JP2005206760A - ポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステル屑に由来する成分を高比率で含有しても繊維の強度を損ねることがなく、風合いや仮撚性にも優れたカチオン染料可染性ポリエステル繊維を得るのに好適なポリエステル樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】
(1)ポリエステル屑100質量部に対して10〜60質量部のエチレングリコールを添加して解重合した後、ポリエステル樹脂におけるポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上となるようにエチレンテレフタレートオリゴマーと混合し、次いで、ポリエステル樹脂の酸成分に対して、アルカリ金属塩を1×10−3〜6×10−3モル%添加した後、スルホン酸塩基含有成分を0.5〜8モル%添加し、溶融重合を行う。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ペットボトル等から得られるポリエステル屑を原料に用いたカチオン染料可染性のポリエステル樹脂とその製造方法に関するものである。
ポリエステルは高融点で耐薬品性があり、また比較的低コストであるため、繊維やフィルム、ペットボトル等の成形品等に幅広く用いられている。
これらのポリエステル製品は、製造段階や加工段階で屑の発生が避けられず、また使用後に廃棄処分される場合が多いが、焼却する場合には高熱が発生するので焼却炉の傷みが大きく、寿命が短くなるという問題がある。一方、焼却しない場合には、腐敗分解しないため半永久的に残ることになり、環境面で問題となる。
このような問題を解決するために、資源の再利用、環境問題等の面から、種々の分野の素材でリサイクル性が求められており、特許文献1や特許文献2に記載されているように、ポリエステル繊維の分野でも、ペットボトルをはじめとする成型品や不織布等を再溶融、ペレット化し、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)の新品ペレットと混合し、繊維化する方法によるリサイクルの試みが行われている。
一方、主に生活資材や産業用資材等に用いられるカチオン染料可染性ポリエステル繊維にも、環境への影響を配慮し、ポリエステル屑を用いたものが望まれている。しかし、カチオン染料可染性ポリエステル繊維にポリエステル屑を用いようとしても、ポリエステル屑には一般的なカチオン染料可染性ポリエステルに共重合されているスルホン酸塩基含有成分が含まれていないため、スルホン酸塩基含有成分を共重合したポリエステル樹脂にポリエステル屑を混合し、繊維化することが必要となる。
しかし、スルホン酸塩基含有成分を共重合したポリエステル樹脂からなる繊維は、一般的に強度が低い上に、繊維化する際にスルホン酸塩基含有成分を共重合したポリエステル樹脂とポリエステル屑との溶融混合が不十分となりやすいことから、ペレットを混合する方法では、均一なものとすることが困難でポリエステル屑に由来する成分を含むカチオン染料可染性ポリエステル繊維は強度が特に低いものとなり、実用的なものが得られていないのが現状である。
特開2000−328369号公報 特開2001−172829号公報
本発明は、上記の問題を解決し、ポリエステル屑に由来する成分を高比率で含有していても繊維の強度を損ねることがなく、また風合いや仮撚性にも優れたカチオン染料可染性ポリエステル繊維を得るのに好適なポリエステル樹脂と、この樹脂の製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)、(2)を要旨とするものである。
(1ポリエステル屑100質量部に対して10〜60質量のエチレングリコール添加して解重合した後、ポリエステル樹脂におけるポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上となるようにエチレンテレフタレートオリゴマーと混合し、次いで、ポリエステル樹脂の酸成分に対して、アルカリ金属塩を1×10−3〜6×10−3モル%添加した後、スルホン酸塩基含有成分を0.5〜8モル%添加し、溶融重合を行うことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
(2)上記(1)記載の製造方法で得られるエチレンテレフタレート単位を主体としたポリエステル樹脂であって、樹脂全体に対するポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上であり、かつ、ジカルボン酸成分の内、スルホン酸塩基含有成分が0.5〜8モル%、グリコール成分の内、ジエチレングリコールが8モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、ポリエステル屑に由来する成分を高比率で含有しても、強度が高く、風合いや仮撚性にも優れたカチオン染料可染性ポリエステル繊維を操業性よく得ることができるポリエステル樹脂を、容易に安定して製造することが可能となる。
以下、本発明のポリエステル樹脂の製造方法について詳細に説明する。
本発明では、樹脂製造時に原料としてポリエステル屑を用いるものである。背景技術の項で述べたように、カチオン染料可染性ポリエステル樹脂とポリエステル屑とをペレットの状態で混合し、溶融紡糸する方法では、繊維化した際に強度が低いものとなる。そこで、本発明では、樹脂を製造する段階においてポリエステル屑を解重合して添加し、カチオン染料可染性ポリエステル樹脂と均一になるようにランダム共重合させる必要がある。
