JP4042449B2 - ポリエチレンテレフタレート不織布 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート不織布 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は開繊性に優れ、糸切れ抑制により操業性が向上された、目付斑(CV値)が5%より小さく均一性、開繊性に優れたポリエチレンテレフタレート不織に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不織布はその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。不織布用に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系、ナイロン等のポリアミド系、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等が用いられるが、その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
【0003】
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。
【0005】
また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフイルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有している。特に不織布の溶融紡糸においては、このアンチモン触媒残渣に起因した糸切れ発生が多く、操業性を低下させる一因となっている。また、特開平9−279459号公報にて開示されているとおり、溶融紡糸で糸切れが生じると、切れた繊維が他の繊維に絡まって未開繊となり、不織布に斑点状の欠点を形成することが知られている。
【0007】
一方、特開平5−321109号公報では特定の側鎖型ポリオキシアルキレン基含有化合物や特定の主鎖型ポリオキシアルキレン基含有物及びスルホン酸金属塩基を有する化合物がそれぞれ特定量共重合されたポリエステルを含む2種以上のポリマーからなる易分割繊維を構成要素としてなる不織布が、吸水性能に優れていることが開示されている。しかし、共重合成分を用いることによる機能化に関しては開示されているが、重合用触媒として用いている化合物はアンチモン化合物であり、その結果得られるポリマーの溶液ヘイズは高くなり、口金汚れに起因した糸切れの問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明では上記の問題点を改良し、糸切れ抑制により操業性が向上された、開繊性に優れ、均一性の高い高品質なポリエチレンテレフタレート不織布を鋭意検討した結果、重合用触媒としてチタン錯体を含むことにより本発明の目的を達成できるという知見を得た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、重合用触媒としてチタン錯体を含むことにより、糸切れ抑制により操業性が向上された、開繊性に優れ、均一性の高い高品質なポリエチレンテレフタレート不織布を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、重合用触媒としてヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸がキレート剤であるチタン錯体を含み、下記式により求められる目付斑(CV値)が5%より小さいことを特徴とするポリエチレンテレフタレート不織布により達成される。
CV値(%)=(標準偏差)/(平均値)×100
(ただし、CV値(%)は、不織布から幅50mm、長さ50mmの大きさの切片を100箇所からサンプリングして各サンプルの重量を測定し、上記式から求めたものである。)
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の不織布を構成するポリエチレンテレフタレートはジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーであって、不織布用として用いることが可能なものであれば特に限定はない。
【0012】
このようなポリエチレンテレフタレートとしては、全酸成分に対して20モル%以下の共重合成分を含むことが好ましい。従って、全酸成分に対して共重合成分を含有していないポリエチレンテレフタレートまたは主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体にて全酸成分に対して0モル%より大きく20モル%以下の共重合成分を含むことになる。この共重合成分として、具体的にはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等が挙げられる。熱圧着品種として低融点ポリエチレンテレフタレートを得るためには、実用性の観点からイソフタル酸またはエステル形成性誘導体が好ましい。また、その含有量は全酸成分に対して20モル%以下であれば、目的とする十分な低融点ポリエチレンテレフタレートを得ることができるため好ましい。さらに好ましくは18モル%以下である。
【0013】
本発明の不織布を構成するポリエチレンテレフタレートには、ジオール成分の共重合成分を含有してもよい。具体的には、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等またはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、その含有量は特に限定されるものではないが、汎用性の観点から全ジオール成分に対して50モル%より少ないことが好ましい。
【0015】
なお、本発明の重合用触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全てまたは一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
従って、特開2000−96430号公報に挙げられている消臭性、抗菌性及び防カビ性を付与するために添加してなるチタン及びケイ素からなる複合酸化物とは光触媒であり、その作用効果が異なる。また、無機粒子として一般的に用いられている酸化チタンも上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の重合用触媒としてのチタン錯体とは異なる。
【0017】
