JP2018178030A - ポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents

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澤蒙 孫
麻由美 松本
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麻由美 松本
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Abstract

【課題】良好な熱安定性および透明性を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供する。【解決手段】Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素A、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素B、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含み、ポリエステルに対して、金属元素Aを0.01mol/t以上30mol/t以下含有し、さらに、粒子径が50nm以上1.5μm以下の金属元素Aを含有する粒子を含むポリエステル組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な熱安定性および透明性を有するポリエステル組成物およびその製造方法に関するものである。
ポリエステルは機械的強度、化学的安定性、透明性に優れ、かつ安価であるため、フィルム、繊維、ボトル、シート、容器などの用途において多く使用されている樹脂のひとつである。
従来、ポリエステルは、溶融押出などの成形加工において、ゲル化による異物が発生し、成形体の品位低下、成形機の口金汚れの増加、製造工程上のフィルター詰まりなどの課題があった。
これらの課題に対して、以下の文献に示されるような検討がされてきている。
特許文献1では、銅塩およびハロゲン化物の少なくとも1つを有する二軸延伸ポリエステルフィルムが開示され、銅塩やハロゲン化物を加えることで熱安定性が向上することが記載されている。
特許文献2では、金属ハロゲン化合物を含有させることにより、熱安定性が向上することが記載されている。
特開2010−265459号公報 特開2015−67661号公報
しかしながら、これら従来の技術のように銅塩や金属ハロゲン化物をただ含有させるだけでは、ポリエステルの透明性の低下が生じるという課題があった。
本発明の目的は、良好な熱安定性および透明性を有するポリエステル組成物およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、良好な熱安定性および透明性を有するポリエステル成形体を提供しうるポリエステル組成物およびその製造方法を見出し、本発明に到達した。
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素A、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素B、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含み、ポリエステルに対して、上記金属元素Aを0.01mol/t以上30mol/t以下含有し、さらに、粒子径が50nm以上1.5μm以下の金属元素Aを含有する粒子を含むポリエステル組成物。
(2)ポリエステル組成物に対して、金属元素Bを0.01mol/t以上10mol/t以下含有することを特徴とする(1)に記載のポリエステル組成物。
(3)金属元素Aの含有量M(mol/t)と、金属元素Cの含有量M(mol/t)の比が、式(I)を満たすことを特徴とする(1)または(2)に記載のポリエステル組成物。
0.01≦M/M≦30(I)
(4)金属元素AがCuであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
(5)全光線透過率が80%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
(6)ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
(7)ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Aを含む金属化合物、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Bを含む金属化合物、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含む金属化合物を重縮合反応終了前に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
(8)金属元素Aの添加量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする(7)に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(9)金属元素Bの添加量がポリエステル組成物に対して0.01mol/t以上10mol/t以下であることを特徴とする(7)または(8)に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(10)金属化合物に含まれる金属元素Aの添加量M(mol/t)と、金属元素Cの添加量M(mol/t)の比が、式(II)を満たすことを特徴とする(7)〜(9)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
0.01≦M/M≦30(II)
