JP4294524B2 - ポリエステル系複合繊維 - Google Patents

ポリエステル系複合繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP4294524B2
JP4294524B2 JP2004088836A JP2004088836A JP4294524B2 JP 4294524 B2 JP4294524 B2 JP 4294524B2 JP 2004088836 A JP2004088836 A JP 2004088836A JP 2004088836 A JP2004088836 A JP 2004088836A JP 4294524 B2 JP4294524 B2 JP 4294524B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
component
polyethylene terephthalate
composite fiber
copolymerized polyethylene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004088836A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005273088A (ja
Inventor
亮二 塚本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Fibers Ltd
Original Assignee
Teijin Fibers Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Fibers Ltd filed Critical Teijin Fibers Ltd
Priority to JP2004088836A priority Critical patent/JP4294524B2/ja
Publication of JP2005273088A publication Critical patent/JP2005273088A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4294524B2 publication Critical patent/JP4294524B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Multicomponent Fibers (AREA)

Description

本発明は、異なる2種類の共重合ポリエステルポリマーがサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合わされたポリエステル系複合繊維に関する。更に詳しくは、ストレッチ性、染色性に優れ、ソフトな風合いの布帛が得られるポリエステル系複合繊維であり、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸してもオリゴマーやガスの発生量が非常に少なく、成形性に優れているという優れた性能を有するポリエステル系複合繊維に関する。
ストレッチ機能を有する織編物を得る為、極限粘度の異なる2種類のポリエステルをサイドバイサイド型に接合した潜在捲縮性の複合繊維を使用することはよく知られている。この潜在捲縮性複合繊維に糸条や織編物の状態で捲縮発現処理を施して捲縮を発現させ、ストレッチ性能を具備する織編物として利用する際には、糸条の3次元クリンプ形態や捲縮性能が布帛にしたときのストレッチ性能に大きく影響する。
従来、このような潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を得る為に、両ポリエステルの極限粘度差を可能な限り大きくしたり、片側の成分として共重合ポリエステルを貼り合わせたりして、繊維にしたときの収縮差を大きくするような提案がなされている。
片側の成分として共重合ポリエステルを貼り合わせた複合繊維の提案として、例えば共重合ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートホモポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維が提供されている(例えば特許文献1参照。)。この方法によると、確かに高い捲縮を発現する複合繊維を得ることが出来るが、共重合ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートホモポリマーの融点差が大きい為、このような場合、通常紡糸温度を融点の高いポリマーに適した温度にする必要がある。しかしながら、共重合ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートホモポリマーを合わせて高温で紡糸すると、通常触媒として含有されているアンチモン化合物が口金周辺に昇華する他、耐熱性に劣る共重合ポリエチレンテレフタレート側のポリマーが熱分解を起こし、紡糸口金周辺に異物として堆積し、紡糸工程の安定性を低下させる為、好ましくない。
特開2000−144518号公報
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、ストレッチ性に優れ、ソフトな風合いの布帛が得られるポリエステル系複合繊維であり、紡糸口金を通して長時間連続的に紡糸しても安定して繊維を生産することが出来、成形性に優れているという優れた性能を有するポリエステル系複合繊維を提供することにある。
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.56〜1.2、融点が215〜245℃のポリエステル成分Aと、ポリエステル成分Aとは異なる共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.3〜0.55、融点が215〜245℃のポリエステル成分Bとを、成分A:成分B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合せてなる複合繊維であり、該共重合ポリエステル成分AとBの融点の差が20℃以下であり、
ポリエステル成分Aとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートがイソフタル酸、フタル酸、炭素数2〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸及び炭素数6〜14の飽和脂環族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体、並びに下記一般式(1)及び(2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を、全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートであり、
