JP3565223B2 - 非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、非晶性ポリエステルチップの保存方法 - Google Patents

非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、非晶性ポリエステルチップの保存方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、非晶性ポリエステルチップの保存方法に関し、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとからなる非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、その保存方法に関する。
背景技術
ポリエステル、とりわけ、エチレングリコールとテレフタル酸を原料として製造されるポリエチレンテレフタレート(PET)は、化学的、物理的性質に優れていることから、容器、フィルム、シート、繊維等の用途に広範囲に使用されている。
近年、かかるポリエチレンテレフタレート(PET)に1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、CHDMとも略称する)を共重合させたポリエステルが、透明性、耐衝撃性、成形性、耐熱性等に優れている点から注目され、各種用途、特にフィルム(シート)、エンジニアリングプラスチック等に多く用いられるようになってきている。
また、同様にポリエチレンテレフタレート(PET)にネオペンチルグリコール(以下、NPGとも略称する)を共重合させたポリエステルも特開2000−109546号公報に開示されているように、透明性及び耐衝撃性に優れる点から注目されている。
ポリエステルは、原料モノマーとして、ジカルボン酸またはそのジアルキルエステルと、グリコールとを使用し、エステル化反応あるいはエステル交換反応を行い、ジカルボン酸とグリコールとのジエステル及び/又はそのオリゴマーを生成せしめ、次いでこの生成物を減圧下加熱して目的の重合度になるまで重縮合反応を行うことによって製造することができる。そして、得られたポリエステルは、一般に、反応缶からダイを経由して、溶融樹脂をダイの複数のノズルからストランド状に連続的に押出し、これらを水等の冷媒によって冷却した後、適当な大きさに切断(ペレタイズ)して、粒状の成形用原料(チップ)として出荷される。
ポリエステルチップの水分率が高いと、成形時の溶融押出工程でポリエステルの分子量が低下し、得られる成形品の機械的強度が低下するという問題を生じる。そのため、通常、ポリエステルを製造する際には、ポリエステルチップを乾燥装置で乾燥して最終製品としている。かかるポリエステルチップの乾燥には、乾燥効率や簡易性等の点から、一般的にドライヤー乾燥装置が使用されている。
しかしながら、本発明者等の研究の結果、PETに1,4−シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルグリコール等を共重合させた非晶性ポリエステルのチップでは、ドライヤー乾燥装置(例えば、バッチ式乾燥機、攪拌機付きホッパー乾燥機等)を使用して乾燥する際に、ポリエステルチップからファイン粒子(すなわち、微粉)が生じ、この微粉が成形品の品質に悪影響を及ぼしていることが分かった。
すなわち、ファイン粒子が生成すると、複数のチップを混合する際に偏析が起こり、組成が均一な成形品が得られにくくなり、成形品の品質変動につながることが分かった。さらに、理由は明確ではないが、ファイン粒子が多く含まれると透明性が悪化する傾向があることも分かった。
なお、ここでいう「偏析」とは、例えば、フィルム製膜時にあらかじめ原料チップを2種類以上混合する際に、大きさの小さいファイン粒子(微粉)が存在すると、サイロやホッパー内でチップ混合物が、均一ではなく偏って存在し、フィルム製膜時におけるチップ混合物の混合比にバラツキが生じ、最終的なフィルム製品のポリマー組成の変動が大きくなる、という現象を意味する。例えば、フィルム製造時に偏析したチップ混合物を用いると、フィルム走行方向において、フィルムのポリマー組成が目標値から外れ、フィルム特性(例えば、熱収縮特性や機械的強度など)の変動や厚みむら等の問題が生じる。
また、非晶性ポリエステルのチップをドライヤー乾燥装置(例えば、バッチ式乾燥機、攪拌機付きホッパー乾燥機等)を用いて乾燥する際に、熱によって、個々のチップ同士が融着・一体化した融着が生成し、このような融着チップが、乾燥作業や、その後の成形作業の作業性を低下させる原因になっていることを突き止めた。これは、PET、PBT、PENなどの結晶性ポリエステルの場合、加熱乾燥によって、ポリエステルは結晶化するため、チップ間での融着は起こりにくいが、非晶性ポリエステルの場合は結晶化しないためである。
また、ポリエステルチップの製造過程で生じる粗大な副生物としては、ペレタイズ(チップ化)時に副生する規定サイズよりも大きなチップや乾燥工程でチップが形状変化(フィルム化)した粗大物も含まれる。しかしながら、これらは比較的微量で、これらのみでは問題は起こりにくいが、融着チップが生成すると、乾燥装置からチップを取り出すことが困難になる、あるいは成形時に成形機内の投入ラインや投入口等でチップが詰まって、成形作業が安定して行えなくなるという問題を生じることが分かった。
なお、ポリエステルチップの乾燥について、特開2001−348425号公報には、結晶性ポリエステルにおける環状三量体等のオリゴマーの除去を目的として、ポリエステルチップを水洗後、加熱乾燥する方法が提案されている。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、第1の目的は、ポリマー組成が均一な成形品を得ることができる非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、該非晶性ポリエステルチップの保存方法を提供することである。特に、成形時の加工操業性が向上し、ポリマー組成が均一な成形品を効率良く製造することができる、非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、該非晶性ポリエステルチップの保存方法を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、ポリマー組成が均一で、透明性及び溶剤接着性に優れる良好な成形品(特にフィルム)を得ることができる、非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、該非晶性ポリエステルチップの保存方法を提供することである。
また、本発明の第3の目的は、ポリマー組成が均一で、重合度が高く、フィルムにした際の機械的強度に優れる、非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、該非晶性ポリエステルチップの保存方法を提供することである。
また、本発明の第4の目的は、ポリマー組成が均一で、厚みの均一性に優れるフィルムを効率良く製造することができる、非晶性ポリエステルチップ及びその製造方法、並びに、該非晶性ポリエステルチップの保存方法を提供することである。
発明の開示
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、下記の知見を得、本発明の非晶性ポリエステルチップを完成するに至った。
(a)チップの乾燥方法を工夫することで、ポリマー組成が均一な成形品(特にフィルム)が得られる。
(b)また、PETに特定量の1,4−シクロヘキサンジメタノール又はネオペンチルグリコールとともに特定量のジエチレングリコールを共重合させることで、ポリエステルの透明性及び溶剤接着性に優れる成形品(特にフィルム)を得ることができる。
(c)しかも、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物から選ばれる少なくとも一種を特定量使用することで、ポリエステルの重合度を高め、ポリエステルの成形時(特にフィルム製膜時)に熱分解を起こさず、機械的強度に優れる成形品を得ることができる。
(d)さらに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物およびリン化合物を特定量含有させることで、低い溶融比抵抗を示す、静電密着性に優れる非晶性ポリエステルが得られる。これをフィルム原料として用い、静電密着キャスト法を用いてフィルムを製造すると、フィルムの厚み均一性を向上させることができる。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)水分率が300ppm以下、ファイン粒子の含有量が500ppm以下で、あることを特徴とする非晶性ポリエステルチップ。
(2)粗大副生物の含有量が2重量%以下である上記(1)記載の非晶性ポリエステルチップ。
(3)エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルのチップである、上記(1)又は(2)記載の非晶性ポリエステルチップ。
(4)主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、全グリコール成分中エチレングリコールを50〜85モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はネオペンチルグリコールを12〜45モル%、ジエチレングリコールを1.5〜7.0モル%含む共重合ポリエステルのチップである、上記(3)記載の非晶性ポリエステルチップ。
(5)共重合ポリエステルが、重合触媒として、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物から選ばれる少なくとも一種を使用して得られたポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アンチモン化合物を0.009モル%以上、ゲルマニウム化合物を0.005モル%以上、又はチタン化合物を0.002モル%以上のいずれかを満足し、かつアンチモン化合物を0.045モル%以下、ゲルマニウム化合物を0.075モル%以下、及びチタン化合物を0.023モル%以下のいずれをも満足する量を含有し、さらに固有粘度が0.70〜0.85dl/gのポリエステルである、上記(3)記載の非晶性ポリエステルチップ。
(6)共重合ポリエステルが、エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートとを主たる繰り返し単位とし、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有するポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アルカリ金属化合物(M1)、アルカリ土類金属化合物(M2)、及びリン化合物(P)を、下記式(I)〜(IV)を満足する範囲で含有するポリエステルである、上記(3)記載の非晶性ポリエステルチップ。
0.005≦M1(モル%)≦0.029 …(I)
0.045≦M2(モル%)≦0.225 …(II)
1.67≦M2/M1(モル比)≦45 …(III)
0.5≦(M1+M2)/P(モル比)≦3.0 …(IV)
(7)共重合ポリエステルが、エチレンテレフタレートと、ネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とし、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を含有するポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アルカリ金属化合物(M1)、アルカリ土類金属化合物(M2)、及びリン化合物(P)を、下記式(V)〜(VII)を満足する範囲で含有するポリエステルである、上記(3)記載の非晶性ポリエステルチップ。
0.005≦M1(モル%)≦0.050 …(V)
0.05≦M2(モル%)≦0.40 …(VI)
1.0≦M2/P(モル比)≦3.5 …(VII)
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の非晶性ポリエステルチップを防湿容器に収容し、密封してなる、防湿容器入り非晶性ポリエステルチップ。
(9)溶融重合して得られた非晶性ポリエステルを冷却後、切断して得られたチップを、流動床式乾燥装置の処理槽内に投入し、通過させる際に、乾燥ガスを通気させてチップを乾燥させることを特徴とする非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(10)乾燥装置の処理槽内に通気させる乾燥ガスの水分率が100ppm以下である、上記(9)記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(11)乾燥装置の処理槽内の温度が、室温以上、かつ、非晶性ポリエステルのガラス転移温度よりも10℃以上低い温度である、上記(9)又は(10)記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(12)溶融重合して生成した非晶性ポリエステルを冷却後、切断して得られたチップをドライヤー乾燥装置の処理槽内で真空乾燥又は真空下、少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥させた後、外気と接触させることなくファイン粒子除去装置に移送してファイン粒子を除去することを特徴とする非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(13)乾燥装置の処理槽内に通気させる乾燥ガスの水分率が100ppm以下である、上記(12)記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(14)乾燥装置の処理槽内の温度が、室温以上で、かつ、非晶性ポリエステルのガラス転移温度よりも10℃以上低い温度である、上記(12)又は(13)記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
(15)上記(9)〜(14)のいずれかに記載の方法で製造された非晶性ポリエステルチップを外気と接触させることなく防湿容器に入れて保存することを特徴とする非晶性ポリエステルチップの保存方法。
(16)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の非晶性ポリエステルチップをフィルム原料の一部又は全部に使用し、成形して得られるポリエステルフィルム。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の非晶性ポリエステルチップの製造に使用する流動床式乾燥装置の一具体例であるサイロ型の通気乾燥機を簡略化して示した断面図である。
図2は、図1に示すサイロ型の通気乾燥機のチップ排出口に防湿容器を取り付け、乾燥された非晶性ポリエステルチップをそのまま防湿容器に充填している状態を簡略化して示した図である。
図1及び図2において、1はチップ(非晶性ポリエステルチップ)、2は乾燥ガス、3は水分を含む排気ガス、10は乾燥塔(サイロ)、11はチップ供給口、12は乾燥ガス供給ライン、13はチップ排出口、14は防湿容器である。
発明の詳細な説明
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の非晶性ポリエステルチップは、チップ全体の水分率が300ppm以下、ファイン粒子の含有量が500ppm以下であることが特徴である。好ましくは、本発明の非晶性ポリエステルチップは、水分率が50ppm以下であり、ファイン粒子の含有量は100ppm以下である。
また、本発明の非晶性ポリエステルチップは、好ましくは、上記の低水分率及び少ないファイン粒子の含有量を満たすとともに、粗大副生物の含有量が2重量%以下(好ましくは、粗大副生物の含有量が0.5重量%以下)であることが特徴である。
本発明における「非晶性ポリエステル」とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、液体窒素により直ちに冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/minの速度で再度昇温したときに、2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを示さないポリエステルを意味する。なお、かかる昇温−降温−昇温の操作を行ったときに、その2度の昇温過程の少なくともいずれかで明確な融解ピークを示すものは「非晶性ポリエステル」ではなく「結晶性ポリエステル」である。
また、本発明における「ファイン粒子」とは、重合工程、ペレタイズ工程及び乾燥工程を経て製造されるポリエステルチップ中に含まれる微粉であり、JIS−Z8801による呼び寸法1.7mm、針径0.8mmのステンレス製の金網をはった篩を通過し、孔径が100〜120μmのガラスフィルターを通過しないものとして測定されるものである。
また、「粗大副生物」とは、重合工程、ペレタイズ工程及び乾燥工程を経て製造されるポリエステルチップ中に混在する、ペレタイズ工程で副生した規定サイズよりも大きな粗大チップ、乾燥工程でチップ同士が融着した融着チップ及びチップが形状変化したフィルム状物等を含む粗大物である。該粗大副生成物は、JIS−Z8801による呼び寸法5.6mm、針径1.6mmのステンレス製の金網をはった篩にかけて捕集され、さらにイオン交換水による洗浄および孔径が100〜120μmのガラスフィルターを使用した濾過作業に供されて、ガラスフィルターを通過しないものとして測定されるものである。
なお、上記の規定サイズのチップとは、後述するように、好適には、縦、横、高さがそれぞれ1.5〜4.0mmの範囲内のチップを意味する。
本発明の非晶性ポリエステルチップは、ポリエチレンテレフタレート(PET)に、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分及び/又はエチレングリコール以外のグリコール成分を共重合し、かつ融点(融解ピーク)を示さない共重合ポリエステルのチップである。非晶性の共重合ポリエステルチップをフィルム原料として使用することによって、PETよりも透明性を良好にすることができる。
かかる共重合ポリエステルのチップにおいて、全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸成分の量は70モル%以上が好ましく、85モル%以上が特に好ましく、95モル%以上がとりわけ好ましく、100モル%が最も好ましい。
テレフタル酸とともに使用できる他のジカルボン酸成分(共重合成分)としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。なお、本発明において、ジカルボン酸成分は、重合される前の原料段階での、例えば、炭素数1〜4程度のアルキルエステル等のエステル形成性誘導体を含む。
また、全グリコール成分中のエチレングリコール成分の量は50モル%以上が好ましく、エチレングリコールの量が50モル%未満では、熱安定性の低下、透明性不良、分子量低下、重合性低下等を起こしやすくなり、またエチレングリコールが88モル%を超えると樹脂の結晶性が高くなって、透明性が失われるのでエチレングリコール成分は88モル%以下が好ましく、87モル%以下がより好ましく、85モル%以下が最も好ましい。
エチレングリコール以外のグリコール成分には、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール等が挙げられ、これらは1種又は2種以上が使用される。これらの中でも1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が好ましい。
かかる共重合ポリエステルのチップは、好適には、エチレンテレフタレート及び1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(第1の共重合ポリエステル)のチップ、又は、エチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(第2の共重合ポリエステル)のチップである。
前記の共重合ポリエステルのチップにおいて、組成の均一性が良好であるだけでなく、透明性及び溶剤接着性に優れる成形品を達成できるチップを得るためには、ポリエステルの主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、他方、グリコール成分は、エチレングリコール成分が50〜85モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はネオペンチルグリコールが12〜45モル%、ジエチレングリコールが1.5〜7モル%(好ましくは2.5〜5.0モル%)の組成であることが重要である。
グリコール成分が、このような組成であることにより、ポリエステルは良好な透明性を示し、その成形品は優れた溶剤接着性を示す。
ここで、溶剤接着性とは、例えば、フィルム等の成形品の一部に有機溶剤を塗布してポリエステルを膨潤させ、成形品における異なる部分同士(又は異なる成形品間同士)を該有機溶剤の塗布部を介して接着させる際の接着のしやすさを意味する。例えば、各種ラベル等に利用される「熱収縮フィルム」において、フィルムの溶剤接着性が不良であると熱収縮フィルムを容器に外装する際に、接着不良を起こしてしまう。
ポリエステル中のジエチレングリコール成分は、重合原料(モノマー)にエチレングリコールを使用した際の副生物として生成することが知られている。しかしながら、前記第1の共重合ポリエステルのチップにおける、全グリコール成分当り1.5〜7モル%(好ましくは2.5〜5.0モル%)というジエチレングリコール成分の共重合量(含有量)は、重合原料(モノマー)にジエチレングリコールを使用しない場合には達成することが困難であり、重合原料(モノマー)にジエチレングリコールを使用することにより安定に制御できる組成である。
すなわち、PETに1,4−シクロヘキサンジメタノールを全グリコール成分に対して12モル%以上共重合させた共重合ポリエステルを得る場合、重合反応の条件(触媒、温度、圧力等)を調製するだけでは、グリコール成分中のジエチレングリコール成分の量を1.5モル%以上にすることは困難である。
本発明においては、仕込み原料(モノマー)中にジエチレングリコールを特定量、すなわち、全グリコールに対してジエチレングリコールを0.5〜6.5モル%(好ましくは1.0〜5.5モル%)配合するという手段を採用して、全グリコール成分当たり1.5〜7.0モル%(好ましくは2.5〜5.0モル%)というジエチレングリコール成分の共重合量(含有量)を達成している。
全グリコール成分当たりのジエチレングリコールの共重合量(含有量)が1.5モル%未満である共重合ポリエステルの場合、良好な溶剤接着性が得られず、ジエチレングリコールの量が7.0モル%を超える共重合ポリエステルの場合、ポリエステルを成形する際に熱分解が激しく起こり、成形品の着色、分子量の低下、副生成物の生成や物性低下を招いてしまう。
一方、エチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートを主たる繰り返し単位とする前記第2の共重合ポリエステルのチップにおいて、組成の均一性が良好であるだけでなく、透明性及び溶剤接着性に優れる成形品を達成できるチップを得るためには、ポリエステルの主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、他方、グリコール成分は、エチレングリコール成分が50〜85モル%、ネオペンチルグリコールが12〜45モル%、ジエチレングリコールが1.5〜7モル%(好ましくは2.5〜5.0モル%)の組成であることが重要である。グリコール成分が、このような組成であることにより、ポリエステルは良好な透明性を示し、その成形品は優れた溶剤接着性を示す。
第2の共重合ポリエステルにおける、全グリコール成分に対するネオペンチルグリコール成分の組成比は、下限値が13モル%であるのが好ましく、特に好ましくは15モル%であり、上限値は40モル%であるのが好ましく、特に好ましくは35モル%である。
また、ネオペンチルグリコール成分の組成比を12モル%以上とすることで、例えば、そのようなポリエステルのチップからフィルムを製造し、さらに該フィルムを成形用途に用い、圧縮成形やプレス成形を行った場合に、成形時の変形倍率を高くすることができ、成形性が良好になる。
一方、ネオペンチルグリコール成分の組成比を45モル%以下とすることで、ポリエステルの重合度が上がりやすくなるため、所定の固有粘度に到達するまでに長い時間を要しない。そのため、重合時の間の熱履歴によって色調の悪化を抑制することができる。さらに、当該共重合ポリエステルのチップからフィルムを製造した場合、フィルムは熱収縮率が高くなりすぎる、あるいは力学的強度が低下することがないため、フィルムに多色印刷を行った際に色ずれが少ない。
なお、もう一方の主たるグリコール成分であるエチレングリコール成分は、全グリコール成分に対して55〜88モル%が好ましく、下限値は60モル%がさらに好ましく、特に好ましくは65モル%であり、上限値は87モル%がさらに好ましく、特に好ましくは85モル%である。
なお、溶剤接着性が不要で、透明性が要求される成形品用途では、当該第2の共重合ポリエステルのチップにおいては、ポリエステルは実質的に全グリコール成分がエチレングリコール及びネオペンチルグリコールで構成されることが好ましい。しかし、重合原料(モノマー)のグリコール成分にエチレングリコールとネオペンチルグリコールのみを使用しても、ジエチレングリコールの抑制効果があるトリエチルアミンなどの塩素性化合物を用いなかった場合には、若干量のジエチレングリコールが副生し、実際には若干量(全グリコール成分に対し3モル%以下)のジエチレングリコール成分を含有する場合がある。
