JP5581999B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
脂環族成分を含有するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)などの芳香族ポリエステルとは異なった光学特性、結晶化特性、機械特性を有しており、該ポリエステル単独、または芳香族ポリエステルと組み合わせて使用される。
特許文献6〜8にはエステル化法による脂環族成分を含むポリエステルのゲル化や分子量分布の増大を抑制する方法として、特定酸価値以下のエステル化反応終了後に環状アセタール骨格を有するスピログリコールを添加することが開示されている。しかし、該エステル化法でのポリエステルの製造方法では、エステル化反応後のカルボキシル基や水分によってスピログリコールが開環し、架橋構造を形成するため、ゲル化抑制が不十分である。また、該製造方法ではスピログリコールを粉体のまま添加しており、反応缶の缶壁および撹拌軸に飛散したスピログリコールが開環し、開環したスピログリコールが反応することにより、架橋構造を形成するため、ゲル化抑制が不十分である。
特許文献9では、共重合ポリエステル製造工程において、エステル交換反応時の温度、圧力を規定し、脂環族成分であるスピログリコールの昇華を抑制し、減圧部の配管等を閉塞することなく、安定的にポリエステル樹脂を製造する方法を開示されている。しかし、該反応工程では触媒起因の残酸基や水分によりスピログリコールの開環が十分に抑制できず、生産安定性、熱安定性が十分満足するものではない。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
アルカリ化合物(A)の添加量:35〜150ppm(対ポリエステル)・・・(3)
5価のリン化合物(B)のリン元素量:80〜120ppm(対ポリエステル)・・・(4)
チタン化合物(C)のチタン元素量:1〜50ppm(対ポリエステル)・・・(5)
によって達成される。
また、本発明により得られたポリエステルは、液晶ディスプレイに好適な低光弾性係数を有し、光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
アルカリ化合物(A)の添加量:35〜150ppm(対ポリエステル)・・・(3)
5価のリン化合物(B)のリン元素量:80〜120ppm(対ポリエステル)・・・(4)
チタン化合物(C)のチタン元素量:1〜50ppm(対ポリエステル)・・・(5)
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、Tgが65〜90℃であることが必要である。Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するためポリエステルまたはその成形体の光学特性が経時変化しやすく、またPET等と積層して製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために積層ムラ等が発生し、製膜安定性が損なわれる。一方、Tgが90℃を超える場合にも前記同様に、PET等と積層する際にTg差が大きくなるため、積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれ、また、ポリエステルフィルムの屈折率を低くすることが困難となる。さらに、PETと積層した際にTg差が大きくなるとPETとの密着性に劣り層間剥離が発生する傾向にある。
アルカリ化合物(A)の添加量は、脂環族ジオール開環反応の抑制効果およびポリエステルの物性への影響の観点からポリエステルに対して35〜150ppmであることが必要である。好ましくは45〜100ppmである。35ppm未満の場合は酸の影響を十分緩和できず、脂環族ジオールが開環し、架橋構造の形成、ゲル化物の発生に繋がる。また、150ppmを超える場合は、重縮合時間が延長し、熱分解によるポリマーの劣化や生産性の低下が生じる。また、リン化合物と塩を形成し、粒子となることにより、フィルムにした際に欠点となる。
本発明に用いるアルカリ化合物(A)としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属元素としてカリウム、ナトリウムおよびリチウムを挙げることができ、その水酸化物、酢酸塩およびリン酸塩が好ましい。ただし、ナトリウム、リチウム化合物はポリエステルを着色し易い傾向にあり、また、リン酸塩はポリエステルを若干濁化させる傾向にあるためカリウムの水酸化物が好適である。
前記した5価リン化合物(B)としては、例えば、リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等のホスホン酸系、次亜リン酸、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、イソプロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、トリルホスフィン酸等のホスフィン酸系、トリメチルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系が挙げられ、これらのいずれか1種または2種であることが好ましい。特に熱安定性及び色調改善の観点から、リン酸系及び/またはホスホン酸系であることが好ましい。中でも、ジエチルホスホノ酢酸エチルが好ましい。また、3価のリン化合物は高温下に晒されることにより分解し、熱安定剤としての効果が不十分である。さらに、分解した昇華物が配管の詰まり等を生じさせるといった欠点がある。
前記したチタン化合物(C)ついては、特に限定されないが、チタン化合物(C)が、チタンアルコキシドまたは多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることが好ましい。
チタンアルコキシドとしては、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基を有したチタン化合物(C)挙げることができる。特に、テトラブトキシドが好ましい。
