JP6863287B2 - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な熱安定性を有し、さらに良好な色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果を有するポリエステル組成物およびその製造方法に関するものである。
ポリエステルは機械的強度、化学的安定性、透明性に優れ、かつ安価であるため、フィルム、繊維、ボトル、シート、容器などの用途において多く使用されている樹脂のひとつである。
従来、ポリエステルは、溶融押出などの成形加工において、ゲル化による異物が発生し、成形機の口金汚れの増加、製造工程上のフィルター詰まりなどの課題があった。
また、フィルムなどの成形品とした際には、フィルム製膜や加工時においてキズが発生することがあり、特に光学フィルムや離型フィルムではキズによる品位低下が課題であった。
これらの課題に対して、以下の文献に示されるような検討がされてきている。
特許文献1では、銅塩およびハロゲン化物の少なくとも1つを有する二軸延伸ポリエステルフィルムが開示され、銅塩やハロゲン化物を加えることで熱安定性が向上することが記載されている。
特許文献2では、金属ハロゲン化合物を含有させることにより、熱安定性が向上することが記載されている。
特許文献3では、微細凝集粒子の含有によるキズを抑制することが記載されている。
特開2010−265459号公報 特開2015−67661号公報 特開2001−171061号公報
しかしながら、これら従来の技術のように銅塩や金属ハロゲン化物をただ含有させるだけでは、色調および透明性の低下が生じる。また、微細凝集粒子は熱安定性を向上する効果がないため、熱安定性が不十分という課題があった。
本発明の目的は、良好な熱安定性を有し、さらに良好な色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、良好な熱安定性を有し、さらに良好な色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果を有するポリエステル組成物とその製造方法を見出し、本発明に到達した。
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)標準酸化還元電位が−1.70V以上であり、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有していることを特徴とするポリエステル組成物。
)金属元素の含有量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする(1)に記載のポリエステル組成物。
)金属元素がCuであることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステル組成物。
)金属元素の含有量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量M(mol/t)の比が、式(I)を満たすことを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
0.01≦M/M≦30 (I)
)COOH末端基量が20eq/t以下であることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
)ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)〜()のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
)ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、標準酸化還元電位が−1.70V以上であり、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる金属元素を含む金属化合物、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を重縮合反応終了前に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
)標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の添加量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする(7)に記載のポリエステル組成物の製造方法。
)金属化合物に含まれる金属元素の添加量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物の添加量M(mol/t)の比が、式(II)を満たすことを特徴とする(または(8)に記載のポリエステル組成物の製造方法。
0.01≦M/M≦30 (II)
(1)エステル化反応またはエステル交換反応終了から、重縮合反応終了までの間に金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加することを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(1)アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を溶媒に溶解した溶液として添加することを特徴とする()〜(1)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(1)金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物溶液を混合して添加することを特徴とする()〜(1)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
本発明により、良好な熱安定性を有し、さらに良好な色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物とは、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有しているポリエステル組成物である。
なお、本発明でいう標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含むとは、ポリエステル組成物がこれらを含有していることであって、各金属元素の粒子中およびポリマー中での化学的な形態は問わない。
本発明のポリエステル組成物は、本発明の効果を果たすため、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を共に含有していることが必要である。金属元素を含有する場合、ポリエステル組成物の熱安定性は向上するものの、成形品とした際のキズ抑制効果は発揮されず、金属イオンなどにより着色する可能性がある。金属元素が金属粒子、特にイオン化していない金属粒子の様態でポリエステル中に存在すると、良好な色調とキズ抑制効果を発揮するポリエステル組成物となる。該金属元素とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を共に含有させることにより、該金属元素が微粒子化される。粒子が微分散化されると、負荷をかけたときに形成したキズの断面積が小さくなり、キズ抑制効果の付与ができる。微粒子化された標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有することで、金属イオンなどによる着色を抑制することができ、熱安定性、色調、透明性の両立、さらに成形品とした際のキズ抑制効果が付与できる。