本発明の非晶性ポリエステルチップにおいて、非晶性の共重合ポリエステルの固有粘度は0.60〜0.90dl/gが好ましく、より好ましくは0.65〜0.85dl/g、さらに好ましくは0.70〜0.85dl/gの範囲である。非晶性の共重合ポリエステルの固有粘度が0.60dl/g未満では、チップの乾燥作業時等においてファイン粒子(微粉)が増加する傾向、あるいは成形品の機械的特性が低下する傾向がある。特に、機械的強度が要求される成形品用途においては、非晶性ポリエステルの固有粘度を0.70dl/g以上とすることが好ましい。一方、非晶性ポリエステルの固有粘度が0.90dl/gを越える場合は、成形の際の溶融押出時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなる場合がある。その結果、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物の増加や成形品の着色(黄色味)などの問題が起こりやすくなる。
また、本発明の非晶性ポリエステルのガラス転移温度は60〜90℃が好ましく、特に好ましくは70〜85℃、とりわけ好ましくは75〜85℃である。ガラス転移温度が60℃未満の場合、チップの乾燥時にチップの融着が起こり易く、また、成形品の耐熱性、機械的特性が低下する傾向がみられる。一方、ガラス転移温度が90℃を超える場合、チップ化(ペレタイズ)時およびチップの乾燥時にファイン粒子が発生し易くなり、また、成形性が低下する傾向がある。
また、本発明の非晶性ポリエステルは、末端カルボキシル基濃度が0〜50eq/tonが好ましく、さらに好ましくは0〜40eq/ton、特に好ましくは0〜30eq/tonである。末端カルボキシル基濃度が50eq/tonを超えるようなポリエステルは、加水分解安定性が低下し、フィルムに製膜する等の成形時に分子量の低下を起こしやすくなる。
本発明の非晶性ポリエステルチップは、原料モノマーをエステル化反応又はエステル交換反応に供し、その後、減圧下に溶融重縮合を行う公知の方法でポリエステルを合成し、生成したポリエステルをペレタイズし、得られたチップを後述の特定の乾燥作業(乾燥工程)で乾燥することによって製造される。すなわち、エステル化反応(エステル交換反応)、溶融重縮合を経て得られたポリマーを反応缶からダイの複数のノズルを経てストランド状に抜き出され、水冷後、チップ状にカットして得られたチップを、後述の特定の乾燥作業(乾燥工程)で乾燥することによって製造される。
ポリエステルの溶融重縮合は、回分式反応設備で行っても、連続式反応設備で行ってもよい。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行ってもよいし、また多段階に分けて行ってもよい。なお、エステル化反応(エステル交換反応)後、重縮合して得られたポリマーは濾過してから、ペレタイズ(チップ化)するのが好ましい。かかる濾過には、通常、目開き5〜50μm程度のフィルターが使用される。
チップの形状としては、シリンダー型、角型、又は扁平な板状等の何れでもよい。その大きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5〜4.0mm、好ましくは1.8〜4.0mm、より好ましくは2.0〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合、長さは1.5〜4.0mm、好ましくは2〜4.0mm、径は1.5〜4.0mm、好ましくは2.0〜4.0mm程度であるのが実用的である。また、チップ1個あたりの重量は15〜30mgの範囲が実用的である。
本発明の非晶性ポリエステルチップの好ましい製造方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
第1の方法は、上記のように溶融重合し、次いでダイのノズルからストランド状に押し出し、冷却、切断(ペレタイズ)して得られた非晶性ポリエステルのチップを、流動床式乾燥装置へ投入、通過させて、チップを乾燥させる方法である。ここで、流動床式乾燥装置の「流動床式」とは、乾燥装置の下部から通気させる乾燥ガスによってチップを流動化させながら乾燥させる方式を意味する。当該流動床式乾燥装置の具体例としては、上部よりポリエステルチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するサイロ型の通気乾燥機(すなわち、水分がサイロの上部から外部に排出され、乾燥したチップはサイロの最下部に付設した取り出し口より外部へ取り出されるよう構成された乾燥機。)等を挙げることができる。
図1はかかるサイロ型の通気乾燥機の一具体例であり、該乾燥機は乾燥塔(サイロ)10の上部に設けられたチップ供給口11から乾燥塔10内に供給されたチップ1が、乾燥塔(サイロ)10の下部に接続された気体供給ライン12より塔内に供給される乾燥ガス2によって吹き上げられて流動しながら徐々に落下し、チップ中の水分は排気ガス3として外部に排出され、乾燥塔(サイロ)10の最下部に設けられたチップ排出口13から乾燥されたチップ1が外部に排出されるよう、構成されている。
本発明において、チップの乾燥に使用する乾燥ガスの通気量は、通常、乾燥装置の処理槽内(サイロ型の通気乾燥機の場合の乾燥塔(サイロ)内)のチップ1ton当たり、5m3N/h以上が好ましく、10m3N/h以上が特に好ましい。一方、乾燥ガスの通気量の上限は通常1000m3N/hである。しかしながら、通気量がチップ1ton当たり5m3N/h未満であると、水分率を減少させるのが困難となり、通気量がチップ1ton当たり1000m3N/hを超えると、水分率の制御、チップの流動性制御が困難となる場合がある。
乾燥塔(サイロ)10に接続される前記の気体供給ライン12の数は、サイロの容量が大きくなれば増やす必要があるが、通常5〜20箇所である。
流動床式乾燥装置を使用して非晶性ポリエステルチップを乾燥することで、チップは処理槽の内壁との衝突等による強い衝撃を受けることなく、チップから水分を効率良く揮散させることができ、ファイン粒子の生成を十分に抑制しながら、チップの水分率を目的の300ppm以下まで減じることができる。
また、チップの処理槽への投入、処理槽からの取り出し(排出)を連続的に行うことで、効率よく、本発明の非晶性ポリエステルチップを製造できる。ここでの連続的とは、乾燥装置の処理槽内がチップで満たされた状態を維持しながら、継続的又は断続的に一部のチップを排出し(取り出し)、新しいチップを追加投入することである。
第2の方法としては、溶融重合で生成した非晶性ポリエステルを冷却後、切断して得られたチップを、ドライヤー乾燥装置で、真空乾燥又は真空下、少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥させた後、外気と接触させることなくファイン粒子除去装置に移送してファイン粒子を除去する方法である。すなわち、上記第1の方法は、ファイン粒子を極力発生させずに、水分を減じる方法であるのに対し、該第2の方法は、チップ乾燥を効率的に行い、その過程で生じたファイン粒子をチップの水分率を上昇させることなく除去する方法である。
ここでの真空乾燥における「真空」とは、処理槽内の圧力を400Pa以下にすることを意味する。また、真空下、少量の乾燥ガスを通気させる場合、乾燥ガスの通気量は、処理槽内のチップ1ton当たり、好ましくは0.5m3N/h以上、特に好ましくは1.0m3N/h以上である。また、乾燥ガスの通気量の上限は通常5.0m3N/h以下である。
ドライヤー乾燥装置とは、その処理槽内を真空下又は加圧下に制御可能で、かつ、加熱又は冷却が可能であり、軸を固定し回転でき、その回転で被乾燥対象物を攪拌しながら乾燥する装置であり、バッチ式乾燥機、攪拌機付きホッパー乾燥機等とも呼ばれるものである。また、ファイン粒子の除去装置としては、振動篩装置、空気流による気流分級装置、重力式分級装置等が挙げられる。
ドライヤー乾燥装置で乾燥処理したチップを外気と接触させることなくファイン粒子除去装置に供給するために、ドライヤー乾燥装置のチップの排出口(取出口)とファイン粒子除去装置とは輸送配管で連結する。かかる輸送配管によるチップの輸送は、プラグ輸送方式やバケット式コンベヤー輸送方式によって行い、チップの配管の内壁との衝突等によってファイン粒子(微粉)が発生しないようにする。
本発明において、乾燥装置の処理槽(すなわち、流動床型乾燥装置におけるサイロ型乾燥機(乾燥塔)、ドライヤー乾燥装置における処理槽)内に通気させる乾燥ガスは水分量が100ppm以下のものが好ましく、特に好ましくは水分量が1ppm以下のものである。このような乾燥ガスとしては、乾燥窒素、除湿空気、ヘリウムガス、炭酸ガス等が挙げられ、好ましくは乾燥窒素である。
また、乾燥装置の処理槽内の温度(乾燥ガスを通気させる場合は乾燥ガスの温度)は、室温以上で、かつ、非晶性ポリエステルのガラス転移温度(Tg)よりも10℃以上低い温度とすることが必要である。なお、前記の室温とは5〜30℃を意味する。また、乾燥装置の処理槽内の温度(乾燥ガスを通気させる場合は乾燥ガスの温度)の下限は、(室温+10℃)の温度が好ましく、上限は(非晶性ポリエステルのTg−15℃)の温度が好ましい。
すなわち、この温度範囲よりも高温に加熱した場合、チップ同士のブロッキングによって乾燥効率が低下し、また、融着チップが生成しやすくなって、粗大副生物の含有量が2重量%よりも増大し、得られる乾燥後のチップ(最終製品)を成形した場合、成形作業を悪化させてしまう。また、この範囲よりも低い温度であると、チップの水分率を目的の300ppm以下まで減少させることが困難になる。
このようにして製造される、水分率が十分に低く、かつ、ファイン粒子の含有量が十分に少ない(さらに、粗大副生物の含有量も十分に少ない)、本発明の非晶性ポリエステルチップは、そのまま、外気と接触させることなく、防湿容器に入れて保存するのが好ましい。かかる防湿容器とは、それにチップを収容し、密封することで、1時間当たりのチップの水分率の上昇を5ppm以下に抑えることができるものである。このような防湿容器としては、例えば、ポリエチレン(PE)層/アルミニウム(AL)層やポリエチレン(PE)層/アルミニウム(AL)層/ポリエチレン(PE)層などから構成される、防湿性及び柔軟性を備えた積層体からなるバッグ(袋体)が挙げられる。該防湿容器の形態としては、例えば、投入口及び抜き出し口をその上部と下部に有する筒状体であって、それぞれの口をひもで縛り付けてシールするタイプの袋体等が作業性の点で好ましいものである。また、容量は0.5〜5.0m3程度が適当である。
乾燥処理後、又は、乾燥処理及びファイン粒子除去処理後のチップを外気と接触させることなく、防湿容器に収容させるために、通常、流動床式乾燥装置のチップ取出し口(排出口)に防湿容器を取付けて、連続的に排出されるチップを収容する。
図2は、前記説明した図1に示すサイロ型の通気乾燥機のチップ排出口13に防湿容器14を取り付け、連続的に乾燥され、排出されてくるチップ1を外気と接触させずに、防湿容器14内に充填している状態を示している。
なお、ファイン粒子除去装置でファイン粒子の除去処理を行う場合は、乾燥装置とファイン粒子除去装置をステンレス製の配管で直結し、乾燥窒素ガス流下でチップを空送する。
上記防湿容器はそのまま包装材として使用でき、チップを当該防湿容器に収容した状態で出荷することができる。これにより、成形品メーカーは、購入した本発明の非晶性ポリエステルチップを防湿容器の開封後、特にチップの乾燥処理を行うことなく、直ちに成形機へ投入して成形作業を行うことができる。
従来、非晶性ポリエステルチップは、例えば、ポリエチレン製の袋(特に、防湿構造を有していない)に収容して出荷される。そして、成形品メーカーは、非晶性ポリエステルチップを購入後、成形機に投入する前に、チップの乾燥を行うのが通常である。
したがって、本願発明の非晶性ポリエステルチップを防湿容器に入れて保存し、出荷することは、成形品メーカーでの乾燥工程を省略化できるので、作業効率を向上させ得る。また、乾燥チップが収容された防湿容器を開封せず、保存期間が比較的長くなっても、本発明の非晶性ポリエステルチップの優れた性質を消失させずに、維持することができる。
本発明の非晶性ポリエステルチップにおいて、エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルのチップにおいては、成形品とした際の機械的強度の点から、ポリエステルの固有粘度は0.70〜0.85dl/gが好ましく、特に好ましくは0.70〜0.80dl/gである。かかるポリエステルの固有粘度を達成し、かつ熱安定性を維持するためには、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物から選ばれる少なくとも一種を特定量使用することが重要である。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコレートなどが、ゲルマニウム化合物としては結晶性二酸化ゲルマニウム、非晶性二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn−ブトキシドなどが、チタン化合物としてはチタニウムテトラブトキシドなどが好適である。
ポリエステルの重合触媒として、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物を単独で使用する場合、当該ポリエステルに対し、アンチモン化合物の場合で0.009〜0.045モル%、ゲルマニウム化合物の場合で0.005〜0.075モル%、チタン化合物の場合で0.002〜0.023モル%含有させる。
アンチモン化合物の場合、好ましくは0.018〜0.035モル%、特に好ましくは0.020〜0.030モル%となるように、当該ポリエステルに対し含有させる。また、ゲルマニウム化合物の場合、好ましくは0.075〜0.030モル%、特に好ましくは0.015〜0.025モル%となるように、当該ポリエステルに対し含有させる。さらに、チタン化合物の場合、好ましくは0.002〜0.014モル%、特に好ましくは0.005〜0.010モル%となるように、当該ポリエステルに対し含有させる。
また、重合触媒として、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物のうち、2種類または3種類を組み合わせて使用する場合、その少なくとも1つの化合物の含有量が上記の下限値を満足し、かついずれも上記の上限値を満足するように含有させればよい。
アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の含有量が、いずれも上記規定の範囲よりも少ないと、ポリエステルが十分に高重合度化せず(すなわち、0.70dl/g以上の固有粘度を達成できず)、また、生産性も著しく低下する。また、それらの化合物のいずれかの含有量が上記規定の範囲より多いと、当該ポリエステルのチップの成形時(特に製膜時)にポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行えなくなり、それから得られる成形品の品質が低下してしまう。
当該エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする、第1の共重合ポリエステルのチップにおいては、静電密着キャスト法による製膜(フィルム化)過程で良好な静電密着性を示すために、ポリエステルの275℃での溶融比抵抗(以下、ρiと略す場合がある)が0.1×10〜0.75×10Ω・cm(好ましくは、0.15×10〜0.30×10Ω・cm)であることが重要である。
すなわち、通常、ポリエステルフィルムは、ポリエステルを溶融押出した後、2軸延伸して得られる。すなわち、押出機により溶融押出したシート状物を回転する冷却ドラムの表面に密着させて引き取り、次に、該シート状物を冷却ドラムの後段に配置された延伸ロールへと導いて縦延伸し、さらに、テンターで横延伸した後、熱固定(熱セット)して得られる。
従って、フィルムの厚みの均一性を高め、かつ、キャスティング速度を高めるには、押出口金から溶融押出したシート状物が冷却回転ドラムに十分に高い付着力で密着しなければならない。そのために、静電密着キャスト法が使用される。
静電密着キャスト法とは、押出口金と冷却回転ドラムの間にワイヤー状の電極を設けて高電圧を印加し、未固化のシート状物の表面に静電気を析出させて、該シート状物を冷却回転ドラムの表面に静電付着させる方法である。静電密着キャスト法において、冷却回転ドラムへのシート状物の静電密着性を向上させるには、シート状物表面における電荷量を多くする必要があり、そのためにポリエステルを改質して、その比抵抗を小さくすることが必要となる。当該共重合ポリエステルのチップにおけるポリエステルの溶融比抵抗が0.1×10Ω・cmより小さい場合、そのようなポリエステルは帯電しやすく、又は、熱安定性が悪くなる。該溶融比抵抗が0.75×10Ω・cmより大きい場合、そのようなポリエステルは、製膜時に冷却回転ドラムへの良好な静電密着性が得られず、厚みの均一性に優れるフィルムを高速に生産することが困難となる。
エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルによるチップを、十分に低い溶融比抵抗を有し、熱安定性に優れ、かつ厚みの均一性に優れるフィルムを高速で製膜できるものとするためには、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を特定量含有させることが好ましい。
アルカリ金属化合物の金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ金属化合物としては、これら金属の水酸化物、酢酸塩、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩、アルコキサイド等が挙げられる。好ましいアルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。これらのうち、酢酸ナトリウムが最も好ましい。これらアルカリ金属化合物は単独で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、(1)アルカリ土類金属の水酸化物およびその水和物、(2)酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩等の低級脂肪族カルボン酸塩およびその水和物、(3)安息香酸塩、4−メチルフェニルカルボン酸塩、ナフチルカルボン酸塩等の芳香族カルボン酸塩およびその水和物、(4)メトキシド、エトキシド等のアルコキシド類等が挙げられる。なかでも、水酸化物およびその水和物、酢酸塩およびその水和物が好ましい。ここで、アルカリ土類金属原子としては、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物の好適な具体例としては、酢酸カルシウム、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム、酢酸マグネシウム4水和物、酢酸バリウムが挙げられる。なかでも、酢酸カルシウム1水和物、酢酸マグネシウム4水和物が特に好適である。
また、リン化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。好適な具体例としては、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニルが挙げられる。なかでも、リン酸トリメチル、リン酸が特に好適である。
エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする第1の共重合ポリエステルのチップの場合、かかるアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を、共重合ポリエステルに対し、下記式(I)〜(IV)を満足する範囲で含有させることが重要である。
0.005≦M1(モル%)≦0.029 …(I)
0.045≦M2(モル%)≦0.225 …(II)
1.67≦M2/M1(モル比)≦45 …(III)
0.50≦(M1+M2)/P(モル比)≦3.00 …(IV)
式(I)〜式(IV)において、M1はポリエステルに対するアルカリ金属化合物の含有量(モル%)、M2はポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物の含有量(モル%)、Pはポリエステルに対するリン化合物の含有量(モル%)である。
すなわち、M2/M1が式(III)を満たさない場合、ρi値が前記の規定の範囲内とならず、製膜時に冷却回転ドラムへの良好な静電密着性が得られず、厚みの均一性に優れるフィルムを高速で生産することが困難となってしまう。当該M2/M1は好ましくは5以上、20以下の範囲内にあるのがよい。
また、(M1+M2)/Pが式(IV)を満たさない場合、ρi値が前記の規定の範囲内とならず、製膜時に冷却回転ドラムへの良好な静電密着性が得られず、厚みの均一性に優れるフィルムを高速で生産することが困難となる場合や、熱安定性が低下する場合もある。当該(M1+M2)/Pは1.5以上、4.0以下の範囲内にあるのが特に好ましい。
ポリエステルに対するアルカリ金属化合物の含有量(M1)は0.005〜0.029モル%が好ましく、特に好ましくは0.010〜0.020モル%である。アルカリ金属化合物がポリエステルに対して0.005モル%未満では、ρi値が大きくなり、製膜時に冷却回転ドラムへの良好な静電密着性が得られず、厚みの均一性に優れるフィルムを高速に生産することが困難となり、0.029モル%を超えると、熱安定性が低下する。
また、ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物の含有量(M2)は0.045〜0.225モル%が好ましく、特に好ましくは0.063〜0.117モル%である。アルカリ土類金属化合物がポリエステルに対して0.045モル%未満では、ρi値が大きくなり、製膜時に冷却回転ドラムへの良好な静電密着性が得られず、厚みの均一性に優れるフィルムを高速に生産することが困難となり、0.225モル%を超えると、熱安定性が低下する。
他方、エチレンテレフタレートと、ネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする第2の共重合ポリエステルののチップの場合、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物は、ポリエステルに対し、下記式(V)〜(VIII)を満足する範囲で含有させることが、静電密着性に優れ、かつ異物を少なくする点から重要である。
0.005≦M1(モル%)≦0.050 …(V)
0.05≦M2(モル%)≦0.40 …(VI)
1.0≦M2/P(モル比)≦3.5 …(VII)
式(V)〜式(VII)において、M1、M2及びPは前記と同義である。
すなわち、ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物の含有量(M2)は0.05〜0.40モル%が好ましく、下限値は0.07モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.10モル%である。アルカリ土類金属化合物がポリエステルに対して0.05モル%未満では、ポリエステルの静電密着性の代用特性である「275℃で溶融時の比抵抗値(ρi値)」を十分に小さくすることができない。一方、その上限値は、0.30モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.20モル%である。アルカリ土類金属化合物がポリエステルに対して0.40モル%を超えると、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、共重合ポリエステル中での異物量が増加したりするなど、異物や色調の点で不十分となる。
リン化合物の含有量(P)は、アルカリ土類金属化合物の含有量に応じて決めることが好ましい。ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物の含有量(M2)とリン化合物の含有量(P)とのモル比(M2/P)は1.0〜3.5の範囲が好ましく、下限値は、1.2がさらに好ましく、特に好ましくは1.5である。前記モル比(M2/P)が1.0未満では、ρi値を十分に小さくすることができず良好な静電密着性を得ることができない。
一方、前記モル比(M2/P)の上限値は、3.0がさらに好ましく、特に好ましくは2.5である。前記モル比(M2/P)が3.5を越えると、フリーのアルカリ土類金属化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいは異物量が増加したりするなど品質が低下してしまう。
ポリエステルに対するアルカリ金属化合物の含有量(M1)は0.005〜0.050モル%が好ましく、下限値は0.008モル%であることが特に好ましく、上限値は0.035モル%であることが特に好ましい。アルカリ金属化合物がポリエステルに対して0.005モル%未満では、静電密着性の改良効果が小さく、0.050モル%を超える場合、静電密着性の改良効果が頭打ちとなり、むし濾過剰のアルカリ金属化合物に起因する異物が生成しやすくなる。
また、本願発明において、当該ポリエステルの透明性と溶剤密着性の両立を達成するために、グリコール成分として、エチレングリコールが50〜85モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール又はネオペンチルグリコールが12〜45モル%、ジエチレングリコールが1.5〜7モル%(好ましくは2.5〜5.0モル%)からなる特定の組成にすることが好ましい。
このような共重合ポリエステルのチップを得る場合、原料モノマーの一部にジエチレングリコールを使用することが必須であり、全グリコールに対してジエチレングリコールを0.5〜6.5モルの範囲内で使用するのが好ましい。原料モノマー中の全グリコールに対するジエチレングリコールの量が0.5モル%未満の場合、ジエチレングリコール成分が全グリコール成分当たり1.5モル%以上のポリエステルを製造することが困難となる。一方、原料モノマー中の全グリコールに対するジエチレングリコールの量が6.5モル%を超える場合、全グリコール成分に対するジエチレングリコール成分の量が7.0モル%を超えてしまう。
