JP2009084535A - 産業資材用に適したポリエステルの製造方法 - Google Patents

産業資材用に適したポリエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】産業資材用繊維として適した強度、タフネスを有し、優れた耐加水分解性、耐光性を有するポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応を減圧してポリエステルを製造するに際して、チタン系重縮合触媒を用いるとともに、特定のリン化合物のうち少なくとも1種を重合反応器内の減圧を開始して重縮合反応を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加することを特徴とする産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法により達成できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルの製造方法およびポリエステル繊維に関するものである。更に詳しくは従来品に比べて耐加水分解性および耐光性に優れており、産業資材用に適したポリエステルの製造方法および産業資材用ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは機械的強度、耐薬品性などに優れるため、繊維、フィルムあるいは樹脂用途などに広く使用されており、例えば繊維の場合には衣料用途だけでなく、タイヤコード、ベルト、ホース等のゴム製品の補強用材料として産業資材用途にも幅広く用いられている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物が広く用いられている。しかしながら、アンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるような幾つかの好ましくない特性を有している。
例えば、アンチモン触媒を使用して得られたポリマーを溶融紡糸して繊維とするときに、アンチモン触媒の残渣が口金孔周りに堆積することが知られている。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じる原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチモン触媒残渣の堆積が生じるのは、ポリマー中のアンチモン化合物が口金近傍で変成し、一部が気化、散逸した後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであると考えられている。また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成形加工時のフィルターの濾圧上昇、紡糸の際の糸切れあるいは製膜時のフィルム破れの原因になるなどの好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。
上記のような背景からアンチモンを含有しないポリエステルが求められている。そこで、重縮合触媒の役割をアンチモン系化合物以外の化合物に求める場合、ゲルマニウム化合物が知られているが、ゲルマニウム化合物は埋蔵量も少なく希少価値であることから汎用的に用いることは難しい。
この問題に対して重合用触媒としてチタン化合物を用いる検討が盛んに行われている。チタン化合物はアンチモン化合物に比べて触媒活性が高いため、少量の添加で所望の触媒活性を得ることができるため、異物粒子の発生や口金汚れを抑制することができる。しかし、チタン化合物を重合触媒として用いると、その活性の高さゆえに熱分解反応や酸化分解反応などの副反応も促進するため、熱安定性が悪くなるという課題が生じる。熱安定性が悪いということは、例えばポリエステルを繊維として用いる場合、特に産業資材用繊維として用いる場合、重要な特性である強度やタフネスを損なうので、好ましくない。かかる問題に対して、チタン化合物とともにリン化合物を添加することでポリマーの熱安定性を向上させる検討が広くなされている。この方法は、リン化合物により高すぎるチタンの活性を抑制して、ポリマーの熱安定性を向上させるというものである。例えば、チタン化合物を触媒として用いるポリエステルの製造方法において、リン化合物としてリン酸や亜リン酸を添加する方法(特許文献1)や、リン化合物としてホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物を添加する方法(特許文献2、3)について明示されている。しかしながら、これらの方法を用いると、確かにポリマーの熱安定性に一定の向上は見られるものの、一定量以上のリン化合物を加えるとチタン化合物の重合活性が抑えられ過ぎて、目標の重合度まで到達しなかったり、重合反応時間が遅延するという問題が発生する。それに対して、チタン化合物とリン化合物のモル比(Ti/P)をある一定の範囲とする方法(特許文献4)が検討されているが、この方法においても、確かにチタン化合物の触媒の失活は防げるものの、ある一定レベル以上の熱安定性を達成することはできない。上記の通り、チタン化合物の重合反応活性を損なうことなく、副反応を抑制し熱安定性を向上させるという矛盾した課題を解決する必要があった。
特開平6−100680号公報(特許請求の範囲) 特開2004−292657号公報(特許請求の範囲) 特開2005−15630号公報(特許請求の範囲) 特開2005−25630号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記従来の問題を解消し、従来品に比べて高強度、高タフネスであり、耐加水分解性、耐光性に優れ、タイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム補強用繊維、シートベルト用、および漁網用繊維など、産業資材用として種々の用途に好適に活用できるものである。
上記課題は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応を減圧してポリエステルを製造するに際して、チタン系重縮合触媒を用いるとともに、下記式1〜式3で表されるリン化合物のうち少なくとも1種を重合反応器内の減圧を開始して重縮合反応を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加することを特徴とする産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法により達成できる。
Figure 2009084535
(上記式1〜式3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表しており、a,bは0〜5の整数、mは0または1。)
本発明のポリエステルの製造方法によると、従来品に比べて優れた特性を有するポリエステル繊維が得られる。特に優れた強度、タフネス、さらに耐加水分解性、耐光性を有するため、産業資材用ポリエステル繊維として好適に用いることが出来る。
本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から構成される。繊維、フィルム、ボトル等の成形品として用いることができるものが好ましい。
このようなポリエステルとして具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
また、これらのポリエステルの共重合成分として、アジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
