JP2009067944A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時におけるポリエステルのカルボキシル末端基量の増加量および固有粘度の減少量が飛躍的に小さいポリエステルの製造方法を提供することすること。
【解決手段】
ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合反応して得られるポリエステルを製造する方法において、重縮合触媒添加後に減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間にホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は色調、熱安定性に優れたポリエステルの製造方法に関するものである。更に詳しくは、重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時におけるポリエステルのカルボキシル末端基量の増加量および固有粘度の減少量が飛躍的に小さいポリエステルの製造方法に関するものである。
ポリエステルはその機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、資材用、医療用に用いられている。その中でも、汎用性、実用性の点でポリエチレンテレフタレートが優れ、好適に使用されている。
一般にポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールから製造されるが、高分子量のポリマーを製造する商業的なプロセスでは、重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム触媒、チタン触媒などが広く用いられている。これら重縮合触媒は、もちろんポリエチレンテレフタレートの重縮合反応を促進するが、熱分解反応や酸化分解反応などの副反応も促進する。特にチタン触媒を用いる場合では、触媒活性が高いために副反応も大きく促進するため、ポリマーが黄色く着色するといった問題が生じる。ポリマーが黄色味を帯びるということは、例えばポリエステルを繊維として用いる場合、特に衣料用繊維では商品価値を損なうので、好ましくない。
かかる問題に対して、重縮合触媒とともにリン化合物を添加することでポリマーの色調や耐熱性を向上させる検討が広くなされている。この方法は、リン化合物により重縮合触媒の活性を抑制して、ポリマーの色調や耐熱性を向上させるというものである。例えば、チタン化合物を触媒として用いるポリエステルの製造方法において、リン化合物としてリン酸や亜リン酸を添加する方法(特許文献1)、またリン化合物としてホスホン酸系化合物を添加する方法(特許文献2)、またリン化合物としてホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物を添加する方法(特許文献3)について明示されている。しかしながら、これらの方法を用いると、確かに副反応の抑制に一定の効果が見られるものの、一定量以上のリン化合物を加えると重縮合触媒の重合活性が抑えられ過ぎて、目標の重合度まで到達しなかったり、重合反応時間が遅延するので結果としてポリマーの色調が悪化するといった問題が発生した。
それに対して、チタン化合物とリン化合物のモル比(Ti/P)をある一定の範囲に限定する方法がある(特許文献4)。この方法によれば、確かにチタン化合物の触媒の失活は防げるものの、ある一定レベル以上の色調や耐熱性のポリエステルを得ることはできない。
この問題を解決すべく、リン化合物を重縮合反応終了後に添加する方法が提案されている。例えば重縮合反応終了後にリン化合物を添加する方法が開示されている(特許文献5)。確かにこの方法を用いるとリン化合物による重縮合触媒の失活は防げるが、重縮合反応が終了した後の溶融状態のポリエステル反応系にリン化合物を混合するため、重縮合反応での副反応は抑制できず、また混合工程におけるポリマーの劣化は避けられない。また、重縮合が終了した後の溶融状態のポリエステルに減圧条件下でリン化合物を添加する方法もある(特許文献6)が、この方法においても重縮合反応中での副反応は抑制できず、また減圧条件下でリンを添加するため、リン化合物が飛散してポリエステル中に添加されないといった問題がある。
そこで、本発明では上記課題を解決のため鋭意検討した結果、触媒の添加後に重合反応器の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間にホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法により本発明の目的を達成できるという知見を得た。
特開平6−100680号公報(特許請求の範囲) 特開2004−217855号公報(特許請求の範囲) 特開2004−292657号公報(特許請求の範囲) 特開2000−256452公報(特許請求の範囲) 特開2004−359907号公報(特許請求の範囲) 特開昭48−79896号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は上記従来の問題を解消、つまり重合時に使用した触媒に起因する熱分解反応を抑制し、従来品に比べてポリマーの色調が良好で、かつ高温溶融時におけるポリエステルのカルボキシル末端基量の増加量および固有粘度の減少量が飛躍的に小さいポリエステルの製造方法を提供することである。
上記本発明の課題は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合反応して得られるポリエステルの製造方法において、重縮合触媒の添加後に重合反応器内を減圧してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間にホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法により達成できる。
本発明の、重縮合触媒の添加後に重合反応器内の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間にホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法で得られたポリエステルは、従来の製造方法で得られたポリエステルに比べてポリマーの色調が良好で、かつポリエステルのカルボキシル末端基量の増加量および固有粘度の減少量が飛躍的に小さくすることができる。この製造方法により得られたポリエステルは、繊維用、フィルム用、ボトル用等の成形体の製造工程における、色調や物性の低下等の問題を解消できる。
