JP2003012832A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルム

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JP2003012832A
JP2003012832A JP2001194696A JP2001194696A JP2003012832A JP 2003012832 A JP2003012832 A JP 2003012832A JP 2001194696 A JP2001194696 A JP 2001194696A JP 2001194696 A JP2001194696 A JP 2001194696A JP 2003012832 A JP2003012832 A JP 2003012832A
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film
mol
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shrinkage
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JP2001194696A
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Satoshi Hayakawa
聡 早川
Tadashi Tahoda
多保田  規
Yoshiaki Takegawa
善紀 武川
Katsuya Ito
勝也 伊藤
Shigeru Yoneda
茂 米田
Katsuhiko Nose
克彦 野瀬
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温において優れた収縮特性を有すると共
に、収縮仕上がり性に優れ、また耐破れ性や溶剤接着性
にも優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系
フィルムを提供する。 【解決手段】 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおい
て、多価アルコール成分100モル%中の1,4−シク
ロヘキサンジメタノール成分の割合(A)を10〜50
モル%とし、ジカルボン酸成分100モル%中のダイマ
ー酸成分の割合(B)と、多価アルコール成分100モ
ル%中のダイマージオール成分の割合(C)との和を1
〜15(単位:モル%)とする。このようなフィルム
は、10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮
性ポリエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に
10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒
浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が2
0%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱収縮性ポリエステ
ル系フィルムに関し、さらに詳しくは、低温での熱収縮
性に優れ、熱収縮後の仕上がり外観(収縮仕上がり性)
が良好であり、ラベル用途に好適に使用できる熱収縮性
ポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱収縮性プラスチックフィルムは、加熱
によって収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベ
ル、キャップシール等の用途に広く用いられている。な
かでも、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリスチレン系フ
ィルム、ポリエステル系フィルム等の延伸フィルムは、
ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチ
レン容器、ガラス容器等の各種容器において、ラベルや
キャップシールあるいは集積包装の目的で使用されてい
る。
【0003】しかしポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱
性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダ
イオキシンの原因となる等の問題を抱えている。また、
熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器等の収
縮ラベルとして用いると、容器をリサイクル利用する際
に、ラベルと容器とを分離しなければならないという問
題がある。
【0004】一方、ポリスチレン系フィルムは、収縮後
の仕上がり外観性が良好な点は評価できるが、耐溶剤性
に劣るため、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しな
ければならない。また、ポリスチレン系フィルムは、高
温で焼却する必要がある上に、焼却時に多量の黒煙と異
臭が発生するという問題がある。
【0005】これらの問題のないポリエステル系フィル
ムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレン系フィ
ルムに代わる収縮ラベルとして非常に期待されており、
PET容器の使用量増大に伴って、使用量も増加傾向に
ある。
【0006】しかし、従来の熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムも、その収縮特性においてはさらなる改良が求め
られていた。特に、収縮時に、収縮斑やシワが発生し
て、収縮前のフィルムに印刷した文字や図柄が、PET
ボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶等の容器に被覆
収縮した後に歪むことがあり、この歪みを可及的に小さ
くしたいというユーザーサイドの要望があった。また収
縮応力が小さく、容器へのフィルムの密着性に劣ること
