JP2004067733A - 共重合ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性に優れ、異物量が少なく、かつ静電密着性に優れた共重合ポリエステル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とし、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)を下記式(1)及び(2)を満足する範囲で含有し、かつポリマー中の10μm以上の粒子が特定数以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
さらに、前記アルカリ土類金属化合物はオリゴマー酸価が700eq/ton以下の時点で添加することを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
【解決手段】テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とし、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)を下記式(1)及び(2)を満足する範囲で含有し、かつポリマー中の10μm以上の粒子が特定数以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
さらに、前記アルカリ土類金属化合物はオリゴマー酸価が700eq/ton以下の時点で添加することを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電密着性に優れ、異物の少ない共重合ポリエステル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PETに代表されるポリエステルは、優れた機械的性質、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性などを有するため、フィルム、シート、繊維、ボトル、エンジニアリングプラスチックの素材として広く使用されている。
【0003】
フィルム用途だけを見ても、ポリエステルは包装用途、写真用途、電機用途、磁気テープなどの広い分野で使用されている。通常、ポリエステルフィルムは、ポリエステルチップを真空乾燥後、押出し機で溶融し、T−ダイスからシート状に押出し、回転冷却ドラム上に静電気を印可しながら未延伸シートを密着させ、次いで少なくとも一軸方向に延伸し、熱固定処理を行うことにより得られる。
【0004】
この場合、フィルム品質の面では、厚みの均一性が極めて重要な特性であり、この特性をいかにして確保するか、及び、生産性の面では、生産性がキャスティング速度に直接依存するため、生産性の向上のためにキャスティング速度をいかにして高めるかが重要な課題となる。
【0005】
この課題を解決するためには、T−ダイスから溶融押出したシート状物を回転冷却ドラム面で急冷する際に、該シート状物とドラム表面との密着性を高めることが必要となる。このシート状物とドラム表面の密着性を高める方法として、T−ダイスと回転冷却ドラムの間にワイヤー状の電極を設けて高電圧を印加し、未固化のシート状物面に静電気を析出させて該シートを冷却体表面に密着させながら急冷する方法(静電密着キャスト法)が有効である。
【0006】
静電密着キャスト法を効果的に行うためには、シート状物とドラム表面との静電密着性を高めることが必要であり、そのためには、シート状物表面にいかに多くの電荷量を析出させるかが重要である。電荷量を多くするためには、ポリエステルを改質して比抵抗を低くすることが有効であり、従来から多くの検討がなされている。
【0007】
例えば、特公平3−54129号公報には、PET製造時に特定量のナトリウムもしくはカリウム化合物と、マグネシウム原子とリン原子の原子比が特定範囲の値となるように、マグネシウム化合物とリン化合物を添加することで比抵抗を低くすることが開示されている。また、同号公報には、マグネシウム化合物、ナトリウム化合物及びリン化合物の添加時期を特定することで、触媒に起因する異物を減少させ、フィルムの品質を向上させることが開示されている。
【0008】
一方、グリコール成分として、ネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルは、特開2000−109546号公報に開示されているように、透明性及び耐衝撃性に優れる点から注目されている。ところが、前記共重合ポリエステルをフィルムまたはシートの原料として使用する場合、前記共重合ポリエステルの比抵抗値はPETと同様に高いため、フィルムの品質及び生産性の面から静電密着性を向上させるための改質は不可欠である。
【0009】
しかしながら、ネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルの場合、触媒に対する親和性がPETと比べ悪い。そのため、PETで適用された方法を単純にそのまま適用しても、触媒金属にもとづく異物が析出したり、静電密着性の発現が困難となったりする場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形性に優れ、異物が少なく、かつ静電密着性が改良された共重合ポリエステル及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、共重合ポリエステルに対しては、共重合ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物及びリン化合物の含有量を特定し、共重合ポリエステルの製造方法に関しては、さらにアルカリ土類金属化合物の添加時期を特定することにより、静電密着性が著しく改善され、しかもポリマー中の異物が少ない共重合ポリエステルが得られることを見出し本発明に至った。
【0012】
すなわち、本願の共重合ポリエステルに係る発明は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とし、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルはアルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)を前記共重合ポリエステルに対して下記式(1)及び(2)を満足する範囲で含有し、かつ前記共重合ポリエステルのチップ内を倍率100倍の位相差顕微鏡で20視野観察したときの、10μm以上の粒子の合計個数が50個以下であることを特徴とする。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
【0013】
また、本願の共重合ポリエステルの製造方法に係る発明は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールから主として構成され、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルの製造方法であって、前記アルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)は生成ポリマーに対して下記式(1)及び(2)を満足する含有量となるように反応系内に添加し、かつ前記アルカリ土類金属化合物はオリゴマー酸価(オリゴマー1ton中のカルボキシル末端基の総数)が700eq/ton以下の時点で添加することを特徴とする。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の共重合ポリエステルは、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸単位からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸成分の組成比は70モル%以上が好ましく、さらに好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
【0015】
テレフタル酸とともに使用できる他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0016】
また、本発明の共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分以外の酸成分がさらに共重合されていてもよく、かかる酸成分としては、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸等が挙げられる。なお、本発明において、ジカルボン酸成分およびジカルボン酸成分以外の酸成分は、重合される前の原料段階での、例えば、炭素数1〜4程度のアルキルエステル等のエステル形成性誘導体も含むものとする。
【0017】
また、本発明の共重合ポリエステルは、グリコール成分として、エチレングリコール(EG)とネオペンチルグリコール(NPG)とを主たる構成成分とする。前記NPG成分は、全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが必要である。全グリコール成分に対するNPGの組成比は、下限値が10モル%とすることが好ましく、特に好ましくは15モル%である。一方、上限値は40モル%とすることが好ましく、特に好ましくは35モル%である。
【0018】
NPGの組成比が1モル%未満では、例えば、得られたポリマーからフィルムを製造し、さらに該フィルムを成形用途に用い、圧縮成形やプレス成形を行った場合に、成形時の変形倍率が高くならず、成形性が不良になる。一方、NPGの組成比が40モル%を超えると、重合度が上がりにくくなり、所定の固有粘度に到達するまでに著しく時間を要する。そのため、その間の熱履歴により色調が悪化する。また、NPGの組成比が高すぎると、所定の粘度に到達しない場合もある。さらに、得られた共重合ポリエステルからフィルムを製造した場合、該フィルムは熱収縮率が高くなりすぎたり、力学的強度が低下するため、フィルムに多色印刷を行った際に色ずれが生じたりする。
【0019】
一方、本発明の共重合ポリエステルにおいて、他の主たるグリコール成分であるEGは、全グリコール成分に対して60〜99モル%であることが好ましい。全グリコール成分に対するEGの組成比の下限値は、60モル%がさらに好ましく、特に好ましくは65モル%である。一方、上限値は90モル%がさらに好ましく、特に好ましくは85モル%である。
【0020】
本発明の共重合ポリエステルは、全グリコール成分がEGとNPGとで構成されることが好ましいが、本発明の目的とする静電密着性及び異物生成抑制を阻害しない範囲で、他のグリコール成分を併用してもよい。
【0021】
他のグリコール成分としては、(1)トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングルコール等の脂肪族グリコール類、(2)1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール類、(3)p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族グリコール類等が挙げられる。これらの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好適である。また、これらのグリコール成分は、いずれかを単独で使用しても2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明の共重合ポリエステルを製造する際に使用される重合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を単独で用いても良いし、あるいは2種以上を併用してもかまわない。
【0023】
前記アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等が挙げられる。これらの中でも、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドが好ましく、特に好ましくは三酸化アンチモンである。
【0024】
これらのアンチモン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.02〜0.03モル%である。
【0025】
また、前記ゲルマニウム化合物としては、例えば、結晶性二酸化ゲルマニウム、非晶性二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn−ブトキシド等が挙げられる。これらの中でも、結晶性二酸化ゲルマニウム、非晶性二酸化ゲルマニウムがさらに好ましく、特に好ましくは非晶性二酸化ゲルマニウムである。
【0026】
