JP2003176345A - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル組成物の製造方法

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JP2003176345A JP2001377398A JP2001377398A JP2003176345A JP 2003176345 A JP2003176345 A JP 2003176345A JP 2001377398 A JP2001377398 A JP 2001377398A JP 2001377398 A JP2001377398 A JP 2001377398A JP 2003176345 A JP2003176345 A JP 2003176345A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形加工性及び耐熱性に優れ、繊維用、フイル
ム用、ボトル用等の成形体の製造において口金汚れ、濾
圧上昇、糸切れなどの問題が解消されたポリエステル組
成物を提供する。 【解決手段】反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時
点で、チタン化合物触媒、特定のリン化合物及び粒子を
特定量添加することを特徴とするポリエステル組成物の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形加工性及び耐熱
性に優れたポリエステル組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、その優れた性質のゆえ
に、繊維用、フイルム用、ボトル用をはじめ広く種々の
分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタ
レ−トは機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優
れ、好適に使用されている。
【0003】一般にポリエチレンテレフタレートは、テ
レフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレン
グリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製
造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチ
モン化合物が広く用いられている。しかしながら、アン
チモン化合物を含有するポリマは以下に述べるような幾
つかの好ましくない特性を有している。
【0004】例えば、アンチモン触媒を使用して得られ
たポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アン
チモン触媒の残査が口金孔周りに堆積することが知られ
ている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生
じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アン
チモン触媒残査の堆積が生じるのは、ポリマー中のアン
チモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸し
た後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためで
あると考えられている。
【0005】また、ポリマー中のアンチモン触媒残査は
比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加
工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるい
は製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくな
い特性を有している。
【0006】上記のような背景からアンチモン含有量が
極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求
められている。
【0007】アンチモン系化合物以外の重縮合触媒とし
ては、例えばWO95/18839等には、主たる金属
元素がチタン及びケイ素からなる特定の複核酸化物が提
案されている。しかしながら、このようなチタン系化合
物を触媒として用いた場合でも重縮合触媒として十分な
重合活性となるように添加すると、該触媒化合物単独で
使用した場合には得られたポリマーの耐熱性が不十分で
あって、ポリマーの成形加工時に重合度低下を起こすと
いう問題やポリマーの着色が激しいという問題点があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、チタ
ン系化合物を主たる重合触媒とするポリエステル組成物
の製造方法において、上記した問題点を解消し、成形加
工性及び耐熱性に優れたポリエステル組成物の製造方法
を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、アンチモン化合物の含有量がアンチモン金属原子換
算で50ppm以下であるポリエステル組成物を製造す
る際に、反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時点
で、チタン化合物触媒を得られるポリエステル組成物に
対してチタン原子換算で0.1〜100ppm、および
リン化合物として一般式(1)で表されるリン化合物を
得られるポリエステル組成物に対してリン原子換算で
0.1〜300ppm、さらに無機粒子を得られるポリ
エステル組成物に対して0.01〜10重量%、それぞ
れ添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造
方法により達成される。
【0010】
【化3】 [ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素
数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香
族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一で
も異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上
の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一で
も異なっていても良い。]
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルはジカルボ
ン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまた
はそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーで
あって、繊維、フイルム、ボトル等の成形品として用い
ることが可能なものであれば特に限定はない。