チタン錯体とは、チタン原子に配位する能力を持ったヒドロキシ多価カルボン酸や含窒素多価カルボン酸のキレート剤を含有するチタン化合物であ。このようなチタン錯体を形成するキレート剤としては、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸が挙げられる。
【0018】
本発明における重合用触媒としてのチタン錯体は得られるポリマーに対してチタン原子換算で0.5〜150ppm添加すると重合活性が高く、得られるポリマーの色調及び耐熱性も良好となり好ましい。より好ましくは1〜100ppm、更に好ましくは3〜50ppmである。
【0019】
本発明の重合用触媒としてのチタン錯体は、ポリエチレンテレフタレートの反応系にそのまま添加してもよいが、あらかじめ該化合物をエチレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマーでの異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応触媒やエステル交換反応触媒と一緒にさらに重縮合反応触媒を添加してもよい。
【0020】
本発明の不織布を構成するポリエチレンテレフタレートにおいてはアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物の含有量が金属原子換算でそれぞれ20ppm以下であることが好ましい。この範囲とすることで、成形加工時の口金汚れの発生等が少なく、かつ比較的安価なポリマーを得ることができる。より好ましくは、各化合物の含有量はそれぞれ10ppm以下、特には実質的に含有しないことが好ましい。
【0021】
また、本発明の不織布を構成するポリエチレンテレフタレートの製造方法において任意の時点でさらにコバルト化合物を添加すると得られるポリマーの色調が良好となり好ましい。本発明のコバルト化合物としては特に限定はないが、具体的には、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
【0022】
本発明においては重合反応の途中でポリマーの色調を向上させたり、得られるポリマーの耐熱性を向上させる目的でリン化合物を用いてもよいが、重合用触媒としてのチタン錯体が失活しやすいため、得られるポリマーに対してリン原子換算で10ppm以下となるように添加することが好ましく、より好ましくは実質的に添加しない方が良い。また添加する場合には、リン化合物を添加した後に重合用触媒としてチタン錯体を添加すると重合時間の遅延が少なくなり好ましい。ここでリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ホスフィン酸あるいはこれらのメチルエステル、エチルエステル等、特に限定されない。
【0023】
また、得られるポリマーの色調やポリマーの耐熱性を向上させる目的で、従来既知のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物等を添加してもよい。
【0024】
本発明の不織布を構成するポリエチレンテレフタレートは特開平7−189136号公報に記載されているように、不織布の隠蔽性を向上させるためにポリマー中に酸化チタン粒子等の無機粒子を添加してもよい。この場合、芯鞘複合繊維として芯成分に無機粒子を含有し、鞘成分に無機粒子を少量しか含有しないか全く含有しないポリマーで構成される。熱圧着性品種として鞘成分が芯成分より融点の低いポリマーを用いる場合は、該鞘成分としては、芯成分の融点より好ましくは20℃から60℃低いか、さらに好ましくは25℃〜50℃低い融点を有するポリマーで構成されているのが好ましい。芯成分と鞘成分の融点差が20℃以上であれば、収納袋等のエンボスロールによる熱圧着する場合の接着効果が高くなり、毛羽の発生が抑制でき、また融点差が60℃以下であると、単糸繊度が上昇するに伴い口金より押し出されるフィラメントの冷却効率が低下することによる操業性の低下を抑制することができる。従って、本発明の重合用触媒としてチタン錯体を含有する主としてポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル共重合体を鞘成分に用いることで、口金汚れに起因した糸切れを抑制することができる。この時、芯成分にも重合用触媒としてチタン錯体を含有するポリエチレンテレフタレートを用いてもよい。
【0025】
また、本発明の目的を達成するためには、得られたポリエチレンテレフタレートを海/島型複合繊維として用いて不織布を製造してもよい。この場合、海成分及び/または島成分にポリエチレンテレフタレートを用いることができる。
【0026】
本発明の製造方法を説明する。
【0027】
不織布を構成するポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン錯体を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、通常既知の、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム等の化合物や本発明のチタン触媒を用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
【0028】
本発明の製造方法は、(1)または(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)または(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、粒子として酸化チタン、コバルト化合物等を添加した後、重縮合触媒としてチタン錯体を添加し重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
【0029】
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
【0030】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエチレンテレフタレート中のチタン元素、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)またはICP発光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、SPS1700)により求めた。なお、必要に応じて、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するために次の前処理をした上で蛍光X線またはICP発光分析を行った。すなわち、ポリエチレンテレフタレートをオルソクロロフェノールに溶解し、必要に応じてクロロホルムで該ポリマー溶液の粘性を調製した後、遠心分離器で粒子を沈降させる。その後、傾斜法で上澄み液のみを回収し、アセトン添加によりポリマーを再析出、濾過、洗浄して粒子を除去したポリマーとする。以上の前処理を施して得られた粒子を除去したポリマーについてチタン元素量、アンチモン元素及びゲルマニウム元素の分析を行った。