これらのゲルマニウム化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.005〜0.06モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.015〜0.025モル%である。
【0027】
また、前記チタン化合物としては、例えば、(1)チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のアルコキシド類、(2)シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルリチウム、シュウ酸チタニルナトリウム、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルバリウム等のシュウ酸チタニル化合物類、(3)アセチルチタン酸カリウム等の有機カルボン酸チタン塩等が挙げられる。これらの中でも、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタニルカリウムが好ましく、特に好ましくはチタニウムテトラブトキシドである。
【0028】
これらのチタン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.0003〜0.0150モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.002〜0.015モル%であり、特に好ましくは0.005〜0.01モル%である。
【0029】
また、本発明は、直接エステル化法、エステル交換法の何れにおいても生産することができる。しかしながら、エステル交換法の場合、上記のSb化合物、Ge化合物、Ti化合物の触媒以外にエステル交換触媒を使用する必要がある。
【0030】
前記エステル交換触媒としては、Mn化合物、Zn化合物等が好適であり、それらを共重合ポリエステルに対して0.01 ̄0.05モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.035モル%、特に好ましくは0.02〜0.03モル%である。
【0031】
直接エステル化法の場合、前記重合触媒は、エステル化反応開始前、あるいは加圧エステル化反応終了後から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、アンチモン化合物またはチタン化合物を重合触媒として使用する場合には、エステル化反応前に添加することが好ましい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物はエステル化反応後に添加することが好ましい。
【0032】
また、エステル交換法の場合には、前記重合触媒は、エステル交換反応開始前から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、チタン化合物は、重合触媒としての機能だけでなくエステル交換触媒としても機能も有するので、エステル交換反応開始前に添加することが好ましい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物はエステル交換反応終了後からに添加することが好ましい。エステル交換触媒は、エステル交換反応開始前に添加することが必要である。
【0033】
本発明では、静電密着性を改善するために、共重合ポリエステルに対し、特定量のアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有させることが重要である。
【0034】
前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、(1)アルカリ土類金属の水酸化物およびその水和物、(2)酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の低級脂肪族カルボン酸塩およびその水和物、(3)安息香酸塩、4−メチルフェニルカルボン酸塩、ナフチルカルボン酸塩等の芳香族カルボン酸塩およびその水和物、(4)メトキシド、エトキシド等のアルコキシド類等が挙げられる。なかでも、水酸化物およびその水和物、酢酸塩およびその水和物が好ましい。ここで、アルカリ土類金属原子としては、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられる。
【0035】
アルカリ土類金属化合物の好適な具体例としては、酢酸カルシウム、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム4水和物、酢酸バリウムが挙げられる。なかでも、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム4水和物が特に好適である。
【0036】
前記アルカリ土類金属化合物(M)は、共重合ポリエステルに対し0.05〜0.40モル%含有させることが好ましい。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量の下限値は、0.07モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.1モル%である。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量が共重合ポリエステルに対して0.05モル%未満では、共重合ポリエステルの静電密着性の代用特性である「275℃で溶融時の比抵抗値(ρi値)」を十分に小さくすることができない。
【0037】
一方、アルカリ土類金属化合物(M)の含有量の上限値は、0.4モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.2モル%である。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量が0.4モル%を超えると、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、共重合ポリエステル中での異物量が増加したりするなど、異物や色調の点で不十分となる。
【0038】
また、リン化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。好適な具体例としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジエチル、フェニールホスホン酸ジフェニールが挙げられる。なかでも、リン酸トリメチル、リン酸が特に好適である。
【0039】
本発明では、リン化合物の含有量は、アルカリ土類金属化合物の含有量によって決めることが好ましい。共重合ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物(M)の含有量とリン化合物(P)の含有量とのモル比(M/P)は1.0〜3.5の範囲が好ましい。前記モル比(M/P)の下限値は、1.2がさらに好ましく、特に好ましくは1.5である。前記モル比(M/P)が1.0未満では、ρi値を十分に小さくすることができず良好な静電密着性を得ることができない。
【0040】
一方、前記モル比(M/P)の上限値は、3.5がさらに好ましく、特に好ましくは3.0である。前記モル比(M/P)が3.5を越えると、フリーのアルカリ土類金属化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいは異物量が増加したり、するなど品質が低下してしまう。
【0041】
本発明においては、アルカリ金属化合物を微量添加することで、静電密着性をさらに改良することができる。アルカリ金属化合物は、その単独使用では静電密着性の向上効果は小さいが、前記のアルカリ土類金属化合物及びリン化合物とを組み合わせることによって、静電密着性を顕著に改善することができる。
【0042】
アルカリ金属化合物の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属化合物としては、これら金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩、アルコキサイド等が挙げられる。好ましいアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらのうち、酢酸ナトリウムが最も好ましい。これらアルカリ金属化合物は単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
【0043】
アルカリ金属化合物は、共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有するように反応系内に添加することが、さらなる静電密着性向上の点から好ましい。アルカリ金属化合物の含有量は、下限値が0.008モル%であることが特に好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が0.005モル%未満では、静電密着性の改良効果が小さくなる。
【0044】
一方、アルカリ金属化合物の含有量は、上限値が0.035モル%であることが特に好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が0.050モル%を超える場合には、静電密着性の改良効果が頭打ちとなり、むしろ過剰のアルカリ金属化合物に起因する異物が生成しやすくなる。
【0045】
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、コバルト化合物を含有させても良い。コバルト化合物をリン化合物と併用する場合には、コバルト化合物とリン化合物を等モル含有させることが好ましい。
【0046】
前記コバルト化合物としては、酢酸コバルト、塩化コバルト、安息香酸コバルト、クロム酸コバルト等が挙げられる。なかでも、酢酸コバルトが好ましい。コバルト化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して通常0.04モル%以下となるように含有させるが、使用する重合触媒の種類に応じて適宜変更することが好ましい。
【0047】
また、本発明の共重合ポリエステルの製造時に、本発明の目的を妨げない限り、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどの不活性粒子、顔料、耐熱・酸化安定剤、離型剤、UV吸収剤、着色剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0048】
本発明の共重合ポリエステルの製造方法について、直接エステル化法を例として以下に詳しく説明するが、当然エステル交換法によっても製造できることは言うまでもない。
【0049】
直接エステル化法の場合、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を用い、テレフタル酸、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主とする原料モノマーを直接反応させて水を留去してエステル化反応を行った後、減圧下で溶融重縮合を行うことにより製造することができる。
【0050】
本発明の共重合ポリエステルの製造において、アルカリ土類金属化合物は、オリゴマー酸価AVo(オリゴマー1ton中のカルボキシル末端基の総数)が700eq/ton以下の時点で反応系内に添加することが好ましく、さらに好ましくは500eq/ton以下、特に好ましくは400eq/tonである。AVoが700eq/tonを越えると、ポリマー中の未溶融物量が多くなり、透明性や、商品価値が悪化する。
【0051】
本発明の共重合ポリエステルにおいて、リン化合物の添加時期は、アルカリ土類金属化合物と同時期または、添加後が好ましい。リン化合物をアルカリ土類金属化合物の添加前の時点で反応系内に添加すると、未反応のリン化合物により、共重合ポリエステルの副生成物が増加してしまう。
【0052】
上記の重合反応は、回分式反応装置(回分式重合法)で行っても良いし、連続式反応装置(連続式重合法)行っても良いが、連続式反応装置(連続式重合法)が好ましい。例えば、連続式反応装置(連続式重合法)で前記共重合ポリエステルを20トン製造した場合、固有粘度(重合度の指標)の変動幅(最大値−最小値)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に抑制することができる。
【0053】