【0012】このようなポリエステルとして具体的に
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメ
チレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2
−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシ
レート、ポリプロピレンテレフタレートなどが挙げられ
る。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポ
リエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレン
テレフタレートからなるポリエステル共重合体において
好適である。
【0013】また、これらのポリエステルには、共重合
成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フ
タル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカ
ルボン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレン
グリコールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエ
トキシ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエ
ステル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0014】本発明における、チタン化合物触媒として
は、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタ
ネート等のチタンアルコキシド化合物の他、主たる金属
がチタン及びケイ素からなる複合酸化物、チタン錯体化
合物が好適に用いられる。とくに、主たる金属がチタン
及びケイ素からなる複合酸化物やチタン錯体化合物は製
糸性が良好となり好ましい。
【0015】ここで複合酸化物とは、酸素とともに酸化
物を形成する主たる元素が2種類以上である化合物のこ
とであり、本発明では酸素原子に対してチタン及びケイ
素の2種類の元素があり、酸素を含めたこの3種の元素
が一つの化合物を形成しているということである。従っ
て、酸化チタンと酸化ケイ素のように、単一の元素と酸
素からなる酸化物を2種類以上、単に混合したものは本
発明の複合酸化物には該当しない。
【0016】主たる金属がチタン及びケイ素からなる複
合酸化物の場合、TiとSiの比率は特に限定されない
が、両者の金属のモル比率(Ti/Si)が20/80
以上であると、重合触媒としての活性が高く、少量で重
合可能となるため好ましい。より好ましくは、Ti/S
i=98/2〜50/50である。
【0017】この主たる金属元素がチタン及びケイ素か
らなる複合酸化物は、特に限定されないが、例えば、そ
れぞれの金属元素を有するアルコキシド化合物を原料と
して共沈法、部分加水分解法あるいは配位化学ゾル・ゲ
ル法等によって合成することができる。ここで共沈法と
は2種あるいはそれ以上の成分を含有するの所定の組成
の溶液を調製し、その組成のまま加水分解反応を進行さ
せることによって目的の複合酸化物を得る方法である。
また、部分加水分解法とは、一方の成分をあらかじめ加
水分解した状態としておき、そこへもう一方の成分を加
えさらに加水分解を進行させる方法である。一方、配位
化学ゾル・ゲル法とは、金属アルコキシドなどの原料と
ともに分子内に官能基を複数持つ有機多座配位子を共存
させ、両者の間で錯体を形成させることによって、その
後の加水分解反応の速度を制御し複合酸化物を得ようと
するものである。以上のような複合酸化物の合成方法
は、例えば、上野ら、「金属アルコキシドを用いる触媒
調製」、アイピーシー(1993)等に記載されてい
る。
【0018】上記した複合酸化物の製造に用いるチタン
化合物としては、例えば、チタンイソプロピレート、チ
タンエチレートまたはチタン−tert−ブチレートな
どが挙げられる。ケイ素化合物としては、例えばオルト
ケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル等が挙げられる。ま
た、配位化学ゾル・ゲル法の場合に用いる有機多座配位
子としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プ
ロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ペ
ンタジオールなどが挙げられる。また、反応を行う溶媒
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0019】一方、チタン錯体としては、アルコキシチ
タン化合物を基材としてこれに種々の錯化剤を結合せし
めたもの等が挙げられる。ここで錯化剤としては、具体
的には、乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、リン
ゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、グリシン、ビスヒドロ
キシエチルグリシン、ヒドロキシエチルグリシン、ニト
リロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボ
キシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミ
ノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢
酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二
酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキ
シエチルイミノ二酢酸、アラニン−N−酢酸、アラニン
−N、N−二酢酸、β−アラニン−N−酢酸、β−アラ
ニン−N、N−二酢酸、セリン−N−酢酸、セリン−
N、N−二酢酸、イソセリン−N、N−二酢酸、アスパ
ラギン酸−N−酢酸、アスパラギン酸−N、N−二酢
酸、グルタミン酸−N−酢酸、グルタミン酸−N、N−
二酢酸等のアミノカルボン酸やアスパラギン酸、グルタ
ミン酸、ロイシン、イソロイシン、トリエタノールアミ
ン等の含窒素化合物、アセチルアセトネート、アセトア
セテート等を挙げることができる。
【0020】さらにチタン錯体のなかでも、1分子中に
2個以上のカルボン酸を有する含窒素化合物を錯化剤と
するチタン錯体は、糸切れ改善効果が大きく、また得ら
れる繊維の色調が良好となり好ましい。さらには、1分
子中に3個以上のカルボン酸を有する含窒素化合物を錯
化剤として有するチタン錯体が好ましい。
【0021】本発明におけるチタン化合物触媒は、チタ
ン原子換算で得られるポリエステル組成物に対して0.
1〜100ppm含有されていることが、ポリエステル
組成物の耐熱性の点で必要であり、より好ましくは0.
