JP2004190197A - 制菌性繊維及び制菌性繊維製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維及び制菌性繊維製品を提供する。
【解決手段】易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)がA:B=10:90〜90:10の重量比率で、かつ両抗菌剤が合計として0.1〜10重量%となるよう繊維中に含まれてなることを特徴とする制菌性繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維及び制菌性繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高齢化社会の到来により病院や自宅において介護を必要とする人が増加する傾向にある。一方で、メチシリン耐性黄色ブドウ状球菌(以下、MRSAという)やバンコマイシン耐性腸球菌、アシネトバクター耐性菌などの日和見菌による院内感染が社会問題となりつつあり、より衛生的な機能が求められている。特に、患者や介護者が直接接するシーツやカバーはもちろん、布団側地や中綿そのものについても、上記の菌に対する制菌性能を付与することが強く要望されている。
【0003】
上記の菌に対して制菌性能を有する繊維は、従来の抗菌防臭繊維と対比して制菌性繊維と称され、これまで種々提案されている。例えば、銀、銅、鉛などの抗菌性能を有する金属イオンを無機物に担持、徐放させることにより抗菌力を発現する金属イオン担持型無機系抗菌剤を繊維中に練りこんだもの(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、第4級アンモニウム塩のような抗菌性有機物カチオンを無機物に担持、徐放させることにより抗菌力を発現する有機抗菌剤担持型無機系抗菌剤、または光を照射することにより活性酸素を発生し強い殺菌力を発現する酸化物光触媒型抗菌剤をバインダー樹脂とともに繊維表面に塗布したものなどが提案されている。
【0004】
しかるに、金属イオン担持型無機系抗菌剤を繊維中に練りこんだ制菌性繊維では、巾広い菌種に対する制菌性能を安定して発揮させることが難しいという問題や、金属イオンが溶出して繊維が黄色に変色するという問題があった。
【0005】
他方、抗菌剤を繊維表面に塗布した制菌性繊維では、効率的に抗菌作用を発揮することができるものの洗濯耐久性に劣るという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−124729号公報
【特許文献2】
特開平10−53922号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維及び制菌性繊維製品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、金属溶出度が異なる2種類の金属イオン担持型無機系抗菌剤を特定の比率で繊維中に含ませることにより、意外にも両抗菌剤の長所が両立し、所望の巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維及び制菌性繊維製品が得られることを知り、さらに鋭意検討することにより本発明を完成するに至った。
【0009】
かくして、本発明によれば、「易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)がA:B=10:90〜90:10の重量比率で、かつ両抗菌剤が合計として0.1〜10重量%となるよう繊維中に含まれてなることを特徴とする制菌性繊維」が提供される。
【0010】
その際、繊維中に含まれた抗菌剤の平均粒子径が0.5〜2.0μmで、かつ最大粒子径が3.0μm以下であることが、制菌性繊維の製造工程上好ましい。
【0011】
また、前記の易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、ゼオライト、ガラス、粘土鉱物の群より選択される少なくとも1種の無機物からなる担体に担持させたものが好適に例示される。
【0012】
他方、難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、燐酸ジルコニウムまたは酸化チタンからなる担体に担持させたものが好適に例示される。
【0013】
また、抗菌剤を含ませる繊維としてはポリエステル系樹脂からなる繊維が好適である。そして、制菌性繊維を構成する単糸の断面形状としては、少ない抗菌剤の使用量で効果的な抗菌性能を得る上で、表面に集中して抗菌剤を配することができるシース・コアタイプの複合繊維や中空繊維が好適である。
【0014】
かかる制菌性繊維は、衣類、靴中敷、手袋、靴下、帽子、カーテン、歯ブラシ、各種フィルターなどの制菌性繊維製品に好適に用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で使用する金属イオン担持型無機系抗菌剤について説明する。金属イオン担持型無機系抗菌剤とは、抗菌性能を有する金属イオンを無機物に担持させたものである。
