JP2003082128A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム

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JP2003082128A
JP2003082128A JP2002185855A JP2002185855A JP2003082128A JP 2003082128 A JP2003082128 A JP 2003082128A JP 2002185855 A JP2002185855 A JP 2002185855A JP 2002185855 A JP2002185855 A JP 2002185855A JP 2003082128 A JP2003082128 A JP 2003082128A
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film
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polyester film
mol
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Satoshi Hayakawa
聡 早川
Tadashi Tahoda
多保田  規
Yoshiaki Takegawa
善紀 武川
Katsuya Ito
勝也 伊藤
Shigeru Yoneda
茂 米田
Katsuhiko Nose
克彦 野瀬
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温から高温までの幅広い温度域で優れた収
縮特性を有すると共に、収縮白化、収縮斑、シワ、歪
み、タテヒケ等の発生が極めて少なく、耐破れ性や溶剤
接着性にも優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエス
テル系フィルムを提供する。 【解決手段】 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル
ムは、多価アルコール成分のうち、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール成分が10モル%以上50モル%以下
である熱収縮性ポリエステル系フィルムであって、10
cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10秒浸
漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して
引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上
であり、前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの極限粘
度が、0.66dl/g以上であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムに関し、さらに詳しくは、熱収縮後の収縮
白化や収縮斑、シワ、歪み、タテヒケ等の不良の発生が
極めて少ない熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性プラスチックフィルムは、加熱
によって収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベ
ル等の用途に広く用いられている。なかでも、ポリ塩化
ビニル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリエス
テル系フィルム等の延伸フィルムは、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス
容器等の各種容器において、ラベルやキャップシールあ
るいは集積包装の目的で使用されている。
【0003】しかし、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐
熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、
ダイオキシンの原因となる等の問題を抱えている。ま
た、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器等
の収縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用す
る際に、ラベルと容器を分離しなければならないという
問題がある。
【0004】一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後
の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性
に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しな
ければならない。また、ポリスチレン系樹脂は、高温で
焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異臭が
発生するという問題がある。
【0005】これらの問題のないポリエステル系フィル
ムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィ
ルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、
PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向に
ある。
【0006】しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムも、その収縮特性においてはさらなる改良が求め
られていた。特に、収縮時に、収縮斑やシワが発生し
て、収縮前のフィルムに印刷した文字や図柄が、PET
ボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶等の容器に被覆
収縮する際に、収縮後に歪むことがあり、この歪みを可
及的に小さくしたいというユーザーサイドの要望があっ
た。また、熱収縮性ポリスチレン系フィルムと比較する
と、ポリエステル系フィルムは低温での収縮性に劣るこ
とがあり、必要とする収縮量を得るために高温で収縮さ
せなければならず、ボトル本体の変形や白化が生じるこ
とがあった。
【0007】ところで、熱収縮性フィルムを実際の容器
の被覆加工に用いる際には、必要に応じて印刷工程に供
した後、ラベル、袋等の形態に加工して、これらのラベ
ルや袋状のものを容器に装着し、スチームを吹きつけて
熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネ
ル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮ト
ンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコンベアー等
にのせて通過させ、熱収縮させて容器に密着させてい
る。
【0008】スチームトンネルは、熱風トンネルよりも
伝熱効率が良く、より均一に加熱収縮させることが可能
であり、熱風トンネルに比べると良好な収縮仕上がり外
観を得ることができるが、従来の熱収縮性ポリエステル
系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレ
ン系フィルムに比べると、スチームトンネルを通過させ
た後の収縮仕上がり性の面が余り良くないという問題が
あった。
【0009】また、熱収縮の際に温度斑が生じやすい熱
風トンネルを使用すると、ポリエステル系フィルムで
は、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み等が発生し易く、特
に収縮白化が製品外観上問題となっていた。そして、こ
の熱風トンネルを通過させた後の収縮仕上がり性におい
ても、ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フ
ィルムやポリスチレン系フィルムよりも劣っているとい
う問題があった。
【0010】さらに、収縮率を確保するために延伸度合
いを高めると、収縮方向に直交する方向でフィルムが破
断し易くなって、印刷工程やラベル加工工程、あるいは
収縮後のフィルムの破断トラブルが起こることがあり、
このようなトラブルについても改善が嘱望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの問題点を解
決して、低温から高温までの幅広い温度域で優れた収縮
特性を有すると共に、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み、
タテヒケ等の発生が極めて少なく、また、耐破れ性や溶
剤接着性にも優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムを提供することを課題とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムは、多価アルコール成分100モル%
のうち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が1
0モル%以上50モル%以下である熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムであって、10cm×10cmの正方形状
に切り取った熱収縮性ポリエステル系フィルムの試料
を、85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで
25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収
縮方向の熱収縮率が20%以上であり、前記フィルムの
極限粘度が0.66dl/g以上、好ましくは0.68
dl/g以上であるところに要旨を有する。特定の組成
のポリエステル系フィルムを利用することによって、低
温から高温までの幅広い温度域で優れた収縮特性を有す
ると共に、収縮白化、収縮斑、シワ、歪み、タテヒケ等
の発生が極めて少なく、特に熱風トンネルでの収縮白化
のない熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供すること
ができた。前記多価アルコール成分100モル%のう
ち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分は12モ
ル%以上であることが好ましい。また、前記多価アルコ
ール成分には、さらに1,4−ブタンジオール成分が4
モル%以上含まれていることが好ましく、これにより、
特に低温域での収縮仕上がり外観が美麗となる。
【0013】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムは、フィルムの最大収縮方向と直交する方向につ
いての引張試験を、複数の熱収縮性ポリエステル系フィ
ルム試験片について、チャック間距離100mm、試験
片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の
条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数が、全
試験片数の10%以下とすることが好ましく、優れた耐
破れ性を示す。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の熱収縮性ポリエステル系
フィルムは、多価アルコール成分100モル%中、1,
4−シクロヘキサンジメタノール成分が、10モル%以
上50モル%以下含まれていることが必要である。
【0015】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した
試料を85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次い
で25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大
収縮方向の熱収縮率が、20%以上でなければならな
い。フィルムの熱収縮率が20%未満であると、フィル
ムの熱収縮力が不足して、容器等に被覆収縮させたとき
に、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましく
ない。より好ましい熱収縮率は40%以上、さらに好ま
しくは50%以上であり、70%以下であることが好ま
しい。
【0016】ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、試
料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、
最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向(または
斜め方向)の長さで決められる。また、熱収縮率(%)
は、10cm×10cmの試料を、85℃±0.5℃の
温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた
後、25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸
漬した後の、フィルムの縦および横方向(または斜め方
向)の長さを測定し、下記式熱収縮率=100×(収縮
前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)に従って
求めた値である。
【0017】また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムの極限粘度は、0.66dl/g以上でなければ
ならず、0.68dl/g以上であることがより好まし
い。熱収縮フィルムの極限粘度が0.66dl/g未満
であると、ポリエステル系フィルムの分子量が低くなる