本発明でいうポリエステル屑とは、繊維や成形品等のポリエステル製品の製造工程で発生する屑や、使用済みペットボトル等の粉砕品、あるいはこれらを一旦再溶融し、ペレット化したもの等である。
すなわち、本発明では、ポリエステル屑100質量部に対して10〜60質量部のエチレングリコール(以下、EGと略記する。)を添加してポリエステル屑を解重合した後、得られるポリエステル樹脂におけるポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上となるように、エチレンテレフタレートオリゴマーと混合し、溶融重合を行うものである。
この際、ポリエステル屑100質量部に対するEGの量が10質量部未満では、ポリエステル屑の解重合が不十分となりやすく、エチレンテレフタレートオリゴマーとの均一混合性に欠けたものとなりやすい。一方、EGの量が60質量部を超えると、ポリエステル屑の解重合は十分なものの、得られるポリエステル樹脂中のDEG量が高くなり、繊維化した際の仮撚性に劣るものとなりやすいため好ましくない。
ポリエステル屑の解重合は、エチレンテレフタレートオリゴマーとの混合性から、ポリエステル屑の重合度が10程度となるように行なうのが好ましい。
また、ポリエステル屑を解重合する際の温度は210℃〜260℃が好ましい。温度が210℃未満では、ポリエステル屑が溶融し難くて解重合されていない部分に溶け残りが生じることがある。この温度が260℃を超えると、得られるカチオン染料可染性ポリエステル樹脂中のDEG量が多くなり、繊維化した際の仮撚性に劣るものとなりやすいため好ましくない。
本発明では、解重合したポリエステル屑由来の成分とエチレンテレフタレートオリゴマーとを混合した後、ポリエステル樹脂の酸成分に対して、アルカリ金属塩を1×10−3〜6×10−3モル%添加した後、スルホン酸塩基含有成分を0.5〜8モル%添加することが必要である。上記で使用するアルカリ金属塩の例としては、酢酸ナトリウムや酢酸リチウム等が挙げられる。
アルカリ金属塩が1×10−3モル%未満では、反応中に副生するDEGの量が多くなり、得られる樹脂の耐熱性が低下し、ポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する効果が不十分となり、溶融紡糸時にパック圧の上昇や糸切れの原因となるため、好ましくない。一方、アルカリ金属塩が6×10−3モル%を超えると、アルカリ金属原子由来のポリエステルに不溶の成分が発生しやすくなり、同じく溶融紡糸時にパック圧の上昇や糸切れの原因となる。
なお、熱劣化の指標としては、窒素雰囲気下、290℃の温度で100時間熱処理を行った樹脂0.5gをフェノール/テトラクロロエタン=1/1(質量比)である溶媒50gに溶かした溶液を目開き1μmのフィルターで濾過したときの、フィルター上の不溶解物の量を評価するのが適当であり、フィルター上の粒径10μm以上の不溶解物の量が100個未満であることが好ましい。不溶解物の量が100個以上になると、ポリエステル樹脂が熱分解を起こしやすい傾向にあり、例えば溶融紡糸時に異物等の発生が多くなったり、パック圧の上昇や糸切れが生じやすくなる傾向にあるので好ましくない。
また、アルカリ金属塩を添加する前にスルホン酸塩基含有成分を添加すると、反応中に副生するDEGの量が多くなり、得られる樹脂の耐熱性低下や、繊維とした際の仮撚性が劣る原因となるため、好ましくない。したがって、本発明のように、アルカリ金属塩を添加した後、スルホン酸塩基含有成分を添加することにより、耐熱性を低下させるDEGの副生を抑制することが可能になり、高品質のポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法の態様例を、さらに詳細に説明する。
まず、エステル化反応槽にポリエステル屑100質量部と、10〜60質量部のEGを添加し、温度210〜260℃で解重合を行う。一方、このエステル化反応槽とは別の反応槽において、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはその低重合体の存在するエステル化反応槽に、グリコール成分/酸成分のモル比が1.1〜2.0のEGとテレフタル酸のスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエチレンテレフタレートオリゴマーを連続的に得る。
次に、重合反応缶にエチレンテレフタレートオリゴマー及びポリエステル屑を解重合したものを移送し、均一となるよう十分に撹拌混合した後に、アルカリ金属塩を所定量添加し、続いてスルホン酸塩基含有成分を所定量添加する。その後、重合反応缶の温度を260〜280℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行う。
重縮合反応は、通常、触媒の存在下に行われ、触媒としては従来一般に用いられているアンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト等の金属化合物が好ましく用いられる。
上記した製造方法で得られる本発明のポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート単位を主体とし、ポリエステル屑由来の成分を樹脂全体に対する比率が10質量%以上、好ましくは30質量%以上の割合で含有するものである。