連続式反応装置(連続式重合法)において、エステル化反応及び溶融重縮合反応は、それぞれ、1段階で行ってもよいが、複数の段階に分けて行うのが好ましい。エステル化反応を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は2缶〜3缶が好ましい。また、溶融重縮合を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は3缶〜7缶が好ましい。
【0054】
本発明の共重合ポリエステルを連続式重合法で製造する場合、エステル化反応温度は通常240〜270℃であり、好ましくは250〜265℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2MPa以下、好ましくは0.01〜0.05MPaである。また、重縮合反応の温度は通常265〜285℃であり、好ましくは270〜280℃であり、反応缶内の圧力は通常1.5hPa以下、好ましくは0.5hPa以下である。エステル化反応の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3.5時間である。また、重縮合反応の反応時間は3時間以下が好ましく、特に好ましくは1〜2時間である。
【0055】
一方、回分式反応装置(回分式重合法)で製造する場合、生成した重合体を重合反応缶から抜き出す際、重合反応缶の缶内圧力を0.1〜300hPa、好ましくは5〜50hPaに保持しながら重合反応缶から重合体を抜き出すようにする。これにより、抜き出し過程で重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度(重合度)が変動するのを抑制することができる。
【0056】
例えば、回分式反応装置(回分式重合法)で前記共重合ポリエステルを上記方法で700kg製造し、抜き出し時間を30分とした場合、固有粘度(IV)の変動幅(最大値−最小値)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に抑制することができる。従来からの一般的な回分式反応装置(回分式重合法)で前記共重合ポリエステルを製造した場合、重合反応缶からの重合体の抜き出しは、窒素ガス等により重合反応缶内を加圧状態として抜出しているが、かかる従来方法では、重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度(IV)の変動幅(最大値−最小値)は0.1dl/g以上となってしまう。
【0057】
なお、かかる本発明の缶内圧力を減圧状態に保持した重合反応缶内から重合体を抜き出す方法を実施する場合、重合反応缶の抜き出し口にギアポンプ等の手段を取り付けて行うのが好ましい。ギアポンプ手段を取り付けないと、減圧状態の反応缶内から、効率良く重合体を抜き出すことが困難となる。
【0058】
本発明の共重合ポリエステルを回分式重合法で製造する場合、エステル化反応温度は通常220〜250℃であり、好ましくは230〜245℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2〜0.4MPa、好ましくは0.25〜0.30MPaである。また、重縮合反応は1段階で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。1段階で行う場合は、漸次減圧および昇温を行い、最終的な温度を260〜280℃、好ましくは265〜275℃、の範囲とし、最終的な圧力を、通常3hPa以下、好ましくは0.5hPa以下とする。エステル化反応の反応時間は4時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3時間である。また、重縮合反応の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは1〜3時間である。
【0059】
上記の連続式重合法または回分式重合法で得られた前記共重合ポリエステルは、通常、反応缶の底部に設けた抜き出し口よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットする。
【0060】
前記の共重合ポリエステルを反応缶の底部から抜き出す時には、95%以上の濾過精度が1〜120μmであるポリマーフィルターを通過させることが好ましく、前記濾過精度は、5〜100μmが特に好ましい。ポリマーフィルターのタイプとしては、ディスク型、リーフディスク型、筒状型やプリーツ付き筒状型等があるが、プリーツ付き筒状型が好ましい。ポリマーフィルターの材質は、ステンレス短繊維、ステンレス長繊維がある。
【0061】
本発明の共重合ポリエステルは、通常大気中の水分により吸湿し、およそ0.1〜0.5%程度の水分を含有しているので、成形加工前に予め乾燥し、防湿袋に保存するのが好ましい。本発明の共重合ポリエステルは前記によりチップ化した後に、およそ50〜120℃の間で12時間以上乾燥することが好ましい。乾燥方法は、真空乾燥、熱風乾燥、流動床式乾燥装置等あるが、流動床式乾燥が好ましい。またさらには乾燥後のチップを、防湿バッグや、アルミ袋等の密封袋で保存することが好ましい。
【0062】
前記乾燥チップの含水率は、成形加工前にできるだけ低いことが好ましく、好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.02%以下、特に好ましくは0.01%以下である。
【0063】
本発明において、静電密着性の指標となる溶融比抵抗値(ρi値)は、前記のアルカリ土類金属化合物、リン化合物、及びアルカリ金属化合物の含有量によって制御することができる。ρi値は、0.02〜1.00(×108Ω・cm)の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.65(×108Ω・cm)、特に好ましくは0.02〜0.4(×108Ω・cm)の範囲である。
【0064】
本発明の共重合ポリエステルは、ρi値を0.02×108Ω・cm未満とすることは技術的に困難である。一方、前記ρi値が1.00×108Ω・cmを越えるような共重合ポリエステルをフィルム原料として用いた場合、未延伸シート製造時における静電密着性が悪化し、キャスティング速度が低下する傾向がある。
【0065】
また、前記共重合ポリエステルのチップ内を倍率100倍の位相差顕微鏡で20視野観察したときの、10μm以上の粒子の合計個数が50個以下であることが必要であり、好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下である。前記粒子の特定視野内での個数が50個を越えると、共重合ポリエステル中の未溶融物が多く、異物となったり、外観が悪くなったりする。
【0066】
本発明の共重合ポリエステルは、固有粘度(IV)が0.50〜1.0dl/gであることが好ましい。固有粘度の下限値は0.60dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.65dl/gである。固有粘度が0.50dl/g未満では、成形品の機械的特性が低下する傾向がある。
【0067】
一方、固有粘度の上限値は0.85dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.80dl/gである。固有粘度が1.0dl/gを越えると、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。なお、共重合ポリエステルの特性は以下の方法にしたがって測定した。
【0069】
(1)オリゴマー酸価(AVo)
試料1gを精秤し、ピリジン20mlを加え、15分間加熱還流した。溶解後、水を10ml加え放冷した。フェノールフタレインを指示薬として、0.1N水酸化ナトリウムで滴定した。なお、オリゴマー酸価は次式により求めた。
AVo(eq/ton)=((A−B)×0.1×F)/(Wg×103)×106
上式で、Aは滴定量(ml)、Bはブランクの滴定量(ml)、Fは使用した0.1N−水酸化ナトリウムのファクター、Wgは試料の質量(g)を意味する。
【0070】
(2)固有粘度(IV)
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0071】
(3)共重合ポリエステルの組成比
サンプル約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(9/1:体積比)0.7mlに溶解し、1H−NMR(Varian製、UNITY500)を使用して求めた。
【0072】
(4)溶融比抵抗値(ρi)
275℃で溶融させた共重合ポリエステル中に2枚の電極板をおき、120Vの電圧を印加した時の電流値(io)を測定し、比抵抗値ρiを次式により求めた。
ρi(Ω・cm)=(A/I) ×(V/io)
ここで、Aは電極面積(cm2)、 Iは電極間距離(cm)、 Vは電圧(V)である。
【0073】
(5)元素分析
以下に示す方法で元素分析を行った。
(a)アルカリ土類金属化合物
試料1gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに6モル/Lの塩酸を加えて蒸発乾固させた。次いで、残渣を1.2モル/Lの塩酸で溶解させ、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−2000)を用いて発光強度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のアルカリ土類金属原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。なお、エステル交換触媒として用いるZnやMnも同様の方法で定量することができる。
【0074】
(b)リン化合物
試料1gを、炭酸ナトリウム共存下で乾式灰化分解させる方法、あるいは硫酸/硝酸/過塩素酸の混合液または硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させる方法によってリン化合物を正リン酸とした。次いで、1モル/Lの硫酸溶液中においてモリブデン酸塩を反応させてリンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元してヘテロポリ青を生成させた。吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長830nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のリン原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0075】
(c)アルカリ金属化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/L塩酸を加えて蒸発乾固した。次いで、1.2モル/L塩酸で溶解し、その溶液を原子吸光分析装置(島津製作所製、AA−640−12)吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のアルカリ金属原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0076】
(d)アンチモン化合物
試料1gを硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させた。次いで、亜硝酸ナトリウムを加えてSb原子をSb5+とし、ブリリアングリーンを添加してSbとの青色錯体を生成させた。この錯体をトルエンで抽出後、吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)を用いて、波長625nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線から、試料中のSb原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0077】
(e)ゲルマニウム化合物
試料2gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに10質量%の炭酸水素ナトリウム溶液5mlを加えて蒸発させ、次いで塩酸を加えて蒸発乾固させた。電気炉にて400℃から950℃まで昇温させ、30分放置して残渣を融解させた。融解物を水10mlに加温溶解させ、蒸留装置に移した。なお、白金ルツボ内を7.5mlのイオン交換水で2回水洗し、この水洗液も前記蒸留装置に移した。次いで、塩酸35mlを加え、蒸留して留出液25mlを得た。その留出液中から適当量を分取し、最終濃度が1.0〜1.5モル/Lとなるように塩酸を加えた。さらに、0.25質量%のポリビニルアルコール溶液2.5ml及び0.04質量%のフェニルフルオレン(2,3,7−トリヒドロキシ−9−フェニル−6−フルオレン)溶液5mlを添加し、イオン交換水にて25mlとした。生成したGeとの黄色錯体を吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長505nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のGe原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0078】