本発明のポリエステル組成物は、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子を含有するが、粒子径は、粒子におけるもっとも長い直径のことである。このような、微分散されている金属元素を有する粒子を含有することにより、このポリエステル組成物を用いて作成したフィルムの硬度を向上することが可能である。フィルムの硬度が高くなると、製膜時のキズ発生を抑制することができ、さらに高硬度を有するフィルムを提供することができる。
本発明のポリエステル組成物は、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有していることが必要である。塩基性化合物由来のアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有することがさらに好ましい。アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有することで、金属元素を粒子化させ、さらに形成した粒子の微粒子化も可能であるため、金属イオンなどによる着色を抑制することができ、良好な色調、透明性および成形品とした際にキズ抑制効果を発揮するポリエステル組成物を提供することが可能である。透明性の観点から、アルカリ金属元素が特に好ましい。
本発明の標準酸化還元電位は、25℃における電気化学便覧第6版に記載された値である。標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素として、Al、Ti、Zr、Mn、Ta、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Hg、Ag、Pd、Ir、Pt、Auなどが挙げられるが、透明性の点からCu、Pd、Pt、Au、Fe、Znであることが好ましい。その中でも、熱安定性や成形品のキズ抑制効果に優れる点から、特にCuであることが好ましい。これらの金属元素からなる金属イオンは、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素と相互作用しやすいため、色調と透明性の両立ができる。特に、Cuを含むポリエステル組成物の熱安定性が優れるが、Cuのみ含有する場合、色調の低下および透明性の低下、キズ抑制効果が発揮されないといった問題がある。本発明のポリエステル組成物においては、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素とこれらの金属元素を共存させることにより、着色、透明性低下およびキズ抑制効果が発揮されない問題を改善している。
本発明のポリエステル組成物において、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の含有量は0.01mol/t以上30mol/t以下であることが好ましい。含有量の下限としては、0.35mol/t以上であることがさらに好ましい。また、含有量の上限としては、10mol/t以下であることがより好ましく、2.5mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、色調の低下や透明性の低下を引き起こすことなく、溶融成形時に発生するゲル化異物が少ない良好な熱安定性を有し、成形品とした際にキズ抑制効果が発揮されるポリエステル組成物を提供することが可能である。
本発明において、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量は特に規定しないが、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の含有量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量M(mol/t)の比が、式(I)で表される関係を満たすことが好ましい。
0.01≦M/M≦30 (I)
/Mを上記の数値範囲内にすることで、得られる組成物の色調および透明性、成形品とした際のキズ抑制効果がより良好となる。これは、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を特定の比率で共存させたことによる特異的な効果である。M/Mが0.01以上であれば、色調および透明性、成形品とした際のキズ抑制の改善効果が顕著となり、M/Mが30以下の場合は、過剰なアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素による着色なども発生しない。また、M/Mの下限としては、0.3以上であることがさらに好ましい。M/Mの上限としては、10以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル組成物はCOOH末端基量が20eq/t以下であることが好ましい。10eq/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、耐熱性、耐加水分解性の優れたポリエステル組成物を提供することが可能である。
本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルは、本発明の効果を十分奏する点からポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で共重合成分が含まれていてもよい。
本発明のポリエステル組成物の熱安定性は、該ポリエステル組成物を酸素濃度1%の窒素雰囲気下、300℃で6時間加熱処理した際のゲル化率で評価する。ポリエステル組成物を溶融成形する工程においては、溶融時の熱劣化を抑制するために窒素パージを実施することが一般的であるが、微量の酸素が混入する。本発明のゲル化率の測定条件はこの成形工程を想定した条件であり、ゲル化率が小さければ小さいほど、良好な熱安定性を有するものとなる。
本発明のポリエステル組成物は、上記条件で処理した際のゲル化率が15%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、高い熱安定性が要求されるフィルム用途などに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
本発明のポリエステル組成物の色調は、色差計で測定したときのa値で評価する。a値が大きい場合、ポリエステル組成物は赤色が顕著となり、a値が小さい場合、ポリエステル組成物は緑色が顕著となる。本発明のポリエステル組成物を色調の良好なポリエステル組成物とするためには、このa値が、−4以上10以下の範囲とすることが好ましい。下限としてより好ましくは−3.5以上であり、さらに好ましくは−2.5以上である。上限としてより好ましくは3以下であり、さらに好ましくは−1以下である。