(11)金属元素Cを含む金属化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物であることを特徴とする(7)〜(10)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(12)エステル化反応またはエステル交換反応終了から、重縮合反応終了までの間に金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物を添加することを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(13)金属元素Cを含む金属化合物を溶媒に溶解した溶液として添加することを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
(14)金属元素Aを含む金属化合物と金属元素Cを含む金属化合物の溶液を混合して添加することを特徴とする(7)〜(13)のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
本発明により、良好な熱安定性および透明性を有するポリエステル成形体としうるポリエステル組成物およびその製造方法を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル組成物とは、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素A、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素B、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含み、ポリエステルに対して、上記金属元素Aを0.01mol/t以上30mol/t以下含有し、さらに、粒子径が50nm以上1.5μm以下の金属元素Aを含有する粒子を含むポリエステル組成物である。
なお、本発明でいう金属元素A、金属元素Bおよび金属元素Cを含むとは、ポリエステル組成物中に含有されていることであってポリマー中での化学的な形態は問わないが、金属元素Aについては、少なくともその一部が50nm以上1.5μm以下の粒子を形成することが必要である。また、金属元素A、B、Cはそれぞれ2種類以上の金属元素から構成されることもできる。
本発明のポリエステル組成物は、本発明の効果を実現するため、上記金属元素を共に含有する必要である。金属元素Aを単独で含有する場合、ポリエステル組成物の熱安定性は向上するものの、透明性が劣る。金属元素B、および金属元素Cと共存させることにより、熱安定性に加え、透明性が大きく向上する。
本発明のポリエステル組成物は、金属元素Aを含む50nm以上1.5μm以下の粒子を含有することが必要である。金属元素Aが金属粒子、特にイオン化していない特定範囲の粒径を有する金属粒子の様態でポリエステル中に存在すると、熱安定性および透明性が良好なポリエステル組成物となる。金属元素Aと金属元素Cを共に含有させることにより、金属元素Aが微粒子化され、特定範囲の粒径を有する金属粒子が形成し、金属元素Aに由来する金属イオンなどによる着色を抑制することができ、ポリエステル組成物の透明性を向上することもできる。さらに、金属元素Bを含有することで、さらなる良好な透明性に優れたポリエステル組成物となる。
本発明のポリエステル組成物は、金属元素Aを含む50nm以上1.5μm以下の粒子を含有するが、粒子径は、粒子におけるもっとも長い直径のことである。なお、本発明でいう粒子を含むとは、ポリエステル組成物が含有していることであって、各金属元素Aの粒子中およびポリマー中での化学的な形態は問わないが、金属粒子の様態であることがポリエステル組成物の透明性の点から好ましい。このような、微分散されている金属元素Aを有する粒子を含有することにより、本発明の効果を実現することは可能となる。
本発明のポリエステル組成物には特定範囲の粒径を有する金属元素Aの粒子を含有させる必要があり、ポリエステル重合中に金属元素Aから粒子を形成する場合は標準酸化還元電位の影響を受ける。本発明における標準酸化還元電位は、25℃における電気化学便覧第6版に記載された値である。ポリエステル重合中に金属元素Aから金属粒子を形成させるため、金属元素Aは標準酸化還元電位が−1.70V以上である金属元素であることが好ましく、例えば、Zr、Mn、Ta、Zn、Cr、Fe、Cd、Co、Ni、Sn、Pb、Sb、Bi、Cu、Hg、Ag、Pd、Ir、Pt、Auなどが挙げられるが、ポリエステル組成物の熱安定性および透明性の点から、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znであることが必要である。その中でも、熱安定性に優れる点から、特にCuであることが好ましい。
一方、金属元素Aからなる粒子を含有するだけではポリエステル組成物の透明性が低下する問題があり、本発明のポリエステル組成物においては、金属元素Aからなる特定の粒径を有する粒子に加え、金属元素Bおよび金属元素Cを共存させることにより、透明性がさらに良好となる。
本発明のポリエステル組成物において、金属元素Aの含有量は0.01mol/t以上30mol/t以下であることが必要である。含有量の下限としては、0.05mol/t以上であることがさらに好ましい。また、含有量の上限としては、10mol/t以下であることがより好ましく、2.5mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、透明性の低下を引き起こすことなく、溶融成形時に発生するゲル化異物が少ない良好な熱安定性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。
本発明のポリエステル組成物において、金属元素Bの含有量は0.01mol/t以上10mol/t以下であることが好ましい。含有量の下限としては、0.3mol/t以上であることがさらに好ましい。また、含有量の上限としては、2.0mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、黄色く着色がなく、さらに良好な透明性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。
本発明においては、金属元素Cの含有量を規定しないが、金属元素Aの含有量M(mol/t)と、金属元素Cの含有量M(mol/t)の比が、式(I)で表される関係を満たすことが好ましい。
0.01≦M/M≦30(I)
