JP3599010B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくはラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性プラスチックフィルムは、加熱によって収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベル、キャップシール等の用途に広く用いられている。なかでも、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエステル系フィルム等の延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器等の各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
【0003】
しかしポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器等の収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際に、ラベルと容器とを分離しなければならないという問題がある。
【0004】
一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない。また、ポリスチレン系フィルムは、高温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が発生するという問題がある。
【0005】
これらの問題のないポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向にある。
【0006】
しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムも、その収縮特性においてはさらなる改良が求められていた。特に、収縮時に、収縮斑やシワが発生して、収縮前のフィルムに印刷した文字や図柄が、PETボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶等の容器に被覆収縮した後に歪むことがあり、この歪みを可及的に小さくしたいというユーザーサイドの要望があった。また収縮応力が小さく、容器へのフィルムの密着性に劣ることがあった。
【0007】
さらには熱収縮性ポリスチレン系フィルムと比較すると、ポリエステル系フィルムは低温での収縮性に劣ることがあり、必要とする収縮量を得るために高温で収縮させなければならず、ボトル本体の変形や白化が生じることがあった。
【0008】
ところで、熱収縮性フィルムを実際の容器の被覆加工に用いる際には、必要に応じて印刷工程に供した後、ラベル(筒状ラベル)、チューブ、袋等の形態に加工する。これら加工フィルムは、容器に装着した後、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコンベアー等にのせて通過させ、熱収縮させて容器に密着させている。
【0009】
スチームトンネルは、熱風トンネルよりも伝熱効率が良く、より均一に加熱収縮させることが可能であり、熱風トンネルに比べると良好な収縮仕上がり外観を得ることができるが、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムに比べると、スチームトンネルを通過させた後の収縮仕上がり性が余り良くないという問題があった。
【0010】
また熱収縮の際に温度斑が生じやすい熱風トンネルを使用すると、ポリエステル系フィルムでは、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み等が発生し易く、特に収縮白化が製品外観上問題となっていた。そして、この熱風トンネルを通過させた後の収縮仕上がり性においても、ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィルムよりも劣っているという問題があった。
【0011】
さらに、収縮率を確保するために延伸度合いを高めると、収縮方向に直交する方向でフィルムが破断し易くなって、印刷工程やラベル加工工程、あるいは収縮後のフィルムの破断トラブルが起こることがあり、このようなトラブルについても改善が嘱望されていた。
【0012】
さらに熱収縮性フィルムは、上記収縮仕上がり性の他に、生産性を高めることも要求され、さらには品質の観点から透明性が高いこと、並びにフィルム厚みが均一であることも要求される。生産性を高めるためには、溶融押出ししたフィルムをキャスティングロールによって冷却する際に、フィルムとロールとを静電気的に密着させて冷却効率を高め、キャスト速度を高めることが考えられる。なおフィルムをロールに静電密着させれば、フィルム表面の不具合(ピンナーバブルの発生など)を低減でき、さらにはフィルムの厚みを均一化することも容易である。フィルムをロールに静電密着させるためには、ロールに接触する前の押出し直後の溶融状フィルムにおいて、その表面にいかに多くの電荷担体を存在させるかが重要である。電荷担体を多くするためには、ポリエステルを改質してその比抵抗を低くすることが有効であり、多大の努力が払われている。例えば、特公平3−54129号公報には、ポリエチレンテレフタレート(PET)製造時にマグネシウム化合物、ナトリウム又はカリウム化合物、及びリン化合物を添加し、Mg原子の濃度を30〜400ppm、Na原子又はK原子の濃度を3.0〜50ppm、MgとPとの原子数比(Mg/P)を1.2〜20にすることによって、PETフィルムの比抵抗値を低くすることが開示されている。この公報には、さらにエステル化率20〜80%の時点でマグネシウム化合物を添加し、固有粘度が0.2に達するまでの間にナトリウム又はカリウム化合物を添加し、エステル化率が90%以上進行した時点から固有粘度が0.2に達するまでの間にリン化合物を添加することによって不溶性異物の生成を抑制し、フィルムの品質を向上させている。
【0013】
一方、特表2000−504770号公報に開示されているように、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合させたポリエステルは、透明性と明度とに優れており注目されている。しかしこの共重合性ポリエステルは比抵抗値が高いため、フィルムの生産性や品質を向上させる観点から、静電密着性を向上するための改質が必要である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記CHDMを共重合させたポリエステルにおいて、前記PETで開発された方法(特公平3−54129号公報)をそのまま適用しても、ポリマーの原料も性質も異なるため、その有効性は疑わしい。すなわちCHDMを共重合させたポリエステルはPETに比べて熱的性質(融点・結晶化温度・ガラス転移温度など)が大きく異なり、耐熱性が低い。そのためCHDMを共重合させたポリエステルでは、溶融比抵抗値を下げるために添加剤を添加すると、熱的性質が大きく変化して耐熱性がさらに低下し、ポリエステルが着色したり、粘度低下(分子量低下)が起こり易くなると考えるのが普通である。
【0015】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、耐熱性を低下させることなく、低温において優れた収縮特性を有すると共に、収縮仕上がり性に優れ、かつ生産性及び品質(ピンナーバブルの抑制、厚みの均一性など)に優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討したところ、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、アルカリ金属化合物などは、他の添加剤とは異なり、CHDMを共重合させたポリエステルの耐熱性を意外にも低下させないこと、そのため耐熱性を低下させることなく溶融比抵抗値を下げてポリエステル系フィルムの生産性及び品質を高めることができること、さらには前記フィルムの延伸条件を制御するとポリエステル系フィルムの厚みの均一性をさらに高めることができることを見出し、本発明を完成した。
【0017】
すなわち本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、多価アルコール成分100モル%のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上であり、下記(1)、(2)及び(3)の特性を有する点に要旨を有するものである。
【0018】
(1)10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上
(2)温度275℃における溶融比抵抗値が0.70×108Ω・cm以下
(3)フィルムの最大収縮方向に対する厚みの変位を、前記最大収縮方向の長さが50cm、幅が5cmの試験片を用いて測定したとき、下記式で表される厚み分布が7%以下