本発明において、熱安定性を付与するため標準還元電位が−1.70V以上の金属元素を使用しているが、金属元素がポリエステル組成物中でイオン化している場合、色調低下の要因となる。本発明では金属元素を粒子化することで金属元素のイオン化を抑制し、良好な色調を実現している。
本発明のポリエステル組成物の透明性は、該ポリエステル組成物の溶液ヘイズで評価する。溶液ヘイズが小さいほど、透明性の良好なポリエステル組成物となる。本発明においては、金属由来の粒子がポリエステル組成物中で微分散化されているため、透明性が得られる。
ポリエステル組成物の溶液ヘイズは、10%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。上記範囲を満たすことで、高透明性が要求されるフィルムなどに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
本発明のポリエステル組成物のキズ抑制効果は、ポリエステル組成物を用いて作成したフィルムに、5μmの端子にて20mNの負荷をかけたときに形成したキズの断面積で評価する。その断面積が130μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがさらに好ましい。その断面積の下限が0μmであることが好ましい。断面積が0μmの場合、20mNの負荷をかけても無キズの状態となる。上記範囲を満たすことで、製膜時のキズ発生を抑制することができ、さらに高硬度を有するフィルムを提供することが可能である。
次に、本発明のポリエステル組成物の製造方法について記載する。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、ジカルボン酸成分またはそのエステルとジオール成分を主原料とし、次の2段階の工程からなる。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程である。
本発明のポリエステル組成物を製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールを用いることができ、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明のジカルボン酸は、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ダイマー酸などが挙げられる。また、ジカルボン酸エステルとは、先に述べたジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物、アシル塩化物などであり、メチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。本発明のジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしてより好ましい態様は、融点が高く、フィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点で、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらのアルキルエステルである。
本発明のジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。本発明の効果を十分果たすことができる点、およびフィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点でエチレングリコールが好ましい。
本発明の製造方法において、1段階目の工程のうち、(A)エステル化反応の工程は、ジカルボン酸とジオールとを所定温度でエステル化反応させ、所定量の水が留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。エステル化反応により低重合体を得る場合、エステル化反応性、耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジカルボン酸とジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.05以上1.30以下、さらに好ましくは1.05以上1.20以下である。上記範囲とすることで、良好な反応性を有し、またジオールの2量体などの副生成物の生成を抑制できることから、耐熱性を良好にすることができる。
また(B)エステル交換反応の工程は、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールとをエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応を行い、低重合体を得る工程である。エステル交換反応にて低重合体を得る場合、反応性、耐熱性の観点から、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールのモル比(ジオール/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。上記範囲とすることで、エステル交換反応を効率的に進行させることができ、ジオールの2量体の副生を抑えることができることから、耐熱性を良好にすることができる。
2段階目の工程のうち、(C)重縮合反応は、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応で得られた低重合体からポリエステル組成物を得る工程である。
また、本発明の製造方法は、バッチ重合、半連続重合、連続重合が適用できる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、(A)エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、(A)エステル化反応は無触媒においてもカルボン酸の自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、(B)エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられ、具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、(C)重縮合反応に用いられる触媒は、公知の重縮合触媒を用いることが出来る。例えば、アンチモン、チタン、アルミニウム、スズ、ゲルマニウムなどの化合物などが挙げられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンの酸化物、アンチモンのカルボン酸塩、アンチモンアルコキシドなどが挙げられる。
チタン化合物としては、チタンキレート錯体、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物などが挙げられる。
アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられる。