Figure 0004294524
[上記式中、mは2〜4の整数である。]
Figure 0004294524
[上記式中、nは1〜2の整数、Arはフェニレン基である。]
ポリエステル成分Bとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートが炭素数3〜10の飽和脂肪族グリコール、炭素数6〜14の飽和脂環族グリコール及びp−ヒドロキシ安息香酸並びにそのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を、全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートであるポリエステル系複合繊維によって達成される。
本発明のポリエステル系複合繊維は、ストレッチ性、風合いに優れ、毛羽が少ないので、衣料を中心とした様々な繊維用途に利用できる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に用いるポリエステル成分Aは、共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなり固有粘度が0.56〜1.2、融点が215℃〜245℃の範囲にある共重合ポリエチレンテレフタレートである必要がある。該ポリエステル成分Aの固有粘度が0.56未満の場合、得られる複合繊維の捲縮が不十分となり、十分なストレッチ性が発現されない。また1.2より大きい場合、複合繊維を製造する際の成形性が不十分となり、安定した生産が出来なくなる為好ましくない。ポリエステル成分Aの固有粘度は0.58〜1.1の範囲が好ましく、0.6〜1.0の範囲が更に好ましい。該ポリエステル成分Aは固相重合されたポリエステルであってもよい。また、該ポリエステル成分Aの融点が215℃未満の場合得られる繊維の耐熱性が低下し、245℃より高い場合ポリマーの分解が促進され、口金異物やガス発生の原因となる為好ましくない。ポリエステル成分Aの融点は220℃〜243℃の範囲が好ましく、225℃〜240℃の範囲が更に好ましい。
該ポリエステル成分Aの共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、炭素数2〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸及び炭素数6〜14の飽和脂環族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体、並びに下記一般式(1)及び(2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物であることが好ましく、ポリエステル成分Aの製造に用いる全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合されていることが好ましい。この共重合成分の種類・量を適宜調整することで上記の融点範囲の共重合ポリエステルを得ることが出来る。
Figure 0004294524
[上記式中、mは2〜4の整数である。]
Figure 0004294524
[上記式中、nは1〜2の整数、Arはフェニレン基である。]
ここで、ポリエステル成分Aの共重合成分の共重合量が5モル%未満の場合融点が高くなり、溶融紡糸時にポリエステルA側の分解を促進する為好ましくない。一方20モル%を超える場合、耐熱性が低下し好ましくない。該共重合成分の共重合量は7〜15モル%の範囲がさらに好ましい。更に該共重合成分としてはイソフタル酸及びアジピン酸並びにそのエステル形成性誘導体並びにジエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の化合物であることが特に好ましい。
本発明に用いるポリエステル成分Bは、ポリエステル成分Aとは異なる共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなり固有粘度が0.3〜0.55、融点が215℃〜245℃の範囲にある共重合ポリエチレンテレフタレートである必要がある。ポリエステル成分Aと同一組成であると複合繊維にした場合に、十分なストレッチ性及びソフトな風合いを発現することが出来ない。該ポリエステル成分Bの固有粘度が0.3未満の場合、複合繊維を製造する際の成形性が不十分となり、安定した生産が出来なくなる。また、0.55より大きい場合、得られる複合繊維の捲縮が不十分となり、十分なストレッチ性が発現されない為好ましくない。ポリエステル成分Bの固有粘度は0.35〜0.52の範囲が好ましく、0.4〜0.5の範囲が更に好ましい。また、該ポリエステル成分Bの融点が215℃未満の場合得られる繊維の耐熱性が低下し、245℃より高い場合ポリマーの分解が促進され、口金異物やガス発生の原因となる為好ましくない。ポリエステル成分Aの融点は220℃〜243℃の範囲が好ましく、225℃〜240℃の範囲が更に好ましい。
該ポリエステル成分Bの共重合成分としては、炭素数3〜10の飽和脂肪族グリコール、炭素数6〜14の飽和脂環族グリコール及びp−ヒドロキシ安息香酸並びにそのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる1種以上の化合物であることが好ましく、ポリエステル成分Bの製造に用いる全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合されていることが好ましい。ここで、ポリエステル成分Bの共重合成分の共重合量が5モル%未満の場合融点が高くなり、溶融紡糸時にポリエステルA側の分解を促進する為好ましくない。一方20モル%を超える場合、耐熱性が低下し好ましくない。該共重合成分の共重合量は7〜15モル%の範囲がさらに好ましい。更に該共重合成分としてはテトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びヘキサメチレングリコールのいずれか1種以上であることが特に好ましい。この共重合成分の種類・量を適宜調整することで上記の融点範囲の共重合ポリエステルを得ることが出来る。
本発明に用いるポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの融点の差は20℃以下である必要がある。該融点の差が20℃以上の場合、得られる繊維の耐熱性の低下や、ポリマーの分解促進による、口金異物やガス発生が懸念される為好ましくない。該融点の差は15℃以下であることが好ましく、10℃以下であることが更に好ましい。
また、本発明に用いるポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差は0.1〜0.7の範囲にあることが好ましい。該固有粘度差が0.1未満の場合、得られる複合繊維の捲縮が不十分となり、十分なストレッチ性が発現されず、0.7を超える場合、複合繊維を製造する際の成形性が不十分となり、安定した生産が出来なくなる為好ましくない。ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差は0.15〜0.6の範囲が更に好ましい。