【0016】
そして、本発明においては、金属イオン担持型無機系抗菌剤として易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)を使用する。
【0017】
ここで、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤とは、金属イオン溶出度が1.0ppb以上の抗菌剤であり、難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤とは金属イオン溶出度が1.0ppb未満の抗菌剤である。
【0018】
なお、金属イオン溶出度とは以下の方法で測定した値を用いるものとする。すなわち、まず、標準温湿度環境下(JIS K 7100に規定する標準温度状態2級及び標準湿度状態2級[温度(23±2)℃、相対湿度(50±5)%])で抗菌剤を12時間以上静置したのち1gを秤量し、それを純水で希釈して100mlの抗菌剤含有溶液を調合する。その後、同標準温湿度下にて24時間攪拌した後、上澄み液を目開き0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、ICP発光分析法で定量した、抗菌性を有する金属イオンの総量である。
【0019】
前記の易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)単独では、通常、担持されている金属イオンが徐々に溶出し直接対象菌と接触して作用するため、巾広い菌種に対して優れた制菌性能が得られる。しかしながら、かかる易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤を繊維中に練りこむと、溶出する金属イオンの影響で繊維が黄色に変色し易いという問題がある。
【0020】
他方、前記の難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)は、通常、活性酸素により抗菌力を示すため、溶出する金属イオンの影響で繊維が黄色に変色するということはあまりないものの、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤ほどの抗菌力は有していないという問題がある。
【0021】
本発明の制菌性繊維において、前記の易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)がA:B=10:90〜90:10(好ましくは、A:B=30:70〜70:30)の重量比率で含まれている。かかる重量比率で両抗菌剤を含ませることにより、両抗菌剤の長所が両立し、所望の巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維が得られる。
【0022】
ここで、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)の重量比率が前記の範囲よりも小さいと、満足な抗菌性能が得られず好ましくない。逆に、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)の重量比率が前記の範囲よりも大きいと、金属イオンが溶出して繊維が着色したり、繊維製造工程のトラブルが発生する恐れがあり好ましくない。
【0023】
前記の易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)としては、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、ゼオライト、ガラス、粘土鉱物の群より選択される少なくとも1種の無機物からなる担体に担持させたものが好適に例示される。なかでも、安定した抗菌力や安全性などを考慮すると、金属イオンとして銀イオンまたは銀イオンキレート(錯体)を用いたものが好適である。
【0024】
他方、難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)としては、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、燐酸ジルコニウムまたは酸化チタンからなる担体に担持させたものが好適に例示される。なかでも、安定した抗菌力や安全性などを考慮すると、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と同様、金属イオンとして銀イオンまたは銀イオンキレート(錯体)を用いたものが好適である。
【0025】
