JP5245630B2 - ポリエステルの製造方法およびそのポリエステルを用いてなるポリエステル繊維 - Google Patents
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Description
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
本発明のポリエステル繊維は、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、次式により算出される耐光性テスト後の強度保持率が、70〜99%の範囲であることが好ましい。この耐光性テストの強度保持率が高いことは、産業資材用ポリエステル繊維の屋外環境下における使用において、劣化の進行速度が遅く、一気に強力が低下しないことを示しており、破断等の危険性を未然に防ぐことが可能となる。より好ましくは75〜99%の範囲であり、さらに好ましくは80〜99%の範囲である。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
本発明のポリエステル繊維は、上記のような優れた特性を有することから、主にタイヤコードやベルト、ホースなどのゴム補強用繊維として、また、シートベルト用や漁網用繊維などの産業資材用として種々な用途に適用することができる。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーのカルボキシル末端基量
オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)Δカルボキシル末端基290、Δb値290
ポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間加熱溶融させた後、前記(2)および(3)の測定方法にてカルボキシル末端基量および色調を測定し、加熱溶融前後の差をそれぞれΔカルボキシル末端基290、Δb値290として測定した。
(5)結晶性の測定
示差走査熱量測定(Perkin Elmer社製、DSC−7)を用いて、昇温結晶化温度と降温結晶化温度を測定した。サンプル量は10mgで、ポリマーを一度溶融させた後急冷させ、その後徐々に昇温と降温を行う2nd run法にて測定を行った。昇温は50〜300℃の範囲を昇温速度16℃/分、降温は300℃〜75℃の範囲を降温速度16℃/分にて測定を行った。
(6)製糸性評価
ポリエステルを到達水分率が50ppm以下に乾燥後、290℃の溶融部で溶融し、紡糸温度300℃のスピンブロックへ導き、限界濾過径10μmの金属不織布で濾過した後、口金面温度290℃とした口金から溶融紡糸し、第一ローラー、第二ローラー、巻き取りをそれぞれ6000m/分の速度で引取り、40デニール12フィラメントの延伸糸とした。この条件において72時間紡糸を行い、その糸切れ回数を測定し、ポリマー1t当たりの糸切れ回数を計測した。
(7)口金の堆積物の観察
前記(6)の評価法において、評価開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
(8)強伸度
東洋ボードウイン社製テンシロン引張試験機を用いて、試料長25cm、引張速度30cm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強度4.0cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度を求めた。タフネスは破断時の強度T(cN/dtex)と伸度E(%)からT・√Eにより求めた。
(9)耐加水分解性
相対湿度100%、110℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW0、処理後のサンプルの強度をSTW1として、次式により算出した。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
(10)耐光性
紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、60℃下、100時間、照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、次式により算出した。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
リン化合物の種類を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例4,5では、わずかに結晶性、色調が若干劣るものの、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、実施例4、5では、わずかに紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられたが、操業上問題ないレベルであった。
マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、色調調整剤の添加量を表1に記載されている通りにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例6、9、11では結晶性、色調がわずかに劣ったが得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性ともに優れていた。また、実施例11ではわずかに糸切れがみられたが、これらの水準では紡糸時の口金孔周辺の堆積物はほとんど見られなかった。
チタン化合物の種類を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例14は、わずかに色調が劣ったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では結晶性、色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
チタン化合物の添加量を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例21では、わずかに結晶性、色調が劣ったが、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
実施例1〜5、16、19で得られたペレットを、150℃3時間真空乾燥した後、固相重合を行った。固相重合は、下部から不活性ガスなどが流通できる構造を持った管状の装置を用いて、100Paの減圧下、225℃で12時間実施した。この固相重合チップを実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例25〜28では、わずかに結晶性、色調が劣ったが、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
リン化合物を添加しない以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは結晶性が悪く、また色調は黄色味を帯びており、また耐熱性の劣ったポリマーであった。また、紡糸時の糸切れも頻繁に発生した。
リン化合物を表3に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例2、3では、色調は黄色味を帯びており、また耐熱性が劣っていた。また比較例2〜6は、結晶性が悪いポリマーであった。これらの水準では、紡糸時の糸切れも頻繁に発生した。
表3に記載されている通りに造核剤を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例7〜9では、結晶性は良好であったが、色調は黄色味を帯びており、また耐熱性が劣っていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられ、糸切れが多く発生した。
チタン化合物の代わりに、アンチモン化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れたものであったが、紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられ、糸切れが多く発生した。
Claims (9)
- チタン系重縮合触媒中のチタン原子と式1で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.01〜1.5であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
- チタン系重縮合触媒が、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
- 150℃、12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後のポリマー色調b値の変化が0以上5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステル。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維の強度が4〜12cN/dtex、伸度が8〜50%の範囲であることを特徴とするポリエステル繊維。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW0、処理後のサンプルの強度をSTW1として、下記式により表される耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とするポリエステル繊維。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、下記式により表される耐光性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とするポリエステル繊維。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STL1/STL0)×100
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