JP2011094159A - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温から高温までの幅広い温度域、特に低温域において優れた収縮特性を有すると共に、収縮斑、シ.ワ、歪み、タテヒケの発生が極めて少なく、また、耐破れ性にも優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】ポリエステルからなり、主収縮方向の65℃における動的粘弾性のtanδ値が0.15以上、tanδ値が最大となる温度が65℃以上、100℃以下であって、そのtanδ最大値が0.40以上、80℃温水中で10秒処理した後の上記主収縮方向の熱収縮率が30%以上厚みが10〜200μmである熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくは収縮後に収縮斑、シワ、歪み、タテヒケなどの発生が極めて少なく、さらに、耐破れ性にも優れた、ラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
従来、熱収縮性フィルムは加熱により収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベル、キャップシールなどの用途に広く用いられている。なかでも、塩化ビニル系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などからなる熱収縮性延伸フィルムがポリエチレンテレフタレート(PET)容器やポリエチレン容器、ガラス容器などの各種容器にラベル用として用いられている。
しかしながら、塩化ビニル系樹脂は耐熱性が低い、焼却時に塩化水素ガスなどを発生するなどの問題を抱えている。また、熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムをPET容器などの収縮ラベルとして用いると、容器のリサイクル利用に際してラベルと容器を分離する必要がある。
これに対して、ポリスチレン系樹脂やポリエステル系樹脂のフィルムは焼却時に塩化水素ガスなどの有害物質を発生しないため、塩化ビニル系樹脂フィルムに代わる容器用収縮ラベルとして期待されている。
しかし、ポリスチレン系樹脂フィルムは、収縮後の仕上がり外観性は良好であるものの、耐溶剤性が悪いために印刷の際には特殊インキを使用しなければならない。また、高温での焼却を必要とし、焼却時に多量の黒煙と異臭を発生するなど、その廃棄にも問題があった。(特許文献1参照。)
特開平11−077917号公報
上記問題を解決できる素材としてポリエステル系樹脂フィルムは非常に期待され、その使用量も増加してきている。しかし、上記従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムも、その熱収縮特性においては充分満足できるものではなかった。特に、熱収縮時に収縮斑やシワが発生しやすく、さらに、PETボトル、ポリエチレンボトル、ガラス瓶などの容器の胴部に被覆収縮する際に、あらかじめ収縮前のフィルムに印刷した文字、図柄が収縮後に歪んだり、容器へのフィルムの密着が充分でなかったりするなどの問題を有していた。さらに、熱収縮性ポリスチレン系フィルムと比較して低温での収縮性に劣り、必要とする収縮量を得るためにはより高温で収縮させなければならず、ボトルなどの変形や白化を生じるなどの問題も有していた。
また、工業生産規模で被覆収縮する際には、熱収縮性フィルムをラベル、チュ一ブ、袋などの形態に加工したものを容器に装着した後に、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部をベルトコンベアーなどにのせて通過させ、被覆収縮させる方式が一般的に行われている。スチームトンネルは熱風トンネルよりも伝熱効率がよいので、より均一に加熱収縮させることが可能であり、熱風トンネルに比べると良好な収縮仕上がりを得ることができる。しかし、前記従来の熟収縮性ポリエステルフィルムは収縮仕上がり性の面では熱収縮性塩化ビニル系樹脂フィルムや熱収縮性ポリスチレン系樹脂フィルムよりも劣るものであった。また、熱風トンネルにおいては熱収縮の際に温度斑を生じやすく、その結果収縮斑、シワ、歪みなどが特に発生しやすい。このようなことから、前記従来の熱収縮性ポリエステルフィルムは熱風トンネルでの収縮仕上がり性においても、熱収縮性塩化ビニル系樹脂や熱収縮性ポリスチレン系フィルムに劣るものであった。
本発明は、低温から高温までの幅広い温度域、特に低温域において優れた収縮特性を有すると共に、収縮斑、シ.ワ、歪み、タテヒケの発生が極めて少なく、また、耐破れ性にも優れたラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステルフィルムを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリエステルからなり、主収縮方向の65℃における動的粘弾性のtanδ値が0.15以上、tanδ値が最大となる温度が65〜100℃であって、そのtanδ最大値が0.40以上、80℃温水中で10秒処理した後の上記主収縮方向の熱収縮率が30%以上、厚みが10〜200μmであることを特徴とする。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、低温から高温までの幅広い温度域、特に低温域において優れた収縮仕上がり性を有し、収縮斑、シワ、歪みが極めて少ない美麗な収縮仕上がり外観を得ることができ、かつ耐破れ性も優れており、収縮ラベル、キャップシール、収縮包装などの用途に好適に用いられるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、動的粘弾性測定装置で測定した、主収縮方向の65℃におけるtanδ値が0.15以上であることが必要である。熱収縮性フィルムをラベル、チューブなどの形態に加工したものを容器に装着後、収縮トンネル内で熱収縮させる工業生産での工程において、熱収縮性フルム容器が接触している面側の表面温度は、工程や使用する容器によっても異なるが、一般的に85℃以下の低温となっている。