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
前記特性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムは、低温から高温までの幅広い温度域において、優れた収縮仕上がり性(収縮白化の抑制、収縮斑の抑制、シワの抑制、歪みの抑制、及び/又はタテヒケの抑制など)を有しており、熱収縮後の外観を美麗にできる。しかも静電密着性に優れており、生産性(生産速度)を高めることができ、さらには品質(ピンナーバブルの抑制、厚みの均一性など)も向上できる。
【0019】
前記フィルムは、アルカリ土類金属原子M2及びリン原子Pを含有しているのが好ましく[含有量:アルカリ土類金属原子M2は、例えば、40〜400ppm(質量基準)程度、リン原子Pは、例えば、60〜600ppm(質量基準)程度]、フィルム中のアルカリ土類金属原子M2と、リン原子Pとの質量比(M2/P)が1.2〜5.0であるのが好ましい。質量比(M2/P)を前記範囲に制御すると、溶融比抵抗値を低減できるだけでなく、フィルム中の異物も低減できる。
【0020】
前記フィルムは、さらにアルカリ金属原子M1を0〜100ppm(質量基準)程度含有しているのが望ましい。これによりさらに溶融比抵抗値を低減できる。
【0021】
なお多価アルコール成分100モル%中の前記1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合は、10〜80モル%であるのが望ましい。この範囲に1,4−シクロヘキサンジメタノールの割合を制御すると、収縮仕上がり性、特に収縮白化の抑制性を著しく向上できる。
【0022】
前記フィルムは、フィルムの最大収縮方向に対する厚みの変位を、前記最大収縮方向の長さが50cm、幅が5cmの試験片を用いて測定したとき、下記式で表される厚み分布が7%以下であるのが好ましい。
【0023】
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
前記範囲に厚み分布を制御すると、フィルムに多色印刷する際に、加工性に優れ、さらには色ズレを高度に防止できる。
【0024】
前記フィルムは、フィルムの最大収縮方向についての熱収縮試験を、90℃の熱空気中、試験片幅20mm、チャック間距離100mmの条件で行ったとき、最大熱収縮応力値が、通常、3MPa以上である。
【0025】
前記熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリエステルを溶融・製膜し、延伸することにより製造することができる。特に本発明では、前記ポリエステルとしてアルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物を含むポリエステルを使用すると共に、前記延伸に際してフィルムの表面温度を平均温度±1℃以内に制御している。アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物によってフィルムの溶融比抵抗値を低減することができ、フィルムの生産性(生産速度)及び品質(ピンナーバブルの抑制、厚みの均一性など)を向上できる。しかも延伸の際のフィルムの表面温度を厳密に管理しているため、厚みの均一性をさらに高めることができる。
【0026】
前記ポリエステルとしては、少なくともエステル化工程の後の時期に、アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物を添加したものを用いるのが望ましい。これら化合物の添加時期をエステル化工程の後とすることにより、それ以前に添加する場合に比べて不溶性異物の生成量を低減できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、直ちに25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上である。フィルムの熱収縮率が20%未満であると、容器等に被覆収縮させたときにフィルムの熱収縮量が不足して、外観不良が発生するため好ましくない。より好ましい熱収縮率は30%以上、さらに好ましくは40%以上である。熱収縮率の上限値は80%(特に75%)が好ましい。
【0028】
ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向(または斜め方向)の長さで決められる。また、熱収縮率(%)は、10cm×10cmの試料を、85℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸漬した後の、フィルムの縦および横方向(または斜め方向)の長さを測定し、下記式
熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
に従って求めた値である。
【0029】
熱収縮性ポリエステル系フィルムは、最大収縮方向の熱収縮応力値(最大熱収縮応力値)が高い程好ましい。熱収縮応力値が高いと、容器を被覆した後でフィルム(ラベルなど)の緩みを防止でき、フィルムの機械的強度不足による耐破れ性の悪化を防止できる。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの最大熱収縮応力値は、90℃の熱空気中、試験片幅20mm、チャック間距離100mmの条件で熱収縮試験を行ったとき、通常、3MPa以上、好ましくは3.5MPa以上、さらに好ましくは4MPa以上である。
【0030】
なお前記最大熱収縮応力値は、以下のようにして測定する。
【0031】
(1)熱収縮性フィルムから、最大収縮方向の長さが200mm、幅20mmの試験片を切り出す
(2)熱風式加熱炉を備えた引張試験機(例えば、東洋精機製「テンシロン」)の加熱炉内を90℃に加熱する
(3)送風を止め、加熱炉内に試験片をセットする。チャック間距離は100mm(一定)とする
(4)加熱炉の扉を速やかに閉めて、送風を再開し、熱収縮応力を検出・測定する
(5)チャートから最大値を読み取り、これを最大熱収縮応力値(MPa)とする
前記所定の熱収縮率を達成するためには、ポリエステル系フィルムの組成を調整するのが有効である。またポリエステル系フィルムの組成を調整することによって、最大熱収縮応力値を前記所定の範囲に制御することもできる。すなわち、詳細は後述するが、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、結晶性ユニット(エチレンテレフタレートユニットなど)をポリエステルのベース成分とすることが望ましい。前記結晶性ユニットは、ポリエステル系フィルムの結晶化度を高める役割があるため、フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等を発揮させることができる。ところが結晶性ユニットだけでは、熱収縮性が低い。そこで本発明では、ポリエステル系フィルムの組成を調整して、非晶化度合いを高め、熱収縮性を高めている。
【0032】
より詳細には、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、単独又は複数のポリエステルを用いて得られるフィルムであり、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分と、多価アルコール成分とを含んでいる。そして多価アルコール成分は、多価アルコール成分全体(100モル%)に対して、5モル%以上の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を含有するように調製されている。1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の割合を5モル%以上にすると、フィルムの非晶化度合いを高めることができ、所定の熱収縮率を達成することができる。また所定の最大熱収縮応力値を達成することも可能である。さらには収縮仕上がり性(収縮白化の抑制、収縮斑の抑制、シワの抑制、歪み抑制、及び/又はタテヒケの抑制など)も高めることができる。なお熱収縮性フィルムは、溶剤(テトラヒドロフランや1,3−ジオキソランなど)を用いて接着することにより、ラベル(筒状ラベル)、チューブ、袋等の形態に加工することが多いが、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の割合を5モル%以上にすると、通常、溶剤接着性も高めることができる。しかもフィルムの透明性を高めることができる場合も多い。
【0033】
ところで、従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいては、熱収縮工程でフィルムが加熱されてある温度まで到達した場合、フィルムを構成するポリエステルの組成によっては熱収縮率が飽和してしまい、それ以上高温に加熱しても、それ以上の収縮が得られないことがある。このようなフィルムは、比較的低温で熱収縮することができる利点があるが、前記熱風トンネルで熱収縮させた場合や、熱収縮前に30℃以上の雰囲気下で長期間保管した後で熱収縮させた場合に、収縮白化現象が起こり易い。この収縮白化現象は、ポリエステルの分子鎖が部分的に結晶化して、結晶部分の光の屈折率が非晶部分と異なるため、起こるのではないかと考えられる。
