JP2004285499A - ポリエステル系複合繊維 - Google Patents

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Mitsue Yoshimura
三枝 吉村
Ryoji Tsukamoto
亮二 塚本
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Teijin Ltd
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Abstract

【課題】ストレッチ性、風合いに優れ、毛羽が少なく極めて品質の高いポリエステル系複合繊維を提供する。
【解決手段】固有粘度が0.8〜1.5である、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Aと、固有粘度が0.3〜0.7である、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Bとを、A:B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に貼り合せてなる複合繊維とし、複合繊維中に含有されるアンチモン及びゲルマニウム金属元素量を20ppm以下とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに異なる2種類のポリエステルポリマーがサイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に貼り合わされたポリエステル系複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ストレッチ機能を有する織編物を得る為、固有粘度の異なる2種類のポリエステルをサイドバイサイド型に接合した潜在捲縮性の複合繊維を使用することが知られている。
【0003】
このような潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を得る為に、両ポリエステルの固有粘度差を可能な限り大きくし、繊維にしたときの収縮差を大きくしており、さらには、紡糸操業性を向上させるために、繊維横断面の両ポリエステルの接合面を直線的にする努力がなされており、これらの複合繊維について種々の提案がなされている。
【0004】
かかる複合繊維の溶融紡糸においては、溶融紡糸時に吐出糸条が屈曲を起こすといった問題がある。特に、固有粘度差が大きくなると、屈曲が過度に進み、糸条が紡糸口金に付着して切断が生じ、安定して紡糸を行うことができない。
【0005】
これに対して、粘度の異なるポリマーを一対の吐出孔から吐出させて、サイドバイサイド型の複合繊維を形成するようにした口金において、1対をなす吐出孔が口金面と直交する方向に対してなす各々の傾斜角度や1対の吐出孔間の距離等を適正化した溶融紡糸用口金(特許文献1)などが提案されている。しかし、かかる紡糸用口金を用いても、長時間運転の後には、吐出孔間に異物が堆積し、ポリマー流が異物を巻き込んだ状態で接合するために、毛羽や断糸が発生する問題がある。
【0006】
この原因としては、主に、ポリエステルに含まれる重合触媒自身が昇華性を有しており、これが口金吐出孔周辺に堆積し、さらにそれが核となってオリゴマーが口金表面に付着・成長することによって、安定なポリマー流を妨げる異物となることが考えられる。特に、上記のような複合繊維は紡糸が難しく、かかる異物の影響により製糸性が悪くなりやすく、より顕著に断糸や毛羽を発生することになる。
【0007】
【特許文献1】
特公昭61−60163号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術を背景になされたものであり、ストレッチ性、風合いに優れ、毛羽が少なく極めて品質の高いポリエステル系複合繊維を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の目的は、固有粘度が0.8〜1.5である、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Aと、固有粘度が0.3〜0.7である、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Bとを、A:B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に貼り合せてなる複合繊維であって、複合繊維中に含有されるアンチモン及びゲルマニウム金属元素量が20ppm以下であることを特徴とする、ポリエステル系複合繊維によって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0012】
本発明に用いるポリエステル成分Aは、トリメチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであり、ポリエステル成分Bは、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルである。これらポリエステル成分A及びBは、それぞれトリメチレンテレフタレート単位を構成する成分及びエチレンテレフタレート単位を構成する成分以外の第3成分を共重合した、共重合ポリエステルであってもよい。上記第3成分(共重合成分)は、ジカルボン酸成分またはグリコール成分のいずれでもよい。第3成分として好ましく用いられる成分としては、ジカルボン酸成分として、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の如き脂環族ジカルボン酸等、グリコール成分としてはテトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等の他、ポリエステル成分Aはエチレングリコール、ポリエステル成分Bはトリメチレングリコールが例示され、これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0013】