があった。
【0007】さらには熱収縮性ポリスチレン系フィルム
と比較すると、ポリエステル系フィルムは低温での収縮
性に劣ることがあり、必要とする収縮量を得るために高
温で収縮させなければならず、ボトル本体の変形や白化
が生じることがあった。
【0008】ところで、熱収縮性フィルムを実際の容器
の被覆加工に用いる際には、必要に応じて印刷工程に供
した後、ラベル(筒状ラベル)、チューブ、袋等の形態
に加工する。これら加工フィルムは、容器に装着した
後、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮ト
ンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収
縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部
を、ベルトコンベアー等にのせて通過させ、熱収縮させ
て容器に密着させている。
【0009】スチームトンネルは、熱風トンネルよりも
伝熱効率が良く、より均一に加熱収縮させることが可能
であり、熱風トンネルに比べると良好な収縮仕上がり外
観を得ることができるが、従来の熱収縮性ポリエステル
系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィルムやポリスチレ
ン系フィルムに比べると、スチームトンネルを通過させ
た後の収縮仕上がり性が余り良くないという問題があっ
た。
【0010】また熱収縮の際に温度斑が生じやすい熱風
トンネルを使用すると、ポリエステル系フィルムでは、
収縮白化、収縮斑、シワ、歪み等が発生し易く、特に収
縮白化が製品外観上問題となっていた。そして、この熱
風トンネルを通過させた後の収縮仕上がり性において
も、ポリエステル系フィルムは、ポリ塩化ビニル系フィ
ルムやポリスチレン系フィルムよりも劣っているという
問題があった。
【0011】さらに、収縮率を確保するために延伸度合
いを高めると、収縮方向に直交する方向でフィルムが破
断し易くなって、印刷工程やラベル加工工程、あるいは
収縮後のフィルムの破断トラブルが起こることがあり、
このようなトラブルについても改善が嘱望されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの問題点を解
決して、低温において優れた収縮特性を有すると共に、
収縮仕上がり性(収縮白化、収縮斑、シワ、歪み、タテ
ヒケ等の抑制など、特に収縮白化及び収縮斑の抑制)に
優れ、また耐破れ性や溶剤接着性にも優れたラベル用途
に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供するこ
とを課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムは、多価アルコール成分100モル%
中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分の割合
(A)が10〜50モル%;ジカルボン酸成分100モ
ル%中のダイマー酸成分の割合(B)と、多価アルコー
ル成分100モル%中のダイマージオール成分の割合
(C)との和が1〜15(単位:モル%)であり;10
cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポリエ
ステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10秒浸
漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して
引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上
である点に要旨を有するものである。割合(A)〜
(C)の和は、13〜55(単位:モル%)であるのが
好ましい。
【0014】特定の組成のフィルムを利用することによ
って、低温において優れた収縮性を有すると共に、収縮
仕上がり性が良好で、耐破れ性や溶剤接着性に優れた熱
収縮性ポリエステル系フィルムを提供することができ
た。
【0015】前記フィルムは、フィルムの最大収縮方向
と直交する方向についての引張試験を、複数の熱収縮性
ポリエステル系フィルム試験片について、チャック間距
離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、引張速
度200mm/分の条件で行ったとき、通常、破断伸度
5%以下の試験片数が、全試験片数の10%以下であ
る。このようなフィルムは、耐破れ性に優れるため、フ
ィルムに印刷加工する工程、フィルムを裁断する工程
(スリット工程など)、裁断したフィルムを筒状や袋状
にして溶剤接着する工程などにおいてフィルム張力が変
動したときでもフィルムの破断を極めて少なくでき、安
定して加工できる。
【0016】また前記フィルムは、フィルムの最大収縮
方向についての熱収縮試験を、90℃の熱空気中、試験
片幅20mm、チャック間距離100mmの条件で行っ
たときの最大熱収縮応力値が、通常、3MPa以上であ
る。このようなフィルムは、幅広い温度域において優れ
た収縮仕上がり性を示し、収縮斑、シワ、歪みなどの少
なくでき、収縮後の仕上がり外観を美麗にできる。
【0017】
【発明の実施の形態】熱収縮性ポリエステル系フィルム
は、単独又は複数のポリエステルを用いて得られるフィ
ルムであり、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分
と、多価アルコール成分とを含んでいる。そして本発明
では、前記ポリエステル系フィルムは、多価アルコール
成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を
含有しており、この1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル成分の割合(A)は、多価アルコール成分全体(10
0モル%)に対して、10〜50モル%程度である。ま
た前記ポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸成分と