このポリエステル屑由来の成分の樹脂全体に対する比率が10質量%未満では、現在、深刻化している環境汚染問題や資源の枯渇問題に対する貢献度が極めて低いものになるため、好ましくない。上記成分の樹脂全体に対する比率の上限は特に限定されるものではないが、得られるポリエステル樹脂の色調などの品質面からは80質量%程度が好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分の内、スルホン酸塩基含有成分が0.5〜8モル%共重合されていることが必要である。スルホン酸塩基含有成分の共重合量が0.5モル%未満では、鮮明な染色性を有する繊維とすることができない。一方、スルホン酸塩基含有成分の共重合量が8モル%を超えると、ポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるために、重合度を十分に上げることができず、この樹脂から得られる繊維の強度が極端に低下したり、製糸時の操業性が悪化したりするため、好ましくない。
上記のスルホン酸塩基含有成分は、ポリエステルと反応する官能基を有するスルホン酸塩基含有成分であれば特に限定されるものではないが、例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホテレフタル酸等が挙げられる。この内、塩基性染料による発色性、及び紡糸性の点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸が好適に用いられる。
また、グリコール成分の内、ジエチレングリコール(以下、DEGと略する。)は8モル%以下であることが必要である。DEG量が8モル%を超えると、得られる樹脂のガラス転移温度が低く、繊維とした際の仮撚加工時に未解撚が発生し、その結果、得られる織編物の風合いが硬いものとなるため、好ましくない。DEG量は少ないほどよく、その下限は特に限定されるものではないが、実際に得られるポリエステル樹脂のDEG量は、重縮合反応中のDEGの副生などにより、1モル%以上となる。
なお、本発明のポリエステル樹脂には、本発明の本質的な効果を損なわない範囲であれば、上記以外に少量の共重合成分を含んでいてもよい。このような共重合成分の例としては、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、1,3−プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光剤等の添加物がポリエステル樹脂に含有されていてもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステル屑を解重合し、PETオリゴマーやスルホン酸塩基含有成分とともに再重合して得られるものであり、組成的に均一となっているため、これを繊維化した場合、ポリエステル屑とスルホン酸塩基含有成分を共重合したポリエステル樹脂のペレットをブレンドして繊維化する場合のような、混合不十分による繊維の強度低下が起きることがない。
また、解重合EG量やアルカリ金属塩の添加量、添加時期を調整することにより、得られるポリエステル樹脂中のDEG含有量が抑制されるため、これらからなるポリエステル繊維は風合いや仮撚性に優れたものとなる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例中の特性値の測定法は、次のとおりである。
(a)極限粘度(〔η〕)
フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(b)DEG含有量(モル%)
ポリエステルをアルカリ加水分解した後、ガスクロマトグラフ法によりEGとDEGのモル数を定量し、次式により算出する。
DEG量(モル%)=〔DEGのモル数/(EGのモル数+DEGのモル数)〕×100
(c)強伸度
オリエンティック社製テンシロンRTC-1210型を用い、50cmの試料を50cm/分の速度にて引張試験を行い、そのストレス−ストレイン曲線から求めた。
(d)繊維の染色性
ポリエステル樹脂を溶融紡糸して得られたフィラメントヤーンを、仮撚加工装置(三菱重工製LS−6)を用い、糸速100m/分、ヒータ温度170℃、延伸倍率1.05倍、仮撚数3310T/Mという条件にて仮撚加工した後、筒編みし、60℃で20分間の精練を行い、下記の条件下で130℃で60分間染色して風乾した。次に、小型ピンテンターを用いて150℃で1分間の熱セットを行った後、4枚重ねのサンプル片を作成し、そのサンプル片の色調L値をミノルタ社製色彩色差計CR−100型で測定し、染色性の指標とした。L値が低いほど繊維が濃色に染色されていることを示し、40以下を合格とした。
染料 アストラゾンブルー 0.5%omf
均染剤 酢酸 0.2mL/L
酢酸ナトリウム 0.2g/L
浴比 1:50
(e)風合い
上記の染色後の筒編みの風合いを10人のパネラーによる官能試験により、次の三段階で評価した。
○:10人中7人以上が軟らかいと感じた。
△:10人中4〜6人が軟らかいと感じた。
×:軟らかいと感じた人が10人中3人以下であった。
実施例1
エチレンテレフタレートオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とEGとの物質量比が1:1.6であるスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマーを連続的に得た。
