JP2001213952A - 非アンチモン系ポリエステル重合用触媒 - Google Patents

非アンチモン系ポリエステル重合用触媒

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JP2001213952A
JP2001213952A JP2000026627A JP2000026627A JP2001213952A JP 2001213952 A JP2001213952 A JP 2001213952A JP 2000026627 A JP2000026627 A JP 2000026627A JP 2000026627 A JP2000026627 A JP 2000026627A JP 2001213952 A JP2001213952 A JP 2001213952A
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Hiroshi Otsuzumi
大皷  寛
Masatoshi Aoyama
雅俊 青山
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アンチモン系触媒と同程度の高い触媒活性と耐
熱性を有する、非アンチモン系金属原子含有化合物から
なるポリエステル縮合重合触媒と、それを用いて得られ
るポリエステルとポリエステルの製造方法を提供する。 【解決手段】ポリエステルの縮合重合反応時に添加する
金属原子含有化合物であって、分子軌道計算より求めた
該化合物の双極子(D)と該化合物中の金属原子上に分
布する部分電荷(Q)の比率(D/Q)が2.0以上
[Debye/e]である事を特徴とする非アンチモン
系ポリエステル重合用触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れたポリエステル
縮合重合活性とポリエステル熱分解反応抑制作用を持つ
重合用触媒および該触媒を用いたポリエステルと、その
ポリエステル製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、その優れた性質のゆえ
に、繊維用、フィルム用、ボトル用をはじめ広く種々の
分野で用いられている。なかでもポリエチレンテレフタ
レートは機械的強度、化学特性、寸法安定性などに優
れ、好適に使用されている。
【0003】一般にポリエチレンテレフタレートは、テ
レフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレン
グリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製
造する商業的なプロセスでは、縮合重合触媒としてアン
チモン化合物が広く用いられている。しかしながら、ア
ンチモン化合物を含有するポリマーは以下に述べるよう
な幾つかの好ましくない特性を有している。
【0004】例えば、アンチモン触媒を使用して得られ
たポリエステルを溶融紡糸して繊維とするときに、アン
チモン触媒の残渣が口金周りに堆積することが知られて
いる。この堆積が進行するとフィラメントに欠点が生じ
る原因となるため、適時除去する必要が生じる。アンチ
モン触媒残渣の堆積が生じるのは、アンチモンがポリマ
ー中でアンチモングリコレートの形で存在しており、こ
れが口金温度近傍で変成を受け、一部が気化、散逸した
後、アンチモンを主体とする成分が口金に残るためであ
ると考えられている。
【0005】また、ポリマー中のアンチモン触媒残渣は
比較的大きな粒子状となりやすく、異物となって成型加
工時のフィルターの瀘圧上昇、紡糸の糸切れあるいは製
膜時のフィルム破れの原因になるなどの好ましくない特
性を有している。
【0006】上記のような背景からアンチモン含有量が
極めて少ないか、あるいは含有しないポリエステルが求
められていおり、ポリエステルの縮合重合過程におい
て、アンチモンに代わる縮合重合触媒が要求されてい
る。
【0007】このような課題に対して、例えば米国特許
5,512,340号明細書では、無機アルミニウム化
合物である塩化アルミニウムや水酸化塩化アルミニウム
をコバルト化合物と併用することが提案されている。し
かしながらこれらの無機アルミニウム化合物はハロゲン
を含有するため、その活性のために比較的多量に含有さ
れる場合、ポリマーの耐熱性が悪化し、長時間溶融保持
されるような成形条件では着色しやすいという問題があ
った。
