JP2023091962A - ポリエステル樹脂組成物とそれからなるフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物とそれからなるフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が小さく、耐熱分解特性に優れた共重合ポリエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物。60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)【選択図】なし

Description

本発明は特定の共重合組成を有するポリエステル樹脂組成物とそれからなるフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。
屈折率の異なるポリマーを交互に積層したフィルムは、特定の波長の光を効率良く反射させることができ、光フィルタや反射体として利用されている。該フィルムは少なくとも2種のポリマーから構成されるが、特に屈折率が低い層に用いられるポリマーは、屈折率の調整や層間密着性の観点から共重合ポリエステル樹脂組成物が使用されている。しかしながら従来の共重合ポリエステル樹脂組成物は耐熱分解性が低く、フィルムを製造する際の溶融押出時に異物を発生させ、フィルム欠点となる課題があった。
これに対し特許文献1および2では機械物性、黄色度に優れたポリエステル樹脂組成物や非晶性、透明性、耐熱分解性が揃ったポリエステル樹脂組成物が提案されているが、本用途において十分な耐熱分解性は達成できない。
続いて、特許文献3では低屈折率など光学特性に優れ、チタン触媒を使用してゲル発生を抑制したポリエステル樹脂組成物が示されているが、フィルム製品の高品位化が必要な現在においては耐熱分解性が十分ではない。
特許第4720229号 特許第4438968号 特許第5140968号
本発明の目的は、上記した従来の課題を解消せしめ、特に透明性、耐熱分解性に優れたポリエステル樹脂組成物とそのフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
前記した課題を解決するため、本発明は以下の特徴を有するものである。
(1)ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物。
60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)

(2)ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、芳香族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分をエステル化反応してポリエステルオリゴマーを得た後、重縮合反応開始までの間に酢酸金属塩と脂肪族ジオール成分を添加し、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下とした状態でアセタール環を有するジオール成分を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)
(3)(1)に記載のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物とを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。
本発明によれば、透明性、耐熱分解性に優れたポリエステル樹脂組成物とそのフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することができる。また、本発明のポリエステル樹脂組成物を二軸延伸することにより液晶ディスプレイなどの光学反射板用途に適用することができ、特に、屈折率を制御した多層積層フィルムとすることにより全光線反射フィルム、熱線反射フィルムなどを提供することができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、結晶特性、熱特性、透明性や屈折率制御の観点から、構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有することが必要である。ポリエチレンテレフタレートからなる樹脂組成物は高い結晶性を持ち、フィルム延伸によって配向することで屈折率が高まる。一方、このようなポリエステルに対し、共重合成分として一部を脂環族ジカルボン酸由来の基やアセタール環を有するジオール由来の基に置換することによって、前記ポリエステル樹脂との層間密着性を損なわずに屈折率を必要な範囲に設定することができる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たす必要がある。
60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)
本発明のようにアセタール環を有するジオール由来の基を含むポリエステル樹脂組成物は、溶融成形過程などの加熱溶融によって熱分解が起こることがあり、COOH末端基が高くなる傾向にある。本発明では熱分解の度合いを比較するため、窒素雰囲気下での300℃
熱処理におけるポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基増加量を式(i)の通り算出している。このCOOH末端基増加量の数値が30当量/tonを超える場合、熱分解による分子鎖切断が発生していることが示唆され、機械特性や光学特性の悪化、またゲル化によるフィルム欠点の発生などが起こる。これに対し本発明では、熱分解しやすい、アセタール環を有するジオールの添加タイミングを適切にすることや、反応に用いる触媒に適切なものを用いることで式(i)から算出されるCOOH末端基増加量が30当量/ton以下となるポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
本発明における芳香族ジカルボン酸由来の基は、芳香族ジカルボン酸やそのエステル形成性誘導体のことであり、例えばテレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6-ナフタレンジカルボン酸成分、5-スルホイソフタル酸ナトリウム成分などを挙げることができ、耐熱分解性の点からテレフタル酸成分、2,6-ナフタレンジカルボン酸成分であることが好ましい。また、これらは1種だけでなく2種以上併用することも可能である。
本発明における脂環族ジカルボン酸由来の基は、脂環族ジカルボン酸やそのエステル形成性誘導体のことであり、得られるポリエステル樹脂組成物の光学特性の点から1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分であることが好ましく、全ジカルボン酸成分に対して20mol%以上50mol%以下含有することが好ましい。また、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸成分は、一般にシス体、トランス体の混合物であるが、トランス体の比率が40%以下であることが好ましい。トランス体は、得られたポリエステル組成物の結晶性に影響しやすく、トランス体比率は、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下である。またその他の脂環族カルボン成分として、発明の効果を妨げない範囲でデカリンジカルボン酸成分を適用することもでき、これらは1種だけでなく2種を併用してもよい。
