JP2013170251A - 共重合ポリエステルおよびポリエステル繊維 - Google Patents

共重合ポリエステルおよびポリエステル繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、重合反応性が良好であり、常圧下でのカチオン染色が可能で、色相が良好な常圧カチオン可染性ポリエステルを提供することである。
【解決手段】主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成される共重合ポリエステルであり、スルホイソフタル酸塩およびジエチレングリコールが共重合された共重合ポリエステルにより上記課題を解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、生産性が良好であり、常圧下でカチオン染料に可染性である常圧カチオン可染性ポリエステルおよびその製造方法、ポリエステル繊維に関する。
ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル繊維は、その化学的特性から分散染料、アゾイック染料でしか染色できないため、鮮明且つ深みのある色相が得られにくいという欠点があった。かかる欠点を解消する方法として、ポリエステルにスルホイソフタル酸の金属塩を2〜3モル%共重合する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、かかる方法によって得られるポリエステル繊維は、高温・高圧下でしか染色することができず、天然繊維やウレタン繊維などと交編、交織した後に染色すると、天然繊維、ウレタン繊維が脆化するという問題があった。これを常圧、100℃付近の温度で十分に染色しようとすれば、スルホイソフタル酸の金属塩を多量にポリエステルに対して共重合することが必要となるが、この場合、スルホイソフタル酸の金属塩を多量に共重合させるため、ポリエステルの重縮合反応速度が低下し、生産性を著しく低下させる問題があった。また、スルホネート基による増粘効果から、ポリエステルの重合度を高くすることができず、溶融紡糸にて得られるポリエステル繊維の強度が著しく低下し、さらに紡糸操業性が著しく悪化するという問題があった。
かかる問題を解決する方法として、耐光性の低下が少なく、且つ常圧可染性を出す方法としてアジピン酸、セバシン酸のような直鎖炭化水素のジカルボン酸、あるいはネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールのようなグリコール成分、また、平均分子量が400〜6000のポリアルキレングリコールをスルホイソフタル酸の金属塩と併せて共重合する方法が提案されている(例えば、特許文献3〜8参照。)。
これらの方法は、共重合成分によりポリエステルのガラス転移温度を低下させることにより、100℃付近または100℃以下の温度におけるポリエステル中への染料の拡散速度を上げることで、常圧付近または以下でのカチオン可染を可能にしている。しかしながら、これらの共重合を実施した場合、共重合物の影響によって、ポリエステルの重縮合反応速度が低下し、生産性を著しく低下させる問題があった。また、いずれの方法でも得られたポリエステルを溶融紡糸して得られる常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の強度が低くなり、強いては得られる布帛の引き裂き強度が低下する、ポリアルキレングリコール骨格に由来する耐光性の悪さ、更には染色堅牢度が低いなどの問題があった。
他方、ガラス転移転点を低下させる共重合化合物としてジエチレングリコールを挙げることができる。このジエチレングリコールとスルホイソフタル酸の組み合わせについては、「得られる改質ポリエステルの融点が低下し、この改質ポリエステルを成形して得られる製品の諸性能、具体的には力学的性能、耐紫外線安定性や耐加水分解性などが著しく低下」することが指摘されている(例えば、特許文献9〜11参照。)。また、これら先行文献には、ジエチレングリコールの共重合による常圧可染性についての記載がない。
このように重合生産性と常圧カチオン可染性を両立させたポリエステルを開発することは、産業上の有用性が高いものの、達成できていない課題であった。
特公昭34−010497号公報 特開昭62−089725号公報 特開2005−060906号公報 特開2006−200064号公報 特開平11−093020号公報 国際公開第2006/095627号パンフレット 特開2002−284863号公報 特開2002−080572号公報 特公昭50−015274号公報 特開昭48−066650号公報 特公昭49−038037号公報
本発明は上記の課題を解決するものであり、重合生産性に優れ、常圧下でのカチオン染色が可能で、色相が良好で、且つ高重合度の常圧カチオン可染性ポリエステル、更に常圧カチオン染色性の良好で十分な繊維強度を有するポリエステル繊維を提供するものである。
上記の課題に鑑み本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートであり、下記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩成分を、ポリエステルを構成する酸成分として1.0〜3.5モル%共重合する共重合ポリエステルであって、ポリエステルを構成するジオール成分として、ジエチレングリコールを一般式(II)を満たすように共重合することを特徴とする共重合ポリエステルである。
Figure 2013170251
[上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの1.0化学当量、水素イオン、4級ホスホニウムイオン、4級アンモニウムイオンを表す。]
3.5質量%≦DEG≦15質量% ・・・(II)
