JP2011089233A - スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強力、高モジュラスで、スクリーン紗製織時の糸削れ、スカム発生が少なく、且つ繊維軸方向に直交する断面における芯/鞘面積比が安定した繊維径の均一なスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントを効率的に得る製造方法を提供する。
【解決手段】鞘成分が、ポリエチレンテレフタレートに第三成分を共重合したポリエステルで、芯成分が主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルである芯鞘型複合モノフィラメントの製造方法であって、芯成分ポリマーがフェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、を含み且つ該芯成分ポリマーを紡糸口金から吐出した後一旦巻取ることなく連続的に延伸することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、スクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントの製造方法に関する。さらに詳細には、紡糸・延伸を一段階で行いながらも、高強力、高モジュラスを達成し、スクリーン紗製織時の糸削れ、スカム発生が少なく、且つ繊維軸方向に直交する断面における芯/鞘面積比が安定した繊維径の均一なスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントの製造方法に関する。
モノフィラメントは衣料分野ではもちろん、産業資材の分野でも幅広く利用されてきている。特に後者の産業資材の分野での用途の例として、スクリーン印刷用メッシュ織物がある。特に最近の電子回路分野での印刷においては集積度が高まる一方であり、スクリーン紗としての印刷精密さ及び印刷性向上のため、高強度・高モジュラスでかつ、ハイメッシュといった要求がますます強くなっている。原糸についても、高強力、高モジュラスで且つより細繊度のものが要求されている。
スクリーン紗用原糸を設計する上でメッシュ織物の製織時の筬による糸削れ、スカム発生を防止することが重要で、その対策として芯鞘型複合モノフィラメントとして、芯部で高モジュラス、高強度を達成し、鞘部のポリエステルとして低IV又は低Tgの変性ポリエステルを用いることが近年多く紹介されている。なかでも芯部にポリエチレンナフタレートを使用した芯鞘型複合モノフィラメント(特許文献1〜2)は芯部にポリエチレンナフタレートを使用することにより高強度及び高モジュラスとすることができるので有用である。
しかしながら、紡糸口金から吐出された溶融ポリマーを引き取りローラーからいったん巻取ることなく連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法では糸切れのために操業性が悪くなるという問題点があった。
特許第2959195号公報 特開2005−248357号公報
本発明は上記問題点を解消するものであり、高強力、高モジュラスで、スクリーン紗製織時の糸削れ、スカム発生が少なく、且つ繊維軸方向に直交する断面における芯/鞘面積比が安定した繊維径の均一なスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントを紡糸口金から吐出された溶融ポリマーを引き取りローラーからいったん巻取ることなく連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法によって効率的に得る製造方法を提供する。
本発明者は鋭意検討した結果得られたもので、本発明によれば、
鞘成分が、ポリエチレンテレフタレートに第三成分を共重合したポリエステルで、芯成分が主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルである芯鞘型複合モノフィラメントの製造方法であって、芯成分ポリマーがフェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、を含み且つ該芯成分ポリマーを紡糸口金から吐出した後一旦巻取ることなく連続的に延伸することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法、
フェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、の含有量が、芯成分ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%であり、
紡糸速度が300〜1000m/分であり、延伸速度が1000〜5000m/分であり、
さらに下記A〜Fを満足し、
A.鞘成分ポリエステルが、第三成分をポリエステル全酸成分及び/又は全ジオール成分に対して0.5〜25モル%共重合した共重合ポリエステルであること。
B.モノフィラメントの原糸最大点強力が6.5cN/dtex以上、5%伸長時の強度が4.5cN/dtex以上、最大点伸度が10〜20%であること。
C.芯成分ポリエステルの固有粘度が0.60〜1.00dL/gであること。
D.鞘成分ポリエステルの固有粘度が0.40〜0.55dL/gであること。
E.鞘成分ポリエステルの複屈折率が0.03〜0.14であること。
F.繊維軸に直交する断面の芯鞘面積比率が50:50〜95:5であること。
鞘成分ポリマーに含まれる第三成分が、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の群から選ばれる少なくとも一種であるスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法、
が提供される。