本発明における脂肪族ジオール由来の基は、エチレングリコール成分、プロパンジオール成分、ブタンジオール成分、ネオペンチルグリコール成分などが挙げられ、耐熱分解性の点からエチレングリコール成分であることが好ましい。
本発明におけるアセタール環を有するジオール由来の基は、耐熱分解性、色調の観点からスピログリコール成分であることが好ましい。ここでスピログリコールとは3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。スピログリコールの含有量としてはガラス転移温度や屈折率の観点から、全ジオール成分に対して10mol%以上30mol%以下であることが好ましい。また、発明の効果を妨げない範囲で、その他のアセタール環を有するジオール成分を適用することもでき、これらは1種だけでなく2種以上を併用してもよい。
本発明では、ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物の製造方法として、芳香族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分をエステル化反応してポリエステルオリゴマーを得た後、重縮合反応開始までの間に酢酸金属塩と脂肪族ジオール成分を添加し、耐熱分解性の観点からポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下とした状態でアセタール環を有するジオール成分を添加する必要がある。なお、添加する酢酸金属塩の種類としては、例えばアルカリ金属の酢酸金属塩である酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、また酢酸マグネシウム、酢酸マンガンなどを用いることが好ましく、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げることや得られるポリエステル樹脂組成物の透明性の観点から酢酸マグネシウムや酢酸マンガンであることが好ましい。また、これらは1種だけでなく2種以上を併用することも可能である。また、酢酸金属塩の添加量としては、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる観点から、得られるポリエステル樹脂組成物の重量に対し、金属原子として1.0mol/ton以上であることが好ましく、耐熱分解性の観点から20.0mol/ton以下であることが好ましい。
本発明のようにアセタール環を有するジオール由来の基を含むポリエステル樹脂組成物は、製造過程の加熱によって副反応を起こすことがあり、この副反応によりその後の溶融成型過程の加熱溶融によってポリエステルが分解してCOOH末端基が高くなる傾向にある。これに対し本発明では、芳香族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分のエステル化反応に続いて酢酸金属塩と脂肪族ジオール成分を添加して、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応を行い、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下としたタイミングでアセタール環を有するジオール成分を添加することで、アセタール環を有するジオールのエステル交換反応促進や加熱時間短縮、副反応抑制を行うことができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、エステル化反応後のポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下とするために、酢酸金属塩を添加する必要があるが、その酢酸金属塩に含まれる金属原子は、反応活性、耐熱分解性の観点からアルカリ金属、マグネシウム、マンガンから選択されることが好ましく、さらには透明性、ポリマー色調の観点からマンガン、マグネシウムであることが好ましい。また、これらは1種だけでなく2種以上併用することも可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量測定による中間点ガラス転移温度(Tg)が65℃以上90℃以下であることが好ましく、さらには70℃以上85℃以下であることが好ましい。Tgが65℃未満の場合、耐熱分解性の不足やPET等を積層する際のTg差が大きくなり、積層ムラ等が発生する。またTgが90℃を超える場合にも同様に、積層ムラ等が発生し易く、製膜安定性が損なわれることがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物の屈折率は、1.500以上1.570以下の範囲にあることが好ましく、さらには1.510以上1.560以下の範囲であることが好ましい。屈折率を1.510未満とすることはポリエステル樹脂の耐熱分解性が悪化しやすく、1.570を超える場合には、積層フィルムとした場合の高屈折率ポリマーとの屈折率差が小さくなり、得られる積層フィルムの光反射性が小さくなる。なお、本発明における屈折率は、23℃の条件にてナトリウムD線を用いて測定した屈折率を指す。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐熱分解性の観点からアルカリ金属原子の含有モル数をMa、マグネシウム原子の含有モル数をMb、マンガン原子の含有モル数をMcとしたときに、式(ii)M=(Ma/2+Mb+Mc)で表される金属原子含有モル数Mとリン原子含有モル数Pのモル比が、式(iii)M/P=0.3~4.5で表される関係を満たすことが好ましく、さらにはM/P=0.3~2.0の範囲であることが好ましい。式(iii)の数値が0.3を下回る場合、リン化合物が過剰となり反応不良となる可能性があり、4.5を超える場合、含有する金属化合物量が増え、耐熱分解性が悪化する可能性がある。なお、本発明におけるMは2価の金属化合物を基準としてM/Pで示されるモル比を規定するものであるため、価数が異なる金属化合物を用いる場合には、その価数を考慮して計算される。従って、例えば1価であるアルカリ金属化合物を使用した場合には、アルカリ金属化合物のモル数に0.5を乗じた値をMとしてM/Pが計算される。また、リン化合物については、2価で計算する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、重合反応触媒として従来公知の化合物を使用することができるが、耐熱分解性、重合反応性の点からチタン化合物を用いることが好ましい。また、チタン原子の含有量は得られる組成物との重量比として5ppm以上100ppm以下であることが好ましく、さらには8ppm以上90ppm以上であることが好ましい。チタン量が5ppm未満では、重合反応が十分に進行せず、長時間高温下に滞留することになってしまうため、耐熱分解性、色調が悪化し易い。一方、100ppmを超えると含有する金属量が増え、熱分解も促進するため耐熱分解性が悪化し易く、またポリマーへの着色も起こりやすくなる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、好適なチタン触媒としては、置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基の少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく用いられる。
