JP2011137274A - 常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント - Google Patents

常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、細繊度、高強度の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントを提供することにある。
【解決手段】ポリエステルを構成する酸成分中に2種のスルホイソフタル酸化合物を特定の条件で含有する共重合ポリエステルとし、且つ特定のリン化合物を特定量含有する常圧カチオン可染ポリエステルフィラメントとすることにより解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、常圧でカチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル繊維は、強度、寸法安定性等多くの優れた特性を備え様々な用途に用いられている。しかし、ポリエステル繊維は染色性が劣り、染色に際しては130℃付近の高温高圧で染色する必要があるため特別な装置を必要とし、またウール、アクリル等高圧染色により特性低下を生じる繊維との混用に制限がある等の欠点を有している。
ポリエステル繊維の染色性改良、常圧可染化に関しては、いくつかの試みがなされており、例えば染色時にキャリヤーを用いる方法が知られているが、特別なキャリヤーを要すること、染色液後処理が困難である等の欠点がある。また、染色性の改良とされたポリエステル繊維として金属スルホネート基含有化合物やポリエーテルを共重合したものが知られている(例えば特許文献1,2参照)。これらにはスルホン酸金属塩基を含有するイソフタル酸成分、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分をポリエチレンテレフタートに共重合することによってカチオン染料で染料可能にする方法が提案されている。
しかしながら、これらの変性ポリエステルは、染色性は向上するものの、重合・紡糸が困難であったり、あるいはポリエチレンテレフタラート本来の優れた性質を低下せしめたり、更には染色堅牢度が劣る等の欠点があった。特に、ソフトで良好な風合いを有する、単糸繊度1.5dtex以下の極細仮撚加工糸に用いるには、上記変性のポリエステルは曳糸性が極めて悪く、紡糸中に単糸切れが頻発して安定に紡糸できない。紡糸できたとしても得られた糸は力学特性が著しく低くなるため、一定の布帛強度が要求されるスポーツ用途のような高密度織物(ダウン、スキーウェア等)には利用されていないのが現状である。
別の染色性改良の方法として化学的改質によらない試みがなされており、例えば、高速紡糸・高異型断面化等の方法が知られている。しかし、これら物理的改質手段のみでのアプローチは、ある程度の易染性はあるものの、細繊度で常圧可染のレベルまで染色性を改善することは難しかった。
また、カチオン可染としてスルホン酸ホスホニウム塩を特定量共重合したポリエステルを特定ドラフト率で高速紡糸することが提案されている(例えば特許文献3参照)。この方法により上記常圧可染性はある程度解決されているが、しかしながら狙いとする極細繊度の仮撚加工糸とする場合には、仮撚加工工程での断糸や毛羽の発生が多く織物品位や部留が低下するという問題点があった。
カチオン可染剤としてスルホン酸ホスホニウム塩を共重合した0.7dtex以下で極細繊度のカチオン可染極細ポリエステル仮撚加工工程の安定性を得ることが提案されている(例えば特許文献4参照)。確かに高配向未延伸糸の複屈折率は効果があるものの十分ではなく、さらに仮撚加工工程安定性を向上させる必要あり。また極細繊維での更なる濃色可染性が求められていた。
特公昭34−10497号公報 特開2000−355831号公報 特開平5−230713号公報 特開平3−241024号公報
本発明は上記の課題を解決するものであり、常圧下でのカチオン染色が可能で、且つ実用に耐えうる細繊度で高強度の常圧カチオン可染性ポリエステルを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
つまり、ポリエステルマルチフィラメントであり、以下を満足する高強力常圧可染マルチフィラメントとする。
即ち、本発明によれば、
ポリエステルマルチフィラメントであって、下記要件を満足することを特徴とする高強力常圧可染ポリエステルマルチフィラメント、
a)ポリエステルが、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成され、スルホイソフタル酸の金属塩(A)、および下記化学式(1)で表される化合物(B)を、下記数式(1)及び(2)を同時に満足する条件で含有すること。
b)ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲にあること。
c)単糸繊度が0.5〜1.5dtex、かつ強度が3.0cN/dtex以上であること。
d)ポリエステルがフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物をポリエステル全重量に対して2.0〜5.0重量%含有すること。
Figure 2011137274
[上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
3.0≦A+B≦5.0 数式(1)
0.3≦B/(A+B)≦0.7 数式(2)
[上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準としたスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)を、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とした上記式(1)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
別の態様として、仮撚加工がされた高強力常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント、
が提供される。