本発明のポリエステル系複合繊維はポリエステル成分A及びBが重量比率で成分A:成分B=30:70〜70:30の範囲で、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合わされた複合繊維である必要がある。ポリエステル成分Aが70重量%を越える場合は、捲縮性は向上するが、複合繊維としての強度が低下する。一方、上記成分Aが30%未満の場合は、捲縮性が不足する。ポリエステル成分A及びBの重量比率は、45:65〜65:45の範囲が好ましく、40:60〜60:40の範囲が更に好ましい。上述のように固有粘度が異なり収縮率が異なるポリマーをサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合わせることで好ましい捲縮を発現させることができ、ストレッチ性に優れ、ソフトな風合いの布帛が得られるようになる。またポリエステル成分AとBの融点の差が20℃と小さいので、両種のポリマーに対して溶融紡糸に好ましい温度域に重なりができる。その温度域で溶融紡糸することで両ポリマーとも熱分解を起こすことなく、連続的・安定に複合繊維を溶融紡糸することができると考えられる。
本発明に用いるポリエステル成分A及びBの製造方法については特に限定はなく、テレフタル酸をグリコール成分と直接エステル化せしめた後重合せしめる方法、又はテレフタル酸のエステル形成性誘導体をグリコール成分とエステル交換反応せしめた後重合せしめる方法のいずれを採用しても良い。ここでエステル形成性誘導体とは低級アルキルエステル、低級アリールエステル又は酸ハライド物等を表す。また本発明に用いるポリエステル成分A及びBを重縮合する際の触媒としては、特に限定はなく一般的なポリエステル製造時に使用される触媒が採用される。具体的には重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物又はチタン化合物等が好ましく用いられる。テレフタル酸のエステル形成性誘導体をグリコール成分とエステル交換反応せしめた後、重合せしめる方法を採用する場合は、エステル交換反応触媒としてチタン化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、ナトリウム化合物又はコバルト化合物等が好ましく用いられる。これらの重縮合触媒及びエステル交換触媒に用いる化合物は単一種類で用いても複数種類を用いてもよい。
本発明に用いられるポリエステルA及びBには、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤又は艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
本発明のポリエステル系複合繊維は1.77×10−3cN/dtexの負荷時の沸水下での捲縮発現率(TC2)が30〜55%、10%伸長弾性回復率が60%以上であることが好ましい。捲縮発現率が30%未満の場合十分なストレッチ性が発現せず、55%を超える場合製織性が悪化し好ましくない。また10%伸長弾性回復率が60%未満の場合も十分なストレッチ性が発現せず好ましくない。該捲縮発現率は35〜50%の範囲が更に好ましい。また10%伸長弾性回復率は65%以上が更に好ましい。
なお、上記捲縮発現率を30〜55%にするには、紡糸速度1000〜8000m/分、好ましくは2000〜6500m/分の速度で引き取り、次いで一旦巻き取ってから又は一旦巻き取る事なく連続して延伸熱処理する事によって得られる。また、上記10%伸張弾性回復率を60%以上にするには、延伸熱処理によって得られる繊維の破断伸度を60%以下にする事によって得る事が出来る。
本発明のポリエステル系複合繊維は、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち固有粘度が0.8〜1.5のポリエステルAと、固有粘度が0.3〜0.7のポリエステルBとを、従来公知のサイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型複合紡糸用の紡糸口金を用い、溶融紡糸温度240〜280℃、好ましくは250〜270℃で複合重量比が前記割合となるように溶融紡出する。該吐出糸条に冷却風を吹付けて固化させた後に引取速度1000〜8000m/分、好ましくは2000〜6500m/分の速度で引き取り、次いで一旦巻取ってから又は一旦巻取ることなく連続して、必要に応じて延伸・熱処理することにより得ることができる。なお、引取る際のローラーの数は特に限定されず、単独でも2以上の複数であってもよいが、通常は一対のローラー群を介して引き取られる。この際、第一のローラーと第二のローラーの回転速度(周速)は、紡糸安定性を損なわずかつ本発明の目的を阻害しない範囲内で異ならしめてもよいが、通常は同一速度とすることが好ましい。
以下、本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何等限定を受けるものではない。なお実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。実施例中「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準である。
(1)固有粘度:
ポリエステルポリマーの固有粘度は、35℃オルソクロロフェノール溶液にて、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
(2)ジエチレングリコール量:
抱水ヒドラジンを用いてサンプルを分解し、分解物をガスクロマトグラフィー(HEWLETT PACKARD社製、HP6890 Series GC System)を用いてジエチレングリコール量を定量し、測定したポリマーの重量を基準とした時の重量百分率を求めた。
(3)融点:
示差走査熱量計(DSC)としてTA Instruments社製 DSC2200 Differential Scanning Calorimeterを用いて、20℃/分の昇温速度で270℃まで昇温したサンプルを0℃に冷却した試験管中で急冷し非晶状態にしたサンプルを更に20℃/分の昇温速度で昇温し、JIS K7121に準じて融解ピーク温度を測定した。
(4)共重合成分:
ポリマーサンプルを重水素化トリフルオロ酢酸/重水素化クロロホルム=1/1混合溶媒に溶解後、日本電子(株)製JEOL A−600 超伝導FT−NMRを用いて核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定して、そのスペクトルパターンから常法に従って、共重合成分の種類を特定し含有量を定量した。
(5)捲縮率(%):TC2
