JP3885394B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形加工性及び耐熱性に優れたポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、その優れた性質のゆえに、繊維用、フイルム用、ボトル用をはじめ広く種々の分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタレ−トは機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残査が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残査の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残査は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有している。
【0006】
上記のような背景からアンチモン含有量が極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。
【0007】
アンチモン系化合物以外の重縮合触媒としては、例えばWO95/18839等には、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる特定の複核酸化物が提案されている。しかしながら、このような組成の複核酸化物は重縮合触媒として十分な重合活性となるように添加すると、該化合物単独で使用した場合には得られたポリマーの耐熱性が不十分であって、該ポリマーの成形加工時に重合度低下を起こすという問題があった。また、成形加工工程での着色が激しく、例えば繊維用途などでは酸化チタン粒子等により製品の色調を調製することが一般に行われるが、このような粒子添加のみでは十分に色調を調製しきれないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物を含有するポリエステル組成物において、上記した該ポリエステル組成物の有する問題点を解消し、成形加工性及び耐熱性に優れたポリエステル組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、主たる金属元素が、(1) チタン及びケイ素からなる複核酸化物、(2) リン化合物、(3) アルカリ土類金属化合物及びコバルト化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物の各残渣を含有したポリエステル組成物であって、それぞれポリエステル組成物に対して、チタン原子換算で0.5〜300ppm、リン原子換算で0.5〜400ppm、アルカリ土類金属とコバルト金属原子換算で5〜300ppm含有することを特徴とするポリエステル組成物により達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルはジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維、フイルム、ボトル等の成形品として用いることが可能なものであれば特に限定はない。
【0011】
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体において好適である。
【0012】
また、これらのポリエステルには、共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0013】
本発明のポリエステル組成物は主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物の残渣を含有する。すなわちこの残渣は重合触媒として添加した主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物の残渣として存在するものである。ここで複核酸化物とは、酸素とともに酸化物を形成する主たる元素が2種類以上である化合物のことであり、本発明では酸素原子に対してチタン及びケイ素の2種類の元素があり、酸素を含めたこの3種の元素が一つの化合物を形成しているということである。従って、酸化チタンと酸化ケイ素のように、酸素と他の単一の元素との酸化物を単に2種類以上混合したものは本発明の複核酸化物には該当しない。
【0014】
この主たる金属元素がチタンとケイ素からなる複核酸化物のTiとSiの比率は特に限定されないが、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80以上であると、重縮合触媒としての活性が高く、少量で重合可能となるため好ましい。より好ましくは、Ti/Si=98/2〜50/50である。
【0015】
また、本発明の主たる金属元素がチタンとケイ素からなる複核酸化物は、チタン原子換算でポリエステル組成物に対して0.5〜300ppm含有されていることが、ポリエステル組成物の耐熱性の点で必要であり、より好ましくは2〜200ppm、さらに好ましくは3〜100ppm、特に好ましくは3〜50ppmである。
【0016】
この主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物は、特に限定されないが、例えば、それぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料として共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させることによって目的の複合酸化物を得る方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、配位化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原料とともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を共存させ、両者の間で錯体を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御し複核酸化物を得ようとするものである。以上のような複核酸化物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。
【0017】
上記した複核酸化物の製造に用いるチタン化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チタンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートなどが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。
【0018】
また、配位化学ゾル・ゲル法の場合に用いる有機多座配位子としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ペンタジオールなどが挙げられる。また、反応を行う溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0019】