本発明によれば、重合生産性が良好で、常圧下でのカチオン染料を用いた染色操作による染着性が良好で、且つ色相が良好で、繊維強度の高いポリエステル繊維を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に使用される共重合ポリエステルとは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、下記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩成分を、ポリエステルを構成する酸成分として1.0〜3.5モル%共重合するポリエステルであって、ポリエステルを構成するジオール成分として、ジエチレングリコールを一般式(II)を満たすように共重合することを特徴とする共重合ポリエステルである。
Figure 2013170251
[上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの1.0化学当量、水素イオン、4級ホスホニウムイオン、4級アンモニウムイオンを表す。]
3.5質量%≦DEG≦15質量% ・・・(II)
(共重合ポリエステルについて)
本発明における共重合ポリエステルとはエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、主たる繰り返し単位とは共重合ポリエステルを構成する全繰り返し単位あたり80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることを指している。より好ましくは90モル%以上であることである。さらに好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレート単位であることである。他の20モル%以下の範囲内で他の成分が共重合されていても良い。その他の共重合成分としては、ジカルボン酸成分としてイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸またはそれらのエステル形成性誘導体を挙げる事ができる。エステル形成性誘導体とは、炭素数1〜6個のジアルキルエステル、ジフェニルエステル、ジ酸ハライドを挙げることができる。またグリコール成分としては、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビス(トリメチレングリコール)、ビス(テトラメチレングリコール)、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを挙げる事ができ、これらの1種以上のジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と1種以上のグリコール成分を反応させて得られる成分を繰り返し単位として共重合されていても良い。
(スルホネート基含有イソフタル酸塩(I)について)
本発明で使用される上記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩成分としては、5位にスルホネート基を有するイソフタル酸またはその誘導体を好ましくは挙げることができる。具体的には、5−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸の金属塩、5−スルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩を挙げることができる。好ましくは5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩または5−スルホイソフタル酸のアルカリ土類金属塩を挙げることができる。5−スルホイソフタル酸のアルカリ(土類)金属塩としては、5−スルホイソフタル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、セシウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩を挙げることができる。好ましくはスルホネート基含有イソフタル酸塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびルビジウム塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩であることである。より好ましくは5−スルホネートイソフタル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびルビジウム塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩であることである。これらの金属塩は1種または2種以上を併用しても良い。また上記式(I)中Xがアルカリ土類金属である場合には、カチオン種とアニオン種の電荷的なバランスを取るために、1モルのスルホネート基含有イソフタル酸塩中のアルカリ土類金属は1.0当量、すなわち0.5モルであることは言うまでもない。
また、上記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩(I)については、5−スルホイソフタル酸またはその低級アルキルエステルの4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩を例示することもできる。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、リン元素または窒素元素にアルキル基、ベンジル基またはフェニル基が結合した4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。より好ましい4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩は、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩である。