本発明のポリエステルの製造方法では、リン化合物として式1〜式3で表されるリン化合物を任意の時点で添加することが必須である。
チタン系重縮合触媒の存在下に重縮合させてポリエステルを得る方法において、式1〜式3で表されるリン化合物を添加すると、驚くべきことに、得られるポリエステルの熱安定性が飛躍的に改善される。ポリエステルの耐熱性の悪化は、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、初版、P.178〜198)に明示されているように、ポリエステルの副反応によって起こる。このポリエステルの副反応は、金属触媒によってカルボニル酸素が活性化し、β水素が引き抜かれることにより、ビニル末端基成分およびアルデヒド成分が発生することにより起こる。このような副反応を契機としてアルデヒド成分が発生するために、主鎖エステル結合が切断されるため、分子量低下が引き起こされる。特にチタン化合物を重合触媒として用いると、熱による副反応の活性化が強いために、ビニル末端基成分やアルデヒド成分が多く発生し、熱安定性に劣るポリマーとなる。従来のリン化合物は、このチタン化合物にリン化合物を適度に相互作用させることにより、チタン触媒の活性を調節していた。しかし従来のリン化合物では、チタン化合物の副反応の活性とともに重合活性も低下させることは避けられなかった。ところが、本発明の式1〜式3に示されるリン化合物では、チタン化合物の重合活性を十分に保持したままに、副反応活性のみを極めて小さく抑えることができる。この効果のメカニズムは現在のところ完全には明らかになっていないが、これは従来のリン化合物のチタン化合物への効果とは、本質的に異なったもの、あるいは少なくとも従来のリン化合物では十分に達成し得なかったものである。
式1で表されるリン化合物としては、具体的には、フェニルホスホナイト、2−カルボキシフェニルホスホナイト、3−カルボキシフェニルホスホナイト、4−カルボキシフェニルホスホナイト、2,3−ジカルボキシフェニルホスホナイト、2,4−ジカルボキシフェニルホスホナイト、2,5−ジカルボキシフェニルホスホナイト、2,6−ジカルボキシフェニルホスホナイト、3,4−ジカルボキシフェニルホスホナイト、3,5−ジカルボキシフェニルホスホナイト、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホナイト、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホナイト、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホナイト、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホナイト、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホナイト、フェニルホスホナイトジメチル、フェニルホスホナイトジエチル、フェニルホスホナイトジフェニル、フェニルホスホナイトジベンジル、2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスホナイトジエチル、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニルホスホナイトジエチル等のホスホン酸系化合物、フェニルホスホネート、2−カルボキシフェニルホスホネート、3−カルボキシフェニルホスホネート、4−カルボキシフェニルホスホネート、2,3−ジカルボキシフェニルホスホネート、2,4−ジカルボキシフェニルホスホネート、2,5−ジカルボキシフェニルホスホネート、2,6−ジカルボキシフェニルホスホネート、3,4−ジカルボキシフェニルホスホネート、3,5−ジカルボキシフェニルホスホネート、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホネート、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホネート、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホネート、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホネート、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホネート、フェニルホスホネートジメチル、フェニルホスホネートジエチル、フェニルホスホネートジフェニル、フェニルホスホネートジベンジル、2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスホネートジエチル、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニルホスホネートジエチル等の亜ホスホン酸系化合物などが挙げられる。
式2で表されるリン化合物としては、具体的には、ジメチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジエチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジブチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジヘキシル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジオクチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジベンジル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジ−t−ブチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ジフェニル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−ホスホナイトなどのホスホン酸系化合物、ジメチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジエチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジブチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジヘキシル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジオクチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジベンジル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジ−t−ブチル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ジフェニル[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネート、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−ホスホネートなどの亜ホスホン酸系化合物などが挙げられる。