本願発明の共重合ポリエステルは、回分式反応装置(回分式重合法)または連続式反応装置(連続式重合法)を用いて製造することができる。例えば、連続式反応装置(連続式重合法)を用い、連続運転で20tonを製造した時に、固有粘度(重合度)の変動幅(最大値と最小値の差)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に制御することができる。また、ジエチレングリコール成分の量(共重合量)の変動幅(最大値と最小値の差)を0.5モル%以下、好ましくは0.3モル%以下に制御することができる。
連続式反応装置(連続式重合法)において、エステル化反応(エステル交換反応)および溶融重縮合反応は、それぞれ、1段階で行ってもよいが、複数の段階に分けて行うのが好ましい。また、エステル化反応(エステル交換反応)を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は2缶〜3缶が好ましい。また、溶融重縮合を複数の段階に分けて行う場合、反応缶数は3缶〜7缶が好ましい。また、連続式重合法におけるエステル化反応(エステル交換反応)の温度は通常240〜270℃であり、好ましくは250〜265℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2MPa以下、好ましくは0.01〜0.05MPaである。また、重縮合反応の温度は通常265〜285℃であり、好ましくは270〜280℃であり、反応缶内の圧力は通常1.5hPa以下、好ましくは0.5hPa以下である。エステル化反応(エステル交換反応)の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3.5時間である。また、重縮合反応の反応時間は3時間以下が好ましく、特に好ましくは1〜2時間である。
一方、回分式反応装置(回分式重合法)で製造する場合、得られた重合体を重合反応缶から抜き出す際、重合反応缶の缶内圧力を0.1〜300hPa、好ましくは5〜50hPaに保持しながら重合反応缶から重合体を抜き出すようにする。これにより、抜き出し過程で重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度(重合度)が変動するのを抑制でき、例えば、ポリエステル700kgを製造し、抜き出し時間を30分とした場合、固有粘度の変動幅(最大値と最小値の差)を0.050dl/g以下、好ましくは0.025dl/g以下に制御することができる。
従来からの一般的な回分式反応装置(回分式重合法)でのポリエステルの製造において、重合反応缶からの重合体の抜き出しは、窒素ガス等により重合反応缶内を加圧状態として抜き出している。しかしながら、かかる従来方法では、重合体(共重合ポリエステル)の固有粘度の変動幅(最大値と最小値の差)は0.1dl/g以上となる。
なお、かかる缶内圧力を減圧状態に保持した重合反応缶内から重合体を抜き出す方法を実施する場合、重合反応缶の抜き出し口にギアポンプ等の手段を取り付けて行うのが好ましい。ギアポンプ手段を取り付けないと、減圧状態の反応缶内から、効率良く重合体を抜き出すことが困難となる。
回分式重合法でのエステル化反応(エステル交換反応)の温度は通常220〜250℃であり、好ましくは230〜245℃である。また、反応缶内の圧力は通常0.2〜0.4MPa、好ましくは0.25〜0.30MPaである。また、重縮合反応は1段階で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。1段階で行う場合は、漸次減圧および昇温を行い、最終的な温度を260〜280℃、好ましくは265〜275℃、の範囲とし、最終的な圧力を、通常3hPa以下、好ましくは0.5hPa以下とする。エステル化反応又はエステル交換反応の反応時間は4時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜3時間である。また、重縮合反応の反応時間は5時間以下が好ましく、特に好ましくは2〜4時間である。
直接エステル化法の場合、前記重合触媒は、エステル化反応開始前、あるいは加圧エステル化反応終了後から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、アンチモン化合物又はチタン化合物を重合触媒として使用する場合には、エステル化反応前に添加することが好ましい。
本発明の非晶性ポリエステルチップにおいては、ポリエステルの重合反応過程で、本発明の目的を妨げない範囲で、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウムなどの不活性粒子、顔料、耐熱・酸化安定剤、離型剤、UV吸収剤、着色剤などを必要に応じて添加してもよい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物はエステル化反応後に添加することが好ましい。
また、エステル交換法の場合には、前記重合触媒は、エステル交換反応開始前から初期重縮合反応開始前までの任意の時点で添加することができる。但し、チタン化合物は、重合触媒としての機能だけでなくエステル交換触媒としても機能も有するので、エステル交換反応開始前に添加することが好ましい。また、他の重合触媒、熱安定剤、添加物は、エステル交換反応終了以降の段階で添加することが好ましい。エステル交換触媒は、エステル交換反応開始前に添加することが必要である。
なお、エステル交換法の場合、上記のアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物のいずれか1種以上の触媒以外にエステル交換触媒を使用する必要がある。かかるエステル交換触媒としては、マンガン化合物、亜鉛化合物等が好適であり、それらを共重合ポリエステルに対して0.01〜0.05モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.035モル%、特に好ましくは0.02〜0.03モル%である。
ここで、亜鉛化合物としては、例えば、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の有機酸塩;塩化亜鉛等の塩化物、亜鉛メトキサイド等のアルコキサイド;亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられ、これらのなかでも酢酸亜鉛が好適である。また、マンガン化合物としては、例えば、酢酸マンガン、安息香酸マンガン等の有機酸塩、塩化マンガン等の塩化物、マンガンメトキサイド等のアルコキサイド、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられ、なかでも酢酸マンガンが好適である。
本発明の非晶性ポリエステルチップは、フィルム、シート、中空成形容器、繊維、ボトル、エンジニアリングプラスチック等の素材(成形原料)として用いることができる。特に、各種物品の外周面を被覆するラベル、各種物品の包装、結束等するための資材等に使用される熱収縮フィルムの素材に好適である。本発明の非晶性ポリエステルチップは、水分率及びファイン粒子が十分に少ないという特徴を有する。そのため、該チップを用いて得られる成形品は、成形過程で分子量低下や組成変動が少なく、機械的強度及び組成の均一性に優れた高品質の成形品を得ることができる。
また、特に、共重合組成が異なる2種以上のチップを混合し、それらのチップ混合物から成形品を製造する場合や、本発明の非晶性ポリエステルチップ以外の樹脂チップ(例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステルのチップ、ポリカーボネートのチップ、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等にその他の酸成分及び/又はグリコール成分を共重合させた結晶性の共重合ポリエステルのチップ等)と混合し、それらから成形品を製造する場合において、特に、組成の均一性に優れた高品質の成形品を製造することができる。
また、本発明の非晶性ポリエステルチップは、機械的強度及び組成の均一性に優れた高品質の成形品を達成でき、また、PETに比べて高い透明度を有する。しかしながら、本発明の非晶性ポリエステルチップは、黒ずみや黄色味がかったものになりやすく、色調の点で改善すべき問題点を有している。以下に、色調改善の観点から改良して、クリアな透明性を達成した非晶性ポリエステルチップについて説明する。
エチレンテレフタレート及び1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第1の共重合ポリエステル)のチップにおいては、色調を改善し、クリアな透明性を有するものとするためには、そのカラーL値が45〜70の範囲内で、カラーb値が−3〜5の範囲内にあることが重要であり、使用する重合触媒(金属化合物)によって、特に好ましいポリエステルの態様が存在する。具体的には、下記の4つの態様(ポリエステルA〜D)がある。
なお、カラーL値及びカラーb値は、JIS Z 8722に準拠し、カラーメーターにより測定された数値であり、カラーL値とは色調において明度を示す尺度であり、数値が高いほど黒ずみが少なく、明度が高いことを意味し、カラーb値は黄色味を示す尺度であり、数値が高いほど黄色味が強く、マイナスに数値が高くなるほど青味が強くなる。
[共重合ポリエステルA]
重合触媒としてアンチモン化合物を用いて得られ、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有し、カラーL値が45〜65、カラーb値が−3〜5の共重合ポリエステルのチップである。
すなわち、重合触媒としてアンチモン化合物を用いる場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が45〜65で、かつカラーb値が−3〜5であることが必要である。カラーb値が5を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−3よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が45未満ではポリマーに黒ずみが目立ちやすくなる。一方、カラーb値が−3〜5の範囲で、カラーL値が65を超えても色調の点で問題はないが、重合触媒としてアンチモン化合物を用いる場合に、工業的規模でカラーL値が65を超えるようにすることは実用上困難である。
当該共重合ポリエステルAは、アンチモン化合物を重合触媒に使用して共重合ポリエステルを製造する過程で、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を特定量添加することにより達成される。
全ジカルボン酸成分当たりのテレフタル酸成分の量は70モル%が好ましく、85モル%以上が特に好ましく、95モル%以上がとりわけ好ましく、100モル%が最も好ましい。テレフタル酸成分以外のジカルボン成分は前記で説明したテレフタル酸成分以外のジカルボン成分と同じである。
グリコール成分は、エチレングリコール(EG)/1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とで構成されるのが好ましく、その際、EG/CHDM=20〜80/80〜20(モル%)であるのが好ましく、20〜40/60〜80(モル%)又は60〜80/20〜40(モル%)であるのがより好ましく、25〜35/65〜75(モル%)又は65〜75/25〜35(モル%)であるのがとりわけ好ましい。
EGとCHDM以外の他のグリコール成分を全グリコール成分の10モル%に満たない範囲で使用してもよい。この場合のEGとCHDM以外の他のグリコール成分としては、前記と同様である。
重合触媒に使用するアンチモン化合物は、ポリエステルに対して0.009〜0.045モル%含有させることが好ましい。アンチモン化合物の含有量が0.009モル%未満では、ポリエステル製造時の重合活性が不十分となりやすい。そのため、重合度が十分に高くなり状態(例えば、固有粘度が0.60dl/g未満)の共重合ポリエステルのチップから、フィルム、シート、エンジニアリングプラスチックなどの成形品を製造する場合、得られる成形品の機械的特性が低下する。また、共重合ポリエステルを十分に高い固有粘度(通常、0.60〜0.90dl/g)に到達させるまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する。一方、アンチモン化合物の含有量が0.045モル%を超えると、共重合ポリエステルを成形した際に、共重合ポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行うことが困難となり、成形品の品質が低下する場合がある。また、共重合ポリエステルの黒ずみが多くなり、カラーL値が低下する場合もある。
重合触媒には、アンチモン化合物とともに他の重合触媒を併用してもよく、そのような重合触媒としてはゲルマニウム化合物やチタン化合物が挙げられる。ゲルマニウム化合物の含有量は、使用するアンチモン化合物の含有量によって変動するが、0.003〜0.0075モル%の範囲が好ましい。また、チタン化合物の含有量は、使用するアンチモン化合物の含有量によって変動するが、ポリエステルに対して、0.0001〜0.002モル%の範囲が好ましい。
共重合ポリエステルの製造過程で添加するアルカリ土類金属化合物は、共重合ポリエステルに対し0.001〜0.040モル%含有させることが好ましく、その下限値は0.005モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.010モル%である。また、その上限値は0.025モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.020モル%である。アルカリ土類金属化合物の含有量が共重合ポリエステルに対して0.001モル%未満では、共重合ポリエステルのカラーL値(明度)が高くならず、共重合ポリエステルの黒ずみを十分に消すことができず、色調の点で不十分となる。一方、アルカリ土類金属化合物の含有量が0.040モル%を超えると、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり、共重合ポリエステルの黄色味が増し、色調の点で不十分となる。
また、リン化合物の含有量は、アルカリ土類金属化合物の含有量によって決められ、アルカリ土類金属化合物の含有量(M)とリン化合物の含有量(P)とのモル比(M/P)が0.2〜3.5の範囲となる量とするのが好ましい。かかるモル比(M/P)の下限値は0.75がさらに好ましく、特に好ましくは0.8であり、上限値は、1.75がさらに好ましく、特に好ましくは1.2である。かかるモル比(M/P)が0.2未満となる量では、ポリエステル中の副生成物が生成しやすくなり、共重合ポリエステルの耐熱性が悪化する傾向がある。かかる(M/P)が3.5を越える量では、フリーのアルカリ土類金属化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいはカラーL値が低くなり透明性が低下したり、するなど品質が低下してしまう。
ポリマーの色調をさらに改善するために、コバルト化合物を含有させてもよく、コバルト化合物の含有量は、共重合ポリエステルに対して0〜0.02モル%が好ましい。
当該共重合ポリエステルAにおいて、アルカリ土類金属とリン化合物は、共重合ポリエステルの製造時におけるエステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができる。中でも、エステル化工程が終了し、オリゴマーの未満カルボキシル基濃度(AVo)が0〜700eq/tonの時点で添加することが好ましく、さらに好ましくは0〜500eq/tonの時点であり、特に好ましくは0〜350eq/tonの時点である。特に、オリゴマーの末端カルボキシル基濃度(AVo)が700eq/tonを越えた時点でアルカリ土類金属化合物を反応系内に添加すると、アルカリ土類金属化合物とテレフタル酸との反応物が析出し、共重合ポリエステルの透明性が損なわれやすくなる。
重合触媒であるアンチモン化合物は、エステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、エステル化反応後に添加することが好ましい。チタン触媒はエステル化反応前に添加することが好ましい。
[共重合ポリエステルB]
触媒としてゲルマニウム化合物を用いて得られ、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有し、かつカラーL値が60〜70、カラーb値が−3〜5の共重合ポリエステルのチップである。
すなわち、重合触媒としてゲルマニウム化合物を用いる場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が60〜70で、かつカラーb値が−3〜5であることが必要である。カラーb値が5を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−3よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が60未満では極めて高度のクリアな透明性が要求される用途(例えば、歯ブラシのハンドル等)に使用できなくなる。一方、カラーb値が−3〜5の範囲で、カラーL値が70を超えても色調の点で問題はないが、重合触媒としてゲルマニウム化合物を用いる場合に、工業的規模でカラーL値が70を超えるようにすることは実用上困難である。
当該共重合ポリエステルBは、ゲルマニウム化合物を重合触媒に使用して共重合ポリエステルを製造する過程で、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を特定量添加することにより達成される。
グリコール成分の好ましい組成は前記共重合ポリエステルAと同じである。
EGとCHDM以外の他のグリコール成分を全グリコール成分の10モル%に満たない範囲で使用してもよい。この場合のEGとCHDM以外の他のグリコール成分は、前記と同様である。
重合触媒に使用するゲルマニウム化合物は、共重合ポリエステルに対して0.0075〜0.045モル%含有させることが好ましい。アンチモン化合物の含有量が0.0075モル%未満では、ポリエステル製造時の重合活性が不十分となりやすい。そのため、重合度が十分に高くない状態(例えば、固有粘度が0.60dl/g未満)の共重合ポリエステルから、フィルム、シート、エンジニアリングプラスチックなどの成形品を製造する場合、得られる成形品の機械的特性が低下する。また、共重合ポリエステルを十分に高い固有粘度(通常、0.60〜0.90dl/g)に到達させるまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する。一方、ゲルマニウム化合物の含有量が0.045モル%を超えると、共重合ポリエステルを成形した際に、共重合ポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行うことが困難となり、成形品の品質が低下する場合がある。また、共重合ポリエステルの黄色味が多くなり、カラーb値が高くなる。
重合触媒には、ゲルマニウム化合物とともに他の重合触媒を併用してもよく、そのような重合触媒としてはアンチモン化合物やチタン化合物が挙げられる。アンチモン化合物の含有量は、使用するゲルマニウム化合物の含有量によって変動するが、0.0045〜0.0090モル%の範囲が好ましい。また、チタン化合物の含有量は、使用するアンチモン化合物の含有量によって変動するが、共重合ポリエステルに対して、0.0001〜0.002モル%の範囲が好ましい。
当該共重合ポリエステルの製造過程で添加するアルカリ土類金属化合物の好ましい使用量は、前記共重合ポリエステルAのそれと同じ理由から、同じ量である。
一方、リン化合物の含有量は、アルカリ土類金属化合物及びゲルマニウム化合物の含有量の和によって決められ、アルカリ土類金属化合物(M)及びゲルマニウム化合物(Ge)の含有量の和とリン化合物(P)の含有量とのモル比((M+Ge)/P)が0.2〜3.5の範囲となる量とするのが好ましい。かかるモル比((M+Ge)/P)の下限値は0.75がさらに好ましく、特に好ましくは0.8であり、上限値は、1.75がさらに好ましく、特に好ましくは1.2である。かかるモル比((M+Ge)/P)が0.2未満となる量では、ポリエステル中の副生成物が生成しやすくなり、共重合ポリエステルの耐熱性が悪化する傾向がある。かかる((M+Ge)/P)が3.5を越える量では、フリーのアルカリ土類金属化合物やゲルマニウム化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいはカラーL値が低くなり透明性が低下したり、するなど品質が低下してしまう。
ポリマーの色調をさらに改善するために、コバルト化合物を含有させてもよく、コバルト化合物の含有量は、前記共重合ポリエステルAのそれと同じである。
当該共重合ポリエステルにおいて、アルカリ土類金属とリン化合物は、共重合ポリエステルの製造時におけるエステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができる。中でも、前記共重合ポリエステルAと同様に、エステル化工程終了後で、オリゴマーが特定の末端カルボキシル基濃度(AVo)の範囲の時点で添加するのが好ましく、かかる添加時期を特定するオリゴマーの末端カルボキシル基濃度(AVo)も前記共重合ポリエステルAにおけるそれと同様である。
重合触媒であるゲルマニウム化合物は、エステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、エステル化反応前に添加するのが好ましく、ゲルマニウム化合物とゲルマニウム化合物以外の他の触媒を併用する場合も、それらは全てエステル化反応前に添加することが好ましい。
[共重合ポリエステルC]
触媒としてチタン化合物を用いて得られ、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、及びコバルト化合物を含有し、かつカラーL値が50〜65、カラーb値が−3〜5の共重合ポリエステルのチップである。なお、コバルト化合物の代わりに有機トナーを用いることもできる。
すなわち、重合触媒としてチタン化合物を用いる場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が50〜65で、かつカラーb値が−3〜5であることが必要である。カラーb値が5を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−3よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が50未満ではポリマーに黒ずみが目立ちやすくなり、クリアな透明性が得られにくくなる。一方、カラーb値が−3〜5の範囲で、カラーL値が65を超えても色調の点で問題はないが、重合触媒としてチタン化合物を用いる場合に、工業的規模でカラーL値が65を超えるようにすることは実用上困難である。
当該共重合ポリエステルCは、チタン化合物を重合触媒に使用して共重合ポリエステルを製造する過程で、アルカリ土類金属化合物、リン化合物及びコバルト化合物(若しくは有機トナー)を特定量添加することにより達成される。
グリコール成分の好ましい組成は、前記共重合ポリエステルAと同じである。
EGとCHDM以外の他のグリコール成分を全グリコール成分の10モル%に満たない範囲で使用してもよい。この場合のEGとCHDM以外の他のグリコール成分は、前記と同様である。
重合触媒に使用するチタン化合物は、共重合ポリエステルに対して0.002〜0.015モル%含有させることが好ましい。チタン化合物の含有量が0.002モル%未満では、共重合ポリエステル製造時の重合活性が不十分となりやすい。そのため、重合度が十分に高くない状態(例えば、固有粘度が0.60dl/g未満)の共重合ポリエステルから、フィルム、シート、エンジニアリングプラスチックなどの成形品を製造する場合、得られる成形品の機械的特性が低下する。また、共重合ポリエステルを十分に高い固有粘度(通常、0.60〜0.90dl/g)に到達させるまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する。一方、チタン化合物の含有量が0.015モル%を超えると、共重合ポリエステルを成形した際に、共重合ポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行うことが困難となり、成形品の品質が低下する場合がある。また、共重合ポリエステルの黄色味が多くなり、カラーb値が高くなる。
重合触媒には、チタン化合物とともに他の重合触媒を併用してもよく、そのような重合触媒としては、アンチモン化合物やゲルマニウム化合物が挙げられる。アンチモン化合物の含有量は、使用するチタン化合物の含有量によって変動するが、0.0035〜0.0090モル%の範囲が好ましい。また、ゲルマニウム化合物の含有量は、使用するチタン化合物の含有量によって変動するが、共重合ポリエステルに対して、0.0003〜0.0075モル%の範囲が好ましい。
当該共重合ポリエステルの製造過程で添加するアルカリ土類金属化合物の好ましい使用量は、前記共重合ポリエステルAのそれと同じ理由から、同じ量である。また、リン化合物の含有量も前記共重合ポリエステルAのそれと同じ理由から、同じ量である。
ポリマーの色調をさらに改善するために、コバルト化合物若しくは有機トナーを含有させることが重要であり、コバルト化合物の含有量は、共重合ポリエステルに対して0.005〜0.025モル%が好ましく、0.005〜0.020モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.005〜0.015モル%である。コバルト化合物の含有量が0.005モル%未満では、得られた共重合ポリエステルのカラーb値が高く、ポリマーの黄色味を十分に消すことができない。一方、コバルト化合物の含有量が0.015モル%を超えると、得られた共重合ポリエステルにコバルト化合物に由来する黒ずみが発生し、カラーL値が低下してしまう。また有機トナーとしては、アントラキノン系、キナクリドン系、ジケトピロロクロール系、ペリノン系、縮合アゾ系等が挙げられる。なかでも、アントラキノン系のトナーが好ましい。前記有機トナーは、生成する共重合ポリエステルに対して、0.01〜5ppm含有させることが好ましい。