また、チタン化合物(C)のキレート剤である多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。特に、ヒドロキシカルボン酸の乳酸、クエン酸をキレート剤とするチタン錯体が好ましい。これらのチタン化合物(C)は、単独で用いても併用して用いてもよい。
本発明における脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルやデカリンジカルボン酸ジメチル等を挙げることができる。特に、入手の容易性や反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが好ましい。なお、シクロヘキサンジカルボン酸アルキルエステルなどの脂環族ジカルボン酸には立体異性体として、シス体、トランス体が存在するが、本発明ではトランス体比率が40%以下であることが好ましい。トランス体比率が高いとTg、屈折率が大きくなる傾向にある。また、トランス体は、シス体に比べ融点が高いため、トランス体比率が高くなると反応性に劣る傾向となる。さらに、室温保管または輸送中等に容易に凝固し沈降してしまい、取り扱い上においても作業性が悪くなる。よって、トランス体比率は、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下である。
また、本発明のポリエステルの製造方法における、エステル交換反応触媒としてアルカリ土類金属、Zn、CoおよびMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属化合物を金属元素として得られるポリエステルに対して30〜300ppm添加することが好ましい。金属化合物は、ポリエステルに可溶なものが好ましく、特に公知の酢酸塩が好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法は、脂環族ジオールが、酸成分下、酸性下や水分含有下において加熱すると開環が促進しやすく官能基が増加する傾向となり、ポリエステルの架橋構造の形成、ゲル化物の発生に繋がることから、脂環族ジオールを共重合するに際し、脂環族ジカルボン酸アルキルエステルを含むジカルボン酸アルキルエステル成分およびアルカリ化合物(A)の存在下でスラリー状態とした脂環族ジオールを含むジオール成分をエステル交換反応缶に仕込み、反応温度が210〜225℃で、90〜150分保持する工程を含み、225℃以下でエステル交換反応を行い、得られた低重合体に、5価のリン化合物(B)を添加し、次いでチタン化合物(C)を添加した後、エステル交換反応缶から重縮合反応缶へ移行し、低重合体を重縮合反応する方法を用いる。
このようなポリエステルの製造方法により、本発明のポリエステルを得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重縮合反応条件はこれに限定されるわけではない。
本発明のポリエステルは、非晶性であることが好ましく、また前記した共重合範囲では実質的に非晶性である。本発明における非晶性とは、DSC測定において結晶融解熱量が4J/g以下であることをいう。このような非晶性のポリエステルはフィルム製造において光学特性が変化しにくく、好ましい。
本発明のポリエステルは、屈折率がPETよりも低く、非晶性であるためにフィルムを延伸しても屈折率はほとんど変化しない。そのため、本発明のポリエステル層とPET層との界面で光を効率良く反射するのである。
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でTgを測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
ポリエステルを溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで、光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
ポリエステルをオルト−クロロフェノール(以下、OCP)の溶媒に溶解し、25℃で測定した。
ポリエステルを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状にして50℃にて2時間真空乾燥する。この試料0.5gを配管蓋付ステンレス製容器に入れ、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料含有容器に酸素濃度1%の混合気体を配管より通し十分に置換された後に該容器を280℃のオイルバスに浸し、2.5時間熱処理する。これを、50mLのOCP中、160℃の温度で40分間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(重量%)とした。吐出安定性、多層積層フィルムの厚みムラ抑制の点から、ゲル化率は10.0重量%以下であることが好ましい。
試料をメタノールで5〜6倍に希釈し、その希釈溶液を0.4μLを液体クロマトグラフィーで下記条件にて測定した。
装置:島津製LC−10ADvp
カラム:キャピラリーカラム Agilent Technologies社製DB−17(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:初期温度110℃、初期時間25分、昇温速度6℃/min、最終温度200℃
(6)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)
Waters社製GPC装置を使用して、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いて、試料濃度は0.05重量%とした。カラムは、昭和電工製Shodex HFIP−806Mを2本使用し、検出器は示差屈折率検出器を用いて単分散ポリメチルメタクリレート標準試料により検量した。吐出安定性、多層積層フィルムの厚みムラ抑制の点から、Mw/Mnは4.0以下が好ましい。