5〜80ppm、さらに好ましくは1〜50ppmであ
る。
【0022】本発明においては重合触媒としてアンチモ
ン化合物を用いても良いが、得られるポリエステル組成
物に対してアンチモン金属原子換算で50ppm以下と
なるように添加する必要がある。50ppmを越えて添
加含有せしめた場合には紡糸や製膜時の口金汚れが多く
なったり糸切れやフィルム破れが多くなる。より好まし
くは30ppm以下、特に好ましくは実質的にアンチモ
ンを含まないことである。
【0023】本発明においては一般式(1)で示される
特定のリン化合物を添加することが必要である。
【0024】
【化4】 [ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素
数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香
族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一で
も異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上
の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一で
も異なっていても良い。] このリン化合物を用いるとチタン化合物触媒の重合活性
をほとんど低下させることなく、ポリマーの耐熱性や色
調を改善することができる。
【0025】このようなリン化合物は、具体的には、フ
ェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネートやジ
メチルベンジルホスホネートなどの芳香族環を有するホ
スホン酸やそのエステル、フェニルホスフィン酸、ジフ
ェニルホスフィン酸などの芳香族環を有するホスフィン
酸やそのエステルを挙げることができる。
【0026】これらの中でも特に、一般式(2)で表さ
れるリン化合物を用いると、ポリマーの色調がとくに良
好となり好ましい。
【0027】
【化5】 [ただし、R3はフェニル基、2つのR4は同一でも異
なっていても良く、水素または炭素数が1〜5の有機基
である。] このようなリン化合物は、具体的には、フェニルホスホ
ン酸、ジメチルフェニルホスホネートやジメチルベンジ
ルホスホネートなどの芳香族環を有するホスホン酸やそ
のエステルを挙げることができる。中でも、ジメチルフ
ェニルホスホネートやジメチルベンジルホスホネートな
どの芳香族環を有するホスホン酸のエステルが好まし
い。
【0028】本発明のリン化合物は得られるポリエステ
ル組成物に対してリン原子換算で0.1〜300ppm
添加する必要がある。より好ましくは2〜100pp
m、さらに好ましくは5〜50ppm含有されている
と、ポリエステル組成物の耐熱性がより良好となり好ま
しい。また、チタン化合物触媒中のチタン原子に対して
リン原子としてモル比率でTi/P=0.1〜20の比
率であるとポリエステル組成物の耐熱性がさらに良好と
なり好ましい。より好ましくはTi/P=0.2〜1
0、さらに好ましくはTi/P=0.3〜5である。
【0029】本発明においては、ポリエステルを反応系
の固有粘度が0.3以下の任意の時点で、チタンを除く
周期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化
合物を添加すると、重合反応性が良好となる、あるいは
得られるポリマーの色調が改善されるため好ましい。な
かでもコバルト化合物はポリエステル組成物の色調が特
に良好となるため好ましい。
【0030】ここで、チタンを除く周期率表の第4周期
3族から12族の元素を含有する化合物は、得られるポ
リエステル組成物に対して金属原子換算で1〜100p
pm添加することが好ましい。より好ましくは5〜50
ppm、さらに好ましくは5〜30ppmである。
【0031】このような化合物は具体的には、各金属の
塩化物、酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩等が挙げられ、例えば
コバルト化合物の場合を例に示すと、塩化コバルト、硝
酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネ
ート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト4水塩等が挙
げられる。
【0032】本発明のポリエステル組成物は、成形加工
工程での各種ガイド、ローラー等の接触物との摩擦を低
減し工程通過性を向上させたり、製品の色調を調製する
目的で粒子を得られるポリエステル組成物に対して0.
01〜10重量%添加することが必要である。
【0033】粒子の種類は特に限定されず、従来公知の
粒子のいずれでも用いることができる。具体的には、例
えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等
の無機粒子や、架橋ポリスチレン等の有機高分子粒子を
用いることができる。これらの粒子の中でも二酸化チタ
ン粒子は、ポリマー中での分散性が良好で、比較的低コ
ストであることから好ましい。
【0034】これらの粒子は、湿式、乾式の種々の方法
で製造され、必要に応じて、粉砕、分級等の前処理を施
された上で、ポリエステルの反応系に添加される。ポリ
エステル反応系への粒子の添加は、反応系の固有粘度が
0.3以下の任意の段階で良いが、実質的にエステル化
反応またはエステル交換反応を完結させた後に添加する
とポリマー中での粒子の分散性が良好となるため好まし
い。
【0035】本発明における粒子のポリマーに対する添
加量や粒子径は、適用する用途によって変わり、特に限
定されないが、ポリエステル組成物に対し0.01〜1
0重量%、平均粒子径として0.05〜5μmの範囲で
あると、工程通過性や色調が特に良好となり好ましい。
【0036】以上述べてきた、本発明で用いるリン化合
物、酸化チタン粒子及びチタンを除く周期率表の第4周
期3族から12族の元素を含有する化合物は、それぞ
れ、本発明のチタン化合物触媒よりも先に反応系に添加
すると、ポリマーの色調がより良好となり好ましい。さ
らには、チタン化合物触媒よりも3分以上先に反応系に
添加することが好ましい。