【0034】
しかし本発明者等は、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の割合を10モル%以上とすることで、上記収縮白化を著しく抑制し得ることを見出した。さらに収縮斑も著しく抑制できる。1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の量は12モル%以上がより好ましく、14モル%以上がさらに好ましい。
【0035】
一方、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分は80モル%以下に抑制することが望まれる。1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が多すぎると、フィルムの収縮率が必要以上に高くなり過ぎて、熱収縮工程でラベルの位置ずれや図柄の歪みが発生する恐れがある。また、フィルムの耐溶剤性が低下するため、印刷工程でインキの溶媒(酢酸エチル等)によってフィルムの白化が起きたり、フィルムの耐破れ性が低下するため好ましくない。従って、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分は70モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。
【0036】
なお本発明のフィルムは、前記1,4−シクロヘキサンジメタノール成分以外の他の多価アルコール成分を含有していてもよい。多価アルコール成分は、ジオール成分であってもよく、三価以上のアルコール成分であってもよい。ジオール成分を形成するジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物などのエーテルグリコール類;ダイマージオールなどが含まれる。三価以上のアルコールには、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどが含まれる。
【0037】
またジカルボン酸成分を形成するジカルボン酸類としては、芳香族ジカルボン酸、そのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、ダイマー酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等が挙げられる。
【0038】
なお前記ジカルボン酸類に加えて、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の三価以上のカルボン酸を必要に応じて併用してもよい。
【0039】
またポリエステルは、必ずしも前記ジカルボン酸類及び多価アルコールから製造する必要はなく、ラクトン類(ε−カプロラクトンなど)の開環重合によって製造してもよい。前記ジカルボン酸成分及び多価アルコール成分中の各成分の割合(モル%)を算出する場合、ラクトン類の開環成分は、ジカルボン酸成分及び多価アルコール成分のいずれにも該当するものとして計算する。
【0040】
フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等を考慮すれば、ポリエステル中の結晶性ユニット(エチレンテレフタレートユニットなど)が20モル%以上になるようにポリエステルを選択することが好ましい。従って、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸成分は20モル%以上であるのが好ましい。また多価アルコール成分100モル%中、エチレングリコール成分は20モル%以上であるのが好ましい。結晶性ユニットは、30モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましい。ただし、本発明では、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が5モル%以上であるため、エチレングリコール成分は95モル%以下である。
【0041】
そして本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、前記収縮特性や収縮仕上がり性に優れるだけでなく、溶融比抵抗値が低いために、生産性やフィルム品質にも優れる。すなわち本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは溶融比抵抗値が0.70×108Ω・cm以下である。溶融比抵抗値が小さいと、押出し機から溶融押し出ししたフィルムをキャスティングロールで冷却するに際して、ロールに対するフィルムの静電密着性を高めることができる。そのため冷却固化の安定性を高めることができ、キャスティング速度(生産速度)を高めることができる。溶融比抵抗値は好ましくは0.65×108Ω・cm以下、さらに好ましくは0.60×108Ω・cm以下である。
【0042】
さらに溶融比抵抗値が低く、静電密着性が高いと、フィルム品質を高めることもできる。すなわち静電密着性が低いと、フィルムの冷却固化が不完全となって、キャスティングロールとフィルムとの間に局部的にエアーが入り込み、フィルム表面にピンナーバブル(スジ状の欠陥)が発生する虞があるのに対して、静電密着性に優れると前記ピンナーバブルを低減することができ、フィルム外観を高めることができる。
【0043】
加えて溶融比抵抗値が十分に低く、静電密着性が十分に高い場合、フィルムの厚みを均一化できる。すなわちキャスティングロールへの静電密着性が低いと、キャスティングした未延伸フィルム原反の厚みが不均一化し、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムにおいては厚みの不均一性がより拡大されてしまうのに対して、静電密着性が十分に高い場合には、延伸フィルムにおいても厚みを均一化できる。しかも本発明では、後述するように、フィルムの延伸条件を制御しているため厚みの均一性をさらに高めることができる。
【0044】
なお厚みの均一性については、下記式で表される厚み分布によって評価できる。
【0045】
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
前記最大厚み、最小厚み、及び平均厚みは、前記最大収縮方向の長さが50cm、幅が5cmとなるようにフィルムから試験片を切り取り、接触式厚み計を用いて最大収縮方向に対する厚みの変位を測定することによって求めることができる。
【0046】
本発明のフィルムの厚み分布は、7%以下、好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4.5%以下(例えば、4%以下)である。フィルムに多色印刷する際に厚み分布が大きすぎると、フィルムにシワが入り易くなったり、フィルム走行中に蛇行が発生し易くなるため、加工性が低下し、さらには色ズレが生じる。さらに溶剤接着によってフィルムをチューブ等に加工する際にも、接着部分の重ね合わせが困難になる。加えてフィルムをロール状に巻いた状態で部分的な巻き硬度の差が発生する場合があり、フィルムに弛みや皺が発生し、フィルムの外観を大きく損なう。
【0047】
そして本発明では、フィルムの溶融比抵抗値を上記範囲に制御するため、フィルム中にアルカリ土類金属化合物と、リン含有化合物とを含有させている。アルカリ土類金属化合物だけでも溶融比抵抗値を下げることができるが、リン含有化合物を共存させると溶融比抵抗値を著しく下げることができる。アルカリ土類金属化合物とリン含有化合物とを組合わせることによって溶融比抵抗値を著しく下げることができる理由は明らかではないが、リン含有化合物を含有させることによって、異物の量を減少でき、電荷担体の量を増大できるためと推定される。
【0048】
フィルム中のアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例えば、40ppm(質量基準)以上、好ましくは50ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは60ppm(質量基準)以上である。アルカリ土類金属化合物の量が少なすぎると溶融比抵抗値を下げることができない。なおアルカリ土類金属化合物の含有量を多くし過ぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまい、むしろ異物生成や着色などの弊害が大きくなる。そのためアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例えば、400ppm(質量基準)以下、好ましくは350ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは300ppm(質量基準)以下である。
【0049】