堀場製作所製蛍光X線装置(型番MESA−500W)を用い、ポリマーの蛍光X線の強度を測定した。この値を含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、金属含有量に換算した。
以下に触媒の合成方法を記す。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を減圧下で蒸留・留去した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その溶液を撹拌しながら水酸化ナトリウム(以下、NaOH)の32重量%水溶液380gを滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、8.1モル)(以下、EG)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(チタン含有量3.85重量%)を得た。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からEG(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応混合物を15分間撹拌し、その反応フラスコに乳酸アンモニウムの85重量%水溶液252gを加え、透明な淡黄色の生成物(チタン含有量6.54重量%)を得た。
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284g、1.0モル)に滴下漏斗からEG(496g、8.0モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節した。その反応フラスコに、NaOHの32重量%水溶液125gを滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体(チタン含有量5.2重量%)を得た。
(ポリエステルの合成)
アルカリ化合物として水酸化カリウム(含有量85%以上)(以下、KOH)をポリマーに対して50ppmとなるようにEG24.3重量部に添加、撹拌し、スピログリコール(以下、SPG)19.9重量部を30分かけて添加して、アルカリ化合物を含有するSPGスラリーを得た。スラリー調製槽は、ジャケットを冷水で冷却しており、30℃であった。
テレフタル酸ジメチル(以下、DMT)67.6重量部、シス/トランス体比率が75/25であるシクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、CHDC)17.4重量部、EG52.0重量部をエステル交換反応缶に仕込み、反応缶内温度170℃で上記SPGスラリーを反応缶に仕込んだ。
エステル交換反応触媒として酢酸マンガン・四水和物(含有量99%以上)(以下、酢酸Mn)0.06重量部/EG1.5重量部のEG溶液を添加し、内容物を150℃で溶解させて撹拌した(触媒および添加剤のEGを含めジオール成分は全ジカルボン酸成分に対するモル比が2.0倍)。撹拌しながら反応内容物の温度を215℃まで4時間かけてゆっくり昇温しながらメタノール(以下、MA)を留出させた。特にエステル交換反応後半で、215℃で120分保持し、所定量のMAを留出させ、エステル交換反応を終了し低重合体を得た。その後、5価のリン化合物(B)として、ジエチルホスホノ酢酸エチル(含有率97%以上)(以下、TEPA)をリン元素のポリマー残存量として100ppmとなるように添加した。TEPAを添加した後、余剰なEGを30分間撹拌しながら留出させた。その後、チタン化合物(C)として、チタン触媒Aをチタン元素として30ppm(EG溶液)添加した後、余剰なEGを撹拌しながら10分間留出させ、低重合体を得た。
その後、該低重合体を重縮合反応缶に移行した。次いで、重縮合反応缶内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、EGを留出させながら重縮合反応を行った。なお、減圧速度は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温速度は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。重縮合反応の間に減圧回路の詰まりに起因した真空度不良は無く、重縮合反応時間は240分で撹拌トルクが所定の値に達し重縮合反応缶を窒素ガスで常圧へ戻し、また撹拌翼を停止し、重縮合反応缶下部のバルブを開けてガット状のポリエステルを水槽へ吐出し、次いでカッターでチップ化した。得られたポリエステルの特性などを表1〜3に示す。なお、重縮合反応缶の減圧回路への飛沫付着物は観察されなかった。また、吐出性の不良は認められなかった。さらに、固有粘度0.72、Tg78℃、屈折率1.552、ゲル化率2.0重量%、Mw/Mn3.0であった。
DMT、CHDC、EG、SPGの量比を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例2は、CHDC、SPGが少ないため、ゲル化率、Mw/Mnは良化した。屈折率が若干高くなったものの良好なレベルであった。実施例3は、CHDC、SPGの量が多いため、屈折率が下がり、Tgが上がったが問題ないレベルであった。また、SPGの量が多いため、架橋成分が増え、ゲル化率、Mw/Mnが若干高くなったものの使用できるレベルであった。実施例4はCHDCの割合がSPG対比多いため、Tgが下がったが問題ないレベルであった。また、SPGの量が多いため、架橋成分が増え、ゲル化率、Mw/Mnが若干高くなったものの良好レベルであった。
CHDCのシス、トランス体の比率を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。トランス体の比が増加するにつれ、Tg、屈折率は、高くなったものの良好なレベルであった。
脂環族ジカルボン酸の種類を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。Tgは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