してのダイマー酸成分、及び/又は多価アルコール成分
としてのダイマージオール成分を含有しており、ジカル
ボン酸成分100モル%中のダイマー酸成分の割合
(B)と、多価アルコール成分100モル%中のダイマ
ージオール成分の割合(C)との和(B+C)は1〜1
5(単位:モル%)である。
【0018】前記フィルムを用いると、10cm×10
cmの正方形状に切り出した試料を85℃の温水中に1
0秒浸漬して引き上げ、直ちに25℃の水中に10秒浸
漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率を、通
常、20%以上にできる。フィルムの熱収縮率が20%
未満であると、容器等に被覆収縮させたときにフィルム
の熱収縮量が不足して、外観不良が発生するため好まし
くない。より好ましい熱収縮率は30%以上、さらに好
ましくは40%以上である。熱収縮率の上限値は80%
(特に75%)が好ましい。
【0019】ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、試
料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、
最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向(または
斜め方向)の長さで決められる。また、熱収縮率(%)
は、10cm×10cmの試料を、85℃±0.5℃の
温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた
後、25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸
漬した後の、フィルムの縦および横方向(または斜め方
向)の長さを測定し、下記式 熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷
(収縮前の長さ) に従って求めた値である。
【0020】熱収縮性ポリエステル系フィルムは、最大
収縮方向の熱収縮応力値(最大熱収縮応力値)が高い程
好ましい。熱収縮応力値が高いと、容器を被覆した後で
フィルム(ラベルなど)の緩みを防止でき、フィルムの
機械的強度不足による耐破れ性の悪化を防止できる。本
発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの最大熱収縮応
力値は、90℃の熱空気中、試験片幅20mm、チャッ
ク間距離100mmの条件で熱収縮試験を行ったとき、
通常、3MPa以上、好ましくは3.5MPa以上、さ
らに好ましくは4MPa以上である。
【0021】なお前記最大熱収縮応力値は、以下のよう
にして測定する。 (1)熱収縮性フィルムから、最大収縮方向の長さが2
00mm、幅20mmの試験片を切り出す。 (2)熱風式加熱炉を備えた引張試験機(例えば、東洋
精機製「テンシロン」)の加熱炉内を90℃に加熱す
る。 (3)送風を止め、加熱炉内に試験片をセットする。チ
ャック間距離は100mm(一定)とする。 (4)加熱炉の扉を速やかに閉めて、送風を再開し、熱
収縮応力を検出・測定する。 (5)チャートから最大値を読み取り、これを最大熱収
縮応力値(MPa)とする。
【0022】また熱収縮性ポリエステル系フィルムは、
耐破れ性に優れているのが好ましい。特に熱収縮性ポリ
エステル系フィルムは主に最大収縮方向に配向してお
り、配向方向に沿って裂け易いため、最大収縮方向に直
交する方向の伸度が低いと、フィルムに印刷加工する工
程、フィルムを裁断する工程(スリット工程など)、裁
断したフィルムを筒状や袋状にして溶剤接着する工程な
どにおいてフィルム張力が変動したときに破断し易くな
るため、最大収縮方向に直交する方向に対して耐破れ性
に優れているのが好ましい。耐破れ性は、熱収縮前の複
数のフィルム試験片について、チャック間距離100m
m、試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200m
m/分の条件で最大収縮方向と直交する方向に引っ張っ
たときの破断伸度5%以下の試験片数の割合(%)で評
価できる。前記条件は、換言すれば、5%も伸びないう
ちに破断してしまうフィルムの割合を示しており、その
割合が少ないほど耐破れ性に優れているといえる。本発
明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを評価した場合、
破断伸度5%以下の試験片数の割合は、通常、全試験片
の10%以下程度、好ましくは5%以下程度、さらに好
ましくは0%である。
【0023】ところで、従来の熱収縮性ポリエステル系
フィルムにおいては、熱収縮工程でフィルムが加熱され
てある温度まで到達した場合、フィルムを構成するポリ
エステルの組成によっては熱収縮率が飽和してしまい、
それ以上高温に加熱しても、それ以上の収縮が得られな
いことがある。このようなフィルムは、比較的低温で熱
収縮することができる利点があるが、前記熱風トンネル
で熱収縮させた場合や、熱収縮前に30℃以上の雰囲気
下で長期間保管した後で熱収縮させた場合に、収縮白化
現象が起こり易い。この収縮白化現象は、ポリエステル
の分子鎖が部分的に結晶化して、結晶部分の光の屈折率
が非晶部分と異なるため、起こるのではないかと考えら
れる。
【0024】しかし本発明者等は、多価アルコール成分
100モル%中、1,4−シクロヘキサンジメタノール
成分の割合(A)を10モル%以上とすることで、上記
収縮白化を抑制し得ることを見出した。1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール成分の割合(A)は12モル%以
上がより好ましく、14モル%以上がさらに好ましい。
【0025】また、低温域での収縮性を高め、収縮仕上
がり性(収縮白化、収縮斑、シワ、歪み、タテヒケ等の
抑制など)を良好にするためには、ダイマー酸成分の割
合(B)とダイマージオール成分の割合(C)との和
(B+C)が所定量以上でなければならばい。より好ま
しい和(B+C)は、2(単位:モル%)以上[特に3
(単位:モル%)以上]、14(単位:モル%)以下
[特に13(単位:モル%)以下]である。
【0026】詳細は後述するが、本発明の熱収縮性ポリ
エステル系フィルムでは、耐破れ性、強度、耐熱性等を
発揮させるために、結晶性ユニット(エチレンテレフタ
レートユニットなど)をポリエステルのベース成分とす
ることが望ましい。前記結晶性ユニットは、ポリエステ
ル系フィルムの結晶化度を高める役割があるのに対し
て、上記1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、ダ
イマー酸成分、及びダイマージオール成分は、いずれも
ポリエステルの結晶性を下げて非晶化度合いを高め、よ
り高い熱収縮率を発現させるものである。
【0027】1,4−シクロヘキサンジメタノール成分
の割合(A)、ダイマー酸成分の割合(B)、及びダイ
マージオール成分の割合(C)の和(A+B+C)は、
11(単位:モル%)以上であることが好ましい。和
(A+B+C)が11より少ないと、結晶性ユニットが
多くなってポリエステルの結晶性が高くなるため、収縮
不足や部分的結晶化による白化現象が発生する恐れがあ
る。また、耐溶剤性が高くなり過ぎて、テトラヒドロフ
ランや1,3−ジオキソラン等の溶剤を用いてフィルム
をチューブ状体に接着加工する際に、接着不良が発生す
ることがあり好ましくない。和(A+B+C)は12
(単位:モル%)以上がより好ましく、13(単位:モ
ル%)以上がさらに好ましい。
【0028】一方、和(A+B+C)は65(単位:モ
ル%)以下に抑制することが望まれる。和(A+B+
C)が65を超えると、フィルムの収縮率が必要以上に
高くなり過ぎて、熱収縮工程でラベルの位置ずれや図柄
の歪みが発生する恐れがある。また、フィルムの耐溶剤
性が低下するため、印刷工程でインキの溶媒(酢酸エチ
ル等)によってフィルムの白化が起きたり、フィルムの
耐破れ性が低下するため好ましくない。和(A+B+
C)は60(単位:モル%)以下がより好ましく、55
(単位:モル%)以下がさらに好ましい。
【0029】なお前記ダイマー酸成分を形成するダイマ
ー酸は、炭素数15〜25程度の脂肪酸が熱重合によっ
てダイマー化したものと同様の構造を有する酸である。
また前記ダイマー体にC=C不飽和結合が存在する場合
には、そのC=C不飽和結合を水素添加したものも本発
明のダイマー酸に含まれる。ダイマー酸としては、例え
ば、下記式(1a)〜(2)で示される化合物を例示で
きる。
【0030】
【化1】
【0031】(式中、R1〜R8は、同一又は異なって炭
素数5〜12程度の直鎖状飽和又は直鎖状不飽和炭化水
素基を示し、XはCOOHを示す。ただしR1とR2の炭
素数は合計で10〜20程度であり、R3とR4の炭素数
は合計で12〜22程度でありる。R5とR6の炭素数は
合計で13〜23程度であり、R7とR8の炭素数は合計
で13〜23程度である) 好ましいダイマー酸には、前記式(1a)及び/又は式
(2)で表され、かつR1〜R8が飽和炭化水素基である
ダイマー酸が挙げられる。
【0032】特に好ましいダイマー酸は、前記式(1
a)及び式(2)で表される化合物の混合物であって、
1が直鎖状ヘキシル基、R2が直鎖状ヘプチレン基、R
3が直鎖状ヘプチル基、R4が直鎖状ヘプチレン基、R5
が直鎖状オクチル基、R6が直鎖状オクチレン基、R7
直鎖状ノニル基、R8が直鎖状ヘプチレン基であるダイ
マー酸及びダイマージオールが挙げられる。式(1a)
の化合物と式(2)の化合物との比は、例えば、
(1):(2)=10:90〜90:10(モル比)程
度である。
【0033】またダイマージオール成分を形成するダイ
マージオールは、前記ダイマー酸のCOOH基をCH2
OH基に還元した構造を有する化合物である。好ましい
ダイマージオール、及び特に好ましいダイマージオール
は、それぞれ、前記好ましいダイマー酸、及び特に好ま
しいダイマー酸と同様である。
【0034】なおダイマー酸及びダイマージオールは、
水洗によって精製されているのが望ましい。
【0035】他の多価アルコール成分としては、前述の
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分及びダイマー
ジオール成分以外の種々の多価アルコール成分が使用で
きる。多価アルコール成分を形成する多価アルコール
は、ジオールであってもよく、三価以上のアルコールで
あってもよい。ジオール分には、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロ
パンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル
−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−
デカンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテト
ラメチレングリコール、ビスフェノール化合物またはそ
の誘導体のアルキレンオキサイド付加物などのエーテル
グリコール類などが含まれる。三価以上のアルコールに
は、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリ
スリトールなどが含まれる。
【0036】ジカルボン酸成分を形成するジカルボン酸
類としては、前述のダイマー酸以外の種々のジカルボン
酸類が使用でき、例えば、芳香族ジカルボン酸、そのエ
ステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸等が利用可能で
ある。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−
2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸等が挙げられる。またエステル誘導体としてはジア
ルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げ
られる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハ
ク酸等が挙げられる。
【0037】なお前記ジカルボン酸類に加えて、p−オ
キシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット
酸、無水ピロメリット酸等の三価以上のカルボン酸を必
要に応じて併用してもよい。
【0038】またポリエステルは、必ずしも前記ジカル
ボン酸類及び多価アルコールから製造する必要はなく、
ラクトン類(ε−カプロラクトンなど)の開環重合によ
って製造してもよい。前記ジカルボン酸成分及び多価ア
ルコール成分中の各成分の割合(モル%)を算出する場
合、ラクトン類の開環成分は、ジカルボン酸成分及び多
価アルコール成分のいずれにも該当するものとして計算
する。
【0039】フィルムの耐破れ性、強度、耐熱性等を考
慮すれば、ポリエステル中の結晶性ユニット(エチレン
テレフタレートユニットなど)が35モル%以上となる
ようにポリエステルを選択することが好ましい。従っ
て、多価カルボン酸成分100モル%中、テレフタル酸
成分は35モル%以上であるのが好ましい。また多価ア
ルコール成分100モル%中、エチレングリコール成分
は35モル%以上であるのが好ましい。エチレンテレフ
タレートユニットは、40モル%以上がより好ましく、
45モル%以上がさらに好ましい。ただし、本発明で
は、多価アルコール成分100モル%中、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール成分が10モル%以上であるた
め、エチレングリコール成分は90モル%以下である。
【0040】ポリエステルは常法により溶融重合するこ
とによって製造できるが、ジカルボン酸とグリコール類
とを直接反応させて得られたオリゴマーを重縮合する、
いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル
体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮
合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の
製造法を適用することができる。また、その他の重合方
法によって得られるポリエステルであってもよい。ポリ
エステルの重合度は、固有粘度にして0.5〜1.3d
l/gのものが好ましい。
【0041】ポリエステルには、着色やゲル発生等の不
都合を起こさないようにするため、酸化アンチモン、酸
化ゲルマニウム、チタン化合物等の重合触媒以外に、酢
酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カ
ルシウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、
塩化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn
塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を、ポリエ
ステルに対して、各々金属イオンとして300ppm以
下、リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リン酸ト
リエチルエステル等のリン酸エステル誘導体を燐(P)
換算で200ppm以下、添加してもよい。
【0042】上記重合触媒以外の金属イオンの総量がポ
リエステルに対し300ppm、またP量が200pp
mを超えるとポリエステルの着色が顕著になるのみなら
ず、ポリエステルの耐熱性や耐加水分解性が著しく低下
するため好ましくない。このとき、耐熱性、耐加水分解
性等の点で、総P量(P)と総金属イオン量(M)との
モル原子比(P/M)は、0.4〜1.0であることが
好ましい。モル原子比(P/M)が0.4未満または
1.0を超える場合には、フィルムが着色したり、フィ
ルム中に粗大粒子が混入することがあるため好ましくな
い。
【0043】上記金属イオンおよびリン酸及びその誘導
体の添加時期は特に限定しないが、一般的には、金属イ
オン類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前または
エステル化前に、リン酸類は重縮合反応前に添加するの
が好ましい。
【0044】また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタ
ン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子をフィルム原
料に添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等を添加することもで
きる。
【0045】ポリエステルフィルムは、後述する公知の
方法で得ることができるが、熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムにおいて、1,4−シクロヘキサンジメタノール
成分、ダイマー酸成分、ダイマージオール成分などを特
定の範囲に制御する手段としては、共重合を行ってこの
共重合ポリエステルを単独使用する方式と、複数のポリ
エステルをブレンドする方式(例えば、互いに異なる種
類のホモポリエステルをブレンドする方式;ホモポリエ
ステルと共重合ポリエステルとをブレンドする方式;互
いに異なる種類の共重合ポリエステルをブレンドする方
式など)がある。
【0046】共重合ポリエステルを単独使用する方式で
は、上記1,4−シクロヘキサンジメタノール成分と、
ダイマー酸成分及び/又はダイマージオール成分とを特
定の範囲で含有する共重合ポリエステルを用いればよ
い。一方、異なる組成のポリエステルをブレンドする方
式は、ブレンド比率を変更するだけでフィルムの特性を
容易に変更でき、多品種のフィルムの工業生産にも対応
できるため、好ましく採用することができる。
【0047】ブレンド法では、具体的には、2種以上の
ポリエステルをブレンドして使用することが好ましい。
2種類のポリエステルをブレンドする場合、例えば、ホ
モポリエステルとしてのポリエチレンテレフタレート
(PET)と、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分で
あり、多価アルコール成分がエチレングリコール成分と
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とダイマージ
オール成分とからなる共重合ポリエステルとのブレンド
系;ホモポリエステルとしてのPETと、ジカルボン酸
成分がテレフタル酸成分とダイマー酸成分とからなり、
多価アルコール成分がエチレングリコール成分と1,4
−シクロヘキサンジメタノール成分とからなる共重合ポ
リエステルとのブレンド系;ジカルボン酸成分がテレフ
タル酸成分であり、多価アルコール成分がエチレングリ
コール成分と1,4−シクロヘキサンジメタノール成分
とからなる共重合ポリエステルと、ジカルボン酸成分が
テレフタル酸成分とダイマー酸成分とからなり、多価ア
ルコール成分がエチレングリコール成分である共重合ポ
リエステルとのブレンド系等が挙げられる。もちろん、
上記例示以外の多価アルコール成分を併用してもよく、
テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分を併用しても
よい。
【0048】3種の混合系においては、ホモポリエステ
ルとしてのPETと、ジカルボン酸成分がテレフタル酸
成分であり、多価アルコール成分がエチレングリコール
成分と1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とから
なる共重合ポリエステルと、ジカルボン酸成分がテレフ
タル酸成分であり、多価アルコール成分がエチレングリ
コール成分とダイマージオール成分とからなる共重合ポ
リエステルとのブレンド系;ホモポリエステルとしての
PETと、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分であ
り、多価アルコール成分がエチレングリコール成分と
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分からなる共重
合ポリエステルと、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成
分とダイマー酸成分とからなり、多価アルコール成分が
エチレングリコール成分である共重合ポリエステルのブ
レンド系等が挙げられる。もちろん、上記例示以外の多
価アルコール成分を併用してもよく、テレフタル酸成分
以外のジカルボン酸を併用してもよい。なお、4種以上
のポリエステルをブレンドしても良い。
【0049】具体的なフィルムの製造方法としては、原
料ポリエステルチップをホッパドライヤー、パドルドラ
イヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、
押出機を用いて200〜300℃の温度でフィルム状に
押し出す。あるいは、未乾燥のポリエステル原料チップ
をベント式押出機内で水分を除去しながら同様にフィル
ム状に押し出す。押出しに際してはTダイ法、チューブ
ラ法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押出し
後は、急冷して未延伸フィルムを得る。
【0050】この未延伸フィルムに対して延伸処理を行
うが、最大収縮方向がフィルム横(幅)方向であること
が、生産効率上、実用的であるので、以下、主収縮方向
を横方向とする場合の延伸法の例を示す。なお、最大収
縮方向をフィルム縦(長手)方向とする場合も、下記方
法における延伸方向を90゜変える等、通常の操作に準
じて延伸することができる。
【0051】熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分
布を均一化させることに着目すれば、テンター等を用い
て横方向に延伸する際、延伸工程に先立って予備加熱工
程を行うことが好ましく、この予備加熱工程では、熱伝
導係数が0.00544J/cm2・sec・℃(0.
0013カロリー/cm2・sec・℃)以下となるよ
うに、低風速で、フィルム表面温度がTg+0℃〜Tg
+60℃の範囲内のある温度になるまで加熱を行うこと
が好ましい。なお前記Tgはガラス転移温度を示す。
【0052】横方向の延伸は、Tg−20℃〜Tg+4
0℃の範囲内の所定温度で、2.3〜7.3倍、好まし
くは2.5〜6.0倍に延伸する。その後、50℃〜1
10℃の範囲内の所定温度で、0〜15%の伸張あるい
は0〜15%の緩和をさせながら熱処理し、必要に応じ
て40℃〜100℃の範囲内の所定温度でさらに熱処理
をして、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
【0053】この横延伸工程においては、フィルム表面
温度の変動を小さくすることのできる設備を使用するこ
とが好ましい。すなわち、延伸工程には、延伸前の予備
加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、
再延伸処理工程等があるが、特に、予備加熱工程、延伸
工程および延伸後の熱処理工程において、任意ポイント
において測定されるフィルムの表面温度の変動幅が、平
均温度±1℃以内であることが好ましく、平均温度±
0.5℃以内であればさらに好ましい。フィルムの表面
温度の変動幅が小さいと、フィルム全長に亘って同一温
度で延伸や熱処理されることになって、熱収縮挙動が均
一化するためである。
【0054】延伸の方法としては、テンターでの横1軸
延伸ばかりでなく、縦方向に1.0倍〜4.0倍、好ま
しくは1.1倍〜2.0倍の延伸を施してもよい。この
ように2軸延伸を行う場合は、逐次2軸延伸、同時2軸
延伸のいずれでもよく、必要に応じて、再延伸を行って
もよい。また、逐次2軸延伸においては、延伸の順序と
して、縦横、横縦、縦横縦、横縦横等のいずれの方式で
もよい。
【0055】延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、
幅方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、
延伸工程の熱伝達係数は、0.00377J/cm2
sec・℃(0.0009カロリー/cm2・sec・
℃)以上とすることが好ましい。0.00544〜0.