フィルム中のリン化合物の含有量は、リン原子Pを基準にして、例えば、10ppm(質量基準)以上、好ましくは15ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは20ppm(質量基準)以上、特に60ppm(質量基準)以上である。リン化合物の量が少なすぎると、溶融比抵抗値を下げることが充分にできず、異物の生成量を低減することもできない。なおリン化合物の含有量を多くしすぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまう。さらにはジエチレングリコールの生成を促進してしまい、しかもその生成量をコントロールすることが困難であるため、フィルムの物性が予定していたものと異なる虞がある。そのためリン化合物の含有量は、リン原子Pを基準にして、例えば、600ppm(質量基準)以下、好ましくは500ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは450ppm(質量基準)以下、特に400ppm(質量基準)以下である。
【0050】
アルカリ土類金属化合物及びリン化合物でフィルムの溶融比抵抗値を下げる場合、フィルム中のアルカリ土類金属原子M2とリン原子Pとの質量比(M2/P)は、1.2以上(好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.4以上)であることが望ましい。質量比(M2/P)を1.2以上にすることによって、溶融比抵抗値を著しく低減できる。なお質量比(M2/P)が5.0を超えると、異物の生成量が増大したり、フィルムが着色したりする。そのため質量比(M2/P)は、5.0以下、好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
【0051】
フィルムの溶融比抵抗値をさらに下げるためには、前記アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物に加えて、フィルム中にアルカリ金属化合物を含有させるのが望ましい。アルカリ金属化合物は、単独でフィルムに含有させても溶融比抵抗値を下げることはできないが、アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物の共存系に追加することで、溶融比抵抗値を著しく下げることができる。その理由については明確ではないが、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン含有化合物の三者で錯体を形成することによって、溶融比抵抗値を下げているものと推定される。
【0052】
フィルム中のアルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属原子M1を基準にして、例えば、0ppm(質量基準)以上、好ましくは5ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは6ppm(質量基準)以上、特に7ppm(質量基準)以上である。なおアルカリ金属化合物の含有量を多くしすぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまい、さらには異物の生成量が増大する。そのためアルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属原子M1を基準にして、例えば、100ppm(質量基準)以下、好ましくは90ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは80ppm(質量基準)以下である。
【0053】
前記アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、脂肪族カルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族カルボン酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。またアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど(好ましくはマグネシウム)が挙げられる。好ましいアルカリ土類金属化合物には、水酸化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなど、特に酢酸マグネシウムが含まれる。前記アルカリ土類金属化合物は、単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
【0054】
前記リン化合物としては、リン酸類(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸など)、及びそのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)、並びにアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸及びそれらのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)が挙げられる。好ましいリン化合物としては、リン酸、リン酸の脂肪族エステル(リン酸のアルキルエステルなど;例えば、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノブチルエステルなどのリン酸モノC1−6アルキルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエステルなどのリン酸ジC1−6アルキルエステル、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステルなどのリン酸トリC1−6アルキルエステルなど)、リン酸の芳香族エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸のモノ、ジ、又はトリC6−9アリールエステルなど)、亜リン酸の脂肪族エステル(亜リン酸のアルキルエステルなど;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸のモノ、ジ、又はトリC1−6アルキルエステルなど)、アルキルホスホン酸(メチルホスホン酸、エチルホスホン酸などのC1−6アルキルホスホン酸)、アルキルホスホン酸アルキルエステル(メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチルなどのC1−6アルキルホスホン酸のモノ又はジC1−6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アルキルエステル(フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチルなどのC6−9アリールホスホン酸のモノ又はジC1−6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アリールエステル(フェニルホスホン酸ジフェニルなどのC6−9アリールホスホン酸のモノ又はジC6−9アリールエステルなど)などが例示できる。特に好ましいリン化合物には、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメチルなど)が含まれる。これらリン化合物は単独で、又は2種以上組合わせて使用できる。
【0055】
前記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族カルボン酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。またアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなど(好ましくはナトリウム)が挙げられる。好ましいアルカリ土類金属化合物には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど、特に酢酸ナトリウムが含まれる。
【0056】
ポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、ジカルボン酸とグリコール類とを直接反応させて得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用することができる。また、その他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。ポリエステルの重合度は、固有粘度にして0.5〜1.3dl/gのものが好ましい。
【0057】
重合触媒としては、慣用の種々の触媒が使用でき、例えば、チタン系触媒、アンチモン系触媒、ゲルマニウム系触媒、スズ系触媒、コバルト系触媒、マンガン系触媒など、好ましくはチタン系触媒(チタニウムテトラブトキシドなど)、アンチモン系触媒(三酸化アンチモンなど)、ゲルマニウム系触媒(二酸化ゲルマニウムなど)、コバルト系触媒(酢酸コバルトなど)などが挙げられる。