本発明の芯鞘型複合モノフィラメントの芯成分ポリエチレンナフタレートに特定のリン化合物を含有させることにより、更には鞘側ポリエステルの固有粘度、複屈折率を特定値とし、芯/鞘面積比の安定した原糸とすることにより、該ポリエステルモノフィラメントを、紡糸口金から吐出された溶融ポリマーを引き取りローラーからいったん巻取ることなく連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法によって効率的に得ることができる。また、紡糸・延伸工程を一段階で行っているにも関わらず、紡糸・延伸を別の段階で行ういわゆる別延伸法で得た場合と同等の高強度、高モジュラス値を達成することができ、製織加工時のスカム発生を防止できるだけでなく、スクリーン紗の織目安定性や寸法安定性が向上し、連続精密印刷性能、印刷耐久性に優れたハイメッシュでハイモジュラスのスクリーン紗とすることができる。
本発明のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントは、鞘成分が、ポリエチレンテレフタレートに第三成分を共重合させたポリエステルで、芯成分が主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルであり、該芯成分ポリマーがフェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、であるリン化合物を、ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%含むポリマー組成物であることが好ましい。
本発明の芯成分の主たる繰返し単位がエチレンナフタレートであるポリマーにおいては、フェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、であるリン化合物を含有することにより、ポリマー組成物の結晶性が向上し、溶融し、紡糸口金から吐出する段階で、微小結晶を多数形成する。そしてこの微小結晶が、紡糸及び延伸工程で生じるポリエチレンナフタレート繊維の粗大な結晶成長を抑制し結晶を微分散化させ、実用的な延伸倍率を高めることができ、より高い強度のスクリーン紗用芯鞘型複合モノフィラメントを得ることが可能となったのである。
本発明で用いられる芯成分の繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルは、樹脂チップの極限粘度として、公知の溶融重合や固相重合を行うことにより0.60〜1.20の範囲にすることが好ましい。樹脂チップの極限粘度が低すぎる場合には溶融紡糸後の繊維を高強度化させることが困難となる。また極限粘度が高すぎると固相重合時間が大幅に増加し、生産効率が低下するため工業的観点から好ましくない。極限粘度としては、さらには0.65〜1.0の範囲であることが好ましい。また、高い結晶性向上の効果を示すためには、下記一般式(1)であらわされるリン化合物のRがベンジル基であることが、さらにはフェニル基であることが好ましく、本発明のリン化合物がフェニルホスフィン酸またはフェニルホスホン酸であることが好ましい。特にはフェニルホスホン酸およびその誘導体であることが最適である。
Figure 2011089233
[上の式中、Rは炭素数1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基であり、Rは水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、Xは、水素原子または−OR基であり、Xが−OR基である場合、Rは水素原子又は炭素数の1〜12個の炭化水素基であるアルキル基、アリール基又はベンジル基、であり、RとRは同一であっても異なっていても良い。]
本発明で用いられる芯成分の主たる繰返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルのリン化合物含有量としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分のモル数に対して0.1〜300ミリモル%であることが好適である。リン化合物の量が0.1ミリモル%未満であると結晶性向上効果が不十分になる傾向にあり、300ミリモル%を超える場合には紡糸時の異物欠点が発生するために製糸性が低下する傾向にある。リン化合物の含有量はポリエステルを構成するジカルボン酸成分のモル数に対して1〜100ミリモル%の範囲がより好ましく、10〜80ミリモル%の範囲がさらに好ましい。
本発明で用いられる芯成分の主たる繰返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルとしては、好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート単位を80%以上、特には90%以上含むポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
また、前記の芯成分及び鞘成分のポリマー中には、各種の添加剤、たとえば二酸化チタンなどの艶消剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤、耐衝撃剤の添加剤、または補強剤としてモンモリナイト、ベントナイト、ヘクトライト、板状酸化鉄、板状炭酸カルシウム、板状ベーマイト、あるいはカーボンナノチューブなどの添加剤が含まれていてもよいことはいうまでもない。
本発明で用いられる鞘成分のポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリコール成分としたポリエステルに、第三成分としてイソフタル酸、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の群から選ばれる少なくとも一種を共重合したポリエステルとすることが必要である。中でもイソフタル酸が好ましい。
イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の群から選ばれる少なくとも一種はポリエステルのそれぞれ対応する全酸成分、全グリコール成分に対して0.5〜25モル%の割合で使用することが必要である。0.5モル%未満であれば固有粘度を0.45〜0.55であっても製糸時の粘度が高くなり複屈折率が高くなり又芯/鞘面積比が変動し易く又紡糸工程調子が低下する。一方25モル%を超える場合原糸の熱収縮率が高くなり好ましくない。好ましくは1.0〜20モル%であり、より好ましくは5〜15モル%である。
上記鞘成分の共重合ポリエステルのIVは0.45〜0.55とすることが必要で、この範囲にある場合に(ソフトである故に)製織時の筬によるスカム発生、糸削れ性が防止できる。0.45未満であれば耐熱性が低下し好ましくない。0.55を超える場合は製糸時の粘度が高くなり複屈折率が高くなり好ましくない。
上記鞘成分で第三成分を共重合することの効果は、共重合することにより製糸時の粘度上昇が少なく複屈折率が低下でき且つ芯/鞘面積比が安定しスカムの発生が低下できる。又断糸や、毛羽の発生も少ない。第三成分を共重合しない場合は同じ固有粘度においても製糸時の粘度上昇が大きく複屈折率が高くなり、又芯/鞘面積比が変動し易くスカム発生やスクリーン紗にしたときの印刷精度が低下する。
本発明の芯鞘型複合モノフィラメントの繊維軸に直交する断面は円形断面が好ましい。断面での芯と鞘部が相似形である必要はないが、芯部は鞘部で十分に覆われていることが必要である。好ましい芯:鞘面積比率は50:50〜95:5である。芯/鞘面積比率が50:50より低く芯部面積が少ない場合には強度が不足し好ましくない。95:5を超えて芯部面積が増加する場合鞘部によって覆われない部分が発生しスカムが発生する。
本発明の製造方法で得られる芯鞘型複合モノフィラメントの最大点強力は6.5cN/dtex以上であることが好ましく、さらに好ましくは7.0cN/dtexである。最大点伸度が10〜20%が好ましく、10%未満では製織時糸切れが多発するなど糸の取り扱い性が悪くなる。5%LASEは高い方が好ましく、4.5cN/dtex以上が好ましく、さらに好ましくは5.0〜6.0cN/dtexである。熱水収縮率は3.0%以下であることが好ましく、これによりスクリーン紗の高い寸法安定性を得ることができる。これらの物性を同時に達成することにより、製織性に優れ、且つ、高い印刷耐久性を持つスクリーン紗が可能となる。
かかる特性の芯鞘型複合モノフィラメントを得るための具体的な製造法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記した2種類のポリエステルを公知の芯鞘複合紡糸口金を用いて、溶融紡糸し芯鞘型複合モノフィラメントとし、続いて延伸を施すことにより上記物性を有する原糸が得られる。
本発明の芯鞘複合モノフィラメントの製造方法における延伸方法としては、紡糸引取りローラーから連続的に延伸工程に未延伸糸を供給する、いわゆる直接延伸法で延伸する。紡糸速度としては300〜1000m/分であり、延伸速度としては1000〜5000m/分であり、延伸倍率としては3〜10倍が好ましい。紡糸速度としては400〜600m/分がさらに好ましい。また延伸速度としては2000〜4000m/分がさらに好ましく、延伸倍率としては4〜8倍が好ましい。
このように紡糸・延伸を一段階で行うことで効率的に高強度の延伸繊維を得ることが可能である。従来は紡糸・延伸を一段階で行うと高速・高倍率延伸時に結晶の欠点に起因する強度の弱い部分が存在するため、高速・高倍率延伸時に断糸が起こることが多かった。また、強伸度も紡糸・延伸を別段階で行う場合に比べて低下していた。しかし本発明ではリン化合物の配合により延伸による結晶化において微細結晶が均一に形成されるため、紡糸・延伸を一段階で行っても延伸欠点が発生しにくく、高倍率に延伸でき、繊維を高強度化することが可能となったものである。
また延伸条件としては1段ないし多段延伸であり、延伸負荷率としては60〜95%であることが好ましい。延伸負荷率とは繊維が実際に断糸する張力に対する、延伸を行う際の張力の比である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各特性値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度IVf
樹脂あるいは繊維をフェノールとオルトジクロロベンゼンとの混合溶媒(容量比6:4)に溶解し、35℃でオストワルド型粘度計を用いて測定して求めた。
(2)複屈折率(Δn)
干渉顕微鏡(カールツァイスイエナ社製インターファコ干渉顕微鏡)を用い、干渉縞法により求めた。浸漬液は所望の屈折率としたものを用いた。得られた干渉縞の写真から、干渉縞の間隔及びそのずれから屈折率を下記式より算出した。
λd/D=(n−N)t
ただし、d:干渉縞のずれ、D:干渉縞の間隔、λ:測定光源波長、n:サンプルの屈折率、N:溶液の屈折率、t:サンプルの線径
この解析を、モノフィラメントの半径をA、中心軸からの距離をaとした時の規格化した半径(r=a/A)0〜0.9間で0.1間隔の10点、繊維学会編の「繊維・高分子測定法の技術」:朝倉書店発行に記載の方法に準拠して行い、サンプルのモノフィラメント軸方向に平行方向の屈折率、及び垂直方向の屈折率を求め下記式より算出した。
複屈折率(Δn)=平行方向屈折率−垂直方向屈折率
また、r=0の複屈折率を芯成分の複屈折率の値とし、r=0.9の複屈折率を鞘成分の複屈折率の値とした。r=0は芯の複屈折率、r=0.9は鞘成分の複屈折率であることはモノフィラメント横断面で確認しており、これを前提として測定した。
(3)原糸の強度、伸度
原糸の強度および伸度はJIS−L1017に準拠し、オリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸長速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。5%LASEは上記の測定時のサンプルが5%伸長した時の応力を測定した。
