JP5245630B2 - ポリエステルの製造方法およびそのポリエステルを用いてなるポリエステル繊維 - Google Patents

ポリエステルの製造方法およびそのポリエステルを用いてなるポリエステル繊維 Download PDF

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Description

本発明は結晶性、製糸性に優れたポリエステルの製造方法およびそのポリエステルを用いてなるポリエステル繊維に関するものである。更に詳しくは、従来品に比べて製糸性が大幅に向上し、また耐加水分解性および耐光性に優れているため、産業資材用に適したポリエステル繊維に関するものである。
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れを発生させ、製糸性を低下させる一因となっている。
上記のような背景からアンチモンを含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量も少なく非常に高価であることから汎用的に用いることは難しい。
この問題に対して重合用触媒としてチタン化合物を用いる検討が盛んに行われている。チタン化合物はアンチモン化合物に比べて触媒活性が高く、少量の添加で所望の触媒活性を得ることができるため、異物粒子の発生や口金汚れを抑制することができる。しかし、チタン化合物を重合触媒として用いると、その活性の高さゆえに熱分解反応や酸化分解反応などの副反応も促進するため、熱安定性が悪くなりポリマーが黄色く着色するという課題が生じる。ポリマーが黄色味を帯びるということは、例えばポリエステルを繊維として用いる場合、特に衣料用繊維では商品価値を損なうので、好ましくない。かかる問題に対して、チタン化合物とともにリン化合物を添加することでポリマーの耐熱性や色調を向上させる検討が広くなされている。この方法は、リン化合物により高すぎるチタンの活性を抑制して、ポリマーの耐熱性や色調を向上させるというものである。例えば、チタン化合物を触媒として用いるポリエステルの製造方法において、リン化合物としてリン酸や亜リン酸を添加する方法(特許文献1)や、リン化合物としてホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物を添加する方法(特許文献2、3)などが明示されている。しかしながら、これらの方法を用いると、確かにポリマーの耐熱性に一定の向上は見られるものの、一定量以上のリン化合物を加えるとチタン化合物の重合活性が抑えられ過ぎて、目標の重合度まで到達しなかったり、重合反応時間が遅延するので結果としてポリマーの色調が悪化するといった問題が発生した。この課題に対して、我々の研究グループでは、リン化合物を重合反応後半に添加することにより、重合時間の遅延無く、耐熱性・色調を改善出来ることを見出した(特許文献4、5)。しかしながら、この方法では耐熱性・色調は改善することが出来たものの、ポリエステルの成形加工性、特にポリエステルの製糸性に課題を残していた。
本発明では、製糸性を向上させるべく鋭意検討した結果、チタン系化合物を重合触媒として用いてポリエステルを製造する工程において、特定のリン化合物を添加することにより達成できるという知見を得た。
特開平6−100680号公報(特許請求の範囲) 特開2004−292657号公報(特許請求の範囲) 特開2005−97466号公報(特許請求の範囲) 特開2008−111088号公報(特許請求の範囲) 特開2008−115354号公報(特許請求の範囲)
本発明は上記従来の問題を解消し、結晶性、製糸性に優れたポリエステルの製造方法およびそのポリエステルを用いてなるポリエステル繊維に関するもので、従来品に比べて製糸性が大幅に向上し、また耐加水分解性および耐光性に優れているため、産業資材用に適したポリエステル繊維として好適に用いることができる。
上記本発明の課題は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、チタン系重縮合触媒の存在下で重縮合反応してポリエステルを製造する方法において、ポリエステルを製造する任意の段階で下記式1で表されるリン化合物を添加し、かつ得られたポリエステルの昇温結晶化温度が110℃以上155℃以下、降温結晶化温度が170℃以上220℃以下であることを特徴とするポリエステルの製造方法により達成できる。
Figure 0005245630
(上記式1中、Xは、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素エステル基、ハロゲン族元素を表す。)
本発明の、チタン系重縮合触媒の存在下に重縮合させてポリエステルを得る方法において、式1で表されるリン化合物を添加することで、従来品に比べて結晶性と色調が向上したポリエステルを得ることができる。このポリエステルは、ポリエステル繊維の製造において、色調悪化、口金汚れ、濾圧上昇、糸切れ等の問題を解消できる。
本発明のポリエステルの製造方法は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体及びエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合させ合成されるものである。
このような製造方法により得られるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートある。
本発明のポリエステルの製造方法は、リン化合物として式1で表されるリン化合物を任意の時点で添加することが必須である。
チタン系重縮合触媒の存在下に重縮合させてポリエステルを得る方法において、式1で表されるリン化合物を添加すると、得られるポリマーの結晶性、製糸性が大幅に改善される。この効果について以下に詳述する。
ポリエステルの重合触媒として汎用的に用いられているアンチモン化合物は、ポリエステル中で比較的大きな粒子状となりやすいため、成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の口金孔周りへ残渣が堆積し、糸切れの原因となる。この重合触媒をアンチモン化合物からチタン化合物に変更すると、チタン化合物が粒子を形成しないために、成形加工時のフィルターの濾圧上昇や紡糸の際の口金孔周りへの残渣堆積を抑制することが可能になった。しかしながら、粒子が発生しなくなったためにポリマーの結晶性が悪くなり、成形加工性はむしろ悪化する場合もあった。この課題について鋭意検討した結果、式1で表されるリン化合物を添加してポリエステルの結晶化特性をある一定の範囲にすることによって、製糸性は特異的に向上することがわかった。このリン化合物を用いたポリマーを成形加工すると、アンチモン化合物を重合触媒として用いた時のような口金汚れや成形加工時のフィルターの濾圧上昇は見られない。これは従来のリン化合物のチタン化合物への効果とは、本質的に異なったもの、あるいは少なくとも従来のリン化合物では十分に達成し得なかったものである。
