JP2007211035A - 繊維用ポリエステル組成物、それを用いた高強度ポリエステル繊維およびそれを用いたシートベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の目的は、良好な色相および耐熱性を有し、紡糸口金異物起因および延伸工程における毛羽が抑制されたシートベルト用ポリエステル繊維を提供することにある。
【解決手段】
チタン錯体化合物を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、該チタン錯体化合物のキレート剤がヒドロキシ多価カルボン酸及び/または含窒素多価カルボン酸であり、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、該金属化合物の金属原子の総含有量(ppm)(M)が下記数式1を満足する固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物により解決される。
10≦M≦100 式1
【選択図】なし
本発明の目的は、良好な色相および耐熱性を有し、紡糸口金異物起因および延伸工程における毛羽が抑制されたシートベルト用ポリエステル繊維を提供することにある。
【解決手段】
チタン錯体化合物を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、該チタン錯体化合物のキレート剤がヒドロキシ多価カルボン酸及び/または含窒素多価カルボン酸であり、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、該金属化合物の金属原子の総含有量(ppm)(M)が下記数式1を満足する固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物により解決される。
10≦M≦100 式1
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維用ポリエステル組成物、それを用いたシートベルト用ポリエステル繊維、およびシートベルトに関する。さらに詳しくは、良好な色相を有し、毛羽が少ない繊維を製造するための繊維用ポリエステル組成物に関するものである。また、それを用いた高強度ポリエステル繊維およびシートベルトに関するものである。
直鎖状のポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等は優れた物性を有し、その機能性の有用さから繊維、フィルム、その他の成型物の素材として多目的に用いられており、これらの繊維、フィルム、その他の成型物等は自動車、機械部品、電気・電子材料、建材、容器、各種工業資材用途としても広く活用されている。なかでもポリエステル繊維は、種々の優れた特性を有するため、工業用として広く利用されている。
ところがこれらの重縮合反応段階で使用する触媒の種類によっては、反応速度および得られるポリエステルの品質が大きく左右されることはよく知られており、ポリエチレンテレフタレートの重縮合触媒としては、アンチモン化合物が優れた重縮合触媒性能を有し、かつ、色調の良好なポリエステルが得られるなどの理由から最も広く使用されている。
しかしながら、アンチモン化合物を重縮合触媒として使用した場合、ポリエステルを長時間にわたって連続的に溶融紡糸すると、口金孔周辺に異物(以下、単に口金異物と称することがある。)が付着堆積し、溶融ポリマー流れの曲がり現象(ベンディング)が発生し、これが原因となって紡糸、延伸工程において毛羽、断糸あるいは繊維物性の斑などが発生するという問題がある。
一般に特にシートベルトの用途では、高い強度が要求され、さらにはゴム補強用途などとは異なり、繊維が露出する用途であるため色調が良いことに加えて毛羽の少ないなどの外観も重要である。そのため上記の口金異物の堆積による毛羽は製品の重大な欠点であった。
この問題を回避するため、該アンチモン化合物以外の重縮合触媒として、チタンテトラブトキシドのようなチタン化合物を用いることが提案されているが、このようなチタン化合物を使用した場合、熱的安定性が悪く、溶融時の劣化が激しい為に繊維の高タフネス化が難しい。また、得られたポリエステル自身が黄色く変色したものであり、繊維用途に使用したとき、得られた繊維の色調が悪化するという問題があった。
これに対し、重合用触媒としてチタン化合物とリン化合物とからなるチタン錯体をポリエステル重合用触媒として用いる提案がされている(特許文献1〜3参照)。この方法によれば触媒に起因した異物を少なくすることができるが、紡糸紡糸工程での毛羽は改善されるものの、高い粘度のポリエステルを用いた場合には延伸工程で毛羽が発生するといった問題が認められた。
特表2001−524536号公報(第1頁)
特表2002−512267号公報(第1頁)
特開2002−293909号公報(第1頁)
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、良好な色相および耐熱性を有し、紡糸口金での異物の発生起因および延伸工程における毛羽の少ない高強度ポリエステル繊維を製造するためのポリエステル組成物を提供することにある。また、毛羽が少なく良好な色相を有した高強度ポリエステル繊維を提供することにある。更に、染色斑や毛羽欠点の少ないシートベルトを提供することである。
前記した本発明の目的は、チタン錯体化合物を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、該チタン錯体化合物のキレート剤がヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸であり、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、該金属化合物の金属原子の総含有量(ppm)(M)が下記数式4を同時に満足する、固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物により達成される。