【0008】また、ハロゲン化合物を縮合重合触媒とし
て用いると、高温度条件を要するポリエステルの製造過
程において、ハロゲンを一部放出するため、その活性に
よって製造装置を腐食するという問題もある。
【0009】また、非ハロゲン系且つ非アンチモン系を
縮合重合触媒として用いる手法に対しては、例えば米国
特許5,596,069号明細書などでは、酢酸アルミ
ニウムや水酸化アルミニウムを用いることが提案されて
いるが、アンチモン系触媒ほどの触媒活性が得られない
といった問題がある。
【0010】また、ポリエステルの重合反応を活性化さ
せるポリエステル重合用触媒は副反応である熱分解反応
をも加速し、ポリマーを黄変させる傾向をも有すること
が知られている。ポリマーを黄変させるポリエステル重
合用触媒を用いて得られるポリマーは、単に黄変してい
るのみならず、異物の混入や、糸切れが多くなり、ポリ
マー物性として充分に良好な物が得られないといった問
題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のアンチモン化合物を含有するポリエステルの欠点を解
消するため、アンチモン系触媒と同程度以上の高い触媒
活性を有し、且つポリエステルの耐熱性を良好とする、
非アンチモン系ポリエステル縮合重合用触媒と非アンチ
モン系ポリエステル縮合重合用触媒を用いて得られるポ
リエステルとポリエステルの製造方法を提供するもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下の構成からなる。
【0013】ポリエステルの縮合重合反応時に添加する
金属原子含有化合物であって、分子軌道計算より求めた
該化合物の双極子(D)と該化合物中の金属原子上に分
布する部分電荷(Q)の比率(D/Q)が2.0[De
bye/e]以上である事を特徴とする非アンチモン系
ポリエステル重合用触媒。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明では、1eVとは、23.06kJであり、1De
byeとは、3.33564×10-30Cmであり、1
eとは1.602188×10-19Cである。
【0015】本発明では、ポリエステル合成時の縮合重
合時に、または該縮合重合前に本発明のパラメーターに
含まれる金属原子含有化合物を添加した際に、該金属原
子含有化合物からなるポリエステル重合用触媒を添加し
ない場合と比較して、縮合重合で得られるポリエステル
の重合度が高くなる、または所定の重合度に到達するま
での該縮合重合時間が短縮される等の触媒作用が認めら
れた金属原子含有化合物を重合用触媒と称し、また上記
変化が認められた場合、該金属原子含有化合物は触媒活
性を有すると称す。さらに、該金属原子含有化合物を添
加した際に、該金属原子含有化合物からなるポリエステ
ル重合触媒を添加しない場合と比較して、b値に示され
る黄色度の増加が50%以下となる事が認められた金属
原子含有化合物を耐熱性良好と称す。さらに、該金属原
子含有化合物はポリエステル重合反応時に、触媒的に用
いる事が可能であるが、その該金属原子含有化合物の組
成は、該縮合重合反応の後で同一である必要はない。
【0016】本発明においては、非経験的分子軌道計算
によって求めた、金属原子含有化合物触媒の双極子
(D)と金属上に局在する部分電荷(Q)の比(D/
Q)が2.0[Debye/e]以上であることが好ま
しい。より好ましくは2.5[Debye/e]以上で
あり、さらに好ましくは3.0以上である。金属原子含
有化合物中に複数の金属原子が存在する場合は、それぞ
れの金属原子上に割り当てられた部分電荷の中で、より
大きな値を用いて(D/Q)を得ることとする。該金属
原子含有化合物の双極子と金属原子上の部分電荷の比
(D/Q)が2.0[Debye/e]より小さい場
合、ポリエステル重合触媒とエステルモノマーとの相互
作用が強くなりすぎるため、ポリエステルの熱分解反応
を促進し、縮合重合によって得られるポリエステルの耐
熱性が悪化し黄変する。このような金属原子含有化合物
の例としては、塩化アルミニウム、塩化チタニウム、塩
化鉄等のハロゲン化金属や硫酸アルミニウム等の硫化物
が挙げられる。
【0017】また、非経験的分子軌道計算によって求め
た金属原子含有化合物の金属原子上に局在する非占有分
子軌道の軌道エネルギーが0.2eV以上2.5eV以
下となるのが好ましい。より好ましくは、0.5eV以
上2.5eV以下である。さらに好ましくは、0.8e
