JP2945264B2 - 抗菌性繊維およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性繊維およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性繊維およびその製
造方法に関する。詳細には、本発明は、染色、洗浄など
の後加工や後処理、洗濯、着用や使用などを経ても抗菌
性が直ちに失われず、長期間に亙って良好な抗菌性を保
ち得る抗菌性繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の生活環境下には種々の細菌類やカ
ビなどが棲息しており、人体、繊維製品などに付着して
繁殖し、皮膚障害やゼンソクなどの様々の疾病を引き起
こしたり、繊維製品の変質や劣化、または悪臭の発生を
もたらしている。
【0003】特に、合成繊維は天然繊維に比べて吸汗性
が低いために、合成繊維製の衣類を身につけた場合に
は、汗の付着した皮膚や衣類等に微生物が付着し繁殖し
て腐敗現象を起こし、汗くさい臭いを生ずる。そのた
め、悪臭を発生せず、快適で安全な清潔感のある抗菌性
のある合成繊維が古くから求められており、そのための
研究開発が従来から色々行われている。
【0004】繊維に抗菌性を付与するために有機錫化合
物や有機水銀化合物が繊維に対して用いられていた時期
があるが、これらの化合物の毒性が問題となり、その大
半が現在使用中止となっている。また、安全性の高い抗
菌・防カビ剤であるシリコーン系の第4級アンモニウム
塩などを後処理によって繊維に付着させて抗菌・防カビ
性のカーペットを製造することが提案されている(特開
昭57−51874号公報)。しかし、シリコーン系の
第4級アンモニウム塩はセルロース系繊維には反応性や
親和性を有し洗濯耐久性のある抗菌効果を示すが、合成
繊維に対しては反応性または親和性に劣るためその抗菌
作用は一時的なものに過ぎず耐久性がない。
【0005】また、抗菌性を有することが古くから知ら
れている銀、銅、亜鉛等の金属イオンを溶出させ得る金
属化合物を直接そのまま繊維形成性重合体中に混合して
繊維を製造する方法が提案されている(特開昭54−1
47220号公報)。しかしこの方法による場合は、そ
れらの金属化合物が繊維形成性重合体に及ぼす影響が大
きく、添加割合が著しく制限されたり、繊維化工程での
工程通過性が低下し、特に紡糸時の単糸切れ、パックフ
ィルターの目詰りによるパック寿命の低下、延伸時の毛
羽の頻発などを生じ易い。しかも、金属化合物を単にそ
のまま直接重合体中に配合しているこの方法による場合
は、繊維表面に存在する金属イオン量が時間の経過や使
用に伴って減少してゆくにつれて抗菌性能が短期間に著
しく低下し、長期間にわたって良好な抗菌作用を維持す
ることができない。
【0006】更に、銀、銅等の金属イオンを保持させた
ゼオライトを繊維形成性重合体中に練込んで繊維を形成
する方法が提案されているが(特公昭63−54013
号公報、特開昭63−175117号公報)、この方法
による場合も時間の経過や使用に伴って繊維表面部分に
存在する金属イオンの量が低減してゆき、それに伴って
抗菌作用も徐々に低下し、耐久性のある抗菌性繊維が得
られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、染色
加工や水洗などの後加工や後処理、洗濯、長期間の着用
や使用などを経た後も、高い抗菌性を保ち得る耐久性に
極めて優れた抗菌性繊維およびそれからなる繊維製品を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記の課題
を解決すべく繊維素材や配合成分などの材料面、更には
製造法などの面から種々検討を重ねてきたが、その結
果、金属イオンを保持させた無機微粒子を繊維形成性重