式1で表されるリン化合物としては、Xが水酸基であるフェニルホスホン酸、Xが炭素数1〜20の炭化水素基であるジメチルフェニルホスフィンオキシド、ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ジブチルフェニルホスフィンオキシド、ジオクチルフェニルホスフィンオキシド、ジドデシルフェニルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンオキシド、Xが炭素数1〜20の炭化水素エステルであるジメチルフェニルホスホネート、ジエチルフェニルホスホネート、ジブチルフェニルホスホネート、ジオクチルフェニルホスホネート、ジドデシルフェニルホスホネート、ジフェニルフェニルホスホネート、ジシクロヘキシルフェニルホスホネート、Xがハロゲン族元素であるフェニルホスホン酸ジフルオライド、フェニルホスホン酸ジクロライド、フェニルホスホン酸ジブロマイド、フェニルホスホン酸ジアイオダイドなどが挙げられる。
中でも、式2〜式4で表されるリン化合物である、フェニルホスホン酸、ジメチルフェニルホスホネート、フェニルホスホン酸ジクロライドを用いると、特に製糸性改善の効果が顕著になるため好ましい。
Figure 0005245630
本発明のポリエステルのリン化合物は、リン化合物を単独で添加してもよく、エチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させて添加してもよい。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、後述する測定方法(示差走査熱量分析:DSC分析)において、昇温結晶化温度が110℃以上155℃以下、降温結晶化温度が170℃以上220℃以下であることが必須である。昇温結晶化温度、降温結晶化温度が上記の範囲内であると、製糸性が極めて良好となる。好ましくは、昇温結晶化温度が115℃以上145℃以下、降温結晶化温度が180℃以上〜215℃以下であり、特に好ましくは昇温結晶化温度が115℃以上130℃以下、降温結晶化温度が190℃以上215℃以下である。
ポリエステルの結晶性は、造核剤、例えばナトリウム系化合物やシリカ系化合物などを用いることによって向上させることが出来るが、式1で表されるリン化合物を添加しなければ、昇温結晶化温度が110℃以上155℃以下、降温結晶化温度が170℃以上220℃以下の範囲にしても、製糸性の改善は見られない。
本発明のポリエステルの製造方法は、艶消し剤の目的で添加する酸化チタン粒子をのぞくチタン化合物を、得られるポリマーに対してチタン原子換算で1〜20ppmとなるように添加することが好ましい。2〜15ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは3〜10ppmである。また、本発明のポリエステルの製造方法は、チタン化合物と共にリン化合物をポリエステルに対してリン原子換算で1〜500ppmとなるように添加することが好ましい。なお、製糸や製膜時におけるポリエステルの熱安定性や色調の観点からリン添加量は、5〜250ppmが好ましく、さらに好ましくは10〜100ppmである。また、チタン化合物のチタン原子はリン化合物中のリン原子としてモル比率でTi/P=0.01〜1.5であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.03〜0.75であり、さらに好ましくはTi/P=0.05〜0.5である。
本発明のポリエステルの製造方法は、マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加すると、反応活性やポリマーの色調が良好となり好ましい。マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種は、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルトのポリエステルに対する原子換算の合計として1〜100ppmとなるように添加すると好ましい。マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルトのポリエステルに対する原子換算の合計が1ppm未満では効果が十分でなく、100ppmを超えるとでは熱安定性、色調の改善が十分ではない。より好ましくは、3〜75ppm、特に好ましくは5〜50ppmである。この時、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルトの原子換算の合計とリン化合物のリン原子のモル比率(Mg+Mn+Ca+Co)/Pが0.01〜5であることが、色調、熱安定性の面から好ましい。より好ましくは、0.1〜4であり、さらに好ましくは、0.3〜3である。特にマグネシウムのポリエステルに対する原子換算量が5〜25ppm、また、マグネシウムの原子換算の合計とリン化合物のリン原子のモル比率Mg/Pが0.3〜3である時、色調、熱安定性共に良好である。この場合に用いるマグネシウム化合物としては、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。マンガン化合物としては、具体的には、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン等が挙げられる。カルシウム化合物としては、具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。コバルト化合物としては、具体的には、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。この中でも、色調、重合活性の面からマグネシウム化合物が好ましく、特に酢酸マグネシウムが好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法は、重合用触媒のチタン化合物が、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であることが、ポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。