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ-2-エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ-ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐熱分解性、着色防止の点からリン化合物を含有することが好ましい。また、リン原子の含有量は得られる組成物との重量比として70ppm以上300ppm以下であることが好ましく、さらには90ppm以上250ppm以下であることが好ましい。リン量が70ppm未満では耐熱分解性が不足してしまい、300ppmを超えると重合反応触媒が触媒活性を失い、重合反応が進行しにくくなる。
本発明におけるリン化合物としては、5価のリン化合物であることが、透明性の点から好ましい。例えばリン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、中でもこれらのエステル化合物が好ましく使用される。
具体的な5価のリン化合物には、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸系、リン酸トリフェニル、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2-カルボキシフェニルホスホン酸、3-カルボキシフェニルホスホン酸、4-カルボキシフェニルホスホン酸、2,3-ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4-ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5-ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6-ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4-ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5-ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4-トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5-トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6-トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5-トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6-トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸メチル等のホスホン酸系化合物が挙げられる。
また、本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、耐熱分解性の点からリン酸アルカリ金属塩を含有することができる。本発明におけるリン酸アルカリ金属塩とは、リン酸塩の正塩、水素塩の中でもアルカリ金属を含むリン化合物のことを指している。このような化合物として、例えばリン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸三リチウム、リン酸一水素二リチウム、リン酸二水素一リチウムなどが挙げられ、中でもリン酸二水素一ナトリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二カリウムが耐熱分解性の点から好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、耐熱分解性および透明性、ポリマーの色調の点からアルカリ金属原子の含有量が得られる組成物との重量比として10ppm以上300ppm以下であることが好ましく、さらには30ppm以上200ppm以下であることが好ましい。アルカリ金属含有量が10ppm未満では、本発明における耐熱分解性が不足する。一方、300ppmを超えると異物化およびポリマーへの着色が起こりやすくなる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、屈折率の異なるポリエステルと積層することで優れた光反射性を発揮するものである。本発明の積層ポリエステルフィルムは、優れた光反射性を得るために、本発明のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレートとを交互に積層することが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物からなる層とポリエチレンテレフタレート層との界面で光を効率よく反射させるため、本発明のポリエステル樹脂組成物の屈折率はポリエチレンテレフタレートよりも低いことが好ましい。反射率は高い方が好ましいが、90%以上であれば光反射性フィルムとしてより好ましい。また優れた光反射性を得るためには、総積層数を250層以上とすることが好ましい。
以下に本発明のポリエステル樹脂組成物の具体的な製造方法について述べるがこれに限定するものではない。
原料として、例えばテレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコール(テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の総モル数に対して1.15倍モル)からなる低重合体を250℃にて溶解し、テレフタル酸と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールを先に添加した低重合体と同じ比率で混合したスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、ポリエステルオリゴマーを得る。
こうして得られたポリエステルオリゴマーに酢酸マンガン4水和物等の酢酸金属塩とエチレングリコールを添加し、215℃で撹拌しながらポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応を行う。ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量が100当量/ton以下となったところでスピログリコール、エチレングリコール、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物を添加し、速やかに減圧して余分なエチレングリコールを留出させ、得られた低重合体を重合反応槽へ移送する。本発明のポリエステル樹脂組成物を積層フィルムとする場合、本発明のポリエステル樹脂組成物のTg(ガラス転移温度の中間点)をもう一方の積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明におけるポリエステル樹脂組成物のTg(Tg2)の差(|Tg1-Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。ガラス転移温度を制御するには、例えば、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、エチレングリコール、スピログリコールの共重合の場合、スピログリコール量および/またはテレフタル酸の割合を高くすることでガラス転移温度が高くなり、エチレングリコールおよび/または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸の割合を高くすると、ガラス転移温度は低くなる。
