックフィルターの目
詰まりによるパック寿命の低下、延伸時の毛羽の頻発な
どを生じ易い。しかも、金属化合物を単にそのまま直接
重合体中に配合しているこの方法による場合は繊維表面
に存在する金属イオン量が時間の経過や使用に伴って減
少してゆくにつれて抗菌性能が短時間に著しく低下し、
長時間にわたって優れた抗菌作用を維持することが困難
であった。
【0005】更に、銀、銅等の金属イオンを保持させた
ゼオライトを繊維形成性重合体中に練り込んで繊維を形
成する方法が提案されているが(特公昭63−5401
3号公報、特開昭63−175117号公報)、この方
法による場合も時間の経過や使用に伴って繊維表面部分
に存在する金属イオンの量が低減してゆき、それに伴っ
て抗菌作用も徐々に低下し、耐久性のある抗菌性繊維が
得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、染色
加工や水洗などの後加工や後処理、洗濯、長時間使用の
着用や使用などを経た後も、高い抗菌性を保ち得る耐久
性に極めて優れた抗菌性繊維およびそれから成る繊維製
品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、金属イオンを保持さ
せた無機微粒子を繊維形成性重合体中に混合させて紡出
したあと非接触熱処理延伸法により製糸化することによ
り、期待する抗菌性能とその耐久性を付与することがで
きることを見出して本発明に到達した。本発明によって
延伸糸でありながらルーズな非晶部を有する繊維微細構
造が形成され、繊維表面付近に存在する金属イオンのみ
ならず繊維中心部に存在する金属イオンの繊維表面への
移動を可能にし、抗菌性能が持続するものであると考え
られる。すなわち、本発明は、抗菌作用を有する金属イ
オンを保持させた無機微粒子を0.5〜10重量%含有する
繊維形成性重合体が繊維表面の少なくとも一部に存在し
ている合成繊維であって、下記の抗菌試験による150回
の洗濯後の肺炎桿菌の減菌率が80%以上であることを
特徴とする抗菌性繊維である。 ・繊維を、温度40℃の水40リットルを入れた洗濯機に投
入して、中性洗剤80gを加えて、5分間洗濯した後、す
すぎを3回行い、脱水乾燥する処理を1回の洗濯とし、こ
れを150回繰り返した後の繊維について、繊維製品衛生
加工協議会で定めたシェークフラスコ法により菌種とし
て肺炎桿菌を使い、下記式により減菌率(%)を求め
る。 減菌率(%)={(N0−N1)/N0}×100 N0=原綿に施した肺炎桿菌の数 N1=抗菌性試験終了時に原綿中で生存していた肺炎桿菌
の数 また、本発明の抗菌性繊維は、重合完了後の繊維形成性
重合体中に、該重合体が紡糸口金から紡出されるまでの
任意の段階で金属イオンを保持させた無機微粒子を混合
して、溶融紡出し、紡出糸条を一旦繊維形成性ポリマー
のガラス転移温度以下まで冷却し、次いでチューブ型加
熱装置内を走行させて延伸熱処理した後、油剤を付与し
4000m/分以上の引取速度で巻取ることにより得ら
れる。
【0008】更に、本発明は上記の抗菌性有機重合体繊
維から製造された繊維製品を包含し、そのような繊維製
品としては、糸、布帛、更には衣類、寝具、カーテン、
カーペット、バスマット、タオル、包帯やガーゼ、マス
クなどの医療品などの最終製品を含む。
【0009】本発明の抗菌性繊維を構成する繊維形成性
重合体としては、例えば、繊維形成性のポリエステル、
ポリアミド、ポリオレフィン、塩化ビニル、塩化ビニリ
デン等の熱溶融性重合体などを挙げることができ、それ
らのうちでも溶融紡糸が可能なポリエステル、ポリアミ
ド等の熱可塑性重合体が抗菌性金属イオン保持無機微粒
子を含有する繊維を溶融紡糸により簡単に製造すること
ができ望ましい。
【0010】また、本発明において、抗菌性を有する金
属イオンとは、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケ
ル、水銀などの金属イオンをいい、無機微粒子にはこれ
らの金属イオンの1種類のみを保持させても、または2
種以上を保持させても良い。特に本発明においては、銀
イオンを使用すると抗菌性が長時間持続し望ましい。
【0011】金属イオンを保持させる無機微粒子の種類
は特に制限されず、有機重合体繊維の劣化作用等を示さ
ないものはいずれも使用でき、イオン交換能や金属イオ
ン吸着能を有していて抗菌性金属イオンの保持能の高い
ものが好ましい。そのような無機微粒子の例としては、
ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムな
どを挙げることができる。特にゼオライトを使用する場
合には、ゼオライトを充分に加熱乾燥して水分率を低く
抑えておくことが必要であり、ゼオライトの水分率が高
いと、ポリエステルなどの繊維形成性有機重合体の曳糸
性が悪くなり、仮に紡糸ができても得られる繊維の強度
低下が著しくなるので注意を要する。この時のゼオライ
トの加熱乾燥処理は500℃以上の温度で行うことが好
ましい。
【0012】そして無機微粒子としては、平均粒径が
0.1〜5μmのものが好ましく、0.3〜2μmがより
好ましい。無機微粒子が0.1μmよりも小さいと、重
合体中に分散させる際に微粒子の凝集が生じ易くなり、
しかも紡糸時にフィルターの目詰まりを生じたり、延伸
により毛羽を生じ易くなる。一方、無機微粒子が5μm
より大きいと、やはり紡糸時にフィルターの目詰まりや
断糸等を生じて紡糸時の工程性が不良になり易い。
【0013】抗菌性を有する金属イオンを保持させた無
機微粒子(以後「抗菌性無機微粒子」と云う)として
は、抗菌性金属イオンをより高濃度で保持しているもの
が良く、例えば無機微粒子がイオン交換能を有するゼオ
ライト等からなる場合は、そのイオン交換容量の90%
以上が抗菌性金属イオンでイオン交換されているもの
が、また金属イオンが無機微粒子の物理的な吸着能によ
り保持されている場合には飽和時の90%以上になるよ
うに金属イオンを吸着しているのが良い。
【0014】抗菌性無機微粒子は、通常、上記の様な抗
菌性金属イオンを含む水溶液などの溶液で無機微粒子を
含浸処理した後乾燥することにより得られるが、本発明
においては抗菌性無機微粒子の製造方法は特に限定され
ず、抗菌性金属イオンを高濃度で保持している無機微粒
子はいずれも使用できる。
【0015】抗菌性無機微粒子の添加量は、繊維形成性
重合体の重量に基づいて0.5〜10重量%にするのが
好ましく、1〜5重量%がより好ましい。無機微粒子に
おける抗菌性金属イオンによるイオン交換容量または吸
着量にもよるが、イオン交換容量または金属イオン吸着
能の90%以上が抗菌性の金属イオンでイオン交換また
は吸着されている無機微粒子を使用する場合であって
も、抗菌性無機微粒子の添加量が0.01重量%より少
ないと繊維に充分な抗菌性を付与しにくく、特に耐久性
のある抗菌性が得られにくくなる。一方、10重量%を
超えると抗菌性能は充分であるが、紡糸時に重合体流中
に無機微粒子の占める割合が大きくなりすぎて、重合体
流の粘度低下、紡糸パックの目詰まりなどにより繊維化
工程性が低下しやすくなり、しかも高価な抗菌性無機微
粒子を多量に使用することになり経済的でない。
【0016】抗菌性無機微粒子の添加方法としては、重
合反応時におけるそれらの成分の影響を考えると、重合
が完了した後の繊維形成性重合体に加えるのが良い。そ
のため、本発明では、抗菌性無機微粒子を、繊維形成性
重合体の重合直後、重合済みの繊維形成性重合体からペ
レットやチップを製造するための溶融混練時、重合体粒
末、ペレット、チップなどを用いて紡糸を行う際に重合
体が紡糸口金から紡出されるまでの任意の段階などで添
加する方法など適宜採用できる。更に製糸化する繊維形
成性重合体に抗菌性無機微粒子を添加する方法として、
繊維形成性重合体と同種の低分量重合体に先に抗菌性無
機微粒子を混合しておき、その後繊維形成性重合体に添
加しマスターチップ化あるいは、そのまま直接紡糸する
方法をとることができる。その場合には低分量重合体が
分散媒となり抗菌無機微粒子の繊維内への分散性を一層
向上させることができる。ただしその場合には低分量重
合体の使用量に注意する必要がある。特に繊維形成性重
合体に対して低分量重合体の量が多すぎると繊維化時粘
度低下をまねき望ましい。
【0017】また本発明では上記の抗菌性無機微粒子の
他に、必要に応じて有機重合体繊維に通常使用されてい
る紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、
染顔料などの他の添加剤を使用しても良い。
【0018】次に本発明の製造方法について説明する。
重合完了後の繊維形成性重合体中に、該重合体が紡糸口
金から紡出されるまでの任意の段階で金属イオンを保持
させた無機微粒子を混合して、溶融紡出する。この場合
の溶融紡出温度、溶融紡出速度などはとくに限定され
ず、繊維形成性重合体を用いて繊維を製造するのに通常
使用されている条件下で行うことができる。
【0019】例えば溶融紡出温度は、繊維形成性重合体
の融点より20〜40℃高い温度に設定し、溶融紡出速
度(吐出量)は約20〜50g/単孔1mm2・分程度であ
るのが良い。
【0020】また紡糸口金における紡糸孔の大きさや
数、紡糸孔の形状なども特に限定されず、目的とする抗
菌性繊維の単繊度、総合デニール数、断面形状などに応
じて調節することができる。そして溶融紡出した糸条
は、一旦そのガラス転移点温度以下の温度に冷却する。
その場合の冷却方法や冷却装置としては紡出した糸条を
そのガラス転移点温度以下の温度に冷却できる方法や装
置であればいずれでも良く、特に制限されないが紡糸口
金の下に冷却風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を
設けておいて、紡出されてきた繊維に冷却風を吹き付け
てガラス転移温度以下に冷却するのが好ましい。その際
に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹き付け速度、紡出糸
条に対する冷却風の吹き付け角度などの冷却条件も特に
制限されず、口金から紡出されて来た糸条の糸揺れなど
を生じないようにしながら速やかに且つ均一に冷却でき
る条件であればいずれでも良い。そのうちでも、冷却風
の温度を約20〜30℃、湿度を20〜60%、吹き付
け速度を0.4〜1.0m/secとして、紡出糸条に
対する冷却風の吹き付け方向を紡出方向に対すして垂直
にして冷却するのが高品質繊維を円滑に得る点から好ま
しい。また冷却風吹き付け筒を用いて前記の条件で冷却
を行う場合には、繊維化する繊維形成性重合体の種類に
応じて紡糸口金の直下にやや間隔をあけてまたは間隔を
あけないで、長さが約50〜200cm程度の冷却風吹
き付け筒を配置するのが好ましい。
【0021】次にガラス転移温度以下まで冷却した繊維
糸条を引きつづいてそのまま直接加熱帯域に導入して延
伸する。加熱帯域の温度は繊維化する繊維形成性重合体
の種類に応じて異なり得るが、一般にはガラス転移点温
度以上が良い。例えばポリエステルの場合には、ガラス
転移温度より40℃以上高い温度としておくと、得られ
たポリエステル繊維の物性を実用上満足のゆくものとす
ることができるので好ましく、100℃以上とするのが
良い。加熱帯域の上限温度は、加熱帯域内での繊維間の
融着や糸切れ、単糸切れなどが生じないような温度であ
れば良い。加熱帯域の種類や構造は、加熱帯域を走行す
る繊維を加熱帯域内の加熱手段などに接触せず加熱する
ことができ、しかも加熱帯域内を走行する糸条とそれを
包囲する空気との間に抵抗を生じさせて糸条張力を増大
させて、繊維に延伸を生じさせることのできる構造であ
ればいずれでも良い。加熱帯域の紡糸口金からの設置位
置、加熱帯域の長さなどは、繊維化する繊維形成性重合
体の種類や紡出量、冷却温度、紡糸速度、加熱帯の温度
等により適宜調節できるが、紡糸口金直下から加熱帯域
の入口までの距離を0.5〜3m程度とし、加熱帯域の
長さを1.0〜2.0m程度としておくと、加熱帯域内
で繊維を加熱して均一に円滑に延伸することができるの
で望ましい。
【0022】そして、加熱帯域で延伸された繊維に対し
て、必要に応じて油剤を付与してから、高速で引きと
る。本発明では、上記した一連の工程からなる延伸した
繊維の製造工程を、繊維の引取速度を4000m/分以
上にして行うことも必要である。引取速度が4000m
/分未満であると加熱帯域において繊維の延伸が充分に
行われなくなり、得られる繊維の機械的物性が低下し、
しかも上記した一連の工程からなる本発明の方法が円滑
に行われず、特に加熱帯域における糸条の張力変動、過
加熱などが生じて均一な延伸が行われにくくなる。尚本
発明の繊維化方法により従来の方法に比べ延伸糸であり
ながら非晶部のルーズな繊維微細構造を有し、結果とし
て繊維内部での金属イオンの移動を促進させ本発明の効
果を発現する。
【0023】また本発明では、繊維の断面形状なども特
に制限されない。通常の丸断面だけでなく、例えば楕円
形、三角形、方形、多角形、中空形、多葉形、アレイ
形、V字形、T字形などの異形断面であっても良い。更
に同種繊維形成性重合体あるいは異種繊維形成性重合体
とのコンジュゲート繊維であってもよく、その断面は芯
鞘、サイドバイサイド等特に制限されない。ただしコン
ジュゲート繊維の場合、抗菌性無機微粒子を含有した繊
維形成性重合体が繊維表面に少なくとも数%以上露出し
ている必要がある。抗菌性無機微粒子を含んだ繊維形成
性重合体が繊維表面に全く露出せず抗菌性無機微粒子を
含んでいない繊維形成性重合体に完全に包みこまれた断
面を有する繊維の場合は、著しく抗菌性能が低下するた
め実用面で抗菌性能の物足りないものとなる。
【0024】また本発明の抗菌性繊維は種々の菌類に対
して有効であり、例えば黒カビ、青カビ、枯草菌、緑膿
菌、大腸菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌、白癬菌、
肺炎桿菌、MRSAなどに対して有効に使用することが
できる
【0025】そして本発明の繊維は、上着、肌着、ネマ
キ、腹巻き、作業服、エプロンなどの衣類、靴中敷、靴
下、カーペット、モップ用糸、ダスコンマット、フト
ン、フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバ
ー、毛布、シーツ、バスマット、タオル、キャビネット
タオル、テーブルクロス、カーテン、シャワーカーテ
ン、ネット、ドアノブカバー、壁紙、白衣、手術用縫
糸、手術衣、病衣、包帯、貼付剤基布、帽子、ガーゼ、
マスク、床擦れ防止マット、おむつカバー、紙おむつ、
カルテ用紙、スリッパ、ティッシュペーパー、ウエット
ティッシュ、歯ブラシ、手袋、各種ワイパー、エアコン
や空気清浄器および浄水器等のフィルター、食品用容器
などの種々の製品に使用することができ、耐久性のある
良好な抗菌性をそれらの製品に付与することができる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例により何等限定されるもの
ではない。尚実施例中の測定値は以下の方法により測定
されたものである。
【0027】〈抗菌性試験〉実施例あるいは比較例で得
られた繊維を用い下記に示すHL(洗濯)処理方法で所定
回数洗濯した後、繊維製品衛生加工協議会で定めたシュ
ークフラスコ法に準拠して、試験菌として肺炎桿菌を用
いて、その減菌率を下記式(1)により求めた。 減菌率(%)={(N0−N1)/N0}×100 (1) N0:繊維に施した肺炎桿菌の数 N1:抗菌性試験終了時に繊維中で生存していた肺炎桿
菌の数 HL(洗濯)処理:繊維を温度40℃の水40リットルを入れ
た洗濯機に投入して、中性洗剤80gを加えて、5分間洗
濯した後、すすぎを3回行い、脱水乾燥する処理を1回の
洗濯とする。
【0028】実施例1 抗菌性無機微粒子として銀イオンを保持させたリン酸ジ
ルコニウム(平均粒径0.2μm、イオン交換率90%)を
2重量%添加した極限粘度〔η〕=0.68のポリエチ
レンテレフタレートを繊維化するにあたり、紡糸温度2
85℃、チューブヒーター温度200℃、引取速度45
00m/分とし、工程性良く75d/36fの延伸糸を
得た(表1、表2)。その結果、表2に示した通り良好な抗
菌性とその耐久性が確認された。
【0029】
【表1】
【表2】
【0030】実施例2〜4 抗菌成分の種類及び繊維中への抗菌性無機微粒子の添加
量を変化させたこと以外は実施例1と同要領で製糸化
し、いずれも工程性よく75d/36f及び50d/3
6fの延伸糸を得た(表1、表2)。そのときの抗菌性評価
結果を表2に示した。
【0031】実施例5 繊維形成性重合体としてナイロンを使用したこと以外
は、実施例1と同要領で製糸化し、工程性良く50d/
36fの延伸糸を得た(表1、表2)。そのときの抗菌性評
価結果を表2に示した。
【0032】実施例6 抗菌性無機微粒子の基材としてゼオライトを用いたこと
以外は、実施例1と同要領で製糸化し工程性よく75d
/36fの延伸糸を得た(表1、表2)。そのときの抗菌性
評価結果を表2に示した。
【0033】実施例7 芯に〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレート、
鞘に銀イオンを保持させたリン酸ジルコニウムを2重量
%添加した分子量13000のナイロン6を用いた芯鞘
型複合繊維とすること以外は実施例1と同要領で製糸化
し、工程性良く75d/36fの延伸糸を得た(表1、表
2)。そのときの抗菌性評価結果を表2に示した。
【0034】実施例8 銀イオンを保持させたゼオライトを3重量%添加した
〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレートと分子