V以上2.0eV以下である。このエネルギー準位が
2.5eVより高い場合は、金属原子含有化合物触媒の
求電子性が低下するため、十分な触媒活性が得られな
い。また、該エネルギー準位が0.2eVより低い場合
は、金属原子含有化合物触媒の求電子性が強くなり過ぎ
るため、縮合重合に対する触媒作用効果より、縮合重合
反応の副反応である熱分解反応への作用が大きくなるた
め、高分子量のポリエステルが得られないと同時にポリ
マーの色調が悪化するため好ましくない。
【0018】本発明のパラメーター範囲に含まれる金属
原子含有化合物は、ジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体およびジオールからポリエステルを重合する
際に、触媒的に用いられる金属原子含有化合物であり、
この金属原子含有化合物を縮合重合触媒として用いて得
られるポリエステルを含有するポリエステル組成物は繊
維、フィルム、ボトル等の成型品として良好に用いるこ
とができる。
【0019】本発明のポリエステル組成物の製造方法に
ついて、ポリエチレンテレフタレートの例で説明する。
【0020】繊維やフィルム等に利用する高分子量ポリ
エチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセ
スで製造される事が一般的である。すなわち(1)テレ
フタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステ
ル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレー
トを得、さらにその後の縮合重合によって高分子量ポリ
マーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレート
(DMT)とエチレングリコールを原料とし、エステル
交換反応によって低分子量体を得て、さらにその後の縮
合重合によって高分子量ポリマーを得るプロセスであ
る。ここでエステル交換反応は無触媒で進行するが、エ
ステル交換反応においては通常、マンガン、カルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛リチウム等の化合物を触媒に用
いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結し
た後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的でリン
化合物を添加することが行われる。
【0021】本発明の製造方法は、(1)または(2)
のプロセスの初期またはプロセス前半で得られた低重合
体に、本発明のパラメーターの範囲に含まれる金属原子
含有化合物を添加、該化合物の触媒活性を利用して、後
半の特定の縮合重合反応を進行させ、高分子量のポリエ
チレンテレフタレートをを得るというものである。
(2)のプロセスの縮合重合反応の温度は270℃以上
300℃以下、さらに280℃以上300℃以下が好ま
しい。
【0022】ここで反応系への金属原子含有化合物の添
加は、化合物をそのまま添加しても良いが、作業性がよ
り良好となるように、エチレングリコールや水あるいは
その他の低沸点の有機溶媒に溶解あるいは分散した状態
で添加することが好ましい。
【0023】本発明の金属原子含有化合物触媒は、単独
で用いる事も可能であるが、2種類以上を混合して用い
る事も可能である。このとき、各金属原子換算でその和
が、ポリマーに対して0.1ppm以上500ppm以
下添加含有させるのが好ましい。より好ましくは1pp
m以上200ppm以下、さらに好ましくは1ppm以
上100ppm以下である。添加量が0.1ppmより
少ないと触媒活性が不十分で、結果として得られるポリ
マーの分子量が低く成形物の強度が不十分になる。また
500ppmを越える量添加すると、異物が生成し、成
形時の瀘圧上昇が顕著になったり、ポリマー色調が悪化
する。ここで金属原子換算量とは、金属原子含有化合物
触媒中に含まれる金属原子の重量を、該縮合重合反応で
得られるポリマーの重量で割った値を意味する。金属原
子含有化合物触媒中に複数の金属原子が存在する場合
は、該金属原子含有化合物の非経験的分子軌道計算から
得られる各金属原子上に局在する非占有分子軌道で、該
軌道のエネルギー準位が最も低い金属原子の重量とす
る。
【0024】また、本発明の金属原子含有化合物はアン
チモン系触媒とも併用する事が可能であり、アンチモン