本発明によれば、常圧下でのカチオン染色による染着性が良好で、且つ従来のカチオン可染性ポリエステルよりも強度の高く細繊度のポリエステル繊維を提供でき、風合いが良好で従来にない鮮明性かつ高い堅牢度を有するポリエステル繊維を提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用されるポリエステルとは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール成分とを重縮合反応せしめて得られるエチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、共重合成分としてスルホイソフタル酸の金属塩(A)、及び下記化学式(1)で表される化合物(B)を、下記数式(1)及び(2)を同時に満足する条件で含有する共重合ポリエステルであり、該ポリエステル中のジエチレングリコール含有量が2.5重量%以下であり、且つ得られる共重合ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲であるポリエステルである。
Figure 2011137274
[上記式中、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウム塩、または4級アンモニウム塩を表す。]
3.0≦A+B≦5.0 数式(1)
0.2≦B/(A+B)≦0.7 数式(2)
[ここで、Aはスルホイソフタル酸の金属塩の共重合量(モル%)、Bは上記化学式(1)で表される化合物の共重合量(モル%)を表す。]
(成分Aについての説明)
本発明で使用されるスルホン酸塩基含有芳香族ジカルボン酸成分としては、5−スルホイソフタル酸の金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩)、5−スルホイソフタル酸の4級ホスホニウム塩、または5−スルホイソフタル酸の4級アンモニウム塩が例示される。また、これらのエステル形成性誘導体も好ましく例示される。これらの群の中では、熱安定性、コストなどの面から、5−スルホイソフタル酸の金属塩が好ましく例示され、特に、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩およびそのジメチルエステルである5−スルホイソフタル酸ジメチルのナトリウム塩が特に好ましく例示される。
(成分Bについての説明)
また、上記化学式(1)で表される化合物(B)としては、5−スルホイソフタル酸あるいはその低級アルキルアエステルの4級ホスホニウム塩または4級アンモニウム塩である。4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩としては、アルキル基、ベンジル基、フェニル基が置換された4級ホスホニウム塩、4級アンモニウム塩が好ましく、特に4級ホスホニウム塩であることが好ましい。また、4つある置換基は同一であっても異なっていても良い。上記化学式(1)で表される化合物の具体例としては、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸エチルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸テトラフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、5−スルホイソフタル酸ベンジルトリフェニルホスホニウム塩、あるいはこれらイソフタル酸誘導体のジメチルエステル、ジエチルエステルが好ましく例示される。
(数式(1)の説明)
本発明において、ポリエステルに共重合させる成分Aと成分Bの合計は酸成分を基準として、A+Bが3.0〜5.0モル%の範囲である必要がある。3.0モル%より少ないと、常圧下でのカチオン染色では十分な染着を得ることができない。一方、5.0モル%より多くなると、得られるポリエステル糸の強度が低下するため実用に適さない。さらに染料を過剰に消費するため、コスト面でも不利である。
(数式(2)の説明)
また、成分Aと成分Bの成分比は、B/(A+B)が0.2〜0.7の範囲にある必要がある。0.2以下、つまり成分Aの割合が多い状態では、スルホイソフタル酸金属塩による増粘効果により、得られるポリエステルの重合度を上げることが困難になる。一方、0.7以上、つまり成分Bの割合が多い状態では、反応が遅くなり、さらに成分Bの比率が多くなると分解が進むため重合度を上げることができない。さらに、成分Bの比率多くなると熱安定性が悪化し、溶融紡糸段階で再溶融した際の熱分解による分子量の低下が大きくなるため、得られるポリエステル糸の強度が低下するため、好ましくない。
(リン化合物の説明)
本発明において、ポリエステルがフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリエステル全重量に対して2.0〜5.0重量%含むポリマー組成物であることを特徴とする。
ポリエステルはフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を含有することにより、ポリマーの結晶性が向上し、溶融し、紡糸口金から吐出する段階で、微小結晶を多数形成する。そしてこの微小結晶が、紡糸及び延伸工程で生じるポリエステルの粗大な結晶成長を抑制し結晶を微分散化させ、繊維の剛直性を下げることによって、実用的な延伸倍率を高めることができ、より高い強度の繊維を得ることが可能となったのである。
ポリエステルのリン化合物含有量としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分のモル数に対して2.0〜5.0重量%であることが必要である。リン化合物の量が2.0%未満の場合、微小結晶の結晶性向上効果が不十分になる傾向にあり、5.0%を超える場合には紡糸時の異物欠点が発生するために製糸性が低下する。リン化合物の含有量は好ましくは、3.0〜4.0重量%の範囲である。
(その他添加剤)
また、本発明における共重合ポリエステルは、必要に応じて少量の添加剤、例えば酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤または艶消し剤などを含んでいても良い。特に酸化防止剤、艶消し剤などは特に好ましく添加される。
(固有粘度の説明)
本発明で用いられるポリエステルは、固有粘度として0.55〜1.0の範囲にすることが好ましい。固有粘度が0.55未満の場合には繊維の強度が低下し、また固有粘度が1.0を超える場合は重合時間が大幅に増加し、生産効率が低下するため工業的観点から好ましくない。固有粘度としては、さらには0.65〜1.0の範囲であることが好ましい。
(共重合ポリエステルの製造方法)