当該共重合ポリエステルにおいて、アルカリ土類金属、リン化合物、コバルト化合物(若しくは有機トナー)は、共重合ポリエステルの製造時におけるエステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、前記共重合ポリエステルAにおけるアルカリ土類金属及びリン化合物の添加時期と同様に、エステル化工程終了後で、オリゴマーが特定の末端カルボキシル基濃度(AVo)の範囲の時点で添加するのが好ましい。かかる添加時期を特定するオリゴマーの末端カルボキシル基濃度(AVo)も前記共重合ポリエステルAにおけるそれと同様である。
重合触媒であるチタン化合物は、エステル化反応前に添加するのが好ましく、他の触媒や添加剤は、エステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、それらは全てエステル化反応後に添加するのが好ましい。
[共重合ポリエステルD]
触媒としてアンチモン化合物を用いて得た共重合ポリエステルであって、亜鉛化合物及び/又はマンガン化合物と、リン化合物とを含有し、かつカラーL値が45〜65、カラーb値が−3〜5の共重合ポリエステルのチップである。
すなわち、重合触媒としてアンチモン化合物を用いる場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が45〜65で、かつカラーb値が−3〜5であることが必要である。カラーb値が5を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−3よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が45未満ではポリマーに黒ずみが目立ちやすくなり、クリアな透明性が得られにくくなる。一方、カラーb値が−3〜5の範囲で、カラーL値が65を超えても色調の点で問題はないが、重合触媒としてチタン化合物を用いる場合に、工業的規模でカラーL値が65を超えるようにすることは実用上困難である。
当該共重合ポリエステルDは、アンチモン化合物を重合触媒に使用して共重合ポリエステルを製造する過程で、亜鉛化合物及び/又はマンガン化合物と、リン化合物とを特定量添加することにより達成される。
グリコール成分の好ましい組成は、前記共重合ポリエステルAと同じである。
EGとCHDM以外の他のグリコール成分を全グリコール成分の10モル%に満たない範囲で使用してもよい。この場合のEGとCHDM以外の他のグリコール成分は、前記と同様である。
重合触媒に使用するアンチモン化合物の含有量は前記共重合ポリエステルAにおけるそれと同様の理由から同じ量とするのが好ましい。
当該共重合ポリエステルの製造過程で添加する、亜鉛化合物とマンガン化合物は、いずれか一方又は両方が使用されるが、共重合ポリエステルに対する総含有量(M)は、共重合ポリエステルに対し0.001〜0.040モル%であることが好ましく、総含有量(M)の下限値は、0.005モル%がさらに好ましく、0.010モル%が特に好ましい。また、総含有量(M)の上限値は0.025モル%がさらに好ましく、0.020モル%が特に好ましい。ここで、総含有量(M)とは、亜鉛化合物のみを使用する場合は、亜鉛化合物の含有量であり、マンガン化合物のみを使用する場合は、マンガン化合物の含有量であり、亜鉛化合物とマンガン化合物の両方を使用する場合は、亜鉛化合物の含有量とマンガン化合物の含有量の総和である。
総含有量(M)が共重合ポリエステルに対して0.001モル%未満では、共重合ポリエステルのカラーL値(明度)が高くならず、該共重合ポリエステルの黒ずみを十分に消すことができず、色調の点で不十分となる。一方、総含有量(M)が0.040モル%を超えると、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり、該共重合ポリエステルの黄色味が増し、色調の点で不十分となる。
また、リン化合物の含有量は、亜鉛化合物とマンガン化合物の総含有量(M)によって決められ、当該総含有量(M)とリン化合物(P)の含有量とのモル比(M/P)が0.2〜3.5の範囲となる量とするのが好ましい。かかるモル比(M/P)の下限値は0.75がさらに好ましく、特に好ましくは0.8であり、上限値は、1.75がさらに好ましく、特に好ましくは1.2である。かかるモル比(M/P)が0.2未満となる量では、ポリエステル中の副生成物が生成しやすくなり、共重合ポリエステルの耐熱性が悪化する傾向がある。かかる((M+Ge)/P)が3.5を越える量では、フリーの亜鉛化合物及び/又はマンガン化合物が増えることにより、共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいはカラーL値が低くなり透明性が低下したり、するなど品質が低下してしまう。
ポリマーの色調をさらに改善するために、コバルト化合物を含有させることが重要であり、コバルト化合物の含有量は、共重合ポリエステルに対して0.005〜0.025モル%が好ましく、0.005〜0.020モル%がさらに好ましく、特に好ましくは0.005〜0.015モル%である。コバルト化合物の含有量が0.005モル%未満では、色調改善効果が得られ難く、一方コバルト化合物の含有量が0.025モル%を超えると、得られた共重合ポリエステルにコバルト化合物に由来する黒ずみが発生し、好ましくない。
ポリマーの色調をさらに改善するために、アルカリ土類金属化合物を含有させてもよい。アルカリ土類金属化合物としては、先述したアルカリ土類金属化合物において例示したものと同じものが使用される。アルカリ土類金属化合物は、共重合ポリエステルに対し0.001〜0.040モル%含有させることが好ましい。
当該共重合ポリエステルにおいて、亜鉛化合物及び/又はマンガン化合物と、リン化合物とは、共重合ポリエステルの製造時におけるエステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、エステル化反応前に添加するのが好ましく、リン化合物においてはエステル化反応後に添加するのが好ましい。
重合触媒であるチタン化合物は、エステル化反応前に添加するのが好ましく、他の触媒や添加剤は、エステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、それらは全てエステル化反応後に添加するのが好ましい。
以上の共重合ポリエステルA〜Dは、エチレンテレフタレート及び1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第1の共重合ポリエステル)のチップの色調改善を図ったものであるが、エチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第2の共重合ポリエステル)のチップにおいては、そのカラーL値が50〜60の範囲内で、カラーb値が−5.0〜5.0の範囲内にあることが重要であり、使用する重合触媒(金属化合物)によって好ましいポリエステルの態様が存在する。具体的には、下記の2つの態様(ポリエステルE、F)が挙げられる。
[共重合ポリエステルE]
触媒としてチタン化合物及びゲルマニウム化合物を用いて得た共重合ポリエステルであって、コバルト化合物及びリン化合物を含有し、カラーL値が50〜60、カラーb値が−5.0〜5.0の共重合ポリエステルのチップである。
すなわち、重合触媒としてチタン化合物及びゲルマニウム化合物を用いて主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートからなる共重合ポリエステルを製造する場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が50〜60で、かつカラーb値が−5.0〜5.0であることが必要である。すなわち、カラーb値が5.0を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−5.0よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が50未満ではポリマーに黒ずみが目立ちやすくなり、クリアな透明性が得られにくくなる。一方、カラーb値が−5.0〜5.0の範囲で、カラーL値が60を超えても色調の点で問題はない。しかし、工業的規模でカラーL値が60を超えるようにすることは技術的難度が高いわりに、成形品とした際の色調改善の程度が小さくなる。
当該共重合ポリエステルEは、少なくともテレフタル酸、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを原料モノマーとし、チタン化合物及びゲルマニウム化合物を重合触媒に使用して、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートからなる共重合ポリエステルを製造する過程で、コバルト化合物及びリン化合物を特定量添加することにより達成される。
全ジカルボン酸成分当たりのテレフタル酸成分の量は70モル%以上が好ましく、85モル%以上が特に好ましく、95モル%以上がとりわけ好ましく、100モル%が最も好ましい。テレフタル酸成分以外のジカルボン成分は前記で説明したテレフタル酸成分以外のジカルボン成分と同じである。
グリコール成分は、エチレングリコール(EG)/ネオペンチルグリコール(NPG)とで構成されるのが好ましく、その際、EG/NPG=60〜99/1〜40(モル%)であるのが好ましく、EG/NPG=65〜95/5〜35(モル%)であるのがより好ましく、EG/NPG=65〜85/15〜35(モル%)であるのがとりわけ好ましい。全グリコール成分におけるNPGの組成比が1モル%未満では、ポリエステルの結晶化度が大きくなり、透明性が悪化しやすくなり、NPGの組成比が40モル%を超えると、重合度が上がりにくくなり、所定の固有粘度に到達するまでに著しく時間を要する。そのため、その間の熱履歴により色調が悪化しやすくなる。また、NPGの組成比が高すぎると、所定の固有粘度に到達しない場合もある。
ポリエステルに他の機能を付与ないし特性を改良するためにEGとNPG以外の他のグリコール成分を共重合してもよく、その場合、全グリコール成分の10モル%に満たない範囲であり(この場合のEGとCHDMの量比は上記と同じである。)、他のグリコール成分としては、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族グリコール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール類;p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族グリコール類等が挙げられる。これらの中でも、1,4−シクロヘキサングリコールが好適である。また、これらのグリコール成分は、いずれかを単独で使用しても2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
重合触媒に使用するチタン化合物及びゲルマニウム化合物としては、それぞれ先述したチタン化合物及びゲルマニウム化合物において例示したものと同じものが使用される。チタン化合物及びゲルマニウム化合物は、共重合ポリエステルに対して、下記式(VIII)を満足することが、重合活性と熱安定性の点から好ましい。下記式(VIII)の下限値は、重合活性の点から60であることがさらに好ましく、特に好ましくは65である。一方、下記式(VIII)の上限値は、熱安定性の点から90であることがさらに好ましく、特に好ましくは80である。
50≦(Ti/0.06+Ge/3.33)≦100 …(VIII)
上式(VIII)で、Tiはチタン原子、Geはゲルマニウム原子の共重合ポリエステルに対する含有量(ppm)を示す。
上記式(VIII)における(Ti/0.06+Ge/3.33)の値が50未満では、共重合ポリエステル製造時の重合活性が不十分となりやすい。そのため、重合度が十分に高くない状態(例えば、固有粘度が0.60dl/g未満)の共重合ポリエステルから、フィルム、シート、エンジニアリングプラスチックなどの成形品を製造する場合、得られる成形品の機械的特性が低下する場合がある。あるいは、共重合ポリエステルの固有粘度を特定の範囲(例えば、固有粘度が0.60〜0.90dl/g)に到達させるまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する場合がある。
一方、上記式(VIII)における(Ti/0.06+Ge/3.33)の値が100を超えると、共重合ポリエステルを成形した際に、共重合ポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行うことが困難となり、成形品の品質が低下する場合がある。
当該共重合ポリエステルは、ポリエステルの色調改善のためにコバルト化合物及びリン化合物を特定量含有することが重要である。
コバルト化合物は、先述したコバルト化合物において例示したものと同じものが使用され、その含有量はチタン化合物の含有量に応じて設定される。すなわち、コバルト化合物の含有量はコバルト原子に対するチタン原子の含有量の比(Ti/Co)が0.05〜0.2となる量であり、下限値は0.07であるのが好ましく、0.08であるのがより好ましい。また、上限値は0.15であるのが好ましく、0.12であるのがより好ましい。Ti/Coが0.05未満では、共重合ポリエステルのカラーL値が低くなり、樹脂や成形品が黒ずむ場合、あるいはカラーb値が低くなり、青味が強くなりすぎる場合がある。一方、Ti/Coが0.20を越えると、共重合ポリエステルのカラーb値が著しく高くなり、黄色味が強くなる傾向がある。
リン化合物は、先述したリン化合物において例示したものと同じものが使用され、その含有量はコバルト化合物及びゲルマニウム化合物の含有量に応じて設定される。すなわち、共重合ポリエステルに対するコバルト原子の含有量(Co)とゲルマニウム原子の含有量(Ge)の合計量と、リン原子の含有量(P)との比(Co+Ge)/Pが1.0〜3.5範囲とするのが好ましい。
前記(Co+Ge)/Pの下限値は、1.2がさらに好ましく、特に好ましくは1.5である。前記(Co+Ge)/Pが1.0未満では、共重合ポリエステルの重合活性を十分に上げることができない。すなわち、共重合ポリエステルの固有粘度を特定の範囲(例えば、固有粘度が0.60〜0.90dl/g)まで高くすることができない、あるいは所定の固有粘度に到達するまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する場合がある。
一方、前記(Co+Ge)/Pの上限値は、3.0がさらに好ましく、特に好ましくは2.5である。前記(Co+Ge)/Pが3.5を越えると、ポリエステル中の副生成物が生成しやすくなり、共重合ポリエステルの耐熱性が悪化する傾向がある。また共重合ポリエステルのカラーb値が高くなり黄色味が増したり、耐熱性が悪化したり、あるいはカラーL値が低くなり透明性が低下したり、など品質が低下してしまう場合がある。
当該共重合ポリエステルにおいて、チタン化合物、ゲルマニウム化合物及びコバルト化合物は、共重合ポリエステルの製造時におけるエステル化工程、初期重合工程、後期重合工程のいずれにおいても添加することができるが、チタン化合物はエステル化反応工程前に添加することが好ましい。
また、リン化合物はエステル化反応工程後に添加することが好ましい。これは、リン化合物をエステル化反応工程前に添加すると、共重合ポリエステル製造時に副生成物が増加しやすくなるためである。
当該共重合ポリエステルは、固有粘度が0.60〜1.0dl/gであることが好ましく、固有粘度の下限値は0.65dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.70dl/gである。また、固有粘度の上限値は0.85dl/gであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.80dl/gである。
固有粘度が0.60dl/g未満では、成形品の機械的特性が低下する傾向となり、固有粘度が1.0dl/gを越えると、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなる傾向があるため、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
また、当該共重合ポリエステルを段付成形板に成形した際、厚さ5mmにおけるヘイズ値は5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズ値が5%を越えると、成形品の透明性が悪化し、透明性の要求が厳しい用途では使用できない場合がある。
[共重合ポリエステルF]
当該共重合ポリエステルは、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主たる酸成分とし、グリコール成分としてエチレングリコール、ネオペンチルグリコールを主成分とする、触媒としてアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物を用いて得た共重合ポリエステルであって、リン化合物を含有し、固有粘度が0.60〜1.0dl/g、カラーL値が50〜60、カラーb値が−5.0〜5.0の共重合ポリエステルのチップである。
すなわち、重合触媒としてアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物を用いて主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートからなる共重合ポリエステルを製造する場合、共重合ポリエステルのクリアな透明性を達成するには、共重合ポリエステルの色調はカラーL値が50〜60で、かつカラーb値が−5.0〜5.0であることが必要である。すなわち、カラーb値が5.0を超えると、ポリマーの黄色味が強くなり、カラーb値が−5.0よりも負の方に数値が大きくなると、青味が目立つようになる。また、カラーL値が50未満ではポリマーに黒ずみが目立ちやすくなり、クリアな透明性が得られにくくなる。一方、カラーb値が−5.0〜5.0の範囲で、カラーL値が60を超えても色調の点で問題はない。しかし、工業的規模でカラーL値が60を超えるようにすることは技術的難度が高いわりに、成形品とした際の色調改善の程度が小さくなる。
当該共重合ポリエステルFは、少なくともテレフタル酸、エチレングリコール及びネオペンチルグリコールを原料モノマーとし、アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物を重合触媒に使用して、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートからなる共重合ポリエステルを製造する過程で、リン化合物を特定量添加することにより達成される。
ジカルボン酸成分及びグリコール成分の好ましい組成は、前記共重合ポリエステルEと同じである。
EGとNPG以外の他のグリコール成分を全グリコール成分の10モル%に満たない範囲で使用してもよく、この場合の他のグリコール成分は、共重合ポリエステルEのそれと同じである。
重合触媒に使用するアンチモン化合物及びゲルマニウム化合物としては、先述したアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物において例示したものと同じものが使用される。アンチモン化合物及びゲルマニウム化合物は、共重合ポリエステルに対して、下記式(VIV)を満足することが、重合活性と熱安定性の点から好ましい。下記式(VIV)の下限値は、重合活性の点から40であることがさらに好ましく、特に好ましくは45である。一方、下記式(VIV)の上限値は、熱安定性の点から90であることがさらに好ましく、特に好ましくは80である。
30≦(Sb/3.90+Ge/1.67)≦100 …(VIV)
上式(VIV)で、Sbはアンチモン原子、Geはゲルマニウム原子の共重合ポリエステルに対する含有量(ppm)を示す。
なお、前記(VIV)式は、Sb触媒とGe触媒の併用系における、熱安定性と重合活性の実験データから誘導したものであり、前記(VIV)式におけるSb触媒の含有量の係数(3.90の逆数)とGe触媒の含有量の係数(1.67の逆数)は、Sb触媒とGe触媒の重合活性の差異に由来する。すなわち、Ge触媒の方がSb触媒よりも重合活性が高く、触媒含有量の影響が大きいことを意味する。
上記式(VIV)における(Sb/3.90+Ge/1.67)の値が30未満では、共重合ポリエステル製造時の重合活性が不十分となりやすい。そのため、重合度が十分に高くない状態(例えば、固有粘度が0.60dl/g未満)の共重合ポリエステルから、フィルム、シート、エンジニアリングプラスチックなどの成形品を製造する場合、得られる成形品の機械的特性が低下する場合がある。あるいは、共重合ポリエステルの固有粘度を特定の範囲(例えば、固有粘度が0.60〜0.90dl/g)に到達させるまでの重合時間が長くなり、生産性が著しく低下する場合がある。
一方、上記式(VIV)における(Sb/3.90+Ge/1.67)の値が100を超えると、共重合ポリエステルを成形した際に、共重合ポリエステルの熱分解が激しくなり、安定した成形を行うことが困難となり、成形品の品質が低下してしまう。
当該共重合ポリエステルは、ポリエステルの色調改善のためにリン化合物を特定量含有することが重要であり、共重合ポリエステルの色調改善の点から、リン化合物は次のように作用しているのと推察される。
リンを中心元素とする酸素酸は、リン原子のまわりにOH及びHが合計4個配位した四面体形の構造を有する。オルトリン酸が縮合すると、ポリリン酸、メタリン酸などの縮合リン酸を生じる。これらの縮合リン酸は金属イオンに配位しやすい性質を有している。したがって、ポリエステルの重合反応系内で、リン化合物とフリーの金属イオン(本願発明では、ゲルマニウム、アンチモン、コバルトなどのイオン)が存在すると、リン化合物は金属イオンと優先的に反応する。
ゲルマニウム化合物をリン化合物と特定のモル比(質量比)で反応させることにより、ゲルマニウム化合物は安定化し、触媒活性を維持しながらカラーb値を小さくすることが可能となる。この際、リン化合物が過剰に存在すると、それがアンチモン化合物と反応し、例えば、リン化合物がリン酸塩の場合にはリン酸アンチモンを形成する。その結果、アンチモン元素が還元されカラーL値が低下する。
また、コバルト化合物だけではポリエステルに青味をつけることはできないが、リン化合物を併用することにより、ポリエステルに青味を付けることができ、カラーb値を小さくすることが可能となる。この際に、リン化合物が過剰に存在すると、ポリエステル自身の耐熱性が悪化するためカラーb値が上昇する。一方、リン化合物が少量であると、コバルト化合物と反応しないため、ポリエステルに青味を付けることができなくなる。また、フリーのゲルマニウム化合物が増加するため、カラーb値が上昇する。
具体的には、リン化合物のリン金属としての含有量は、ゲルマニウムのゲルマニウム金属としての含有量に対して下記(X)式の範囲で含有することが、共重合ポリエステルの色調や熱安定性を改善する上で好ましい。下記式(X)の下限値は、0.5であることが生産性の面からさに好ましく、特に好ましくは0.8である。
0.2≦Ge/P≦2.0・・・(X)
上式で、Geはゲルマニウム原子、Pはリン原子の共重合ポリエステルに対する含有量(ppm)を示す。
一方、上記式(X)における上限値は、1.5であることが色調の面からさらに好ましく、特に好ましくは1.2である。
上記式(X)のリン金属とゲルマニウム金属の比が、0.2未満ではフリーのリン化合物がアンチモン化合物と反応し、アンチモン金属の還元が強まるため共重合ポリエステルのカラーL値が50未満となったり、共重合ポリエステルを段付成形板にした際の5mmヘイズ値が5%を越えたりし、商品価値の低下を招いてしまう。
一方、上記式(X)のリン金属とゲルマニウム金属の比が2.0を越えると、共重合ポリエステルの黄色味が強まるため、カラーb値が5以上となり商品価値が低下する。
当該共重合ポリエステルにおいては、そのカラーb値をより小さくするために、コバルト化合物を添加することが好ましく、コバルト化合物はコバルト金属として共重合ポリエステルに対して、1〜30ppm含有させることが好ましく、さらに好ましくは1〜20ppm、特に好ましくは1〜15ppmの範囲である。コバルト化合物としては、先述したコバルト化合物の具体例として挙げたものと同じものが使用される。
コバルト金属の含有量が30ppmを越えるとコバルト金属の還元により共重合ポリエステルが黒ずんだり、青味が強くなったりし、カラーL値が50未満となったり、カラーb値が−5未満となったりし、商品価値が低下する。
当該共重合ポリエステルを直接エステル化法により製造する場合、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、コバルト化合物は、エステル化反応開始前、あるいはエステル化反応終了時から初期重合反応開始前の任意の時点で系内に添加することができるが、アンチモン化合物はエステル化反応開始前に添加することが好ましい。
また、リン化合物はエステル化反応終了時から初期重縮合反応開始前の任意の時点で系内に添加することが好ましい。これは、リン化合物をエステル化反応開始前に系内に添加すると、共重合ポリエステル製造時に副生成物が増加しやすくなるためである。
当該共重合ポリエステルは、好ましい固有粘度は、前記共重合ポリエステルEのそれと同じであり、その理由も同じである。
当該共重合ポリエステルを段付成形板に成形した際、厚さ5mmにおけるヘイズ値は5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ヘイズ値が5%を越えると、成形品の透明性が悪化し、透明性の要求が厳しい用途では使用できない場合がある。
ところで、本発明の非晶性ポリエステルチップは、PET等に比べて生産性が低いという問題がある。本発明者等は、本発明の非晶性ポリエステルチップを達成するための研究の中で、高重合度のポリマーを生産性良く製造できる製造方法(重合方法)を見出したので、以下、この製造方法について説明する。