(4)熱水収縮率(BWS)
枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの過重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定する。その後、このカセを100℃の熱水浴中で30分間処理後、放冷し再びスケール板に吊るし収縮後の長さLを測定し次式で沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%)
(5)糸削れの評価
スルーザー型織機により、織機の回転数250rpmとして織幅1インチあたり300本の経糸を用いてメッシュ織物を製織し、織りあがった反物を検反機にて目視検査を行った。この時、通常黒に見えるメッシュ模様が白色化して見える織物欠点の数を数えて評価した。
織幅1.5m×織物長さ300mあたり糸削れによる欠点5個未満を○、5以上10個未満を△、10個以上を×と判定した。
[実施例1]
芯成分ポリエチレンナフタレートの作製:
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100重量部とエチレングリコール50重量部との混合物に酢酸マンガン四水和物0.030重量部、酢酸ナトリウム三水和物0.0056重量部を攪拌機、蒸留搭及びメタノール留出コンデンサーを設けた反応器に仕込み、150℃から245℃まで徐々に昇温しつつ、反応の結果生成するメタノールを反応器外に留出させながら、エステル交換反応を行い、引き続いてエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を0.03重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応生成物に三酸化二アンチモン0.024重量部を添加して、攪拌装置、窒素導入口、減圧口及び蒸留装置を備えた反応容器に移し、305℃まで昇温させ、30Pa以下の高真空下で縮合重合反応を行い、常法に従ってチップ化して極限粘度0.65のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下240℃で10〜13時間固相重合を行い、表1に記載した固有粘度のポリエチレンナフタレート樹脂チップを得た。
鞘成分共重合ポリエステルの作製:
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール66部、表1に記載した量のイソフタル酸(全酸成分に対するモル%)、酢酸、マンガン4水塩0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.024モル%)をエステル交換管に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から230℃まで昇温して生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。続いて得られた生成物に正リン酸の56%水溶液、0.03部(テレフタル酸ジメチルに対して0.033モル%)及び三酸化アンチモン0.04部(0.027モル%)を添加して重合缶に移した。次いで1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて230℃から280℃まで昇温した。1mmHg以下の減圧下、重合温度280℃で表1に記載した固有粘度に達するまで重合し、樹脂チップを得た。
芯鞘型複合モノフィラメントの作製
製糸化は以下の通り行った。上記の乾燥樹脂チップを紡糸設備にて各々常法で溶融し、ギヤポンプを経て2成分複合紡糸ヘッドに供給した。芯と鞘ポリマーの繊維軸方向に直交する断面の面積比率が表1記載の値となるように設定した。同時に供給された芯部と鞘部の溶融ポリマーは、ノズル孔径0.25mmの円形複合紡糸孔を1個有する紡糸口金から、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤をオイリングローラーにて付着させながら、GR1(予熱温度95℃、紡糸速度700m/分、8ターン)で引き取った後、GR2(セット温度120℃、周速3430m/分、6ターン)にて4.9倍で延伸し、巻き取り、13dtex−1filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度7.2cN/dtex、伸度12%、5%LASE 5.3cN/dtex、湿熱収縮率2.7%であった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
原糸の節糸発生個数は0個であった。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は300mあたり0個であった。仕上げ加工したスクリーン紗を連続印刷したところ、伸びが少なく寸法安定性に優れるものであった。