/Mを上記の数値範囲内にすることで、得られるポリエステル組成物の透明性がより良好となる。これは、金属元素Aおよび金属元素Cを特定の比率で共存させたことによる特異的な効果である。M/Mが0.01以上であれば、透明性の改善効果が顕著となり、M/Mが30以下であれば、過剰な金属元素Cによる着色なども発生しない。また、M/Mの下限としては、10以上であることがさらに好ましい。M/Mの上限としては、20以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリエステル組成物を構成するポリエステルは、本発明の効果を十分奏する点からポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で共重合成分が含まれていてもよい。
本発明のポリエステル組成物の熱安定性は、該ポリエステル組成物を酸素濃度1%の窒素雰囲気下、300℃で6時間加熱処理した際のゲル化率で評価する。ポリエステル組成物を溶融成形する工程においては、溶融時の熱劣化を抑制するために窒素パージを実施することが一般的であるが、微量の酸素が混入する。本発明のゲル化率の測定条件はこの成形工程を想定した条件であり、ゲル化率が小さければ小さいほど、良好な熱安定性を有するものとなる。
本発明のポリエステル組成物は、上記条件で処理した際のゲル化率が15%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、高い熱安定性が要求されるフィルム用途などに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
本発明のポリエステル組成物の透明性は、該ポリエステル組成物からなる成形体の全光線透過率で評価する。全光線透過率が小さいほど、良好な透明性を有するものとなる。
本発明のポリエステル組成物からなる成形体の全光線透過率が80%以上であることが好ましい。上記範囲を満たすことで、透明性に優れた成形体を得ることができる。そのため、光学フィルムなどに好適である。また、全光線透過率90%以上であることがさらに好ましい
本発明のポリエステル組成物の透明性は、ポリエステル組成物の色調および溶液ヘイズの影響を受ける。
本発明のポリエステル組成物の色調は、重縮合直後の結晶化していないチップ状のポリエステル組成物の色差計で測定した時のL値で評価する。L値が40以上であることが好ましく、50以上であることはさらに好ましい。L値が高いほど、より透明性の良好なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
本発明において、熱安定性を付与するため金属元素Aを使用しているが、金属元素Aがポリエステル組成物中でイオン化している場合、着色が発生し、色調低下の要因となる。本発明では金属元素Aを微粒子化することで金属元素のイオン化を抑制し、良好な色調を実現している。
本発明のポリエステル組成物の溶液ヘイズが小さいほど、透明性の良好なポリエステル組成物となる。本発明においては、金属元素A由来の粒子がポリエステル組成物中で微分散化され、透明性が得られる。
ポリエステル組成物の溶液ヘイズは、10%以下であることが好ましい。より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。上記範囲を満たすことで、高透明性が要求されるフィルムなどに好適なポリエステル組成物を提供することが可能となる。
次に、本発明のポリエステル組成物の製造方法について記載する。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、ジカルボン酸成分またはそのエステルとジオール成分を主原料とし、次の2段階の工程からなる。すなわち、(A)エステル化反応、または(B)エステル交換反応からなる1段階目の工程と、それに続く(C)重縮合反応からなる2段階目の工程である。
本発明のポリエステル組成物を製造する原料は、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとジオールを用いることができ、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明におけるジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニル4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、ダイマー酸などが挙げられる。また、ジカルボン酸エステルとは、先に述べたジカルボン酸の低級アルキルエステル、酸無水物、アシル塩化物などであり、メチルエステル、エチルエステル、ヒドロキシエチルエステルなどが好ましく用いられる。本発明におけるジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしてより好ましい態様は、融点が高く、フィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点で、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらのアルキルエステルである。
本発明におけるジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またジオール以外にも本発明の効果を損なわない範囲で、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。本発明の効果を十分果たすことができる点、およびフィルムや繊維などに加工しやすいポリエステル組成物を得ることができる点でエチレングリコールが好ましい。
本発明の製造方法において、1段階目の工程のうち、(A)エステル化反応の工程は、ジカルボン酸とジオールとを所定温度でエステル化反応させ、所定量の水が留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。エステル化反応により低重合体を得る場合、エステル化反応性、得られるポリエステル組成物の耐熱性の観点から、エステル化反応開始前のジオールとジカルボン酸のモル比(ジオール/ジカルボン酸)は、1.05以上1.40以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1.05以上1.30以下、さらに好ましくは1.05以上1.20以下である。上記範囲とすることで、良好な反応性を有し、またジオールの2量体などの副生成物の生成を抑制できることから、得られるポリエスエル組成物の耐熱性を良好にすることができる。