【0058】
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン含有化合物の添加時期は特に限定されず、エステル化反応前、エステル化中、エステル化終了から重合工程開始までの間、重合中、及び重合後のいずれの段階であってもよいが、好ましくはエステル化工程の後の任意の段階、さらに好ましくはエステル化終了から重合工程開始までの間である。エステル化工程の後にアルカリ土類金属化合物、リン含有化合物(及び必要に応じてアルカリ金属化合物)を添加すると、それ以前に添加する場合に比べて異物の生成量を低減できる。
【0059】
また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子をフィルム原料に添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等を添加することもできる。
【0060】
ポリエステル系フィルムは、後述する公知の方法で得ることができるが、熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、多価アルコール成分を特定の範囲に制御する手段としては、共重合ポリエステル(コポリエステル)を単独で使用する方式と、複数のポリエステルをブレンドする方式[例えば、互いに異なる複数のホモポリエステルをブレンドする方式;ホモポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)と共重合ポリエステルとをブレンドする方式;互いに異なる複数の共重合ポリエステルをブレンドする方式など]がある。
【0061】
共重合ポリエステルを単独で使用する方式では、上記特定組成の多価アルコール成分を含む共重合ポリエステルを用いればよい。一方、複数のポリエステルをブレンドする方式は、ブレンド比率を変更するだけでフィルムの特性を容易に変更でき、多品種のフィルムの工業生産にも対応できるため、好ましく採用することができる。
【0062】
具体的なフィルムの製造方法としては、原料ポリエステルチップをホッパドライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップをベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に押し出す。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出した溶融状フィルムは、キャスティングロールで急冷して未延伸フィルムを得る。
【0063】
そして本発明では、前記押出機とキャスティングロールの間に電極を配設し、電極とキャスティングロールとの間に電圧を印加し、静電気的にフィルムをロールに密着させている。
【0064】
前記のようにして得られた未延伸フィルムは、延伸処理することにより、熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造できる。延伸処理のタイミングは特に限定されず、例えば、前記冷却用ロール(キャスティングロールなど)による冷却後、一旦ロール状に巻き取り、このロールからフィルムを引き出して延伸処理してもよく、該冷却後、ロール状に巻き取ることなく連続的に延伸処理してもよい。
【0065】
延伸方向(フィルムの最大収縮方向)は、フィルムの横(幅)方向であってもよく、フィルムの縦方向(長手方向)であってもよいが、延伸方向をフィルムの横(幅)方向にすることが生産効率の点で実用的であるため、以下、延伸方向(最大収縮方向)を横方向とする場合の延伸法を例にとって説明する。なお、延伸方向(フィルムの最大収縮方向)をフィルム縦(長手)方向とする場合は、下記方法における延伸方向を90゜変える等、通常の操作に準じて延伸すればよい。
【0066】
横方向に延伸する場合、テンターなどの慣用の延伸手段を用いて延伸処理することができる。
【0067】
最大収縮方向(この例では、横方向)の延伸倍率は、熱収縮率を20%以上にできる限り特に限定されず、フィルムの組成に応じて適宜選択できるが、例えば、2〜8倍程度、好ましくは2.3〜7.3倍程度、さらに好ましくは2.5〜6.0倍程度である。延伸温度は、通常の方法に従って設定できる。
【0068】
なお延伸は、最大収縮方向(この例では、横方向)のみに延伸する1軸延伸に限定されず、前記最大収縮方向と異なる方向(例えば、直交方向;この例では、フィルムの縦方向)にも延伸する2軸延伸を行ってもよい。異方向(この例では、縦方向)への延伸倍率は、前記最大収縮方向(横方向)への延伸倍率以下であればよく、例えば、1倍〜4倍程度、好ましくは1.1倍〜2倍程度である。2軸延伸のタイミングは特に限定されず、例えば、逐次2軸延伸、同時2軸延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行ってもよい。また、逐次2軸延伸を行う場合、延伸順序も特に限定されず、縦横、横縦、縦横縦、横縦横など、いずれの順序で延伸してもよい。
【0069】
延伸処理後は、50℃〜110℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるいは0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じて40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理をするのが望ましい。
【0070】
なお前記延伸処理に先立ってフィルムを予備加熱しておいてもよい。予備加熱では、例えば、ガラス転移温度(Tg)+0℃〜Tg+60℃程度の温度にフィルムを加熱する。
【0071】
そして本発明では、上記延伸を行うにあたっては、フィルム厚みを均一にするための種々の工夫を施している。すなわち本発明では、フィルム厚みを均一にするために(1)延伸の際のフィルム表面温度の均温化を行っている。また必要に応じて、(2)予備加熱(予熱)条件の制御、(3)延伸に伴う内部発熱の抑制、(4)延伸温度の制御などの手段も併用するのが望ましい。
【0072】
(1)延伸の際のフィルム表面温度の均温化
フィルムを延伸するに際してフィルムの表面温度の変動幅を小さくする(均温化する)と、フィルム全長に亘って同一温度で延伸や熱処理することができる。そのため厚みの均一性を高めることができ、さらにはフィルムの熱収縮挙動を均一にすることもできる。
【0073】
フィルムを延伸する際には、延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再延伸処理工程などの種々の工程を経てフィルムを延伸するため、これらの工程の全部で表面温度の変動幅を小さくするのが望ましいものの、少なくとも延伸工程で表面温度の変動幅を小さくすればフィルム厚みの均一性を高めることができる。
【0074】
前記表面温度の変動幅は、任意のポイントにおいてフィルムの表面温度を測定したときの各ポイントの温度が、例えば、フィルムの平均温度±1℃以内程度であることが好ましく、平均温度±0.5℃以内であることがさらに好ましい。
【0075】
フィルムを延伸する際には、前記各工程(延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再延伸処理工程など)のうち、少なくとも延伸工程を含む一部の工程又は全部の工程で、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる(均質化する)設備を用いるのが好ましい。特に、フィルム全長に亘って厚みを均一にするためには、予備加熱工程及び延伸工程において(さらに、必要に応じて延伸後の熱処理工程において)、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる設備を用いるのが好ましい。なお熱収縮率挙動を均一にする場合には、延伸工程において、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる設備を用いるのが好ましい。
【0076】
前記フィルム表面温度の変動を小さくできる設備としては、例えば、フィルムを加熱するための熱風の供給速度を制御するための風速制御手段(インバーターなど)を備えた設備、空気を安定的に加熱して前記熱風を調製するための加熱手段[500kPa以下(5kgf/cm2以下)の低圧蒸気を熱源とする加熱手段など]を備えた設備などが挙げられる。
【0077】
(2)予備加熱(予熱)条件の制御
予備加熱条件を制御する場合、フィルムを徐々に加熱するように制御するのが望ましい。予備加熱工程でフィルムを徐々に加熱すると、フィルムの温度分布を略均一にできるため、延伸後のフィルム(熱収縮性フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。
【0078】