本発明に用いるポリエステル成分Aの固有粘度は0.8〜1.5の範囲に、ポリエステル成分Bの固有粘度は0.3〜0.7の範囲にある必要がある。ここでポリエステル成分Aとしては固相重合されたポリエステルが好ましく使用される。ポリエステル成分Aの固有粘度が0.8未満、及び/又はポリエステル成分Bの固有粘度が0.7より大きい場合、得られる複合繊維の捲縮が不十分となり、十分なストレッチ性が発現されず、また、ポリエステル成分Aの固有粘度が1.5より大きく、及び/又はポリエステル成分Bの固有粘度が0.3未満の場合、複合繊維を製造する際の成形性が不十分となり、安定した製糸ができなり、毛羽や断糸が発生しやすくなる。ポリエステル成分Aの固有粘度は0.85〜1.45の範囲が好ましく、0.9〜1.4の範囲が更に好ましい。また、ポリエステル成分Bの固有粘度は0.35〜0.65の範囲が好ましく、0.4〜0.6の範囲が更に好ましい。
【0014】
また、本発明に用いるポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差は0.3〜1.0の範囲にあることが好ましい。該固有粘度差が0.3未満の場合、得られる複合繊維の捲縮が不十分となり、十分なストレッチ性が発現されず、1.0を超える場合、複合繊維を製造する際の成形性が不十分となり、安定した製糸ができず、毛羽や断糸を発生しやすくなる。ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差は0.4〜0.9の範囲がより好ましい。
【0015】
本発明の複合繊維はポリエステル成分A及びBが重量比率A:B=30:70〜70:30の範囲で、サイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に貼り合わされた複合繊維であることが必要である。ポリトリメチレンテレフタレート系ポリエステルA成分が70重量%を越える場合は、捲縮性は向上するが、複合繊維としての強度が低下する。一方、上記A成分が30%未満の場合は、捲縮性が不足する。ポリエステル成分A及びBの重量比率は、45:65〜65:45の範囲が好ましく、40:60〜60:40の範囲が更に好ましい。
【0016】
本発明のポリエステル系複合繊維に含有されるアンチモン及びゲルマニウム金属元素量は20ppm以下である必要がある。ここでいうアンチモン及びゲルマニウム金属元素とは、通常ポリエステル製造時の重合触媒として使用されるが、このアンチモン金属元素量が多いと複合繊維成形時に紡糸口金周辺への付着物が増加し、安定した繊維の製造が困難となり、またゲルマニウム元素量が多いと繊維製造に必要なポリエステルのコストがアップする為好ましくない。アンチモン及びゲルマニウム金属元素量は15ppm以下にあることが好ましく、10ppm以下にあることが更に好ましい。
【0017】
また、本発明に用いられるポリエステル成分A及びポリエステル成分Bはチタン化合物を用いて重合されていることが好ましい。ここで言うチタン化合物とは酸化チタンのような無機粒子のものではなく、実質的にポリマーに可溶なチタン化合物のことである。
【0018】
本発明のポリエステル系複合繊維中に含有されるポリエステルに可溶なチタン金属元素量は20〜200ppmの範囲にあることが好ましい。該チタン金属元素とは上述した重縮合触媒として用いられるチタン金属元素であり、酸化チタンのような無機粒子のものは含まれず、実質的にはポリエステル成分A及びポリエステル成分Bの重縮合触媒の総量である。チタン金属元素はポリエステル成分A中には15〜150ppm、ポリエステル成分B中には5〜50ppm含有されていることが好ましく、該ポリエステル系複合繊維中のチタン金属元素量は20〜170ppmの範囲が好ましく、25〜150ppmの範囲が更に好ましい。
【0019】
また、本発明に用いられるポリエステル成分B、又は、ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの両方が、下記一般式(I)で表されるリン化合物、及び下記一般式(I)で表されるリン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、リン元素換算で5〜80ミリモル%の下記一般式(III)で表されるリン化合物とを含む触媒の存在下で重縮合されたポリエステルであることが好ましい。特にポリエステル成分Bの触媒としては該チタン化合物成分と該リン化合物とを組合せて用いることが好ましい。
【0020】
【化4】
Figure 2004285499
【0021】
【化5】
Figure 2004285499
【0022】
【化6】
Figure 2004285499
【0023】
ここで、一般式(I)で表されるチタン化合物としては、具体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタン、オクタアルキルトリチタネート、及びヘキサアルキルジチタネートなどが好ましく用いられる。
【0024】
また、該チタン化合物と反応させる一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。
【0025】