原子の含有量がポリマーに対して50ppm以下である
と、繊維の紡糸時の糸切れや、フィルム製膜時の破れが
抑制され、ボトル等では透明性が良好となり好ましい。
より好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは10
ppm以下である。
【0025】上記金属原子含有化合物触媒を用いて合成
されるポリエステルとしては、具体的には、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレン
ナフタレートが挙げられる。
【0026】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、後述の比較例1〜4は公知の触媒の例で
ある。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって求
めた。
【0027】1.非経験的分子軌道計算の計算方法 制限的ハートリーフォック法(RHF法)を用いた。 2.分子構造 エネルギー勾配法によって金属原子含有化合物触媒の分
子構造を最適化した。 3.基底関数系 基底関数系は、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原
子、については、ポープル等によって示された基底関数
系である6-31G**(R.Ditchfield, W.J.Hehre,J. A. Pop
le,J.Chem.Phys.,vol54,p724(1971))を用いる。それ以
外の原子の基底関数は、藤永等によって示されている基
底関数系(gaussian basis sets formolecular calcula
tions , edit by S. Hujinaga et al , Elsevier(198
4))等の中に記載される各原子の基底関数群のうちで、
最もエネルギー準位が低い基底関数系を選択する。該基
底関数の原子価部分を記述する関数の数がN個の場合、
内核部分をN−1個、外殻部分を1個の2つに分割し、
さらに分極関数(P)を1つ加えた、いわゆるスプリッ
トバレンス+Pの基底関数系としたものを、本発明では
用いる。 4.非経験的分子軌道計算ソフトウエア Gaussian Inc. 製の”Gaussian94”を用いた。分子構造
の最適化アルゴリズムはエネルギー勾配法を用い、実際
の計算におけるキーワードはFOPTを選択した。SC
Fの収束条件は0.1kcal/molとした。その他
の計算に必要となるパラメーターは、ソフトウエアの標
準値を用いた。 5.非経験的分子軌道計算の実行 シリコングラフィクス社製のエンジニアリングワークス
テーションで実行した。 6.金属原子上に割り当てられる電荷と分子のダイポー
ルおよびその比 分子を構成する各原子上に割り当てられる部分電荷の分
配方法はMullikenの方法を用いた[e]。金属原
子含有化合物中に複数の金属原子が存在する場合は、そ
れぞれに割り当てられた電荷の中で、より大きな値を与
えた電荷を用いる。分子のダイポールは標準出力で得ら
れる結果を用いる[Debye]。さらに、金属原子上に
割り当てられた電荷と分子のダイポールの比はダイポー
ルの値を電荷で割り得る[単位:Debye/e]。 7.金属原子含有化合物の金属上に局在する最低非占有
分子軌道の軌道エネルギー準位 上記非経験的分子軌道計算を実行し、非占有分子軌道を
なす軌道係数が金属原子上に局在している分子軌道を調
べ、その中で最もエネルギー準位が低い値を選択する
[単位:eV]。 8.ポリマーの固有粘度[η、単位:dl/g] オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定し
た。 9.ポリマーの色調 スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピュー
ター型式SM−3)を用いて、ハンター値(b値)とし
て測定した。
【0028】特にb値に着目し、b値が9以下を測定し
た。 10.ポリマーのジエチレングリコール(DEG)含有
量[単位:重量%] ポリマーをアルカリ分解した後、ガスクロマトグラフィ
ーを用いて定量した。 11.繊維の強伸度 東洋ボールドウイン(株)社製テンシロン引っ張り試験
器により、試長250mm、引っ張り速度300mm/
分でS−S曲線を求め強伸度を算出した。
【0029】実施例1〜4 各金属原子含有化合物の構造最適化を行った後に得られ