(f)チタン化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、硫酸と硫酸水素カリウムを加え、加熱溶融させた。この溶融物を2モル/L硫酸に溶解させた後、過酸化水素水を添加し、吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長420nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のTi原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0079】
(g)コバルト化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/L塩酸を加えて蒸発乾固させた。これを1.2モル/Lの塩酸で溶解し、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−2000)を用いて発光強度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のCo原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0080】
(6)ポリマー中の異物
共重合ポリエステルチップ(一粒)を2枚のカバーグラス間に挟んで280℃で溶融プレスし、急冷したのち、100倍の位相差顕微鏡で20視野観察し、イメージアナライザー(ニレコ社製、Luzex FS)を用いて10μm以上の未溶融の異物の個数をカウントした。
【0081】
(7)キャスティング速度
押出し機の口金部と冷却ドラムとの間にタングステンワイヤー製の電極を設け、電極とキャスティングドラム間に10〜15kVの電圧を印加して、290℃で溶融押出し、厚さ100μmのフィルム原反を巻き取った。このフィルム原反の表面を目視観察し、ピンナーバブルの発生が起り始める時点をキャスティング速度(m/分)とした。キャスティング速度は、生産性の点から大きいほど好ましい。本発明においては、キャスティング速度が50m/分以上の場合を合格とした。
【0082】
(8)フィルムの成形性
共重合ポリエステルを、予備結晶化、乾燥後、T−ダイスを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを80℃で3.5倍延伸し、次いで横方向に95℃で3.6倍に延伸し、さらに205℃で熱処理を行うことにより、厚さ188μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムに印刷を施した後、130℃で5秒間加熱後、金型温度80℃、保圧時間5秒にてプレス成形を行った。その成形材に210℃にてABS樹脂を流し込み(射出成形)、表面がフィルムで覆われた高さ3mmのキートップを作成した。この時の印刷ずれを測定し、かつ成形状態を目視観察し、下記基準にてランク付けをした。なお、◎、○を合格、×を不合格とした
【0083】
◎:印刷ずれが0.1mm以下で、外観は極めて良好である。
○:印刷ずれが0.1mm以上0.2mm以下で、若干のしわが見うけられるが、実用上問題ないレベルである。
×:印刷ずれが0.2mmを越えている。または、フィルムに破断が見うけられる。または、大きな皺が入り著しく外観が悪い。
【0084】
(9)フィルム上の欠点
上記(8)の条件で二軸延伸したフィルム1m2を、目視で観察し、フィルム上の欠点数を測定し、下記基準でランク付けをした。なお、◎と○を合格とした。
◎:欠点数が0個
○:欠点数が1〜3個
△:欠点数が4〜5個
×:欠点数が6個以上
【0085】
実施例1
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物を含有している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を17モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0としたスラリーを、生成ポリマーとして1ton/hの生産量となるように連続的に供給した。さらに、三酸化アンチモンを12g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してSb含有量が0.025モル%となるように、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約250℃で平均滞留時間として約3時間反応を行った。
【0086】
この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で平均滞留時間として約1時間反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で所定の反応度まで反応を行った。
【0087】
この時得られたオリゴマーはその末端基の酸価が380eq/tonであった。このオリゴマーに、酢酸マグネシウム4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してMg含有量(M)が0.17モル%となるように、リン酸トリメチルを65g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してP含有量(P)が0.079モル%(M/P=2.2;モル比)となるよう、酢酸ナトリウムを10g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してNa含有量が0.018モル%となるように、酢酸コバルト4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対して0.0035モル%となるように別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
【0088】
このエステル化反応生成物を第1重縮合反応缶に連続的に供給し、攪拌下、約265℃、35hPaで約1時間、次いで第2重縮合反応缶で攪拌下、約270℃、5hPaで約1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、約280℃、0.5〜1.5hPaで約1時間重縮合させた。重縮合後、95%以上のろ過精度が60μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを通過させた。次いで、溶融樹脂をダイスからストランド状に抜き出し、水槽で水冷後、チップ状にカッティングして固有粘度(IV)が0.74dl/gの共重合ポリエステルを得た。
【0089】
得られた共重合ポリエステルの組成比は、TPA//EG/NPG/DEG=100//66.5/31.0/2.5(モル%)であった。ここで、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、得られた共重合ポリエステル中の触媒及び添加剤の組成比は、共重合ポリエステルに対しSb/Mg/P/Na/Co=0.0245/0.170/0.079/0.018/0.0035(モル%)であり、Mg/Pモル比(M/P)は2.2であった。得られた結果を表1に示した。
【0090】
さらに、前記共重合ポリエステルは、ρiが0.22×108Ω・cmで、100倍の位相差顕微鏡で20視野観察した際の、10μm以上の未溶融の異物が12個であり、静電密着性に優れ、且つ異物も少ないクリーンな樹脂であった。
【0091】
次に、得られた共重合ポリエステルをT−ダイスからシート状に溶融押出しし、静電気を印加しながら回転冷却金属ロール上に密着固化させ、未延伸シートを得た。その際のキャスティング速度は、60m/分であり、二軸延伸後のフィルム1m2当たりの欠点は0個であった。得られた結果を表2に示した。
【0092】
実施例2〜5、比較例1〜7
共重合ポリエステルの組成、触媒の種類と量、アルカリ土類金属の種類と量、リン化合物の量、アルカリ土類金属添加時のオリゴマー酸価(AVo)のうち少なくとも1種を変更した以外は全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0093】
実施例6
バッチ重合設備を使用した。
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積2.5m3のエステル化反応槽に、ジメチルテレフテレート(DMT)470224質量部、エチレングリコール(EG)249522質量部、ネオペンチルグリコール(NPG)85755質量部を投入し、触媒として酢酸マンガン4水和物を生成するポリマーに対して0.020モル%、三酸化アンチモンを生成ポリマーに対して0.026モル%となるように添加した。その後、攪拌しながら反応系内を最終的に240℃となるまで除々に昇温し、圧力0.25MPaでエステル化反応を180分間行った。反応系内からの留出水が出なくなるのを確認した後、反応系内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物を生成ポリマーに対して0.17モル%、リン酸トリメチルを生成ポリマーに対して0.08モル%、酢酸ナトリウムを生成ポリマーに対して0.022モル%となるように添加した。この時のオリゴマー酸価は10eq/tonであった。
【0094】
得られたオリゴマーを容積2m3の攪拌機及び留出コンデンサーを有する重縮合反応槽に移送し、攪拌しながら除々に昇温と減圧をし、最終的に温度が280℃で、圧力が0.2hPaになるようにした。固有粘度が所望の数値となるまで反応させ、重縮合反応を終了した。反応時間は170分であった。得られた溶融ポリエステル樹脂を重合槽下部の抜き出し口からストランド状に抜き出す際に、95%以上のろ過精度が30μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した。ストランドを水槽で冷却した後チップ状に切断した。結果を表1及び2に示した。
【0095】
実施例7
実施例1においてポリマーフィルターを使用しない以外、全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0096】
実施例8
実施例1において、最終重縮合反応缶で攪拌下、約280℃、0.5〜1.5hPaで約45分重縮合させ、95%以上のろ過精度が20μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した以外、全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0097】
【表1】
【0098】
表1において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、EGはエチレングリコール、NPGはネオペンチルグリコール、DEGはジエチレングリコール、Caは酢酸カルシウム4水和物、AVoはアルカリ土類金属の添加時のオリゴマー酸価(eq/ton)、TMPAはトリメチルホスフェート、TEPAはトリエチルホスホノアセテート、Co化合物は酢酸コバルト4水和物、Sbは三酸化アンチモン、Tiはチタニウムテトラブトキシド、Geは二酸化ゲルマニウムを示す。
【0099】
【表2】
【0100】
【発明の効果】
本発明の共重合ポリエステルは、テレフタル酸と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とする共重合ポリエステルであり、かつアルカリ土類金属及びリン化合物の特定量を、特定のオリゴマー酸価の範囲で添加させていることから、成形性に優れ、未溶融の異物量が少なく、かつ静電密着性に優れている。そのため、フィルム、シート、中空成形容器、エンジニアリングプラスチック、繊維等の各種成形品用の材料として広く使用することができる。なかでも、フィルム用の材料として特に好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電密着性に優れ、異物の少ない共重合ポリエステル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PETに代表されるポリエステルは、優れた機械的性質、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性などを有するため、フィルム、シート、繊維、ボトル、エンジニアリングプラスチックの素材として広く使用されている。