ために、熱収縮する際の収縮応力の持続性が低下する為
に、収縮白化や収縮斑等の欠点が発生しやすくなり、収
縮仕上がり性や、外観性に劣るものになるからである。
また、ポリエステル系フィルムの分子量の低下は、フィ
ルムの機械的強度や後述の耐破れ性を低下させる原因と
なるからである。
【0018】さらに本発明は、耐破れ性に優れた熱収縮
性ポリエステル系フィルムを提供するものであり、その
目安として、フィルムの最大収縮方向と直交する方向に
ついての引張試験を、複数の熱収縮ポリエステル系フィ
ルム試験片について、チャック間距離100mm、試験
片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/分の
条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数が、全
試験片数の10%以下であることが好ましい条件として
あげられる。なお、この試験条件は、JISK 712
7に準じたものである。
【0019】前記条件は、換言すれば、5%も伸びない
うちに破断してしまうフィルムが、全試験片数の10%
(1割)以下である、という意味である。破断伸度5%
以下の試験片数は少なければ少ないほど好ましい。前記
条件を満足するフィルムは、耐破れ性に優れているた
め、印刷やチュービング加工の際にフィルムの切断によ
るロスを低減することができ、また、高速加工が可能と
なる。
【0020】ところで、従来の熱収縮性ポリエステル系
フィルムにおいては、熱収縮工程でフィルムが加熱され
てある温度まで到達した場合、ポリエステル系フィルム
の組成によっては熱収縮率が飽和してしまい、それ以上
高温に加熱しても、それ以上の収縮が得られないことが
ある。このようなフィルムは、比較的低温で熱収縮する
ことができる利点があるが、前記熱風トンネルで熱収縮
させた場合や、熱収縮前に30℃以上の雰囲気下で長期
間保管した後で熱収縮させた場合に、収縮白化現象が起
こり易い。この収縮白化現象は、ポリエステルの分子鎖
が部分的に結晶化して、結晶部分の光の屈折率が非晶部
分と異なるため、起こるのではないかと考えられる。
【0021】しかし本発明者等は、ポリエステル系フィ
ルムの多価アルコール成分100モル%中、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール成分を10モル%以上50モ
ル%以下とすることで、前記収縮白化を抑制し得ること
を見出した。また1,4−シクロヘキサンジメタノール
成分は、ポリエステルの結晶性を下げて非晶化度合を高
め、高い熱収縮率を得るのにも有用である。前記1,4
−シクロヘキサンジメタノール成分の好ましい含有量
は、多価アルコール成分100モル%中、12モル%以
上、より好ましくは14モル%以上、47モル%以下、
より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40
モル%以下である。
【0022】詳細は後述するが、本発明の熱収縮性ポリ
エステル系フィルムでは、耐破れ性、強度、耐熱性等を
発揮させるために、エチレンテレフタレートユニットを
ポリエステルの主たる構成成分とすることが望ましい。
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%
より少ないと、エチレンテレフタレートユニットが多く
なってポリエステルの結晶性が高くなるため、収縮不足
や部分的結晶化による白化現象が発生する恐れがある。
また、耐溶剤性が高くなり過ぎて、テトラヒドロフラン
や1,3−ジオキソラン等の溶剤を用いてフィルムをチ
ューブ状体に接着加工する際に、接着不良が発生するこ
とがあり好ましくない。
【0023】多価アルコール成分として、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール成分が50モル%超の場合に
は、フィルムの収縮率が必要以上に高くなり過ぎるため
被覆収縮させる工程において図柄の歪みやラベル位置の
ズレが発生する恐れがある。また、フィルムの耐溶剤性
が低下するため、印刷工程でインキの溶媒(酢酸エチル
等)によってフィルムの白化が起きたり、フィルムの耐
破れ性が低下するため好ましくない。1,4−シクロヘ
キサンジメタノール成分の含有量は、多価アルコール成
分100モル%中40モル%以下に抑制することがさら
に望ましい。
【0024】また、多価アルコール成分として、1,4
−ブタンジオール成分を用いることも本発明のポリエス
テル系フィルムにおける好ましい実施態様である。前記
1,4−ブタンジオール成分はポリエステルのTgを下
げる作用を有するため、得られるフィルムが比較的低温
域において優れた収縮仕上がり性を発揮するようにな
る。また、溶剤接着性も優れたものとなる。これらの効
果を得るためには、多価アルコール成分100モル%
中、1,4−ブタンジオール成分を4モル%以上、より
好ましくは8モル%以上、さらに好ましくは10モル%
以上とすることが望ましい。
【0025】1,4−ブタンジオール成分の上限は、特
に限定されるものではないが、フィルムの耐破れ性、強
度、耐熱性等の特性を担うエチレンテレフタレートユニ
ットが少なくなるため、その上限は35モル%とするこ
とが好ましく、より好ましい上限は30モル%であり、
また、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分との合
計含有量は、多価アルコール成分中55モル%以下とす
ることが好ましい。
【0026】他の多価アルコール成分としては、エチレ
ンテレフタレートユニットを形成するためのエチレング
リコール成分が用いられる。そのほか、ジエチレングリ
コール、ダイマージオール、プロピレングリコール、ネ
オペンチルグリコール、トリエチレングリコール、1,
6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、
2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9
−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等のアル
キレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘
導体のアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキ
シテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール
等の成分も併用可能である。多価アルコールではない
が、ε−カプロラクトンも一部使用してもよい。
【0027】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、ポリエステル系フィルムの構成単位として、エチレ
ンテレフタレートユニットが45モル%以上、より好ま
しくは50モル%以上であって、90モル%以下、より
好ましくは75モル%以下となるようにすることが望ま