また、上記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩(I)中の官能基Rについてであるが、イソフタル酸のみならず、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。エステル形成性誘導体としてはジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジヘキシルエステル、ジオクチルエステル、ジデシルエステル、ジフェニルエステル、エチレングリコールモノエステル、エチレングリコールジエステル、ジエチレングリコールモノエステル、ジエチレングリコールジエステル、5−スルホイソフタル酸金属塩のジハロゲン化物を挙げる事ができるが、これらの中でもジメチルエステル、エチレングリコールモノエステル、エチレングリコールジエステルが好ましい。
これらの化合物群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびルビジウム塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩が好ましく例示される。特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのジメチルエステルである5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、あるいはエチレングリコールのジエステルが特に好ましく例示される。
(スルホネート基含有イソフタル酸塩(I)の含有量について)
上述のスルホネート基含有イソフタル酸塩(I)について、本発明の共重合ポリエステルは、共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対し、1.0〜3.5モル%共重合する共重合ポリエステルである。スルホネート基含有イソフタル酸塩の量が1.0モル%より少ないと、共重合ポリエステルの染色性が不足し、スルホネート基含有イソフタル酸塩の量が3.5モル%より多いと、ポリエステルの重縮合反応時において、溶融粘度の上昇が著しく、固有粘度の高いポリエステルを得ることが困難であり、好ましくない。好ましくは、1.2〜3.0モル%であり、さらに好ましくは1.5〜2.5モル%である。
(固有粘度について)
本発明の共重合ポリエステルの固有粘度は、0.50〜1.00dL/gであることが好ましい。固有粘度が0.50dL/gより低い場合、得られるポリエステルの重合度が低く、強度・伸度をはじめとする物理的特性が低下するため好ましくない。固有粘度が1.00dL/gより高すぎる場合、溶融粘度が増加し、溶融紡糸工程において、製糸性を悪化させるため好ましくない。好ましくは0.55〜0.90dL/g、さらに好ましくは0.60〜0.80dL/gである。固有粘度は、ポリエステルを重縮合反応する時間、重縮合反応の温度、攪拌モーターへの電力の値を適切な値に調整することで、目的のポリエステルを得ることができる。
(DEGの含有量について)
本発明の共重合ポリエステルにおいては、共重合ポリエステルを構成するジオール成分として含まれるジエチレングリコール(DEG)は共重合ポリエステルの質量に対して下記一般式(II)を満たす。
3.5質量%≦DEG≦15質量% ・・・(II)
ジエチレングリコールの量が3.5質量%より少ないと染色性が不十分であり、ジエチレングリコールの量が15質量%より多いと、融点を始めとするポリエステルの諸物性が低下するため好ましくない。具体的には、糸強度や耐光性、染色堅牢性などである。またジエチレングリコールの増加にともない、ポリマーの結晶性が低下する。そのため、溶融状態のポリエステルをカッティングしチップ化するさいに、カッティング不良、チップ同士の融着が発生し、取り扱い性が極めて悪化する問題がある。また、溶融成形前にポリエステルチップを乾燥する工程に置いても、チップ同士の融着が発生するなど、ポリエステルの溶融成形工程に悪影響を与える。DEGの含有量は好ましくは、4.0〜10質量%、さらに好ましくは4.5〜7.0質量%である。
なお、DEGの共重合量を変更する手段としては、特に限定するものではないが、エステル交換反応および/またはエステル化反応の場合、反応温度、反応に用いる原材料の仕込み比率、アルカリ金属量、重合温度、重合時間により適宜調整した。特にDEGを多量に含有させる場合には、ジエチレングリコールを、共重合ポリエステルを製造する任意の段階で添加することが有用である。DEGの含有量調整に用いるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを例示でき、これらの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。これらの化合物を、ポリエステル製造工程におけるエステル交換反応および/またはエステル化反応、重縮合反応中に存在させておくと、エステル交換反応等の副反応としてエチレングリコールからジエチレングリコールが生成され、そのDEGが共重合ポリエステルに共重合されるという現象が起こるからである。
(共重合ポリエステルの製造方法について)
本発明における共重合ポリエステルの製造は特に限定されず、スルホネート基含有イソフタル酸塩(I)およびジエチレングリコールを上述のような共重合量となるように使用することに留意する他は、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコールの直接エステル化反応させる、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応生成物を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造される。スルホネート基含有イソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル誘導体(スルホネート基含有イソフタル酸塩(I))およびジエチレングリコールを共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。これらの化合物の反応工程への添加時期は、エステル交換反応またはエステル化反応の開始当初から重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。好ましくはエステル交換反応またはエステル化反応の開始当初または重縮合反応の開始の時期である。
(エステル交換触媒について)