式3で表されるリン化合物としては、具体的には、テトラメチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラエチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラブチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラヘキシル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラオクチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラベンジル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラーt−ブチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイト、テトラフェニル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホナイトなどの亜ホスホン酸系化合物、テトラメチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラエチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラブチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラヘキシル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラオクチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラベンジル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラーt−ブチル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネート、テトラフェニル[1,1−ビフェニル]−4、4‘−ジイルビスホスホネートなどの亜ホスホン酸系化合物などが挙げられる。
式3で表されるリン化合物の中でも、式4で表されるリン化合物を用いると、リン化合物の耐熱性や耐加水分解性が高いため好ましく使用される。
Figure 2009084535
(上記式4中、R〜R11は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜10の炭化水素基を表しており、c+d+eは0〜5の整数、mは0または1である。)
上記式4にて表されるリン化合物としては、例えばc=2、d=0、e=0、R=tert−ブチル基、R=2,4位、m=0の化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト、c=2、d=1、e=0、R=tert−ブチル基、R10=メチル基、R=2,4位、R10=5位、m=0の化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトなどが挙げられる。
本発明で添加されるリン化合物は、リン化合物を単独で添加してもよく、エチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させて添加してもよい。
本発明のポリエステルの製造方法では、艶消し剤の目的で添加する酸化チタン粒子をのぞくチタン化合物を、得られるポリマーに対してチタン原子換算で1〜20ppmとなるように添加することが好ましい。3〜15ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、さらに好ましくは5〜10ppmである。また、本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、チタン化合物と共にリン化合物をポリエステルに対してリン原子換算で1〜500ppmとなるように添加することが好ましい。なお、製糸や製膜時におけるポリエステルの熱安定性の観点からリン添加量は、5〜250ppmが好ましく、さらに好ましくは10〜100ppmである。また、チタン化合物のチタン原子はリン化合物中のリン原子としてモル比率でTi/P=0.01〜1.5であるとポリエステルの熱安定性や色調が良好となり好ましい。より好ましくはTi/P=0.03〜0.75であり、さらに好ましくはTi/P=0.05〜0.5である。
マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加すると、反応活性が良好となり好ましい。マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種は、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルトのポリエステルに対する原子換算の合計として1〜100ppmとなるように添加すると好ましい。より好ましくは、3〜75ppm、さらに好ましくは5〜50ppmである。マグネシウム化合物としては、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。マンガン化合物としては、具体的には、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン等が挙げられる。カルシウム化合物としては、具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。コバルト化合物としては、具体的には、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト四水塩等が挙げられる。
本発明のポリエステルの製造方法では、重合用触媒のチタン系化合物が、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であることが、得られるポリマーの熱特性の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。
なお、本発明で用いられる重縮合触媒とは、一般にジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からポリエステルを合成する一連の反応であった、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応、あるいは(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応、および(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応、の少なくとも一つの反応促進に寄与する効果を持っているものを指す。従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の重縮合触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
本発明のポリエステルの製造方法では、重合用触媒や添加物はポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予め該化合物をエチレングリコールやプロピレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加してもよい。添加時期は、エステル化反応触媒やエステル交換反応触媒として原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応やエステル交換反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。チタン化合物、リン化合物、およびマグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の反応系への添加順序は特に限ったものではない。