10≦M≦100 式4
チタン錯体化合物を重合触媒とし、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を含有し、固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物とすることによって、良好な色相および耐熱性を有し、紡糸口金の異物の発生起因および延伸工程における毛羽が抑制された高強度ポリエステル繊維を得ることがきる。
更に、前記高強度ポリエステル繊維を用いることにより、染色斑や毛羽欠点の少ないシートベルトを得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における繊維用ポリエステル組成物は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリエステル組成物であって、溶融紡糸により繊維化が可能なポリエステル組成物である。
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
また、これらのポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成物誘導体等が共重合されていてもよい。
本発明のチタン錯体化合物とは、チタン原子に配位する能力を持ったキレート剤を含有するチタン化合物であって、キレート剤としては、ヒドロキシ多価カルボン酸及び/または含窒素多価カルボン酸のチタンキレートを用いることを特徴とする。
キレート剤として使用されるヒドロキシ多価カルボン酸及び含窒素多価カルボン酸は特に限定はされないが、例えばリンゴ酸、クエン酸などのヒドロキシ多価カルボン酸、エチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸などの含窒素多価カルボン酸があげられる。
本発明ではポリエステル中のチタン錯体化合物の含有量がチタン原子換算で0.5〜150ppmであることが好ましい。チタン錯体化合物の含有量がチタン原子換算で0.5ppm未満ではポリエステルの重合反応性が低下してしまい目標とする分子量のポリエステルを得るために長い重合時間を要してしまうなど、生産性やポリエステルの一般特性を損なう傾向がある。また、チタン錯体化合物の含有量がチタン原子換算で150ppmを超えると熱安定性が低下し、ポリエステルが溶融したときに分子量低下が大きくなり、また、ポリエステルの色調が黄味が強くなる傾向があるため好ましくない。チタン錯体化合物の含有量がチタン原子換算で1〜50ppmの範囲がより好ましく、3〜20ppmが更に好ましい。
本発明のポリエステルには更にリン化合物がリン原子換算で0.1〜400ppm含有しているとポリマーの熱安定性が向上し、溶融紡糸時の分子量低下が小さく、また、ポリマーや得られる繊維の色調が良好となり好ましい。より好ましくは1〜150ppmである。
ポリエステルに含有されるリン化合物は、ポリエステルの製造過程で添加したリン化合物の残渣である。このようなリン化合物としては特に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びこれらの低級アルキルエステルやフェニルエステルが挙げられるが特に限定はない。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、メチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、メチルホスホン酸メチルエステル、フェニルホスホン酸エチルエステル、ベンジルホスホン酸フェニルエステル、ホスホノ酢酸エチルエステル等が挙げられる。
本発明におけるポリエステルにはチタン錯体化合物とリン化合物を含有してなり、チタン錯体化合物のチタン原子換算の含有量(Ti)とリン化合物のリン原子換算の含有量のモル比(Ti/P)が0.1〜20であることが好ましい。Ti/Pが0.1未満であると重合反応性が低下し、生産性や物性の点で好ましくない傾向がある。Ti/Pが20を超えるとポリエステルの熱安定性、溶融耐熱性や色調が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明ではアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選ばれる少なくとも1種類の金属化合物を含有することが必要である。チタン化合物を触媒として用いた場合、該金属化合物を含有しないと固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物で繊維を製造する工程、特に延伸工程における毛羽が多発する。この現象は従来から多用されているアンチモン化合物触媒では認められず、また、チタン化合物を触媒として用いた場合でも繊維の固有粘度が0.8未満のポリエステルでは延伸工程での毛羽は認められない。すなわち、チタン化合物を触媒とし、高い固有粘度、特に固有粘度が0.8以上のポリエステルに特有の現象である。この現象について鋭意検討した結果、この現象の原因はポリエステルの結晶性に影響することであることがわかった。即ち、チタン化合物を重縮合触媒としたポリエステルはアンチモン化合物を触媒としたポリエステルと比較して結晶化しにくく、固有粘度を高くすることで更に結晶化しにくくなる。そのため、製糸工程において延伸時に結晶の生成および成長が起こりにくいため、毛羽が発生すると推定される。検討の結果、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物を併用することにより、チタン化合物を触媒としたポリエステルであっても結晶化しやすくなり、毛羽の発生が著しく改善されることを突きとめた。