前記の易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤は、例えば担持体中に存在するアルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを、銀イオンなどの金属イオンで置換する陽イオン交換反応を利用して製造されるが、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0026】
本発明において、抗菌剤は繊維中に練りこむことを主として前提としているため、抗菌剤の平均粒子径と最大粒子径は重要である。一般的に、紡糸時のフィルター目詰まりや断糸、スカム等の工程不良の原因として機能剤の平均粒子径が影響することが知られているが、平均粒子径のみならず最大粒子径も重要である。
【0027】
すなわち、繊維中に含まれる全ての金属イオン担持型無機系抗菌剤の平均粒子径が0.5〜2.0μmであり、かつ最大粒子径が3.0μm以下(より好ましくは2.0μm以下)であることが好ましい。前記の平均粒子径が0.5μmよりも小さいと、繊維中(繊維形成性重合体)中に分散させる際に、抗菌剤微粒子の2次凝集(再凝集)が生じやすくなり紡糸時のフィルターの目詰まりや製造工程内のスカムなどのトラブルが発生しやすくなる恐れがある。逆に、平均粒子径が2μmよりも大きいと、やはり紡糸時にフィルターの目詰まりや断糸等を生じて紡糸の際の工程安定性が不良となる恐れがある。また、たとえ平均粒子径が前記の範囲にあっても最大粒子径が3.0μmよりも大きいと、同様のトラブルが発生する恐れがある。なお、前記の平均粒子径は2種の金属イオン担持型無機系抗菌剤の各々の平均粒子径を加重平均した値である。
【0028】
次に、本発明の制菌性繊維において、前記の両抗菌剤が合計(トータル添加率)として繊維材料(繊維形成性重合体)の重量対比0.1〜10重量%(より好ましくは0.5〜5重量%)となるよう繊維中に含まれている必要がある。
【0029】
なお、前記の抗菌剤の含有量は、抗菌剤が添加される繊維形成性重合体に対する抗菌剤の添加量を意味しており、シース・コアタイプやサイド・バイ・サイドタイプ、若しくは海島タイプなどの複数のポリマーからなる複合繊維でその一部に抗菌剤が練りこまれている場合には、その練りこまれたポリマーに対する添加重量比率を意味するものとする。
【0030】
前記の抗菌剤の添加量が0.1重量%よりも小さいと、繊維に十分な抗菌性を付与し難く、耐久性のある抗菌性が得られ難い。逆に、該添加量が10重量%よりも大きいと、抗菌性能は十分であるが紡糸時にポリマー流中に抗菌剤が占める割合が大きくなりすぎて、ポリマー流の粘度低下や紡糸パックの目詰まりなどにより繊維化工程性が低下するだけでなく、抗菌剤を多量に使用するため経済的でなく好ましくない。なお、少ない抗菌剤の使用量で効果的な抗菌性能を得る上で、表面に集中して抗菌剤を配することができる複合繊維や中空繊維が好適であり、紡糸の安定性も考慮するとシース部に抗菌剤が練りこまれたシース・コアタイプの複合繊維が特に好ましい。
【0031】
本発明の制菌性繊維において、抗菌剤を含ませる繊維の種類は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートに代表されるポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレンなどの繊維形成性重合体からなる合成繊維を使用することができる。なかでも、抗菌性能をより効果的に発揮し、かつ巾広い製品用途への適用が可能なポリエステル系繊維、特にポリエチレンテレフタレートからなる繊維が好適である。
【0032】
前記の繊維形成性重合体には、抗菌作用に影響のない範囲で必要に応じて、各種安定剤、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、難燃剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、無機微粒子、マイナスイオン発生剤等を1種又は2種以上を添加してもよい。
【0033】
本発明の制菌性繊維を製造する方法は、常法の製造方法でよく特に限定されるものではない。例えば、予め繊維形成性重合体に抗菌剤を高濃度で混合・分散させたマスターチップを常法により製造し、そのマスターチップを繊維形成性重合体で希釈しつつ常法で紡糸する方法が好ましく例示される。その際、繊維形成性重合体中での分散性を一層向上させるために、同種の低分子繊維形成性重合体で予め抗菌剤を混合しておき、その後繊維形成性重合体中で所定比率まで希釈してマスターチップを製造してもよい。ただし、低分子繊維形成性重合体を多く使用しすぎると、繊維形成時に粘度低下を招き易くなってしまうため、低分子繊維形成性重合体の重量は、マスターチップ重量の10重量%以下にしておくことが好ましい。
【0034】
そして、繊維の種類としてポリエチレンテレフタレートを採用する場合、前記のマスターチップを用いて、紡糸温度280〜320℃、巻き取り速度100〜6000m/minで紡糸し、必要に応じて得られた未延伸糸を1.1〜6.0倍に延伸することにより制菌性繊維を得ることができる。