上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部または全部を溶解し、この混合液にチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で少なくとも30分間、好ましくは30〜150℃の温度で40〜90分間加熱することによって行われる。この際の反応圧力については特に制限はなく、常圧で十分である。なお、芳香族多価カルボン酸またはその無水物を溶解させる溶媒としては、エタノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ベンゼン及びキシレン等から所望に応じていずれを用いることもできる。
【0026】
ここで、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸またはその無水物との反応モル比には特に限定はないが、チタン化合物の割合が高すぎると、得られるポリエステルの色調が悪化したり、軟化点が低下したりすることがあり、逆にチタン化合物の割合が低すぎると重合反応が進みにくくなることがある。このため、チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応モル比は、2/1〜2/5の範囲内とすることが好ましい。
【0027】
本発明において重合触媒として用いる触媒系は、上記のチタン化合物成分と、前記一般式(III)により表されるリン化合物との未反応混合物から実質的になるものであり、該リン化合物としては、カルボメトキシメタンホスホン酸、カルボエトキシメタンホスホン酸、カルボプロポキシメタンホスホン酸、カルボプトキシメタンホスホン酸、カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸、カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸およびカルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸のジメチルエステル類、ジエチルエステル類、ジプロピルエステル類およびジブチルエステル類から選ばれることが好ましい。
【0028】
上記のリン化合物は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較して、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行するので、反応中における、チタン化合物の触媒活性持続時間が長く、結果として該チタン化合物のポリエステルへの添加量を少なくすることができ、また、本発明のように触媒に対し多量に安定剤を添加する場合であっても、ポリエステルの熱安定性を損ない難い特性を有している。
【0029】
上述のリン化合物は、リン元素換算で5〜80ミリモル%の範囲にあることが好ましい。該ホスホネート化合物が5ミリモル%未満であるとポリエステルの色相が低下しやすくなり、また80ミリモル%を超えると重合反応が進行しにくくなる為、好ましくない。該リン化合物の添加量は10〜60ミリモル%の範囲にあることが更に好ましい。
【0030】
本発明に用いるポリエステル成分A及びBの製造方法については特に限定はなく、テレフタル酸をグリコール成分と直接エステル化せしめた後、重合せしめる方法、テレフタル酸のエステル形成性誘導体をグリコール成分とエステル交換反応せしめた後、重合せしめる方法のいずれを採用しても良い。
【0031】
しかしながら、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を原料とし、エステル交換反応を経由する製造方法とすることが好ましい。該方法は、テレフタル酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。
【0032】
また、ジメチルテレフタレートを原料物質とする製造方法では、チタン化合物の添加量を低減できる、チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好ましい。
【0033】
尚、該エステル交換反応は常圧反応で実施しても、0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施してもよい。
【0034】
また本発明に用いられるポリエステル成分Bにはエステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物を使用しても良い。該カルシウム化合物、マグネシウム化合物としては酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましく使用され、これらは単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0035】
本発明に用いられるポリエステルA及びBには、必要に応じて少量の添加剤、例えば滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、固相重合促進剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等を含んでいてもよく、特に艶消剤として酸化チタンなどは好ましく添加される。
【0036】
【実施例】
以下、本発明をさらに下記実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により何等限定を受けるものではない。尚、実施例中の各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)固有粘度
35℃オルソクロロフェノール溶液にて、常法に従って35℃において測定した粘度の値から求めた。
【0037】
(2)ジエチレングリコール及びジプロピレングリコール量
