JP5217059B2 - 寸法安定性に優れたスクリーン紗用モノフィラメント - Google Patents
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Description
スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおいて、ポリエステルが主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであって、下記式(1)で表されるフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリエステルを構成するジカルボン酸の全モル数に対して0.1〜300ミリモル%含み、該リン化合物が1〜100nmの層状構造を形成したポリエチレンテレフタレート組成物であり、且つ赤道方向の広角X線回折において2θ=5〜6°に回折ピークを有し、下記A〜Dの要件を満足することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
A.モノフィラメントの湿熱処理前の原糸強度が5.0〜7.0cN/dtex、5%伸長時の強度が2.5〜3.7cN/dtex、伸度が20〜45%、湿熱収縮率が2.5〜9.0%であること。
B.ポリエステルの固有粘度が0.70〜1.00dL/gであること。
C.単糸繊度が1〜24dtexであること。
D.モノフィラメントの繊維長手方向50万メートルで繊維直径に対し1.1倍以上の節糸が1個以下であること。
が提供される。
ハイメッシュのスクリーン紗とするにはモノフィラメントの繊度は1〜24dtex、好ましくは4〜20dtex、より好ましくは5〜15dtexである。
5%LASEが高い方が好ましいが、3.7cN/dtexを超えると製織時に筬による削れが発生し、織物に織込まれ、欠点となってしまうため好ましくない。逆に2.5cN/dtex未満では十分な布帛強度が得られないため好ましくない。
湿熱収縮率は2.5〜9.0%の範囲が好ましく、この範囲外では湿熱処理後の15%伸長応力を特定の範囲内にすることができず好ましくない。
湿熱処理後の強度が5.0cN/dtex未満ではスクリーン紗強度が不足し紗張り時に破れが発生しやすく、7.0cN/dtexを超える場合は収縮率が取れにくくなったり、製織時に筬による削れが発生しやすくなる。
かかる特性のモノフィラメントを得るための具体的な製造法について説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
実施例中、固有粘度、強度、伸度、湿熱時収縮率、湿熱処理後の強度、湿熱処理後の伸度、15%伸長時の強度、節数の数の評価、糸削れ評価、ヒステリシスの評価は、以下の定義で行った。
35℃でオルトクロロフェノールにサンプルを溶解した各濃度(C)の希釈溶液を作成し、それら溶液の粘度(ηr)から下記式によってCを0に近づけることで算出した。
η=limit(ln(ηr/C))
Bruker社製D8 DISCOVER with GADDS Super Speedを用い、回折角2θ=0°〜50°における繊維の赤道方向の広角X線回折を測定し、2θ=5〜6°の回折ピークの有無を求めた。また、透過型電子顕微鏡観察から繊維中に存在する粒子形態および粒子サイズを求めた。
繊維の繊度、強度および伸度はJIS−L1017に準拠し、オリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸長速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。5%LASEは上記の測定時のサンプルが5%伸長した時の応力を測定した。
5000m採取して、かせ状態にし、高圧内130℃の湿熱雰囲気内に繊度×0.1倍(g)をかけつつ、10分間入れ湿熱処理とした。処置終了後の糸は自然乾燥を行い、糸長を再度測定した。処置後の糸長を処置前の糸長5000mで割って百分率表示として湿熱処置後の収縮率とした。
湿熱処理後の繊維の強度および伸度は湿熱処置後の糸をオリエンテック社製のテンシロンを用いてサンプル長25cm、伸長速度30cm/minで測定し、サンプル破断した時の強度と伸度である。15%LASEは上記の測定時のサンプルが15%伸長した時の応力を測定した。
整経機のクリール出口に設置されているドロッパー前に隙間が糸径×1.1倍で公差±2μmとなる12本通しのスリットガイド設置した。そのスリットガイドに糸を通し、12本×8段=96本をそれぞれ糸速500m/minにて各糸長20万m整経した。その際、スリットガイドにて断糸した回数を節の数と見なし、整経中での断糸回数を測定した。検出した断糸回数を糸長10万m換算して評価を行った。
スルーザー型織機により、織機の回転数250rpmとして織幅1インチあたり300本の経糸を用いてメッシュ織物を製織し、織りあがった反物を検反機にて目視検査を行った。この時、通常黒に見えるメッシュ模様が白色化して見える織物欠点の数を数えて評価した。
織幅1.5m×織物長さ30mあたり糸削れによる欠点5個未満を○、5以上10ヶ未満を△、10ヶ以上を×と判定した。