スズ化合物としては、アルキル基を持つスズ化合物、ヒドロキシル基を持つスズ化合物などが挙げられる。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられる。
上記の金属化合物は、水和物であってもよい。
この中でも、重合時間および色調の観点から、アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用いることが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む金属化合物、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を添加することが必要である。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む金属化合物、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物は前記(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応工程、それに続く(C)重縮合反応工程のいずれの段階で添加してもよいが、重縮合反応終了前に添加することで、COOH末端基量が20eq/t以下にすることができ、かつ良好な透明性を有するポリエステル組成物を得ることができる。
標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む金属化合物としてAl、Ti、Zr、Mn、Ta、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Hg、Ag、Pd、Ir、Pt、Auなどの金属元素を含有する化合物が挙げられるが、透明性の点から、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの化合物であることが好ましい。その中でも、熱安定性、成形品とした際のキズ抑制効果に優れる点から、Cu化合物が特に好ましい。
また、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を提供する金属化合物は、その添加態様、形式およびポリエステル組成物中での形態は問わない。例えば、上記金属元素を含む酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩などの芳香族カルボン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ヨウ化物、臭化物、塩化物などのハロゲン化物、水酸化物、酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどを挙げることができ、これらは2種以上を併用することもできる。この中で、透明性に優れる点から、金属の酢酸塩の使用が特に好ましい。
本発明のポリエステル組成物に対して、金属化合物に含まれる標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の添加量は0.01mol/t以上30mol/t以下であることが好ましい。添加量の下限としては、0.35mol/t以上であることがさらに好ましい。また、添加量の上限としては、10mol/t以下であることがより好ましく、2.5mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、色調の低下や透明性の低下を引き起こすことなく、溶融成形時に発生するゲル化異物が少ない良好な熱安定性、成形品とした際のキズ抑制効果を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。
また、本発明のポリエステル組成物の製造方法において、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を添加することが必要である。
本発明のアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の添加態様、形式およびポリエステル組成物中での形態は問わない。アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物は塩基性化合物であることが好ましい。本発明の塩基性化合物とは、ルイス塩基またはアレニウス塩基の定義を満たす化合物のことである。水酸化物であることがより好ましく、アルカリ金属水酸化物であることがさらに好ましい。アルカリ金属水酸化物を用いると、より色調の優れるポリエステル組成物が得られる。その中でも、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが特に好ましい。水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを用いると、特に色調と透明性の優れるポリエステル組成物が得られる。これらは2種以上を併用することもできる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、標準酸化還元電位が−1.70V以上の金属元素を含む金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を併用することにより、ポリエステル組成物に優れた熱安定性、さらに良好な色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果を付与できることを見出したものである。標準酸化還元電位が−1.70V以上の金属元素を含む金属化合物を特定量添加することによって、ポリエステル組成物に良好な熱安定性が付与できるが、成形品とした際のキズ抑制効果が付与できない。また、該金属由来のイオンにより、ポリエステル組成物に着色が発生し、さらに金属化合物の凝集などにより、ポリエステル組成物の透明性が低下する。本発明では、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を添加することによって、ポリエステル組成物の原料であるジオール成分の一部を脱水反応させ、還元性のあるアルデヒド成分を生成させる。これにより色調悪化の原因となる金属イオンを還元し、着色のない金属の微粒子を形成させるため、良好な色調および高透明性を可能にしている。さらに、ポリエステル組成物中に金属微粒子の形成により、成型された際にキズ抑制効果を発揮する。アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物は塩基性化合物の場合、効果がさらに高まる。金属微粒子の形成は、金属元素の標準酸化還元電位の影響を受ける。すなわち、本発明の効果を果たすため、特定の金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の併用は特に重要である。この特定の金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の併用により、標準酸化還元電位が−1.70V以上の金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子をポリエステル組成物中に形成させることが可能である。