抱水ヒドラジンを用いてサンプルを分解し、分解物をガスクロマトグラフィー(HEWLETT PACKARD社製、HP6890 Series GC System)を用いてジエチレングリコール及びジプロピレングリコール量を定量し、測定したポリマーの重量を基準とした時の重量百分率を求めた。
【0038】
(3)環状トリマー及びダイマー含有量
Waters社製486型液体クロマトグラフにWaters社製GPCカラム TSKgel G2000H8を2本接続した装置を用い、展開溶剤としてクロロホルムを使用し、サンプル1mgをヘキサフルオロイソプロパノール1mlに溶解してクロロホルムで10mlに希釈したサンプルを注入して、標準の環状トリマー及びダイマーの検量線からポリマー中の重量百分率を求めた。
【0039】
(4)色調(カラーL値及びカラーb値)
ポリマーチップを130℃、1時間乾燥結晶化処理後、日本電色社製Z−1001DP速色色差計を用いて測定した。L値は明度を示し、その数値が大きいほど明度が高いことを示し、b値はその値が大きいほど黄色味の度合いが大きいことを示す。
【0040】
(5)チタン、アンチモン、ゲルマニウム含有量
サンプルをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行った。この抽出液について日立製作所製Z−8100形原子吸光光度計を用いて定量を行った。
【0041】
(6)リン含有量
サンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。
【0042】
(7)捲縮率(TC2)
試料繊維に44.15×10−3cN/dtex(50mg/de)の張力をかけて約3333dtex(3000de)となる迄巻き、カセを作成する。カセ作成後、176.6×10−3cN/dtex(200mg/de)相当の荷重を負荷し、1分経過後の長さL0(cm)を測定する。L0測定後、176.6×10−3cN/dtex(200mg/de)相当荷重を除去し、1.77×10−3cN/dtex(2mg/de)相当の荷重を負荷した状態で100℃沸水中で20分間処理する。沸水処理後、直ちに全荷重を除去し、24時間フリー状態で40℃以下で自然乾燥する。自然乾燥後のカセに再び1.77×10−3cN/dtex(200mg/de)相当の荷重を負荷し1分間経過後の長さL1(cm)を測定する。L1測定後直ちに176.6×10−3cN/dtex(200mg/de)相当荷重を除去し、1分経過後の長さL2(cm)を測定し、下記算出式により捲縮率(TC2)を算出した。
TC2(%)=(L1−L2)/L0×100
【0043】
(8)10%伸長弾性回復率(ER10)
試料繊維を10ターンしたカセ(長さ30cm)を作成し、1.77×10−3cN/dtex(2mg/de)の荷重を負荷した状態で100℃沸水中で20分間処理する。沸水処理後、直ちに荷重除去し、24時間後フリー状態で40℃以下の温度で自然乾燥した。次いで88.3×10−3cN/dtex(100mg/de)の荷重をかけてコイル状捲縮を伸びきった状態とし、島津製作所引張り試験機テンシロンにて、初期サンプル長200mm、試験速度200mm/minで10%伸長後、直ちに同速度で回復させて伸長回復曲線をとる。回復時初荷重と同じになったときのサンプル長をL10(mm)とし、下記式で10%伸長回復率を計算した。
10%伸長弾性回復率(%)=(1−(200−L10)/200)×100
【0044】
(9)製糸性
5日間紡糸運転中の製糸安定性の目安として、断糸回数を以下のように定める。
○:1回以下
△:2〜10回
×:11回
【0045】
(10)毛羽(個/10m)
パッケージ巻き(あるいはパーン巻き)としたポリエステル複合繊維250個を、毛羽検出装置付きの整経機に掛けて、400m/minの速度で、42時間整経引き取りした。整経機が停止するごとに、目視で毛羽の有無を確認し、確認された毛羽の全個数を繊維糸条長10m当たりに換算し、毛羽数とした。
○:0.3ヶ/10m未満
△:0.3ヶ/10m以上1.0ヶ/10m未満
×:1.0ヶ/10m以上
【0046】
ポリエステル成分A1の製造
テレフタル酸ジメチル100部とトリメチレングリコール70.5部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.0526部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、220℃まで昇温してエステル交換反応を行った。
【0047】
次いで、得られた反応生成物に酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリーを1.6部添加後、撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、220℃から265℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.65となる時点で重合反応を打ち切った。
【0048】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。
【0049】
得られたチップは、120℃で4時間予備結晶化後、タンブラー型固相重合装置に仕込み、窒素雰囲気下中、200℃に昇温させた後、70Paの高真空下で固相重合反応せしめて、固有粘度0.93のポリエステルチップを得た。結果を表1に示す。
【0050】
ポリエステル成分A2の製造
エステル交換反応終了時にトリエチルホスホノアセテート0.0693部を添加し、エステル交換反応を終了させたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0051】
ポリエステル成分A3の製造