また本発明のポリエステルの製造方法において、式1〜式3で表されるリン化合物の添加を、重縮合触媒を添加した後に反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間に行うことにより、特に熱安定性に優れたポリエステルが得られる。上記の方法でリン化合物を添加する場合では、エチレングリコール等のジオール成分を多量に持ち込んで添加を行うと、ポリエステルの解重合(ポリエステル主鎖の切断反応)が進行してしまうため、リン化合物を単独で添加するか、高濃度にリンを含有したマスターペレットを添加する方法が好ましい。この時、リン化合物は、数回に分割して添加してもよく、フィーダーなどで継続的に添加を行っても良い。また、上記のリン化合物の添加方法は、重合系に溶解又は溶融可能でありかつ、本発明で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成る容器に充填して添加することが好ましい。上記のような容器にリン化合物を入れて添加を行うと、減圧条件下での重合反応器に添加を行うことで、リン化合物が飛散して、減圧ラインにリン化合物が流出を防止することができるとともに、リン化合物をポリマー中に所望量添加することができる。本発明でいう容器とは、リン化合物がまとめられるものであればよく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器、あるいはシートやフィルムをシールあるいは縫製などで袋状にしたものなどが含まれる。上記の容器は、空気抜きを作ることがさらに好ましい。空気抜きを作った容器にリン化合物を入れて添加すると、真空条件下で重合反応器に添加しても、空気膨張により容器が破裂してリン化合物が減圧ラインに流出したり、重合反応器の上部や壁面に付着することがなく、ポリマー中にリン化合物を所望量添加することができる。この容器の厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、リン化合物の封入・添加作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μm厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。特に、ポリエステルの重合反応器内の減圧を開始する前に式1〜式3のリン化合物を得られるポリエステルに対してリン原子換算で0〜50ppm添加し、かつ重合反応器内の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に式1〜式3のリン化合物を、得られるポリエステルに対して10〜500ppm添加すると、特に熱安定性が良好でかつ重合遅延を極めて小さくすることができる。
またリン化合物を添加する方法としてはその他にも、式1〜式3で表されるリン化合物を、重縮合反応終了後のポリエステルに二軸押出機で溶融混練する方法、高濃度にリンを含有したマスターペレットを二軸押出機で溶融混練する方法などが挙げられる。中でも、ポリエステルを溶融紡糸する際に式1〜式3で表されるリン化合物を添加する方法が好ましい。
また、本発明のポリエステルの製造方法では、色調調整剤として青系調整剤および/または赤系調整剤を添加してもよい。
本発明の色調調整剤とは樹脂等に用いられる染料のことであり、COLOR INDEX GENERIC NAMEで具体的にあげると、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 122,SOLVENT BLUE 45等の青系の色調調整剤、SOLVENT RED 111,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,PIGMENT RED 263,VAT RED 41等の赤系の色調調整剤,DESPERSE VIOLET 26,SOLVENT VIOLET 13,SOLVENT VIOLET 37,SOLVENT VIOLET 49等の紫系色調調整剤があげられる。なかでも装置腐食の要因となりやすいハロゲンを含有せず、高温での耐熱性が比較的良好で発色性に優れた、SOLVENT BLUE 104,SOLVENT BLUE 45,SOLVENT RED 179,SOLVENT RED 195,SOLVENT RED 135,SOLVENT VIOLET 49が好ましく用いられる。
本発明のポリエステルの製造方法を具体的に説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
本発明のポリエステルの製造方法は、(A)または(B)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(A)または(B)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、重縮合触媒として前述のチタン化合物、リン化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物より選ばれる少なくとも一種の化合物、酸化チタン粒子、また必要に応じて色調調整剤を添加した後、重縮合反応を行い、高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
産業資材用繊維では、高い強度やタフネスを求められるため、さらに高分子量のポリエチレンテレフタレートを得るため、上記の方法で得られたポリエチレンテレフタレートについて、固相重合を行うことが好ましい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理されることで実施される。不活性ガスはポリエステルに対して不活性なものであれば良く、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧下としては、装置内の圧力を133Pa以下の条件とすることが好ましく、より減圧条件にすることが固相重縮合反応に要する時間を短くできるため有利である。固相重縮合の処理温度範囲は210〜240℃の温度範囲が好ましい。特に好ましくは215〜235℃の範囲であり、さらに好ましくは220〜230℃である。
上述の方法で得られたポリエチレンテレフタレートを、紡糸機で溶融させ、紡糸パックでろ過した後、口金の細孔を通して紡出、冷風で冷却固化した後、油剤を付与し、次いで延伸した後、緊張又は弛緩熱処理することにより、耐加水分解性および耐光性に優れた産業資材用ポリエステル繊維が得られる。溶融紡出してから冷風で冷却固化させる間に、高温に保持された加熱筒内を通過させると、高強度、高伸度の繊維を得ることができるため好ましい。この加熱筒内の温度は280℃〜330℃であることが好ましく、加熱筒長さは50mm〜500mmが好ましい。延伸の条件は目標とする繊維の繊度、強度、伸度、収縮率等によって適宜選択すればよく、通常はトータル3.5〜6.5の倍率を2〜3段に分けて実施するのが一般的である。形態安定性の優れた繊維を得るためには弛緩熱処理することが好ましく、弛緩率は1〜8%、熱処理温度200〜250℃の範囲が好ましい。