エステル交換反応を利用した方法の場合に用いるエステル交換触媒としては、一般的には、マンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛元素を含む化合物などを用いることができる。具体的にはこれらの元素を含む酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。またエステル化反応においては、原料であるテレフタル酸などがそのまま酸化合物としてエステル化反応の触媒となりうる。中でも、ポリエステルの溶融安定性、色相、ポリマー不溶異物の少なさ、紡糸の安定性の観点から、マンガン、マグネシウム、亜鉛、チタン、コバルトの酸化物、酢酸塩等の化合物が好ましい。さらにマンガン、マグネシウム、チタン化合物が好ましい。これらの化合物は二種以上を併用してもよい。
(重合触媒について)
重合触媒については、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物またはアルミニウム化合物が好ましい。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。中でも、アンチモン化合物が特に好ましい。ポリエステルの重縮合反応性、ポリエステルを溶融成形する際の溶融安定性、色相に優れ、かつ得られる繊維が高強度で、優れた製糸性、延伸性を有するからである。代表的なアンチモン化合物は三酸化二アンチモン(以下、単に酸化アンチモンということがある。)である。代表的なチタン化合物はテトラアルコキシチタン、トリメリット酸チタン、テトラアルコキシチタンとモノアルキルホスフェートの反応物、テトラアルコキシチタンとジアルキルホスフェートの反応物であり、代表的なゲルマニウム化合物は二酸化ゲルマニウムである。
重合触媒をアンチモン化合物とする場合、その添加量はポリエステルを構成する全酸成分に対して、下記一般式(III)を満たすことが好ましい。
20≦Sb(mmol%)≦80 ・・・(III)
20mmol%未満の場合、ポリエステルの重縮合反応速度が低下するため、生産性の観点から好ましくない。80mmol%を超える場合、ポリエステルを溶融成形する際の熱安定性が悪く、得られる成形品の物性を損ねるため不適切である。好ましくは30mmol%以上、70mmol%以下、さらに好ましくは40mmol%以上、60mmol%以下である。
(安定剤について)
本発明の共重合ポリエステルには、色相、溶融安定性を向上させるため、安定剤を添加することが好ましい。例えばリン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステルなどリン化合物を挙げることができる。また、これらの化合物は二種以上を併用してもよい。これらの安定剤の添加量はポリエステルを構成する全酸成分に対して、下記一般式(IV)を満たすことが好ましい。
0.8≦P/Cat≦2.5 ・・・(IV)
(Pは、共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対する安定剤のミリモル%を示し、Catは共重合ポリエステルを構成する全酸成分に対する全触媒金属のミリモル%を示す。)P/Catの値が低い場合、共重合ポリエステルを溶融成形する際の熱安定性が悪く、得られる成形品の物性を損ねるため不適切である。P/Catの値が高い場合、ポリエステルの重縮合反応速度が低下するため、生産性の観点から好ましくない。好ましくはP/Catが0.9以上、2.2以下、さらに好ましくは1.0以上、1.5以下である。
(カルボキシル末端基の量について)
共重合ポリエステルのカルボキシル末端基の濃度は30〜60当量/トンであることが好ましい。カルボキシル末端基量が増加すると耐熱性が低下するため、好ましくは30〜55当量/トン、さらに好ましくは30〜50当量/トンであることが好ましい。カルボキシル末端基量を変更手段としては、特に限定されるものでないが、重合温度、重合釜に対する原材料の仕込み量、重合に用いる原材料の仕込み比率、アルカリ金属量、重合触媒量を適宜、調整することができる。
(コバルト化合物/色相調製剤について)
共重合ポリエステルの色相のバランスを良好にするために、コバルト化合物および/または色相調整剤を添加することが好ましい。コバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、塩化コバルト、酢酸コバルト、安息香酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトナートを挙げることができる。色相調製剤とは樹脂などに用いられる染料のことであり、COLOR INDEX GENERIC NAMEで具体的に挙げると、SOLVENT BLUE 104、SOLVENT BLUE 122、SOLVENT BLUE 45を挙げることができる。
(その他添加剤について)
また、本発明における共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えばリン系、およびフェノール系以外の酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消し剤などを含んでいても良い。特に艶消し剤などは特に好ましく添加される。
(溶融紡糸について)
本発明における共重合ポリエステルの製糸方法は、特に制限は無く、従来公知の方法が採用される。すなわち、乾燥した共重合ポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られるポリエステル繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸もしくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸することが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無く、円形、三角形・四角形等の多角形、3以上の多葉形、C型断面、H型断面、X型断面、またはこれらの形状に更に中空を有する断面のいずれであってもよい。