00837J/cm2・sec・℃(0.0013〜
0.0020カロリー/cm2・sec・℃)がより好
ましい。
【0056】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルム
の厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用
熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、10〜20
0μmが好ましく、20〜100μmがさらに好まし
い。
【0057】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳述す
るが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本
発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本
発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られた
フィルムの組成及び物性の測定方法は、以下の通りであ
る。
【0058】(1)フィルム組成 フィルムを、クロロホルムD(ユーリソップ社製)とト
リフルオロ酢酸D1(ユーリソップ社製)を10:1
(体積比)で混合した溶媒に溶解させて、試料溶液を調
製し、NMR(「GEMINI−200」;Varia
n社製)を用いて、温度23℃、積算回数64回の測定
条件で試料溶液のプロトンのNMRを測定した。NMR
測定によって得られるプロトンのピーク強度に基づい
て、フィルムを構成するモノマーの構成比率を算出し
た。
【0059】(2)熱収縮率 フイルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、85
℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬し
て熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒浸
漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記
式に従って求めた値である。 熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長
さ)÷(収縮前の長さ) 最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
【0060】(3)耐破れ性(破断率) JIS K 7127に準じ、熱収縮前のフィルムの最
大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行う。
試験片数は20とした。試験片長さ200mm、チャッ
ク間距離100mm、試験片幅15mm、温度23℃、
引張速度200mm/分の条件で行った。伸度5%以下
で破断した試験片数を数え、全試験片数(20個)に対
する百分率を求め、破断率(%)とした。
【0061】(4)溶剤接着性 フィルムを紙管に巻いた状態で雰囲気温度30℃±1
℃、相対湿度85±2%に制御した恒温恒湿機内に25
0時間放置した後、取り出して、東洋インキ製造社製の
草色、金色、白色のインキで3色印刷した後、センター
シールマシンを用いて、1,3−ジオキソラン/アセト
ン=80/20(質量比)の混合溶剤で溶剤接着してチ
ューブを作り、二つ折り状態で巻き取った。このチュー
ブロールを、温度23℃±1℃、相対湿度65%±2%
の恒温恒湿機内に24時間放置後、取り出して、巻き返
し、接着性をチェックした。手で容易に剥がれる部分が
あるものを×、軽い抵抗感をもって手で剥がれるものを
△、手で容易に剥がれる部分のないものを○として評価
した。○が合格である。
【0062】(5)収縮仕上がり性 上記溶剤接着性評価のために製造したチューブを裁断し
て熱収縮性ポリエステル系フィルムラベルを作成した。
溶剤接着ができなかったものについては、ヒートシール
を行ってラベルを作成した。次いで、容量300mlの
ガラス瓶にラベルを装着した後、160℃(風速10m
/秒)の熱風式熱収縮トンネルの中を13秒間通過させ
て、ラベルを収縮させた。収縮白化と収縮斑の程度を目
視で判断し、収縮仕上がり性を5段階で評価した。基準
は、5:仕上がり性最良、4:仕上がり性良、3:収縮
白化または収縮斑少し有り(2ヶ所以内)、2:収縮白
化または収縮斑有り(3〜6ヶ所)、1:収縮白化また
は収縮斑多い(6ヶ所以上)として、4以上を合格レベ
ル、3以下のものを不良とした。
【0063】(6)最大熱収縮応力値 加熱炉付引張試験機(東洋精機(株)製「テンシロ
ン」)を用い、熱収縮性フィルムから、最大収縮方向の
長さ200mm、幅20mmのサンプルを切り出し、予
め90℃に加熱した加熱炉中の送風を止めて、サンプル
の両端からそれぞれ50mmの位置でサンプルをチャッ
クに取り付けてチャック間距離が100mmとなるよう
にし、その後速やかに加熱炉の扉を閉め送風を再開し検
出される収縮応力を測定し、チャートから求まる最大値
を最大熱収縮応力値(MPa)とした。
【0064】実施例1 撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステン
レススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸エステ
ルとしてのジメチルテレフタレート(DMT)100モ
ル%と、多価アルコールとしてのエチレングリコール
(EG)75モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール18モル%、及びダイマージオール7モル%を、多
価アルコールがモル比でメチルエステルの2.2倍にな
るように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を
0.05モル%(酸成分に対して)を用いて、生成する
メタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行
った。その後、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.