合体中に配合するに当たって、更に金属イオン移行剤を
併用すると耐久性および持続性のある抗菌作用を有する
有機重合体繊維が得られることを見出した。更に、本発
明者らは、重合完了後の繊維形成性有機重合体中に、該
重合体が紡糸口金から紡出されるまでの任意の段階で、
金属イオンを保持させた無機微粒子および金属イオン移
行剤を混合して紡糸を行う方法を採用すると、上記した
耐久性のある抗菌性繊維が極めて円滑に且つ簡単に製造
し得ることを見出した。
【0009】 すなわち、本発明は、抗菌作用を有する
金属イオンを保持させたイオン交換能またはイオン吸着
能を有する無機微粒子、および繊維形成性重合体と親和
性を有し且つ繊維形成性重合体よりも低分子量または低
融点の重合体からなる金属イオン移行剤を含有する繊維
形成性重合体を用いて形成されていることを特徴とする
抗菌性繊維である。
【0010】 そして、本発明は、重合完了後の繊維形
成性重合体中に、該重合体が紡糸口金から紡出されるま
での任意の段階で、抗菌作用を有する金属イオンを保持
させたイオン交換能またはイオン吸着能を有する無機微
粒子、および繊維形成性重合体と親和性を有し且つ繊維
形成性重合体よりも低分子量または低融点の重合体から
なる金属イオン移行剤を混合して紡出を行うことを特徴
とする抗菌性繊維の製造方法である。
【0011】更に、本発明は上記の抗菌性有機重合体繊
維から製造された繊維製品を包含し、そのような繊維製
品としては、糸や布帛、更には衣類、寝具、カーテン、
カーペット、壁紙、バスマット、タオル、包帯やガー
ゼ、マスクなどの医療品などの最終製品を含む。
【0012】本発明の抗菌性有機重合体繊維を構成する
有機重合体としては、繊維形成性の有機重合体であれば
いずれでもよく特に制限されない。繊維形成性重合体と
しては、例えば繊維形成性のポリエステル、ポリアミ
ド、ポリオレフィン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の
熱溶融性重合体、更にはポリウレタン、アクリル系重合
体、ポリビニルアルコールなどを挙げることができ、そ
られのうちでも溶融紡糸が可能なポリエステル、ポリア
ミド、ポリオレフィン等の熱溶融性重合体が抗菌性金属
イオン保持無機微粒子を含有する繊維を溶融紡糸により
簡単に製造することができ、望ましい。
【0013】また、本発明において、抗菌性を有する金
属イオンとは、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケ
ル、錫、水銀などの金属のイオンをいい、無機微粒子に
はこれらの金属イオンの1種類のみを保持させても、ま
たは2種以上を保持させてもよい。特に、本発明におい
ては、銀イオンと亜鉛イオンを組み合わせて使用する
と、抗菌性が長期間持続し、かつ繊維における着色を防
止することができ、好ましい。
【0014】 金属イオンを保持させる無機微粒子とし
ては、イオン交換能または金属イオン吸着能を有してい
て抗菌性金属イオンの保持能の高いものを用いる。その
ような無機微粒子の例としては、ゼオライト、リン酸ジ
ルコニウム、リン酸カルシウムなどを挙げることがで
き、そのうちでも高いイオン交換能を有するゼオライト
が特に好ましい。しかしながら、ゼオライトを使用する
場合には、ゼオライトを充分に加熱乾燥して水分率を低
く抑えておくことが必要であり、ゼオライトの水分率が
高いと、ポリエステルなどの繊維形成性有機重合体の曳
糸性が悪くなり、仮に紡糸ができても、得られる繊維の
強度低下が著しくなるので注意を要する。この時のゼオ
ライトの加熱乾燥処理は500℃以上の温度で行うこと
が好ましい。
【0015】そして、無機微粒子としては、平均粒径が
0.1〜3μのものが好ましく、0.3〜2.3μのも
のがより好ましく、0.5〜2.0μのものが特に好ま