【0003】
フィルム用途だけを見ても、ポリエステルは包装用途、写真用途、電機用途、磁気テープなどの広い分野で使用されている。通常、ポリエステルフィルムは、ポリエステルチップを真空乾燥後、押出し機で溶融し、T−ダイスからシート状に押出し、回転冷却ドラム上に静電気を印可しながら未延伸シートを密着させ、次いで少なくとも一軸方向に延伸し、熱固定処理を行うことにより得られる。
【0004】
この場合、フィルム品質の面では、厚みの均一性が極めて重要な特性であり、この特性をいかにして確保するか、及び、生産性の面では、生産性がキャスティング速度に直接依存するため、生産性の向上のためにキャスティング速度をいかにして高めるかが重要な課題となる。
【0005】
この課題を解決するためには、T−ダイスから溶融押出したシート状物を回転冷却ドラム面で急冷する際に、該シート状物とドラム表面との密着性を高めることが必要となる。このシート状物とドラム表面の密着性を高める方法として、T−ダイスと回転冷却ドラムの間にワイヤー状の電極を設けて高電圧を印加し、未固化のシート状物面に静電気を析出させて該シートを冷却体表面に密着させながら急冷する方法(静電密着キャスト法)が有効である。
【0006】
静電密着キャスト法を効果的に行うためには、シート状物とドラム表面との静電密着性を高めることが必要であり、そのためには、シート状物表面にいかに多くの電荷量を析出させるかが重要である。電荷量を多くするためには、ポリエステルを改質して比抵抗を低くすることが有効であり、従来から多くの検討がなされている。
【0007】
例えば、特公平3−54129号公報には、PET製造時に特定量のナトリウムもしくはカリウム化合物と、マグネシウム原子とリン原子の原子比が特定範囲の値となるように、マグネシウム化合物とリン化合物を添加することで比抵抗を低くすることが開示されている。また、同号公報には、マグネシウム化合物、ナトリウム化合物及びリン化合物の添加時期を特定することで、触媒に起因する異物を減少させ、フィルムの品質を向上させることが開示されている。
【0008】
一方、グリコール成分として、ネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルは、特開2000−109546号公報に開示されているように、透明性及び耐衝撃性に優れる点から注目されている。ところが、前記共重合ポリエステルをフィルムまたはシートの原料として使用する場合、前記共重合ポリエステルの比抵抗値はPETと同様に高いため、フィルムの品質及び生産性の面から静電密着性を向上させるための改質は不可欠である。
【0009】
しかしながら、ネオペンチルグリコールを共重合したポリエステルの場合、触媒に対する親和性がPETと比べ悪い。そのため、PETで適用された方法を単純にそのまま適用しても、触媒金属にもとづく異物が析出したり、静電密着性の発現が困難となったりする場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、成形性に優れ、異物が少なく、かつ静電密着性が改良された共重合ポリエステル及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、共重合ポリエステルに対しては、共重合ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物及びリン化合物の含有量を特定し、共重合ポリエステルの製造方法に関しては、さらにアルカリ土類金属化合物の添加時期を特定することにより、静電密着性が著しく改善され、しかもポリマー中の異物が少ない共重合ポリエステルが得られることを見出し本発明に至った。
【0012】
すなわち、本願の共重合ポリエステルに係る発明は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とし、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルはアルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)を前記共重合ポリエステルに対して下記式(1)及び(2)を満足する範囲で含有し、かつ前記共重合ポリエステルのチップ内を倍率100倍の位相差顕微鏡で20視野観察したときの、10μm以上の粒子の合計個数が50個以下であることを特徴とする。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
【0013】
また、本願の共重合ポリエステルの製造方法に係る発明は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールから主として構成され、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルの製造方法であって、前記アルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)は生成ポリマーに対して下記式(1)及び(2)を満足する含有量となるように反応系内に添加し、かつ前記アルカリ土類金属化合物はオリゴマー酸価(オリゴマー1ton中のカルボキシル末端基の総数)が700eq/ton以下の時点で添加することを特徴とする。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の共重合ポリエステルは、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸単位からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸成分の組成比は70モル%以上が好ましく、さらに好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
【0015】
テレフタル酸とともに使用できる他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0016】
また、本発明の共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分以外の酸成分がさらに共重合されていてもよく、かかる酸成分としては、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸等が挙げられる。なお、本発明において、ジカルボン酸成分およびジカルボン酸成分以外の酸成分は、重合される前の原料段階での、例えば、炭素数1〜4程度のアルキルエステル等のエステル形成性誘導体も含むものとする。
【0017】
また、本発明の共重合ポリエステルは、グリコール成分として、エチレングリコール(EG)とネオペンチルグリコール(NPG)とを主たる構成成分とする。前記NPG成分は、全グリコール成分に対して1〜40モル%であることが必要である。全グリコール成分に対するNPGの組成比は、下限値が10モル%とすることが好ましく、特に好ましくは15モル%である。一方、上限値は40モル%とすることが好ましく、特に好ましくは35モル%である。
【0018】
NPGの組成比が1モル%未満では、例えば、得られたポリマーからフィルムを製造し、さらに該フィルムを成形用途に用い、圧縮成形やプレス成形を行った場合に、成形時の変形倍率が高くならず、成形性が不良になる。一方、NPGの組成比が40モル%を超えると、重合度が上がりにくくなり、所定の固有粘度に到達するまでに著しく時間を要する。そのため、その間の熱履歴により色調が悪化する。また、NPGの組成比が高すぎると、所定の粘度に到達しない場合もある。さらに、得られた共重合ポリエステルからフィルムを製造した場合、該フィルムは熱収縮率が高くなりすぎたり、力学的強度が低下するため、フィルムに多色印刷を行った際に色ずれが生じたりする。
【0019】
一方、本発明の共重合ポリエステルにおいて、他の主たるグリコール成分であるEGは、全グリコール成分に対して60〜99モル%であることが好ましい。全グリコール成分に対するEGの組成比の下限値は、60モル%がさらに好ましく、特に好ましくは65モル%である。一方、上限値は90モル%がさらに好ましく、特に好ましくは85モル%である。
【0020】
本発明の共重合ポリエステルは、全グリコール成分がEGとNPGとで構成されることが好ましいが、本発明の目的とする静電密着性及び異物生成抑制を阻害しない範囲で、他のグリコール成分を併用してもよい。
【0021】
他のグリコール成分としては、(1)トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングルコール等の脂肪族グリコール類、(2)1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール類、(3)p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族グリコール類等が挙げられる。これらの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好適である。また、これらのグリコール成分は、いずれかを単独で使用しても2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明の共重合ポリエステルを製造する際に使用される重合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を単独で用いても良いし、あるいは2種以上を併用してもかまわない。
【0023】
前記アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイド等が挙げられる。これらの中でも、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドが好ましく、特に好ましくは三酸化アンチモンである。
【0024】
これらのアンチモン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.02〜0.03モル%である。
【0025】
また、前記ゲルマニウム化合物としては、例えば、結晶性二酸化ゲルマニウム、非晶性二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn−ブトキシド等が挙げられる。これらの中でも、結晶性二酸化ゲルマニウム、非晶性二酸化ゲルマニウムがさらに好ましく、特に好ましくは非晶性二酸化ゲルマニウムである。
【0026】
これらのゲルマニウム化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.005〜0.06モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.015〜0.025モル%である。
【0027】
また、前記チタン化合物としては、例えば、(1)チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のアルコキシド類、(2)シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルリチウム、シュウ酸チタニルナトリウム、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルバリウム等のシュウ酸チタニル化合物類、(3)アセチルチタン酸カリウム等の有機カルボン酸チタン塩等が挙げられる。これらの中でも、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、シュウ酸チタニルカリウムが好ましく、特に好ましくはチタニウムテトラブトキシドである。
【0028】
これらのチタン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.0003〜0.0150モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.002〜0.015モル%であり、特に好ましくは0.005〜0.01モル%である。
【0029】
また、本発明は、直接エステル化法、エステル交換法の何れにおいても生産することができる。しかしながら、エステル交換法の場合、上記のSb化合物、Ge化合物、Ti化合物の触媒以外にエステル交換触媒を使用する必要がある。
【0030】
前記エステル交換触媒としては、Mn化合物、Zn化合物等が好適であり、それらを共重合ポリエステルに対して0.01 ̄0.05モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.035モル%、特に好ましくは0.02〜0.03モル%である。
【0031】