低温での主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値は収縮時の収縮斑、シワ、歪みなどの発生を左右する因子であり、特に主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値が65℃で0.15以上であれば収縮トンネル内で熱収縮させる工業生産での工程において、収縮斑、シワ、歪みなどの欠点の発生が極めて少なくなる。主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値は65℃で0.20以上となることがより好ましい。ここでいうtanδ値とは試料に正弦的応力を加え、その応答となる正弦的歪みの遅れより、貯蔵弾性率(G')と損失弾性率(G")を求め、tanδ=G'/G"で定義した値を表す。さらに、主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値は60℃で0.05以上、特に、0.10以上となることが好ましく、このとき、低温収縮性に特に優れ、収縮仕上がり性が特に良好である。
また、本発明においては、さらに、主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値が最大となる温度が65℃以上、100℃以下であることが必要である。主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値が最大となる温度が65℃未満では室温下での耐破れ性が悪くなり、また、経時によるフィルム物性変化を起こしやすくなる。例えば、室温下で長期間保管した際に70℃以下の低温での収縮率が低下し、収縮仕上がり性が悪くなる問題が発生する。さらに、tanδ値が最大となる温度が100℃を超えると、本発明の特徴である、低温域での収縮仕上がり性が悪くなる。さらに、主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値が最大となる温度は65℃以上、80℃未満であることが好ましく、このとき低温収縮性に特に優れ、収縮仕上がり性が特に良好である。
さらに、本発明においては、主収縮方向のtanδ最大値が0.4以上であることが必要である。tanδ最大値が0.4未満であると、熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルの結晶性が高くなりすぎるために、熱収縮時の部分的結晶化による白化現象が発生したり、チュービング加工する際に、通常行われているようなテトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いたフィルム同士の接着性が悪化又は接着不可能となる。より安定した収縮仕上がり外観性や有機溶剤による接着性を得るためには、主収縮方向のtanδ最大値は、0.6以上、さらに0.8以上であることが好ましい。
また、本発明においては、主収縮方向の80℃温水中での10秒処理後の熱収縮率が30%以上であることが必要である。80℃温水中での熱収縮率が30%未満であると、収縮不足のために収縮仕上がり性が不良となる。より安定した収縮仕上がり外観性を得るためには、主収縮方向の80℃温水中での10秒処理後の熱収縮率が40%以上、さらに50%以上であることが好ましい。
また、本発明においては、主収縮方向と直交方向の初期破断率が0%であることが好ましい。初期破断率が0%を超えるとフィルムの耐破れ性が悪くなる。収縮性ポリエステル系フィルムでは、主収縮方向に分子が配向しているので、耐破れ性が悪くなると、分子の配向方向に沿って裂けやすくなり、印刷やチュービング加工などの加工工程でのテンションによりフィルムの破断が起こり加工の操業性が低下する問題がある。
さらに、本発明においては、80℃温水中での10秒処理後の、主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が10%以下であることが好ましい。主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が10%を超えると主収縮方向に直交する方向の収縮による、収縮仕上がり性不良(タテヒケ)が起こる。より安定した収縮仕上がり性を得るためには、主収縮方向に直交する方向の80℃温水中での10秒処理後の熱収縮率が7%以下、さらに5%以下、特に2%以下であることが好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用収縮フィルムとして10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成するポリエステルは、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成誘導体と多価アルコール成分とを主成分とするものである。上記ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4もしくは2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。またこれらのエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステルなどの誘導体が挙げられる。また脂肪族ジカルボン酸としては、ダイマー酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸などが挙げられる。また、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリツト酸、無水ヒロメリット酸などの多価のカルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。また、上記多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール、ビスフェノール化合物又はその誘導体のエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。また、多価アルコールに代えて、イプシロンガプロラクトンも同様に使用可能である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成するポリエステルは、上記のジカルボン酸成分、多価アルコール成分のうちでジカルボン酸成分としてダイマー酸、多価アルコール成分としてダイマージオールを少なくとも一構成成分として含有するポリエステルであることが好ましい。