一方、このエステル化反応缶とは別の反応缶に、ポリエステル屑として使用済みPETボトルの粉砕品(以下、PETボトルフレークと略記する。)28.8kg、EG5.8kg(PETボトルフレーク100質量部に対して20質量部となる量)を添加して、250℃にて4時間の解重合反応を行った後、重縮合反応缶へ移送した。
次いで、上記のエチレンテレフタレートオリゴマー30.2kgを重縮合反応缶へ移送した後、二酸化チタンの濃度が34質量%に調製されたEGスラリー0.68kg(二酸化チタンが生成するポリマーに対し0.4質量%となる量に相当する。)、三酸化アンチモンの濃度が2質量%に調製されたEG溶液0.87kg(三酸化アンチモンがポリエステルの全酸成分1モルに対して2×10−4モルとなる量に相当する。)、酢酸リチウムの濃度が5質量%に調製されたEG溶液1.84kg(酢酸リチウムがポリエステルの全酸成分1モルに対して3×10−3モルとなる量に相当する。)、さらに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル(以下、SIPMと略記する。)の濃度が35質量%に調製されたEG溶液11.4kg(SIPMがポリエステルの全酸成分に対して4.5モル%となる量に相当する。)をそれぞれ添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で275℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、攪拌しながら3時間重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化することにより、本発明のポリエステル樹脂を得た。
次に、このポリエステル樹脂ペレットを常法により乾燥した後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で溶融紡糸し、1400m/分の速度で未延伸糸を捲き取った。この未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で予熱した後、温度150℃のヒートプレートに接触させながら3.5倍に延伸、熱処理して捲き取ることにより、83デシテックス/36フィラメントのポリエステルフィラメントヤーンを得た。
実施例2,3、比較例1〜6
樹脂全体に対するポリエステル屑由来の成分の比率、ポリエステル屑に対する解重合EGの添加量、アルカリ金属塩の種類、添加量、SIPMの添加量を表1に示すように種々変更した以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1〜3及び比較例1〜6で得られたポリエステル樹脂の各特性値と、フィラメントヤーンの各物性値を表1にまとめて示す。
Figure 2005206760
表1から明らかなように、実施例1〜3では、DEG含有量の低いポリエステル樹脂が得られ、これらを製糸加工して得られたカチオン染料可染性ポリエステル繊維は、強度、染色性、風合い共に良好であった。
一方、比較例1は、ポリエステル屑に対する解重合時に加えたEGの添加量が少なすぎたため、ポリエステル屑の解重合が不十分となり、エチレンテレフタレートオリゴマーとの混合均一性が低くなったことにより、得られた繊維の強度、染色性が劣ったものとなった。比較例2はポリエステル屑に対するEGの添加量が多すぎたため、比較例3は酢酸リチウムの添加量が少なすぎたため、いずれも得られたポリエステル樹脂のDEG含有量が高くなり、これを製糸して得られた繊維は、筒編みの風合いが硬いものとなった。比較例4は、酢酸リチウムの添加量が多すぎたため、溶融紡糸時にリチウム原子由来のポリエステルに不溶の成分が発生し、糸切れが多発したことにより、操業性が非常に悪かった。比較例5は、SIPMの添加量が少なすぎたため、得られた繊維は染色性に劣ったものとなった。比較例6は、SIPMの添加量が多すぎたため、得られたポリエステル樹脂の重合度が低くなり、紡糸して得られた繊維の強度は低かった。また、ポリエステル樹脂のDEG含有量も高いため、比較例2,3と同様に筒編みの風合いが硬いものとなった。

Claims (2)

  1. ポリエステル屑100質量部に対して10〜60質量部のエチレングリコールを添加して解重合した後、ポリエステル樹脂におけるポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上となるようにエチレンテレフタレートオリゴマーと混合し、次いで、ポリエステル樹脂の酸成分に対して、アルカリ金属塩を1×10−3〜6×10−3モル%添加した後、スルホン酸塩基含有成分を0.5〜8モル%添加し、溶融重合を行うことを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法で得られるエチレンテレフタレート単位を主体としたポリエステル樹脂であって、樹脂全体に対するポリエステル屑由来の成分の比率が10質量%以上であり、かつ、ジカルボン酸成分の内、スルホン酸塩基含有成分が0.5〜8モル%、グリコール成分の内、ジエチレングリコールが8モル%以下であることを特徴とするポリエステル樹脂。
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