エチレンテレフタレート及び1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第1の共重合ポリエステル)のチップにおいては、以下の製造方法(製法A)により、重合速度を向上でき、所望の高重合度のポリエステルを生産性良く製造することができる。
[製法A]
すなわち、本方法は、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、主たるグリコール成分としてエチレングリコール20〜80モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール80〜20モル%を含む原料をエステル化反応させ、次いで重縮合反応を行う際に、エステル化反応後のオリゴマーを特定の末端カルボキシル基濃度(AVo)及び特定の末端ヒドロキシル基濃度(OHVo)を有するように調製すれば、その後の重合(重縮合)速度が早く、短時間で高重合度のポリマーが生成することを見出したものであり、具体的には、エステル化反応後のオリゴマーが下記式(XI)〜(XIII)を満足するものとなるように、調製するものである。
200≦AVo≦600 …(XI)
600≦OHVo≦1800 …(XII)
1.65≦OH%≦0.90 …(XIII)
式(XI)で、AVo(eq/ton)はオリゴマー1ton中における末端カルボキシル基の当量数を示す。また、式(XII)で、OHVo(eq/ton)はオリゴマー1ton中における末端ヒドロキシル基の当量数を示す。また、式(XIII)で、OH%はOHVo/(OHVo+AVo)で定義される特性値である。
すなわち、エステル化反応後のオリゴマーのAVoは、200〜600eq/tonの範囲が好ましい。また、AVoの下限値は300eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは350eq/tonである。一方、AVoの上限値は500eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは450eq/tonである。
また、エステル化反応後のオリゴマーのOHVoは、600〜1800eq/tonであることが好ましい。また、OHVoの下限値は800eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは1000eq/tonである。一方、OHVoの上限値は1500eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは1200eq/tonである。
さらに、エステル化反応後のオリゴマーのOH%は、0.65〜0.90の範囲が好ましい。また、OH%の下限値は0.70が特に好ましい。一方、OH%の上限値は0.85がさらに好ましく、特に好ましくは、0.80である。
エステル化反応後のオリゴマーのAVoが200eq/ton未満であったり、OHVoが1800eq/tonを超えたり、あるいはOH%が0.90を超える場合には、十分な重合速度が得られず、生産性が著しく低下する。一方、エステル化反応後のオリゴマーのAVoが600eq/tonを越えたり、OHVが600eq/ton未満であったり、またはOH%が0.65未満である場合には、ポリマーを十分に高重合度化することができない場合(例えば、固有粘度が0.60dl/g以上に到達しなくなる)、あるいは重合速度が遅く、生産性が著しく低下する場合がある。
なお、当該製造方法における「エステル化反応後」とは、真空下において重縮合反応する前の状態であり、通常加圧下もしくは、常圧化におけるエステル化反応が終了した時点を指す。
エステル化反応後のオリゴマー特性を前記の特定範囲に制御するためには、原料の全グリコール成分(G)と全ジカルボン酸成分(A)との仕込み時のモル比(G/A)及びエステル化反応条件の適正化が重要である。
エステル化反応時における、G/Aは1.3〜3.0が好ましく、さらに好ましくは1.5〜2.5、特に好ましくは1.75〜2.25の範囲である。すなわち、全ジカルボン酸成分量(A)に対し、全グリコール成分量(G)が多い状態にする。このような状態にするためには、原料仕込み時に前記G/Aを1.3〜3.0に調製しても良いし、エステル化反応中の任意の段階でグリコール成分をさらに追加して調製しても構わない。
原料仕込み時のG/Aが1.3未満であると、エステル化反応が十分に進行せず、ひいては重合度が所定の粘度まで到達しなくなる傾向があり、3.0より大きくなると、過剰のグリコールを、除去するのに運転効率や熱効率が悪くなる傾向、あるいは末端のバランスが悪くなり所定の粘度まで到達しなくなる傾向があり、好ましくない。
また、エステル化反応では、温度、圧力、平均滞留時間(反応缶数も影響する)が特に重要である。エステル化反応時の温度は、240〜270℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは245〜265℃、特に好ましくは255〜265℃の範囲である。反応温度が240℃未満の場合、エステル化反応が十分に進行せず、ひいては重合度が所定の粘度まで到達しなくなる傾向があり、一方、270℃を超える場合は、エステル化反応する前にグリコールが揮発するためエステル化反応が十分に進行しなくなる傾向があり、好ましくない。
エステル化反応時の缶内の圧力は、大気圧から0.1MPaの範囲が好ましく、さらに好ましくは大気圧から0.05MPaの範囲、特に好ましくは大気圧から0.02MPaの範囲である。エステル化反応時の缶内の圧力が大気圧未満の場合、エステル化反応する前にグリコールが揮発するためエステル化反応が十分に進行しなくなる傾向があり、エステル化反応時の缶内の圧力が0.1MPaを超える場合、エステル化反応で生成する留出水が系外に留出しにくくなり、エステル化反応が不十分になる傾向があり、好ましくない。
また、エステル化反応における平均滞留時間は、2〜5時間が好ましく、特に好ましくは、3〜4時間である。また、エステル化の反応缶数は、1〜5缶が好ましく、特に好ましくは2〜4缶である。
以上の原料の全グリコール成分(G)と全ジカルボン酸成分(A)との仕込み時のモル比(G/A)と、エステル化反応条件とを適切に調製することにより、末端カルボキシル基濃度、末端ヒドロキシル基濃度、及びそれらの関係式からなるOH%とを特定の範囲に制御したオリゴマーを得ることができる。
この後、重縮合反応工程に移行する。重縮合反応工程は、缶内の圧力を減圧下で比較的高くする初期重縮合反応工程と、缶内の圧力を減圧下で比較的低くする後期重縮合反応工程との2段階で実施するが好ましい。すなわち、このように重縮合反応を2段階で実施し、缶内圧力を徐々に低くすることにより、急激な重縮合反応を進めずマイルドに反応させることができる。その結果、突沸によるオリゴマーの缶壁への付着、さらには留出缶の詰まりなどを防止することができ、工程を安定化させることができる。
初期重縮合反応の条件は、温度が260〜285℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは265〜280℃、特に好ましくは265〜270℃である。圧力は1000〜13000Paの範囲が好ましく、さらに好ましくは1000〜8000Pa、特に好ましくは1000〜6500Paである。また、初期重合反応における平均滞留時間は1〜4時間が好ましく、特に好ましくは2〜3時間である。また初期重合の反応缶数は1〜3缶が好ましく、特に好ましくは1〜2缶である。
後期重合反応の条件は、温度が270〜285℃の範囲が好ましく、特に好ましくは270〜280℃である。圧力は1〜300Paが好ましい。中でも、最終反応缶の圧力は1〜150Paがさらに好ましく、特に好ましくは1〜80Pa以下である。後期重合反応における平均滞留時間は、1〜4時間が好ましく、特に好ましくは2〜3時間である。また、後期重合の反応缶数は1〜2缶が好ましい。
重合触媒には、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を単独で用いても良いし、あるいは2種以上を併用してもよい。
アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物及びチタン化合物は、それぞれ、先述したアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物及びチタン化合物において例示したものと同じものが使用される。
アンチモン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.01〜0.04モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.015〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.02〜0.025モル%である。アンチモン化合物の含有量が0.01モル%未満では、十分な重合活性が得られず、重合度を十分に上げることができない。一方、アンチモン化合物の含有量が0.04モル%を超えると、共重合ポリエステルの耐熱性が著しく悪化し、熱分解が激しくなる。その結果、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
また、ゲルマニウム化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.005〜0.05モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.03モル%であり、特に好ましくは0.015〜0.025モル%である。ゲルマニウム化合物の含有量が0.005モル%未満では、十分な重合活性が得られず、重合度を十分に上げることができない。一方、ゲルマニウム化合物の含有量が0.05モル%を超えると、共重合ポリエステルの耐熱性が著しく悪化し、熱分解が激しくなる。その結果、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形品が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
また、チタン化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して0.0005〜0.02モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.002〜0.015モル%であり、特に好ましくは0.005〜0.01モル%である。チタン化合物の含有量が0.0005モル%未満では、十分な重合活性が得られず、重合度を十分に上げることができない。一方、チタン化合物の含有量が0.02モル%を超えると、共重合ポリエステルの耐熱性が著しく悪化し、熱分解が激しくなる。その結果、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加し、成形体が黄色に着色する等の問題が起こりやすくなる。
前記の重合触媒は、エステル化反応、初期重合反応及び後期重合反応のいずれの反応時においても添加して良い。但し、チタン化合物を使用する場合には、エステル化反応前に添加するのが好ましく、他の重合触媒や安定剤はエステル化反応後に添加することが好ましい。
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、エステル化後にアルカリ土類金属化合物及びリン化合物を特定量含有させることが好ましく、これらアルカリ土類金属化合物及びリン化合物は、それぞれ、先述したアルカリ土類金属化合物及びリン化合物において例示したものと同じものが使用される。
アルカリ土類金属化合物は、生成する共重合ポリエステルに対して、0.001〜0.040モル%含有させることが好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.025モル%であり、特に好ましくは0.010〜0.020モル%である。
また、リン化合物は、上記アルカリ土類金属化合物に対して、アルカリ土類金属(M)/リン化合物(P)のモル比(M/P)が0.2〜3.5の範囲となるよう含有させるのが好ましく、さらに好ましくは0.75〜1.75の範囲であり、特に好ましくは0.8〜1.2の範囲である。
さらに、リン化合物は、使用する重合触媒の種類によって、生成する共重合ポリエステルに対する含有量の好適範囲が異なり、アンチモン化合物を重合触媒として使用する場合には、生成する共重合ポリエステルに対して0.001〜0.005モル%含有させることが好ましい。また、ゲルマニウム化合物やチタン化合物を使用する場合には、ゲルマニウム化合物やチタン化合物に対してリン化合物を等モル含有させることが好ましい。
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、さらにコバルト化合物を含有させてもよく、コバルト化合物をリン化合物と併用する場合には、コバルト化合物とリン化合物を等モル含有させることが好ましい。
前記コバルト化合物としては、先述したコバルト化合物において例示したものと同じものが使用される。
得られた共重合ポリエステルは、通常、反応缶の底部に設けた抜き出し口(ダイのノズル)よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットし、その後、前述の流動床乾燥装置によるチップの乾燥処理、又は、乾燥及びファイン粒子の除去処理を行うことで、水分率と、ファイン粒子及び粗大副生物の含有量を十分に低減したチップを得ることができる。
以上は、エチレンテレフタレート及び1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第1の共重合ポリエステル)のチップを生産性よく製造する方法であるが、エチレンテレフタレート及びネオペンチルテレフタレートを主たるエステル単位とする共重合ポリエステル(第2の共重合ポリエステル)のチップにおいては、以下の方法(製法B)により、重合速度を向上でき、目的とする高重合度のポリマーを生産性良く製造することができる。
[製法B]
すなわち、本方法は、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸と、主たるグリコール成分としてエチレングリコール及びネオペンチルグリコールを含む原料を直接エステル化反応させ、次いで重縮合反応を行う方法に関する。本方法の特徴は、エステル化反応後のオリゴマーのカルボキシル末端基数及びヒドロキシル末端基数を、下記式(XIV)〜(XVI)を満足するように制御することにより、重縮合速度が早く、短時間で高重合度のポリマーを得ることができる点にある。
200≦AVo800 …(XIV)
900≦OHVo≦1800 …(XV)
0.53≦OH%≦0.90 …(XVI)
式(XIV)で、AVo(eq/ton)はオリゴマー1ton中における末端カルボキシル基の当量数を示す。また、式(XV)で、OHVo(eq/ton)はオリゴマー1ton中における末端ヒドロキシル基の当量数を示す。また、式(XVI)で、OH%はOHVo/(OHVo+AVo)を示す。
すなわち、エステル化反応後のオリゴマーのAVoは、200〜800eq/tonの範囲が好ましい。AVoの下限値は300eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは350eq/tonである。一方、AVoの上限値は600eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは450eq/tonである。
また、エステル化反応後のオリゴマーのOHVoは、900〜1800eq/tonの範囲が好ましい。OHVoの下限値は1000eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは1100eq/tonである。一方、OHVoの上限値は1500eq/tonがさらに好ましく、特に好ましくは1300eq/tonである。
さらに、エステル化反応後のオリゴマーのOH%は、0.53〜0.90の範囲が好ましい。OH%の下限値は、0.65がさらに好ましく、特に好ましくは0.70である。一方、OH%の上限値は、0.85がさらに好ましく、特に好ましくは0.80である。
エステル化反応後のオリゴマーのAVoが200eq/ton未満であったり、OHVoが1800eq/tonを超えたり、あるいはOH%が0.90を超える場合には、十分な重合速度を得ることができず、生産性が著しく低下する。一方、AVoが800eq/tonを越えたり、OHVoが900eq/ton未満であったり、OH%が0.53未満の場合では、十分に高重合度化することができないか(例えば、固有粘度が0.60dl/g以上に到達しない。)、あるいは重合速度が遅く、生産性が著しく低下する場合がある。
なお、当該方法における「エステル化反応後」とは、真空下において重縮合反応する前の状態であり、通常加圧下もしくは、常圧化におけるエステル化反応が終了した時点を指す。
エステル化反応後のオリゴマー特性を前記の特定範囲に制御するためには、原料の全グリコール成分(G)と全ジカルボン酸成分(A)との仕込み時のモル比(G/A)及びエステル化反応条件の適正化が重要であり、これらは前記製法Aにおけるそれと同範囲とするのが好ましい。
重合触媒には、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物の少なくとも1種を単独で用いるか、あるいは2種以上を併用するか、いずれでもよく、各々の使用量(共重合ポリエステルに対する含有量)は、前記製法Aにおけるそれと同様の理由から同様の範囲とするのが好ましい。
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、エステル化後にアルカリリン化合物を特定量含有させることが好ましく、該リン化合物は先述したリン化合物において例示したものと同じものが使用される。
また、リン化合物は、前記製法Aにおけるそれと同様に、アンチモン化合物を重合触媒として使用する場合には、生成する共重合ポリエステルに対して0.01〜0.005モル%含有させることが好ましい。また、ゲルマニウム化合物やチタン化合物を使用する場合には、ゲルマニウム化合物やチタン化合物に対してリン化合物を等モル含有させることが好ましい。
また、共重合ポリエステルの色調を改善するために、さらにコバルト化合物を含有させてもよい。コバルト化合物をリン化合物と併用する場合には、コバルト化合物とリン化合物を等モル含有させることが好ましい。該コバルト化合物としては、先述したコバルト化合物において例示したものと同じものが使用される。
得られた共重合ポリエステルは、通常、反応缶の底部に設けた抜き出し口(ダイのノズル)よりストランド状に抜き出し、水冷後、チップ状にカットし、その後、前述の流動床乾燥装置によるチップの乾燥処理、又は、乾燥及びファイン粒子の除去処理を行うことで、水分率と、ファイン粒子及び粗大副生物の含有量を十分に低減したチップを得る。
本明細書における主な特性値の測定法を以下に記載する。
1.ポリエステルチップの水分率
水分率測定器(三菱化成製、VA-05型)を使用し、230℃で10分間の条件で、チップ1〜2gに熱処理を行い、チップ中に含まれる水分を揮発させて、水分率を測定する。
2.ファイン粒子及び粗大副生物の含有量
樹脂チップ0.5kgを、JIS-Z8801による呼び寸法5.6mm、針径1.6mmのステンレス製の金網をはった篩(A)(直径20cm)と、呼び寸法1.7mm、針径0.8mmのステンレス製の金網をはった篩(B)(直径20cm)とを2段に組合せた篩の上にのせ、揺動型篩い振トウ機(テラオカ社製、SNF−7)を用い1800rpmで1分間篩った。
この操作を繰り返し、樹脂チップを合計20kg篩った。ふるい落とされた粒子を、イオン交換水で洗浄し、岩城硝子社製G1ガラスフィルター(孔径:100〜120μm)で濾過して集めた。次いで、ガラスフィルターごと乾燥器に入れ、100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。さらに、イオン交換水による洗浄と乾燥を繰り返し、恒量になったことを確認して、この重量からガラスフィルターの重量を引き、ファイン粒子重量とした。
一方、篩(A)上に捕集された捕集物についても、イオン交換水で洗浄し、岩城硝子社製G1ガラスフィルターで濾過して集めた。次いで、ガラスフィルターごと乾燥器に入れ、100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。さらに、イオン交換水による洗浄と乾燥を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルターの重量を引き、粗大副生物重量とした。
そして、下記式によりファイン粒子の含有量と粗大副生物の含有量を求めた。
ファイン粒子の含有量=ファイン粒子重量/全樹脂(チップ)重量
粗大副生物の含有量=粗大副生物重量/全樹脂(チップ)重量
3.ポリエステルの組成
サンプル5mgを重クロロホルムとトリフルオロ酢酸(=9/1;体積比)の混合溶液0.7mLに溶解し、1H−NMR(Varian製、UNITY500)を使用して求める。
4.ポリエステル中のジエチレングリコール含有量(以下「DEG含有量」という)
ポリエステルをメタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによりDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合(モル%)で示す。
5.元素分析
以下に示す方法で元素分析を行う。
なお、共重合ポリエステルに対する下記金属化合物又はリン化合物の組成をモル%で示すためには、下記式を用いて算出する。
C2=(M/N)×C1×10-4/A
上記式において、C2は共重合ポリエステルに対する金属化合物又はリン化合物の組成(モル%)、Mは共重合ポリエステルの繰り返し単位の分子量、Nは化合物における金属原子又はリン原子の個数、C1は共重合ポリエステル中の金属原子又はリン原子の含有量(ppm)、Aは金属原子またはリン原子の原子量を意味する。
(a)アルカリ土類金属化合物
試料1gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに6モル/Lの塩酸を加えて蒸発乾固させる。次いで、残渣を1.2モル/Lの塩酸で溶解させ、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS-2000)を用いて発光強度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のアルカリ土類金属原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するアルカリ土類金属化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。なお、エステル交換触媒として用いるZnやMnも同様の方法で定量することができる。
(b)リン化合物
試料1gを、炭酸ナトリウム共存下で乾式灰化分解させる方法、あるいは硫酸/硝酸/過塩素酸の混合液又は硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させる方法によってリン化合物を正リン酸とする。次いで、1モル/Lの硫酸溶液中においてモリブデン酸塩を反応させてリンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元してヘテロポリ青を生成させる。吸光光度計(島津製作所製、UV-150-02)により波長830nmにおける吸光度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のリン原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するリン化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
(c)アルカリ金属化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/Lの塩酸を加えて蒸発乾固させる。次いで、1.2モル/Lの塩酸で溶解し、原子吸光分析装置(島津製作所製、AA-640-12)を用いて、吸光度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のアルカリ金属原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するアルカリ金属化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
(d)アンチモン化合物
試料1gを硫酸/過酸化水素水の混合液で湿式分解させる。次いで、亜硝酸ナトリウムを加えてSb原子をSb5+とし、ブリリアングリーンを添加してアンチモンとの青色錯体を生成させる。この錯体をトルエンで抽出後、吸光光度計(島津製作所製、UV-150-02)を用いて、波長625nmにおける吸光度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のアンチモン原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するアンチモン化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
(e)ゲルマニウム化合物
試料2gを白金ルツボに入れ灰化分解させ、さらに10重量%の炭酸水素ナトリウム溶液5mLを加えて蒸発させ、次いで塩酸を加えて蒸発乾固させる。さらに、電気炉にて400℃から950℃まで昇温させ、30分放置して残渣を融解させる。融解物を水10mLに加温溶解させ、蒸留装置に移す。なお、白金ルツボ内を7.5mLのイオン交換水で2回水洗し、この水洗液も前記蒸留装置に移す。次いで、塩酸35mLを加え、蒸留して留出液25mLを得る。その留出液中から適当量を分取し、最終濃度が1.0〜1.5モル/Lとなるように塩酸を加える。さらに、0.25重量%のポリビニルアルコール溶液2.5mL及び0.04重量%のフェニルフルオレン(2,3,7−トリヒドロキシ−9−フェニル−6−フルオレン)溶液5mLを添加し、ゲルマニウムとの黄色錯体を生成させる。イオン交換水で25mLに調製後、吸光光度計(島津製作所製、UV-150-02)を用いて、波長505nmにおける吸光度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のゲルマニウム原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するゲルマニウム化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