本発明における共重合ポリエステルの製造は特に限定されず、スルホイソフタル酸の金属塩(A)(以下化合物(A)と略称することがある。)及び化合物(B)を上記数式(1)、数式(2)を満足する条件を満たすように用いることに留意する他は、通常知られているポリエステルの製造方法が用いられる。すなわち、初めにテレフタル酸とエチレングリコールを直接エステル化反応させて低重合体を製造する、あるいはテレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールとをエステル交換反応させて低重合体を製造する。次いでこの反応生成物である低重合体を重縮合触媒の存在下で減圧加熱して所定の重合度になるまで重縮合反応させることにより製造することができる。スルホイソフタル酸を含有する芳香族ジカルボン酸及び/又はそのエステル誘導体(スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B))を共重合する方法についても通常知られている製造方法を用いる事ができる。これらの化合物の反応工程への添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応の開始当初から重縮合反応の開始までの任意の時期に添加することができる。熱分解を起こしやすい化合物(B)についてはエステル化反応又はエステル交換反応が終了し、重縮合反応が開始するまでに添加することが好ましく選択できる。
またエステル交換反応時の触媒についても通常のエステル交換反応を行う際に用いられる触媒化合物を用いる事ができる。重縮合触媒についても通常用いられるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を用いる事ができる。またチタン化合物と、芳香族多価カルボン酸若しくは芳香族多価カルボン酸の無水物との反応生成物、又はチタン化合物とリン化合物の反応生成物を用いても良い。
また上記のリン化合物を添加する場合には、上記の共重合ポリエステルの製造方法の工程において任意の工程で添加することによって常圧カチオン可染性ポリエステル組成物を製造することができる。具体的にはエステル化反応工程若しくはエステル交換反応工程の当初から終わりまでの段階、重縮合反応工程の当初から終わりまでの段階、又は一旦重縮合反応工程が終わった後で共重合ポリエステルを再溶融した段階でリン化合物を溶融状態で添加・溶融混練することができる。
(共重合ポリエステルからなるマルチフィラメントの製糸方法)
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントの製糸方法は、特に制限は無く、従来公知の方法が採用される。すなわち、乾燥した共重合ポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の引取り速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻取りを行うこともできる。さらに、上述の方法で得られた未延伸糸もしくは部分延伸糸を、延伸工程にて1.2倍〜6.0倍程度の範囲で延伸することが好ましい。この延伸は未延伸ポリエステル繊維を一旦巻き取ってから行ってもよく、一旦巻き取ることなく連続的に行ってもよい。また、紡糸時に使用する口金の形状についても特に制限は無い。
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントにおいては、単糸繊度が0.5〜1.5dtexであることが好ましい。0.5dtex未満であれば強度が低くなり好ましくない。1.5dtexを超える場合は風合いが硬くなり好ましくない。
また束ねられた単糸の数が24本以上、且つ強度が3.0cN/dtex以上、伸度が60%以下、熱水収縮率が22%以下とすることが好ましい。ここで熱水とは98℃、若しくは98℃〜100℃の水のことを表す。より好ましくは強度が3.5cN/dtex以上であることである。ここで単糸の数が24本以上であることが好ましく、単糸数が24本未満であれば布帛のボリューム感が低下し好ましくない。
得られたポリエステル繊維の強度は3.0cN/dtex以上が好ましく、ポリエステル繊維の強度が3.0cN/dtex未満であれば布帛とした時引き裂き強力が低下し好ましくない。より好ましくはポリエステル繊維の強度は3.5cN/dtex以上であることである。またポリエステル繊維の伸度は60%以下が好ましく、より好ましくは10〜40%である。伸度が60%を超えると糸の収縮斑が大きくなり好ましくないことがある。また伸度が10%未満であると製織性が悪く、織物が作成しにくいことがある。
又本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントの熱水収縮率は22%以下とすることが好ましい。より好ましくはポリエステルマルチフィラメントの熱水収縮率は5〜18%である。熱水収縮率が22%を超える場合は染色時に繊維の収縮が大きく、又異収縮混繊糸の低収縮糸として使用し芯鞘構造混繊糸の鞘部とする場合制約が大きくなり好ましくない。
(仮撚加工糸)
仮撚加工糸を製造する場合には、上記の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントを公知の仮撚加工装置を用いて行なうことができる。
(染色)
本発明の常圧カチオン可染性ポリエステルマルチフィラメントは、例えば平織物を製造し、公知の染色装置、方法で染色することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでもない。なお、実施例中、各特性値の測定は下記に従い、本実施例に用いる評価は下記の方法によって測定した。
(1)最大点強度(St)
テンシロン引張試験機を用いて得られた荷伸曲線から求めた。なお、試料長20cm、伸長伸度20%/分とした。
(2)カチオン可染性
CATHILON BLUE CD−FRLH0.4%/owf(保土ヶ谷化学)、硫酸ナトリウム3g/L、酢酸0.3g/Lの染色液中にて100℃で1時間、浴比1:50で染色し、次式により染着率を求めた。
染着率=(OD−OD)/OD
OD:染色前の染液の576nmの吸光度
OD:染色後の染液の576nmの吸光度
本発明では、染着率98%以上のものを可染性良好と判断した。
(3)布帛カラー(Col−L)
染色後の丸編み状布帛をカラーマシン社製CM−7500型カラーマシンで測定した。
Col−Lは40以下を可とし、布帛が染料に充分染色されていると判断した。
(4)スルホイソフタル酸の金属塩(A)及び化合物(B)の共重合量並びにポリエステル種類
ポリマーサンプルをトリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1(体積比)の混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(1 H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、各プロトン量により定量した。特にイソフタル酸骨格由来の水素原子に着目した。また上記のエネルギー分散型X線マイクロアナライザーを用いた測定による硫黄元素含有量、リン元素含有量の結果も参考にして総合的に算出した。また共重合ポリエステルの化学構造もNMRスペクトルパターンから算出した。
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル100重量部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム4.4重量部、エチレングリコール50重量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.0056重量部を攪拌機、蒸留搭及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から230℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行い、引き続いてエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を3.0重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応生成物に5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネート2.5重量部、三酸化二アンチモン0.024重量部を添加して、攪拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、280℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空下で縮合重合反応を行い、常法に従ってチップ化して極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレート樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下220℃で10〜13時間固相重合を行い、表1に記載した固有粘度のポリエチレンテレフタレート樹脂チップを得た。
得られたポリエステルを常法により乾燥し、水分率を100ppm以下に設定し、孔径0.25mmの円形吐出孔を72個有する紡糸口金を使用して表1で示す温度で溶融紡糸し、紡糸速度2800m/分で高配向未延伸糸(POYと略称)を得た。
インターレースノズルにより、オーバーフィード率1.5%、圧空圧3kg/cmで60コ/mの交絡を付与し、引き続いて延伸倍率1.50、ヒーター温度190℃、仮撚装置に外接式摩擦仮撚装置を用い、600m/分で延伸仮撚加工した。強度、染色性と共に優れたものであった。その結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で吐出孔を144個とした以外は同様の方法で行った。この場合、強度が低下する結果となった。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1でエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を全く添加せず、それ以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。この場合も強度が大幅に低下する結果となった。その結果を表1に示す。
[比較例3〜6]
実施例1で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム(成分A)及び5−スルホイソフタル酸テトラブチルホスホネート(成分B)の添加量を表1となるように変更した事以外は実施例1と同様に実施した。この場合、比較例3、5、6では強度がはるかに低下する結果となった。比較例4では強度は維持できるものの布帛が十分に染まらず、染着も悪くなる結果となった。その結果を表1に示す。
Figure 2011137274
本発明の細繊度常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は充分な引張強度を有し、スポーツ衣料用途として有用である。

Claims (2)

  1. ポリエステルマルチフィラメントであって、下記要件を満足することを特徴とする高強力常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント。
    a)ポリエステルが、主たる繰返し単位がエチレンテレフタレートより構成され、スルホイソフタル酸の金属塩(A)、および下記化学式(1)で表される化合物(B)を、下記数式(1)及び(2)を同時に満足する条件で含有すること。
    b)ポリエステルの固有粘度が0.55〜1.0の範囲にあること。
    c)単糸繊度が0.5〜1.5dtex、かつ強度が3.0cN/dtex以上であること。
    d)ポリエステルがフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物をポリエステル全重量に対して2.0〜5.0重量%含有すること。
    Figure 2011137274
    [上記式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10個のアルキル基を表し、Xは4級ホスホニウムイオン又は4級アンモニウムイオンを表す。]
    3.0≦A+B≦5.0 数式(1)
    0.3≦B/(A+B)≦0.7 数式(2)
    [上記数式中、Aは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準としたスルホイソフタル酸の金属塩(A)の共重合量(モル%)を、Bは共重合ポリエステルを構成する全酸成分を基準とした上記式(1)で表される化合物(B)の共重合量(モル%)を表す。]
  2. 仮撚加工がされた請求項1記載の高強力常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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