しい。エチレンテレフタレートユニットが45モル%未
満である場合には、フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性
などが低下するからである。また、90モル%を超える
場合には、ポリエステルフィルムの結晶性が高くなり過
ぎて、溶剤接着性や、収縮仕上がり性が低下するからで
ある。
【0028】従って、テレフタル酸(またはそのエステ
ル)成分及びエチレングリコール成分のそれぞれを、多
価カルボン酸成分及び多価アルコール成分100モル%
中、45モル%以上、好ましくは50モル%以上であっ
て、90モル%以下、好ましくは75モル%以下とする
ことが望ましい。尚、本発明では、多価アルコール成分
100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール
成分が10モル%以上含まれるので、エチレングリコー
ル成分は90モル%以下になる。
【0029】テレフタル酸以外のジカルボン酸成分とし
ては、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導
体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能である。芳香族ジ
カルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレ
ン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸等の成分が挙げられる。ま
たこれらのエステル誘導体の成分としてはジアルキルエ
ステル、ジアリールエステル等の誘導体成分が挙げられ
る。また、脂肪族ジカルボン酸成分としては、ダイマー
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸、シュウ酸、コハク酸等の成分が挙げられる。さら
に、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価のカルボン
酸等の成分を、必要に応じて併用してもよい。
【0030】ポリエステル系フィルムを構成するポリエ
ステルは常法により溶融重合することによって製造でき
るが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ
得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合
法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールと
をエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆる
エステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用する
ことができる。また、その他の重合方法によって得られ
るポリエステルであってもよい。
【0031】前記ポリエステルには、着色やゲル発生等
の不都合を起こさないようにするため、酸化アンチモ
ン、酸化ゲルモニウム、チタン化合物等の重合触媒以外
に、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、
酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マン
ガン、塩化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等
のZn塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を、
ポリエステルに対して、各々金属イオンとして300p
pm以下、リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リ
ン酸トリエチルエステル等のリン酸エステル誘導体を燐
(P)換算で200ppm以下、添加してもよい。前記
重合触媒以外の金属イオンの総量がポリエステルに対し
300ppm、またP量が200ppmを超えるとポリ
エステルの着色が顕著になるのみならず、ポリエステル
の耐熱性や耐加水分解性が著しく低下するため好ましく
ない。このとき、耐熱性、耐加水分解性等の点で、総P
量(P)と総金属イオン量(M)とのモル原子比(P/
M)は、0.4〜1.0であることが好ましい。モル原
子比(P/M)が0.4未満または1.0を超える場合
には、フィルムが着色したり、フィルム中に粗大粒子が
混入することがあるため好ましくない。
【0032】前記金属イオンおよびリン酸及びその誘導
体の添加時期は特に限定しないが、一般的には、金属イ
オン類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前または
エステル化前に、リン酸類は重縮合反応前に添加するの
が好ましい。また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタ
ン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子をフィルム原
料に添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等を添加することもで
きる。
【0033】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、後述する公知の方法で得ることができるが、複数の
成分をポリエステル系フィルム中に含有させる手段とし
ては、共重合を行ってこの共重合ポリエステルを単独使
用する方式と、異なる種類のホモポリエステルあるいは
共重合ポリエステルをブレンドする方式がある。
【0034】共重合ポリエステルを単独使用する方式で
は、前記特定組成の多価アルコール成分と、テレフタル
酸および他のジカルボン酸成分とから得られる共重合ポ
リエステルを用いればよい。一方、異なる組成のポリエ
ステルをブレンドする方式は、ブレンド比率を変更する
だけでフィルムの特性を容易に変更でき、多品種のフィ
ルムの工業生産にも対応できるため、好ましく採用する
ことができる。ブレンド法では、具体的には、Tgの異
なる2種以上のポリエステルをブレンドして使用するこ
とが好ましい。例えば、2種類のポリエステルの混合系
としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)と、
ジカルボン酸成分が、テレフタル酸成分からなり多価ア
ルコール成分がエチレングリコール成分と1,4−シク
ロヘキサンジメタノール成分からなる共重合ポリエステ
ルとの混合系;ポリブチレンテレフタレート(PBT)
と、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分からなり、多
価アルコール成分がエチレングリコール成分と1,4−
シクロヘキサンジメタノール成分からなる共重合ポリエ
ステルとの混合系;ポリエチレンテレフタレート(PE