(f)チタン化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、硫酸と硫酸水素カリウムを加え、加熱溶融させる。この溶解物を2モル/Lの硫酸に溶解させる。さらに、過酸化水素水を添加し、吸光光度計(島津製作所製、UV-150-02)を用いて波長420nmにおける吸光度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のチタン原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するチタン化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
(g)コバルト化合物
試料1gを白金ルツボにて灰化分解し、6モル/Lの塩酸を加えて蒸発乾固させる。これを1.2モル/Lの塩酸で溶解し、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS-2000)を用いて発光強度を測定する。次いで、予め作成した検量線から、試料中のコバルト原子の含有量(ppm)を測定する。これを共重合ポリエステルに対するコバルト化合物の量に換算し、モル%の単位で示す。
6.オリゴマー末端カルボキシル基濃度(AVo)
試料1gを精秤し、ピリジン20mLを加え、15分間加熱還流する。溶解後、水を10mL加え放冷する。フェノールフタレインを指示薬として、0.1N−水酸化ナトリウムで滴定する。なお、オリゴマーの末端カルボキシル基濃度(AVo)は次式により求める。
AVo(eq/ton)
=((A−B)×0.1×F)/(Wg×103)×106
上式で、Aは滴定量(mL)、Bはブランクの滴定量(mL)、Fは使用する0.1N−水酸化ナトリウムのファクター、Wgは試料の重量(g)を意味する。
7.オリゴマーの末端ヒドロキシル基濃度(OHVo)
試料0.5gを精秤し、それに、無水酢酸0.51gとピリジン10mLの混合溶液に添加し、95℃で1.5時間反応させる。反応物に蒸留水10mLを加え、室温で放冷する。次いで、0.2N−水酸化ナトリウム溶液(溶液:水/メタノール=5/95;体積比)でフェノールフタレインを指示薬として滴定する。なお、オリゴマーの末端ヒドロキシル基濃度は次式より求める。
OHV(eq/ton)=((B−A)×F)/(Wg×103)×106
上式で、Aは滴定量(mL)、Bはブランクの滴定量(mL)、Fは使用する0.2N−水酸化ナトリウムのファクター、Wgは試料の重量(g)を意味する。
8.ポリエステルの末端カルボキシル基濃度(AVo)
ポリエステルチップを粉砕、乾燥し、0.2gの乾燥物を10mLのベンジルアルコールより加熱溶解し、酒精カリでフェノールレッドを指示薬として滴定により求める。
9.ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルを25mLの1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3;重量比)の混合溶媒に溶解し、オスワルド粘度計を用いて30℃で溶液粘度を測定して求める。
10.ポリエステルのガラス転移温度
示差走査熱量計(島津製作所(株)製、DSC−50)を使用し、試料10mgをアルミ製のパン内に入れて密封し、次の条件で測定する。
まず、室温から20℃/minで300℃まで昇温し、直ちにアルミパンを液体窒素にいれて急冷する。急冷したサンプルを更に20℃/minで300℃まで再昇温してガラス転移温度を求める。
11.色調
JIS Z 8722に準拠し、カラーメーター(日本電色社製、Model 1001DP)を使用し、カラーL値及びカラーb値を測定する。
12.ポリマー中の異物
共重合ポリエステルチップ(一粒)を2枚のカバーグラス間に挟んで280℃で溶融プレスし、急冷する。次いで、位相差顕微鏡を用いて100倍で20視野観察し、イメージアナライザー(ニレコ社製、Luzex FS)を用いて10μm以上の未溶融の異物の個数をカウントする。
13.ポリエステルの溶融比抵抗(ρi(Ω・cm))
275℃で溶融した試料中に2本の電極(ステンレス針金)を置き、120Vの電圧を印加した時の電流(io)を測定し、これを下記式に代入し算出する。
ρi(Ω・cm)=(AL)×(V/io
上記式において、Aは電極間面積(cm2)、Lは電極間距離(cm)、Vは電圧(V)を意味する。
14.ポリエステルの静電密着性
押出機の口金部と冷却ドラムの間にタングステンワイヤー製の電極を設け、電極とキャスティングドラム間に10〜15kVの電圧を印加して275℃で溶融押出し、キャスティングを行う。得られたキャスティング原反の表面を肉眼で観察し、キャスティング速度を徐々に早くし、ピンナーバブルの発生が起こり始める速度を最大キャスティング速度とする。最大キャスティング速度が大きい程、静電密着性が良好であることを意味する。
15.成形品(フィルム)の組成の均一性
まず、フィルム原料として使用する複数の種類のチップに対し、各々のチップの組成を分析し、それらを混合する際の重量比から算出したチップ混合物の組成を算出する。一方、複数の種類のチップを混合し、それらのチップ混合物を原料として製造されたフィルムの組成を前記3及び4に記載の方法で測定する。これらの組成の差から、成形品(フィルム)の組成の均一性を評価する。
16.成形品(フィルム)の機械的強度
延伸倍率4倍で横方向に1軸延伸したフィルムを、延伸方向と直交する方向にJIS K 7127に準じ、次の条件で引張試験を行なう。サンプル数は20とする。また、測定条件は、試験片長さ200mm、チャック間距離100mm、試験片幅15mm、温度20℃、引張速度200mm/分である。伸度5%以下で破断したサンプル数を数え、全サンプル数(20個)に対する百分率を求め、破断率(%)とする。ここで、破断伸度5%以下のサンプル数が全サンプル数の10%以下である場合、優れた機械的強度を有すると判断する。
17.ヘイズ
第1の方法:JIS K7105に準じ測定した。フィルム(厚み45μm)より試料を切り取り、ヘイズメーター(日本電色社製、Model NDH2000)にてヘイズ(%)を測定する。
第2の方法:射出成形機(名機製作所製、M-150C-DM)を使用して、280℃で共重合ポリエステルを溶融させ、金型温度15℃で厚さ2〜11mmの段付成形板を成形し、厚さ5mmの部位をヘイズメーター(日本電色社製、Model NDH2000)にてヘイズ(%)を測定する。
18.溶剤接着性
室温下、縦150mm×横200mmの片面の端縁から少し内側にTHF(テトラヒドロフラン)3.0±0.3g/mm2を縦方向に2±1mm幅で塗布する。直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着して、チューブ状に加工する。その際のフィルム同士の状態(フィルム間の剥がれの有無)を目視観察する。該評価法で、フィルム間の剥がれが無ければ、溶剤接着性は良好と判断する。
19.フィルムの厚み均一性
フィルムを長さ50cm、幅5cmに裁断した厚み測定用試料を20枚用意し、各試料について接触式厚み計(アンリツ(株)製、KG60/A)を用いて長さ方向に厚みを測定し、下記式に基づいて厚みムラを求め、その平均値をフィルムの厚みムラとする。
厚みムラ(%)=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
20.フィルムの成形性
乾燥した共重合ポリエステル50重量%と、乾燥した固有粘度0.60dl/gのポリエチレンテレフタレート50重量%とを均一に混合し、T−ダイスを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃の回転金属ドラム上で急冷固化して未延伸シートを得る。この未延伸シートを縦方向に80℃で3.5倍延伸し、次いで横方向に95℃で3.6倍に延伸し、さらに205℃で熱処理を行うことにより、厚さ188μmの二軸延伸フィルムを得る。該フィルムに印刷を施し、さらに130℃で5秒間加熱後、金型温度80℃、保圧時間5秒にてプレス成形を行う。その成形材に210℃にてABS樹脂を流し込み(射出成形)、表面がフィルムで覆われた高さ3mmのキートップを作成する。この時の印刷ずれを測定し、かつ成形状態を目視観察し、下記基準にてランク付けをする。なお、◎、○を合格、×を不合格とする。
◎:印刷ずれが0.1mm以下で、外観は極めて良好である。
○:印刷ずれが0.1mm以上0.2mm以下で、若干のしわが見うけられるが、実用上問題ないレベルである。
×:印刷ずれが0.2mmを越えている。又は、フィルムに破断が見うけられる。又は、大きな皺が入り著しく外観が悪い。
21.フィルム上の欠点
上記20の条件で得られた二軸延伸フィルムに対し、フィルム1m2上の欠点数を目視で測定し、下記基準でランク付けを行う。なお、◎(良好)と○(やや良好)を合格とする。
◎(良好):欠点数が0個
○(やや良好):欠点数が1〜3個
△(やや不良):欠点数が4〜5個
×(不良):欠点数が6個以上
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとジエチレングリコールの組成比(モル比)が100//80.0/19.0/1.0であるスラリーを連続的に供給した。さらに、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。
この反応物を第2エステル化反応器に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第3エステル化反応器に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行い、オリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(AVo)が300eq/tonで、末端ヒドロキシル基濃度(OHVo)が1000eq/tonであった。
このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、三酸化アンチモンを12g/Lのエチレングリコール溶液として0.0225モル%、酢酸マグネシウム4水和物を50g/Lのエチレングリコール溶液として0.117モル%、酢酸ナトリウムを10g/Lのエチレングリコール溶液として0.010モル%、トリメチルリン酸を65g/Lのエチレングリコール溶液として0.035モル%となるように、これらの溶液を別々に第3エステル化反応器に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応器で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応器で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られた溶融状態のポリエステルをダイのノズルからストランド状に抜き出し、クーリーングバス中で水冷し、カッターによりペレタイズしてチップを得た。
得られたチップを、窒素ガスにより、容積400m3、L/D=3.5の流動床式乾燥装置内に移送した。次いで、流動床式乾燥装置内に60℃に加熱した水分率0.2ppmの乾燥窒素ガスを連続的に供給し、チップを72時間滞留させた。これをポリエステル(チップ)Aとした。
得られたポリエステルAは、固有粘度が0.75dl/gであり、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/ジエチレングリコール=100//66.5/30.5/3.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、ポリエステルAは、水分率が15ppm、ファイン粒子の含有量は30ppm、粗大副生物の含有量が0.1重量%、ガラス転移温度が84℃、末端カルボキシル基濃度が16eq/tonであった。
一方、ポリエステルAの製造において、供給するモノマーの組成比を、高純度テレフタル酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及びジエチレングリコール=100//73.5/24.5/2.0(モル比)に変更したこと以外は全てポリエステルAと同様にして、重合、ペレット化、及び乾燥を行った。これをポリエステル(チップ)Bとした。
得られたポリエステルBは、固有粘度が0.75dl/gであり、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール=100//67.0/30.0/3.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、ポリエステルBは、水分率が15ppm、ファイン粒子の含有量が25ppm、粗大副生物の含有量が0.15重量%、ガラス転移温度が79℃、末端カルボキシル基濃度が10eq/tonであった。
上記により得られた2種類の共重合ポリエステル(ポリエステルA及びポリエステルB)のチップを、ポリエステルA/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合した。さらに、このチップ混合物を280℃で溶融押出し、80℃で横方向に4倍延伸した後、80℃で熱処理して、厚み45μmの一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.73dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルAとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.02dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0%、ヘイズが5.9%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られなく、ポリエステルAとポリエステルBの各組成及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例2
回分式の重合装置に、高純度テレフタル酸100重量部、エチレングリコール51.0重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール27.8重量部、ジエチレングリコール1.0重量部、酢酸ナトリウムを生成ポリエステルに対し0.010モル%となるように仕込んだ。次いで、窒素置換した後、窒素雰囲気下、0.25MPa加圧下で、240℃まで30時間かけて昇温した。さらに、240℃で3時間保持してエステル化反応を行った後、生成ポリエステルに対し、三酸化アンチモンを0.0225モル%、酢酸マグネシウム4水和物を0.117モル%、リン酸トリメチルを0.035モル%となるように添加した。その後、反応系を75分で1.5hPa以下まで減圧し、同時に昇温も開始し、最終的に280℃として重合反応を実施した。減圧開始後60分で重合を終了した。溶融ポリマーを抜き出す際に、系内を5〜15hPaに保ったまま40分かけて、ダイのノズルからストランド状に抜き出し、クーリングバス中で水冷し、カッターによりペレタイズしてチップを得た。
チップ3000kgを10m3の体積をもつドライヤーに投入し、毎分6回転、60℃、150Paの真空状態下で乾燥した。72時間後、真空を破壊し、チップを取り出した。その時、ファイン粒子除去装置を使用してファイン粒子を除去した。これをポリエステル(チップ)Cとした。
得られたポリエステルCは、固有粘度が0.75dl/gであり、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール/ジエチレングリコール=100//66.0/30.5/3.5(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、ポリエステルCは、水分率が20ppmであり、ファイン粒子の含有量が52ppm、粗大副生物の含有量が0.05重量%、ガラス転移温度が83℃、末端カルボキシル基濃度が24eq/tonであった。
また、前記のポリエステルCの製造において、エチレングリコールを56.0重量部とし、1,4−シクロヘキサンジメタノールの代わりにネオペンチルグリコールを全グリコールに対し40.0モル%仕込むこと以外は全てポリエステルCと同様にして、重合、ペレタイズ(チップ化)、乾燥、ファイン粒子の除去を行った。これをポリエステル(チップ)Dとした。
得られたポリエステルDは、固有粘度が0.75dl/gであり、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール=100//67.0/30.0/3.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、ポリエステルDは、水分率が35ppm、ファイン粒子の含有量が45ppm、粗大副生物の含有量が0.10重量%、ガラス転移温度が79℃、末端カルボキシル基濃度が28eq/tonであった。
上記の2種類のポリエステルのチップ(ポリエステルC及びポリエステルD)を、ポリエステルC/ポリエステルD(重量比)が70/30となるように混合し、実施例1と同様にして、一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.71dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルCとポリエステルDとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.04dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0%、ヘイズが5.9%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られなく、ポリエステルCとポリエステルDの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
比較例1
実施例1のポリエステルA及びポリエステルBのチップの製造において、溶融重縮合後、ペレタイズして得られたチップを乾燥せず、最終のチップとした。これらのチップをポリエステルA1及びポリエステルB1とした。ポリエステルA1のチップは、水分率が2500ppm、ファイン粒子の含有量が25ppm、粗大副生物の含有量が0.10重量%であった。ポリエステルB1のチップは、水分率が2400ppm、ファイン粒子の含有量が15ppm、粗大副生物の含有量が0.15重量%であった。
次に、かかるチップ(ポリエステルA1及びポリエステルB1)をフィルム原料として使用し、実施例1と同様の混合比及び条件で、一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.60dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルA1とポリエステルB1とのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.15dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量が大きく低下した。さらに、フィルムは、ヘイズは5.9%であり良好であったが、破断率(機械的強度)が20%であり、十分な強度のフィルムを得ることができなかった。また、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルA1とポリエステルB1の各組成及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
比較例2
実施例2のポリエステルC及びポリエステルDのチップの製造において、溶融重縮合後、ペレタイズして得られたチップを乾燥し、ファイン粒子除去装置でファイン粒子を除去せずに最終のチップとした。これらのチップをポリエステルC1及びポリエステルD1とした。ポリエステルC1のチップは、水分率が20ppm、ファイン粒子の含有量が1500ppm、粗大副生物の含有量が0.10重量%であった。一方、ポリエステルD1のチップは、水分率が20ppm、ファイン粒子の含有量が900ppm、粗大副生物の含有量が0.15重量%であった。
次に、かかるチップ(ポリエステルC1及びポリエステルD1)をフィルム原料として使用し、実施例1と同様の混合比及び条件で、一軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.71dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルC1とポリエステルD1とのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.04dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量の低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0%であったが、ヘイズが8.5%と高くなった。
さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、ポリエステルC1とポリエステルD1の各組成及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と比べ、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までに大きく変動していた。具体的には、得られたフィルムにおけるCHDMとNPGの組成(モル比)が、目標のCHDM/NPG=21.4/9.0に対し、実際には、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までに、CHDM/NPG=24.4/6.0〜18.3/12.0の範囲で変動していた。このことから、ポリエステルC1とポリエステルD1との混合比(重量比)が、目標(当初)の70/30に対し、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までに80/20〜60/40の範囲で変動していたことがわかる。
実施例3
上記実施例1で製造したポリエステルチップ(ポリエステルA、ポリエステルB)1tonを、それぞれ、流動床式乾燥装置又はドライヤー出口から直接防湿容器に入るようにステンレス製の配管をつなぐことにより、外気と接触させることなく、容積が1.5m3Nで、ポリエチレン(PE)層/アルミニウム(AL)層/ポリエチレン(PE)層から構成される、防湿容器に収容し、入り口をひもでシールすることにより密封した。さらに、これらを温度25℃、湿度60%の環境下で2ヶ月間保存した。保存後、防湿容器を開封し、ポリエステルA及びポリエステルBの水分率を測定した。保存後のポリエステルA及びポリエステルBの水分上昇率(保存後の水分率/保存前の水分率)はともに1.5%以下であった。
また、実施例2で製造したポリエステルチップ(ポリエステルC、ポリエステルD)についても、同様にして防湿容器に収容し、入り口をひもでシールすることにより密封し、温度25℃、湿度60%の環境下で2ヶ月保存した。保存後、防湿容器を開封し、ポリエステルC及びポリエステルDの水分率を測定した。保存後のポリエステルC及びポリエステルDの水分上昇率(保存後の水分率/保存前の水分率)はともに1.5%以下であった。
比較例3
実施例1において、ポリエステルA及びポリエステルBを乾燥する際に、乾燥ガスの温度を75℃にした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル(チップ)A2及びポリエステル(チップ)B2を製造した。得られたポリエステル(チップ)A2及びポリエステル(チップ)B2ともに粗大副生物を15重量%含んでいた。さらに、かかるポリエステル(チップ)A2及びポリエステル(チップ)B2をフィルム原料として使用し、実施例1と同様の混合比及び製造条件でフィルムを製造しようとした。しかしながら、チップを混合し、押出機にチップを供給するために使用する、ホッパーにおいて、チップ排出口でチップが詰まり、安定してフィルムを製造することができなかった。
実施例4
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とジエチレングリコール(DEG)の組成比が、TPA//EG/CHDM/DEG=100//80/19/1(モル比)であるスラリーを連続的に供給した。さらに、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第3エステル化反応器に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行い、オリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(AVo)が300eq/tonで、末端ヒドロキシル基濃度(OHVo)が1000eq/tonであった。
このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、三酸化アンチモンを12g/LのEG溶液として0.0225モル%、酢酸マグネシウム4水和物を50g/LのEG溶液として0.117モル%、酢酸ナトリウムを10g/Lのエチレングリコール溶液として0.010モル%、トリメチルリン酸を65g/Lのエチレングリコール溶液として0.035モル%となるように、別々に第3エステル化反応器に連続的に供給した。このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応器で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応器で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られた溶融状態のポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし、同様の条件でチップを乾燥した。これを、ポリエステルEとする。