試料繊維に44.15×10−3cN/dtexの張力をかけて約3333dtexとなる迄巻きカセを作成する。カセ作成後、176.6×10−3cN/dtex相当の荷重を負荷し、1分経過後の長さL0(cm)を測定する。L0測定後、176.6×10−3cN/dtex相当荷重を除去し、1.77×10−3cN/dtex相当の荷重を負荷した状態で100℃沸水中で20分間処理する。沸水処理後直ちに全荷重を除去し、24時間フリー状態で40℃以下で自然乾燥する。自然乾燥後のカセに再び1.77×10−3cN/dtex相当の荷重を負荷し1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。L1測定後直ちに176.6×10−3cN/dtex相当荷重を除去し、1分経過後の長さL2(cm)を測定し、下記算出式により捲縮率(TC2)を算出した。
TC2(%)=(L1−L2)/L0×100
(6)10%伸長弾性回復率(%):ER10
試料繊維を10ターンしたカセ(長さ30cm)を作成し、1.77×10−3cN/dtex(2mg/de)の荷重を負荷した状態で100℃沸水中で20分間処理する。沸水処理後、直ちに荷重除去し、24時間後フリー状態で40℃以下の温度で自然乾燥した。次いで88.3×10−3cN/dtex(100mg/de)の荷重をかけてコイル状捲縮を伸びきった状態とし、島津製作所引張り試験機テンシロンにて、初期サンプル長200mm、試験速度200mm/minで10%伸長後、直ちに同速度で回復させて伸長回復曲線をとる。回復時初荷重と同じになったときのサンプル長をL10(mm)とし、下記式で10%伸長回復率を計算した。
10%伸長弾性回復率(%)=(1−(200−L10)/200)×100
(7)製糸性:
5日間紡糸運転中の製糸安定性の目安として、断糸回数を以下のように定める。
○:1回以下
△:2〜10回
×:11回
(8)毛羽(個/10m):
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル複合繊維250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/minの速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長10m当たりに換算し、毛羽数とした。
○:0.3ヶ/10m未満
△:0.3ヶ/10m以上1.0ヶ/10m未満
×:1.0ヶ/10m以上
(9)芯鞘繊維の偏芯度:
繊維断面写真により混合繊維の断面中心と芯部分の断面中心との距離を測定し、この距離を複合繊維の半径で除した値を%で表した。
[参考例1]
テレフタル酸ジメチル90部とイソフタル酸ジメチル10部、エチレングリコール70部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.058部を添加し、エステル交換反応を終了させた。次いで得られた反応生成物に、三酸化二アンチモン0.045部、酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリー1.5部を添加後、撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、240℃から295℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65となる時点で重合反応を打ち切った。溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。結果を表1に示す。
[参考例2〜3、比較参考例1]
共重合成分の種類、量を表1に示す成分、量に変更したこと以外は参考例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[参考例4〜6]
共重合成分の種類、量を表1に示す成分、量に変更し、重合反応の最終内温を280℃として固有粘度0.45のポリマーを製造したこと以外は参考例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較参考例2]
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、リン酸トリメチル0.058部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
次いで得られた反応生成物に、三酸化二アンチモン0.045部、酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリー1.5部を添加後、撹拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、240℃から295℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65となる時点で重合反応を打ち切った。
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。結果を表1に示す。
[比較参考例3]
重合反応の最終内温を280℃として固有粘度0.45のポリマーを製造したこと以外は比較参考例2と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0004294524
[実施例1〜5,比較例1〜3]
表1に記載の極限粘度およびポリマー物性からなる参考例1〜6、比較参考例1〜3のポリマーを用いて、図1に記載の吐出後合流型口金を用いて、紡糸温度265℃にて、紡糸速度2600m/minで巻取り、88dtex/36fの未延伸糸を得た。さらに、延伸ローラー温度60℃、延伸倍率1.65倍、スリットヒーター温度170℃にてセットし、パーン形状に巻取り、サイドバイサイド型の複合繊維を得た。ただし、比較例2は紡糸温度を270℃、比較例3は紡糸温度を280℃で実施した。結果を表2に示す。
[実施例6]
口金形状を偏芯芯鞘型に変更し、表1、2に記載のポリマーを用いて、紡糸温度260℃にて、紡糸速度2,600m/minで巻取り、88dtex/36fの未延伸糸を得た。さらに、延伸ローラー温度60℃、延伸倍率1.65倍、スリットヒーター温度170℃にてセットし、パーン形状に巻取り、偏芯芯鞘型の複合繊維を得た。芯鞘繊維の偏芯度は25%であった。結果を表3に示す。
実施例に示す通り、ポリエステルA、Bの特性が本発明の範囲にあるもの(実施例1〜6)は、製糸性、毛羽数、捲縮発現率、伸長弾性回復率いずれも良好であったが、本発明の範囲を外れるもの(比較例1〜3)は製糸性、毛羽数、捲縮発現率、伸長弾性回復率、いずれか一つ以上が不良であった。
Figure 0004294524
Figure 0004294524
本発明のポリエステル系複合繊維は、ストレッチ性、風合いに優れ、毛羽が少ないので、衣料を中心とした様々な繊維用途に利用でき、特にアウター、裏地、スポーツ用衣料製品などの高級衣料用途などに有用である。
本発明の実施例で用いた合流型口金の吐出孔横断面の概略図である。