本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体とをエステル化またはエステル交換反応させ低重合体を得た後、重縮合触媒を添加し、減圧条件下で重縮合を行いポリエステルを得るものである。このような方法により得られるポリエステルとして、具体的には、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート等が挙げられる。本発明は、なかでも最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体において好適である。
本発明のポリエステルの製造方法は、重縮合触媒を添加した後、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に、ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することが必須である。このような方法でリン化合物を添加すると、重縮合触媒の失活を極めて効果的に抑制することができ、色調および高温溶融時におけるポリエステルのカルボキシル末端基の増加量および固有粘度の減少量が飛躍的に小さいポリエステルを得ることができる。ポリエステルの着色や耐熱性の悪化は、飽和ポリエステル樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社、初版、P.178〜198)に明示されているように、ポリエステルの副反応によって起こる。このポリエステルの副反応は、金属触媒によってカルボニル酸素が活性化し、β水素が引き抜かれることにより、ビニル末端基成分およびアルデヒド成分が発生する。このビニル末端基によりポリエンが形成されることによってポリマーが黄色に着色し、また、アルデヒド成分が発生するために、主鎖エステル結合が切断されるため、耐熱性が劣ったポリマーとなる。この主鎖エステル結合が切断されると、ポリエステルの分子量が低下するために固有粘度は低下し、またポリエステル分子の末端はジオール末端に代わりカルボキシル末端が増加する。特にチタン化合物を重合触媒として用いると、熱による副反応の活性化が非常に強いために、ビニル末端基成分やアルデヒド成分が多く発生し、黄色に着色した耐熱性が劣ったポリマーとなる。リン化合物は、重縮合触媒と適度に相互作用することにより、重縮合触媒の活性を調節する役割を果たす。しかし、従来のリン化合物を重縮合反応を開始する前に添加を行う方法では、重縮合触媒の副反応の活性とともに重縮合活性をも低下させることは避けられなかった。ところが、本発明によると、重縮合触媒の重合活性を十分に保持したままに、副反応活性のみを極めて小さく抑えることができる。これは本発明者らが鋭意検討した結果、ポリエステルの副反応が重縮合初期に比べて重縮合後期に起こること、また着色抑制メカニズムには上述の重縮合触媒とリン化合物との間の適度な相互作用の他に、副反応で一度生成した二重結合を還元するというメカニズムもあることに着目し、リン化合物の添加を重縮合反応を開始せしめた後に添加し、また、この際用いるリン化合物として3価のホスホナイト化合物および5価のホスホネート化合物の両方を添加することにより、重縮合活性を維持したまま重縮合後期に起こる副反応を特異的に抑制でき、かつ従来に比べて著しく着色を抑制できることを見いだした。これは、従来のリン化合物やリン化合物の添加方法、例えば、ポリエステルの重合反応が実質的に完了した後に、リン化合物を添加する方法では達成し得なかったものである。
通常ポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体に、重縮合触媒の添加を行った後、反応器内を減圧にして重縮合反応を進行させることにより製造される。ポリエステルは、用途・目的によって様々な重合度が求められるため、所望の重合度に到達した時点で反応器内を常圧または加圧にして重縮合反応を停止し、反応器外に吐出する。本発明では、この反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間にホスホナイト化合物およびホスホネート化合物の両方を添加することが必須である。
本発明のリン化合物を添加する時期は、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてから重合が実質的に完了するまでの間であればいつ添加しても良いが、ポリエステルの固有粘度が目的とする固有粘度の40〜99%の時期に添加すると、重縮合触媒の失活が極めて少ないまま副反応を抑制できるために好ましい。好ましくは50〜98%の間であり、特に好ましくは、75〜98%の間である。リン化合物を添加する時期におけるポリエステルの固有粘度は、直接サンプリングを行い後述する方法で粘度測定を行って算出しても良いが、反応器の攪拌翼にかかるトルク負荷から算出しても良い。
本発明のリン化合物は、数回に分割して添加してもよく、フィーダーなどで継続的に添加を行っても良い。リン化合物を添加する場合、リン化合物を単独で添加してもよく、エチレングリコール等のジオール成分に溶解させた状態または分散させて添加してもよく、また高濃度にリンを含有したマスターペレットを添加してもよい。ただし、エチレングリコール等のジオール成分を多量に持ち込んで添加を行うと、ポリエステルの解重合(ポリエステル主鎖の切断反応)が進行してしまうため、リン化合物を単独で添加することが好ましい。
本発明のリン化合物は、重合系に溶解又は溶融可能でありかつ、本発明で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成る容器に充填して添加することが好ましい。上記のような容器にリン化合物を入れて添加を行うと、減圧条件下での重合反応器に添加を行うことで、リン化合物が飛散して、減圧ラインにリン化合物が流出するのを防止することができるとともに、リン化合物をポリマー中に所望量添加することができる。本発明でいう容器とは、リン化合物がまとめられるものであればよく、例えば、ふたや栓を有する射出成形容器、あるいはシートやフィルムをシールあるいは縫製などで袋状にしたものなどが含まれる。上記の容器は、空気抜きを作ることがさらに好ましい。空気抜きを作った容器にリン化合物を入れて添加すると、真空条件下で重合反応器に添加しても、空気膨張により容器が破裂してリン化合物が減圧ラインに流出したり、重合反応器の上部や壁面に付着することがなく、ポリマー中にリン化合物を所望量添加することができる。この容器の厚さは、厚すぎると溶解、溶融時間が長くかかるため厚さは薄いほうがよいが、リン化合物の封入・添加作業の際に破裂しない程度の厚さを確保する。そのためには10〜500μm厚さで均一で偏肉のないものが好ましい。