本発明によって得られたポリエステルを溶融紡糸してなる産業資材用ポリエステル繊維は、強度が6〜12cN/dtex、伸度が8〜30%、破断時の強伸度から求められるタフネスが25〜40、150℃での乾熱収縮率が2〜15%であるものが好ましい。さらに好ましくは、強度が7〜12cN/dtex、伸度が9〜25%、破断時の強伸度から求められるタフネスが26〜40、150℃での乾熱収縮率が2〜10%であり、特に好ましくは、強度が7.5〜12cN/dtex、伸度が10〜20%、破断時の強伸度から求められるタフネスが27〜40、150℃での乾熱収縮率が2〜5%である。
本発明によって得られたポリエステルを溶融紡糸してなる産業資材用ポリエステル繊維は、相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW、処理後のサンプルの強度をSTWとして、次式により算出される耐加水分解性テスト後の強度保持率が、70〜99%の範囲であることが好ましい。この耐加水分解性テストの強度保持率が高いことは、産業資材用ポリエステル繊維の湿熱環境下における使用において、劣化の進行速度が遅く、一気に強力が低下しないことを示しており、破断等の危険性を未然に防ぐことが可能となる。より好ましくは75〜99%の範囲であり、特に好ましくは80〜99%の範囲である。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW/STW)×100
本発明によって得られたポリエステルを溶融紡糸してなる産業資材用ポリエステル繊維は、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL、処理後の強度をSTLとして、次式により算出される耐光性テスト後の強度保持率が、70〜99%の範囲であることが好ましい。この耐光性テストの強度保持率が高いことは、産業資材用ポリエステル繊維の屋外環境下における使用において、劣化の進行速度が遅く、一気に強力が低下しないことを示しており、破断等の危険性を未然に防ぐことが可能となる。より好ましくは75〜99%の範囲であり、さらに好ましくは80〜99%の範囲である。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW/STW)×10
本発明によって得られたポリエステルを溶融紡糸してなる産業資材用ポリエステル繊維は、上記のような優れた特性を有することから、主にタイヤコードやベルト、ホースなどのゴム補強用繊維として、また、シートベルト用や漁網用繊維などの産業資材用として種々な用途に適用することができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)強伸度
東洋ボードウイン社製テンシロン引張試験機を用いて、試料長25cm、引張速度30cm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出した。また、同じS−S曲線から強度4.0cN/dtexに対応する伸度を読みとり中間伸度を求めた。タフネスは破断時の強度T(cN/dtex)と伸度E(%)からT・√Eにより求めた。
(3)乾熱収縮率
試料をかせ状にとり、20℃、相対湿度65%の温調室に24時間以上放置したのち、試料の0.1g/dtexに相当する荷重をかけて測定された長さl の試料を無張力状態で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブンから取り出して前記温調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長さlから次式により算出した。
乾熱収縮率(%)=(l −l )/l ×100(%)
(4)耐加水分解性
相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW、処理後のサンプルの強度をSTWとして、次式により算出した。
耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW/STW)×100
(5)耐光性
紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間、照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL、処理後の強度をSTLとして、次式により算出した。
耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STW/STW)×100
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
エステル化反応生成物に、ポリマーに対してチタン原子換算で10ppm相当のクエン酸キレートチタン化合物、ポリマーに対して193ppm(リン原子換算で10ppm)相当のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製)のエチレングリコール溶液を添加した。その後、30rpmで撹拌しながら反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクの85%となった時点(減圧を開始してから2時間40分の時点)で、反応缶上部より、ポリマーに対して772ppm(リン原子換算で40ppm)相当のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製)を、厚さ0.2mmのポリエチレンテレフタレートボトルに詰めた後添加した。その後反応を継続し、所定の攪拌トルク(目標とする重合度をIV=0.70とした)に到達したら反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間03分であった。
このペレットを150℃3時間真空乾燥した後、固相重合を行った。固相重合は、下部から不活性ガスなどが流通できる構造を持った管状の装置を用いて、100Paの減圧下、225℃で12時間実施した。この固相重合チップを150℃15時間真空乾燥した後、エクストルーダー型紡糸機に供給し、紡糸温度300℃にて溶融紡糸した。この際、フィルターとして絶対ろ過径15μmの金属不織布を用い、口金は0.6mmφの丸孔を用いた。引続き、2段延伸にてトータルの延伸倍率が5.5倍になるよう延伸し、230℃にて熱弛緩処理した後、3000m/minの速度で巻取り、1500dtex/288フィラメントの延伸糸を得た。表1に示したように高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。また、耐加水分解性および耐光性が良好であった。
実施例2〜8
リン化合物を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。耐加水分解性、耐光性について、実施例7では強度保持率がやや低かったが、それ以外の実施例では、良好な結果であった。
実施例9〜11
チタン化合物を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。耐加水分解性、耐光性について、実施例11では強度保持率がやや低かったが、それ以外の実施例では、良好な結果であった。
実施例12
リン化合物の添加を、全量重合開始前に添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、やや強度、タフネスが低かったが、問題のないレベルであった。また、耐加水分解性、耐光性については良好な結果であった。
実施例13
リン化合物の添加を、実施例1での添加に加えて、溶融紡糸時にポリエステルと同時に供給して添加を行った以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。また、耐加水分解性、耐光性についても良好な結果であった。