た、化合物のダイポール(D)、金属原子上に割り当て
られた電荷(Q)、およびダイポールと電荷の比(D/
Q)、さらに金属原子上に局在する最低非占有分子軌道
のエネルギー準位を表1に示す。
【0030】高純度テレフタル酸とエチレングリコール
から常法に従って製造した、触媒を含まないオリゴマー
を250℃で溶融し、該溶融物にアルミニウム乳酸アミ
ド錯体、チタン乳酸アミド錯体、チタン/シリコン複合
酸化物(化合物1)、チタングリシナト錯体をエチレン
グリコールに分散させて加えた。各金属原子含有化合物
は最終的に得られるポリマー中の含有量として、各金属
原子100ppmとなる量とした。その後、低重合体を
30rpmで撹拌しながら、反応系を250℃から28
5℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで
下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はすべて6
0分とした。所定の撹拌トルクとなった時点で反応系を
窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にス
トランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステ
ルのペレットを得た。得られたペレットの固有粘度、ジ
エチレングリコール(DEG)含有量、ポリマー色調を
表1に示した。このペレットを乾燥した後、エクストル
ーダ型紡糸機に供給し、紡糸温度295℃で溶融紡糸し
た。このときフィルターとして絶対濾過精度15μmの
金属不織布を使用し、口金は0.6mm、温度300℃
の加熱筒で徐冷後、チムニー冷却風を当てて冷却固化
し、給油した後、引き取り速度550m/分で引き取っ
た。この未延伸糸を延伸温度95℃で延伸糸の伸度が1
4〜15%となるように適宜延伸倍率を変更しながら延
伸した後、熱処理温度220℃、リラックス2.0%で
熱処理し延伸糸を得た。化合物1〜5を縮合重合触媒と
して用いて得られたポリエチレンテレフタレートは、良
好なポリマー物性を有し、このポリエチレンテレフタレ
ートを持ちて溶融紡糸を行ったも、その工程において、
紡糸時の瀘圧上昇もほとんど認められず、また延伸時の
糸切れもほとんどなく成形加工の良好なポリマーであっ
た。ポリマー特性、製糸性の結果を表1に示す。なお、
製糸性の各値は比較例1の結果を基準として表記する。
【0031】比較例1 金属原子含有化合物として、三酸化アンチモンを用い、
金属原子含有化合物を変更する以外は実施例1〜4と同
様の手続きで、非経験的分子軌道計算を実行した。該金
属原子含有化合物はD/Qが3.4(Debye/e)
と好ましい値を与えたが、最低非専有起動のエネルギー
順位が2.6(eV)と高くなり、本パラメーターの範
囲外である。さらに、該金属原子含有金属化合物を縮合
重合触媒としてポリマーを重合して得た後、溶融紡糸を
行った結果、固有粘度、色調は良好であったが、糸切れ
が多い結果となった。結果を表1に示す。製糸性の各値
は、該化合物を縮合重合触媒として用いた際の結果を基
準として表記する。
【0032】比較例2、3 金属原子含有化合物として、塩化アルミと塩化鉄(II
I)を用いて、金属原子含有化合物種を変更する以外は
実施例1〜4同様の手続きで、非経験的分子軌道計算を
実行した。該金属原子含有化合物の非経験的分子軌道計
算結果はD/Q、最低非占有軌道のエネルギー準位のい
ずれも値が小さく縮合重合触媒として適さない結果を与
えた。さらに該金属原子含有化合物を縮合重合触媒とし
てポリマーを重合して得た後、溶融紡糸を行った結果、
DEG量とb値が大きくなり、また延伸時の糸切れも多
くなり成型加工に適さないポリマーであった。結果を表
1に示す。
【0033】比較例4,5 金属原子含有化合物として、塩化チタン(IV)と硫酸ア
ルミを用いて、金属原子含有化合物種を変更する以外は
実施例1〜5同様の手続きで、非経験的分子軌道計算を
実行した。該金属原子含有化合物の非経験的分子軌道計
算結果は最低非占有軌道のエネルギー準位は本発明の範
囲内ではあるが、D/Qの値が小さく縮合重合触媒とし
て適さない結果を与えた。さらに該金属原子含有化合物
を縮合重合触媒としてポリマーを重合して得た後、溶融
紡糸を行った結果、b値が大きくなり、また延伸時の糸
切れも多くなり成型加工に適さないポリマーであった。
結果を表1に示す。