金属化合物に含まれる標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の添加量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の添加量M(mol/t)の比が、式(II)で表される関係を満たすことが好ましい。
0.01≦M/M≦30 (II)
/Mを上記の数値範囲内にすることで、色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果がさらに良好となる。M/Mの下限としては、0.3以上であることがさらに好ましい。また、M/Mの上限としては、10以下であることがさらに好ましい。M/Mが0.01以上であれば、色調、透明性および成形品とした際のキズ抑制効果が顕著となり、M/Mが30以下の場合は、過剰なアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素による着色なども発生しない。
ポリエステル組成物に上記金属化合物を単独で添加するよりも、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物と併用する方が、ポリエステル組成物の色調および透明性が明らかに優れる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、本発明の効果を十分果たすために、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応終了から、(C)重縮合反応終了までの間に金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を添加することが好ましい。エステル化反応またはエステル交換反応の終点は反応率が95%以上となった時点で実質的に反応が終了したものとする。(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応の途中で添加した場合、(C)重縮合反応段階で金属化合物の凝集または金属粒子が粗大化する場合がある。また、(C)重縮合反応段階の後で添加すると、透明性の改善効果が不十分になる場合がある。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物を溶媒に溶解した溶液として添加することが好ましく、上記化合物のエチレングリコール溶液の形態で添加することがさらに好ましい。上記化合物存在下で、エチレングリコールは脱水反応し、還元性のあるアルデヒドが生成する。このとき、併用している金属化合物由来の金属イオンとアルデヒドとの反応により、金属イオンは金属微粒子となり、金属イオンによる着色問題が改善される。溶媒に溶解することで、金属微粒子が均一に形成できる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の溶液を混合して添加することが好ましい。混合して添加することで、より良好な色調を有するポリエステル組成物が得られる。
溶媒は水、あるいはポリエステルの原料であるグリコールなどを用いることができるが、取り扱い性、得られたポリエステル組成物の品質などの点から原料のグリコールと統一することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートであればエチレングリコールを用いることが好ましい。
標準酸化還元電位が−1.70V以上の金属元素を含む金属化合物およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の添加時および添加後は、反応系内を攪拌することが好ましい。攪拌することで添加物をより均一に分散でき、透明性を向上させることができる。
また、本発明のポリエステル組成物の製造方法において、高分子量のポリエステル組成物を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエステル組成物を不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理することで実施される。不活性ガスはポリエステル組成物に対して不活性なものであればよく、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧条件では、より高真空にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利であり、具体的には110Pa以下を保つことが好ましい。
以下、本発明におけるポリエステル組成物の製造方法の具体例を挙げるが、これに制限されない。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート(以降BHTと呼ぶ)が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
こうして得られた255℃のエステル化反応物を重合装置に移送し、リン化合物、標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む金属化合物、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物、重縮合触媒などを添加する。これらの操作の際は、エステル化物が固化しないように、系内の温度を240〜255℃に保つことが好ましい。
その後、重合装置内の温度を290℃まで徐々に昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から250Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。所定の撹拌トルクに到達した段階で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスで常圧にし、溶融ポリエステルを冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル組成物を得る。
本発明で得られたポリエステル組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボトル、射出成形品など各種製品に加工することができる。
本発明のポリエステル組成物を各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明のポリエステル組成物は、熱安定性、高透明性、成形品とした際のキズ抑制効果に優れることを活かし、フィルム、繊維、ボトル、射出成形品など各製品として利用することができ、特に熱安定性が優れるため、フィルム用途に好ましく使用できる。
本発明のポリエステル組成物より製造された成形品は、熱安定性、色調、透明性に優れるため、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、電気・電子部品またはその他の用途として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
また、実施例20は参考例と読み替える。