脂環族ジオールの種類を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。Tg、屈折率、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
エステル交換反応温度、保持時間を変更した以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例9、10は、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。実施例11は、ゲル化率、Mw/Mnが、若干良化した。
実施例12、13
重縮合反応触媒として使用しているチタン化合物の種類を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。いずれも、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
重縮合反応触媒として使用しているチタン化合物の量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例14は、重縮合時間が延長し、実施例15は重縮合時間が短縮した。いずれも、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
5価のリン化合物の種類を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例16は、TEPAをリン酸トリメチル(TMPA)に変更したが実施例1と同様に特性は良好であった。実施例17は、酸性の強いリン酸に変更したため、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの使用できるレベルであった。
5価のリン化合物の量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例18は、重縮合時間が短縮し、実施例19は重縮合時間が延長した。いずれも、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
アルカリ化合物の種類を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。いずれも、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの良好なレベルであった。
KOHの量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。実施例22は、KOHの量が少ないため、SPGが若干開環し、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの使用できるレベルであった。実施例23は、重縮合時間が延びたもののゲル化率、Mw/Mnは良好なレベルであった。
SPGのスラリーを調製時に、ジャケットの冷却を停止して、スラリー温度を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表1〜3に示す。スラリー温度が高いほど、SPGが若干開環し、ゲル化率、Mw/Mnは、若干高くなったものの使用できるレベルであった。
SPGをスラリー添加ではなく、粉体添加として、アルカリ化合物も、スラリー添加からエステル交換反応触媒である酢酸マンガン・四水和物と同時にエステル交換反応缶に添加した以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。粉体のSPGが缶壁等に付着し、熱で開環したため、太細ストランドが若干発生し、吐出不良が発生した。また、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
エステル交換反応温度、保持時間を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。比較例2は、エステル交換反応温度を235℃で保持時間50分としたが、高温下でSPGが開環し、架橋構造を形成したため、重縮合時間が短く、吐出不良が発生し、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。また、比較例3では、エステル交換反応温度を215℃で保持時間60分としたが、保持時間が短いため、未反応SPGモノマーが多く残り、重縮合反応中に開環し、太細ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。また、SPGモノマーが真空ラインに飛沫したと考えられ、結果として、真空度不良が発生した。得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。さらに、比較例4では、エステル交換反応温度を200℃で保持時間200分としたが、温度が低く、保持時間200分ではエステル交換反応が不十分であり、未反応SPGモノマーが多く残り、重縮合反応中に開環し、太細ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。また、SPGモノマーが真空ラインに飛沫したと考えられ、結果として、真空度不良が発生した。得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
KOHの量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。比較例5は、KOHの量を30ppmとしたが、SPGの開環反応抑制効果が不十分であり、重縮合時間が短く、吐出不良が発生し、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。比較例6は、KOHの量を180ppmとしたが、重縮合時間が延長し、熱分解によるポリマー劣化し、架橋反応が促進したと考えられ、結果として、太細ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。また、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