【0035】
また、制菌性繊維の断面形状(繊維軸と直角方向の単糸断面形状)は特に限定されず、通常の丸断面だけでなく、例えば、楕円形、三角形、方形、多角形、中空形、多葉形、アレイ形、V字形、T字形などの異型断面であってもよい。さらには、同種繊維形成性重合体同士または異種繊維形成性重合体からなる複合繊維であってもよく、前述のようなシース・コアタイプやサイド・バイ・サイドタイプ、若しくは海島タイプなどの複数のポリマーからなる複合繊維であってもよい。ただし、複合繊維の場合、抗菌剤を含有した成分が繊維表面に2〜3%以上露出している必要がある。抗菌剤を含有した成分が繊維表面に全く露出せず、抗菌剤を含有しない成分で完全に包み込まれている場合、著しく抗菌性能が低下する恐れがある。
【0036】
かくして得られた制菌性繊維の繊維形態は特に限定されず、短繊維であってもよいし長繊維であってもよい。さらには、総繊度、単糸繊度についても特に限定されず、用途に応じて適宜選定される。例えば、短繊維の場合は、単糸繊度1〜10dtex、繊維長40〜60mm、長繊維の場合は、総繊度30〜400dtex、単糸繊度0.5〜10dtexの範囲が適当である。なお、長繊維の場合には、必要に応じて撚糸、仮撚捲縮加工、タスラン加工やインターレース加工などの空気加工が施されていてもよい。
【0037】
本発明の制菌性繊維は必要に応じて他の天然繊維や合成繊維と混合された後、不織布や織編物とされ、衣類、靴中敷、手袋、靴下、帽子、カーテン、歯ブラシ、各種フィルターなどの制菌性繊維製品として好適に用いられる。
【0038】
なお、かかる制菌性繊維製品には、本発明の主目的である制菌性能に影響しない限り、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用されていてもよい。
【0039】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<工程安定性>紡糸時における1錘、1日あたりの断糸回数(回/日)をカウントし、以下のように評価した。
3回未満の場合:◎、3〜5回の場合:○、6〜8回の場合:△、9回以上:×<繊維黄変度>制菌性繊維100%からなるニードルパンチ不織布(目付け200g/m2)を作製し、分光光度計(マクベス社製CE−3100)にてカラー測定を行い、L値、a値、b値を求める。そして、下記の計算式にて黄色度(YI値)を算出し、その値が1.0未満であれば合格○、1.0以上であれば不合格×とする。
YI=0.34−71.7×a/L+178.78×b/L
<洗濯試験法>繊維製品新機能評価協議会(JAFET)の定める特定用途向け制菌性能評価用洗濯方法にて5回洗濯(L5)を実施した(JAFET標準洗剤使用、厚生省令第13号準拠)。
<制菌性能評価>繊維製品新機能評価協議会(JAFET)の定める制菌性能評価方法に準じて行った。
(1)試験方法:JISL 1902−98(定量法)
(2)試験菌種:黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、MRSA(特定用途必須菌)
(3)菌特定用途合格基準にて判定
C<A(但し、C≠0であること)
A:無加工布(又は、標準布)の接種直後に回収した菌数
C:制菌性布帛の18時間培養後に回収した菌数
【0040】
[実施例1]
まず、易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)として、シリカゲルに銀イオンを担持させたバクテノン(登録商標)AZ(日本電子材料(株)製、金属イオン溶出度が300ppb以上)を全抗菌剤重量に対して50重量%、難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)として燐酸ジルコニウムに銀イオンを担持させたノバロン(登録商標)AG−300(東亜合成(株)製、金属イオン溶出度が0.5ppb未満)を全抗菌剤重量に対して50重量%となるように公知のポリエチレンテレフタレートに混合・分散させることにより、全抗菌剤の含有量が30重量%のマスターチップを準備した。
【0041】
次いで、該マスターチップと、前記のポリエチレンテレフタレートで抗菌剤を含まないチップとを用いて、抗菌剤の添加比率がポリエチレンテレフタレートの重量に対して表1の値となるように混合し、公知の紡糸装置を用いて、単糸繊度20dtex、フィラメント数408の未延伸糸を得た。この時の紡糸条件は、中空繊維用口金(孔数408孔)で、紡糸温度290℃、吐出量750g/分、巻き取り速度800m/分であった。その後、公知の延伸工程にて約3倍に延伸し、繊度6.6dtex、繊維長51mm、単糸の断面形状丸中空(中空率30%)の制菌性繊維を得た。
【0042】
