JP3753059B2 - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は成形加工性及び耐熱性に優れたポリエステル組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルは、その優れた性質のゆえに、繊維用、フイルム用、ボトル用をはじめ広く種々の分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタレ−トは機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残査が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残査の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残査は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有している。
【0006】
上記のような背景からアンチモン含有量が極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求められている。
【0007】
アンチモン系化合物以外の重縮合触媒としては、例えばWO95/18839等には、主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる特定の複核酸化物が提案されている。しかしながら、このようなチタン系化合物を触媒として用いた場合でも重縮合触媒として十分な重合活性となるように添加すると、該触媒化合物単独で使用した場合には得られたポリマーの耐熱性が不十分であって、ポリマーの成形加工時に重合度低下を起こすという問題やポリマーの着色が激しいという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、チタン系化合物を主たる重合触媒とするポリエステル組成物の製造方法において、上記した問題点を解消し、成形加工性及び耐熱性に優れたポリエステル組成物の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、アンチモン化合物の含有量がアンチモン金属原子換算で50ppm以下であるポリエステル組成物を製造する際に、反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時点で、チタン化合物触媒を得られるポリエステル組成物に対してチタン原子換算で0.1〜100ppm、およびリン化合物として一般式(1)で表されるリン化合物を得られるポリエステル組成物に対してリン原子換算で0.1〜300ppm、さらに酸化チタン粒子を得られるポリエステル組成物に対して0.01〜10重量%、それぞれ添加し、かつリン化合物、酸化チタン粒子をチタン化合物触媒よりも先に反応系に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法により達成される。
【0010】
【化3】
Figure 0003753059
[ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一でも異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一でも異なっていても良い。]
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルはジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、繊維、フイルム、ボトル等の成形品として用いることが可能なものであれば特に限定はない。
【0012】
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体において好適である。
【0013】
また、これらのポリエステルには、共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0014】
本発明における、チタン化合物触媒としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコキシド化合物の他、主たる金属がチタン及びケイ素からなる複合酸化物、チタン錯体化合物が好適に用いられる。とくに、主たる金属がチタン及びケイ素からなる複合酸化物やチタン錯体化合物は製糸性が良好となり好ましい。
【0015】
ここで複合酸化物とは、酸素とともに酸化物を形成する主たる元素が2種類以上である化合物のことであり、本発明では酸素原子に対してチタン及びケイ素の2種類の元素があり、酸素を含めたこの3種の元素が一つの化合物を形成しているということである。従って、酸化チタンと酸化ケイ素のように、単一の元素と酸素からなる酸化物を2種類以上、単に混合したものは本発明の複合酸化物には該当しない。
【0016】
主たる金属がチタン及びケイ素からなる複合酸化物の場合、TiとSiの比率は特に限定されないが、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80以上であると、重合触媒としての活性が高く、少量で重合可能となるため好ましい。より好ましくは、Ti/Si=98/2〜50/50である。
【0017】
この主たる金属元素がチタン及びケイ素からなる複合酸化物は、特に限定されないが、例えば、それぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料として共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・ゲル法等によって合成することができる。ここで共沈法とは2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組成の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行させることによって目的の複合酸化物を得る方法である。また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、配位化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原料とともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を共存させ、両者の間で錯体を形成させることによって、その後の加水分解反応の速度を制御し複合酸化物を得ようとするものである。以上のような複合酸化物の合成方法は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒調製」、アイピーシー(1993)等に記載されている。