しい。無機微粒子の平均粒径が0.1μよりも小さい
と、金属イオン移行剤中に抗菌性金属イオン保持無機微
粒子を分散させる際に該微粒子の凝集が生じ易くなり、
しかも紡糸時にフィルターの目詰まりを生じたり、延伸
工程において毛羽が発生し易くなる。一方、無機微粒子
の平均粒径が3μよりも大きいと、やはり紡糸時にフィ
ルターの目詰まりや断糸等を生じて紡糸時の工程性が不
良になり易い。
【0016】抗菌性を有する金属イオンを保持させた無
機微粒子(以後「抗菌性金属イオン保持無機微粒子」と
いう)としては、抗菌性金属イオンをより高濃度で保持
しているものがよく、例えば無機微粒子がイオン交換能
を有するゼオライトなどからなる場合は、そのイオン交
換容量の90%以上、特に92%以上が抗菌性金属イオ
ンでイオン交換されているものが、また金属イオンが無
機微粒子の物理的な吸着能により保持されている場合は
飽和時の90%以上になるようにして金属イオンを吸着
しているのがよい。
【0017】抗菌性金属イオン保持無機微粒子は、通
常、上記したような抗菌性金属イオンを含む水溶液など
の溶液で無機微粒子を含浸処理した後乾燥することによ
り得られるが、本発明においては抗菌性金属イオン保持
無機微粒子の製法は特に限定されず、抗菌性金属イオン
を高濃度で保持している無機微粒子はいずれも使用でき
る。
【0018】抗菌性金属イオン保持無機微粒子の添加量
は、繊維形成性重合体の重量に基づいて0.01〜10
重量%にするのが好ましく、1〜5重量%がより好まし
い。無機微粒子における抗菌性金属イオンによるイオン
交換容量または吸着量にもよるが、イオン交換容量また
は金属イオン吸着能の90%以上が抗菌性の金属イオン
でイオン交換または吸着されている無機微粒子を使用す
る場合であっても、抗菌性金属イオン保持無機微粒子の
添加量が0.01重量%よりも少ないと繊維に充分な抗
菌性を付与しにくく、特に耐久性のある抗菌性が得られ
にくくなる。一方、10重量%を超えると、抗菌性能は
充分であるが、紡糸時に重合体流中において無機微粒子
の占める割合が大きくなり過ぎて、重合体流の粘度低
下、紡糸パックの目詰まりなどにより繊維化工程性が低
下しやすくなり、しかも高価な抗菌性金属イオン保持無
機微粒子を多量に使用することになり経済的でない。
【0019】そして、本発明では抗菌性金属イオン保持
無機微粒子と共に金属イオン移行剤を使用することが必
要である。この金属イオン移行剤は、無機微粒子に保持
された金属イオンを繊維の内部から表面部分に徐々に移
行させて繊維を長期間に亙って抗菌性に保つ徐放性を繊
維に付与するためのものである。本発明の繊維は金属イ
オン移行剤のそのような徐放機能によって、長期に亙っ
て持続性のある高い抗菌性を保つことができる。またそ
の際に、金属イオン移行剤は、金属イオンの繊維表面へ
の移行促進作用と共に、抗菌性金属イオン保持無機微粒
子を繊維形成性重合体中に均一に分散させる作用をも有
するようにするのが好ましい。
【0020】 上記の点から本発明者らがより適当な金
属イオン移行剤を選択すべく実験を重ねたところ、ベー
スとなる繊維形成性重合体と高い親和性を有し且つ繊維
形成性重合体よりも低分子量または低融点の重合体が金
属イオン移行剤として適することが明らかになった。し
たがって、本発明では金属イオン移行剤として、ベース
となる繊維形成性重合体と高い親和性を有し且つ繊維形
成性重合体よりも低分子量または低融点の重合体を使用
する。
【0021】例えば、繊維形成性重合体がポリエチレン
テレフタレートなどのポリエステルの場合は、金属イオ
ン移行剤としてそれよりも低分子量または低融点のポリ
エステルを使用するのがよく、特に分子量が約2500
以下または融点が50℃以下のポリエステルが好まし
い。低分子量または低融点ポリエステルはベースとなる