(2)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。以降IVと記す。
(3)融点
測定する試料約10mgを精秤し、アルミニウム製オープンパン及びパンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製、DSC7型)を用いて、窒素気流下、20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温させ、その途中で観察される融点ピーク温度を融点とした。
(4)溶液ヘイズ
測定する試料約2gをオルソクロロフェノール20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製,HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法にて分析を行った。なお、対象となるポリエチレンテレフタレート中の酸化チタン粒子等の無機粒子の影響を除去するため、上記(1)記載と同様な前処理を施してポリマーを得た。
【0031】
なお、溶液ヘイズが2%より小さければ異物の含有率が少なく、製糸性に優れたポリマーであると言える。
(5)目付斑(以降CV値と記す)
CV値は特開平5−59653号公報にて開示されているとおり、不織布の均一性尺度を表すもので、幅50mm、長さ50mmの大きさの切片を100箇所からサンプリングして各サンプルの重量を測定し、次式により求めた。
【0032】
CV値(%)=(標準偏差)/(平均値)×100
なお、CV値が5%より小さければ開繊性が良好で、4%より小さければ開繊性が優れている。
(6)単糸切れ回数
糸切れ状態を180分間測定し、その回数を求めた。
【0033】
実施例1
A.芯成分ポリエチレンテレフタレートの製造方法
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
【0034】
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを得られるポリマーに対して0.3重量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルトのエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してコバルト原子換算で30ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、クエン酸キレートチタン化合物の0.15重量%エチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。なお、クエン酸キレートチタン化合物の合成方法は以下のとおりである。
(クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた1Lのフラスコ中に温水(92.8g)にクエン酸・一水和物(132.5g、0.63モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(72.0g、0.25モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(94.86g、0.76モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(125.54g、20モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
【0035】
得られたポリマーのIVは0.66、ポリマーの融点は259℃、溶液ヘイズは0.%であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppmであることを確認した。
【0036】
B.鞘成分ポリエチレンテレフタレートの製造方法
上記Aの製造方法にて仕込みのジカルボン酸成分をテレフタル酸90kg、イソフタル酸(三井化学社製)10kg、また、酸化チタン粒子の含有量を得られるポリマーに対して0.1重量%添加した以外は同様にしてポリマーを重合した。得られたポリマーのIVは0.62、ポリマーの融点は227℃であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppmであることを確認した。
【0037】
C.紡糸方法
芯成分と鞘成分をそれぞれ280℃に溶融した後、吐出孔径が0.5mmφ、孔数が200ホールの芯鞘紡糸口金より芯成分吐出量240g/分、鞘成分60g/分とし、紡出した連続フィラメントをエアーサッカー圧力5.5kg/cmで高速吸引した後、エアー流とともに衝突板に衝突させフィラメントを開繊し、シート目付が50g/m2となるよう調整したネットコンベアーに捕集した。引き続き235℃に加熱したエンボスロールにより部分的に熱圧着し不織布を得た。
【0038】
得られた不織布は、CV値が3.0%と開繊性に優れており、糸切れ状態を180分間測定したが0回であり、操業性に優れていた。
【0039】
実施例2
共重合成分であるイソフタル酸の添加量を20モル%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が3.%と開繊性に優れており、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。
【0040】
実施例3
共重合成分であるイソフタル酸の添加量を2モル%、芯成分比率を60重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が4.%と開繊性が良好であり、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。
【0041】
実施例4
共重合成分であるアジピン酸の添加量を5モル%に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が4.%と開繊性が良好であり、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。
【0042】
実施例5