【0018】
上記した複合酸化物の製造に用いるチタン化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チタンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートなどが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。また、配位化学ゾル・ゲル法の場合に用いる有機多座配位子としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ペンタジオールなどが挙げられる。また、反応を行う溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0019】
一方、チタン錯体としては、アルコキシチタン化合物を基材としてこれに種々の錯化剤を結合せしめたもの等が挙げられる。ここで錯化剤としては、具体的には、乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、グリシン、ビスヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチルグリシン、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸、アラニン−N−酢酸、アラニン−N、N−二酢酸、β−アラニン−N−酢酸、β−アラニン−N、N−二酢酸、セリン−N−酢酸、セリン−N、N−二酢酸、イソセリン−N、N−二酢酸、アスパラギン酸−N−酢酸、アスパラギン酸−N、N−二酢酸、グルタミン酸−N−酢酸、グルタミン酸−N、N−二酢酸等のアミノカルボン酸やアスパラギン酸、グルタミン酸、ロイシン、イソロイシン、トリエタノールアミン等の含窒素化合物、アセチルアセトネート、アセトアセテート等を挙げることができる。
【0020】
さらにチタン錯体のなかでも、1分子中に2個以上のカルボン酸を有する含窒素化合物を錯化剤とするチタン錯体は、糸切れ改善効果が大きく、また得られる繊維の色調が良好となり好ましい。さらには、1分子中に3個以上のカルボン酸を有する含窒素化合物を錯化剤として有するチタン錯体が好ましい。
【0021】
本発明におけるチタン化合物触媒は、チタン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して0.1〜100ppm含有されていることが、ポリエステル組成物の耐熱性の点で必要であり、より好ましくは0.5〜80ppm、さらに好ましくは1〜50ppmである。
【0022】
本発明においては重合触媒としてアンチモン化合物を用いても良いが、得られるポリエステル組成物に対してアンチモン金属原子換算で50ppm以下となるように添加する必要がある。50ppmを越えて添加含有せしめた場合には紡糸や製膜時の口金汚れが多くなったり糸切れやフィルム破れが多くなる。より好ましくは30ppm以下、特に好ましくは実質的にアンチモンを含まないことである。
【0023】
本発明においては一般式(1)で示される特定のリン化合物を添加することが必要である。
【0024】
【化4】
Figure 0003753059
[ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一でも異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一でも異なっていても良い。]
このリン化合物を用いるとチタン化合物触媒の重合活性をほとんど低下させることなく、ポリマーの耐熱性や色調を改善することができる。
【0025】
このようなリン化合物は、具体的には、フェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネートやジメチルベンジルホスホネートなどの芳香族環を有するホスホン酸やそのエステル、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸などの芳香族環を有するホスフィン酸やそのエステルを挙げることができる。
【0026】
これらの中でも特に、一般式(2)で表されるリン化合物を用いると、ポリマーの色調がとくに良好となり好ましい。
【0027】
【化5】
Figure 0003753059
[ただし、R3はフェニル基、2つのR4は同一でも異なっていても良く、水素または炭素数が1〜5の有機基である。]
このようなリン化合物は、具体的には、フェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネートやジメチルベンジルホスホネートなどの芳香族環を有するホスホン酸やそのエステルを挙げることができる。中でも、ジメチルフェニルホスホネートやジメチルベンジルホスホネートなどの芳香族環を有するホスホン酸のエステルが好ましい。
【0028】
本発明のリン化合物は得られるポリエステル組成物に対してリン原子換算で0.1〜300ppm添加する必要がある。より好ましくは2〜100ppm、さらに好ましくは5〜50ppm含有されていると、ポリエステル組成物の耐熱性がより良好となり好ましい。また、チタン化合物触媒中のチタン原子に対してリン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比率であるとポリエステル組成物の耐熱性がさらに良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜10、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0029】
本発明においては、ポリエステルを反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時点で、チタンを除く周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合物を添加すると、重合反応性が良好となる、あるいは得られるポリマーの色調が改善されるため好ましい。なかでもコバルト化合物はポリエステル組成物の色調が特に良好となるため好ましい。
【0030】