【0037】本発明のポリエステル組成物の製造方法に
ついて、ポリエチレンテレフタレートの例で説明する。
【0038】繊維やフイルム等に使用する高分子量ポリ
エチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセ
スで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチ
レングリコールを原料とし、直接エステル化反応によっ
て低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴ
マーを得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量
ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレー
ト(DMT)とエチレングリコールを原料とし、エステ
ル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の重
縮合反応によって高分子量ポリマを得るプロセスであ
る。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、
エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシ
ウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物を触媒
に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完
結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的
で、リン化合物を添加することが行われる。
【0039】本発明のポリエステル組成物の製造方法の
場合、チタン化合物触媒及びリン化合物は(1)または
(2)の一連の反応の開始前から後半の重縮合反応にお
いて反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時期に添加
する必要がある。特に、リン化合物は(1)または
(2)の前半の反応が実質的に完結した低重合体の段階
かそれ以降の任意の時期に添加することが好ましい。
【0040】また、それぞれの化合物の添加にあたって
は粉体あるいは液体のまま反応系に添加しても良いが、
例えばエチレングリコール等に分散あるいは溶解してか
ら添加すると反応系中での分散が均一に進みやすく好ま
しい。
【0041】また上記の反応は回分式、半回分式あるい
は連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法は
そのいずれの形式にも適用し得る。
【0042】このように本発明においてはチタン化合物
を触媒としてポリエステル組成物を製造するため、得ら
れるポリエステル組成物中のアンチモン化合物量を減ら
しことができ、これが、成形加工時のフィルターの濾圧
上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れ
などの抑制に大きく寄与する。
【0043】本発明においては、得られるポリエステル
組成物中のアンチモン化合物の含有量はアンチモン金属
原子換算で50ppm以下であることが必要で、より好
ましくは20ppm以下、特に好ましくは実質的にアン
チモン化合物を含有しないことである。
【0044】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測
定した。 (1)ポリエステル組成物の固有粘度[η] オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定し
た。 (2)ポリエステル組成物中のケイ素、リン、周期率表
の第4周期3族から12族の元素の含有量蛍光X線また
はICP(誘導結合型プラズマ)発光分析により求め
た。
【0045】尚、対象となるポリエステル組成物が二酸
化チタン粒子や酸化ケイ素粒子を含有している場合に
は、粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で
蛍光X線またはICP発光分析を行う。すなわち、ポリ
エステル組成物をオルソクロロフェノールに溶解し、必
要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製
した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜
法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマ
ーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーと
する。
【0046】以上の前処理を施して得られた粒子を除去
したポリマーについて金属分析を行う。 (3)ポリエステル組成物の色調 スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュー
タ型式SM−3)を用いて、ハンター値(L、a、b
値)として測定した。
【0047】ポリマー色調としては特にb値が6以下で
あることが好ましく、より好ましくは4以下、特に好ま
しくは2以下である。 (4)ポリエステル組成物のカルボキシル末端基量 Mauriceらの方法[Anal.Chim.Act
a,22,p363(1960)]によった。
【0048】末端基量としては30当量/ton未満で
あることが好ましく、さらには25当量/ton以下で
ある。 (5)ポリエステル組成物の耐熱性 ポリエステル組成物のペレットを予め150℃、133
Pa以下の減圧下で10時間乾燥した後、試験管に適量
を仕込む。この試験管内部を窒素パージした後、予め3
00℃に昇温したシリコーオイルバスに浸漬、保持す
る。内容物全体が溶解した時点及びそれから8時間経過
したポリマーをサンプリングし、それぞれの固有粘度
[IV]0、[IV]1としたとき、次の式1で示され
る値を耐熱性の指標とした。
【0049】 (耐熱性指標)={[IV]0−[IV]1}/[IV]0 …(式1) 耐熱性の指標が0.55未満を1級、0.55以上0.