得られたポリエステルEは、固有粘度が0.75dl/gであり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//66.3/30.5/3.2(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、ポリエステルEに対する各化合物の含有量は、Sb化合物で0.0225モル%、Mg化合物で0.117モル%、Na化合物で0.010モル%、P化合物で0.035モル%であった。さらに、得られたポリエステルチップは、水分率が20ppm、ファイン粒子の含有量が30ppm、粗大副生物の含有量が0.1重量%であった。
また、275℃でのポリエステルEの溶融比抵抗は、0.20×108Ω・cmであった。さらに、未延伸シートを製造する際の静電密着性の指標となる、最大キャスティング速度は60m/分であった。
また、上記の反応条件で3日間、連続運転して、1日当たり20tonのポリエステルを製造し、2時間毎に生成するポリエステルの固有粘度とジエチレングリコール成分の量(共重合量)を測定したところ、1日(20ton)当たりのIV変動幅(最大値−最小値)は0.023dl/g、ジエチレングリコール成分の量(共重合量)の変動幅(最大値−最小値)は0.15モル%であった。
次に、定法に従って280℃で溶融押出し、キャスティング速度60m/分でキャスティングし、80℃で横方向に4倍延伸した後、80℃で熱処理して得られた厚み45μmのフィルムを得た。また、得られたフィルムは、溶剤接着性が良好であり、透明性に優れ(ヘイズが4.5%)、かつ、厚み均一性に優れていた(厚みムラが4%)。
また、前記のポリエステルEのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップを使用し、ポリエステルE/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同じ条件で溶融押出して、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.71dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルEとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.04dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0%、ヘイズが3.5%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られなく、ポリエステルEとポリエステルBの各組成及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例5
回分式の重合装置に、高純度テレフタル酸100重量部、エチレングリコール51重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール27.8重量部、ジエチレングリコール1.0重量部、および生成ポリエステルに対して酢酸ナトリウムが0.010モル%となる量を仕込んだ。次いで、窒素置換した後、窒素雰囲気下、0.25MPa加圧下で、240℃まで30分かけて昇温し、さらに240℃で3時間保持してエステル化反応を行った。次いで、生成ポリエステルに対して、三酸化アンチモンを0.025モル%、酢酸マグネシウム4水和物を0.118モル%、リン酸トリメチルを0.045モル%となるように反応缶に添加した。その後、重合反応系内を75分で1.5hPa以下まで減圧し、同時に昇温も開始し、最終的に280℃として重合反応を実施した。減圧開始後60分で重合を終了した。ポリマー抜き出し時に系内を5〜15hPaに保ったまま40分かけてダイのノズルからストランド状に抜き出し、水をはったクーリングバス中で冷却し、カッターによりペレット化しチップを得た。次いで、得られたポリエステルチップを実施例1と同様の条件で乾燥した。これをポリエステルFとする。
得られたポリエステルFは、水分率が33ppm、ファイン粒子の含有量が55ppm、粗大副生物の含有量が0.12重量%であった。また、ポリエステルFは、TPA//EG/CHDM/DEG=100//65.5/30.8/3.7(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。さらに、ポリエステルの固有粘度は、重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルの抜き出し開始時で0.755dl/g、抜き出しから40分経過後で0.750dl/gであった。すなわち、重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルの抜き出し時における、ポリエステルの固有粘度の経時変化(変動幅)は少なかった。また、ポリエステルに対する各化合物の含有量は、Sb化合物で0.025モル%、Mg化合物で0.115モル%、Na化合物で0.011モル%、P化合物で0.045モル%であった。
さらに、上記と同様にしてポリエステル700kgを製造した際、重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルの抜き出し時における、ポリエステルの固有粘度の変動幅(最大値−最小値)は0.015dl/gであった。
得られたポリエステルFの溶融比抵抗は0.228×108Ω・cmであった。さらに、未延伸シートを製造する際の静電密着性の指標となる、最大キャスティング速度は58m/分であった。
次に、キャスティング速度を58m/分とすること以外は実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、溶剤接着性が良好であり、透明性に優れ(ヘイズが4.5%)、かつ、厚み均一性に優れていた(厚みムラが5%)。
また、前記のポリエステルFのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップとを使用し、ポリエステルF/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は0.72dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルFとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.03dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.2%、ヘイズが6.0%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルFとポリエステルBの各組成及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例6
実施例4において、第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の組成比を、TPA//EG/CHDM=100//68.0/32.0(モル比)となるように前記モノマーのスラリーを使用した以外は実施例4と同様にして、ポリエステルGのチップを製造した。
得られたポリエステルGは、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.7/30.5/0.8(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、固有粘度は0.75dl/gであった。
前記のポリエステルGのチップを、実施例4と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、ヘイズが4.5%で良好であったが、溶剤接着性に劣っていた。
実施例7
実施例5において、原料モノマーとしてジエチレングリコールを使用しなかったこと以外は実施例5と同様にして、ポリエステルHのチップを製造した。
得られたポリエステルHは、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.0/30.5/1.3(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。また、重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルを抜き出す際、抜き出し開始時の固有粘度は0.745dl/gであった。
このポリエステルHのチップを実施例5と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、ヘイズが4.6%で良好であったが、溶剤接着性に劣っていた。
実施例8
重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルを抜き出す際に、抜き出し時の反応缶内の圧力を0.2MPaに変更したこと以外は実施例5と同様にして、ポリエステルIのチップを製造した。
得られたポリエステルIの組成は、実施例5で得られたポリエステルFと同じであった。また、重縮合反応缶からの溶融状態のポリエステルを抜き出す際、ポリエステルの固有粘度は抜き出し開始時で0.75dl/gで、抜き出しから40分後で0.68dl/gであり、経時的な固有粘度の変動が大きかった。
抜き出し開始時の固有粘度が0.75dl/gのポリエステルのチップを用いて、実施例5と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、ヘイズが4.0%で透明性に優れていた。また、溶剤接着性も良好であった。
実施例9
実施例4において、酢酸マグネシウム4水和物、酢酸ナトリウムおよびトリメチルリン酸を供給しなかったこと以外は実施例4と同様にして、ポリエステルJのチップを製造した。
ポリエステルJは、ポリマー組成は実施例4とほぼ同じであったが、溶融比抵抗が2.53×108Ω・cmと高かった。さらに、このポリエステルJを使用し、未延伸シートを製造する際の静電密着性の指標となる、最大キャスティング速度は15m/分であった。
次に、キャスティング速度を10m/sに変更すること以外は、実施例4と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。得られたフィルムは、透明性に優れ(ヘイズが3.8%)、溶剤接着性が良好であり、厚み均一性に優れていた(厚みムラが4%)。
実施例10
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を17モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比(G/A)を2.0に調製したスラリーを、生成ポリエステルとして1ton/hの生産量となるように連続的に供給した。さらに、生成ポリエステルに対して三酸化アンチモンが0.025モル%となるように、三酸化アンチモンの12g/Lのエチレングリコール溶液を、第1エステル化反応缶に連続的に供給した。次いで、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、250℃の条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。
この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、缶内圧力0.05MPaで攪拌下、260℃の条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、このエステル化反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、260℃の条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
このエステル化反応後に得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(Avo)が380eq/tonであった。このオリゴマーに、生成ポリエステルに対して、Mg量(M2)が0.17モル%、P量(P)が0.079モル%(M2/Pのモル比が2.2)、Na量が0.018モル%、Co量が0.0035モル%、となるように別々の供給口から、酢酸マグネシウム4水和物の50g/LのEG溶液、リン酸トリメチルの65g/LのEG溶液、酢酸ナトリウムの10g/LのEG溶液、及び酢酸コバルト4水和物の50g/LのEG溶液を、第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を第1重縮合反応缶に連続的に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間かけて重縮合反応を行った。重縮合反応後、溶融状態のポリエステルを95%以上の濾過精度が60μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを通過させた。次いで、溶融状態のポリエステルをダイのノズルからストランド状に抜き出し、クーリングバスで水冷後、チップ状にカッティングした。さらに、得られたチップを実施例1と同様の条件で乾燥して、ポリエステルKのチップを得た。
得られたポリエステルKのチップは、水分率が39ppm、ファイン粒子の含有量が22ppm、粗大副生物の含有量が0.19重量%であった。また、ポリエステルKは、固有粘度が0.74dl/gであり、TPA//EG/NPG/DEG=100//66.5/31.0/2.5(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。前記のポリエステルKの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は反応中の副生成物である。また、ポリエステルK中の触媒及び添加剤の組成は、ポリエステルKに対し、Sb/Mg/P/Na/Co=0.0245/0.170/0.079/0.018/0.0035(モル%)であり、Mg/Pモル比(M/P)は2.2であった。また、ポリエステルKは、溶融比抵抗(ρi)が0.22×108Ω・cmであり、チップを100倍の位相差顕微鏡で20視野観察した際の、10μm以上の未溶融の異物が12個であった。すなわち、静電密着性に優れ、かつ異物が少ないクリーンな非晶性ポリエステルであった。
次に、ポリエステルKのチップをT−ダイスからシート状に溶融押出しし、静電気を印加しながら回転冷却金属ロール上に密着固化させ、未延伸シートを得た。その際のキャスティング速度は、62m/分であった。また、二軸延伸後のフィルム1m2当たりの欠点は0個で良好(ランク:◎)であり、成形性も良好(ランク:◎)であった。
また、前記のポリエステルKのチップと、実施例1で得たポリエステルAのチップとを、ポリエステルA/ポリエステルK(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.72dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルAとポリエステルKとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.03dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.7%、ヘイズが3.9%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルAとポリエステルKの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例11
バッチ重合設備を使用した。
攪拌機及び留出コンデンサーを有する、容積2.5m3のエステル化反応槽に、ジメチルテレフテレート(DMT)100重量部、エチレングリコール(EG)53.1重量部、ネオペンチルグリコール(NPG)18.2重量部を投入し、触媒として酢酸マンガン4水和物を生成ポリエステルに対して0.020モル%、三酸化アンチモンを生成ポリエステルに対して0.026モル%となるように添加した。その後、攪拌しながら反応系内を最終的に240℃となるまで除々に昇温し、圧力0.25MPa下で180分間エステル交換反応を行った。反応系内からの留出水が出なくなるのを確認した後、反応系内を常圧に戻し、生成ポリエステルに対して、酢酸マグネシウム4水和物を0.17モル%、リン酸トリメチルを0.08モル%、酢酸ナトリウムを0.022モル%となるように添加した。この時のオリゴマーの末端カルボキシル基濃度は10eq/tonであった。
得られたオリゴマーを容積2m3の攪拌機及び留出コンデンサーを有する重縮合反応槽に移送した。次いで、攪拌しながら昇温と減圧を段階的に繰り返し、最終的に温度が280℃で、圧力が0.2hPaに到達するように制御した。固有粘度が所望の数値となるまで反応させ、重縮合反応を終了した。反応時間は170分であった。
重縮合反応後、溶融状態のポリエステルを95%以上の濾過精度が30μmであるステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを通過させた。次いで、溶融状態のポリエステルをダイのノズルからストランド状に抜き出し、クーリングバスで水冷後、チップ状にカッティングした。さらに、得られたチップを実施例1と同様の条件で乾燥して、ポリエステルLのチップを得た。
得られたポリエステルLのチップは、水分率が35ppm、ファイン粒子の含有量が44ppm、粗大副生物の含有量が0.09重量%であった。また、ポリエステルLは、固有粘度が0.729dl/gであり、TPA//EG/NPG/DEG=100//67.6/29.2/3.2(モル%)からなる組成を有し、非晶性であった。前記のポリエステルLの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステル中の触媒及び添加剤の含有量は、ポリエステルに対しSb/Mg/P/Na/Co=0.0260/0.170/0.080/0.022/0.0035(モル%)であり、Mg/Pモル比(M2/P)は2.13であった。また、また、ポリエステルLは、溶融比抵抗(ρi)が0.23×108Ω・cmであり、チップを100倍の位相差顕微鏡で20視野観察した際の、10μm以上の未溶融の異物が15個であった。すなわち、前記ポリエステルは、静電密着性に優れ、かつ異物も少ないクリーンなポリマーであった。
次に、得られたポリエステルLのチップをT−ダイスからシート状に溶融押出しし、静電気を印加しながら回転冷却金属ロール上に密着固化させ、未延伸シートを得た。その際のキャスティング速度は、60m/分であった。また、二軸延伸後のフィルム1m2当たりの欠点は0個で流行(ランク:◎)であり、成形性も良好(ランク:◎)であった。
また、前記のポリエステルLのチップと、実施例1で得たポリエステルAのチップとを、ポリエステルA/ポリエステルL(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.72dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルAとポリエステルLとのチップ混合物の固有粘度(0.74dl/g)との差は0.02dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.8%、ヘイズが4.5%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルAとポリエステルLの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例12
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の組成を100//80/20(モル比)に調製したスラリーを連続的に供給し、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、圧力0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
エステル化反応後に得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(AVo)が380eq/tonであった。このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、(1)三酸化アンチモンが0.02%、(2)酢酸マグネシウム4水和物が0.015モル%、(3)リン酸トリメチルが0.015モル%となるように、三酸化アンチモンの12g/Lのエチレングリコール溶液、酢酸マグネシウム4水和物の50g/Lのエチレングリコール溶液、及びリン酸トリメチルの65g/Lのエチレングリコール溶液を別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルMのチップは、水分率が32ppm、ファイン粒子の含有量が33ppm、粗大副生物の含有量が0.12重量%であった。
また、ポリエステルMは、固有粘度が0.78dl/gであり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.5/30.5/1.0(モル%)からなる組成を有し、非晶性であった。前記ポリエステルMの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステルM中の触媒及び添加剤の組成は、Sb/Mg/P=0.0195/0.0150/0.0145(モル%)であり、Mg/Pモル比(M2/P)は1.03であった。
また、ポリエステルMは、カラーL値が55、カラーb値が1.2であり、色調に優れていた。次に、ポリエステルMを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板とした。この成形板のヘイズは1.2%であり、透明性に優れていた。
また、前記ポリエステルMのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップとを、ポリエステルM/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.74dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルMとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.77dl/g)との差は0.03dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.1%、ヘイズが5.0%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルMとポリエステルBの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例13
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の組成を100//80/20(モル比)に調製したスラリーを連続的に供給し、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃で0.05MPaの条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
エステル化反応後に得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(AVo)が380eq/tonであった。このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、(1)二酸化ゲルマニウムが0.015モル%、(2)酢酸マグネシウム4水和物が0.015モル%、(3)リン酸トリメチルが0.030モル%となるように、二酸化ゲルマニウムの8g/Lの水溶液、酢酸マグネシウム4水和物の50g/LのEG溶液、及びリン酸トリメチルの65g/LのEG溶液を、別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルNは、チップの水分率が35ppm、ファイン粒子の含有量が30ppm、粗大副生物の含有量が0.1重量%であった。
また、ポリエステルNは、固有粘度が0.78dl/gであり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.5/30.5/1.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。前記ポリエステルNの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステルN中の触媒及び添加剤の組成は、Ge/Mg/P=0.0150/0.0150/0.029(モル%比)であり、(Mg+Ge)/Pのモル比は1.03であった。さらに、ポリエステルNは、カラーL値が63、カラーb値が−1.0であり、色調に優れていた。次に、得られたポリエステルNを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板とした。この成形板のヘイズは1.0%であり、透明性に優れていた。
また、前記ポリエステルNのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップとを、ポリエステルN/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同じ条件で押出成形して厚み45μmのフィルムに製膜した。
得られたフィルムの固有粘度は0.75dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルNとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.77dl/g)との差は0.02dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.3%、ヘイズが4.9%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルNとポリエステルBの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例14