また(B)エステル交換反応の工程は、ジカルボン酸アルキルエステルとジオールとをエステル交換反応させ、所定量のアルコールが留出するまで反応をおこない、低重合体を得る工程である。エステル交換反応にて低重合体を得る場合、反応性、得られるポリエステル組成物の耐熱性の観点から、ジオールとジカルボン酸アルキルエステルのモル比(ジオール/ジカルボン酸アルキルエステル)は1.7以上2.3以下の範囲であることが好ましい。上記範囲とすることで、エステル交換反応を効率的に進行させることができ、ジオールの2量体の副生を抑えることができることから、得られるポリエステル組成物の耐熱性を良好にすることができる。
2段階目の工程のうち、(C)重縮合反応は、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応で得られた低重合体からポリエステル組成物を得る工程である。
また、本発明の製造方法は、バッチ重合、半連続重合、連続重合が適用できる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、(A)エステル化反応に用いられる触媒は、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの化合物を用いても構わないが、重縮合反応段階での熱分解や異物の発生などの観点から、エステル化反応は無触媒で実施することが好ましい。ここで、(A)エステル化反応は無触媒においてもカルボン酸の自己触媒作用によって、反応は十分に進行する。また、(B)エステル交換反応に用いられる触媒としては、公知のエステル交換触媒を用いることができる。エステル交換触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられ、具体的には、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、酸化物、水酸化物などがあるが、これに限定されるものではない。
また、(C)重縮合反応に用いられる触媒は、ゲルマニウム、チタン、アルミニウムなどの化合物などが挙げられ、これを金属元素Bを含む金属化合物として用いることができる。上記金属化合物を使用することで、ポリエステル組成物の透明性が良好となり、光学フィルム用途などに適したポリエステル組成物が得られる。ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの酸化物、ゲルマニウムアルコキシドなどが挙げられるがこれに限定されない。チタン化合物としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンキレート錯体などが挙げられるがこれに限定されない。アルミニウム化合物としては、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウムなどの無機塩アルミニウム化合物、またギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、テレフタル酸アルミニウムなどのカルボン酸アルミニウム化合物、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムプロポキサイド、アルミニウムブトキサイドなどの有機アルミニウム化合物などが挙げられるがこれに限定されない。上記の金属化合物は、水和物であってもよく、2種以上を併用することもできる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Aを含む金属化合物、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Bを含む金属化合物、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含む金属化合物を添加することが必要である。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、金属元素A、金属元素Bおよび金属元素Cを含む金属化合物は、前記(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応工程、それに続く(C)重縮合反応工程のいずれの段階で添加してもよいが、重縮合反応終了前に添加することで、透明性が良好なポリエステル組成物を得ることができる。得られるポリエステル組成物の熱安定性を向上させる点から、金属元素Aを含有する金属化合物にCu化合物を含むことが特に好ましい。
また、金属元素Aを含有する金属化合物の添加は、その添加態様などは特に問わない。例えば、上記金属元素Aを含む酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸塩、安息香酸塩などの芳香族カルボン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ヨウ化物、臭化物、塩化物などのハロゲン化物、水酸化物、酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどを挙げることができ、これらは2種以上を併用することもできる。この中で、透明性に優れる点から、金属元素Aの酢酸塩の使用が特に好ましい。また、金属元素Aを含む金属化合物2種以上を併用することもできる。
本発明のポリエステル組成物に対して、金属元素Aの添加量は0.01mol/t以上30mol/t以下であることが好ましい。添加量の下限としては、0.05mol/t以上であることがさらに好ましい。また、添加量の上限としては、10mol/t以下であることがより好ましく、2.5mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、透明性の低下を引き起こすことなく、溶融成形時に発生するゲル化異物が少ない良好な熱安定性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。