60未満を2級、0.60以上0.65未満を3級、
0.65以上を4級とした。1〜3級のポリマーは成形
加工時の重合度低下が少なく好ましい。 (6)工程安定性(紡糸時の糸切れ)評価 ポリマーを乾燥後、紡糸温度295℃、フィルターとし
て絶対濾過精度10μmの金属不織布を使用、口金とし
て0.6mmφ丸孔を使用し、口金から吐出した糸を長
さ30cm、内径25cmφ、温度300℃の加熱筒で
徐冷後、チムニー冷却風を当てて冷却固化し、給油した
後、引き取り速度550m/分で引き取る。さらにこの
未延伸糸を延伸温度95℃で延伸糸の伸度が14〜15
%となるように調整しながら延伸した後、熱処理温度2
20℃、リラックス率2.0%で熱処理し延伸糸とす
る。この紡糸・延伸の過程をとおして糸切れ頻度が認め
られないものをA級、極めて少ないものをB級、若干発
生するが生産管理上許容範囲にあるものをC級、生産性
を低下させるほど多発するものをD級とし、A〜C級を
合格とした。
【0050】実施例1 高純度テレフタル酸とエチレングリコールから常法に従
って製造した、触媒を含有しない低重合体を250℃で
溶融、撹拌し、該溶融物に、ジメチルフェニルホスホネ
ートをリン原子換算で得られるポリエステル組成物に対
して20ppmとなるように添加した。酸化チタン粒子
の10%エチレングリコールスラリーをポリエステル組
成物に対して0.4重量%となるように添加、次いで、
酢酸コバルト4水塩をコバルト原子換算で20ppmと
なるように添加し、さらにその後、ジメトキシジアセチ
ルアセトナートチタネートを得られるポリエステル中で
チタン原子の含有量が20ppmとなるように添加し
た。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反
応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するととも
に、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到
達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルク
となった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合
反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッ
ティングしてポリエステルのペレットを得た。尚、減圧
開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間00
分であった。
【0051】得られたポリマーの固有粘度は0.67、
カルボキシル末端基量17当量/ton、ポリマーの色
調はL=75、b=1.5、耐熱性指標1級であった。
またICP発光分析から、チタン原子、リン原子、コバ
ルト原子の含有量が所定量であることを確認した。この
ように色調、耐熱性良好なポリエステルのペレットを得
た。
【0052】このペレットを乾燥した後、所定の条件で
紡糸、延伸を行った。溶融紡糸工程においては、紡糸時
の濾圧上昇はほとんど認められず、また延伸時の糸切れ
もほとんどなく成形加工性の良好なポリマーであった。
【0053】実施例2〜8、比較例1〜4 リン化合物の種類、金属化合物の種類、チタン化合物触
媒の種類、あるいはそれぞれの添加量、添加順序等を変
更する以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、
溶融紡糸を行った。結果を表1〜表3に示した。
【0054】本発明のものは色調、耐熱性及び溶融紡糸
挙動が良好であったが、本発明外のものは、色調や耐熱
性が劣ったり、溶融紡糸工程において濾圧上昇が顕著と
なったり、糸切れが多く発生した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は、成形加
工性及び耐熱性に優れ、繊維用、フイルム用、ボトル用
等の成形体の製造において口金汚れ、濾圧上昇、糸切れ
などの問題が解消される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA04 AB05 JA091 JA123 JA203 JA281 JB131 JC563 JC573 JC751 JF113 JF143 JF223 JF321 JF333 KB24 KB25 KC02 KE05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アンチモン化合物の含有量がアンチモン金
    属原子換算で50ppm以下であるポリエステル組成物
    を製造する際に、反応系の固有粘度が0.3以下の任意
    の時点で、チタン化合物触媒を得られるポリエステル組
    成物に対してチタン原子換算で0.1〜100ppm、
    およびリン化合物として一般式(1)で表されるリン化
    合物を得られるポリエステル組成物に対してリン原子換
    算で0.1〜300ppm、さらに無機粒子を得られる
    ポリエステル組成物に対して0.01〜10重量%、そ
    れぞれ添加することを特徴とするポリエステル組成物の
    製造方法。 【化1】 [ただし、m+n=3かつm=1または2。R1は炭素
    数1以上の炭化水素基であって、少なくとも1つは芳香
    族環である。また、m=2の場合、2つのR1は同一で
    も異なっていても良い。R2は水素または炭素数1以上
    の有機基であって、n=2の場合、2つのR2は同一で
    も異なっていても良い。]
  2. 【請求項2】リン化合物が一般式(2)で表されること
    を特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造
    方法。 【化2】 [ただし、R3はフェニル基、2つのR4は同一でも異
    なっていても良く、水素または炭素数が1〜5の有機基
    である。]
  3. 【請求項3】無機粒子が酸化チタン粒子であることを特
    徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】リン化合物、無機粒子をチタン化合物触媒
    よりも先に反応系に添加することを特徴とする請求項1
    記載のポリエステル組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】反応系の固有粘度が0.3以下の任意の時
    点で、チタンを除く周期率表の第4周期3族から12族
    の元素を含有する化合物を少なくとも1種以上を得られ
    るポリエステル組成物に対して金属原子換算で1〜10
    0ppm添加することを特徴とする請求項1項記載のポ
    リエステル組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】リン化合物、無機粒子及びチタンを除く周
    期率表の第4周期3族から12族の元素を含有する化合
    物を、チタン化合物触媒よりも先に反応系に添加するこ
    とを特徴とする請求項5記載のポリエステル組成物の製
    造方法。
  7. 【請求項7】チタン化合物触媒が、チタンアルコキシド
    化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリエス
    テル組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】チタン化合物触媒が、チタン及びケイ素か
    らなる複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載
    のポリエステル組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】チタン化合物触媒が、チタン錯体であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製
    造方法。
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