ここで、チタンを除く周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合物は、得られるポリエステル組成物に対して金属原子換算で1〜100ppm添加することが好ましい。より好ましくは5〜50ppm、さらに好ましくは5〜30ppmである。
【0031】
このような化合物は具体的には、各金属の塩化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられ、例えばコバルト化合物の場合を例に示すと、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト4水塩等が挙げられる。
【0032】
本発明のポリエステル組成物は、成形加工工程での各種ガイド、ローラー等の接触物との摩擦を低減し工程通過性を向上させたり、製品の色調を調製する目的で酸化チタン粒子を得られるポリエステル組成物に対して0.01〜10重量%添加することが必要である。
【0034】
この酸化チタン粒子は、湿式、乾式の種々の方法で製造され、必要に応じて、粉砕、分級等の前処理を施された上で、ポリエステルの反応系に添加される。ポリエステル反応系への酸化チタン粒子の添加は、反応系の固有粘度が0.3以下の任意の段階で良いが、実質的にエステル化反応またはエステル交換反応を完結させた後に添加するとポリマー中での粒子の分散性が良好となるため好ましい。
【0035】
本発明における酸化チタン粒子のポリマーに対する添加量や粒子径は、適用する用途によって変わり、特に限定されないが、ポリエステル組成物に対し0.01〜10重量%、平均粒子径として0.05〜5μmの範囲であると、工程通過性や色調が特に良好となり好ましい。
【0036】
以上述べてきた、本発明で用いるリン化合物、酸化チタン粒子及びチタンを除く周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合物は、それぞれ、本発明のチタン化合物触媒よりも先に反応系に添加すると、ポリマーの色調がより良好となり好ましい。さらには、チタン化合物触媒よりも3分以上先に反応系に添加することが好ましい。
【0037】
本発明のポリエステル組成物の製造方法について、ポリエチレンテレフタレートの例で説明する。
【0038】
繊維やフイルム等に使用する高分子量ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレート(DMT)とエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマを得るプロセスである。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0039】
本発明のポリエステル組成物の製造方法の場合、チタン化合物触媒及びリン化合物は(1)または(2)の一連の反応の開始前から後半の重縮合反応において反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時期に添加する必要がある。特に、リン化合物は(1)または(2)の前半の反応が実質的に完結した低重合体の段階かそれ以降の任意の時期に添加することが好ましい。
【0040】
また、それぞれの化合物の添加にあたっては粉体あるいは液体のまま反応系に添加しても良いが、例えばエチレングリコール等に分散あるいは溶解してから添加すると反応系中での分散が均一に進みやすく好ましい。
【0041】
また上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適用し得る。
【0042】
このように本発明においてはチタン化合物を触媒としてポリエステル組成物を製造するため、得られるポリエステル組成物中のアンチモン化合物量を減らしことができ、これが、成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れなどの抑制に大きく寄与する。
【0043】
本発明においては、得られるポリエステル組成物中のアンチモン化合物の含有量はアンチモン金属原子換算で50ppm以下であることが必要で、より好ましくは20ppm以下、特に好ましくは実質的にアンチモン化合物を含有しないことである。
【0044】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル組成物の固有粘度[η]
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリエステル組成物中のケイ素、リン、周期率表の第4周期3族から12族の元素の含有量蛍光X線またはICP(誘導結合型プラズマ)発光分析により求めた。
【0045】
尚、対象となるポリエステル組成物が二酸化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場合には、粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわち、ポリエステル組成物をオルソクロロフェノールに溶解し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。
【0046】
以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリマーについて金属分析を行う。
(3)ポリエステル組成物の色調
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュータ型式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
【0047】
ポリマー色調としては特にb値が6以下であることが好ましく、より好ましくは4以下、特に好ましくは2以下である。
(4)ポリエステル組成物のカルボキシル末端基量
Mauriceらの方法[Anal.Chim.Acta,22,p363(1960)]によった。
【0048】
末端基量としては30当量/ton未満であることが好ましく、さらには25当量/ton以下である。
(5)ポリエステル組成物の耐熱性
ポリエステル組成物のペレットを予め150℃、133Pa以下の減圧下で10時間乾燥した後、試験管に適量を仕込む。この試験管内部を窒素パージした後、予め300℃に昇温したシリコーオイルバスに浸漬、保持する。内容物全体が溶解した時点及びそれから8時間経過したポリマーをサンプリングし、それぞれの固有粘度[IV]0、[IV]1としたとき、次の式1で示される値を耐熱性の指標とした。
【0049】
(耐熱性指標)={[IV]0−[IV]1}/[IV]0 …(式1)