なお、本発明の重縮合触媒とは、一般にジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からポリエステルを合成する一連の反応であった、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応、あるいは(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応、および(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応、の少なくとも一つの反応促進に寄与する効果を持っているものを指す。従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の重縮合触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
本発明のポリエステルの製造方法においては、重合用触媒や添加物はポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予め該化合物をエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期は、エステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。
本発明のポリエステルの製造方法において、式1で表されるリン化合物の添加を、重縮合触媒を添加した後に反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間に行うことにより、色調が良好でかつ耐熱性に優れたポリエステルが得られる。上記の方法でリン化合物を添加する場合では、エチレングリコール等のジオール成分を多量に持ち込んで添加を行うと、ポリエステルの解重合(ポリエステル主鎖の切断反応)が進行してしまうため、リン化合物を単独で添加するか、高濃度にリンを含有したマスターペレットを添加する方法が好ましい。この時、リン化合物は、数回に分割して添加してもよく、フィーダーなどで継続的に添加を行っても良い。また、上記のリン化合物の添加方法は、重合系に溶解又は溶融可能でありかつ、本発明で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成る容器に充填して添加することが好ましい。上記のような容器にリン化合物を入れて添加を行うと、減圧条件下での重合反応器に添加を行うことで、リン化合物が飛散して、減圧ラインにリン化合物が流出を防止することができるとともに、リン化合物をポリマー中に所望量添加することができる。本発明でいう容器とは、リン化合物がまとめられるものであればよく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器、あるいはシートやフィルムをシールあるいは縫製などで袋状にしたものなどが含まれる。上記の容器は、空気抜きを作ることがさらに好ましい。空気抜きを作った容器にリン化合物を入れて添加すると、真空条件下で重合反応器に添加しても、空気膨張により容器が破裂してリン化合物が減圧ラインに流出したり、重合反応器の上部や壁面に付着することがなく、ポリマー中にリン化合物を所望量添加することができる。この容器の厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、リン化合物の封入・添加作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μm厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。特に、重合反応器内の減圧を開始する前に式1のリン化合物を、得られるポリエステルに対してリン原子換算で0〜50ppm添加し、かつ重合反応器内の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に式1のリン化合物を、得られるポリエステルに対して10〜500ppm添加すると、色調が特に良好でかつ重合遅延を極めて小さくすることができる。
また本発明のポリエステルの製造方法において、式1で表されるリン化合物の添加を、重縮合反応終了後に行っても良い。重縮合反応終了後とは、目標とする重合度に到達した後を指す。具体的には、重縮合反応終了後のポリエステルと式1で表されるリン化合物を二軸押出機で溶融混練する方法、重縮合反応終了後のポリエステルと式1で表されるリン化合物を高濃度にリンを含有したマスターペレットを二軸押出機で溶融混練する方法などが挙げられる。
また、本発明のポリエステルの製造方法では、色調調整剤として青系調整剤および/または赤系調整剤を添加してもよい。
本発明の色調調整剤とは樹脂等に用いられる染料のことであり、COLOR INDEX GENERIC NAMEで具体的にあげると、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 122,SOLVENT BLUE 45等の青系の色調調整剤、SOLVENT RED 111,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,PIGMENT RED 263,VAT RED 41等の赤系の色調調整剤,DESPERSE VIOLET 26,SOLVENT VIOLET 13,SOLVENT VIOLET 37,SOLVENT VIOLET 49等の紫系色調調整剤があげられる。なかでも装置腐食の要因となりやすいハロゲンを含有せず、高温での耐熱性が比較的良好で発色性に優れた、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 45,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,SOLVENT VIOLET 49が好ましく用いられる。
また、これらの色調調整剤を目的に応じて、1種類または複数種類用いることができる。特に青系調整剤と赤系調整剤をそれぞれ1種類以上用いると色調を細かく制御できるため好ましい。さらにこの場合には、添加する色調調整剤の総量に対して青系調整剤の比率が50重量%以上であると得られるポリエステルの色調が特に良好となり好ましい。
最終的にポリエステルに対する色調調整剤の含有量は総量で30ppm以下であることが好ましい。30ppmを越えるとポリエステルの透明性が低下したり、くすんだ発色となることがある。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定したときの固有粘度([η])が、0.4〜1.1dlg−1であるのが好ましい。より好ましくは0.5〜1.0dlg−1である。