即ち、本発明は、チタン系重縮合触媒を用いてポリエステルを製造するに際して、チタン触媒を用いた固有粘度が0.8以上のポリエステル組成物を用いて繊維を製造する際、特に延伸工程での毛羽発生という固有の問題の回避方法を新たに見出したものである。
本発明ではアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物より選ばれる少なくとも1種の化合物を特定量含有することが必要である。該金属化合物は特に限定はされないが、ナトリウム化合物および/またはマグネシウム化合物を含有すると毛羽の抑制効果が大きく好ましい。
本発明のアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の含有量は金属原子換算で下記数式5を満足する必要がある。
10≦M≦100 式5
該金属化合物の含有量が10ppmより少ないと毛羽の抑制効果が発現せず延伸工程での毛羽の多発する。また、100ppmを超えると金属化合物による異物が発生し、発生した異物の影響により毛羽が発生したり、繊維の強度、タフネスおよび耐久性が低下し、例えばシートベルトとしたときの物性が低下してしまう。好ましくは20ppm以上80ppm以下である。
該金属化合物の含有量が10ppmより少ないと毛羽の抑制効果が発現せず延伸工程での毛羽の多発する。また、100ppmを超えると金属化合物による異物が発生し、発生した異物の影響により毛羽が発生したり、繊維の強度、タフネスおよび耐久性が低下し、例えばシートベルトとしたときの物性が低下してしまう。好ましくは20ppm以上80ppm以下である。
本発明ではポリエステル中に更にマンガン化合物をマンガン原子換算で1〜400ppm含有していると耐候性が向上するため好ましい。400ppmを超えるとポリエステルの熱安定性が低下して、溶融耐熱性や色調が低下する傾向にある。
更にポリエステル中のマンガン原子換算の含有量(Mn)とリン原子換算の含有量のモル比(Mn/P)が0.1〜200であることが好ましい。Mn/Pが200を超えるとポリエステルの熱安定性が低下して、溶融耐熱性や色調が低下する傾向にある。
本発明の繊維用ポリエステル組成物は、上記のポリエステルから構成される繊維であり、繊維の固有粘度は0.8以上であることが必要である。0.8未満であると繊維とした場合、強度、タフネスおよび耐久性が低下してしまい好ましくない。好ましくは0.90以上であり、製糸性など操業性における安定性から1.3以下が好ましい。
本発明の繊維用ポリエステル組成物には周知の種々の添加剤を目的に応じて使用することができる。例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤および結晶化促進剤(核剤)等である。
本発明の高強度ポリエステル繊維は繊維強度が7cN/dtex以上であることが好ましい。強度は高強力であるほど好ましいが、通常の範囲は、7〜11cN/dtex、さらには7.5〜9.5cN/dtex程度である。
このような本発明の高強度ポリエステル繊維の製造方法としては特に限定はなく、従来公知のポリエステルを溶融紡糸する方法を用いることができるが、例えばポリエステルを270℃〜300℃の範囲で溶融紡糸して製造することが好ましく、溶融紡糸の速度は400〜5000m/分で紡糸することが好ましい。紡糸速度がこの範囲にあると、得られる繊維の強度も十分なものであると共に、安定して巻き取りを行うこともできる。また延伸はポリエステル繊維を巻き取ってから、あるいは一旦巻き取ることなく連続的に延伸処理することによって、延伸糸を得ることができる。また繊維断面形状は特に規定する必要は無く、円形であっても異形であってもどちらでもよいが、高強度とするためには円形であることが好ましい。
本発明のポリエステル繊維を用いて、シートベルトウェビングを製織、染色したシートベルトは色相に優れ、染色斑や毛羽欠点の少ないものとなる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステル中のチタン元素、アンチモン元素、リン元素、マンガン元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。
(2)ポリマーおよび糸の固有粘度(IV)
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)強度、伸度
(株)東洋ボールドウィン製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強度を算出した。
(4)耐候後強度保持率
原糸をサンシャインウェザーメータにて、83℃×200時間の照射を行った後、(株)東洋ボールドウィン製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強度を算出し、上記で求めた処理前の値からの下記式6より保持率を算出した。
(1)ポリエステル中のチタン元素、アンチモン元素、リン元素、マンガン元素の含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)により求めた。
(2)ポリマーおよび糸の固有粘度(IV)
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(3)強度、伸度
(株)東洋ボールドウィン製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強度を算出した。
(4)耐候後強度保持率