[実施例2]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、固相重合を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、芯鞘型複合モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[実施例3]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)100ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、芯鞘型複合モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[実施例4]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)80ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、芯鞘型複合モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[比較例1]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物を含有させないこと以外は実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、3.8倍の延伸を行い芯鞘型複合モノフィラメントを得た。なお、実施例1と同じ延伸倍率4.9では、断糸が発生し製造することができなかった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[比較例2]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物としてフェニルホスフィン酸の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、3.8倍の延伸を行い芯鞘型複合モノフィラメントを得た。なお、実施例1と同じ延伸倍率4.9では、断糸が発生し製造することができなかった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[比較例3]
実施例1において、鞘成分共重合ポリエステルの作製の際、イソフタル酸を共重合させなかった以外は、実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして芯鞘型複合モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
[比較例4]
実施例1において、芯成分ポリエチレンナフタレートの作製の際、リン化合物を含有させないこと、鞘成分共重合ポリエステルの作製の際、イソフタル酸を共重合させなかった以外は、実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、3.8倍の延伸を行い芯鞘型複合モノフィラメントを得た。なお、実施例1と同じ延伸倍率4.8では、断糸が発生し製造することができなかった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
Figure 2011089233
本発明は、改質された芯鞘型ポリエステルモノフィラメントに関するものであり、特にスクリーン印刷用のメッシュ織物、プリント配線基盤の製造などの高度な精密性を要求されるハイメッシュでハイモジュラスのスクリーン紗を得るのに好適である。

Claims (5)

  1. 鞘成分が、ポリエチレンテレフタレートに第三成分を共重合したポリエステルで、芯成分が主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートであるポリエステルである芯鞘型複合モノフィラメントの製造方法であって、芯成分ポリマーがフェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、を含み且つ該芯成分ポリマーを紡糸口金から吐出した後、一旦巻取ることなく連続的に延伸することを特徴とするスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  2. フェニルホスホン酸金属塩又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸金属塩又はその誘導体、の含有量が、芯成分ポリマーを構成するジカルボン酸のモル数に対して0.1〜300ミリモル%である請求項1記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  3. 紡糸速度が300〜1000m/分であり、延伸速度が1000〜5000m/分である請求項1〜2いずれかに記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  4. 下記A〜Fを満足する請求項1〜3いずれかに記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
    A.鞘成分ポリエステルが、第三成分をポリエステル全酸成分及び/又は全ジオール成分に対して0.5〜25モル%共重合した共重合ポリエステルであること。
    B.モノフィラメントの原糸最大点強力が6.5cN/dtex以上、5%伸長時の強度が4.5cN/dtex以上、最大点伸度が10〜20%であること。
    C.芯成分ポリエステルの固有粘度が0.60〜1.00dL/gであること。
    D.鞘成分ポリエステルの固有粘度が0.40〜0.55dL/gであること。
    E.鞘成分ポリエステルの複屈折率が0.03〜0.14であること。
    F.繊維軸に直交する断面の芯鞘面積比率が50:50〜95:5であること。
  5. 鞘成分ポリマーに含まれる第三成分が、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物の群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4いずれかに記載のスクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
JP2009244628A 2009-10-23 2009-10-23 スクリーン紗用芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの製造方法 Pending JP2011089233A (ja)

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