また、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が1〜30当量/トンの範囲であると熱安定性が向上し、成形時において金型等に付着する汚れや製糸時において口金に付着する汚れが低減する。末端カルボキシル基濃度は好ましくは25当量/トン以下、特に好ましくは20当量/トン以下である。
また、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、チップ形状での色調がハンター値でそれぞれL値が60〜95、a値が−6〜2、b値が−5〜5の範囲にあることが、繊維やフィルムなどの成型品の色調の点から好ましい。さらに好ましいのは、L値が70〜90、a値が−5〜1、b値が−3〜3の範囲である。
なお、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後の色調b値の変化Δb値290が−5〜5の範囲であることが好ましい。この値が小さいほど、熱劣化による分解・着色が少なく熱安定性に優れている。この値が5を超える場合には、紡糸時や成形加工時にポリマーが変色してしまい品質に重大な影響を与えてしまう。好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
また、本発明の製造方法により得られるポリエステルは、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後のカルボキシル末端基の変化Δカルボキシル末端基290が0〜18当量/トンの範囲であることが好ましい。この値が小さいほど、熱安定性が高く、成形時において金型等に付着する汚れや製糸時において口金に付着する汚れが低減する。この値が18当量/トンを超える場合には、熱安定性に劣り金型や口金への付着物は増加する。好ましくは13当量/トン以下、特に好ましくは8当量/トン以下である。
本発明のポリエステルの製造方法により得られるポリエステルは、例えば溶融押出成形等によってフィラメント状に成形した後、延伸、或いは紡糸等を施すことにより繊維として有用なものとなる。
本発明のポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
本発明のポリエステルは、(A)または(B)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(A)または(B)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、重縮合触媒として前述のチタン化合物、リン化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物より選ばれる少なくとも一種の化合物、酸化チタン粒子、また必要に応じて色調調整剤を添加した後、重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
ポリエステルへの色調調整剤の添加は、エステル化反応またはエステル交換反応が完了した後、重縮合反応が完了するまでの任意の時期に添加することが好ましい。特に、エステル化反応またはエステル交換反応が完了した後、重縮合反応を開始するまでの間に添加すると、ポリエステル中での分散が良好となり好ましい。
また、色調調整剤を実質的に重縮合反応が完了した後にポリエステルに添加することも可能である。この場合には、1軸あるいは2軸押出機を用いてチップに色調調整剤を直接溶融混練する方法や、あらかじめ別に高濃度に色調調整剤を含有するポリエステルを調製しておき、色調調製剤を含まないチップとブレンドしても良い。
産業資材用途に用いる場合には高強度や高タフネスを求められる。そのため、さらに高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るために、上記の方法で得られたポリエチレンテレフタレートについて、固相重合を行うことも出来る。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。不活性ガスはポリエステルに対して不活性なものであれば良く、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧下としては、装置内の圧力を133Pa以下の条件とすることが好ましく、より減圧条件にすることが固相重縮合反応に要する時間を短くできるため有利である。固相重縮合の処理温度範囲は210〜240℃の温度範囲が好ましい。特に好ましくは215〜235℃の範囲であり、さらに好ましくは220〜230℃である。
上述の方法で得られたポリエステルを、紡糸機で溶融させ、紡糸パックでろ過した後、口金の細孔を通して紡出、冷風で冷却固化した後、油剤を付与し、次いで延伸した後、緊張又は弛緩熱処理することにより、ポリエステル繊維が得られる。このポリエステル繊維は、強度、耐加水分解性、耐光性に優れるため、産業資材用途として好ましく用いられる。溶融紡出してから冷風で冷却固化させる間に、高温に保持された加熱筒内を通過させると、高強度、高伸度の繊維を得ることができるため好ましい。この加熱筒内の温度は280℃〜330℃であることが好ましく、加熱筒長さは50mm〜500mmが好ましい。延伸の条件は目標とする繊維の繊度、強度、伸度、収縮率等によって適宜選択すればよく、通常はトータル3.5〜6.5の倍率を2〜3段に分けて実施するのが一般的である。形態安定性の優れた繊維を得るためには弛緩熱処理することが好ましく、弛緩率は1〜8%、熱処理温度200〜250℃の範囲が好ましい。
本発明のポリエステル繊維は、強度が4〜12cN/dtex、伸度が8〜50%、破断時の強伸度から求められるタフネスが10〜40であるものが好ましい。さらに好ましくは、強度が6〜12cN/dtex、伸度が8〜30%、破断時の強伸度から求められるタフネスが20〜40であり、特に好ましくは、強度が7.5〜12cN/dtex、伸度が10〜20%、破断時の強伸度から求められるタフネスが25〜40である。
本発明のポリエステル繊維は、相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW0、処理後のサンプルの強度をSTW1として、次式により算出される耐加水分解性テスト後の強度保持率が、70〜99%の範囲であることが好ましい。この耐加水分解性テストの強度保持率が高いことは、ポリエステル繊維の湿熱環境下における使用において、劣化の進行速度が遅く、一気に強力が低下しないことを示しており、破断等の危険性を未然に防ぐことが可能となる。より好ましくは75〜99%の範囲であり、特に好ましくは80〜99%の範囲である。

耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
本発明のポリエステル繊維は、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、次式により算出される耐光性テスト後の強度保持率が、70〜99%の範囲であることが好ましい。この耐光性テストの強度保持率が高いことは、産業資材用ポリエステル繊維の屋外環境下における使用において、劣化の進行速度が遅く、一気に強力が低下しないことを示しており、破断等の危険性を未然に防ぐことが可能となる。より好ましくは75〜99%の範囲であり、さらに好ましくは80〜99%の範囲である。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
本発明のポリエステル繊維は、上記のような優れた特性を有することから、主にタイヤコードやベルト、ホースなどのゴム補強用繊維として、また、シートベルト用や漁網用繊維などの産業資材用として種々な用途に適用することができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーのカルボキシル末端基量
オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)Δカルボキシル末端基290、Δb値290
ポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間加熱溶融させた後、前記(2)および(3)の測定方法にてカルボキシル末端基量および色調を測定し、加熱溶融前後の差をそれぞれΔカルボキシル末端基290、Δb値290として測定した。
(5)結晶性の測定
示差走査熱量測定(Perkin Elmer社製、DSC−7)を用いて、昇温結晶化温度と降温結晶化温度を測定した。サンプル量は10mgで、ポリマーを一度溶融させた後急冷させ、その後徐々に昇温と降温を行う2nd run法にて測定を行った。昇温は50〜300℃の範囲を昇温速度16℃/分、降温は300℃〜75℃の範囲を降温速度16℃/分にて測定を行った。
(6)製糸性評価
ポリエステルを到達水分率が50ppm以下に乾燥後、290℃の溶融部で溶融し、紡糸温度300℃のスピンブロックへ導き、限界濾過径10μmの金属不織布で濾過した後、口金面温度290℃とした口金から溶融紡糸し、第一ローラー、第二ローラー、巻き取りをそれぞれ6000m/分の速度で引取り、40デニール12フィラメントの延伸糸とした。この条件において72時間紡糸を行い、その糸切れ回数を測定し、ポリマー1t当たりの糸切れ回数を計測した。
(7)口金の堆積物の観察
前記(6)の評価法において、評価開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
(8)強伸度
東洋ボードウイン社製テンシロン引張試験機を用いて、試料長25cm、引張速度30cm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強度4.0cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度を求めた。タフネスは破断時の強度T(cN/dtex)と伸度E(%)からT・√Eにより求めた。
(9)耐加水分解性
相対湿度100%、110℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW0、処理後のサンプルの強度をSTW1として、次式により算出した。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
(10)耐光性
紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、60℃下、100時間、照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、次式により算出した。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
エステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム24.0g(ポリマーに対してマグネシウム原子換算で30ppm)のエチレングリコール溶液と、ポリマーに対してチタン原子換算で4ppm相当のクエン酸キレートチタン化合物、ポリマーに対して100ppm(リン原子換算で20ppm)相当のフェニルホスホン酸(日産化学工業社製)を添加する30分前に別の混合槽にて事前混合し、常温にて30分攪拌した後、その混合物を添加した。5分後に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して酸化チタン粒子換算で0.3重量%添加した。さらに5分後に、反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間50分であった。 得られたポリマーは、表1に示すとおり結晶性、色調、熱安定性に優れたものであった。
また、このポリエステルを150℃、12時間真空乾燥させて水分率を10〜30ppmにした後、290℃の溶融部で溶融し、紡糸温度300℃のスピンブロックへ導き、限界濾過径10μmの金属不織布で濾過した後、口金面温度290℃とした口金から溶融紡糸し、巻き取りをそれぞれ6000m/分の速度で引取り、45デシテックス12フィラメントの延伸糸とした。溶融紡糸工程においては、表2に示すとおり、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんどなく良好な製糸性を有していた。
実施例2〜5
リン化合物の種類を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例4,5では、わずかに結晶性、色調が若干劣るものの、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、実施例4、5では、わずかに紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられたが、操業上問題ないレベルであった。
実施例6〜11
マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、色調調整剤の添加量を表1に記載されている通りにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例6、9、11では結晶性、色調がわずかに劣ったが得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性ともに優れていた。また、実施例11ではわずかに糸切れがみられたが、これらの水準では紡糸時の口金孔周辺の堆積物はほとんど見られなかった。
実施例12〜14
チタン化合物の種類を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例14は、わずかに色調が劣ったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では結晶性、色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
実施例20、21
チタン化合物の添加量を表1に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例21では、わずかに結晶性、色調が劣ったが、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
実施例22〜28
実施例1〜5、16、19で得られたペレットを、150℃3時間真空乾燥した後、固相重合を行った。固相重合は、下部から不活性ガスなどが流通できる構造を持った管状の装置を用いて、100Paの減圧下、225℃で12時間実施した。この固相重合チップを実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例25〜28では、わずかに結晶性、色調が劣ったが、それ以外では得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び糸切れはほとんど認められなかった。
Figure 0005245630
Figure 0005245630
Figure 0005245630
Figure 0005245630
比較例1
リン化合物を添加しない以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは結晶性が悪く、また色調は黄色味を帯びており、また耐熱性の劣ったポリマーであった。また、紡糸時の糸切れも頻繁に発生した。
比較例2〜6
リン化合物を表3に記載されている通りに変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例2、3では、色調は黄色味を帯びており、また耐熱性が劣っていた。また比較例2〜6は、結晶性が悪いポリマーであった。これらの水準では、紡糸時の糸切れも頻繁に発生した。
比較例7〜9
表3に記載されている通りに造核剤を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例7〜9では、結晶性は良好であったが、色調は黄色味を帯びており、また耐熱性が劣っていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられ、糸切れが多く発生した。
比較例10
チタン化合物の代わりに、アンチモン化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは、結晶性、色調、熱安定性に優れたものであったが、紡糸時の口金孔周辺の堆積物がみられ、糸切れが多く発生した。
Figure 0005245630
Figure 0005245630

Claims (9)

  1. テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、チタン系重縮合触媒の存在下で重縮合反応してポリエステルを製造する方法において、ポリエステルを製造する任意の段階で下記式1で表されるリン化合物を添加し、かつ得られたポリエステルの昇温結晶化温度が110℃以上155℃以下、降温結晶化温度が170℃以上220℃以下であることを特徴とするポリエステルの製造方法。
    Figure 0005245630
    (上記式1中、Xは、水酸基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素エステル基、ハロゲン族元素を表す。)
  2. チタン系重縮合触媒中のチタン原子と式1で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.01〜1.5であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  3. マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. リン化合物が下記式2〜式4で表される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
    Figure 0005245630
  5. チタン系重縮合触媒が、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  6. 150℃、12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後のポリマー色調b値の変化が0以上5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステル。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維の強度が4〜12cN/dtex、伸度が8〜50%の範囲であることを特徴とするポリエステル繊維。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW0、処理後のサンプルの強度をSTW1として、下記式により表される耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とするポリエステル繊維。
    耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW1/STW0)×100
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL0、処理後の強度をSTL1として、下記式により表される耐光性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とするポリエステル繊維。
    耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STL1/STL0)×100
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