本発明のポリエステル組成物においては、複核酸化物と併せてリンを特定量含有する。本発明においては、ポリエステル組成物に対してリン原子換算で0.5〜400ppm含有されている必要がある。より好ましくは2〜200ppm、さらに好ましくは3〜100ppm含有されていると、ポリエステル組成物の耐熱性がより良好となり好ましい。また、複核酸化物のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比率であるとポリエステル組成物の耐熱性が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0020】
本発明のポリエステル組成物に含有されるリンは、ポリエステル組成物の製造過程で添加したリン化合物の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びこれらの低級アルキルエステルやフェニルエステルが挙げられるが特に限定はない。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、メチルホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸エチルエステル、ベンジルホスホン酸フェニルエステル、ホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられる。
【0021】
本発明のポリエステル組成物においては、複核酸化物と併せてアルカリ土類金属及びコバルトからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有する。
【0022】
ここで、アルカリ土類金属及びコバルトからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素の含有量は、該当する元素の金属原子換算でポリエステル組成物に対して5〜300ppmである。より好ましくは5〜150ppm、さらに好ましくは10〜100ppmであるとポリエステル組成物の色調及び耐熱性がより良好となる。
【0023】
また、なかでもコバルトはポリエステル組成物の色調が特に良好となるため好ましい。コバルトの含有量は、金属原子換算でポリエステル組成物に対して5〜250ppmが好ましく、より好ましくは5〜120ppm、さらに好ましくは10〜80ppmであるとポリエステル組成物の色調が特に良好となる。また、複核酸化物のチタン原子とコバルト原子のモル比(Ti/Co)で0.3〜20とすると、ポリエステル組成物の耐熱性がとくに良好となり好ましい。
【0024】
本発明のポリエステル組成物に含有されるアルカリ土類金属あるいはコバルトは、添加した化合物の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定されないが、例えば、ここでアルカリ土類金属化合物としては、各アルカリ土類金属の塩化物、酢酸塩、炭酸塩等が挙げられる。また、コバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト4水塩等が挙げられる。
【0025】
本発明のポリエステル組成物は、成形加工工程での各種ガイド、ローラー等の接触物との摩擦を低減し工程通過性を向上させたり、製品の色調を調製する目的で各種の従来公知の粒子を含有していてもよい。
【0026】
粒子の種類は特に限定されず、従来公知の粒子のいずれでも用いることができる。具体的には、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機粒子や、架橋ポリスチレン等の有機高分子粒子を用いることができる。これらの粒子の中でも二酸化チタン粒子は、ポリマー中での分散性が良好で、比較的低コストであることから好ましい。
【0027】
これらの粒子は、湿式、乾式の種々の方法で製造され、必要に応じて、粉砕、分級等の前処理を施された上で、ポリエステルの反応系に添加される。ポリエステル反応系への粒子の添加は、重縮合反応が始まる以前の任意の段階でば良いが、
実質的にエステル化反応またはエステル交換反応を完結させた後に添加するとポリマー中での粒子の分散性が良好となるため好ましい。
【0028】
本発明における粒子のポリマーに対する添加量や粒子径は、適用する用途によって変わり特に限定されないが、ポリエステル組成物に対し0.001〜20重量%、平均粒子径として0.05〜5μmの範囲であると、工程通過性や色調が特に良好となり好ましい。
【0029】
本発明のポリエステル組成物の製造方法について、ポリエチレンテレフタレートの例で説明する。
【0030】
繊維やフイルム等に使用する高分子量ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマを得るプロセスである。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0031】
本発明のポリエステル組成物の場合、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物、アルカリ土類金属及びコバルト化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物の両者は(1)または(2)の一連の反応の開始前から後半の重縮合反応が実質的に開始される前までの任意の時期に添加し、リン化合物は(1)または(2)の前半の反応が実質的に完結した低重合体の段階かそれより以降の任意の時期に添加することが好ましい。
【0032】
また、それぞれの化合物の添加にあたっては粉体あるいは液体のまま反応系に添加しても良いが、例えばエチレングリコール等に分散あるいは溶解してから添加すると反応系中での分散が均一に進みやすく好ましい。
【0033】
また上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適用し得る。
【0034】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
【0035】
(1)ポリエステル組成物の固有粘度[η]
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
【0036】
(2)ポリエステル組成物中のチタン、ケイ素、リン、アルカリ土類金属、コバルト等の含有量蛍光X線またはICP(誘導結合型プラズマ)発光分析により求めた。
【0037】
尚、対象となるポリエステル組成物が二酸化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場合、本発明の重合触媒残渣である主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複核酸化物の含有量を確認するためには、粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわち、ポリエステル組成物をオルソクロロフェノールに溶解し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。