また、本発明のポリエステル組成物の製造方法において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含む金属化合物を添加することが必要である。
金属元素Cを含む金属化合物の添加は、その添加態様は特に問わないが、ポリエステル組成物の原料となるグリコール成分の溶液として、塩基性を有する状態で添加することが好ましく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物のグリコール溶液であることがより好ましく、アルカリ金属水酸化物のグリコール溶液であることがさらに好ましい。その中でも、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムのグリコール溶液であることが特に好ましい。水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを用いると、特に透明性の優れるポリエステル組成物が得られる。
金属元素Cの添加量を規定しないが、金属元素Aの添加量M(mol/t)と、金属元素Cの添加量M(mol/t)の比が、式(II)を満たすことが好ましい。
0.01≦M/M≦30(II)
/Mを上記の数値範囲内にすることで、透明性がさらに良好となる。M/Mの下限としては、10以上であることがさらに好ましい。また、M/Mの上限としては、20以下であることがさらに好ましい。M/Mが0.01以上であれば、透明性の改善効果が顕著となり、M/Mが30以下の場合は、過剰な金属元素Cを含む金属化合物による着色なども発生しない。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Bを含む金属化合物を添加する必要がある。金属元素Bを含む金属化合物を重縮合触媒として添加することがもっとも好ましい。他の重縮合触媒、例えば、標準酸化還元電位の高いアンチモンを含有する三酸化アンチモンを使用する場合、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素を含む金属化合物と併用すると、黒色のアンチモン粒子が形成され、ポリエステル組成物の色調が悪化し、透明性が大幅に低下する。標準酸化還元電位の低いGe、TiまたはAl元素を含む重縮合触媒を使用すると、触媒中の金属元素の還元が起こりにくいため、透明性低下の課題を解決できる。透明性に優れる点から、Geを含む重縮合触媒を添加することが特に好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、重縮合触媒以外の金属元素Bを含む金属化合物を添加しても良い。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、ポリエステル組成物に対して金属元素Bを含む化合物の添加量が0.01mol/t以上10mol/t以下であることが好ましい。含有量の下限としては、0.3mol/t以上であることがさらに好ましい。また、含有量の上限としては、2.0mol/t以下であることがさらに好ましい。上記範囲を満たすことで、黄色く着色がなく、さらに良好な透明性を有するポリエステル組成物を提供することが可能である。
本発明のポリエステル組成物の製造方法は、金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物、および金属元素Cを含む金属化合物を併用することにより、ポリエステル組成物に優れた熱安定性、さらに良好な透明性を付与できることを見出したものである。金属元素Aを含む金属化合物を特定量添加することによって、ポリエステル組成物に良好な熱安定性が付与できるが、該金属元素A由来のイオンが多量に存在すると、ポリエステル組成物に着色が発生し易く、また、金属化合物自体がポリエステル組成物中で凝集するとポリエステル組成物の透明性が低下する。本発明では、金属元素Cを含む金属化合物を添加することによって、ポリエステル組成物の原料であるジオール成分の一部を脱水反応させ、還元性のあるアルデヒド成分を生成させる。これにより金属元素Aのイオンを還元し、着色のない金属元素Aの微粒子をポリエステル組成物重合中に形成させるため、良好な透明性の付与を可能にしている。このような金属微粒子の形成は、金属元素の標準酸化還元電位の影響を受ける。この特定の金属化合物とアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を含む金属化合物の併用により、金属元素Aを含む50nm以上1.5μm以下の粒子をポリエステル組成物中に形成させることが可能である。また、Ge、TiまたはAl元素を含む金属化合物を添加して重合することにより、さらなる良好な透明性の実現が可能となる。すなわち、本発明において、金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物の併用は特に重要である。また、金属元素Aを含む粒子を外部からポリエステル組成物に添加していないにもかかわらず、ポリエステル組成物に特定範囲の粒径を有する金属元素Aを含む粒子を含有することは本発明の特徴である。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、本発明の効果を十分果たすために、(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応終了から、(C)重縮合反応終了までの間に金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物を添加することが好ましい。エステル化反応またはエステル交換反応の終点は反応率が95%以上となった時点で実質的に反応が終了したものとする。(A)エステル化反応または(B)エステル交換反応の途中で添加した場合、(C)重縮合反応段階で金属化合物の凝集または金属粒子粗大化する場合がある。また、(C)重縮合反応段階の後で添加すると、透明性の改善効果が不十分になる場合がある。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、金属元素Cを含む金属化合物を溶媒に溶解した溶液として添加することが好ましく、金属元素Cを含む金属化合物のエチレングリコール溶液の形態で添加することがさらに好ましい。上記金属元素Cを含む金属化合物存在下で、エチレングリコールは脱水反応し、還元性のあるアルデヒドが生成する。この時、併用している金属元素Aを含む金属化合物由来の金属イオンとアルデヒドとの反応により、金属イオンは金属微粒子となり、金属イオンによる着色および色調と透明性低下の問題が改善される。また、溶媒に溶解することで、金属微粒子が均一に形成できる。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、金属元素Aを含む金属化合物と金属元素Cを含む金属化合物の溶液を混合して添加することが好ましい。混合して添加することで、より良好な透明性を有するポリエステル組成物が得られる。