本発明において重縮合反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加するリン化合物は、ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物の両方であることが必須である。このホスホナイト化合物は、副反応により発生する過酸化物(R−O−OH:副反応をさらに促進する)をアルコール(R−OH)に変換し、自らは5価のリン化合物に変わることでポリエステルの副反応を抑制したり、副反応で生成した二重結合を還元したりする。一方、ホスホネート化合物は、上述のようにホスホナイト化合物が酸化して生じる5価のリン化合物とともに重縮合触媒に配位して触媒活性を抑えることによりポリエステルの副反応を特に抑制する。
ホスホナイト化合物とは、3価のリン化合物で式(1)で表される構造を含む化合物であり、式中のR,R,Rはアルキル基またはアリール基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2009067944
具体的にはフェニル亜ホスホン酸ジエチル、フェニル亜ホスホン酸ジイソプロピル、下記式(2)で表されるテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(融点:234〜240℃)、式(3)で表されるテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル){1,1−ビフェニル}−4,4’−ジイルビスホスホナイト(融点:75−95℃)が挙げられる。
Figure 2009067944
Figure 2009067944
これらの化合物のうち式(2)は(大崎工業化学株式会社製GSY−P101)として、式(3)は(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製P−EPQ)として入手可能である。これら3価のリン化合物を1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
また、ホスホネート化合物とは、5価のリン化合物で式(4)で表される構造を含む化合物であり、式中のR,R,Rはアルキル基またはアリール基を表し、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Figure 2009067944
具体的には例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アントリルホスホン酸、2−カルボキシフェニルホスホン酸、3−カルボキシフェニルホスホン酸、4−カルボキシフェニルホスホン酸、2,3−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,6−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,4−ジカルボキシフェニルホスホン酸、3,5−ジカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,4−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,3,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,5−トリカルボキシフェニルホスホン酸、2,4,6−トリカルボキシフェニルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジエチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、フェニルホスホン酸ジフェニルエステル、ベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル、ベンジルホスホン酸ジフェニルエステル、リチウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ナトリウム(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、マグネシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル、式(5)で表されるテトラエチルビフェニル−4,4’−ジイルジホスホネート、式(6)で表されるテトラドデシルビフェニル−4,4’−ジイルジホスホネートなどが挙げられる。これら5価のリン化合物を1種または2種以上組み合わせて用いても良い。
Figure 2009067944
Figure 2009067944
上記、3価および5価のリン化合物は、重量平均分子量が100〜2000の範囲であることが好ましい。リン化合物の分子量が上記範囲内であると、減圧条件下での添加におけるリン化合物の飛散が少なく、また、リン化合物のポリエステル中への溶融が早く均一に分散されるためにリン由来の凝集異物の発生が抑えられる。重量平均分子量は、好ましくは150〜1500、さらに好ましくは200〜1200である。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加するリン化合物が、得られるポリエステルに対してリン原子換算で合計で1〜1000ppm添加することが、ポリエステルの耐熱性を向上できるため好ましい。上記範囲より添加量が少ないと所望の目的効果を発揮するに至らず、上記範囲より添加量が多いと重縮合触媒が失活して重合反応が遅延したり、目標の重合度まで反応が進行しないといった問題が発生する。より好ましくは1〜500ppm、更に好ましくは10〜250ppm、一層好ましくは20〜150ppmである。
本発明の製造方法で用いるフェノール系酸化防止剤とは、フェノール構造を有したラジカル連鎖反応禁止剤であって、具体的には2,6−t−ブチル−p−クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ{5,5}ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル、トコフェロールなどが挙げられる。これらフェノール系酸化防止剤を1種または2種以上組み合わせて用いても良い。また、添加量は特に限定されないが、添加する化合物の重量として得られるポリマーに対して通常1ppm〜10%、好ましくは100ppm〜1%の範囲である。
本発明の製造方法で用いる硫黄系酸化防止剤とは、過酸化物をラジカルを発生しない形で還元し、自身が酸化される硫黄系酸化防止剤であって、具体的には、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられ、これら硫黄系酸化防止剤を1種または2種以上組み合わせて用いても良い。また、添加量は特に限定されないが、添加する化合物の重量として得られるポリマーに対して通常1ppm〜10%、好ましくは100ppm〜1%の範囲である。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、重縮合触媒として、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物などが用いられる。これらの重縮合触媒は単独、あるいは併用して、あるいはこれらにさらに、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン等の化合物を併用しても良い。これらの重縮合触媒は、得られるポリエステルに対して金属原子換算で1〜1000ppm添加することが好ましい。中でもチタン化合物を重縮合触媒として用いると、色調の改善効果が大きく、また、異物の発生が抑制されるため好ましく、その際、得られるポリエステルに対して、チタン原子換算で1〜30ppmとなるように添加することが好ましい。1〜15ppmであるとポリマーの熱安定性や色調がより良好となり好ましく、更に好ましくは5〜10ppmである。
なお、本発明の重縮合触媒とは、一般にジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体からポリエステルを合成する反応、(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応、(2)ジカルボン酸のエステル形成性誘導体成分とジオール成分との反応であるエステル交換反応、(3)実質的にエステル反応またはエステル交換反応が終了し、得られたポリエチレンテレフタレート低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応、の少なくとも(3)の反応促進に寄与する効果を持っているものを指す。従って、繊維の艶消し剤等に無機粒子として一般的に用いられている酸化チタン粒子は上記の反応に対して実質的に触媒作用を有しておらず、本発明の重縮合触媒として用いることができるチタン化合物とは異なる。
上記重縮合触媒のほかに、触媒活性を調整する目的で、少量のリン化合物を触媒とともに添加しても良い。ここで添加するリン化合物は、特に制限は無く、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホネート系化合物、ホスフィネート系化合物、ホスフィンオキサイド系の中から選ばれる。中でも3価のリン化合物を添加することが色調、耐熱性の観点から好ましい。3価のリン化合物とは、ホスファイト系化合物、ホスホナイト系化合物、ホスフィナイト系化合物、ホスフィン系化合物のことを指す。ここで添加するリン化合物は、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始させてからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に添加するリン化合物とは異なり、多量に添加すると重縮合触媒を失活させて重合遅延を引き起こしたり、目標の重合度まで重縮合反応が進行しないといった問題が発生することがあるため、得られるポリエステルに対してリン原子換算で50ppm以下となるように添加することが好ましい。
上記重合用触媒として用いるチタン化合物は、多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または含窒素カルボン酸がキレート剤とするチタン錯体であると、ポリマーの熱安定性及び色調の観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、多価カルボン酸として、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、ヒドロキシカルボン酸として、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、含窒素カルボン酸として、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等が挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いても併用して用いてもよい。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、固有粘度が0.66dlg−1のポリエステルを150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融させた前後のカルボキシル末端基の増加が1〜20当量/ton、固有粘度の減少が0.01〜0.1の範囲であることが好ましい。このカルボキシル末端基の増加や固有粘度の減少が小さいほど、熱劣化や酸化劣化による主鎖切断反応が少ないことを意味しており、熱安定性に優れているといえる。カルボキシル末端基の増加や固有粘度の減少が上記の範囲を超える場合には、繊維用、フィルム用、ボトル用等の成形体への製造工程において粘度むらが発生したり、物性の低下が生じる。好ましくはカルボキシル末端基の増加が3〜15当量/ton、固有粘度の減少が0.01〜0.05、特に好ましくは、3〜10当量/ton、固有粘度の減少が0.01〜0.03である。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、チップ形状での色調がハンター値でそれぞれL値が60〜95、a値が−6〜2、b値が−5〜5の範囲にあることが、繊維やフィルムなどの成型品の色調の点から好ましい。さらに好ましいのは、L値が70〜90、a値が−5〜1、b値が−3〜3の範囲である。
本発明の製造方法により得られるポリエステルは、溶融押出成形等によってフィラメント状に成形した後、延伸、或いは紡糸等を施すことにより繊維として有用なものとなる。
また、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料のほか従来公知の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等が添加されても勿論良い。
以下に本発明のポリエステルの製造方法を説明する。具体例としてポリエチレンテレフタレートの例を記載するがこれに限定されるものではない。
ポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。
すなわち、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、前述のチタン化合物を触媒として添加してもよい。また、エステル交換反応においては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、コバルト、亜鉛、リチウム等の化合物や前述のチタン化合物を触媒として用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加してもよい。なお、この時点で添加するリン化合物は、本発明において添加するリン化合物とは区別される。
本発明のポリエステルは、(A)または(B)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(A)または(B)の一連の反応の前半で得られた低重合体に、重縮合触媒として前述のチタン化合物やアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物を添加した後、反応器内を減圧にして重縮合反応を開始して得られる。この時、反応器内を減圧にしてから、ポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間に、ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物の両方を添加して、目的のポリエチレンテレフタレートを得るというものである。この反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式に適応し得る。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)ポリマーの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリマーのカルボキシル末端基
オルソクレゾールを溶媒として、25℃で0.02規定のNaOH水溶液を用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)にて滴定して測定した。
(3)ポリマーの色調
色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L、a、b値)として測定した。
(4)Δ固有粘度290
固有粘度が0.66dlg−1のポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間加熱溶融させた後、(1)の方法にて固有粘度を測定し、加熱溶融前後の差をΔ固有粘度290として測定した。
(5)Δカルボキシル末端基290
固有粘度が0.66dlg−1のポリエステルを、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で30分間加熱溶融させた後、(2)の方法にてカルボキシル末端基量を測定し、加熱溶融前後の差をΔカルボキシル末端基290として測定した。
(6)口金の堆積物の観察
溶融紡糸開始から72時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。堆積物がほとんど認められない状態を○、堆積物は認められるものの操業可能な状態を△、堆積物が認められ頻繁に糸切れが発生する状態を×として判定した。
(容器の作成)
<容器1>
ポリエチレンテレフタレートシートを射出成形により厚さ0.2mm、内容積500cmの容器およびそのふたを成形し、空気抜きを設けた。容器およびふたを合わせた重量は30gであった。
<容器2>
厚さ0.07mmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、縫製糸としてポリエチレンテレフタレート繊維を用いて縫製し、空気抜きを有した内容積500cmの袋を作成した。フィルム、糸を含んだ容器の重さは10gであった。
実施例1
予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約100kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に高純度テレフタル酸(三井化学社製)82.5kgとエチレングリコール(日本触媒社製)35.4kgのスラリーを4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物101.5kgを重縮合槽に移送した。
エステル化反応生成物に、ポリマーに対してビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化社製、アデカスタブPEP−36)を100ppm(リン原子換算で10ppm)添加した。5分後に、チタン原子換算で10ppm相当のクエン酸キレートチタン化合物を添加し、さらに5分後に、酸化チタン粒子のエチレングリコールスラリーを、ポリマーに対して酸化チタン粒子換算で0.3重量%添加した。さらに5分後に、反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を、250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクの85%となった時点(減圧を開始してから2時間30分の時点)で、反応缶上部よりポリマーに対して880ppm(リン原子換算で50ppm)相当のテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、分子量1092)および362ppm(リン原子換算で50ppm)相当のジエチルホスホノ酢酸エチル(和光純薬社製、分子量224)を、容器1に詰めた後添加した。その後反応を継続し、所定の攪拌トルク(目標とする重合度をIV=0.66とした)に到達したら反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間45分であった。
得られたポリマーは色調、耐熱性に優れたポリエステルであった。
また、このポリエステルを150℃12時間真空乾燥した後、紡糸機に供しメルターにて溶融した後、紡糸パック部から吐出し、1000m/分の速度で引取った。溶融紡糸工程においては、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例2〜5
減圧を開始した後にリン化合物を添加する時期を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例2、3、4では、重合時間が遅延したが、得られたポリマーは色調が良好であった。また、実施例2、5では、わずかに色調が黄色味を帯びていたが、品質にはまったく問題のない程度であった。また全ての水準において、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例6〜8
減圧を開始した後に添加するリン化合物の添加量を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例6では、わずかに色調が黄色味を帯びていたが、品質にはまったく問題のない程度であった。また、実施例8では、わずかに重合時間が遅延したが、得られたポリマーは色調に優れていた。また全ての水準において、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例9〜11
実施例9では、実施例1で触媒と同時に添加していたリン化合物を添加せず、減圧開始後に添加する3価のホスホナイト化合物を88ppm(リン原子換算で5ppm)、5価のホスホネート化合物を36ppm(リン原子換算で5ppm)それぞれ増量して添加した。実施例10では、減圧開始する前に触媒と同時添加したリン化合物をテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、分子量1092)に変更、また実施例11では、減圧を開始した後のリン化合物の添加を3価のリン化合物と5価のリン化合物とで2回に分割して添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例11では、やや重合時間が遅延したが、その他の水準では重合時間遅延なく、色調・耐熱性に優れたポリマーが得られた。また、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例12〜14
減圧を開始した後に添加するリン化合物の添加種を、実施例12では3価のリン化合物としてテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル){1,1−ビフェニル}−4,4’−ジイルビスホスホナイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、分子量1035)、5価のリン化合物としてフェニルホスホン酸ジフェニルエステル(日産化学社製、分子量310)に、実施例13では3価のリン化合物としてフェニル亜ホスホン酸ジエチル(和光純薬社製、分子量198)、5価のリン化合物としてフェニルホスホン酸ジメチルエステル(日産化学社製、分子量186)に変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例14では、減圧開始する前に添加するリン化合物をテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、分子量1092)に、減圧を開始した後に添加するリン化合物のうち5価のリン化合物をテトラドデシルビフェニル−4,4’−ジイルジホスホネート(城北化学社製、分子量987)に変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例13では、やや耐熱性が劣っていたが、品質には問題のない程度であった。また全ての水準において、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例15,16
実施例15では容器2にリン化合物を詰め、実施例16ではリン化合物を容器に詰めずに添加物投入ラインから直接添加を行った以外は、実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例16は、わずかに色調が黄色味を帯びていたが、品質にはまったく問題のない程度であった。また、実施例16ではやや耐熱性に劣っていたが、品質には問題のないレベルであった。また全ての水準において、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例17〜21
重縮合触媒の添加量、添加種を変更した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。実施例17では、わずかに重合時間が遅延した。実施例17,18,20は、わずかに色調が黄色味を帯びていたが、品質にはまったく問題のない程度であった。実施例21では、わずかに紡糸時の口金孔周辺の堆積物が見られ、濾圧上昇が発生した。その他の水準では、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例22〜26
減圧開始後に添加するリン化合物とともにフェノール系酸化剤または硫黄系酸化剤のどちらか、もしくはその両方を添加した。具体的には実施例22,23では、フェノール系酸化防止剤として2,6−t−ブチル−p−クレゾール(和光純薬社製、分子量220)をそれぞれポリマーに対し化合物重量で1000ppm、50ppm添加した。実施例24,25では、硫黄系酸化防止剤としてジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(和光純薬社製、分子量515)をそれぞれポリマーに対し化合物重量で1000ppm、50ppm添加した。また、実施例26ではフェノール系酸化防止剤として2,6−t−ブチル−p−クレゾール(和光純薬社製、分子量220)を1000ppm、硫黄系酸化防止剤としてジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(和光純薬社製、分子量515)を1000ppm添加した。それ以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。全ての水準において、色調、耐熱性に優れていたが、特に実施例22,24,26が色調、耐熱性ともに際だって優れていた。また全ての水準において、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
実施例27
減圧開始する前に触媒と同時に添加するリン化合物をテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業社製、分子量1092)に、減圧を開始した後に添加するリン化合物の添加種を、3価のリン化合物としてはテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル){1,1−ビフェニル}−4,4’−ジイルビスホスホナイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、分子量1035)に、5価のリン化合物としてはテトラドデシルビフェニル−4,4’−ジイルジホスホネート(城北化学社製、分子量987)に、フェノール系酸化防止剤としては2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(和光純薬社製、分子量341)に、硫黄系酸化防止剤としてはジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート(和光純薬社製、分子量571)に変更した以外は実施例26と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。色調、耐熱性ともに際だって優れており、紡糸時の口金孔周辺の堆積物及び濾圧上昇はほとんど認められなかった。
Figure 2009067944
比較例1
減圧を開始した後にリン化合物の添加を行わなかった以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に劣っており、また耐熱性にも劣っていた。
比較例2
減圧を開始する前に触媒と同時添加するリン化合物の添加量を変更した以外は比較例1と同様にポリエステルの重合を行った。その結果、所定の攪拌トルク(重合度)まで到達しなかった。
比較例3
リン化合物の添加を重合が所定の目標トルクに到達してから(重合反応が実質的に完了してから)行い、直後に吐出を行った以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。比較例3では、得られたポリマーは色調に劣っていた。また、ポリマー中にリンの凝集物と見られる異物が発生し、溶融紡糸時には口金孔周辺の堆積物が見られ、濾圧上昇および糸切れが頻繁に発生した。
比較例4
減圧を開始した後にリン化合物の添加を行わずにフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤のみを添加した以外は実施例1と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に劣っており、また耐熱性にも劣っていた。
比較例5
リン化合物、フェノール系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤の添加を重合が所定の目標トルクに到達してから(重合反応が実質的に完了してから)行い、直後に吐出を行った以外は実施例26と同様にポリエステルを重合、溶融紡糸した。得られたポリマーは色調に劣っていた。また、ポリマー中にリンの凝集物と見られる異物が発生し、溶融紡糸時には口金孔周辺の堆積物が見られ、濾圧上昇および糸切れが頻繁に発生した。
Figure 2009067944

Claims (9)

  1. ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を重縮合触媒の存在下で重縮合反応して得られるポリエステルを製造する方法において、重縮合触媒の添加後であって、重合反応器内の減圧を開始してからポリエステルが目標とする重合度に到達するまでの間で、ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 得られるポリエステルに対して、ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物をリン原子換算で合計して、1〜1000ppm添加することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
  3. ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物のそれぞれの重量平均分子量が100〜2000の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステルの製造方法。
  4. フェノール系酸化防止剤をリン化合物と同時に添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  5. 硫黄系酸化防止剤をリン化合物と同時に添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  6. ホスホナイト化合物およびホスホネート化合物がともに、重合系に溶解又は溶融可能でありかつ、該重合系で得られる重合体と実質的に同一成分の重合体から成る容器に入れて添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  7. 重縮合触媒としてチタン化合物を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルの製造方法。
  8. 150℃、12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下290℃で60分間溶融後のカルボキシル末端基の増加量が1〜20当量/ton、固有粘度の減少量が0.01〜0.1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されたポリエステル。
  9. 請求項8のポリエステルを溶融紡糸してなる繊維。
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