ダイマー酸及び/又はダイマージオールを本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成するポリエステルの構成成分として含有することで、フィルムの耐破れ性を維持しつつ、主収縮方向の60℃における動的粘弾性のtanδ値を上げることができるので、フィルム特性をコントロールしやすくなる。このとき、ダイマー酸とダイマージオールのどちらか一方あるいは両方を含有しても良く、ダイマー酸及びダイマージオールの全含有量は全カルボン酸成分あるいは、全多価アルコール成分に対して、1〜20モル%、さらに1〜15モル%、特に1〜7モル%であることが好ましい。ダイマー酸及びダイマージオールは次式(1)及び(2)で示される構造を有する成分を主成分とする混合物であり、好ましい構成比は(1):(2)=10:90〜90:10である。またダイマー酸及びタイマージオールは水洗精製されていることが好ましい。
Figure 2011094159
本発明において、60℃における動的粘弾性のtanδ値、tanδ値が最大となや温度及びtanδ最大値は前述のポリエステルの構成成分などを用いることと、フィルムの製膜条件を組み合わせることにより、本発明の目的とする範囲内に制御することができる。かかるポリエステルは、単独の重合体でもよいし、2種以上のポリ土ステルを混合して用いてもよい。2種以上のポリエステルを併用する場合は、ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステルの混合系であってもよく、また、共重合ポリエステル同士の組み合わせであってもよい。また、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレートなどのホモポリエステルとの組み合わせであってもよい。二次転移点(Tg)の異なる2種類以上のポリエステルを混合する方法も本発明の目的を達成する有効な手段とすることができる。具体的な構成としては、例えばジカルボン酸成分がテレフタル酸及びイソフタル酸からなり、ジオール成分がエチレングリコール、ダイマージオール及びポリテトラメチレングリコール分子量500〜3000からなるポリエステルなどが挙げられ、これらを単一の共重合系又は2種以上の混合系とする方法などがある。これらのポリエステルは常法により溶融重縮合することによって製造できるが、これに限定されるものではなくその他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。ポリエステルの重合度は、特に限定するものではないが、フィルム形成性の点から、固有粘度にして0.3〜1.3dL/gのものが好ましく、特に0.5〜1.3dL/gのものが好ましい。
本発明において用いるポリエステルには、着色度及びゲル発生度などの値を低い値におさえ、耐熱性を改善する目的で、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、チタン化合物などの重縮合触媒以外に、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどのMg塩、酢酸カルシウム、塩化カルシウムなどのCa塩、酢酸マンガン、塩化マンガンなどのMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛などのZn塩、塩化コバルト、酢酸コバルトなどのCo塩を生成ポリエステルに対し各々金属イオンとして300PPm以下、リン酸又はリン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステルなどのリン酸エステル誘導体をリン(P)換算で200PPm以下添加することも可能である。
上記重縮合触媒以外の金属イオンの総量が生成ポリエステルに対し300ppm、またリン(P)の量が200ppmを超えるとポリマーの着色が顕著になるのみならず、ポリマーの耐熱性及び耐川水分解性も著しく低下する。
このとき、耐熱性、耐川水分解性などの点で、総P量(P)と総金属イオン量(M)とのモル原子比(P/M)は、0.4〜1.0であることが好ましい。モル原子比(P/M)が0.4未満又は1.0を超える場合には、本発明の組成物の着色、粗大粒子の発生が顕著となり、好ましくない。
本発明で用いるポリエステルの製造法は特に限定するものではないが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させて得られるオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法などが挙げられ、任意の製造法を適用することができる。
上記金属イオン及びリン酸及びその誘導体の添加時期は特に限定しないが、一般的には金属イオン類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前又はエステル化前に、リン酸類は重縮合反応前に添加するのが好ましい。
また、本発明のフィルムを形成するポリエステルに必要に応じてシリカ、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウムなどの微粒子を添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤などを添加することもできる。
本発明の熱収縮ポリエステル系樹脂フィルムでの、前記の如き、動的粘弾性における65℃でのtanδ値、tanδ最大値、tanδが最大となる温度、80℃温水中で10秒間の浸漬処理後の主収縮方向の熱収縮率を前記範囲とする方法は特に限定されず、フィルムを形成するポリエステル系樹脂の構成成分を前述のようなものとすることや、後述のようなフィルムの形成条件の制御によって達成でき、これらの方法を組み合せることもできる。