得られたポリエステル繊維の強度は2.5cN/dtex以上が好ましく、ポリエステル繊維の強度が2.5cN/dtex未満であれば布帛とした時引き裂き強力が低下し好ましくない。より好ましくはポリエステル繊維の強度は3.0cN/dtex以上であることである。またポリエステル繊維の伸度は60%以下が好ましく、より好ましくは10〜40%である。伸度が60%を超えると糸の収縮斑が大きくなり好ましくないことがある。また伸度が10%未満であると製織性が悪く、織物が作成しにくいことがある。
また本発明の共重合ポリエステルを一方の成分として用いて、複合ポリエステル繊維を製造することもできる。複合繊維の形態はサイドバイサイド型、芯鞘型、海島型のいずれも採用することができ、特に限定されることはない。本発明の共重合ポリエステルを用いたポリエステル繊維は、上述のように従来のカチオン可染性ポリエステル繊維に比べて繊維強度を上げることができるので、本発明の共重合ポリエステルを島成分に用いた海島型複合繊維を製造することが可能となる。その結果従来のカチオン可染性ポリエステル繊維に比べて極細のポリエステル繊維を得ることが可能となる。
(染色性について)
本発明の共重合ポリエスエルは、常圧100℃で染色されることが好ましい。例えば、本発明のポリエステルをマルチフィラメント糸にて作製した筒編みを、Estrol Brilliant Blue N−RL 2%owf、硫酸ナトリウム 3g/L、酢酸 0.5g/L、浴比1:50の染色液中にて100℃で30分間染色し、染色された布帛をマクベス カラーアイ(Macbeth COLOR―EYE)モデルM―2020PLで、JISZ 8729−1980に規定された、国際照明委員会(CIE)推奨のL*a*b*系色表示により表される明度L*値を測定したときの値が、30.00以下であることが好ましい。30.00を超える場合、本発明の目的とする常圧カチオン染色性が不足するため、好ましくない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の分析項目などは、下記記載の方法により測定した。
(ア)アルカリ金属原子の含有量測定
各金属元素の含有量は、共重合ポリエステル試料をオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。基本的には、この抽出液について日立製作所製Z−8100型原子吸光光度計を用いて定量を行った。蛍光X線装置(リガク社 3270E型)を用いて測定し、定量分析を行った。そしてこの蛍光X線測定の際には、チップ・繊維状のポリエステルポリマーについては、圧縮プレス機でサンプルを2分間260℃に加熱しながら、7MPaの加圧条件下で平坦面を有する試験成形体を作成し、測定を実施した。
(イ)触媒、ポリエステル中のアルカリ土類金属元素、リン元素、硫黄元素、チタン元素、アンチモン元素濃度(含有量)
チップ・繊維状のポリエステル樹脂ポリマーの元素量については、圧縮プレス機でサンプルを2分間260℃に加熱しながら、7MPaの加圧条件下で平坦面を有する試験成形体を作成した。この試験成形体を使って蛍光X線装置(理学電機工業株式会社製3270E型)を用いて求めた。
(ウ)固有粘度
共重合ポリエステル試料を100℃、60分間でオルトクロロフェノールに溶解した希薄溶液を、35℃でウベローデ型粘度計を用いて測定した値から求めた。
(エ)チップカラー(Col−L,b)
粒状の共重合ポリエステル試料を160℃×90分乾燥機中で熱処理し、結晶化させた後、カラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定した。
(オ)スルホイソフタル酸の金属塩の共重合量
共重合ポリエステル試料を重トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、各プロトン量により定量した。特にイソフタル酸骨格由来の水素原子に着目した。また上記の蛍光X線装置を用いた測定による硫黄元素含有量も参考にした。
(カ)ジエチレングリコール(DEG)含有量
ヒドラジンヒドラート(抱水ヒドラジン)を用いて共重合ポリエステル試料チップを分解し、この分解生成物中のジエチレングリコールの含有量をガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製(HP6850型))を用いて測定した。ジエチレングリコールの含有量については、
DEG(重量%)=(共重合ポリエステル試料中のDEG重量)/(共重合ポリエステル試料の重量)×100
より算出した。
(キ)共重合ポリエステルの熱特性
TAインスツルメンツ社製Q20型示差走査熱量計を用いて測定した。測定条件は下記の通り。共重合ポリエステル試料を300℃で2分間保持し、溶融させたものを液体窒素中で急冷・固化させることにより得られた急冷固化後試料に対し、示差走査熱量計を用い、窒素気流下、20℃/分の昇温条件にて、現れる発熱ピークを観測した。
(Tgはガラス転移点を、Tcは昇温時の結晶化ピークを、Tmは結晶融点を示す。)
(ク)繊維の繊度
日本工業規格、JIS L1013記載の方法に準拠して測定を行った。
(ケ)繊維(糸)の強度・伸度
日本工業規格、JIS L1013:1999 8.5に記載の方法に準拠して測定を行った。
(コ)染色性
マルチフィラメント糸にて作製した筒編みを、Estrol Brilliant Blue N−RL 2%owf、硫酸ナトリウム 3g/L、酢酸 0.5g/L、浴比1:50の染色液中にて100℃で30分、染色を行って染色布帛を得た。染色された布帛について、マクベス カラーアイ(Macbeth COLOR―EYE)モデルM―2020PLを使用し、JISZ 8729−1980に規定された、国際照明委員会(CIE)推奨のL*a*b*系色表示により表される明度L*値を測定した。この明度L*を染色の濃さの代表値として用い、L*値が30.00以下であれば染色性が良好と判断した。
(サ)重合生産性