Claims (6)

  1. 共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.56〜1.2、融点が215〜245℃のポリエステル成分Aと、ポリエステル成分Aとは異なる共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.3〜0.55、融点が215〜245℃のポリエステル成分Bとを、成分A:成分B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合せてなる複合繊維であり、該共重合ポリエステル成分AとBの融点の差が20℃以下であり、
    ポリエステル成分Aとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートがイソフタル酸、フタル酸、炭素数2〜12の飽和脂肪族ジカルボン酸及び炭素数6〜14の飽和脂環族ジカルボン酸並びにこれらのエステル形成性誘導体、並びに下記一般式(1)及び(2)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を、全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートであり、
    Figure 0004294524
    [上記式中、mは2〜4の整数である。]
    Figure 0004294524
    [上記式中、nは1〜2の整数、Arはフェニレン基である。]
    ポリエステル成分Bとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートが炭素数3〜10の飽和脂肪族グリコール、炭素数6〜14の飽和脂環族グリコール及びp−ヒドロキシ安息香酸並びにそのエステル形成性誘導体からなる群より選ばれる1種以上の化合物を、全ジカルボン酸成分に対して5〜20モル%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレートであるポリエステル系複合繊維。
  2. ポリエステル成分Aとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分がイソフタル酸及びアジピン酸並びにそのエステル形成性誘導体並びにジエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1記載のポリエステル系複合繊維。
  3. ポリエステル成分Bとして用いられる共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分が、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及びヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項1又は2記載のポリエステル系複合繊維。
  4. ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差が0.1〜0.7であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル系複合繊維。
  5. 1.77×10−3cN/dtexの負荷時の沸水下での捲縮発現率(TC2)が30〜55%、10%伸長弾性回復率が60%以上である請求項1〜のいずれか1項記載のポリエステル系複合繊維。
  6. 共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.8〜1.5、融点が215〜245℃のポリエステル成分Aと、ポリエステル成分Aとは異なる共重合ポリエチレンテレフタレートから主としてなる固有粘度が0.3〜0.7、融点が215〜245℃のポリエステル成分Bとを、溶融紡糸温度240〜280℃にて成分A:成分B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏芯芯鞘型に貼り合せて引取速度1000〜8000m/分で引き取り、必要に応じて延伸及び/又は熱処理を行う請求項1〜5のいずれか1項ポリエステル系複合繊維の製造方法。
JP2004088836A 2004-03-25 2004-03-25 ポリエステル系複合繊維 Expired - Fee Related JP4294524B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004088836A JP4294524B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ポリエステル系複合繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004088836A JP4294524B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ポリエステル系複合繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005273088A JP2005273088A (ja) 2005-10-06
JP4294524B2 true JP4294524B2 (ja) 2009-07-15