(1)ポリエステル組成物の固有粘度(単位:dl/g)
オルソクロロフェノール(以降OCPと呼ぶ)を溶媒として用い、25℃で測定した。
(2)ポリエステル組成物のCOOH末端基量(単位:eq/t)
Mauriceの方法によって測定した(文献 M.J.Maurice,F.Huizinga,Anal.Chem.Acta、22、363(1960))。
(3)金属元素を含む粒子の確認、その粒子径の測定、および粒子に含まれる金属元素の分析
0.1μm〜0.2μmの厚みを有するポリエステル組成物の薄膜を作成し、透過型電子顕微鏡(日立製、H−7650)を用いて、粒子および粒子径の確認を行った。粒子径とは、粒子におけるもっとも長い直径のことである。粒子確認後、その薄膜サンプルをEDX(堀場製作所製、SuperXerophyS−779XI)に移し、エネルギー分散型X線分光法にて測定し、金属元素の確認を行った。
粒子径が50nm以上1.5μm以下の標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素を含む粒子を含有する場合は○、含有しない場合は×とした。
(4)ポリエステル組成物中のCu、Pd、Pt、Au、Fe、Zn、Ag元素およびアルカリ金属元素の定量(単位:mol/t)
原子吸光分析法(日立製作所:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて定量を行い、ポリエステル組成物1t中の量に換算した。
(5)ポリエステル組成物中のSb、Mg元素の定量(単位:mol/t)
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて定量を行い、ポリエステル組成物1t中の量に換算した。
(6)ゲル化率(単位:%)
ポリステル組成物を凍結粉砕機(Sprex CertiPerp社製)にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料含有容器に酸素濃度1%の混合気体を配管より通し十分に置換された後に、該容器を300℃のオイルバスに浸し、酸素濃度1%の窒素流通下(流量0.5L/分)6時間加熱処理を行った。これを、20mlのOCPで、160℃で1時間溶解し、放冷した。
この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学社製、3GP40)を使用しろ過、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物(ゲル)の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(7)色調(a値)
チップ状のポリエステル組成物を測定用セル(φ=50mm、高さ20mm)に充填し、色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、a値を測定した。色調の判定基準は、a値が10以下であれば合格とし、10を超える場合を不合格とした。
(8)溶液ヘイズ(単位:%)
測定する試料約2gをOCP20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製)HGM−2DP型を用い、積分球式光電光度法にて測定を行った。透明性の判定基準は、
溶液ヘイズが10%以下であれば合格とし、10%を超える場合を不合格とした。
(9)キズの断面積(単位:μm)(キズ抑制評価)
チップ状のポリエステル組成物8gを300℃で溶融しプレスすることで、120mm×120mm×0.4mm(横×縦×厚み)のフィルムを作成した。超薄膜スクラッチ試験機(レスカ製、CSR5000)で、5μmの端子を用いて、上記フィルムに20mNの負荷をかけてフィルム表面にキズをつけた(励振振幅10μm、励振周波数45Hz、試料温度25℃)。形成したキズを形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス製、VK−X200)で観察し、キズの断面積を計算した。面積を6回測定して、平均を取った。キズの断面積は130μmを超えると不合格とした。
(実施例1)
250℃にて溶解したBHT105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、BHTを得た。
エステル化反応器から105重量部のBHTを重合装置へ溶融状態で仕込み、温度を255℃とした。その後、得られるポリエステル組成物に対して1.43mol/t相当のリン酸トリメチルを添加した。次いで、0.26mol/t相当の酢酸銅(II)一水和物と3.33mol/t相当の水酸化カリウムのエチレングリコール混合溶液を添加し、その後0.145mol/t相当の三酸化アンチモンを添加した。その後、重合装置内を290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を常圧から250Pa以下まで減圧し、290℃で所定の攪拌トルクを示すまで重合反応させた。重合反応終了後、重合装置内の溶融ポリエステルをストランド状に水槽へ吐出して冷却後、カッティングしてペレット状のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1に示す。
得られたポリエステル組成物は、粒子径が0.1μm〜1.3μmのCu元素を含有する粒子を確認し、熱安定性、色調、透明性のいずれも良好であった。なお、作成したフィルムのキズの断面積は118.4μmとなり、合格であった。
(実施例2〜21、比較例1〜5)
金属化合物またはアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含む化合物の種類、および添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1〜表4に示す。
実施例2〜8で得られたポリエステル組成物は、粒子径が50nm〜1.5μmのCu元素を含有する粒子を確認し、熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制いずれも合格レベルであった。
Figure 0006863287
実施例9で得られたポリエステル組成物は、M/Mの値が小さく、赤みも見られたが合格であった。
実施例10で得られたポリエステル組成物は、M/Mの値が大きく、緑みも見られたが、合格であった。
実施例11で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりに硫酸銅(II)を使用し、熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制は良好であり、溶液ヘイズは増加傾向ではあるが合格であった。
実施例12で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりにヨウ化銅(I)を使用し、熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制は合格レベルであった。
実施例13、14で得られたポリエステル組成物は、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを使用した。熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制は良好であり、溶液ヘイズは増加傾向であるが合格であった。
Figure 0006863287
実施例15〜20で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりに酢酸パラジウム(II)、硝酸白金(II)、酢酸金(III)、酢酸鉄(II)、酢酸亜鉛(II)、酢酸銀(I)を使用した。酢酸銅(II)一水和物添加時と比べ、ゲル化率は増加傾向であるが、合格レベルであった。
実施例21で得られたポリエステル組成物は、水酸化カリウムの代わりに水酸化マグネシウムを使用した。水酸化マグネシウムのエチレングリコールへの溶解性は低く、スラリーの状態であった。赤みが見られ、溶液ヘイズは増加傾向であるが、合格レベルであった。
Figure 0006863287
比較例1で得られたポリエステル組成物は、三酸化アンチモンを添加したが、塩基性化合物を添加していなく、ゲル化率は高くなり熱安定性が不十分であった。また、キズ抑制も不合格であった。
比較例2〜5で得られたポリエステル組成物は、銅化合物を添加したが、塩基性化合物を添加していないため、色調および/または透明性が低下し、キズ抑制が不合格であった。また、Cu元素を含有する粒子を確認したが、その粒径が1.8μm以上であった。
Figure 0006863287
(実施例22)
250℃にて溶解したBHT105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、BHTを得た。
エステル化反応器から105重量部のBHTを重合装置へ溶融状態で仕込み、温度を255℃とした。その後、得られるポリエステル樹脂に対して、1.43mol/t相当のリン酸トリメチルと、0.145mol/t相当の三酸化アンチモンを添加し、反応を開始した。290℃で所定の攪拌トルクの80%を示すまで重合反応させた後、重合装置内を常圧に戻し、0.26mol/t相当の酢酸銅(II)一水和物と3.33mol/t相当の水酸化カリウムのエチレングリコール混合溶液を添加した。添加後、重合装置内の圧力を常圧から250Pa以下まで再度減圧し、所定の攪拌トルクを示すまで重合反応させた。得られたポリエステル組成物の特性を表5に示す。
得られたポリエステル組成物は、熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制いずれも良好であったが、溶液ヘイズは実施例1より若干高かった。
(実施例23)
酢酸銅(II)一水和物と水酸化カリウムを混合溶液にせず、固体状態で別々で添加した以外、実施例1と同様に実施した。得られたポリエステル組成物の特性を表5に示す。
得られたポリエステル組成物は、実施例1と比べ、色調・透明性およびキズ抑制が低下したが、合格レベルであった。
(実施例24)
酢酸銅(II)一水和物と水酸化カリウムのエチレングリコール溶液を混合せず、別々で添加した以外、実施例1と同様に実施した。得られたポリエステル組成物の特性を表5に示す。
得られたポリエステル組成物は、熱安定性、色調、透明性およびキズ抑制いずれも良好であったが、実施例1より色調が低下する傾向であった。
Figure 0006863287

Claims (12)

  1. 標準酸化還元電位が−1.70V以上であり、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる金属元素を含む50nm以上1.5μm以下の粒子、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素を含有していることを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 金属元素の含有量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 金属元素がCuであることを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物。
  4. 金属元素の含有量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属元素の含有量M(mol/t)の比が、式(I)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
    0.01≦M/M≦30 (I)
  5. COOH末端基量が20eq/t以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  6. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  7. ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、標準酸化還元電位が−1.70V以上であり、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる金属元素を含む金属化合物、およびアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を重縮合反応終了前に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  8. 標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素の添加量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  9. 金属化合物に含まれる金属元素の添加量M(mol/t)と、アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物の添加量M(mol/t)の比が、式(II)を満たすことを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
    0.01≦M/M≦30 (II)
  10. エステル化反応またはエステル交換反応終了から、重縮合反応終了までの間に金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を添加することを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  11. アルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物を溶媒に溶解した溶液として添加することを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  12. 金属化合物とアルカリ金属元素および/またはアルカリ土類金属水酸化物溶液を混合して添加することを特徴とする請求項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
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