溶媒は水、あるいはポリエステルの原料であるグリコールなどを用いることができるが、取り扱い性、得られたポリエステルの品質などの点から原料として使用するグリコールと統一することが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートであればエチレングリコールを用いることが好ましい。
金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物を添加する際、および添加後は、反応系内を攪拌することが好ましい。攪拌することで添加物をより均一に分散でき、透明性を向上させることができる。
また、本発明のポリエステル組成物の製造方法において、高分子量のポリエステル組成物を得るため、固相重合を行ってもよい。固相重合は、装置・方法は特に限定されないが、ポリエステル組成物を不活性ガス雰囲気下または減圧下で加熱処理することで実施される。不活性ガスはポリエステル組成物に対して不活性なものであればよく、例えば窒素、ヘリウム、炭酸ガスなどを挙げることができるが、経済性から窒素が好ましく用いられる。また、減圧条件では、より高真空にすることが固相重合反応に要する時間を短くできるため有利であり、具体的には110Pa以下を保つことが好ましい。
以下、本発明におけるポリエステル組成物の製造方法の具体例を挙げるが、これに制限されない。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート(以降BHTと呼ぶ)が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
こうして得られた255℃のエステル化反応物を重合装置に移送し、リン化合物、金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物などをエチレングリコール溶液として添加する。これらの操作の際は、エステル化物が固化しないように、系内の温度を240〜255℃に保つことが好ましい。
その後、重合装置内の温度を290℃まで徐々に昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から250Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。所定の撹拌トルクに到達した段階で反応を終了とし、重合装置内を窒素ガスで常圧にし、溶融ポリエステルを冷水中にストランド状に吐出、カッティングし、ポリエステル組成物を得る。
本発明で得られたポリエステル組成物は、公知の成形加工方法で成形することができ、フィルム、繊維、ボトル、射出成形品など各種製品に加工することができる。
本発明のポリエステル組成物を各製品に加工する際に、本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、顔料および染料を含む着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、核剤、可塑剤、離型剤などの添加剤を1種以上添加することもできる。
本発明のポリエステル組成物は、熱安定性および透明性に優れることを活かし、フィルム、繊維、ボトル、射出成形品など各製品として利用することができ、特に熱安定性と透明性が優れるため、フィルム用途に好ましく使用できる。
本発明のポリエステル組成物より製造された成形品は、熱安定性および透明性に優れるため、ディスプレイ用部材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品、自動車用部品、電気・電子部品またはその他の用途として有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステル組成物の固有粘度(単位:dl/g)
オルソクロロフェノール(以降OCPと呼ぶ)を溶媒として用い、25℃で測定した。
(2)ポリエステル組成物中Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Zn、K、Na、Li元素の定量(単位:mol/t)
原子吸光分析法(日立製作所:偏光ゼーマン原子吸光光度計180−80。フレーム:アセチレン−空気)にて、元素の確認とその定量を行い、ポリエステル組成物1t中の含有量に換算した。
(3)ポリエステル組成物中のGe、Ti、Al、Sb、Mg、Ca元素の定量(単位:mol/t)
理学電機(株)製蛍光X線分析装置(型番:3270)を用いて定量を行い、ポリエステル組成物1t中の含有量に換算した。
(4)金属元素を含む粒子の確認、その粒子径の測定、および粒子に含まれる金属元素の分析
0.1μm〜0.2μmの厚みを有するポリエステル組成物の薄膜を作成し、透過型電子顕微鏡(日立製、H−7650)を用いて、粒子および粒子径の確認を行った。粒子径とは、粒子におけるもっとも長い直径のことである。粒子確認後、その薄膜サンプルをEDX(堀場製作所製、SuperXerophyS−779XI)に移し、エネルギー分散型X線分光法にて測定し、金属元素の確認を行った。
粒子径が50nm〜1.5μmの金属元素Aを含む粒子を含有する場合は○、含有しない場合は×とした。
(5)ゲル化率(単位:%)