固相重合時間を延長させて固有粘度を1.70まで上昇させたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
ポリエステル成分A4の製造
固相重合を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0052】
ポリエステル成分B1の製造
テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール70部との混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なステンレス製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、トリエチルホスホノアセテート0.023部、テラゾールブルー0.00005部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0053】
次いで、得られた反応生成物に酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリーを1.5部添加後、撹拌機及びグリコール留出コンデンサーを設けた別の反応器に移し、240℃から285℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.43となる時点で重合反応を打ち切った。
【0054】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。結果を表1に示す。
【0055】
ポリエステル成分B2の製造
ポリエステル成分B1の製造において、チタン化合物として、下記方法にて合成したトリメリット酸チタン0.016部に変更したこと以外は同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0056】
(トリメリット酸チタンの合成方法)
無水トリメリット酸のエチレングリコール溶液(0.2%)にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対して1/2モル添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応させた。その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物を濾紙で濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の触媒を得た。
【0057】
ポリエステル成分B3の製造
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.044重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0058】
次いで、得られた反応生成物に上記参考例の方法にて合成したトリメリット酸チタン0.016部、トリエチルホスホノアセテート0.023部、テラゾールブルー0.00005部、酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリー1.5部を添加後、撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、240℃から285℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.43となる時点で重合反応を打ち切った。
【0059】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。結果を表1に示す。
【0060】
ポリエステル成分B4の製造
固有粘度が0.25の時点で重合反応を終了させたこと以外は実施例3と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0061】
ポリエステル成分B5の製造
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール70重量部との混合物に、酢酸カルシウム一水和物0.064重量部を撹拌機、精留塔及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、140℃から240℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを系外に留出させながら、エステル交換反応を行った。その後、56重量%濃度のリン酸水溶液0.072重量部を添加し、エステル交換反応を終了させた。
【0062】
次いで得られた反応生成物に、三酸化二アンチモン0.045部、酸化チタン20重量%のエチレングリコールスラリー1.5部を添加後、撹拌装置、窒素導入口、減圧口、蒸留装置を備えた反応容器に移し、240℃から285℃に徐々に昇温すると共に、70Pa以下の高真空に圧力を下げながら重合反応を行った。反応系の溶融粘度をトレースしつつ、固有粘度が0.43となる時点で重合反応を打ち切った。
【0063】
溶融ポリマーを反応器底部よりストランド状に冷却水中に押し出し、ストランドカッターを用いて切断してチップ化した。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 2004285499
【0065】
[実施例1〜5、比較例1〜4]
表1に記載の固有粘度およびポリマー物性からなるポリエステル成分A1〜A4、B1〜B5のポリマーを用いて、図1に記載の吐出後合流型口金(L:吐出孔間距離0.08)を用いて、紡糸温度260℃にて、紡糸速度2600m/minで巻取り、88dtex/36fの未延伸糸を得た。さらに、延伸ローラー温度60℃、延伸倍率1.65倍、スリットヒーター温度170℃にてセットし、パーン形状に巻き取った。