繊維形成性ポリエステルと同種のものであってもまたは
異なる種類のものでもよい。具体的には、アジピン酸と
ジエチレングリコール、またはアジピン酸とブチレング
リコールから製造された分子量が約1000〜2500
の範囲にある脂肪族ポリエステルポリオールがより好ま
しい。また、このポリエステルポリオールの粘度は75
℃において600〜1000センチポイズであること
が、繊維形成性ポリエステルとの混練性および混練され
たものの曳糸性の点から好ましい。
【0022】また、繊維形成性重合体がポリアミドの場
合は、金属イオン移行剤としてそれよりも低分子量また
は低融点のポリアミド、好ましくは分子量が約3000
以下または融点が50℃以下のポリアミドを使用するの
がよく、その場合の低分子量または低融点ポリアミドは
ベースとなる繊維形成性ポリアミドと同種のものであっ
てもまたは異なる種類のものでもよい。更に繊維形成性
重合体がポリプロピレンの場合は、金属イオン移行剤と
してそれよりも低分子量または低融点のオレフィン系重
合体を使用するのがよく、好ましくは分子量が約300
0以下または融点が50℃以下のポリプロピレン、ポリ
エチレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリブテン
などのオレフィン系重合体を使用するのがよい。
【0023】繊維形成性重合体と親和性のある低分子量
または低融点重合体が金属イオン移行剤として適する理
由は明白ではないが、無機微粒子に保持された繊維内部
の金属イオンが低分子量または低融点重合体からなる比
較的ルーズな相を媒体として徐々に繊維表面に移行する
のではないかと推定される。
【0024】金属イオン移行剤の使用割合は、ベースと
なる繊維形成性重合体の種類や金属イオン移行剤の種類
などに応じて種々異なり得るが、一般に、繊維形成性重
合体の重量に基づいて、0.5〜10重量%とするのが
好ましく、1〜6重量%がより好ましい。金属イオン移
行剤の使用量が0.5重量%よりも少ないと、繊維内部
の金属イオンに対する徐放効果を充分に発揮することが
困難になり、一方10重量%よりも多いと繊維化時の工
程性が低下して断糸や毛羽などが発生しやすくなり、ま
た得られる繊維の強度などの物性が低下する。
【0025】抗菌性金属イオン保持無機微粒子および金
属イオン移行剤の繊維形成性重合体中への添加方法とし
ては、重合反応(重縮合反応)時におけるそれらの成分
の影響を考えると、重合(重縮合反応)が完了した後の
繊維形成性重合体に加えるのがよい。そのため、本発明
では、抗菌性金属イオン保持無機微粒子および金属イオ
ン移行剤を、繊維形成性重合体の重合(重縮合反応)直
後、重合済の繊維形成性重合体からペレットやチップを
製造するための溶融混練時、重合体粉末、ペレット、チ
ップなどを用いて紡糸を行う際に重合体が紡糸口金から
紡出されるまでの任意の段階などで添加する方法などを
採用できるが、それらのうちでも本発明においては紡糸
時に溶融重合体に添加することが好ましい。
【0026】抗菌性金属イオン保持無機微粒子と金属イ
オン移行剤は、各々個別に、同時にまたは逐次に繊維形
成性重合体中に添加してもよいが、抗菌性金属イオン保
持無機微粒子と金属イオン移行剤とを、例えば振動ミ
ル、パールミルなどの適当な混合分散装置を用いて予め
混合して両者が均一に混合されたスラリーを予め準備し
ておくことが好ましい。特に、金属移行剤として前記の
ポリエステルポリオールを使用する場合は、スラリーの
粘度は25℃で40000〜80000センチポイズと
なるように無機微粒子の添加量やポリエステルポリオー
ルの重合度などを選択することが好ましい。この範囲か
ら外れると、スラリーを繊維形成性ポリエステルに均一
に分散させにくくなって、紡糸安定性が悪くなる。ま
た、スラリーの水分率は0.15重量%以下、特に0.
1重量%以下にしておくことが、紡糸安定性および着色
防止の点から好ましい。
【0027】また、本発明では、上記した抗菌性金属イ
オン保持無機微粒子および金属イオン移行剤の他に、必
要に応じて有機重合体繊維に通常使用されている紫外線
吸収剤、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、染顔料な
どの他の添加剤を使用してもよい。
【0028】本発明の抗菌性繊維を得るための繊維化方
法や繊維化条件などは、繊維形成性重合体による従来公
知の繊維化方法のいずれもでもよく特に制限されない。
特に本発明では、熱可塑性の繊維形成性重合体を用いて
溶融紡糸により繊維を製造するのが好ましい。また本発
明の繊維には、捲縮、交絡、混繊、流体撹乱加工、染色
などの種々の加工を必要に応じて施すことができる。
【0029】そして、本発明の抗菌性繊維は1種類の繊
維形成性重合体からなる単一の繊維であっても、または
2種以上の繊維形成性重合体を使用した複合繊維であっ
てもいずれでもよく、複合繊維の場合は芯鞘型、海島
型、貼合型、ランダム複合型などのいずれでもよい。複
合繊維の場合は、繊維に抗菌性を付与するために抗菌性
金属イオン保持無機微粒子を含有させた重合体層が多少
なりとも繊維表面に位置するようにする必要がある。ま
た、繊維の断面形状は、丸断面の他に、偏平断面、ドッ
グボーン断面、T型断面、V型断面、3〜6角形断面、
3〜14葉断面、中空断面などの異形断面など任意の断
面形状とすることができ、特に制限されない。
【0030】また、本発明の抗菌性繊維は種々の菌類に
対して有効であり、例えば黒カビ、青カビ、枯草菌、緑
膿菌、大腸菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌、白癬
菌、肺炎桿菌、MRSAなどに対して有効に使用するこ
とができる。本発明の抗菌性繊維の太さは特に制限され
ず、各々の用途に適した太さとすることができ、またフ
ィラメント状、ステープル状などの任意の形態にするこ
とができその形態は特に限定されない。更に、本発明の
抗菌性繊維からは、フィラメント糸、紡績糸、織編物や
不織布などの布帛類を製造することができ、それらは上
着、肌着、ネマキ、腹巻き、作業服、エプロンなどの衣
類、靴中敷、靴下、カーペット、モップ用糸、フトン、
フトンカバー、マクラカバー、ベッド、ベッドカバー、
毛布、シーツ、バスマット、タオル、キャビネットタオ
ル、テーブルクロス、カーテン、シャワーカーテン、ネ
ット、ドアノブカバー、壁紙、白衣、手術用縫糸、手術
衣、病衣、包帯、貼付剤基布、帽子、ガーゼ、マスク、
床擦れ防止マット、おむつカバー、紙おむつ、カルテ用
紙、スリッパ、ティッシュペーパー、ウエットティッシ
ュ、歯ブラシ、手袋、各種ワイパー、エアコンや空気清
浄器および浄水器等のフィルター、食品用容器などの種
々の製品に使用することができ、耐久性のある良好な抗
菌性をそれらの製品に付与することができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例および比較例により本発明を具
体的に説明するが本発明はそれにより限定されない。以
下の実施例および比較例において、ポリエステルおよび
ポリエステルポリオールの極限粘度の測定、原綿および
それから得られた混紡織布の抗菌性の試験は下記のよう
にして行った。
【0032】極限粘度の測定 フェノールと四塩化エタン(1:1)の混合溶媒中、3
0℃で測定した。
【0033】原綿の抗菌性試験 実施例1または比較例1で得られたポリエステル繊維を
そのまま原綿として用いて、繊維製品衛生加工協議会で
定めたシェーク・フラスコ法に準拠して、試験菌として
肺炎桿菌を用いて、その減菌率を下記の数式1により求
めた。
【0034】
【数1】 減菌率(%)={(N0−N1)/N0}×100 式中、N0=原綿に施した肺炎桿菌の数 N1=抗菌性試験終了時に原綿中で生存していた肺炎桿
菌の数
【0035】混紡織布の抗菌性試験 各実施例または比較例で得られたポリエステル繊維の混
紡織布の染色を2浴染め(分散/反応)として下記の表
1に示した条件にて染色処理後、水洗して染色布を得
た。
【0036】
【表1】 染 色 条 件 1.分散染料染色(ポリエステル側) C.I.Disperse Red 88 還元洗浄 NaOH 1g/リットル 130℃で60分 Na224 1g/リットル 2.反応性染料染色(綿側) C.I.Reactive Red 223 2% Na2SO4 50g/リットル Na2CO3 10g/リットル 60℃で60分