重合反応槽へ移送が完了したのち、攪拌しながらジエチルホスホノ酢酸エチル等のリン化合物を添加する。リン化合物は重合反応中に飛散するため、飛散量を見込んだ量を添加する必要がある。リン化合物添加から10分以上25分以内でテトラブトキシチタネート等の重合触媒を添加する。
重合触媒の添加が終了したら装置内温度を徐々に280℃まで昇温しながら装置内圧力を1Torr以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。反応物の撹拌トルク増加値が重合終了目標に到達した時点で反応を終了し、重合反応槽からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでチップ化してポリエステル樹脂組成物Aを得る。
得られたポリエステル樹脂組成物AおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給する。ポリエステル樹脂組成物AおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、101層のフィードブロックにて合流させる。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステル樹脂組成物A層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層する。
このようにして得られた101層からなる積層体をダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化する。得られたキャストフィルムを、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸する。次いでテンター式横延伸機にて100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸する。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理し、厚さ50μmのフィルムを得る。
このようにしてポリエステル樹脂組成物および積層フィルムを得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重合条件や製膜条件はこれに限定されるわけではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。各実施例の評価結果は表1~3に詳細に示す。
(1)ポリエステルの熱特性(中間点ガラス転移温度、結晶特性)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン製:DSC250)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後、液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程で得られるガラス転移温度の中間点を測定した。本発明では、積層フィルムとする際の積層ムラ抑制のため、このガラス転移温度の中間点(中間点ガラス転移温度)として、65℃以上90℃以下であることが好ましい。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステル樹脂組成物を溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製 「アッベ式屈折率計 NAR-4T」で屈折率を測定した。本発明では、耐熱分解性や光反射性の観点から、屈折率として1.500以上1.570以下であることが好ましい。
(3)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール10mlに、測定試料を100℃で溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=0.08g/mL)、粘度計を用いてその溶液の25℃での粘度を測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(α)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度とした。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C (α)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)-1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の(i)~(iv)の方法を用いて測定を行った。
(i)オルトクロロフェノール10mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が0.08g/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
(ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
(iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)-不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、0.08g/mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量1.00g/溶液体積10mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.02g、濾過後の濾液の体積が9.9mLであった場合は、オルトクロロフェノールを5.1mL追加する調整を実施する。((1.00g-0.20g)/(9.9mL+0.1mL)=0.08g/mL))
(iv)粘度計を用いて(iii)で得られた溶液の25℃での粘度を測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(α)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度とする。
なお、粘度計は(株)離合社製の自動粘度計装置(VMR-052UPC・F10)を使用した。
(4)ポリエステル組成物のCOOH末端基量(単位:当量/ton)
Mauriceの方法に準じて測定した。(文献M.J.Maurice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960))。すなわち、ポリエステル組成物0.5gを0.001g以内の精度で秤量する。該試料にo-クレゾール/クロロホルムを7/3の質量比で混合した溶媒50mlを加え、加熱して内温が90℃になってから20分間加熱攪拌して溶解する。また混合溶媒のみもブランク液として同様に別途加熱する。溶液を室温に冷却し、1/50Nの水酸化カリウムのメタノール溶液で電位差滴定装置を用いて滴定をおこなう。また、混合溶媒のみのブランク液についても同様に滴定を実施する。ポリエステル組成物のCOOH末端基量は、以下の式により計算した。COOH末端基量(当量/トン)={(V1-V0)×N×f}×1000/SここでV1は試料溶液での滴定液量(mL)、V0はブランク液での滴定液量(mL)、Nは滴定液の規定度(N)、fは滴定液のファクター、Sはポリエステル組成物の質量(g)である。