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の組成を100//80/20(モル比)に調製したスラリーを連続的に供給した。さらに、別個の供給口から、チタニウムテトラブトキシドを生成ポリエステルに対して0.007モル%となるように、250g/Lのn−ブタノール溶液として連続的に供給し、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
エステル化反応後に得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度(AVo)が380eq/tonであり、末端ヒドロキシル基濃度(OHVo)が1200eq/tonであった。このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、(1)酢酸マグネシウム4水和物が0.015モル%、(2)リン酸トリメチルが0.015モル%、(3)酢酸コバルトが0.015モル%となるように、酢酸マグネシウム4水和物の50g/LのEG溶液、リン酸トリメチルの65g/LのEG溶液、及び酢酸コバルトの50g/LのEG溶液を、それぞれ別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルOは、チップの水分率が30ppm、ファイン粒子の含有量が35ppm、粗大副生物の含有量が0.1重量%であった。
また、得られたポリエステルOは、固有粘度は0.78dl/gであり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.5/30.5/1.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。なお、ポリエステルOの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は反応中の副生成物である。また、ポリエステルO中の触媒及び添加剤の組成は、Ti/Mg/P/Co=0.007/0.015/0.015/0.015(モル%)であり、Mg/Pモル比(MS/P)は1.00であった。
また、ポリエステルOは、カラーL値が58、カラーb値が2.5であり、色調に優れていた。次に、ポリエステルOを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板を得た。この成形板のヘイズは1.2%であり、透明性に優れていた。
また、前記ポリエステルOのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップとを、ポリエステルO/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.75dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルOとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.77dl/g)との差は0.02dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.5%、ヘイズが3.1%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルOとポリエステルBの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例15
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の組成を100//80/20(モル比)に調製したスラリーを連続的に供給し、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、圧力0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。次いで、この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
エステル化反応後に得られたオリゴマーは、末端カルボキシル基濃度が380eq/tonであった。このオリゴマーに、生成ポリエステルに対し、(1)三酸化アンチモンが0.02モル%、(2)酢酸亜鉛2水和物が0.015モル%、(3)リン酸トリメチルが0.015モル%となるように、三酸化アンチモンの12g/LのEG溶液、酢酸亜鉛2水和物の50g/LのEG溶液、リン酸トリメチルの65g/LのEG溶液を、それぞれ別々の供給口から第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルPは、チップの水分率が29ppm、ファイン粒子の含有量が30ppm、粗大副生物の含有量が0.08重量%であった。
また、ポリエステルPは、固有粘度は0.78dl/gであり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.5/30.5/1.0(モル比)からなる組成を有し、非晶性であった。このポリエステルPの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステルP中の触媒及び添加剤の組成は、Sb/Zn/P=0.0195/0.0150/0.0145(モル%)であり、Zn/Pモル比(M2/P)は1.03であった。
さらに、ポリエステルPは、カラーL値が53、カラーb値が1.0であり、色調に優れていた。次に、ポリエステルPを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板を得た。この成形板のヘイズは1.4%であり、透明性に優れていた。
また、前記ポリエステルPのチップと、実施例1で得たポリエステルBのチップとを、ポリエステルP/ポリエステルB(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.74dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルPとポリエステルBとのチップ混合物の固有粘度(0.77dl/g)との差は0.03dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.9%、ヘイズが6.0%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルPとポリエステルBの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例16
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を17モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0に調整したスラリーを、生成ポリエステルとして1ton/hの生産量となるように連像的に供給した。
さらに、生成ポリエステルに対し、チタニウムテトラブトキシドをチタン原子として3ppm、結晶性二酸化ゲルマニウムをゲルマニウム原子として50ppm、酢酸コバルト4水和物をコバルト原子として35ppm含有するように、チタニウムテトラブトキシドの250g/Lのn−ブタノール溶液、結晶性二酸化ゲルマニウムの8g/Lの水溶液として、酢酸コバルト4水和物の50g/LのEG溶液を、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、250℃の条件下で、平均滞留時間が4時間となるように反応を行った。
この反応物を第2エステル化反応缶に移送した。さらに、リン酸トリメチルを65g/Lのエチレングリコール溶液として、生成ポリエステルに対してリン原子として50ppm含有するように第2エステル反応缶に連続的に供給し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、260℃の条件下で、平均滞留時間が2時間となるようにエステル化反応を行なった。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルQは、チップの水分率が40ppm、ファイン粒子の含有量が35ppm、粗大副生物の含有量が0.07重量%であった。
また、ポリエステルQは、固有粘度が0.74dl/gであり、TPA//EG/NPG/DEG=100//68/30/2(モル%)からなる組成を有し、非晶性であった。このポリエステルQの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステルQ中の触媒及び添加物由来の各原子の含有量は、Ti/Ge/Co/P=3/50/35/50(ppm)であり、(Ti/0.06+Ge/3.33)は65、Ti/Coは0.086、(Co+Ge)/Pは1.7であった。なお、ポリエステルに対する、チタン化合物(Ti(OC49))の量は0.0013モル%、ゲルマニウム化合物(GeO2)の量は0.014モル%であった。
また、ポリエステルQは、カラーL値が55、カラーb値が0.2であり、色調に優れていた。
次に、得られたポリエステルQを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板を得た。この成形板のヘイズは0.7%であり、透明性に非常に優れていた。
また、前記ポリエステルQのチップと、実施例1で得たポリエステルAのチップとを、ポリエステルA/ポリエステルQ(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.71dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルAとポリエステルQとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.04dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.2%、ヘイズが3.9%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルAとポリエステルQの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実施例17
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、ジカルボン酸成分として高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール(EG)を83モル%及びネオペンチルグリコール(NPG)を17モル%、ジカルボン酸成分に対する全グリコール成分のモル比を2.0に調整したスラリーを、生成ポリエステルとして1ton/hの生産量となるように連続的に供給した。
さらに、生成ポリエステルに対して、三酸化アンチモンが0.012モル%、及び結晶性二酸化ゲルマニウムが0.006モル%含有するように、三酸化アンチモンの12g/LのEG溶液及び、結晶性二酸化ゲルマニウムの0.8g/Lの水溶液を、第1エステル化反応缶に連続的に供給し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、250℃の条件下で、平均滞留時間が4時間となるようにエステル化反応を行った。
この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、生成ポリエステルに対してリン酸トリメチルが0.021モル%含有するように、リン酸トリメチルの65g/LのEG溶液を、第2エステル反応缶に連続的に供給し、攪拌下、缶内圧力0.05MPa、260℃の条件下、平均滞留時間が2時間となるようにエステル化反応を行った。
得られたオリゴマーを連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。得られたポリエステルRは、チップの水分率が30ppm、ファイン粒子の含有量が30ppm、粗大副生物の含有量が0.08重量%であった。
また、ポリエステルRは、固有粘度は0.74dl/gであり、TPA//EG/NPG/DEG=100//69/30/1(モル%)からなる組成を有し、非晶性であった。このポリエステルRの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、反応中の副生成物である。また、ポリエステルR中の触媒及び添加物由来の金属含有量は、Sb/Ge/P=135/20/30(ppm)であり、(Sb/3.90+Ge/1.67)は47、Ge/Pは0.7であった。なお、共重合ポリエステルに対する、アンチモン化合物(Sb23)の量は0.011モル%、ゲルマニウム化合物(GeO2)の量は0.0056モル%であった。
さらに、ポリエステルRは、カラーL値は55、カラーb値は2.0であり、色調は良好であった。次に、ポリエステルRを用いて射出成形を行い、厚さ5mmの成型板を得た。この成形板のヘイズは3.4%であり、透明性に優れていた。
また、前記ポリエステルRのチップと、実施例1で得たポリエステルAのチップとを、ポリエステルA/ポリエステルR(重量比)が70/30となるように混合して、実施例1と同様にして、厚み45μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの固有粘度は0.72dl/gであり、フィルム原料に用いたポリエステルAとポリエステルRとのチップ混合物の固有粘度(0.75dl/g)との差は0.03dl/gであった。すなわち、ポリエステルの分子量低下は小さかった。また、フィルムは、破断率(機械的強度)が0.1%、ヘイズが2.8%であり、ともに良好であった。さらに、フィルムを構成するポリマー組成は、フィルム製造開始時からフィルム製造終了時までの範囲で変動は見られず、ポリエステルAとポリエステルRの各組成、及びそれらの混合比から算出される目標のポリマー組成と同じであった。
実験例1
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)を100モル%、エチレングリコール(EG)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)とのモル比を80/20に調整し、かつEGとCHDMとの合計量(G)とTPA量(A)とのモル比(G/A)を2.0に調製したスラリーを連続的に供給し、攪拌下、250℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第3エステル化反応缶に移送し、攪拌下、260℃、大気圧の条件下で所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
この時得られたオリゴマーは、AVoが380eq/ton、OHVoが1200eq/ton、OH%が0.76であった。このオリゴマーに、三酸化アンチモンが0.022モル%となるように、三酸化アンチモンの12g/LのEG溶液を、第3エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、4500Paで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、270℃、500Paで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、280℃、80Paで1時間重縮合させ、得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。
得られたポリエステルSは、固有粘度が0.78dl/gであり、重合度が高い共重合ポリエステルを、生産性良く得ることができた。
また、ポリエステルSは非晶性であり、TPA//EG/CHDM/DEG=100//68.5/30.5/1.0(モル比)からなる組成を有し、三酸化アンチモンを0.022モル%含有していた。なお、このポリエステルSの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は反応中の副生成物である。また、ポリエステルSのカラーL値は40、カラーb値は1.0であった。
実験例2
連続式の重合設備を使用した。
予め反応物が残存している第1エステル化反応缶に、高純度テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)、及びネオペンチルグリコール(NPG)の添加量比が、TPA//EG/NPG=100//83/17(モル比)であり、全グリコール成分/全酸成分比(G/A)を1.7に調製したスラリーを、生成ポリエステルとして1ton/h連続的に供給し、さらに生成ポリエステルに対して三酸化アンチモンが0.025モル%となるように、三酸化アンチモンの12g/LのEG溶液を、連続的に供給した。次いで、攪拌下、255℃、0.05MPaの条件下で、平均滞留時間が3.5時間となるようにエステル化反応を行った。この反応物を第2エステル化反応缶に移送した。さらに、攪拌下、260℃、常圧の条件下で、平均滞留時間が1時間となるようにエステル化反応を行い、所定のエステル化率に到達するまでエステル化反応を行った。
この時得られたオリゴマーは、AVoが490eq/ton、OHVoが1230eq/ton、OH%が0.72であった。
次いで、生成ポリエステルに対してリン酸トリメチルが0.007モル%、及び酢酸コバルト4水和物が0.007モル%となるように、リン酸トリメチルの65g/LのEG溶液、及び酢酸コバルト4水和物の50g/LのEG溶液を、それぞれ別々の供給口から第2エステル化反応缶に連続的に供給した。
このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応缶に供給し、攪拌下、265℃、35hPaで1時間、次いで第2重縮合反応缶で、攪拌下、265℃、5hPaで1時間、さらに最終重縮合反応缶で、攪拌下、275℃、0.5〜1.5hPaで1時間重縮合させた。次いで、得られたポリエステルを、実施例1と同様にしてペレタイズし乾燥した。
得られたポリエステルTは、固有粘度が0.75dl/gであり、重合度が高い共重合ポリエステルを、生産性良く得ることができた。
また、ポリエステルTは非晶性であり、TPA//EG/NPG/DEG=100//70.2/28.3/1.5(モル比)からなる組成を有し、ポリエステルT中の触媒及び添加剤の組成比はSb/P/Co=0.0245/0.007/0.007(モル%比)であった。なお、このポリエステルTの組成において、DEG(ジエチレングリコール)は、共重合ポリエステル製造時の副生成物である。
産業上の利用の可能性
本発明の非晶性ポリエステルチップは、水分率が十分に低く、かつ、ファイン粒子の含有量が十分に少ないことにより、偏析、分子量低下及び結晶化が抑制され、その結果、優れた機械的強度と透明性を有し、かつ、ポリマー組成の変動が小さい、高品質の成形品を得ることができる。また、水分率及びファイン粒子の含有量のみならず、粗大副生物が極めて少ないことにより、良好な加工操業性によって、高品質の成形品を得ることができる。
また、特定の共重合ポリエステルのチップでは、透明性が高く、良好な溶剤接着性を有することから、それから得られるフィルムは熱収縮フィルム用として特に好適なものとなる。すなわち、透明性が高く、かつ、良好な溶剤接着性を有する非晶性ポリエステルフィルムを提供できる。
また、特定の共重合ポリエステルのチップでは、成形性に優れ、未溶融の異物量が少なく、かつ静電密着性に優れることから、フィルムのみならず、中空成形容器、エンジニアリングプラスチック、繊維等の各種成形品用の材料として有用である。
本出願は、日本で出願された特願2002−109688を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含される。

Claims (16)

  1. 水分率が300ppm以下、ファイン粒子の含有量が500ppm以下であることを特徴とする、非晶性ポリエステルチップ(但し、密度が1.37g/cm 以上のポリエステルのチップを除く。)
  2. 粗大副生物の含有量が2重量%以下である請求項1記載の非晶性ポリエステルチップ。
  3. エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレート又はネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルのチップである、請求項1又は2記載の非晶性ポリエステルチップ。
  4. 主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸からなり、全グリコール成分中エチレングリコールを50〜85モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはネオペンチルグリコールを12〜45モル%、ジエチレングリコールを1.5〜7.0モル%含む共重合ポリエステルのチップである、請求項3記載の非晶性ポリエステルチップ。
  5. 共重合ポリエステルが、重合触媒として、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物から選ばれる少なくとも一種を使用して得られたポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アンチモン化合物を0.009モル%以上、ゲルマニウム化合物を0.005モル%以上、又はチタン化合物を0.002モル%以上のいずれかを満足し、かつアンチモン化合物を0.045モル%以下、ゲルマニウム化合物を0.075モル%以下、及びチタン化合物を0.023モル%以下のいずれをも満足する量を含有し、さらに固有粘度が0.70〜0.85dl/gのポリエステルである、請求項3記載の非晶性ポリエステルチップ。
  6. 共重合ポリエステルが、エチレンテレフタレートと、1,4−ジメチレン−シクロヘキサンテレフタレートとを主たる繰り返し単位とし、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物及びリン化合物を含有するポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アルカリ金属化合物(M1)、アルカリ土類金属化合物(M2)、及びリン化合物(P)を、下記式(I)〜(IV)を満足する範囲で含有するポリエステルである、請求項3記載の非晶性ポリエステルチップ。
    0.005≦M1(モル%)≦0.029 ・・・(I)
    0.045≦M2(モル%)≦0.225 ・・・(II)
    1.67≦M2/M1(モル比)≦45 ・・・(III)
    0.5≦(M1+M2)/P(モル比)≦3.0 ・・・(IV)
  7. 共重合ポリエステルが、エチレンテレフタレートと、ネオペンチルテレフタレートとを主たる繰り返し単位とし、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン化合物を含有するポリエステルであって、当該ポリエステルに対し、アルカリ金属化合物(M1)、アルカリ土類金属化合物(M2)、及びリン化合物(P)を、下記式(V)〜(VII)を満足する範囲で含有するポリエステルである、請求項3記載の非晶性ポリエステルチップ。
    0.005≦M1(モル%)≦0.050 ・・・(V)
    0.05≦M2(モル%)≦0.40 ・・・(VI)
    1.0≦M2/P(モル比)≦3.5 ・・・(VII)
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の非晶性ポリエステルチップを防湿容器に収容し、密封してなる、防湿容器入り非晶性ポリエステルチップ。
  9. 溶融重合して得られた非晶性ポリエステル(但し、密度が1.37g/cm 以上のポリエステルを除く。)を冷却後、切断して得られたチップを、流動床式乾燥装置の処理槽内に投入し、通過させる際に、乾燥ガスを通気させてチップを乾燥させることを特徴とする非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  10. 乾燥装置の処理槽内に通気させる乾燥ガスの水分率が100ppm以下である、請求項9記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  11. 乾燥装置の処理槽内の温度が、室温以上、かつ、非晶性ポリエステルのガラス転移温度よりも10℃以上低い温度である、請求項9又は10記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  12. 溶融重合して得られた非晶性ポリエステルを冷却後、切断して得られたチップを、ドライヤー乾燥装置の処理槽内で真空乾燥又は真空下、少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥させた後、外気と接触させることなくファイン粒子除去装置に移送してファイン粒子を除去することを特徴とする非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  13. 乾燥装置の処理槽内に通気させる乾燥ガスの水分率が100ppm以下である、請求項12記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  14. 乾燥装置の処理槽内の温度が、室温以上で、かつ、非晶性ポリエステルのガラス転移温度よりも10℃以上低い温度である、請求項12又は13記載の非晶性ポリエステルチップの製造方法。
  15. 請求項9〜14のいずれかに記載の方法で製造された非晶性ポリエステルチップを外気と接触させることなく防湿容器に入れて保存することを特徴とする非晶性ポリエステルチップの保存方法。
  16. 請求項1〜8のいずれかに記載の非晶性ポリエステルチップをフィルム原料の一部又は全部に使用し、成形して得られるポリエステルフィルム。
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