【0037】上記で得た染色布を縦50cm、横30c
mの大きさに裁断して、温度40℃の水40リットルを
入れた洗濯機に投入して、中性洗剤80gを加えて、5
分間洗濯した後、すすぎを3回行い、脱水後乾燥した。
この洗濯操作を10回繰り返した後、布帛の抗菌性試験
を原綿の場合と同様に行って、上記数式1によりその減
菌率を求めた。
【0038】《実施例 1》 (1) ゼオライトを銀と亜鉛の混合イオン(重量で
銀:亜鉛=5:14)でイオン交換した後(イオン交換
率92%)に平均粒径1.6μに微粉砕してゼオライト
粒子を得た。これを500℃で乾燥して抗菌性金属イオ
ン保持無機微粒子として用いた。 (2)アジピン酸とジエチレングリコールを反応させ
て、分子量2500のポリエステルポリオール[粘度8
50センチポイズ(75℃)]を製造し、これを金属イ
オン移行剤として用いた。 (3) 上記(2)で製造した金属イオン移行剤65重
量部と上記(1)で製造した抗菌性金属イオン保持無機
微粒子35重量部を温度60〜70℃で均一に混合して
両者の混合物スラリーを調製した。この混合物スラリー
の粘度は25℃で47000センチポイズであった。
【0039】(4) テレフタル酸100重量部、エチ
レングリコール60重量部、三酸化アンチモン0.04
重量部および平均粒径0.5μの二酸化チタン2重量部
をエステル化反応槽に仕込み、160℃から240℃ま
で徐々に昇温度しながらエステル化反応を行い、その後
重縮合反応槽で減圧下に280℃まで昇温して重縮合反
応を行わせて、極限粘度[η]0.75のポリエステル
を製造した。 (5) 上記(4)で製造したポリエステルを用いて溶
融紡糸する際に、ポリエステルの計量装置と紡糸口金と
の間のラインに添加剤仕込みラインを設けて、その添加
剤仕込みラインから上記(3)で調製した抗菌性金属イ
オン保持無機微粒子と金属イオン移行剤との混合物をポ
リエステル中の抗菌性金属イオン保持無機微粒子の含有
量が2重量%になるように添加し、紡糸温度280℃、
引取速度1000m/分で紡糸した。得られたポリエス
テルトウを常法にしたがって延伸、捲縮、熱処理、切断
して、単繊維繊度1.4デニール、長さ38mmの原綿
を得た。この原綿の抗菌性を上記した方法で調べたとこ
ろ下記の表2に示すとおりであった。
【0040】《実施例 2》 実施例1の(5)で得られたポリエステル原綿と綿とを
3:7の重量割合で混紡して常法により混紡糸を製造
し、この混紡糸をタテ糸およびヨコ糸として用いて、平
織布を作製した。染色+10回の洗濯後、この織布の抗
菌性を上記した方法により調べたところ、表2に示す結
果を得た。
【0041】《実施例 3》実施例1の(5)で得られ
たポリエステル原綿と綿とを4:6の重量割合で混紡し
て常法により混紡糸を製造し、この混紡糸をタテ糸およ
びヨコ糸として用いて、平織布を作製した。染色+10
回の洗濯後、この織布の抗菌性を上記した方法により調
べたところ、表2に示す結果を得た。
【0042】《比較例 1》実施例1の(4)で製造し
たポリエステルを用いて溶融紡糸する際に、ポリエステ
ルの計量装置と紡糸口金との間のラインに設けた添加剤
仕込みラインから、実施例1の(1)で製造した抗菌性
金属イオン保持無機微粒子を単独(金属イオン移行剤な
し)でポリエステル中の抗菌性金属イオン保持無機微粒
子の含有量が2重量%になるように添加し、それ以外は
実施例1の(5)と同様にして単繊維繊度1.4デニー
ル、長さ38mmの原綿を製造した。この原綿の抗菌性
を上記した方法で調べたところ下記の表2に示すとおり
であった。
【0043】《比較例 2》 比較例1で得られたポリエステル原綿と綿とを3:7
重量割合で混紡して常法により混紡糸を製造し、この混
紡糸をタテ糸およびヨコ糸として用いて、平織布を作製
した。染色+10回の洗濯後、この織布の抗菌性を上記
した方法により調べたところ、表2に示す結果を得た。
【0044】《比較例 3》比較例1で得られたポリエ
ステル原綿と綿とを4:6の重量割合で混紡して常法に
より混紡糸を製造し、この混紡糸をタテ糸およびヨコ糸
として用いて、平織布を作製した。染色+10回の洗濯
後、この織布の抗菌性を上記した方法により調べたとこ
ろ、表2に示す結果を得た。
【0045】
【表2】
【0046】上記表2の実施例1〜3の結果から、抗菌
性金属イオン保持無機微粒子と共に金属イオン移行剤を
使用した場合には、繊維の当初の抗菌性が高く、しかも
染色や洗濯などの後処理などを経た場合にもその抗菌性
が長期間に亙って良好に維持されて抗菌剤の優れた徐放