耐熱性の指標が0.55未満を1級、0.55以上0.60未満を2級、0.60以上0.65未満を3級、0.65以上を4級とした。1〜3級のポリマーは成形加工時の重合度低下が少なく好ましい。
(6)工程安定性(紡糸時の糸切れ)評価
ポリマーを乾燥後、紡糸温度295℃、フィルターとして絶対濾過精度10μmの金属不織布を使用、口金として0.6mmφ丸孔を使用し、口金から吐出した糸を長さ30cm、内径25cmφ、温度300℃の加熱筒で徐冷後、チムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油した後、引き取り速度550m/分で引き取る。さらにこの未延伸糸を延伸温度95℃で延伸糸の伸度が14〜15%となるように調整しながら延伸した後、熱処理温度220℃、リラックス率2.0%で熱処理し延伸糸とする。この紡糸・延伸の過程をとおして糸切れ頻度が認められないものをA級、極めて少ないものをB級、若干発生するが生産管理上許容範囲にあるものをC級、生産性を低下させるほど多発するものをD級とし、A〜C級を合格とした。
【0050】
実施例1
高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従って製造した、触媒を含有しない低重合体を250℃で溶融、撹拌し、該溶融物に、ジメチルフェニルホスホネートをリン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して20ppmとなるように添加した。酸化チタン粒子の10%エチレングリコールスラリーをポリエステル組成物に対して0.4重量%となるように添加、次いで、酢酸コバルト4水塩をコバルト原子換算で20ppmとなるように添加し、さらにその後、ジメトキシジアセチルアセトナートチタネートを得られるポリエステル中でチタン原子の含有量が20ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。尚、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間00分であった。
【0051】
得られたポリマーの固有粘度は0.67、カルボキシル末端基量17当量/ton、ポリマーの色調はL=75、b=1.5、耐熱性指標1級であった。またICP発光分析から、チタン原子、リン原子、コバルト原子の含有量が所定量であることを確認した。このように色調、耐熱性良好なポリエステルのペレットを得た。
【0052】
このペレットを乾燥した後、所定の条件で紡糸、延伸を行った。溶融紡糸工程においては、紡糸時の濾圧上昇はほとんど認められず、また延伸時の糸切れもほとんどなく成形加工性の良好なポリマーであった。
【0053】
実施例2〜8、比較例1〜4
リン化合物の種類、金属化合物の種類、チタン化合物触媒の種類、あるいはそれぞれの添加量、添加順序等を変更する以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。結果を表1〜表3に示した。
【0054】
本発明のものは色調、耐熱性及び溶融紡糸挙動が良好であったが、本発明外のものは、色調や耐熱性が劣ったり、溶融紡糸工程において濾圧上昇が顕著となったり、糸切れが多く発生した。
【0055】
【表1】
Figure 0003753059
【0056】
【表2】
Figure 0003753059
【0057】
【表3】
Figure 0003753059
【0058】
【発明の効果】
本発明のポリエステル組成物は、成形加工性及び耐熱性に優れ、繊維用、フイルム用、ボトル用等の成形体の製造において口金汚れ、濾圧上昇、糸切れなどの問題が解消される。

Claims (7)

  1. アンチモン化合物の含有量がアンチモン金属原子換算で50ppm以下であるポリエステル組成物を製造する際に、反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時点で、チタン化合物触媒を得られるポリエステル組成物に対してチタン原子換算で0.1〜100ppm、およびリン化合物として一般式(1)で表されるリン化合物を得られるポリエステル組成物に対してリン原子換算で0.1〜300ppm、さらに酸化チタン粒子を得られるポリエステル組成物に対して0.01〜10重量%、それぞれ添加し、かつリン化合物、酸化チタン粒子をチタン化合物触媒よりも先に反応系に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
    Figure 0003753059
    [ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一でも異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一でも異なっていても良い。]
  2. リン化合物が一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
    Figure 0003753059
    [ただし、R3はフェニル基、2つのR4は同一でも異なっていても良く、水素または炭素数が1〜5の有機基である。]
  3. 反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時点で、チタンを除く周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合物を少なくとも1種以上を得られるポリエステル組成物に対して金属原子換算で1〜100ppm添加することを特徴とする請求項1項記載のポリエステル組成物の製造方法。
  4. リン化合物、酸化チタン粒子及びチタンを除く周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合物を、チタン化合物触媒よりも先に反応系に添加することを特徴とする請求項記載のポリエステル組成物の製造方法。
  5. チタン化合物触媒が、チタンアルコキシド化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
  6. チタン化合物触媒が、チタン及びケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
  7. チタン化合物触媒が、チタン錯体であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
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