Family

ID=35173058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004088836A Expired - Fee Related JP4294524B2 (ja) 2004-03-25 2004-03-25 ポリエステル系複合繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4294524B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008248438A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Kb Seiren Ltd 裏地用織物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005273088A (ja) 2005-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5567796A (en) Polyester fiber
JP4181991B2 (ja) 高毛管上昇速度を有する複合繊維
JP4649089B2 (ja) ポリ(トリメチレンテレフタラート)糸
JP2002512315A (ja) ポリエステル繊維およびそれの製造方法
JP2002515948A (ja) ナフタレート単位を含有するポリエステル繊維
JP3942541B2 (ja) ポリエステル繊維
JP2006511726A (ja) ポリ(トリメチレンテレフタレート)複合繊維方法
JP4294524B2 (ja) ポリエステル系複合繊維
JP2006097178A (ja) 複合繊維
JP2010059572A (ja) 常圧カチオン可染性ポリエステル複合繊維
JP3215714B2 (ja) 易染性ポリエステル繊維
JPH073554A (ja) ポリエステル中空仮撚加工糸の製造方法
JP2004293024A (ja) 分割型ポリエステル複合繊維
JP2005068589A (ja) ポリエステル系複合繊維
JP2013170251A (ja) 共重合ポリエステルおよびポリエステル繊維
JPH08113826A (ja) 高収縮繊維およびその製造法
JP3583402B2 (ja) ポリエステル繊維
JPH08269820A (ja) 易染性の改質ポリエステル繊維およびその製造方法
JP2004285499A (ja) ポリエステル系複合繊維
JP2010168707A (ja) 常圧カチオン可染性ポリエステルマルチ繊維
JP4108873B2 (ja) ポリエステル繊維
JP3796053B2 (ja) 捲縮性複合繊維
JP2011137274A (ja) 常圧カチオン可染ポリエステルマルチフィラメント
JP2001032136A (ja) ポリエステル繊維
JP2011162892A (ja) 中空ポリエステルマルチフィラメント

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090106

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090317

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090408

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120417

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees