JP5217058B2 - 産業資材フィルター紗用ポリエチレンナフタレートモノフィラメント - Google Patents
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Description
公知の紡糸口金を用いて、溶融紡糸しモノフィラメントとし、続いて延伸を施すことにより上記物性を有する原糸が得られる。紡糸工程で一旦未延伸糸として巻き取り改めて延伸する工程としては、紡糸速度が400〜1000m/分であり、紡糸後に3.0〜10倍延伸することが好ましい。紡糸速度としてはさらには400〜600m/分であることが好ましい。また延伸倍率としては3〜7倍であることが好ましい。このように低速にて紡糸し、高倍率に延伸することによってより高強度の延伸繊維を得ることが可能である。従来は例え低速で紡糸したとしても高倍率延伸時に結晶の欠点に起因する強度の弱い部分が存在するため、高倍率延伸時に断糸が起こることが多かった。しかし本発明ではリン化合物の配合により延伸による結晶化において微細結晶が均一に形成されるため、延伸欠点が発生しにくく、高倍率に延伸でき、繊維を高強度化することが可能となったものである。
(1)極限粘度IVf
樹脂あるいは繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容量比6:4)に溶解し、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定して求めた。
(2)繊維の広角X線回折
Bruker社製D8 DISCOVER with GADDS SuperSpeedを用い、回折角2θ=0°〜50°における繊維の赤道方向の広角X線回折を測定し、2θ=5〜6°の回折ピークの有無を求めた。また、透過型電子顕微鏡観察から繊維中に存在する粒子形態および粒子サイズを求めた。
(3)原糸の強度、伸度
原糸の強度および伸度はJIS−L1017に準拠し、オリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸長速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。5%LASEは上記の測定時のサンプルが5%伸長した時の応力を測定した。
(4)熱水収縮率(BWS)
枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの過重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定する。その後、このカセを100℃の熱水浴中で30分間処理後、放冷し再びスケール板に吊るし収縮後の長さLを測定し次式で沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%)
(5)糸削れの評価
スルーザー型織機により、織機の回転数250rpmとして織幅1インチあたり300本の経糸を用いてメッシュ織物を製織し、織りあがった反物を検反機にて目視検査を行った。この時、通常黒に見えるメッシュ模様が白色化して見える織物欠点の数を数えて評価した。
織幅1.5m×織物長さ300mあたり糸削れによる欠点5個未満を○、5以上10ヶ未満を△、10ヶ以上を×と判定した。
[ポリエステルの作製]:
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール50重量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.0056重量部を攪拌機、蒸留搭及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行い、引き続いてエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を0.03重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.024重量部を添加して、攪拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空下で縮合重合反応を行い、常法に従ってチップ化して極限粘度0.65のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下240℃で10〜13時間固相重合を行い、表1に記載した固有粘度のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。
製糸化は以下の通り行った。上記の乾燥樹脂チップを紡糸設備にて常法で溶融し、ギヤポンプを経て紡糸ヘッドに供給した。溶融ポリマーは、ノズル孔径0.25mmの円形紡糸孔を1個有する紡糸口金から、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ、600m/分の紡速にて巻き取りつつ、オイリングローラーにて油剤を付着させながら、未延伸糸を得た。その後、加熱されたホットローラーにて予熱後、スリットヒーター200℃で加熱しながら3.8倍で延伸し、0.03倍のリラックス処理を施した後、巻き取り、13dtex−1filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度5.2cN/dtex、伸度32%、5%LASE 4.0cN/dtex、熱水収縮率2.8%であった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は300mあたり0ヶであった。仕上げ加工して紗にしたところ、伸びが少なく寸法安定性に優れるものであった。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、固相重合を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)80ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)100ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸を用いないこと以外は実施例1と同様に実施した。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、未延伸糸とし、モノフィラメントを得た。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物としてフェニルホスホン酸の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、未延伸糸とし、モノフィラメントを得た。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物としてフェニルホスホン酸を350ミリモルとした以外は同様に行なった。得られたポリエチレンナフタレート、原糸物性、糸削れ評価を表1に示す。強度が低下し製織性が悪く問題であった。
Claims (2)
- 主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルからなるモノフィラメントであって、該ポリエステルポリマーがフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%含み、該リン化合物が1〜100nmの層状構造を形成したポリマー組成物であって、赤道方向の広角X線回折において2θ=5〜6°に回折ピークを有することを特徴とする産業資材フィルター紗用モノフィラメント。
- モノフィラメントの5%LASEが3.0cN/dtex以上、強度が4.0cN/dtex以上、伸度が30%以上、熱水収縮率が3.0%以下である請求項1に記載の産業資材フィルター紗用モノフィラメント。
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