KOHを、SPGスラリーでは無く、エステル交換反応触媒の酢酸マンガン・四水和物と同時にエステル交換反応缶に添加し、SPGスラリー調製の際に、ジャケットの冷却を停止して、スラリー温度を30℃から80℃に変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。SPGスラリー調製の際に、KOHが共存しないため、高温下、SPGが開環し、重縮合時間が短く、吐出不良が発生し、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
重縮合反応触媒をチタン化合物から、三酸化アンチモン(以下、Sb2O3)に変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。酸性の強いSb2O3を用いることにより、SPGが開環し、重縮合時間が短く、吐出不良が発生し、得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
重縮合反応触媒のチタン化合物の量をチタン元素として0.5ppmと変更する以外は、実施例1と同様にしたが、目標の固有粘度に到達せず、ポリマーを得ることができなかった。結果を表4〜6に示す。
重縮合触媒のチタン化合物の量をチタン元素として70ppmと変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。チタン化合物量が多いことにより、反応活性が高くSPGが開環し、太ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
5価のリン化合物から3価のリン化合物(PEP36:旭電化工業製)に変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。得られたポリマーのゲル化率、Mw/Mnは使用できるレベルであったものの、PEP36が分解し、分解物が重縮合反応の真空ラインを閉塞して、真空不良が発生、著しく重縮合時間が延長し、目標とする固有粘度のポリマーを得ることができなかった。
5価のリン化合物の量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。比較例12は、5価のリン化合物の量が少ないため、チタン化合物の活性が高くSPGが開環し、太ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。比較例13は、5価のリン化合物の量が多いため、重縮合時間が遅延し、高温下、長時間晒されることで、SPGが開環し、太ストランドが若干発生し吐出不良が発生した。得られたポリマーもゲル化率、Mw/Mnが高いものであった。
脂環族ジカルボン酸の添加をせず、脂環族ジオールの量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。脂環族ジカルボン酸を添加していないため、TgがPETより高くなり、PETとの多層積層フィルムへ使用できるものではなかった。
脂環族ジオールの添加をせず、脂環族ジカルボン酸の量を変更する以外は、実施例1と同様にポリエステルを得た。結果を表4〜6に示す。脂環族ジオールを添加していないため、TgがPETより低くなり、PETとの多層積層フィルムへ使用できるものではなかった。
Claims (7)
- 脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸成分および脂環族ジオールを含むジオール成分とをエステル交換反応し、次いで重縮合反応して、下記(1)〜(5)の特性を満足するポリエステルを製造するに際し、脂環族ジオールをアルカリ化合物(A)の存在下で仕込温度が80℃以下のスラリー状態とした後、反応缶に仕込み、反応温度が210〜225℃で、90〜150分保持する工程を含み、225℃以下でエステル交換反応を行い、その後、5価のリン化合物(B)、および重縮合反応触媒としてチタン化合物(C)を順次添加し、次いで重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法。
示差走査熱量測定によるガラス転移点温度:65〜90℃・・・(1)
ナトリウムD線での屈折率:1.500〜1.570・・・(2)
アルカリ化合物(A)の添加量:35〜150ppm(対ポリエステル)・・・(3)
5価のリン化合物(B)のリン元素量:80〜120ppm(対ポリエステル)・・・(4)
チタン化合物(C)のチタン元素量:1〜50ppm(対ポリエステル)・・・(5) - 脂環族ジカルボン酸がシクロヘキサンジカルボン酸ジメチルであって、全ジカルボン酸成分の5〜80モル%であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
- シクロへキサンジカルボン酸ジメチルが立体異性体のシス、トランス体を含有し、トランス体の含有量が40%以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステルの製造方法。
- 脂環族ジオールがスピログリコールであり、全ジオール成分中5〜80モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- 5価のリン化合物(B)がジエチルホスホノ酢酸エチルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- チタン化合物(C)がチタンアルコキシドまたはヒドロキシカルボン酸をキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステル繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換算して4.8モル以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
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