実施例14〜17
リン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。耐加水分解性、耐光性について、実施例14では強度保持率がやや低かったが、それ以外の実施例では、良好な結果であった。
実施例18〜19
チタン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、高強度、高タフネスであり、良好な物性を有していた。また耐加水分解性、耐光性についても良好な結果であった。
Figure 2009084535
比較例1
リン化合物を添加しない以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスは優れていたが、耐加水分解性、耐光性に劣っていた。
比較例2〜3
リン化合物として、リン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例4
リン化合物として、ホスホン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例5〜6
リン化合物として、ホスフィン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例7〜8
リン化合物として、ホスフィンオキシド系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例9〜10
リン化合物として、亜リン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例11
リン化合物として、亜ホスホン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例12〜13
リン化合物として、亜ホスフィン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例14〜15
リン化合物として、ホスフィン系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスに劣っており、また、耐加水分解性、耐光性も劣っていた。
比較例16
重縮合触媒として、チタン化合物の代わりにアンチモン化合物の三酸化アンチモンを添加し、リン化合物の添加を行わなかった以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、紡糸、延伸を行った。得られたポリエステル繊維は、強度、タフネスは優れていたが、耐加水分解性、耐光性に劣っていた。
Figure 2009084535

Claims (9)

  1. ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させた後、重縮合触媒の存在下で重縮合反応を減圧してポリエステルを製造するに際して、チタン系重縮合触媒を用いるとともに、下記式1〜式3で表されるリン化合物のうち少なくとも1種を重合反応器内の減圧を開始して重縮合反応を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加することを特徴とする産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法。
    Figure 2009084535
    (上記式1〜式3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表しており、a,bは0〜5の整数、mは0または1。)
  2. チタン系重縮合触媒中のチタン原子と式1〜式3で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.01〜1.5であることを特徴とする請求項1記載の産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法。
  3. 式3で表されるリン化合物が式4で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法。
    Figure 2009084535
    (上記式4中、R〜R11は、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜10の炭化水素基を表しており、c+d+eは0〜5の整数、mは0または1である。)
  4. チタン系重縮合触媒が、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法。
  5. 減圧を開始する前に式1〜式3のリン化合物を得られるポリエステルに対してリン原子換算で0〜50ppm添加し、かつ減圧を開始してからのリン化合物の添加量が、得られるポリエステルに対して10〜500ppmの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の産業資材用繊維に適したポリエステルの製造方法。
    Figure 2009084535
    (上記式1〜式3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表しており、a,bは0〜5の整数、mは0または1。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で得られるポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維の強度が6〜12cN/dtex、伸度が8〜30%の範囲であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で得られるポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、相対湿度100%、120℃下、100時間、オートクレーブ中で熱水処理し、処理前のサンプルの強度をSTW、処理後のサンプルの強度をSTWとして、下記式により表される耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
    耐加水分解性テスト後の強度保持率(%)=(STW/STW)×100
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で得られるポリエステルを溶融紡糸してなるポリエステル繊維が、紫外線カーボンアーク灯式耐光試験機を用い、相対湿度50%、63℃下、100時間照射処理を行い、処理前のサンプルの強度をSTL、処理後の強度をSTLとして、下記式により表される耐光性テスト後の強度保持率(%)が、70〜99%であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
    耐光性テスト後の強度保持率(%)=(STL/STL)×100
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法で得られるポリエステルを溶融紡糸する際に、下記式1〜式3で表されるリン化合物を得られるポリエステルに対してリン原子換算で1〜500ppm添加することを特徴とする産業資材用繊維の製造方法。
    Figure 2009084535
    (上記式1〜式3中、R〜Rは、それぞれ独立に、水酸基または炭素数1〜20の炭化水素基を表しており、a,bは0〜5の整数、mは0または1。)
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