(5)ポリエステルの色調
ポリエステルチップを色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM-T45)を用いて、ハンター値(b値)として測定した。
(6)ポリマーのヘイズ値
ポリエステルチップ2gをo-クロロフェノール20mlに溶解し、光路長20mmの石英セルおよびヘイズメーター(スガ試験機社製 HGM-2DP型)を用い、積分球式光電光度法によって溶液のヘイズ値を測定した。
(7)COOH末端基増加量
十分に乾燥させたポリエステルチップを窒素雰囲気下300℃で7分間、および60分間溶融したのち急冷し、処理後のポリエステル樹脂を得る。得られたポリエステル樹脂について、COOH末端基量を測定し、60分処理時のCOOH末端基量から7分処理時のCOOH末端基量を差し引いた数値をCOOH末端基増加量とした。本発明では、熱分解抑制のため、COOH末端基増加量が下記式(i)の範囲である必要がある。
60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)
(8)積層フィルムのゲル状異物(耐熱分解性の評価)
100cm×100cmサイズにカットしたフィルムを偏光板の上に貼り付けた後、偏光板側からライトを当ててフィルムの状態を目視で観察し、以下の基準にて評価を行い、○の場合のみを合格とした。
○:目視でフィルムにゲル状異物が観察されなかった。
×:目視でフィルムにゲル状異物が観察された。
実施例1
(ポリエステルオリゴマーの合成)
テレフタル酸57.3重量部、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸25.5重量部、エチレングリコール35.2重量部からなる反応物である低重合体50.0重量部を250℃にて溶解し、テレフタル酸28.6重量部と1,4-シクロヘキサンジカルボン酸12.7重量部とエチレングリコール17.6重量部を混合したスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245~255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、ポリエステルオリゴマーを得た。得られたポリエステルオリゴマーに酢酸マンガン4水和物0.06重量部とエチレングリコール21.8重量部を添加し、215℃で撹拌しながら60分間、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応を行ったのち、スピログリコール25.1重量部、エチレングリコール25.1重量部、水酸化カリウム0.005重量部を添加し、速やかに減圧して余分なエチレングリコールを留出させ、重合反応槽へ移送した。なおスピログリコール添加直前のポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量は65当量/tonであった。
(ポリエステルの合成)
重合反応槽への移送が完了したら、撹拌しながらジエチルホスホノ酢酸エチル0.085重量部を添加し、15分後にテトラブトキシチタネート0.021重量部を添加したのち、装置内温度を徐々に280℃まで昇温しながら減圧を行い、エチレングリコールを留出させながら重合反応を行った。最終圧力は0.1Torrであった。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合反応槽内を窒素ガスにて常圧へ戻し、ガット上のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、ポリエステル樹脂組成物Aを得た。
得られたポリエステル樹脂組成物Aは、屈折率1.545、中間点ガラス転移温度78℃、溶液ヘイズ0.7%、b値11.0、固有粘度0.70であり、COOH末端基増加量は21.2であった。
(積層ポリエステルフィルムの製膜)
前記ポリエステル樹脂組成物AおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
ポリエステル樹脂組成物AおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステル樹脂組成物A層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステル樹脂組成物A層は50層、PET層は51層となるように交互に積層した。
このようにして得られた101層からなる積層体をダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得た。本発明のポリエステル組成物は屈折率が低いため、積層フィルムとした際には優れた光反射性を有していた。
実施例2~4
スピログリコール成分の共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。スピログリコール成分の共重合比率を小さくすると屈折率が高くなる傾向にあり、反対に共重合比率を大きくするとCOOH末端基増加量が大きくなり、屈折率が低くなったが、いずれも本発明において問題のない範囲であった。
実施例5~7、比較例1
シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合比率を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例5~7については、シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合比率を小さくすると中間点ガラス転移温度が上昇し、反対に共重合比率を大きくすると中間点ガラス転移温度が降下し、重合反応時間が長くなったが、いずれも本発明において問題のない範囲であった。
比較例1については、シクロヘキサンジカルボン酸成分の共重合比率を0としたところ、本発明において必須成分である脂環族カルボン酸成分が含有されておらず、かつCOOH末端基増加量が38となり、本発明の範囲を外れた。
実施例8、9
酢酸金属塩である酢酸マンガン4水和物の添加量を変更し、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下とするために、酢酸マンガン4水和物とエチレングリコールを添加したあとの、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応時間を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。酢酸マンガン4水和物の添加量を減少させると、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応にかかる時間が長くなり、色調b値が悪化した。一方、酢酸マンガン4水和物の添加量を増加させると、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応にかかる時間が短くなり、ポリマーのCOOH末端基増加量が悪化したが、いずれも本発明において問題のない範囲であった。