直接エステル化法の場合、前記重合触媒は、エステル化反応開始前、あるいは加圧エステル化反応終了後から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、アンチモン化合物またはチタン化合物を重合触媒として使用する場合には、エステル化反応前に添加することが好ましい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物はエステル化反応後に添加することが好ましい。
【0032】
また、エステル交換法の場合には、前記重合触媒は、エステル交換反応開始前から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、チタン化合物は、重合触媒としての機能だけでなくエステル交換触媒としても機能も有するので、エステル交換反応開始前に添加することが好ましい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物はエステル交換反応終了後からに添加することが好ましい。エステル交換触媒は、エステル交換反応開始前に添加することが必要である。
【0033】
本発明では、静電密着性を改善するために、共重合ポリエステルに対し、特定量のアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有させることが重要である。
【0034】
前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、(1)アルカリ土類金属の水酸化物およびその水和物、(2)酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の低級脂肪族カルボン酸塩およびその水和物、(3)安息香酸塩、4−メチルフェニルカルボン酸塩、ナフチルカルボン酸塩等の芳香族カルボン酸塩およびその水和物、(4)メトキシド、エトキシド等のアルコキシド類等が挙げられる。なかでも、水酸化物およびその水和物、酢酸塩およびその水和物が好ましい。ここで、アルカリ土類金属原子としては、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられる。
【0035】
アルカリ土類金属化合物の好適な具体例としては、酢酸カルシウム、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム4水和物、酢酸バリウムが挙げられる。なかでも、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム4水和物が特に好適である。
【0036】
前記アルカリ土類金属化合物(M)は、共重合ポリエステルに対し0.05〜0.40モル%含有させることが好ましい。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量の下限値は、0.07モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.1モル%である。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量が共重合ポリエステルに対して0.05モル%未満では、共重合ポリエステルの静電密着性の代用特性である「275℃で溶融時の比抵抗値(ρi値)」を十分に小さくすることができない。
【0037】
一方、アルカリ土類金属化合物(M)の含有量の上限値は、0.4モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.2モル%である。アルカリ土類金属化合物(M)の含有量が0.4モル%を超えると、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、共重合ポリエステル中での異物量が増加したりするなど、異物や色調の点で不十分となる。
【0038】
また、リン化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。好適な具体例としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジメチル、フェニールホスホン酸ジエチル、フェニールホスホン酸ジフェニールが挙げられる。なかでも、リン酸トリメチル、リン酸が特に好適である。
【0039】
本発明では、リン化合物の含有量は、アルカリ土類金属化合物の含有量によって決めることが好ましい。共重合ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物(M)の含有量とリン化合物(P)の含有量とのモル比(M/P)は1.0〜3.5の範囲が好ましい。前記モル比(M/P)の下限値は、1.2がさらに好ましく、特に好ましくは1.5である。前記モル比(M/P)が1.0未満では、ρi値を十分に小さくすることができず良好な静電密着性を得ることができない。
【0040】
一方、前記モル比(M/P)の上限値は、3.5がさらに好ましく、特に好ましくは3.0である。前記モル比(M/P)が3.5を越えると、フリーのアルカリ土類金属化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいは異物量が増加したり、するなど品質が低下してしまう。
【0041】
本発明においては、アルカリ金属化合物を微量添加することで、静電密着性をさらに改良することができる。アルカリ金属化合物は、その単独使用では静電密着性の向上効果は小さいが、前記のアルカリ土類金属化合物及びリン化合物とを組み合わせることによって、静電密着性を顕著に改善することができる。
【0042】
アルカリ金属化合物の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属化合物としては、これら金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩、アルコキサイド等が挙げられる。好ましいアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらのうち、酢酸ナトリウムが最も好ましい。これらアルカリ金属化合物は単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
【0043】
アルカリ金属化合物は、共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有するように反応系内に添加することが、さらなる静電密着性向上の点から好ましい。アルカリ金属化合物の含有量は、下限値が0.008モル%であることが特に好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が0.005モル%未満では、静電密着性の改良効果が小さくなる。
【0044】
一方、アルカリ金属化合物の含有量は、上限値が0.035モル%であることが特に好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が0.050モル%を超える場合には、静電密着性の改良効果が頭打ちとなり、むしろ過剰のアルカリ金属化合物に起因する異物が生成しやすくなる。
【0045】
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、コバルト化合物を含有させても良い。コバルト化合物をリン化合物と併用する場合には、コバルト化合物とリン化合物を等モル含有させることが好ましい。
【0046】
前記コバルト化合物としては、酢酸コバルト、塩化コバルト、安息香酸コバルト、クロム酸コバルト等が挙げられる。なかでも、酢酸コバルトが好ましい。コバルト化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して通常0.04モル%以下となるように含有させるが、使用する重合触媒の種類に応じて適宜変更することが好ましい。
【0047】
また、本発明の共重合ポリエステルの製造時に、本発明の目的を妨げない限り、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどの不活性粒子、顔料、耐熱・酸化安定剤、離型剤、UV吸収剤、着色剤などを必要に応じて添加してもよい。
【0048】
本発明の共重合ポリエステルの製造方法について、直接エステル化法を例として以下に詳しく説明するが、当然エステル交換法によっても製造できることは言うまでもない。
【0049】
直接エステル化法の場合、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を用い、テレフタル酸、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主とする原料モノマーを直接反応させて水を留去してエステル化反応を行った後、減圧下で溶融重縮合を行うことにより製造することができる。
【0050】
本発明の共重合ポリエステルの製造において、アルカリ土類金属化合物は、オリゴマー酸価AVo(オリゴマー1ton中のカルボキシル末端基の総数)が700eq/ton以下の時点で反応系内に添加することが好ましく、さらに好ましくは500eq/ton以下、特に好ましくは400eq/tonである。AVoが700eq/tonを越えると、ポリマー中の未溶融物量が多くなり、透明性や、商品価値が悪化する。
【0051】
本発明の共重合ポリエステルにおいて、リン化合物の添加時期は、アルカリ土類金属化合物と同時期または、添加後が好ましい。リン化合物をアルカリ土類金属化合物の添加前の時点で反応系内に添加すると、未反応のリン化合物により、共重合ポリエステルの副生成物が増加してしまう。
【0052】
上記の重合反応は、回分式反応装置(回分式重合法)で行っても良いし、連続式反応装置(連続式重合法)行っても良いが、連続式反応装置(連続式重合法)が好ましい。例えば、連続式反応装置(連続式重合法)で前記共重合ポリエステルを20トン製造した場合、固有粘度(重合度の指標)の変動幅(最大値−最小値)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に抑制することができる。
【0053】
連続式反応装置(連続式重合法)において、エステル化反応及び溶融重縮合反応は、それぞれ、1段階で行ってもよいが、複数の段階に分けて行うのが好ましい。エステル化反応を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は2缶〜3缶が好ましい。また、溶融重縮合を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は3缶〜7缶が好ましい。
【0054】
本発明の共重合ポリエステルを連続式重合法で製造する場合、エステル化反応温度は通常240〜270℃であり、好ましくは250〜265℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2MPa以下、好ましくは0.01〜0.05MPaである。また、重縮合反応の温度は通常265〜285℃であり、好ましくは270〜280℃であり、反応缶内の圧力は通常1.5hPa以下、好ましくは0.5hPa以下である。エステル化反応の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3.5時間である。また、重縮合反応の反応時間は3時間以下が好ましく、特に好ましくは1〜2時間である。
【0055】
一方、回分式反応装置(回分式重合法)で製造する場合、生成した重合体を重合反応缶から抜き出す際、重合反応缶の缶内圧力を0.1〜300hPa、好ましくは5〜50hPaに保持しながら重合反応缶から重合体を抜き出すようにする。これにより、抜き出し過程で重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度(重合度)が変動するのを抑制することができる。
【0056】
例えば、回分式反応装置(回分式重合法)で前記共重合ポリエステルを上記方法で700kg製造し、抜き出し時間を30分とした場合、固有粘度(IV)の変動幅(最大値−最小値)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に抑制することができる。従来からの一般的な回分式反応装置(回分式重合法)で前記共重合ポリエステルを製造した場合、重合反応缶からの重合体の抜き出しは、窒素ガス等により重合反応缶内を加圧状態として抜出しているが、かかる従来方法では、重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度(IV)の変動幅(最大値−最小値)は0.1dl/g以上となってしまう。
【0057】