【0038】
以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリマーについて金属分析を行う。
【0039】
(3)ポリエステル組成物の色調
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
【0040】
ポリマー色調としては特にb値が5以下であることが好ましく、より好ましくは4以下、特に好ましくは2以下である。
【0041】
(4)ポリエステル組成物のカルボキシル末端基量
Mauriceらの方法[Anal.Chim.Acta,22,p363(1960)]によった。
【0042】
末端基量としては30当量/ton未満であることが好ましく、さらには25当量/ton以下である。
【0043】
(5)ポリエステル組成物の耐熱性
ポリエステル組成物のペレットを予め150℃、133Pa以下の減圧下で10時間乾燥した後、試験管に適量を仕込む。この試験管内部を窒素パージした後、予め300℃に昇温したシリコーオイルバスに浸漬、保持する。内容物全体が溶解した時点及びそれから8時間経過したポリマーをサンプリングし、それぞれの固有粘度[IV]0、[IV]1としたとき、次の式1で示される値を耐熱性の指標とした。
【0044】
(耐熱性指標)={[IV]0−[IV]1}/[IV]0 …(式1)
耐熱性の指標が0.55未満を1級、0.55以上0.60未満を2級、0.60以上0.65未満を3級、0.65以上を4級とした。1〜3級のポリマーは成形加工時の重合度低下が少なく好ましい。
【0045】
実施例1
Ti/Si=90/10(モル比)の組成を有するチタンイソプロピレートとオルトケイ酸エチルの混合溶液10部に、2−メチルペンタン−2,4−ジオールを10部とエタノール2部を加え、60〜70℃で3時間攪拌したものに、2部の水を含むエタノール3部をゆっくりと滴下、90〜100℃に加熱して透明なゲルを得た。このゲルをさらに同温度で15時間放置した後、ロータリーエバポレーターを使用して130℃で減圧乾燥ゲルを得た。さらに、該乾燥ゲル10部をエチレングリコール90部に添加し、Ti/Si=90/10(モル比)の組成を有するチタン/ケイ素の複核酸化物を含有するエチレングリコールスラリーを調製した。
【0046】
一方、高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従って製造した、触媒を含有しない低重合体を250℃で溶融、撹拌し、該溶融物に、リン酸をリン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して30ppmとなるように添加した。その後、酢酸コバルト4水塩をコバルト原子換算で47ppmとなるように添加し、さらにその後、先に調製したTi/Siの複核酸化物のエチレングリコールスラリーを最終的に得られるポリエステル中での複核酸化物の含有量が15ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。尚、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間10分であった。
【0047】
得られたポリマーの固有粘度は0.66、カルボキシル末端基量18当量/ton、ポリマーの色調はL=59、b=2.0、耐熱性指標0.54であった。またICP発光分析から、チタン原子の含有量が15ppm、ケイ素原子の含有量が0.97ppmであることを確認した。このように色調、耐熱性良好なポリエステルのペレットを得た。
【0048】
このペレットを乾燥した後、エクストルーダ型紡糸機に供給し、紡糸温度295℃で溶融紡糸した。このときフィルターとして絶対濾過精度10μmの金属不織布を使用し、口金は0.6mmφの丸孔を用いた。口金から吐出した糸を長さ30cm、内径25cmφ、温度300℃の加熱筒で徐冷後、チムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油した後、引き取り速度550m/分で引き取った。この未延伸糸を延伸温度95℃で延伸糸の伸度が14〜15%となるように適宜延伸倍率を変更しながら延伸した後、熱処理温度220℃、リラックス率2.0%で熱処理し延伸糸を得た。
【0049】
溶融紡糸工程においては、紡糸時の濾圧上昇はほとんど認められず、また延伸時の糸切れもほとんどなく成形加工性の良好なポリマーであった。
【0050】
実施例2〜9、比較例1〜6
金属化合物の種類、量、粒子含有量を変更する以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。結果を表1及び表2に示した。
【0051】
尚、比較例2のポリエステル組成物のみ直接重合法でなくエステル交換反応を経て得られた低重合体を重縮合して得られたポリマーである。ここでエステル交換反応の触媒として酢酸亜鉛及び酢酸マンガンを用いた。
【0052】
本発明のものは色調、耐熱性及び溶融紡糸挙動が良好であったが、本発明外のものは、色調や耐熱性が劣ったり、溶融紡糸工程において濾圧上昇が顕著となったり、糸切れが多く発生した。
【0053】
【表1】
Figure 0003885394
【表2】
Figure 0003885394
【0054】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物は、成形加工性及び耐熱性に優れ、繊維用、フイルム用、ボトル用等の成形体の製造において口金汚れ、濾圧上昇、糸切れなどの問題が解消される。

Claims (3)

  1. 主たる金属元素として、(1)チタン及びケイ素からなる複核酸化物、(2)リン化合物、(3)アルカリ土類金属化合物及びコバルト化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物、これら(1)〜(3)の各残渣を含有したポリエステル組成物であって、それぞれポリエステル組成物に対して、チタン原子換算で0.5〜300ppm、リン原子換算で0.5〜400ppm、アルカリ土類金属とコバルト金属原子換算で5〜150ppm含有することを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 複核酸物とリン化合物の比率が、複核酸物のチタン原子とリン原子のモル比率としてTi/P=0.1〜20であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物。
  3. 窒素雰囲気下、300℃の溶融状態で8時間保持したときの固有粘度の低下(ΔIV)が0.35以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル組成物。
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