025モル%(酸成分に対して)添加し、重縮合した。
得られた共重合ポリエステルの固有粘度は0.66dl
/gであった。このポリエステルを280℃で単軸式押
出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μm
の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを95℃
で12秒間予熱した後、テンターで横方向に77℃で
4.0倍延伸し、続いて75℃で8秒間熱処理を行っ
て、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを
得た。得られたフィルム中のジカルボン酸成分及び多価
アルコール成分の組成と物性値を表1に示す。
【0065】実施例2 共重合ポリエステルの製造に際してジカルボン酸類とし
てテレフタル酸ジメチル96モル%、ダイマー酸4モル
%を用い、多価アルコールとしてエチレングリコール7
9モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール21モ
ル%を用いる以外は、実施例1と同様にして共重合ポリ
エステルを得た。この共重合ポリエステルの固有粘度は
0.67dl/gであった。このポリエステルを280
℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚
さ180μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィ
ルムを95℃で8秒間予熱した後、テンターで横方向に
77℃で4.0倍延伸し、続いて72℃で10秒間熱処
理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムを得た。得られたフィルム中のジカルボン酸成分
及び多価アルコール成分の組成と物性値を表1に示す。
【0066】比較例1 共重合ポリエステルの製造に際してジカルボン酸類とし
てテレフタル酸ジメチル90モル%、イソフタル酸ジメ
チル10モル%を用い、多価アルコールとしてエチレン
グリコール75モル%、1,4−ブタンジオール25モ
ル%を用いる以外は、実施例1と同様にして共重合ポリ
エステルを得た。この共重合ポリエステルの固有粘度は
0.68dl/gであった。このポリエステルを280
℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚
さ180μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィ
ルムを95℃で8秒間予熱した後、テンターで横方向に
77℃で4.0倍延伸し、続いて75℃で10秒間熱処
理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フ
ィルムを得た。得られたフィルム中のジカルボン酸成分
及び多価アルコール成分の組成と物性値を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】(表中、TPAはテレフタル酸成分を、I
PAはイソフタル酸成分を、D−COOHはダイマー酸
成分を、EGはエチレングリコール成分を、DEGはジ
エチレングリコール成分を、CHDMは1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール成分を、D−OHはダイマージオ
ール成分を、BDは1,4−ブタンジオール成分を示
す)
【0069】
【発明の効果】本発明の熱収縮性ポリエステル系フィル
ムによれば、低温での収縮性がよく、かつ収縮仕上がり
性に優れており、美麗な外観を得ることができる。また
耐破れ性や溶剤接着性にも優れており、収縮ラベル、キ
ャップシール、収縮包装等の用途に好適に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武川 善紀 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 伊藤 勝也 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 米田 茂 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 (72)発明者 野瀬 克彦 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AF21Y AF61Y AG28 AH04 AH05 BA01 BB07 BC01 4F210 AA24 AE01 AG01 RA03 RC02 RG02 RG04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱収縮性ポリエステル系フィルムにおい
    て、 多価アルコール成分100モル%中の1,4−シクロヘ
    キサンジメタノール成分の割合(A)が10〜50モル
    %、 ジカルボン酸成分100モル%中のダイマー酸成分の割
    合(B)と、多価アルコール成分100モル%中のダイ
    マージオール成分の割合(C)との和が1〜15(単
    位:モル%)であり、 10cm×10cmの正方形状に切り取った熱収縮性ポ
    リエステル系フィルムの試料を、85℃の温水中に10
    秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬
    して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%
    以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 割合(A)、(B)、及び(C)の和が
    13〜55(単位:モル%)である請求項1記載の熱収
    縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの最大収縮方向と直交する方向
    についての引張試験を、複数の熱収縮性ポリエステル系
    フィルム試験片について、チャック間距離100mm、
    試験片幅15mm、温度23℃、引張速度200mm/
    分の条件で行ったとき、破断伸度5%以下の試験片数
    が、全試験片数の10%以下である請求項1又は2に記
    載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの最大収縮方向についての熱収
    縮試験を、90℃の熱空気中、試験片幅20mm、チャ
    ック間距離100mmの条件で行ったとき、最大熱収縮
    応力値が3MPa以上である請求項1〜3のいずれかに
    記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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