前記加熱条件は熱伝達係数で示すと、例えば、0.00544J/cm2・sec・℃(0.0013カロリー/cm2・sec・℃)以下程度である。また予備加熱では、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg+60℃の範囲内の温度になるまで加熱するのが好ましくい。
【0079】
前記熱伝達係数を達成する方法としては、例えば、(I)熱風の温度を低くすると共に、(II)熱風の供給速度(吹出速度)も遅くする方法などが挙げられる。より具体的には、(I)熱風の温度、及び(II)熱風の吹出速度を下記のように制御する。
【0080】
(I)熱風の温度
熱風の温度T1(℃)を、予熱前のフィルムの表面温度(通常、20〜50℃程度)をT2(℃)とするとき、T2+90(℃)以下、好ましくはT2+85(℃)以下に制御する。一方、熱風の温度が低すぎると、所定の温度までフィルムを加熱することができない。そのため熱風の温度T1(℃)は、通常、T2+30(℃)以上、好ましくはT2+40(℃)以上、さらに好ましくはT2+45(℃)以上に制御する。
【0081】
なお上記のようにして設定された熱風の温度は、熱収縮性フィルムのガラス転移温度をTg(℃)とするとき、通常、Tg+5℃〜Tg+90℃程度(好ましくはTg+10℃〜Tg+40℃程度)の範囲内に収まる。
【0082】
(II)熱風の吹出速度
熱風の吹出速度を、16m/秒以下、好ましくは15m/秒以下に制御する。なお熱風の吹出速度の下限は特に限定されないが、通常、12m/秒以上、好ましくは13m/秒以上である。また熱風は、フィルムに対して斜めに吹き付けてもよいが、略垂直に吹き付けることが多い。
【0083】
なお熱風の温度や吹出速度は、通常の延伸装置であれば制御できるので、装置に備え付けの制御システムを利用して調整すればよい。またフィルムの表面温度は、例えば、赤外式の非接触表面温度計などを用いてフィルムの走行方向に連続的に測定することができる。
【0084】
(3)延伸に伴う内部発熱の抑制
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制すると、延伸方向(幅方向など)のフィルム温度斑を小さくでき、延伸後のフィルム(熱収縮性フィルム)の厚みの均一性を高めることができる。
【0085】
前記内部発熱を抑制するためには、加熱条件を適宜制御してフィルムを加熱し易くするのが望ましい。加熱不足の部分があると延伸配向に伴う内部発熱が発生するのに対して、フィルムが十分に加熱されていると延伸時に分子鎖が滑りやすくなるため、内部発熱が発生しにくくなる。
【0086】
前記加熱条件は熱伝達係数で示すと、例えば、0.0038J/cm2・sec・℃(0.0009カロリー/cm2・sec・℃)以上、好ましくは0.0054〜0.0084J/cm2・sec・℃(0.0013〜0.0020カロリー/cm2・sec・℃)程度である。
【0087】
前記熱伝達係数を達成する方法としては、例えば、(III)熱風の供給速度(吹出速度)も速くする方法などが挙げられる。より具体的には、熱風の吹出速度を、10m/秒以上、好ましくは11m/秒以上に制御する。なお熱風の吹出速度の上限は特に限定されないが、通常、17m/秒以下、好ましくは16m/秒以下である。また熱風は、フィルムに対して斜めに吹き付けてもよいが、略垂直に吹き付けることが多い。
【0088】
(4)延伸温度の制御
延伸温度を制御する場合、延伸温度が高くなり過ぎないように制御する。延伸温度が高すぎると、フィルム厚み分布値が大きくなり過ぎる場合がある。なお延伸温度が高すぎると、この熱収縮性フィルムから得られたラベルを容器に高速装着する際にラベルの腰の強さが不足する場合もある。
【0089】
延伸温度は、例えば、ガラス転移温度(Tg)+40℃以下(好ましくはTg+15℃以下)に制御するのが望ましい。
【0090】
なお厚みの均一性との関連は小さいが、前記延伸温度は、ガラス転移温度(Tg)−20℃以上(好ましくはTg−5℃以上)とするのが望ましい。延伸温度が低すぎると、フィルムの熱収縮率が不足する場合があり、さらにはフィルムの透明性が低下する場合がある。
【0091】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
【0092】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたチップ及びフィルムの組成並びに物性の測定方法は、以下の通りである。
【0093】
(1)フィルム組成
▲1▼ジカルボン酸成分、多価アルコール成分
試料(チップ又はフィルム)を、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とトリフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調製し、NMR(「GEMINI−200」;Varian社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR測定によるプロトンのピーク強度に基づいて、試料を構成するモノマーの構成比率を算出した。
【0094】
▲2▼金属成分
試料(チップ又はフィルム)に含まれるNa、Mg、及びPの含有量は、以下に示す方法に従って測定した。
【0095】
[Na]
試料2gを白金ルツボに入れ、温度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6mol/L)を5ml加えて蒸発乾固した。残渣を1.2mol/Lの塩酸10mlに溶解し、Na濃度を原子吸光分析装置[「AA−640−12」;(株)島津製作所製]を用いて測定(検量線法)した。
【0096】
[Mg]
試料2gを白金ルツボに入れ、温度500〜800℃で灰化分解した後、塩酸(濃度:6mol/L)を5ml加えて蒸発乾固した。残渣を1.2mol/Lの塩酸10mlに溶解し、Mg濃度をICP発光分析装置[「ICPS−200」;(株)島津製作所製]を用いて測定(検量線法)した。
【0097】
[P]
試料を用いて下記(A)〜(C)のいずれかの方法により、試料中のリン成分を正リン酸にした。この正リン酸と、モリブデン酸塩とを硫酸(濃度:1mol/L)中で反応させて、リンモリブデン酸とした後、硫酸ヒドラジンを加えて還元した。生じたヘテロポリ青の濃度を、吸光光度計[「UV−150−02」;(株)島津製作所製]を用いて830nmの吸光度を測定することによって求めた(検量線法)。
【0098】
(A)試料と炭酸ソーダとを白金ルツボに入れ、乾式灰化分解する。
【0099】
(B)硫酸・硝酸・過塩素酸系における湿式分解
(C)硫酸・過塩素酸系における湿式分解
(2)固形物(異物)残存量
試料(チップ又はフィルム)2gをフェノールとテトラクロロエタンの混合液[容量100ml;フェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)]に溶解した後、この溶液をテフロン製のメンブランフィルター(孔径0.1μm)でろ過することにより、固形物を採取し、下記基準に基づいて固形物残存量を評価した。
【0100】
無:ろ過後のメンブランフルター上に残存する異物を目視で確認できない
微小:ろ過後のメンブランフィルター上に残存する異物を目視で確認したところ、異物が局部的に存在する
多:ろ過後のメンブランフィルター上に残存する遺物を目視で確認したところ、フィルター全面に異物が確認される
(3)溶融比抵抗値
温度275℃で溶融した試料(チップ又はフィルム)中に一対の電極板を挿入し、120Vの電圧を印加した。電流を測定し、下記式に基づいて溶融比抵抗値(Si;単位Ω・cm)を求めた。
【0101】
Si(Ω・cm)=(A/I)×(V/io)
[式中、Aは電極の面積(cm2)を示し、Iは電極間距離(cm)を示し、Vは電圧(V)を示し、ioは電流(A)を示す]
(4)キャスト性
押出し機のTダイと、表面温度を30℃に制御したキャスティングロールとの間に、タングステンワイヤー製の電極を配設し、電極とキャスティングロール間に7〜10kVの電圧を印加した。前記Tダイから樹脂を温度280℃で溶融押出しし、押し出されたフィルムを前記電極に接触させた後、キャスティングロールで冷却することにより、厚さ180μmのフィルムを製造した(キャスティング速度=30m/分)。得られたフィルムの表面に発生したピンナーバブルを目視にて観察し、下記基準に従って評価した。
【0102】
○:ピンナーバブルの発生なし
△:ピンナーバブルの発生が部分的に認められる
×:ピンナーバブルの発生大
(5)熱収縮率
フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、85℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
【0103】
(6)厚み分布
フィルムを長さ50cm、幅5cmに裁断した(厚み測定用試料)。前記試料を10枚用意し、各試料について接触式厚み計[「KG60/A」;アンリツ(株)製]を用いて長さ方向に厚みを測定し、下記式に基づいて厚み分布を求め、その平均値をフィルムの厚み分布とした。