原糸をサンシャインウェザーメータにて、83℃×200時間の照射を行った後、(株)東洋ボールドウィン製テンシロン引張試験機を用い、試長25cm、引取速度30cm/分でS−S曲線を求め強度を算出し、上記で求めた処理前の値からの下記式6より保持率を算出した。
耐候後強度保持率=(耐候後強度)/(原糸強度)×100 式6
(5)毛羽回数
紡糸を5分間観察して、延伸巻取りローラーに発生した毛羽の回数を求めた。なお、1日目とは巻取りを開始して10分後から毛羽回数を求めた値であり、5日目とは96時間後から毛羽の回数を求めた値である。
(6)シートベルトの品位
ポリエステル高強度繊維を経糸に用いて、シートベルトを作成し、表面に毛羽が無いもの、もしくは目立たないものを〇、毛羽が目立つものを×とした。
(5)毛羽回数
紡糸を5分間観察して、延伸巻取りローラーに発生した毛羽の回数を求めた。なお、1日目とは巻取りを開始して10分後から毛羽回数を求めた値であり、5日目とは96時間後から毛羽の回数を求めた値である。
(6)シートベルトの品位
ポリエステル高強度繊維を経糸に用いて、シートベルトを作成し、表面に毛羽が無いもの、もしくは目立たないものを〇、毛羽が目立つものを×とした。
また、実施例中で使用した化合物については次のものを使用した。
(1)クエン酸キレートチタン化合物
クエン酸キレートチタンは以下の合成法により得た。
(1)クエン酸キレートチタン化合物
クエン酸キレートチタンは以下の合成法により得た。
攪拌機、凝縮器及び温度計を備えた1Lのフラスコ中に温水(92.8g)にクエン酸・一水和物(132.5g、0.63モル)を溶解させた。この攪拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(72.0g、0.25モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、その攪拌されている溶液にNaOH(94.86g、0.76モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(125.54g、20モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
(2)リン酸
和光純薬より市販されている特級試薬を用いた。
(3)酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム及び酢酸マンガン
和光純薬より市販されている特級試薬を用いた。なお、酢酸リチウムは2水和物、酢酸カルシウムは1水和物、酢酸マンガンは4水和物を用いた。
(2)リン酸
和光純薬より市販されている特級試薬を用いた。
(3)酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム及び酢酸マンガン
和光純薬より市販されている特級試薬を用いた。なお、酢酸リチウムは2水和物、酢酸カルシウムは1水和物、酢酸マンガンは4水和物を用いた。
実施例1
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105 Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105 Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、リン酸のエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算
で10ppmとなるように加えた。5分間攪拌した後、酢酸ナトリウムを得られるポリマーに対してナトリウム原子換算で14ppm、酢酸マンガンを得られるポリマーに対しマンガン原子換算で45ppm、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで撹拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の攪拌トルク到達までの時間は3時間であった。
で10ppmとなるように加えた。5分間攪拌した後、酢酸ナトリウムを得られるポリマーに対してナトリウム原子換算で14ppm、酢酸マンガンを得られるポリマーに対しマンガン原子換算で45ppm、クエン酸キレートチタン化合物を得られるポリマーに対してチタン原子換算で10ppmとなるように添加し、その後、低重合体を30rpmで撹拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の攪拌トルク到達までの時間は3時間であった。
得られたポリマーのIVは0.72であった。また、ポリマーから測定したチタン触媒由来のチタン原子の含有量は10ppm、リン原子の含有量は10ppm、マンガン原子の含有率は45ppm、ナトリウム原子の含有率は14ppmであることを確認した。このポリマーを160℃で5時間予備乾燥後、反応系を225℃にし、圧力を40Paまで下げて固相重合し、IVが1.23のチップを得た。
固相重合により得られたチップを紡糸温度300℃にて溶融し、孔数140の紡糸口金から吐出した。
吐出された糸条は直ちに温度290℃の加熱筒を通過した後、風速30m/分で25℃の冷却風を糸条に吹付けて冷却、固化させ、ついで油剤を延伸糸で0.6%の油分量となる量で付与した後、550m/分で引取った。
この糸条を一旦巻取ることなく5%のプレストレッチを与えた後、1段目で3.7倍、2段目で1.59倍に延伸し、各ローラー温度を70℃、100℃、120℃、230℃として熱処理し、2.0%の限定弛緩した後に巻取り、1500デニール、140フィラメント、単糸繊度10.7dの原糸を得た。この原糸の物性測定結果を表1に示した。
また、製造開始後隔日毎に得られたポリエステル高強度繊維を経糸に用いて、シートベルトを作成した。得られたシートベルトは毛羽が目立たなかった。
実施例2〜5