次に、該制菌性繊維を100%用いてカード機に3回通して、制菌性繊維100%からなるウエッブ綿を作製した。該ウエッブ綿について、前記洗濯試験法により5回洗濯処理した後、制菌性能評価を行った。また、前記の制菌性繊維について繊維黄変度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0043】
[実施例2]
実施例1で得られたのと同じ制菌性繊維と、該制菌性繊維と同繊度、同繊維長で実施例1で用いたものと同じポリエチレンテレフタレート(抗菌剤を含まない)からなるポリエステル繊維を、繊維重量比率50:50で混綿し、実施例1と同様にして制菌性繊維が50重量%混合されたウエッブ綿を作製した。該ウエッブ綿について、前記洗濯試験法により5回洗濯処理した後、制菌性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0044】
[実施例3]
実施例2で得られたウエッブ綿について洗濯なしで制菌性能評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0045】
[実施例4〜6]
実施例2において、抗菌剤の合計の添加量、抗菌剤の平均粒子径、最大粒子径を表1のように変更し、それ以外は実施例2と同様にして制菌性繊維およびウエッブ綿を得て5回洗濯処理した後、制菌性能評価を行った。また、前記の制菌性繊維について繊維黄変度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0046】
[実施例7]
実施例2において、制菌性繊維を構成する単糸の断面形状をシース部:コア部=50:50で、かつコア部は実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレート(抗菌剤を含まない)で形成され、他方、シース部は実施例1で用いたのと同じポリエチレンテレフタレート(実施例1と同じ抗菌剤を同じ添加率で含む)で形成されるシース・コアタイプとし、それ以外は実施例2と同様にして制菌性繊維およびウエッブ綿を得て5回洗濯処理した後、制菌性能評価を行った。また、前記の制菌性繊維について繊維黄変度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0047】
[比較例1〜4]
実施例2において、抗菌剤の合計の添加量、抗菌剤の混合比率を表1のように変更し、それ以外は実施例2と同様にして制菌性繊維およびウエッブ綿を得て5回洗濯処理した後、制菌性能評価を行った。また、前記の制菌性繊維について繊維黄変度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 2004190197
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、巾広い菌種に対して優れた制菌性能を有し、かつ洗濯耐久性と耐黄変色性に優れる制菌性繊維及び制菌性繊維製品が提供される。

Claims (8)

  1. 易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)と難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)がA:B=10:90〜90:10の重量比率で、かつ両抗菌剤が合計として0.1〜10重量%となるよう繊維中に含まれてなることを特徴とする制菌性繊維。
  2. 繊維中に含まれた抗菌剤の平均粒子径が0.5〜2.0μmで、かつ最大粒子径が3.0μm以下である請求項1に記載の制菌性繊維。
  3. 易溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(A)が、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、ゼオライト、ガラス、粘土鉱物の群より選択される少なくとも1種の無機物からなる担体に担持させたものである請求項1または請求項2に記載の制菌性繊維。
  4. 難溶出性金属イオン担持型無機系抗菌剤(B)が、銀、銅、亜鉛、鉛、クロム、鉄、ニッケル、水銀の群より選択される少なくとも1種の金属イオンを、燐酸ジルコニウムまたは酸化チタンからなる担体に担持させたものである請求項1〜3のいずれかに記載の制菌性繊維。
  5. 繊維がポリエステル系樹脂からなる請求項1〜4のいずれかに記載の制菌性繊維。
  6. 繊維が中空繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の制菌性繊維。
  7. 繊維がシース・コアタイプの複合繊維であり、かつシース部に抗菌剤が含まれてなる請求項1〜5のいずれかに記載の制菌性繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の制菌性繊維を少なくとも用いてなることを特徴とする制菌性繊維製品。
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