量13000のナイロン6とサイドバイサイド型に配す
ること以外は実施例1と同要領で製糸化し、工程性良く
75d/36fの延伸糸を得た(表1、表2)。そのときの
抗菌性評価結果を表2に示した。
【0035】比較例1 抗菌性無機微粒子として銀イオンを保持させたリン酸ジ
ルコニウムをポリエチレンテレフタレート中に0.1重
量%添加したこと以外は実施例1と同要領で製糸化した
(表1、表2)。工程性は良好だったが抗菌性能は実施例に
比べて悪かった。
【0036】比較例2 抗菌性無機微粒子として銀イオンを保持させたリン酸ジ
ルコニウムをポリエチレンテレフタレート中に15重量
%添加したこと以外は実施例1と同要領で製糸化を試み
たが、ポリエチレンテレフタレートの粘度低下が大きく
曳糸性が乏しいため満足な工程性が得られなかった(表
1、表2)。
【0037】比較例3 紡糸速度を3400m/分としたこと以外は実施例1と
同要領で製糸化を試みたが延伸斑を生じ、断糸が多く、
物性も伸度が大きく実用性に乏しいものとなった(表1、
表2)。
【0038】比較例4 芯に銀イオンを保持させたリン酸ジルコニウムを3重量
%添加した〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレ
ート、鞘に分子量13000のナイロン6を用いた芯鞘
繊維とすること以外は実施例7と同要領で製糸化した
(表1、表2)。工程性は良好であったが抗菌性能は実施例
に比べて著しく劣るものとなった。
【0039】比較例5 抗菌性無機微粒子と繊維形成性重合体は、実施例1と全
く同様とし製糸化方法は1000m/分で一旦巻取り、
その後別工程にて延伸処理を施す従来法(2ステップ
法)にて75d/36fの延伸糸を得た(表1、表2)。工
程性は良好であり、抗菌評価も初期性能は優れていた
が、耐久性の面で本発明より劣るものであった。
【0040】以上、本発明においては工程性・抗菌性能
及びその耐久性は極めて良好であった。しかしながら比
較例で示した通り、抗菌成分が少なすぎては効果が不十
分であり、抗菌成分量を増加すると工程性を悪化させ
る。また抗菌成分が繊維表面に出ていないとその効果は
乏しい。更に従来の製糸法においても抗菌性能の耐久性
はある程度認められるが本発明の製糸法により得られる
抗菌性繊維の方が耐久性が一段と向上することが分かっ
た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌作用を有する金属イオンを保持させ
    た無機微粒子を0.5〜10重量%含有する繊維形成性重合
    体が繊維表面の少なくとも一部に存在している合成繊維
    であって、下記の抗菌試験による150回の洗濯後の肺炎
    桿菌の減菌率が80%以上であることを特徴とする抗菌
    性繊維。 ・繊維を、温度40℃の水40リットルを入れた洗濯機に投
    入して、中性洗剤80gを加えて、5分間洗濯した後、す
    すぎを3回行い、脱水乾燥する処理を1回の洗濯とし、こ
    れを150回繰り返した後の繊維について、繊維製品衛生
    加工協議会で定めたシェークフラスコ法により菌種とし
    て肺炎桿菌を使い、下記式により減菌率(%)を求め
    る。 減菌率(%)={(N0−N1)/N0}×100 N0=原綿に施した肺炎桿菌の数 N1=抗菌性試験終了時に原綿中で生存していた肺炎桿菌
    の数
  2. 【請求項2】 繊維形成性重合体がポリエステルである
    請求項1記載の抗菌性繊維。
  3. 【請求項3】 重合完了後の繊維形成性重合体中に、該
    重合体が紡糸口金から紡出されるまでの任意の段階で金
    属イオンを保持させた無機微粒子を混合して、溶融紡出
    し、紡出糸条を一旦繊維形成性ポリマーのガラス転移温
    度以下まで冷却し、次いでチューブ型加熱装置内を走行
    させて延伸熱処理した後、油剤を付与し4000m/分
    以上の引取速度で巻取ることを特徴とする請求項1記載
    の抗菌性繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の抗菌性繊維から製造された繊
    維製品。
JP29071397A 1997-10-23 1997-10-23 抗菌性繊維及びその製造方法 Pending JPH11124729A (ja)

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