実施例10、11
リン化合物として用いるジエチルホスホノ酢酸エチルの添加量を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。ジエチルホスホノ酢酸エチルの添加量を増加させると、重合反応時間が長くなった一方、ジエチルホスホノ酢酸エチルの添加量を減少させると、COOH末端基増加量が悪化したが、いずれも本発明において問題のない範囲であった。
実施例12
酢酸金属塩として酢酸マグネシウム4水和物および酢酸マンガン4水和物を用い、リン化合物にジエチルホスホノ酢酸エチルおよびリン酸アルカリ金属塩であるリン酸一水素二カリウムを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得たところ、評価結果は本発明において問題のない範囲であった。
実施例13、比較例4
酢酸マンガン4水和物を他の化合物に変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。
実施例13については、酢酸金属塩を酢酸マグネシウム4水和物に変更したところ、評価結果は本発明において問題のない範囲であった。
比較例4については、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を下げる反応に用いる金属化合物を二酸化ゲルマニウムに変更したところ、得られたポリエステル樹脂組成物のCOOH末端基増加量が40となり、本発明の範囲を外れた。
比較例2
ポリエステルオリゴマーの合成工程を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。詳細なポリエステルオリゴマーの合成工程を以下に示す。
テレフタル酸ジメチルを56.3重量部、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを23.7重量部、エチレングリコールを50.1重量部、スピログリコール26.1重量部、水酸化カリウム0.005重量部をそれぞれ計量し、エステル交換反応槽に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。酢酸マンガン4水和物0.06重量部を添加し、エステル交換反応をスタートした。撹拌しながら反応内容物の温度を220℃まで規定の昇温プログラムにて昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、余剰のエチレングリコールを留出させながら30分間で230℃まで昇温を行った。その後、210Torrで20分間初期重合を行い、エチレングリコールを留出させ、ポリエステルオリゴマーを得た。
このようにして得られたポリエステルオリゴマーを実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得たところ、COOH末端基増加量が35となり、本発明の範囲を外れた。
比較例3
原料比率および添加する金属化合物、重合反応触媒、リン化合物を表1および2の通り変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物は、本発明において必須成分である脂環族カルボン酸成分が含有されておらず、かつCOOH末端基増加量が40となり、本発明の範囲を外れた。
比較例5
エステル化反応終了後のポリエステルオリゴマーに酢酸マンガン4水和物およびエチレングリコールを添加したのち、5分後にスピログリコール、エチレングリコールおよび水酸化カリウムを添加する以外は実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を得たところ、重合反応中にスピログリコールが飛散し、目的とする共重合比率とならず、かつCOOH末端基増加量は51と本発明の範囲を外れた。
Figure 2023091962000001
Figure 2023091962000002
Figure 2023091962000003
このようにして得られたポリエステル樹脂組成物は、透明性、耐熱性に優れ、PET等を交互に積層したフィルムは光反射性、熱線反射性に優れ、反射材用途などに好適である。

Claims (9)

  1. ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物。
    60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)
  2. アセタール環を有するジオール由来の基がスピログリコール由来の基である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 脂環族ジカルボン酸由来の基がシクロヘキサンジカルボン酸由来の基である1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 全ジカルボン酸成分に対しシクロヘキサンジカルボン酸由来の基を20mol%以上50mol%以下含有し、全ジオール成分に対しスピログリコール由来の基を10mol%以上30mol%以下含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 示差走査熱量測定による中間点ガラス転移温度が65℃以上90℃以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. ナトリウムD線での屈折率が1.500以上1.570以下である請求項1~5のいずれかに1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. アルカリ金属原子の含有モル数をMa、マグネシウム原子の含有モル数をMb、マンガン原子の含有モル数をMcとしたときに、式(ii)M=(Ma/2+Mb+Mc)で表される金属原子含有モル数Mとリン原子含有モル数Pのモル比が、式(iii)M/P =0.3~4.5で表される関係を満たすことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. ポリエステルの構成成分として、芳香族ジカルボン酸由来の基、脂環族ジカルボン酸由来の基、脂肪族ジオール由来の基、アセタール環を有するジオール由来の基を含有し、窒素雰囲気下での300℃熱処理によるCOOH末端基増加量が下記式(i)を満たすポリエステル樹脂組成物の製造方法であって、芳香族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分をエステル化反応してポリエステルオリゴマーを得た後、重縮合反応開始までの間に酢酸金属塩と脂肪族ジオール成分を添加し、ポリエステルオリゴマーのCOOH末端基量を100当量/ton以下とした状態でアセタール環を有するジオール成分を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
    60分処理時のCOOH末端基量 - 7分処理時のCOOH末端基量 ≦ 30 当量/ton ・・・(i)
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物とを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。
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