JP5286665B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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上記式4にて表されるリン化合物としては、R8=tert−ブチル基、R9=tert−ブチル基、R10=メチル基の化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイトがあり、この化合物はGSY−P101(大崎工業社製)として入手可能である。これらの化合物は単独で用いてもまたは併用して用いてもよい。
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加することが行われる。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーのカルボキシル末端基量
オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)ポリマーのジエチレングリコール含有量
モノエタノールアミンを溶媒として、1,6−ヘキサンジオール/メタノール混合溶液を加えて冷却し、中和した後遠心分離した後に、上澄み液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)にて測定した。
(5)ポリマーのアセトアルデヒド含有量
ポリエステルと純水を窒素シール下で160℃2時間の加熱抽出を行い、その抽出液中のアセトアルデヒド量を、イソブチルアルコールを内部標準としてガスクロマトグラフィー(島津製作所製「GC−14A」)を用いて定量した。
(6)Δカルボキシル末端基290、Δb値290
ポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間加熱溶融させた後、(2)および(3)の方法にてカルボキシル末端基量および色調を測定し、加熱溶融前後の差をそれぞれΔカルボキシル末端基290、Δb値290として測定した。
(7)口金の堆積物の観察
繊維の紡出から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、色調調整剤(Solvent Blue 104)の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例9ではやや色調b値が悪かったが、それ以外では得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
チタン化合物とマグネシウム化合物の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例15では、やや色調が悪く、実施例12,13,15ではやや耐熱性が悪かったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇は、実施例13においてやや汚れ及び糸切れが見られたが、操業上全く差し支えないレベルであった。それ以外の実施例では、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
リン化合物の添加量をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例16では、やや色調、耐熱性が悪かったが、製品上問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
チタン化合物、リン化合物の混合時間を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
チタン化合物とリン化合物の事前混合を行わないようにした以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。なお、チタン化合物、リン化合物の反応系への添加は、エステル化反応生成物が移送された後の重縮合反応槽へまずリン化合物を添加し、その5分後にマグネシウム化合物を添加し、その5分後にチタン化合物を添加した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例22では、重縮合触媒を添加した後反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間にリン化合物をさらに添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。なお、リン化合物の反応系への添加は、所定の攪拌トルクの85%となった時点(減圧を開始してから2時間30分の時点)で、ポリエチレンテレフタレートシートを射出成形して作成した厚さ0.2mm、内容積500cm3の容器にポリマーに対して674ppm(リン原子換算で35ppm)のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、GSY−P101)を詰めて、反応缶上部より添加した。また、実施例23では、重縮合を開始する前のリン化合物の添加を行わず、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が目標とする重合度に到達するまでの間(所定の攪拌トルクの85%となった時点:減圧を開始してから2時間20分の時点)に、ポリマーに対して963ppm(リン原子換算で50ppm)のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、GSY−P101)を添加した以外は実施例22と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。
得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
参考例1では、リン化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IRGAFOSP−EPQ)、参考例2では、リン化合物としてビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4−イルホスホナイトを用いた点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に優れており、熱安定性も優れていた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
チタン化合物をクエン酸キレートチタン化合物の代わりにエチレンジアミン四酢酸キレートチタン、トリメリット酸キレートチタン、テトラブトキシチタンを用いる点以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例28では、やや耐熱性が悪かったが、製品上全く問題ないレベルであった。それ以外の実施例では色調、耐熱性ともに良好であった。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
所定の攪拌トルクの設定を変更した(実施例29では得られるポリエステルの固有粘度が低くなるよう、実施例30では得られるポリエステルの固有粘度が高くなるよう設定した)以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリエステルは、色調、耐熱性ともに良好であり、また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
リン化合物を添加しない以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。色調は黄色味が強く、また、DEG、アセトアルデヒドを多く含有しており、また耐熱性の劣ったポリマーであった。
リン化合物として、リン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。
リン化合物として、ホスホン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例5,6は、所定の撹拌トルクにまで到達しなかった。また、比較例7では、到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290の値が大きく、耐熱性に劣ったポリマーであった。
リン化合物として、ホスフィン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例8,9は、所定の撹拌トルクにまで到達しなかった。また、比較例10では、到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290の値が大きく、耐熱性に劣ったポリマーであった。
リン化合物として、ホスフィンオキサイド系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合した。比較例11,12どちらも、所定の撹拌トルクにまで到達しなかった。
リン化合物として、亜リン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。いずれの水準も所定の撹拌トルクに到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290の値が大きく、熱安定性に劣ったポリエステルであった。
リン化合物として、亜ホスホン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。いずれの水準も所定の撹拌トルクに到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290の値が大きく、熱安定性に劣ったポリエステルであった。
リン化合物として、亜ホスフィン酸系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。いずれの水準も所定の撹拌トルクに到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290が大きく、熱安定性に劣ったポリエステルであった。
リン化合物として、ホスフィン系化合物を添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。いずれの水準も所定の撹拌トルクに到達するまでの時間が大幅に長くなり、色調の劣ったポリマーとなった。また、Δカルボキシル末端基290、Δb値290が大きく、熱安定性に劣ったポリエステルであった。
重縮合触媒として、チタン化合物の代わりにアンチモン化合物の酸化アンチモンを添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。所定の撹拌トルクに到達するまでの時間やポリマー色調および耐熱性は良好なポリマーであったが、溶融紡糸時の口金孔周辺に堆積物が見られ濾圧上昇および糸切れが発生した。
Claims (6)
- チタン系重縮合触媒中のチタン原子と式4で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率Ti/Pが0.01〜1.5であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を添加し、マグネシウム化合物、マンガン化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物中の原子換算の合計と式4で表されるリン化合物中のリン原子のモル比率(Mg+Mn+Ca+Co)/Pが0.1〜5であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
- 請求項1記載のチタン系重合触媒が、多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、含窒素カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つをキレート剤とするチタン錯体であることを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 150℃、12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた後のポリマー色調の変化が−5〜5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステル。
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