なお、かかる本発明の缶内圧力を減圧状態に保持した重合反応缶内から重合体を抜き出す方法を実施する場合、重合反応缶の抜き出し口にギアポンプ等の手段を取り付けて行うのが好ましい。ギアポンプ手段を取り付けないと、減圧状態の反応缶内から、効率良く重合体を抜き出すことが困難となる。
【0058】
本発明の共重合ポリエステルを回分式重合法で製造する場合、エステル化反応温度は通常220〜250℃であり、好ましくは230〜245℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2〜0.4MPa、好ましくは0.25〜0.30MPaである。また、重縮合反応は1段階で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。1段階で行う場合は、漸次減圧および昇温を行い、最終的な温度を260〜280℃、好ましくは265〜275℃、の範囲とし、最終的な圧力を、通常3hPa以下、好ましくは0.5hPa以下とする。エステル化反応の反応時間は4時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3時間である。また、重縮合反応の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは1〜3時間である。
【0059】
上記の連続式重合法または回分式重合法で得られた前記共重合ポリエステルは、通常、反応缶の底部に設けた抜き出し口よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットする。
【0060】
前記の共重合ポリエステルを反応缶の底部から抜き出す時には、95%以上の濾過精度が1〜120μmであるポリマーフィルターを通過させることが好ましく、前記濾過精度は、5〜100μmが特に好ましい。ポリマーフィルターのタイプとしては、ディスク型、リーフディスク型、筒状型やプリーツ付き筒状型等があるが、プリーツ付き筒状型が好ましい。ポリマーフィルターの材質は、ステンレス短繊維、ステンレス長繊維がある。
【0061】
本発明の共重合ポリエステルは、通常大気中の水分により吸湿し、およそ0.1〜0.5%程度の水分を含有しているので、成形加工前に予め乾燥し、防湿袋に保存するのが好ましい。本発明の共重合ポリエステルは前記によりチップ化した後に、およそ50〜120℃の間で12時間以上乾燥することが好ましい。乾燥方法は、真空乾燥、熱風乾燥、流動床式乾燥装置等あるが、流動床式乾燥が好ましい。またさらには乾燥後のチップを、防湿バッグや、アルミ袋等の密封袋で保存することが好ましい。
【0062】
前記乾燥チップの含水率は、成形加工前にできるだけ低いことが好ましく、好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.02%以下、特に好ましくは0.01%以下である。
【0063】
本発明において、静電密着性の指標となる溶融比抵抗値(ρi値)は、前記のアルカリ土類金属化合物、リン化合物、及びアルカリ金属化合物の含有量によって制御することができる。ρi値は、0.02〜1.00(×108Ω・cm)の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.02〜0.65(×108Ω・cm)、特に好ましくは0.02〜0.4(×108Ω・cm)の範囲である。
【0064】
本発明の共重合ポリエステルは、ρi値を0.02×108Ω・cm未満とすることは技術的に困難である。一方、前記ρi値が1.00×108Ω・cmを越えるような共重合ポリエステルをフィルム原料として用いた場合、未延伸シート製造時における静電密着性が悪化し、キャスティング速度が低下する傾向がある。
【0065】
また、前記共重合ポリエステルのチップ内を倍率100倍の位相差顕微鏡で20視野観察したときの、10μm以上の粒子の合計個数が50個以下であることが必要であり、好ましくは30個以下、特に好ましくは10個以下である。前記粒子の特定視野内での個数が50個を越えると、共重合ポリエステル中の未溶融物が多く、異物となったり、外観が悪くなったりする。
【0066】
本発明の共重合ポリエステルは、固有粘度(IV)が0.50〜1.0dl/gであることが好ましい。固有粘度の下限値は0.60dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.65dl/gである。固有粘度が0.50dl/g未満では、成形品の機械的特性が低下する傾向がある。
【0067】
一方、固有粘度の上限値は0.85dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.80dl/gである。固有粘度が1.0dl/gを越えると、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。なお、共重合ポリエステルの特性は以下の方法にしたがって測定した。
【0069】
(1)オリゴマー酸価(AVo)
試料1gを精秤し、ピリジン20mlを加え、15分間加熱還流した。溶解後、水を10ml加え放冷した。フェノールフタレインを指示薬として、0.1N水酸化ナトリウムで滴定した。なお、オリゴマー酸価は次式により求めた。
AVo(eq/ton)=((A−B)×0.1×F)/(Wg×103)×106
上式で、Aは滴定量(ml)、Bはブランクの滴定量(ml)、Fは使用した0.1N−水酸化ナトリウムのファクター、Wgは試料の質量(g)を意味する。
【0070】
(2)固有粘度(IV)
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0071】
(3)共重合ポリエステルの組成比
サンプル約5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸の混合溶液(9/1:体積比)0.7mlに溶解し、1H−NMR(Varian製、UNITY500)を使用して求めた。
【0072】
(4)溶融比抵抗値(ρi)
275℃で溶融させた共重合ポリエステル中に2枚の電極板をおき、120Vの電圧を印加した時の電流値(io)を測定し、比抵抗値ρiを次式により求めた。
ρi(Ω・cm)=(A/I) ×(V/io)
ここで、Aは電極面積(cm2)、 Iは電極間距離(cm)、 Vは電圧(V)である。
【0073】
(5)元素分析
以下に示す方法で元素分析を行った。
(a)アルカリ土類金属化合物
試料1gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに6モル/Lの塩酸を加えて蒸発乾固させた。次いで、残渣を1.2モル/Lの塩酸で溶解させ、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−2000)を用いて発光強度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のアルカリ土類金属原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。なお、エステル交換触媒として用いるZnやMnも同様の方法で定量することができる。
【0074】
(b)リン化合物
試料1gを、炭酸ナトリウム共存下で乾式灰化分解させる方法、あるいは硫酸/硝酸/過塩素酸の混合液または硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させる方法によってリン化合物を正リン酸とした。次いで、1モル/Lの硫酸溶液中においてモリブデン酸塩を反応させてリンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元してヘテロポリ青を生成させた。吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長830nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のリン原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0075】
(c)アルカリ金属化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/L塩酸を加えて蒸発乾固した。次いで、1.2モル/L塩酸で溶解し、その溶液を原子吸光分析装置(島津製作所製、AA−640−12)吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のアルカリ金属原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0076】
(d)アンチモン化合物
試料1gを硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させた。次いで、亜硝酸ナトリウムを加えてSb原子をSb5+とし、ブリリアングリーンを添加してSbとの青色錯体を生成させた。この錯体をトルエンで抽出後、吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)を用いて、波長625nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線から、試料中のSb原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0077】
(e)ゲルマニウム化合物
試料2gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに10質量%の炭酸水素ナトリウム溶液5mlを加えて蒸発させ、次いで塩酸を加えて蒸発乾固させた。電気炉にて400℃から950℃まで昇温させ、30分放置して残渣を融解させた。融解物を水10mlに加温溶解させ、蒸留装置に移した。なお、白金ルツボ内を7.5mlのイオン交換水で2回水洗し、この水洗液も前記蒸留装置に移した。次いで、塩酸35mlを加え、蒸留して留出液25mlを得た。その留出液中から適当量を分取し、最終濃度が1.0〜1.5モル/Lとなるように塩酸を加えた。さらに、0.25質量%のポリビニルアルコール溶液2.5ml及び0.04質量%のフェニルフルオレン(2,3,7−トリヒドロキシ−9−フェニル−6−フルオレン)溶液5mlを添加し、イオン交換水にて25mlとした。生成したGeとの黄色錯体を吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長505nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のGe原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0078】
(f)チタン化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、硫酸と硫酸水素カリウムを加え、加熱溶融させた。この溶融物を2モル/L硫酸に溶解させた後、過酸化水素水を添加し、吸光光度計(島津製作所製、UV−150−02)により波長420nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のTi原子を比色定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0079】
(g)コバルト化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/L塩酸を加えて蒸発乾固させた。これを1.2モル/Lの塩酸で溶解し、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−2000)を用いて発光強度を測定した。予め作成した検量線から、試料中のCo原子を定量した。次いで、これを共重合ポリエステルに対するモル%に換算した。
【0080】
(6)ポリマー中の異物
共重合ポリエステルチップ(一粒)を2枚のカバーグラス間に挟んで280℃で溶融プレスし、急冷したのち、100倍の位相差顕微鏡で20視野観察し、イメージアナライザー(ニレコ社製、Luzex FS)を用いて10μm以上の未溶融の異物の個数をカウントした。
【0081】
(7)キャスティング速度
押出し機の口金部と冷却ドラムとの間にタングステンワイヤー製の電極を設け、電極とキャスティングドラム間に10〜15kVの電圧を印加して、290℃で溶融押出し、厚さ100μmのフィルム原反を巻き取った。このフィルム原反の表面を目視観察し、ピンナーバブルの発生が起り始める時点をキャスティング速度(m/分)とした。キャスティング速度は、生産性の点から大きいほど好ましい。本発明においては、キャスティング速度が50m/分以上の場合を合格とした。
【0082】