効果が奏されることがわかる。それに対して、比較例1
〜3の結果から、金属イオン移行剤を使用しない比較例
1〜3の場合は当初の抗菌性も実施例1に比べて低く、
しかも抗菌性は染色や洗濯などの後処理を経ると大幅に
低下することがわかる。
【0047】
【発明の効果】抗菌性金属イオン保持無機微粒子と共に
金属イオン移行剤を用いている本発明の抗菌性繊維およ
びそれから得られた繊維製品は、当初の抗菌性性が高
く、しかも染色などの後処理、洗濯、着用や使用などを
経てもその抗菌性が直ちに失われることがなく、抗菌性
金属イオンを繊維の内部から表面部分に徐々に移行し
て、長期間に亙って耐久性のある高い抗菌性を維持する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 俊一 岡山県倉敷市玉島乙島7471番地 株式会 社クラレ内 (56)参考文献 特開 平3−227409(JP,A) 特開 平5−125618(JP,A) 特開 平2−175901(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 1/10,6/92

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌作用を有する金属イオンを保持させ
    たイオン交換能またはイオン吸着能を有する無機微粒
    子、および繊維形成性重合体と親和性を有し且つ繊維形
    成性重合体よりも低分子量または低融点の重合体からな
    る金属イオン移行剤を含有する繊維形成性重合体を用い
    て形成されていることを特徴とする抗菌性繊維。
  2. 【請求項2】 繊維形成性重合体がポリエステル、ポリ
    アミドまたはポリプロピレンであって、金属イオン移行
    剤として、繊維形成性重合体がポリエステルである場合
    は分子量2500以下または融点50℃以下のポリエス
    テルを、繊維形成性重合体がポリアミドである場合は分
    子量3000以下または融点50℃以下のポリアミド
    を、そして繊維形成性重合体がポリプロピレンである場
    合は分子量3000以下または融点50℃以下のオレフ
    ィン系重合体をそれぞれ用いる請求項1に記載の抗菌性
    繊維。
  3. 【請求項3】 繊維形成性重合体の重量に基づいて、抗
    菌作用を有する金属イオンを保持させたイオン交換能ま
    たはイオン吸着能を有する無機微粒子の含有量が0.0
    1〜10重量%であり、金属イオン移行剤の含有量が
    0.5〜10重量%である請求項1または2に記載の抗
    菌性繊維。
  4. 【請求項4】 重合完了後の繊維形成性重合体中に、該
    重合体が紡糸口金から紡出されるまでの任意の段階で、
    抗菌作用を有する金属イオンを保持させたイオン交換能
    またはイオン吸着能を有する無機微粒子、および繊維形
    成性重合体と親和性を有し且つ繊維形成性重合体よりも
    低分子量または低融点の重合体からなる金属イオン移行
    剤を混合して紡出を行うことを特徴とする抗菌性繊維の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維形成性重合体がポリエステル、ポリ
    アミドまたはポリプロピレンであって、金属イオン移行
    剤として、前記ポリエステルに対しては分子量2500
    以下または融点50℃以下のポリエステルを、前記ポリ
    アミドに対しては分子量3000以下または融点50℃
    以下のポリアミドを、そして前記ポリプロピレンに対し
    ては分子量3000以下または融点50℃以下のオレフ
    ィン系重合体をそれぞれ用いる請求項5に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 繊維形成性重合体がポリエステルであっ
    て、該繊維形成性重合体よりも低分子量または低融点の
    ポリエステルポリオールからなる金属イオン移行剤と、
    抗菌作用を有する金属イオンを保持させたイオン交換能
    またはイオン吸着能を有する無機微粒子とを混合してな
    る25℃での粘度が40000〜80000センチポイ
    ズであるスラリーを、重合完了後の繊維形成性重合体中
    に、該重合体が紡糸口金から紡出されるまでの任意の段
    階で混合して紡出を行う請求項4または5に記載の製造
    方法。
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