重縮合反応を行う反応槽内の圧力を30Pa以下にした後、所定時間経過後に攪拌モーターへの電力値の上昇より◎、○、△、×の四段階により評価した。◎、○であれば重合生産性に問題のないレベルであると判断した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル192.2重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4.7重量部(ポリエステルを構成する酸成分に対して1.6モル%なる添加量)とエチレングリコール124.1重量部の混合物に、酢酸ナトリウム三水和物0.007重量部、酢酸マンガン四水和物0.05重量部、酢酸コバルト四水和物0.0005重量部を攪拌機、精留塔等を備えたエステル交換反応槽に添加し、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールをエステル交換反応槽外に留出させながらエステル交換反応を行った。所定量のメタノールを留出した時点で、正リン酸0.03重量部を添加し、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを全ポリマーに対して二酸化チタン粒子換算で0.07質量%になるように添加した後、エステル交換反応を終了させた。
その後、エステル交換反応の反応生成物に三酸化二アンチモン0.08重量部を加え、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。
このようにして得られた共重合ポリエステルチップを160℃、5時間乾燥後、紡糸温度290℃、巻取り速度3000m/minで140dtex/36フィラメントの原糸を作り、次にその原糸を1.7倍に延伸して84dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。ここで得られた延伸糸を使用して筒編みを作成した後、染色を行い染色性の評価を実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1・表2に示した。
[比較例1]
テレフタル酸166.2重量部とエチレングリコール74.5重量部の混合スラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート204.7重量部が仕込まれ、温度250℃、圧力1.2MPaに保持されたエステル化反応槽に110分間かけて供給し、供給後もさらに30分保持し、エステル化反応を行った。エステル化反応層は攪拌機、精留塔等を備えており、反応の結果生成する水をエステル化反応槽外に留出させながらエステル化反させた。このエステル化反応物204.7重量部を重縮合反応層に移送した。
その後、エステル化反応の反応生成物に三酸化二アンチモン0.08重量部を加え、リン酸0.002質量部、酢酸コバルト四水和物0.0005重量部、ジエチレングリコール38.4質量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸エチレングリコールジエステルを、ポリエステルの全酸成分に対して含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0モル%になるように添加し、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを全ポリマーに対して二酸化チタン粒子換算で0.07質量%になるように添加した後、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。
このようにして得られた共重合ポリエステルチップを160℃、5時間乾燥後、紡糸温度290℃、巻取り速度3000m/minで140dtex/36フィラメントの原糸を作り、次にその原糸を1.7倍に延伸して84dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。ここで得られた延伸糸を使用して筒編みを作成した後、染色を行い染色性の評価を実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1・表2に示した。
[実施例2,3、比較例2]
実施例1において、各触媒組成などを表1の通り変更して共重合ポリエステルを得た。結果を表1に示す。
[比較例3]
テレフタル酸166.2重量部とエチレングリコール74.5重量部の混合スラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート204.7重量部が仕込まれ、温度250℃、圧力1.2MPaに保持されたエステル化反応槽に110分間かけて供給し、供給後もさらに30分保持し、エステル化反応を行った。エステル化反応層は攪拌機、精留塔等を備えており、反応の結果生成する水をエステル化反応槽外に留出させながらエステル化反させた。このエステル化反応物204.7重量部を重縮合反応層に移送した。
その後、エステル化反応の反応生成物に三酸化二アンチモン0.08重量部を加え、リン酸0.002質量部、酢酸コバルト四水和物0.0005重量部、アジピン酸7.9質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF株式会社製/商品名:Irganox1010)0.19重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.11重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸エチレングリコールジエステルを、ポリエステルの全酸成分に対して含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0モル%になるように添加し、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを全ポリマーに対して二酸化チタン粒子換算で0.07質量%になるように添加した後、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。重合時間が120分の段階でポリマーを一部サンプリングし、固有粘度を測定すると、0.53dL/gであり、重合生産性は△であった。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
[比較例4]