芯成分ポリエチレンテレフタレートの重縮合触媒として三酸化アンチモンを得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で10ppm添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が4.9%と開繊性が良好であり、糸切れは2回発生したが、操業性に問題はなかった。
【0043】
実施例6
芯成分ポリエチレンテレフタレートのエステル化反応(以降ES反応と記す)触媒としてクエン酸キレートチタン化合物を、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを供給する前にエステル化反応槽に、得られるポリマーに対してチタン原子換算で15ppm添加し、重縮合反応では改めてチタン錯体を触媒として添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が3.1%と開繊性に優れており、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。
【0044】
実施例7
鞘成分ポリエチレンテレフタレートのES反応触媒として乳酸キレートチタン化合物を、テレフタル酸とエチレングリコールのスラリーを供給する前にES反応槽に、得られるポリマーに対してチタン原子換算で15ppm添加し、重縮合反応では改めてチタン錯体を触媒として添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が3.%と開繊性に優れており、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。なお、乳酸キレートチタン化合物の合成方法は以下のとおりである。
(乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた1Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(284.8g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(217.85g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(251.98g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
【0058】
実施例
溶融紡糸を単成分にて行ったこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。その結果、得られた不織布は、CV値が3.%と開繊性に優れており、糸切れは0回であり、操業性に優れていた。
実施例1〜8の結果を表1に示した。
【0060】
比較例1
触媒に三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppm添加したこと以外は実施例1と同様にして重合し、溶融紡糸を行った。触媒を変更しても重合反応性は良好に推移するが、得られるポリマーの溶液ヘイズは2.4%と高く、紡糸時に口金汚れが発生し、糸切れは12回起き、操業性に劣っていた。また、得られた不織布は、CV値が8.8%であり開繊性が不良であった。
【0061】
比較例2
芯成分ポリエチレンテレフタレートにて重縮合触媒として酸化ゲルマニウム(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してゲルマニウム原子換算で150ppm添加したこと、鞘成分ポリエチレンテレフタレートにて重縮合触媒として三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppm添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。触媒を変更しても重合反応性は良好に推移するが、重縮合触媒として三酸化アンチモンを用いた時は得られるポリマーの溶液ヘイズは2.4%と高く、紡糸時に口金汚れが発生し、糸切れは10回起き、操業性に劣っていた。また、得られた不織布は、CV値が6.8%であり開繊性が不良であった。
【0062】
比較例3
触媒に酢酸アンチモン(住友金属鉱山社製)を、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppm添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリマーを重合し、溶融紡糸を行った。触媒を変更しても重合反応性は良好に推移するが、得られるポリマーの溶液ヘイズは2.2%と高く、紡糸時に口金汚れが発生し、糸切れは12回起き、操業性に劣っていた。また、得られた不織布は、CV値が9.0%であり開繊性が不良であった。
【0063】
較例1〜3の結果を表に示した。
【0064】
【表1】
Figure 0004042449
【0065】
【表2】
Figure 0004042449
【0067】
【発明の効果】
本発明により、糸切れ抑制により操業性が向上された、、開繊性に優れ、均一性の高い高品質なポリエチレンテレフタレート不織布を提供することができる

Claims (4)

  1. 重合用触媒としてヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸がキレート剤であるチタン錯体を含み、下記式により求められる目付斑(CV値)が5%より小さいことを特徴とするポリエチレンテレフタレート不織布。
    CV値(%)=(標準偏差)/(平均値)×100
    (ただし、CV値(%)は、不織布から幅50mm、長さ50mmの大きさの切片を100箇所からサンプリングして各サンプルの重量を測定し、上記式から求めたものである。)
  2. 全酸成分に対する共重合成分の含有量が20モル%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエチレンテレフタレート不織布。
  3. 請求項2記載の共重合成分がイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート不織布。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のチタン錯体がポリエチレンテレフタレートに対して、チタン原子換算で0.5〜150ppmであることを特徴とするポリエチレンテレフタレート不織布。
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