JP5219156B2 - 複合紡糸混繊フィラメントミシン糸 - Google Patents
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Description
a)フィラメントAとフィラメントBとの混繊比率(重量比率)が70:30〜90:10であること。
b)フィラメントAの芯成分であるポリエステルが、フェニルホスフィン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスホン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%含むこと。
上記の構成とすることにより、芯鞘2層構造を有し、鞘側の高伸度糸によりループまたはゆるみを形成させて可縫性を改善した混繊フィラメントミシン糸とすることができる。
かかる特性のミシン糸を得るための具体的な製造法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
(1)極限粘度IVf
樹脂あるいは繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容量比6:4)に溶解し、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定して求めた。
(2)原糸の強度、伸度
原糸の強度および伸度はJIS−L1017に準拠し、オリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸長速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。10%LASEは上記の測定時のサンプルが10%伸長した時の応力を測定した。
(3)熱水収縮率(BWS)
枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの荷重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定する。その後、このカセを100℃の熱水浴中で30分間処理後、放冷し再びスケール板に吊るし収縮後の長さLを測定し次式で沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%)
(4)本縫高速直線可縫性
本縫い1本針ミシンを用いて、4000rpmの速度、ミシン針#14でT/Rサージ4枚を1分間縫製し、ミシン糸の切断の有りもしくは単糸切れ多発で外観不合格の場合を(×)、単糸切れが発生するも極僅かで実用上問題ない場合を(○)、単糸切れが全く発生しない場合を(◎)として評価した。
[フィラメントA芯成分ポリエステルの作製]:
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール50重量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.0056重量部を攪拌機、蒸留搭及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行い、引き続いてエステル交換反応が終わる前にリン化合物としてフェニルホスホン酸(PPA)を0.03重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.024重量部を添加して、攪拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空下で縮合重合反応を行い、常法に従ってチップ化して極限粘度0.65のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下240℃で10〜13時間固相重合を行い、表1に記載した固有粘度のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール66部、酢酸、マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物に正リン酸の56%水溶液、0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)及び三酸化アンチモン0.04部(0.027モル%)を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃から280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で固有粘度0.60の樹脂チップを得た。
製糸化は以下の通り行った。上記の乾燥樹脂チップを紡糸設備にて常法で溶融し、ギヤポンプを経て紡糸ヘッドに供給した。溶融ポリマーは、ノズル孔径0.2mmの円形紡糸孔を24個有する図1で示すような紡糸混繊用芯鞘複合紡糸口金から吐出され、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ、800m/分の紡速にて巻き取りつつ、オイリングローラーにて油剤を付着させながら、未延伸糸を得た。その後、加熱されたホットローラーにて予熱後、スリットヒーター220℃で加熱しながら3.8倍で延伸し、0.03倍のリラックス処理を施した後、巻き取り、84dtex−24filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度6.2cN/dtex、伸度20%、10%LASE5.2cN/dtex、熱水収縮率3.2%であった。
上記延伸糸に1000T/MのS撚りを施した後、3本あわせて、700T/MのZ撚りを施しミシン糸とした後、チーズに巻き取り、150℃、40分の染色処理をおこない、乾燥後シリコーン系油剤を3%塗布してミシン糸とした。
得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、固相重合を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)80ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)100ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物を含有させないこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。剛直性が高く、本縫高速直線可縫性は不良であった。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物としてフェニルホスフィン酸の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。本縫高速直線可縫性は不良であった。
実施例1において、ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸を350ミリモルとしたこと以外は実施例1と同様に実施した。得られたポリエチレンナフタレート、混繊フィラメントミシン糸、評価用ミシン糸の性能を表1に示す。強度が低下し本縫高速直線可縫性は不良であった。
2:フィラメントA芯側ポリマー配管
3:フィラメントB側ポリマー計量ギアポンプ
4:フィラメントA鞘側ポリマー計量ギアポンプ
5:フィラメントA芯側ポリマー計量ギアポンプ
6:フィラメントB側紡糸パック及び口金
7:フィラメントA側紡糸パック及び口金
8:紡糸パック
Claims (3)
- 芯成分が主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルからなり、鞘成分が主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルからなる芯鞘型複合フィラメントAと、フィラメントAの鞘成分と同じポリエステルからなるフィラメントBとが紡糸工程で混繊されてなる混繊糸であって、下記要件を満足することを特徴とする複合紡糸混繊フィラメントミシン糸。
a)フィラメントAとフィラメントBとの混繊比率(重量比率)が70:30〜90:10であること。
b)フィラメントAの芯成分であるポリエステルが、フェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%含むこと。 - フィラメントBの伸度がフィラメントAより10%以上大きい請求項1記載の複合紡糸混繊フィラメントミシン糸。
- 複合紡糸混繊ミシン糸の10%LASEが4.0cN/dtex以上、強度が5.5cN/dtex以上、伸度が15%以上、熱水収縮率が4.0%以下である請求項1記載の複合紡糸混繊フィラメントミシン糸。
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