【0066】
実施例1については、ポリエステルA,Bの固有粘度差(ΔIV)が本発明の範囲内であり、かつ両ポリマーに触媒として含まれるテトラ−n−ブトキシチタンの昇華性が本紡糸温度では著しく小さいために、製糸安定性に優れるとともに、得られた延伸糸のストレッチ特性も満足な値である。
【0067】
実施例2については、ポリエステルBに含まれる触媒がトリメリット酸チタン以外は実施例1と同条件で実施した結果、製糸性およびストレッチ特性は、本発明を満足するものであった。
【0068】
実施例3については、エステル交換触媒と重合触媒の異なる組み合わせで重合したポリエステルB3を使用した。本実施例においても、触媒組成およびポリマー粘度差を満足しており、製糸性は良好かつ得られた延伸糸のストレッチ性は良好であった。
【0069】
実施例4、5においては、実施例1、2におけるポリエステルAをA1のポリエステルから、トリメリット酸チタンを触媒とするA2に変更したものであり、製糸性は極めて良好であった。
【0070】
比較例1および2は、各々ポリエステルAを固相重合により高IV化したもの、および低IV品を用いた。比較例1の高IV差の組み合わせにおいては、粘度差が大きすぎて、紡糸口金面でのポリマー複合流のニーイング現象が頻発して、安定な製糸性が得られなかった。一方、比較例2では、ポリエステルBの粘度が小さいために、捲縮発現の元となる収縮差が小さく、十分な捲縮性能が得られなかった。
【0071】
比較例3については、ポリエステルA,Bの粘度差は本発明の範囲内であるが、ポリエステルAのIVが0.25と非常に低いため、単独ポリマー自身の曵糸性(繊維形成性)が劣るために、紡糸調子は極めて不良であった。
【0072】
比較例4については、ポリエステルBが昇華性の高いアンチモン触媒を使用していることから、吐出孔周囲への昇華触媒の堆積が核となり、オリゴマーの付着を促進して、5日運転終了以前に、吐出孔周囲にいわゆるつらら状に異物の生成確認された。従って、安定な製糸性は得られず、断糸が頻発した。
【0073】
[実施例6]
実施例6は、実施例1と同様のポリマー組み合わせからなり、一旦ローラー温度80℃の第一予熱ローラーで速度2600m/minで引取り、ローラー上に6ターンさせて予熱した後、続いて4500m/minかつ150℃の第二熱セットローラー上で同じく6ターンしてセットする。その後、第3冷却ローラーで同様に4500m/minで糸温度を両ポリマーのガラス転移温度以下(40℃)に冷却した後、巻取り張力0.07g/deの張力で高速ワインダーで巻き取った。紡糸性・巻取り性および得られた糸の捲縮特性は、良好であった。
【0074】
【表2】
Figure 2004285499
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、ストレッチ性、風合いに優れ、毛羽が少ないポリエステル系複合繊維を提供することができる。このため、本発明の複合繊維からは高品質の布帛を得ることができ、高級衣料用途などにも応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた合流型口金の吐出孔横断面の概略図である。
【符号の説明】
L 吐出孔間距離

Claims (5)

  1. 固有粘度が0.8〜1.5である、トリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Aと、固有粘度が0.3〜0.7である、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分Bとを、A:B=30:70〜70:30の重量比率で、サイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に貼り合せてなる複合繊維であって、複合繊維中に含有されるアンチモン及びゲルマニウム金属元素量が20ppm以下であることを特徴とする、ポリエステル系複合繊維。
  2. ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの固有粘度の差が0.3〜1.0である、請求項1記載のポリエステル系複合繊維。
  3. 1.77×10−3cN/dtexの負荷時の沸水下での捲縮発現率が30〜55%、10%伸長弾性回復率が60%以上である、請求項1または2記載のポリエステル系複合繊維。
  4. ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bが、実質的にチタン化合物を重合触媒として重合されたポリエステルであり、複合繊維中に含有される、ポリエステルに可溶なチタン金属元素量が20〜200ppmである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系複合繊維。
  5. ポリエステル成分B、又は、ポリエステル成分Aとポリエステル成分Bの両方が、下記一般式(I)で表されるリン化合物、及び下記一般式(I)で表されるリン化合物と下記一般式(II)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含むチタン化合物成分と、リン元素換算で5〜80ミリモル%の下記一般式(III)で表されるリン化合物とを含む触媒の存在下で重縮合されたポリエステルである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系複合繊維。
    Figure 2004285499
    Figure 2004285499
    Figure 2004285499
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