【0034】比較例6、7 金属原子含有化合物として、水酸化アルミと酢酸アルミ
を用いて、金属原子含有化合物種を変更する以外は実施
例1〜5同様の手続きで、非経験的分子軌道計算を実行
した。該金属原子含有化合物の非経験的分子軌道計算結
果は最低非占有軌道のエネルギー準位は本発明が本パラ
メーターの範囲より高く、またD/Qの値は小さくな
り、縮合重合触媒として適さない結果を与えた。さらに
該金属原子含有化合物を縮合重合触媒としてポリマーを
重合して得た後、溶融紡糸を行った結果、充分な粘度が
えられず、b値も大きくなり、また延伸時の糸切れも多
くなり成型加工に適さないポリマーであった。結果を表
1に示す。
【0035】実施例5、6 金属原子含有化合物としてEGTとアルミニウムイソプ
ロポキシドを用いて、金属原子含有化合物種を変更する
以外は実施例1〜5同様の手続きで、非経験的分子軌道
計算を実行した。該金属原子含有化合物の非経験的分子
軌道計算結果はD/Qの値は該パラメーターを範囲では
あるが、最低非占有軌道のエネルギー準位が該パラメー
ターの範囲外となり縮合重合触媒として適さない結果を
与えた。さらに該金属原子含有化合物を縮合重合触媒と
してポリマーを重合して得た後、溶融紡糸を行った結
果、EGTを用いた場合はDEG量と異物が多く、アル
ミニウムイソプロポキシドを用いた場合は充分な粘度が
得られなかった。また、いずれも延伸時の糸切れも多く
なり成型加工に適さないポリマーであった。結果を表1
に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【化1】
【0038】
【発明の効果】本発明のパラメーターに含まれるポリエ
ステル縮合重合触媒は、縮合重合活性と耐熱性に優れ、
本発明の縮合重合触媒を用いて製造されるポリエステル
は繊維用、フィルム用、ボトル用のポリエステルの製造
において口金汚れ、瀘圧上昇、糸切れ等の問題が解消さ
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA03 AB05 AE01 AE02 AE03 BA03 BA05 BA08 CB06A CC06A JB131 JC121 JF221 JF251 KB05 KB15 KB25

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルの縮合重合反応時に添加す
    る金属原子含有化合物であって、分子軌道計算より求め
    た該化合物の双極子(D)と該化合物中の金属原子上に
    分布する部分電荷(Q)の比率(D/Q)が2.0[D
    ebye/e]以上である事を特徴とする非アンチモン
    系ポリエステル重合用触媒。
  2. 【請求項2】 分子軌道計算より求めた金属原子上に局
    在する最低非占有分子軌道の軌道エネルギーが、0.2
    eV以上2.5eV以下である事を特徴とする請求項1
    記載の非アンチモン系ポリエステル重合用触媒。
  3. 【請求項3】請求項1及び2記載の非アンチモン系ポリ
    エステル重合用触媒の少なくとも1種類を、金属原子換
    算でその総和が、ポリマーに対して0.2〜500pp
    m添加して得られる事を特徴とするポリエステルを含有
    するポリエステル組成物。
  4. 【請求項4】 ポリエステルが主としてポリエチレンテ
    レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロ
    ピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
    リブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート
    の少なくとも一つからなる請求項3記載のポリエステル
    組成物。
  5. 【請求項5】 芳香族ジカルボン酸もしくは、そのエス
    テル形成誘導体及びジオール、または低分子量ポリエス
    テルオリゴマーを出発原料とするポリエステル組成物を
    製造する方法であって、該出発原料に対して、請求項1
    及び2記載の非アンチモン系ポリエステル重合用触媒を
    少なくとも1種類添加し、添加量の総和が金属原子換算
    でポリマーに対して0.2〜500ppmである事を特
    徴とするポリエステルの製造方法。
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