T)と、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分からなり
多価アルコール成分がエチレングリコール成分と1,4
−シクロヘキサンジメタノール成分と1,4−ブタンジ
オール成分からなる共重合ポリエステルとの混合系など
が挙げられる。もちろん、テレフタル酸以外のジカルボ
ン酸成分も使用可能である。
【0035】3種のポリエステルの混合系としては、例
えば、ジカルボン酸がテレフタル酸成分からなり、多価
アルコール成分がエチレングリコール成分と1,4−シ
クロヘキサンジメタノール成分からなる共重合ポリエス
テルと、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリ
ブチレンフタレート(PBT)との混合系;ジカルボン
酸成分がテレフタル酸成分からなり、多価アルコール成
分が1,4−シクロヘキサンジメタノール成分からなる
共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート
(PET)と他の共重合成分を共重合した共重合ポリエ
ステルとの混合系などが挙げられる。もちろん、テレフ
タル酸以外のジカルボン酸成分も使用可能であり、4種
以上のポリエステルをブレンドしても良い。
【0036】具体的なフィルムの製造方法としては、原
料ポリエステルチップをホッパドライヤー、パドルドラ
イヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、
押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に
押出す。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップを
ベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィルム
状に押出す。
【0037】押出し工程では、熱分解や加水分解などに
よるポリエステルの極限粘度の低下を考慮する必要があ
る。すなわち、得られる熱収縮性ポリエステル系フィル
ムの極限粘度を0.66dl/g以上とするためには、
原料となるポリエステルの極限粘度(平均値)は、特に
限定されるものではないが、0.76dl/g以上、よ
り好ましくは0.80dl/g以上、1.30dl/g
以下とし、溶融押し出し工程での極限粘度の低下を抑制
することが望ましい。前記極限粘度の低下抑制方法とし
ては、原料となるポリエステルを予備乾燥して水分率を
好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50p
pm以下とすることによって、溶融時のポリエステルの
加水分解を抑制することができる。この他に、酸化防止
剤を0.01質量%から1質量%の範囲で添加すること
も有効である。
【0038】押出しに際してはTダイ法、チューブラ法
等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出し後
は、急冷して未延伸フィルムを得る。この未延伸フィル
ムに対して延伸処理を行うが、最大収縮方向がフィルム
横(幅)方向であることが、生産効率上、実用的である
ので、以下、主収縮方向を横方向とする場合の延伸法の
例を示す。なお、最大収縮方向をフィルム縦(長手)方
向とする場合も、下記方法における延伸方向を90゜変
える等、通常の操作に準じて延伸することができる。
【0039】熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分
布を均一化させることに着目すれば、テンター等を用い
て横方向に延伸する際、延伸工程に先立って予備加熱工
程を行うことが好ましく、この予備加熱工程では、熱伝
導係数が0.00544J/cm2・sec・℃(0.
0013カロリー/cm2・sec・℃)以下となるよ
うに、低風速で、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg
+60℃の範囲内のある温度になるまで加熱を行うこと
が好ましい。
【0040】横方向の延伸は、Tg−20℃〜Tg+4
0℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好まし
くは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、50℃〜1
10℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるい
は0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じ
て40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理
をして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
【0041】この横延伸工程においては、フィルム表面
温度の変動を小さくすることのできる設備を使用するこ
とが好ましい。すなわち、延伸工程には、延伸前の予備
加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、
再延伸処理工程等があるが、特に、予備加熱工程、延伸
工程および延伸後の熱処理工程において、任意ポイント
において測定されるフィルムの表面温度の変動幅が、平
均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温度±
0.5℃以内であればさらに好ましい。フィルムの表面
温度の変動幅が小さいと、フィルム全長に亘って同一温
度で延伸や熱処理されることになって、熱収縮挙動が均
一化するためである。
【0042】延伸の方法としては、テンターでの横1軸
延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ま
しくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。この
ようい2軸延伸を行う場合は、逐次2軸延伸、同時2軸
延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行って
もよい。また、逐次2軸延伸においては、延伸の順序と
して、縦横、横縦、縦横縦、横縦横等のいずれの方式で
もよい。これらの縦延伸工程あるいは2軸延伸工程を採
用する場合においても、横延伸と同様に、予備加熱工
程、延伸工程等において、フィルム表面温度の変動をで
きるだけ小さくすることが好ましい。
【0043】延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、
幅方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、
延伸工程の熱伝達係数は、0.00377Jcm2・s
ec・℃(0.0009カロリー/cm2・sec・
℃)以上とすることが好ましい。0.00544〜0.