クエン酸キレートチタン化合物、リン酸、酢酸マンガンおよび酢酸ナトリウムの含有量を表1に示した含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
クエン酸キレートチタン化合物、リン酸、酢酸マンガンおよび酢酸ナトリウムの含有量を表1に示した含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
実施例6〜9
酢酸ナトリウムを表2に示した金属化合物および含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示した。
酢酸ナトリウムを表2に示した金属化合物および含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表2に示した。
比較例1
実施例1と同様にエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
実施例1と同様にエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、リン酸のエチレングリコール溶液を得られるポリマーに対してリン原子換算
で40ppmとなるように加えた。5分間攪拌した後、酢酸マンガンをマンガン原子換算で45ppm、三酸化アンチモンを得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppmとなるように添加し、実施例1と同様に重縮合反応、固相重合、溶融紡糸・延伸を行い、シートベルトを作成した。結果を表3に示した。
で40ppmとなるように加えた。5分間攪拌した後、酢酸マンガンをマンガン原子換算で45ppm、三酸化アンチモンを得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で400ppmとなるように添加し、実施例1と同様に重縮合反応、固相重合、溶融紡糸・延伸を行い、シートベルトを作成した。結果を表3に示した。
比較例2
比較例1において更に酢酸ナトリウムをポリマーに対しナトリウム原子換算で56ppmとなるように添加した以外は比較例1と同様に実施した。結果を表3に示した。
比較例1において更に酢酸ナトリウムをポリマーに対しナトリウム原子換算で56ppmとなるように添加した以外は比較例1と同様に実施した。結果を表3に示した。
比較例3および4
酢酸ナトリウムを表3に示した含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表3に示した。
酢酸ナトリウムを表3に示した含有量とした以外は実施例1と同様に実施した。結果を表3に示した。
比較例5
固相重合を行わなかった以外は比較例3と同様に実施した。結果を表3に示した。
固相重合を行わなかった以外は比較例3と同様に実施した。結果を表3に示した。
実施例に示したとおり、アルカリ金属・アルカリ土類金属化合物を特定の範囲で添加したものは、糸の固有粘度が高いにもかかわらず毛羽の発生が少なく製糸性が良好であり、原糸物性や原糸を用いて作成したシートベルトの品位も良好であった。特にナトリウム化合物やマグネシウム化合物を用いた場合に毛羽の発生量が大きく減少した。
しかし、比較例4および5に示したとおりアルカリ金属・アルカリ土類金属化合物の添加量が特定の範囲から外れると製糸性の低下や毛羽が多発し、原糸物性、特に強度が低下した。
比較例1および2に示したとおり、三酸化アンチモンを用いた場合には製造時間が経過するに従い製糸性が悪くなった。また、アルカリ金属・アルカリ土類金属を添加しても製糸性や原糸の品位が改善することはなかった。これは、アンチモン触媒に起因する異物が口金に堆積し、口金汚れが原因で原糸の品位が低下していることを意味している。
即ち、本発明の特許請求の範囲内にあるものは製糸性が良好であり、得られた原糸の物性や毛羽などに見られる品位が良好である。しかし、特許請求の範囲から外れるものについては製糸性や原糸の品位が劣り、シートベルトとした場合にも毛羽の多いものであった。
Claims (6)
- チタン錯体化合物を主たる触媒として製造されたポリエステルであって、該チタン錯体化合物のキレート剤がヒドロキシ多価カルボン酸及び/または含窒素多価カルボン酸であり、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を含有し、該金属化合物の金属原子の総含有量(ppm)(M)が下記数式1を満足する固有粘度が0.8以上の繊維用ポリエステル組成物。
10≦M≦100 式1 - チタン錯体化合物をポリエステルに対するチタン原子換算で0.5〜150ppm含有し、更にリン化合物をポリエステルに対するリン原子換算で0.1〜400ppm含有し、チタン原子の含有量(Ti)とリン原子の含有量(P)のモル比が下記数式2を満足する請求項1記載の繊維用ポリエステル組成物。
0.1≦Ti/P≦20 式2 - 更にマンガン化合物をポリエステルに対するマンガン原子換算で1〜400ppm含有し、マンガン原子の含有量(Mn)とリン原子の含有量(P)のモル比が下記数式3を満足することを特徴とする請求項1または2記載の繊維用ポリエステル組成物。
0.1≦Mn/P≦200 式3 - 前記金属化合物がナトリウム化合物および/またはマグネシウム化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維用ポリエステル組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の繊維用ポリエステル組成物を用いて製造した高強度ポリエステル繊維。
- 請求項5の高強度ポリエステル繊維を用いたシートベルト。
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