ポリステル組成物を凍結粉砕機(Sprex CertiPerp社製)にて粉砕し、ステンレスビーカーに0.5g秤量した。真空乾燥機を用いて、50℃で2時間真空乾燥した後、空気と窒素の混合気体で酸素濃度1%とし、試料含有容器に酸素濃度1%の混合気体を配管より通し十分に置換された後に、該容器を300℃のオイルバスに浸し、酸素濃度1%の窒素流通下(流量0.5L/分)6時間加熱処理を行った。これを、20mlのOCPで、160℃で1時間溶解し、放冷した。
この溶液を、ガラスフィルター(柴田科学社製、3GP40)を使用しろ過、ジクロロメタンにてガラスフィルターを洗浄した。ガラスフィルターを130℃で2時間乾燥し、ろ過前後のろ過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物(ゲル)の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル重量(0.5g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(6)全光線透過率(単位:%)
ポリエステル樹脂組成物を150℃で8時間真空乾燥した後、290℃に加熱したプレス装置にて厚み100μmのシート状成形体を作成した。JIS−K−7361−1に基づき、作成した成形体の全光線透過率を、シングルビーム式ヘイズメーターを使用して測定した。
(7)色調(L値)
重縮合直後の結晶化していないチップ状のポリエステル組成物を測定用セル(φ=50mm、高さ20mm)に充填し、色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、L値を測定した。
(8)溶液ヘイズ(単位:%)
測定する試料約2gをOCP20mLに溶解させ、ヘイズメーター(スガ試験機社製)HGM−2DP型を用い、積分球式光電光度法にて測定を行った。
(実施例1)
250℃にて溶解したBHT105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、BHTを得た。
エステル化反応器から105重量部のBHTを重合装置へ溶融状態で仕込み、温度を255℃とした。その後、得られるポリエステル組成物に対して1.43mol/t相当のリン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を添加した。次いで、0.26mol/t相当の酢酸銅(II)一水和物と3.33mol/t相当の水酸化カリウムのエチレングリコール混合溶液を添加し、その後0.34mol/t相当の二酸化ゲルマニウムを添加した。添加後、重合装置内を290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を常圧から250Pa以下まで減圧し、290℃で所定の攪拌トルクを示すまで重合反応させた。重合反応終了後、重合装置内の溶融ポリエステルをストランド状に水槽へ吐出して冷却後、カッティングしてペレット状のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表3、5に示す。
得られたポリエステル組成物は、粒子径が50nm〜1.5μmであり、かつCu元素を含有する粒子を確認し、熱安定性および透明性のいずれも良好であった。
(実施例2〜28、比較例1〜6)
金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物の種類、および添加量を表1、2のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表3〜6に示す。
実施例2〜11で得られたポリエステル組成物は、粒子径が50nm〜1.5μmの金属元素Aを含有する粒子を確認し、熱安定性および透明性は合格レベルであった。
実施例12で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりに硫酸銅(II)を使用した。実施例1と比べ、全光線透過率は低下傾向ではあるが合格であった。
実施例13で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりにヨウ化銅(I)を使用した。実施例1と比べ、全光線透過率の低下が見られたが合格であった。
実施例14〜18で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物の代わりに酢酸パラジウム(II)、硝酸白金(II)、酢酸金(III)、酢酸鉄(II)、酢酸亜鉛(II)を使用した。実施例1の酢酸銅(II)一水和物添加時と比べ、ゲル化率は増加傾向であるが、合格レベルであった。
実施例19〜24で得られたポリエステル組成物は、二酸化ゲルマニウムのかわりにテトラ-n-ブトキシチタン、水酸化アルミニウムを使用した。熱安定性および透明性は合格レベルであった。
実施例25、26で得られたポリエステル組成物は、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウム、水酸化リチウムを使用した。熱安定性および透明性は良好であり、水酸化カリウム添加時と比べ、全光線透過率は低下傾向であるが合格であった。
実施例27、28で得られたポリエステル組成物は、水酸化カリウムの代わりに水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムを使用した。水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムのエチレングリコールへの溶解性は低かった。水酸化カリウム添加時と比べ、全光線透過率は低下傾向であるが、合格レベルであった。
比較例1〜3で得られたポリエステル組成物は、重縮合触媒として三酸化アンチモンを添加した。透明性が低く、不合格であった。
比較例4で得られたポリエステル組成物は、水酸化カリウムを添加したが、金属元素Aを含む金属化合物を添加していないため、ゲル化率は高くなり熱安定性が不合格であった。
比較例5〜6で得られたポリエステル組成物は、酢酸銅(II)一水和物を添加したが、金属元素Cを含む金属化合物を添加していないため、透明性が低下し、全光線透過率が不合格であった。また、Cu元素を含有する粒子を確認したが、その粒径が50nm以上1.5μm以下のものは存在せず、1.8μm以上であった。
(実施例29)