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)および整色剤として酢酸コバルト4水塩0.013部(テレフタル酸ジメチルに対して0.01モル%)をエステル交換反応缶に仕込み、この反応物を窒素ガス雰囲気下で4時間かけて140℃から220℃まで昇温し、反応缶中に生成するメタノールを系外に留去しながらエステル交換反応させた。引き続いてエステル交換反応が終わる前にフェニルホスホン酸(PPA)を0.03重量部(50ミリモル%)を添加した。その後、反応混合物に安定剤としてリン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに対して0.080モル%)、および消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.024部加えた。次に、10分後に、反応混合物に三酸化アンチモン0.041部(テレフタル酸ジメチルに対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを留去しながら240℃まで昇温し、その後、反応混合物を重合反応缶に移した。次いで1時間40分かけて760mmHgから1mmHgまで減圧するとともに240℃から280℃まで昇温して重縮合反応せしめた後、常法に従ってチップ化して極限粘度0.65のポリエステル樹脂チップを得た。このチップを65Paの真空度下、120℃で2時間予備乾燥した後、同真空下240℃で10〜13時間固相重合を行い、表1に記載した固有粘度のポリエステル樹脂チップを得た。
製糸化は以下の通り行った。上記の乾燥樹脂チップを紡糸設備にて常法で溶融し、ギヤポンプを経て290℃に加熱された紡糸ヘッドに供給した。溶融ポリマーは、ノズル孔径0.25mmの円形紡糸孔を1個有する紡糸口金から、通常のクロスフロー型紡糸筒からの冷却風で冷却・固化し、紡糸油剤を付与しつつ、1200m/分の紡速にて巻き取りつつ、オイリングローラーにて油剤を付着させながら、未延伸糸を得た。その後、加熱されたホットローラーにて予熱後、スリットヒーター200℃で加熱しながら3.8倍で延伸し、0.03倍のリラックス処理を施した後、巻き取り、13dtex−1filの延伸糸を得た。得られた延伸糸は強度5.2cN/dtex、伸度32%、5%LASE 4.0cN/dtex、湿熱収縮率2.8%であった。表1にポリエステル、原糸物性を示す。原糸の節糸発生個数は0個であった。この原糸をスルーザー型織機で製織した際、糸削れ発生による織物欠点は30mあたり0ヶであった。仕上げ加工したスクリーン紗を連続印刷したところ、伸びが少なく寸法安定性に優れるものであった。
実施例1において、ポリエステル作製の際、固相重合を実施しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
実施例1において、ポリエステル作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)100ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
実施例1において、ポリエステル作製の際、フェニルホスホン酸(PPA)の代わりに、フェニルホスフィン酸(PPI)80ミリモル%を使用したこと以外は実施例1と同様に実施し、モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
実施例1において、ポリエステル作製の際、リン化合物を含有させないこと以外は実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、未延伸糸とし、モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
実施例1において、ポリエステル作製の際、リン化合物としてフェニルホスフィン酸の代わりに正リン酸を40mmol%添加したこと以外は、実施例1と同様に実施してポリエステル組成物からなるチップを得た。このチップを用い実施例1と同様にして溶融紡糸し、未延伸糸とし、モノフィラメントを得た。表1にポリエステル、原糸物性を示す。
実施例1〜4、比較例1〜2の結果を表1にまとめる。
Claims (1)
- スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおいて、ポリエステルが主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであって、下記式(1)で表されるフェニルホスホン酸又はその誘導体、及び/又はフェニルホスフィン酸又はその誘導体であるリン化合物を、ポリエステルを構成するジカルボン酸の全モル数に対して0.1〜300ミリモル%含み、該リン化合物が1〜100nmの層状構造を形成したポリエチレンテレフタレート組成物であり、且つ赤道方向の広角X線回折において2θ=5〜6°に回折ピークを有し、下記A〜Dの要件を満足することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
A.モノフィラメントの湿熱処理前の原糸強度が5.0〜7.0cN/dtex、5%伸長時の強度が2.5〜3.7cN/dtex、伸度が20〜45%、湿熱収縮率が2.5〜9.0%であること。
B.ポリエステルの固有粘度が0.70〜1.00dL/gであること。
C.単糸繊度が1〜24dtexであること。
D.モノフィラメントの繊維長手方向50万メートルで繊維直径に対し1.1倍以上の節糸が1個以下であること。
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