00837cm2・sec・℃(0.0013〜0.0
020カロリー/cm2・sec・℃)がより好まし
い。
【0044】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
の厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用
熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、10〜20
0μmが好ましく、20〜100μmがさらに好まし
い。
【0045】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳述す
るが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本
発明に含まれる。
【0046】(1)熱収縮率 フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、85
℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬し
て熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒浸
漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記
式に従って求めた値である。 熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長
さ)÷(収縮前の長さ) 最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
【0047】(2)耐破れ性(破断率) JIS K 7127に準じ、熱収縮前のフィルムの最
大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行う。
試験片数は20とした。試験片長さ200mm、チャッ
ク間距離100mm、試験片幅15mm、温度20℃、
引張速度200mm/分の条件で行った。伸度5%以下
で破断した試験片数を数え、全試験片数(20個)に対
する百分率を求め、破断率(%)とした。
【0048】(3)極限粘度 フィルム0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テ
トラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解
した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定し
た。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によ
って求められる。
【0049】
【式1】
【0050】ηsp :比粘度。 t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間。 t:オスワルド粘度計を用いたフィルム溶液の落下時
間。 C:フィルム溶液の濃度。
【0051】尚、実際の測定では、Huggins式に
おいてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を算
出した。
【0052】
【式2】
【0053】ηr:相対粘度 (4)フィルム組成 フィルムを、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とト
リフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1
(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調
製し、NMR(「GEMINI−200」;Varia
n社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定
条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR
測定では、プロトンのピーク強度を算出して、フィルム
を構成するモノマーの構成比率を算出した。
【0054】(5)溶剤接着性 フィルムを紙管に巻いた状態で雰囲気温度30℃±1
℃、相対湿度85±2%に制御した恒温恒湿機内に25
0時間放置した後、取り出して、東洋インキ製造社製の
草色、金色、白色のインキで3色印刷した後、センター
シールマシンを用いて、1,3−ジオキソラン/アセト
ン=80/20(質量比)の混合溶剤で溶剤接着してチ
ューブを作り、二つ折り状態で巻き取った。このチュー
ブロールを、温度23℃±1℃、相対湿度65%±2%
の恒温恒湿機内に24時間放置後、取り出して、巻き返
し、接着性をチェックした。手で容易に剥がれる部分が
あるものを×、軽い抵抗感をもって手で剥がれるものを
△、手で容易に剥がれる部分のないものを○として評価
した。○が合格である。
【0055】(6)収縮仕上がり性 前記溶剤接着性評価のために製造したチューブを裁断し
て熱収縮性ポリエステル系フィルムラベルを作成した。
溶剤接着ができなかったものについては、ヒートシール
を行ってラベルを作成した。次いで、容量300mlの
ガラス瓶にラベルを装着した後、190℃(風速10m
/秒)の熱風式熱収縮トンネルの中を13秒間通過させ
て、ラベルを収縮させた。収縮白化と収縮斑の程度を目
視で判断し、収縮仕上がり性を5段階で評価した。基準
は、5:仕上がり性最良、4:仕上がり性良、3:収縮
白化または収縮斑少し有り(2ヶ所以内)、2:収縮白
化または収縮斑有り(3〜6ヶ所)、1:収縮白化また
は収縮斑多い(6ヶ所以上)として、4以上を合格レベ
ル、3以下のものを不良とした。 [ ポリエステルの合成 ] 合成例1 撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステン
レススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分と
してジメチルテレフタレート(DMT)100モル%
と、多価アルコール成分として、エチレングリコール
(EG)を100モル%を、多価アルコールがモル比で
メチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステ
ル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に
対して)と、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.0
25モル%(酸成分に対して)添加し、生成するメタノ
ールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。
その後、280℃で26.7Paの減圧条件の下で重縮
合反応を行い、極限粘度0.75dl/gのポリエステ
ルAを得た。
【0056】合成例2〜4 合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステル
B〜Eを得た。なお、表中、CHDMが1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、BDが1,4−ブタンジオール
である。それぞれのポリエステルの固有粘度は、Bが
0.80dl/g、Cが0.61dl/g、Dが1.2
0dl/g、Eが0.80dl/gであった。各ポリエ
ステルを適宜チップ状にした。
【0057】
【表1】
【0058】[ 熱収縮性ポリエステル系フィルムの作
製 ] フィルム1 前記合成例で得られた表1の各チップを別個に予備乾燥
し、チップAを4質量%、チップBを70質量%、チッ
プDを26質量%の割合で混合し、275℃で単軸式押
出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ176μm
の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを77℃
で12秒間予熱した後、テンターで横方向に72℃で
3.9倍まで延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を
行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィル
ム1を得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0059】フィルム2 前記合成例で得られた表1の各チップを別個に予備乾燥
し、チップAを16質量%、チップBを68質量%、チ