250℃にて溶解したBHT105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜250℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とし、BHTを得た。
エステル化反応器から105重量部のBHTを重合装置へ溶融状態で仕込み、温度を255℃とした。その後、得られるポリエステル樹脂に対して、1.43mol/t相当のリン酸トリメチルのエチレングリコール溶液と、0.34mol/t相当の二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加し、反応を開始した。290℃で所定の攪拌トルクの80%を示すまで重合反応させた後、重合装置内を常圧に戻し、0.26mol/t相当の酢酸銅(II)一水和物と3.33mol/t相当の水酸化カリウムのエチレングリコール混合溶液を添加した。添加後、重合装置内の圧力を常圧から250Pa以下まで再度減圧し、所定の攪拌トルクを示すまで重合反応させた。得られたポリエステル組成物の特性を表4、6に示す。
得られたポリエステル組成物は、熱安定性および透明性は良好であった。
(実施例30)
酢酸銅(II)一水和物と水酸化カリウムを混合溶液にせず、固体状態で別々で添加した以外、実施例1と同様に実施した。得られたポリエステル組成物の特性を表4、6に示す。
得られたポリエステル組成物は、実施例1と比べ、全光線透過率が低下したが、合格レベルであった。
(実施例31)
酢酸銅(II)一水和物と水酸化カリウムのエチレングリコール溶液を混合せず、別々で添加した以外、実施例1と同様に実施した。得られたポリエステル組成物の特性を表4、6に示す。
得られたポリエステル組成物は、熱安定性および透明性とも良好であった。
Figure 2018178030
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Claims (14)

  1. Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素A、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素B、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含み、ポリエステルに対して、上記金属元素Aを0.01mol/t以上30mol/t以下含有し、さらに、粒子径が50nm以上1.5μm以下の金属元素Aを含有する粒子を含むポリエステル組成物。
  2. ポリエステル組成物に対して、金属元素Bを0.01mol/t以上10mol/t以下含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 金属元素Aの含有量M(mol/t)と、金属元素Cの含有量M(mol/t)の比が、式(I)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステル組成物。
    0.01≦M/M≦30(I)
  4. 金属元素AがCuであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  5. 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  6. ポリエステルがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  7. ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルおよびジオールをエステル化反応またはエステル交換反応し、次いで重縮合反応してポリエステル組成物を製造するに際して、Cu、Pd、Pt、Au、Fe、Znの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Aを含む金属化合物、Ge、TiまたはAlの群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Bを含む金属化合物、およびアルカリ金属またはアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Cを含む金属化合物を重縮合反応終了前に添加することを特徴とするポリエステル組成物の製造方法。
  8. 金属元素Aの添加量がポリエステル組成物に対して、0.01mol/t以上30mol/t以下であることを特徴とする請求項7に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  9. 金属元素Bの添加量がポリエステル組成物に対して0.01mol/t以上10mol/t以下であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  10. 金属化合物に含まれる金属元素Aの添加量M(mol/t)と、金属元素Cの添加量M(mol/t)の比が、式(II)を満たすことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
    0.01≦M/M≦30(II)
  11. 金属元素Cを含む金属化合物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  12. エステル化反応またはエステル交換反応終了から、重縮合反応終了までの間に金属元素Aを含む金属化合物、金属元素Bを含む金属化合物および金属元素Cを含む金属化合物を添加することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  13. 金属元素Cを含む金属化合物を溶媒に溶解した溶液として添加することを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
  14. 金属元素Aを含む金属化合物と金属元素Cを含む金属化合物の溶液を混合して添加することを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載のポリエステル組成物の製造方法。
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