【0104】
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100
(7)最大熱収縮応力値
加熱炉付引張試験機(東洋精機(株)製「テンシロン」)を用い、熱収縮性フィルムから、最大収縮方向の長さ200mm、幅20mmのサンプルを切り出し、予め90℃に加熱した加熱炉中の送風を止めて、サンプルの両端からそれぞれ50mmの位置でサンプルをチャックに取り付けてチャック間距離が100mmとなるようにし、その後速やかに加熱炉の扉を閉め送風を再開し検出される収縮応力を測定し、チャートから求まる最大値を最大熱収縮応力値(MPa)とした。
【0105】
(8)収縮仕上がり性
フィルムを溶剤によって接着してチューブを製造した。なお溶剤接着できなかったものについては、ヒートシールを行ってチューブを製造した。このチューブを裁断して熱収縮性ポリエステル系フィルムラベルを作成した。次いで、容量300mlのガラス瓶にラベルを装着した後、160℃(風速10m/秒)の熱風式熱収縮トンネルの中を13秒間通過させて、ラベルを収縮させた。収縮白化と収縮斑の程度を目視で判断し、収縮仕上がり性を5段階で評価した。基準は、5:仕上がり性最良、4:仕上がり性良、3:収縮白化または収縮斑少し有り(2ヶ所以内)、2:収縮白化または収縮斑有り(3〜5ヶ所)、1:収縮白化または収縮斑多い(6ヶ所以上)として、4以上を合格レベル、3以下のものを不良とした。
【0106】
(9)溶剤接着性
フィルムを紙管に巻いた状態で雰囲気温度30℃±1℃、相対湿度85±2%に制御した恒温恒湿機内に250時間放置した後、取り出して、東洋インキ製造社製の草色、金色、白色のインキで3色印刷した後、センターシールマシンを用いて、1,3−ジオキソラン/アセトン=80/20(質量比)の混合溶剤で溶剤接着してチューブを作り、二つ折り状態で巻き取った。このチューブロールを、温度23℃±1℃、相対湿度65%±2%の恒温恒湿機内に24時間放置後、取り出して、巻き返し、接着性をチェックした。手で容易に剥がれる部分があるものを×、軽い抵抗感をもって手で剥がれるものを△、手で容易に剥がれる部分のないものを○として評価した。○が合格である。
【0107】
(10)フィルムの表面温度
予備加熱前、予備加熱工程、延伸工程、及び延伸前後の熱処理工程でのフィルムの表面温度は、赤外式の非接触表面温度計を用いてフィルムの走行方向に連続的に測定する。各工程で得られる温度の平均値をフィルムの表面温度とする。
【0108】
合成例1(ポリエステルの合成)
エステル化反応缶に、57036質量部のテレフタル酸(TPA)、35801質量部のエチレングリコール(EG)、及び15843質量部の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を仕込み、0.25MPaに調圧し、温度220〜240℃で120分間攪拌することによりエステル化反応を行った。反応缶を常圧に復圧し、6.34質量部の酢酸コバルト・4水塩(重合触媒)、8質量部のチタニウムテトラブトキシド(重合触媒)、及び132.39質量部の酢酸マグネシウム・4水塩(アルカリ土類金属成分)、5.35質量部の酢酸ナトリウム(アルカリ金属成分)、及び61.5質量部のトリメチルホスフェート(リン成分)を加え、温度240℃で10分攪拌した後、75分間かけて圧力0.5hPaまで減圧すると共に、温度280℃まで昇温した。温度280℃で溶融粘度が7000ポイズになるまで攪拌を継続(約40分間)した後、ストランド状で水中へ吐出した。吐出物をストランドカッターで切断することにより、ポリエステルチップAを得た(固有粘度:0.77dl/g)。
【0109】
合成例2〜8
合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステルチップB〜Hを得た。
【0110】
【表1】
【0111】
なお表中、無機成分(Na、Mg、P、Ti、Co、Sb)の含有量は、各原子の濃度(単位:ppm;質量基準)で示す。また各無機成分の由来は下記の通りである。
【0112】
Na:主に酢酸ナトリウムに由来する
Mg:主に酢酸マグネシウム・4水塩に由来する
P:主にトリメチルホスフェートに由来する
Ti:主にチタニウムテトラブトキシドに由来する
Co:主に酢酸コバルト・4水塩に由来する
Sb:主に三酸化アンチモンに由来する
さらに表中、略記号の意味は以下の通りである。
【0113】
TPA:テレフタル酸
EG:エチレングリコール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
BD:1,4−ブタンジオール
PD:1,3−プロパンジオール
DEG:ジエチレングリコール
実施例1
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップAを53質量%、チップEを37質量%、チップFを10質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=72℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度91℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=13m/秒)して約10秒間予熱した後、温度70℃の熱風を供給(吹出速度=14m/秒)してフィルムの表面温度を約72℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度79℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.6℃、延伸工程で平均温度±0.6℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0114】
実施例2
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップAを70質量%、チップEを5質量%、チップFを25質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=68℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度78℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=13m/秒)して約10秒間予熱した後、温度72℃の熱風を供給(吹出速度=15m/秒)してフィルムの表面温度を約73℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0115】
比較例1
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップBを70質量%、チップEを5質量%、チップFを25質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=68℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度78℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=10m/秒)して約10秒間予熱した後、温度72℃の熱風を供給(吹出速度=9m/秒)してフィルムの表面温度を約73℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±1.5℃、延伸工程で平均温度±1.8℃、熱処理工程で平均温度±1.0℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0116】
実施例3
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップCを70質量%、チップEを5質量%、チップFを25質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=68℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度78℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=13m/秒)して約10秒間予熱した後、温度72℃の熱風を供給(吹出速度=15m/秒)してフィルムの表面温度を約73℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±1.0℃、熱処理工程で平均温度±0.8℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0117】
比較例2