ップEを16質量%の割合で混合し、275℃で単軸式
押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ176μ
mの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを78
℃で12秒間予熱した後、テンターで横方向に71℃で
3.9倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行っ
て、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルム2
を得た。得られたフィルムの物性値を表2に示す。
【0060】フィルム3 前記合成例で得られた表1の各チップを別個に予備乾燥
し、チップAを4質量%、チップCを70質量%、チッ
プDを26質量%の割合で混合し、278℃で単軸式押
出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ176μm
の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを77℃
で12秒間予熱した後、テンターで横方向に72℃で合
計3.9倍まで延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理
を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィ
ルム3を得た。得られたフィルムの物性値を表2に示
す。
【0061】フィルム4 前記合成例で得られた表1の各チップを別個に予備乾燥
し、チップAを63質量%、チップBを27質量%、チ
ップDを10質量%の割合で混合し、275℃で単軸式
押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ176μ
mの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを80
℃で12秒間予熱した後、テンターで横方向に71℃で
合計3.9倍まで延伸し、続いて70℃で10秒間熱処
理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フ
ィルム4を得た。得られたフィルムの物性値を表2に示
す。
【0062】フィルム5 前記合成例で得られた表1の各チップを別個に予備乾燥
し、チップAを63質量%、チップCを27質量%、チ
ップDを10質量%の割合で混合し、275℃で単軸式
押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ176μ
mの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを80
℃で12秒間予熱した後、テンターで横方向に71℃で
合計3.9倍まで延伸し、続いて70℃で10秒間熱処
理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フ
ィルム5を得た。得られたフィルムの物性値を表2に示
す。
【0063】
【表2】
【0064】熱収縮性ポリエステル系フィルム1及び2
は、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの一実施
形態であり、溶剤接着性、収縮仕上がり性、耐破れ性の
すべてに優れていた。フィルム3は、フィルムの極限粘
度が低い結果、フィルムの耐破れ性が低下していること
が分かる。また、フィルム4及びフィルム5では、1,
4−シクロヘキサンジメタノール成分の含有量が9質量
%と低いため、収縮白化、収縮斑などが多く、収縮仕上
がり性が低下した。また、エチレンテレフタレートユニ
ットが多すぎる結果、ポリエステル系フィルムの結晶性
が高くなり過ぎ、溶剤接着性も低下した。さらに、フィ
ルム5の極限粘度は、0.650dl/gであり、分子
量が低下した結果、耐破れ性が低下したものと考えられ
る。
【0065】
【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル
ムは、収縮時に、収縮白化や収縮斑、シワ、歪み、タテ
ヒケ等の不良の発生が極めて少なく、美麗な収縮仕上が
り外観を得ることができた。また、耐破れ性や溶剤接着
性にも優れており、収縮ラベル、キャップシール、収縮
包装等の用途に好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:02 C08L 67:02 (72)発明者 武川 善紀 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊藤 勝也 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 米田 茂 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 (72)発明者 野瀬 克彦 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 Fターム(参考) 4F071 AA45 AA76 AA88 AF54 AF61 AH04 BA01 BB06 BB08 BC01 4F210 AA24A AE01 AG01 AH54 RA03 RC02 RG02 RG04 RG43

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおい
    て、多価アルコール成分100モル%のうち、1,4−
    シクロヘキサンジメタノール成分が10モル%以上50
    モル%以下であり、 10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポ
    リエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10
    秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬
    して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%
    以上であり、 前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの極限粘度が、
    0.66dl/g以上であることを特徴とする熱収縮性
    ポリエステル系フィルム。
  2. 【請求項2】 前記フィルムの極限粘度が、0.68d
    l/g以上である請求項1に記載の熱収縮性ポリエステ
    ル系フィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの最大収縮方向と直交する方向
    についての引張試験を、複数の熱収縮性ポリエステル系
    フィルム試験片について、チャック間距離100mm、
    試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/
    分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数
    が、全試験片数の10%以下である請求項1または2に
    記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 【請求項4】 前記多価アルコール成分100モル%の
    うち、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分は12
    モル%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収
    縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 【請求項5】 前記多価アルコール成分100モル%に
    は、さらに1,4−ブタンジオール成分が4モル%以上
    含まれている請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性
    ポリエステル系フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017068130A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 東洋紡株式会社 ポリエステル系ラベルおよび包装容器
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