(8)フィルムの成形性
共重合ポリエステルを、予備結晶化、乾燥後、T−ダイスを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを80℃で3.5倍延伸し、次いで横方向に95℃で3.6倍に延伸し、さらに205℃で熱処理を行うことにより、厚さ188μmの二軸延伸フィルムを得た。該フィルムに印刷を施した後、130℃で5秒間加熱後、金型温度80℃、保圧時間5秒にてプレス成形を行った。その成形材に210℃にてABS樹脂を流し込み(射出成形)、表面がフィルムで覆われた高さ3mmのキートップを作成した。この時の印刷ずれを測定し、かつ成形状態を目視観察し、下記基準にてランク付けをした。なお、◎、○を合格、×を不合格とした
【0083】
◎:印刷ずれが0.1mm以下で、外観は極めて良好である。
○:印刷ずれが0.1mm以上0.2mm以下で、若干のしわが見うけられるが、実用上問題ないレベルである。
×:印刷ずれが0.2mmを越えている。または、フィルムに破断が見うけられる。または、大きな皺が入り著しく外観が悪い。
【0084】
(9)フィルム上の欠点
上記(8)の条件で二軸延伸したフィルム1m2を、目視で観察し、フィルム上の欠点数を測定し、下記基準でランク付けをした。なお、◎と○を合格とした。
◎:欠点数が0個
○:欠点数が1〜3個
△:欠点数が4〜5個
×:欠点数が6個以上
【0085】
実施例1
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物を含有している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を17モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0としたスラリーを、生成ポリマーとして1ton/hの生産量となるように連続的に供給した。さらに、三酸化アンチモンを12g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してSb含有量が0.025モル%となるように、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約250℃で平均滞留時間として約3時間反応を行った。
【0086】
この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で平均滞留時間として約1時間反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、約260℃で所定の反応度まで反応を行った。
【0087】
この時得られたオリゴマーはその末端基の酸価が380eq/tonであった。このオリゴマーに、酢酸マグネシウム4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してMg含有量(M)が0.17モル%となるように、リン酸トリメチルを65g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してP含有量(P)が0.079モル%(M/P=2.2;モル比)となるよう、酢酸ナトリウムを10g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対してNa含有量が0.018モル%となるように、酢酸コバルト4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリマーに対して0.0035モル%となるように別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
【0088】
このエステル化反応生成物を第1重縮合反応缶に連続的に供給し、攪拌下、約265℃、35hPaで約1時間、次いで第2重縮合反応缶で攪拌下、約270℃、5hPaで約1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、約280℃、0.5〜1.5hPaで約1時間重縮合させた。重縮合後、95%以上のろ過精度が60μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを通過させた。次いで、溶融樹脂をダイスからストランド状に抜き出し、水槽で水冷後、チップ状にカッティングして固有粘度(IV)が0.74dl/gの共重合ポリエステルを得た。
【0089】
得られた共重合ポリエステルの組成比は、TPA//EG/NPG/DEG=100//66.5/31.0/2.5(モル%)であった。ここで、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、得られた共重合ポリエステル中の触媒及び添加剤の組成比は、共重合ポリエステルに対しSb/Mg/P/Na/Co=0.0245/0.170/0.079/0.018/0.0035(モル%)であり、Mg/Pモル比(M/P)は2.2であった。得られた結果を表1に示した。
【0090】
さらに、前記共重合ポリエステルは、ρiが0.22×108Ω・cmで、100倍の位相差顕微鏡で20視野観察した際の、10μm以上の未溶融の異物が12個であり、静電密着性に優れ、且つ異物も少ないクリーンな樹脂であった。
【0091】
次に、得られた共重合ポリエステルをT−ダイスからシート状に溶融押出しし、静電気を印加しながら回転冷却金属ロール上に密着固化させ、未延伸シートを得た。その際のキャスティング速度は、60m/分であり、二軸延伸後のフィルム1m2当たりの欠点は0個であった。得られた結果を表2に示した。
【0092】
実施例2〜5、比較例1〜7
共重合ポリエステルの組成、触媒の種類と量、アルカリ土類金属の種類と量、リン化合物の量、アルカリ土類金属添加時のオリゴマー酸価(AVo)のうち少なくとも1種を変更した以外は全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0093】
実施例6
バッチ重合設備を使用した。
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積2.5m3のエステル化反応槽に、ジメチルテレフテレート(DMT)470224質量部、エチレングリコール(EG)249522質量部、ネオペンチルグリコール(NPG)85755質量部を投入し、触媒として酢酸マンガン4水和物を生成するポリマーに対して0.020モル%、三酸化アンチモンを生成ポリマーに対して0.026モル%となるように添加した。その後、攪拌しながら反応系内を最終的に240℃となるまで除々に昇温し、圧力0.25MPaでエステル化反応を180分間行った。反応系内からの留出水が出なくなるのを確認した後、反応系内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物を生成ポリマーに対して0.17モル%、リン酸トリメチルを生成ポリマーに対して0.08モル%、酢酸ナトリウムを生成ポリマーに対して0.022モル%となるように添加した。この時のオリゴマー酸価は10eq/tonであった。
【0094】
得られたオリゴマーを容積2m3の攪拌機及び留出コンデンサーを有する重縮合反応槽に移送し、攪拌しながら除々に昇温と減圧をし、最終的に温度が280℃で、圧力が0.2hPaになるようにした。固有粘度が所望の数値となるまで反応させ、重縮合反応を終了した。反応時間は170分であった。得られた溶融ポリエステル樹脂を重合槽下部の抜き出し口からストランド状に抜き出す際に、95%以上のろ過精度が30μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した。ストランドを水槽で冷却した後チップ状に切断した。結果を表1及び2に示した。
【0095】
実施例7
実施例1においてポリマーフィルターを使用しない以外、全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0096】
実施例8
実施例1において、最終重縮合反応缶で攪拌下、約280℃、0.5〜1.5hPaで約45分重縮合させ、95%以上のろ過精度が20μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した以外、全て実施例1と同様に実験した。結果を表1及び2に示した。
【0097】
【表1】
【0098】
表1において、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、EGはエチレングリコール、NPGはネオペンチルグリコール、DEGはジエチレングリコール、Caは酢酸カルシウム4水和物、AVoはアルカリ土類金属の添加時のオリゴマー酸価(eq/ton)、TMPAはトリメチルホスフェート、TEPAはトリエチルホスホノアセテート、Co化合物は酢酸コバルト4水和物、Sbは三酸化アンチモン、Tiはチタニウムテトラブトキシド、Geは二酸化ゲルマニウムを示す。
【0099】
【表2】
【0100】
【発明の効果】
本発明の共重合ポリエステルは、テレフタル酸と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とする共重合ポリエステルであり、かつアルカリ土類金属及びリン化合物の特定量を、特定のオリゴマー酸価の範囲で添加させていることから、成形性に優れ、未溶融の異物量が少なく、かつ静電密着性に優れている。そのため、フィルム、シート、中空成形容器、エンジニアリングプラスチック、繊維等の各種成形品用の材料として広く使用することができる。なかでも、フィルム用の材料として特に好適である。
Claims (7)
- テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分とし、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルであって、前記共重合ポリエステルはアルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)を前記共重合ポリエステルに対して下記式(1)及び(2)を満足する範囲で含有し、かつ前記共重合ポリエステルのチップ内を倍率100倍の位相差顕微鏡で20視野観察したときの、10μm以上の粒子の合計個数が50個以下であることを特徴とする共重合ポリエステル。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2) - 前記共重合ポリエステルは、さらにアルカリ金属化合物を前記共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有することを特徴とする請求項1記載の共重合ポリエステル。
- 前記共重合ポリエステルは、275℃で溶融時の比抵抗が0.02〜1.00(×108Ω・cm)であることを特徴とする請求項1または2記載の共重合ポリエステル。
- テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールから主として構成され、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の比率が1〜40モル%であり、かつアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有してなる共重合ポリエステルの製造方法であって、前記アルカリ土類金属化合物(M)及びリン化合物(P)は生成ポリマーに対して下記式(1)及び(2)を満足する含有量となるように反応系内に添加し、かつ前記アルカリ土類金属化合物はオリゴマー酸価(オリゴマー1ton中のカルボキシル末端基の総数)が700eq/ton以下の時点で添加することを特徴とする共重合ポリエステルの製造方法。
0.05≦M≦0.40(モル%) …(1)
1.0≦M/P≦3.5(モル比) …(2) - さらに、アルカリ金属化合物を前記共重合ポリエステルに対して0.005〜0.050モル%含有するように反応系に添加することを特徴とする請求項4記載の共重合ポリエステルの製造方法。
- 前記リン化合物は、アルカリ土類金属化合物の添加と同時又は添加後に反応系内に添加することを特徴とする請求項4または5記載の共重合ポリエステルの製造方法。
- 前記共重合ポリエステルは、エステル化反応またはエステル交換反応を経て、重縮合反応を行うことにより製造され、前記重縮合反応後、95%以上の濾過精度が1〜120μmであるポリマーフィルターを通過させて溶融樹脂を抜き出すことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の共重合ポリエステルの製造方法。
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