テレフタル酸166.2重量部とエチレングリコール74.5重量部の混合スラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート204.7重量部が仕込まれ、温度250℃、圧力1.2MPaに保持されたエステル化反応槽に110分間かけて供給し、供給後もさらに30分保持し、エステル化反応を行った。エステル化反応層は攪拌機、精留塔等を備えており、反応の結果生成する水をエステル化反応槽外に留出させながらエステル化反させた。このエステル化反応物204.7重量部を重縮合反応層に移送した。
その後、エステル化反応の反応生成物に三酸化二アンチモン0.08重量部を加え、リン酸0.002質量部、酢酸コバルト四水和物0.0005重量部、平均分子量4000のポリエチレングリコール(日本油脂(株)製)6.7質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF(株)製/商品名:Irganox1010)0.57重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.11重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸エチレングリコールジエステルを、ポリエステルの全酸成分に対して含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸が2.0モル%になるように添加し、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを全ポリマーに対して二酸化チタン粒子換算で0.07質量%になるように添加した後、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。重合時間が120分の段階でポリマーを一部サンプリングし、固有粘度を測定すると、0.50dL/gであり、重合生産性は△であった。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1に示した。
[実施例4]
テレフタル酸166.2重量部とエチレングリコール74.5重量部の混合スラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート204.7重量部が仕込まれ、温度250℃、圧力1.2MPaに保持されたエステル化反応槽に110分間かけて供給し、供給後もさらに30分保持し、エステル化反応を行った。エステル化反応層は攪拌機、精留塔等を備えており、反応の結果生成する水をエステル化反応槽外に留出させながらエステル化反させた。このエステル化反応物204.7重量部を重縮合反応層に移送した。
その後、エステル化反応の反応生成物に三酸化二アンチモン0.08重量部を加え、リン酸0.002質量部、酢酸コバルト四水和物0.0005重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸エチレングリコールジエステルを、ポリエステルの全酸成分に対して含有される5−ナトリウムスルホイソフタル酸が3.5モル%になるように添加し、二酸化チタンのエチレングリコールスラリーを全ポリマーに対して二酸化チタン粒子換算で0.07質量%になるように添加した後、285℃まで昇温し、30Pa以下の高真空にて重縮合反応を行い、重合槽の攪拌機電力が所定電力に到達、もしくは所定時間を経過した段階で反応を終了させた。さらに常法に従いチップ化して共重合ポリエステルを得た。
このようにして得られた共重合ポリエステルチップを160℃、5時間乾燥後、紡糸温度290℃、巻取り速度3000m/minで140dtex/36フィラメントの原糸を作り、次にその原糸を1.7倍に延伸して84dtex/36フィラメントの延伸糸を得た。ここで得られた延伸糸を使用して筒編みを作成した後、染色を行い染色性の評価を実施した。共重合ポリエステルの製造条件と評価結果の詳細を表1・表2に示した。
Figure 2013170251
Figure 2013170251
本発明によれば、重合生産性に優れ、カチオン染料に対する染色性が良好な共重合ポリエステル組成物を提供することができ、さらにその共重合ポリエステル組成物を用いてカチオン染料に対する染色性が良好で十分な繊維強度を有する常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を提供することができる。その産業上の意義はきわめて大きい。

Claims (4)

  1. 主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートであり、下記式(I)で表されるスルホネート基含有イソフタル酸塩成分を、ポリエステルを構成する酸成分として1.0〜3.5モル%共重合する共重合ポリエステルであって、ポリエステルを構成するジオール成分として、ジエチレングリコールを一般式(II)を満たすように共重合することを特徴とする共重合ポリエステル。
    Figure 2013170251
    [上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの1.0化学当量、水素イオン、4級ホスホニウムイオン、4級アンモニウムイオンを表す。]
    3.5質量%≦DEG≦15質量% ・・・(II)
  2. スルホネート基含有イソフタル酸塩が、金属塩である請求項1記載の共重合ポリエステル。
  3. スルホネート基含有イソフタル酸塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびルビジウム塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の金属塩である請求項1〜2のいずれか1項記載の共重合ポリエステル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の共重合ポリエステルを溶融紡糸して得られるポリエステル繊維。
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