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップDを70質量%、チップEを5質量%、チップFを25質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=68℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度78℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=10m/秒)して約10秒間予熱した後、温度72℃の熱風を供給(吹出速度=9m/秒)してフィルムの表面温度を約73℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±1.0℃、延伸工程で平均温度±1.5℃、熱処理工程で平均温度±1.2℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0118】
比較例3
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップAを10質量%、チップEを64質量%、チップHを26質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=60℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度105℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=10m/秒)して約10秒間予熱した後、温度72℃の熱風を供給(吹出速度=9m/秒)してフィルムの表面温度を約73℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度76℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±1.0℃、延伸工程で平均温度±1.5℃、熱処理工程で平均温度±1.5℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0119】
実施例4
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、チップAを53質量%、チップEを34質量%、チップGを13質量%の割合で混合し、単軸式押出機を用いて温度280℃で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルム(ガラス転移温度=71℃)を得た。この未延伸フィルム(表面温度=40℃)に温度91℃の熱風を垂直に供給(吹出速度=13m/秒)して約10秒間予熱した後、温度71℃の熱風を供給(吹出速度=15m/秒)してフィルムの表面温度を約72℃に維持しながらテンターを用いて横方向に4.0倍延伸し、続いて温度79℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上に亘って連続的に製造した。フィルムを1000m連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、予熱工程で平均温度±0.8℃、延伸工程で平均温度±0.6℃、熱処理工程で平均温度±0.6℃の範囲内であった。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価アルコール成分の組成と物性値を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
なお表中、無機成分(Na、Mg、P、Ti、Co、Sb)の含有量は、各原子の濃度(単位:ppm;質量基準)で示す。また表中、略記号の意味は以下の通りである。
【0122】
TPA:テレフタル酸
EG:エチレングリコール
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
BD:1,4−ブタンジオール
PD:1,3−プロパンジオール
DEG:ジエチレングリコール
【0123】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムによれば、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を所定量含有しているため、低温での収縮性がよく、かつ収縮仕上がり性に優れており、美麗な外観を得ることができる。また溶融比抵抗値が所定値以下であるため、生産性及び品質(ピンナーバブルの抑制、厚みの均一性など)に優れている。特に前記フィルムは、所定の延伸条件下で製造されているため厚みの均一性にきわめて優れている。このため、収縮ラベル、キャップシール、収縮包装等の用途に好適に用いることができる。
Claims (9)
- 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、多価カルボン酸成分がテレフタル酸であり、多価アルコール成分100モル%のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10〜60モル%、エチレングリコール成分が40モル%以上であり、下記(1)、(2)、及び(3)の特性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上
(2)温度275℃における溶融比抵抗値が0.70×108Ω・cm以下
(3)フィルムの最大収縮方向に対する厚みの変位を、前記最大収縮方向の長さが50cm、幅が5cmの試験片を用いて測定したとき、下記式で表される厚み分布が7%以下
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100 - フィルム中のアルカリ土類金属原子M2と、リン原子Pとの質量比(M2/P)が1.2〜5.0である請求項1記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- フィルム中のアルカリ土類金属原子M2の含有量が40〜400ppm(質量基準)であり、リン原子の含有量が60〜600ppm(質量基準)である請求項1又は2記載のポリエステル系フィルム。
- 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて、
多価カルボン酸成分がテレフタル酸であり、多価アルコール成分100モル%のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10〜60モル%、エチレングリコール成分が40モル%以上であり、
アルカリ土類金属原子M 2 :40〜400ppm(質量基準)及びリン原子:60〜600ppm(質量基準)を含有し、かつこれらアルカリ土類金属原子M 2 とリン原子Pとの質量比(M 2 /P)が1.2〜5.0であり、
下記(1)及び(2)の特性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルム。
(1)10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上
(2)フィルムの最大収縮方向に対する厚みの変位を、前記最大収縮方向の長さが50cm、幅が5cmの試験片を用いて測定したとき、下記式で表される厚み分布が7%以下
厚み分布=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100 - フィルム中のアルカリ金属原子M1の含有量が0〜100ppm(質量基準)である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- 多価アルコール成分として1,3−プロパンジオール又は1,4−ブタンジオールを含む請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- フィルムの最大収縮方向についての熱収縮試験を、90℃の熱空気中、試験片幅20mm、チャック間距離100mmの条件で行ったとき、最大熱収縮応力値が3MPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ポリエステルを溶融・製膜し、延伸することにより熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造する方法であって、前記ポリエステルとしてアルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物を含むポリエステルを使用すると共に、前記延伸に先立つ予備加熱及び前記延伸に際してフィルムの表面温度を平均温度±1℃以内に制御することを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
- 前記アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物を少なくともエステル化工程の後に添加することにより得られるポリエステルを用いる請求項8記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
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