次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの典型的な製造方法を示す。本発明に用いるポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤーなどの乾燥機又は真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜300℃の温度でフィルム状に溶融押出しする。あるいは、未乾燥のポリエステル原料をベント式押し出し機内で水分を除去しながら同様にフィルム状に溶融押出しする。押出しに際してはTダイ法、チューブラ法など、既存のどの方法を採用することができる。押出し後急冷して未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムに対して延伸処理を行うが、本発明の目的を達成するには主収縮方向としては横方向が実用的であるので以下主収縮方向が横方向とする場合の製膜法の例を示す。しかし、主収縮方向を縦方向とする場合も下記方法における延伸方向を90度変えるほか通常の操作に準じて同様に製膜することができる。
延伸の方法としては、主収縮方向を横方向とする場合、テンターでの横一軸延伸が例として挙げられるが、テンターを用いて横方向に延伸する際、延伸工程先だって実施される予備加熱工程ではフィルム温度がTg+0℃〜Tg+60℃になるまで加熱を行うことが必要である。目的とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分布を均一化させることに着目すれば、熱伝導係数を0.0013カロリー/cm2・sec・℃)(SI単位では0.0054(J/ cm2・sec・K))以下の低風速で行うことが好ましい。
横方向の延伸は、Tg+0〜+40℃の温度範囲で、延伸倍率(多段で行う場合は、各段の延伸倍率の積)が2.3〜7.3倍となるように行うことが必要である。さらに、3.8〜5.2倍となるように、延伸するのが好ましい。このとき、第1段目の延伸温度は予備加熱温度より低温で行うことが好ましい。さらに、その後(多段延伸の場合は各延伸のいずれかの間)、60℃〜110℃の温度で、0〜15%の伸張あるいは0〜15%の緩和をさせながら熱処理することが好ましい。必要に応じて40℃〜100℃の温度でさらに熱処理を施すのが良い。
なお、主収縮方向を横方向とするときに縦方向にも延伸する場合の二軸延伸では、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のいずれでもよく、必要に応じて再延伸を行ってもよい。また、逐次二軸延伸においては延伸の順序として、縦横、横縦、縦横縦、横縦横などのいずれの方式でもよい。
このとき、縦方向に1.0〜2.3倍以下、好ましくは1.1〜1.8倍、特に好ましくは1.1〜1.4倍の延伸を施すことができる。また、縦延伸における温度としては、Tg+0℃〜Tg+50℃、特にTg+10℃〜Tg+40℃が好ましい。縦方向に延伸することにより熱収縮フィルムの耐破れ性を改良することができる。しかしながら縦方向に2.3倍を超えて延伸すると、主収縮方向と直交方向の80℃温水中での10秒処理後の熱収縮率が10%を超える傾向にあるので本発明フィルムを製造する条件としては好ましくない。
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、内方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、延伸工程の熱伝達係数は0.0009カロリー/cm2・sec・℃(SI単位では0.0038(J/ cm2・sec・K))以上、好ましくは0.0013(SI単位では0.0054)〜0.0020カロリー/cm2・sec・℃(SI単位では0.0084(J/ cm2・sec・K))の条件がよい。
以下に特に好ましい延伸工程の一例を述べる。
(1)延伸工程に先だって、熱伝導係数を0.0013カロリー/cm2・sec・℃)(SI単位では0.0054(J/ cm2・sec・K))以下の低風速で、フィルム温度がTg+0℃〜Tg+60℃になるまで加熱を行う。
(2)上記予備加熱に引き続いて行う第1段の横方向の延伸は予熱温度−30℃〜予熱温度−20℃の温度で、1.8〜2.3倍延伸する。まず第1段階延伸として、低温延伸、および予熱温度と延伸の温度差により低温でのtanδ値が上昇する。
(3)上記第1段の横方向延伸に引き続いて、第1段横延伸温度+3〜+5℃の温度範囲で横方向に3〜10%緩和する。
(4)次に、前記第1段横延伸温度+5〜+10℃の温度範囲で1次横延伸倍率とここでの延伸倍率の積が3.8〜4.2倍となるように延伸する。緩和工程を挟んで、高温延伸することにより、収縮応力とMDHS(MD方向の収縮率)が低下する。
(5)前記第1段横延伸温度〜第1段横延伸温度−5℃の温度範囲で横方向に3〜8% 伸長する。最後に伸張工程を施すことにより、HS(TD方向の収縮率)が上昇する。
以上に説明したように本発明はフィルム原料のポリエステル組成と延伸方法との組み合わせによって達成される。
本発明の熱収縮フィルムは、その必要に応じて、表面に防曇層などの層を積層することができる。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。また、本明細書におけるフィルムの物性の測定方法を下記に示す。
(1)動的粘弾性
アイティー計測社製動的粘弾性測定装置を用い、測定長3cm、変位0.25%、周波数10Hzの条件で測定し、60℃におけるtanδ値については、60.0〜60.4℃の範囲内でのtanδ値を60℃におけるtanδ値として定量した。サンプルサイズは、主収縮方向に4cm、その直角方向に5mmに切り出し、2ヶ所の値の平均値を用いた。
(2)熱収縮率
フィルムを延伸方向とその直角方向に10cm×10cmの正方形に裁断し、80±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦及び横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従い熱収縮率を求めた。熱収縮率:(収縮前の長さ一収縮後の長さ)÷収縮前の長さ×100(%)…(1)
(3)主収縮方向
フィルムを延伸方向とその直角方向に10cm×10cmの正方形に裁断し、80℃±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒問処理して熱収縮させた後、フィルムの縦及び横方向の寸法を測定し、熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
(4)収縮仕上がり性
熱風式熱収縮トンネルにて、130℃(風速10m/秒)の熱風で通過時間10秒にて、ガラス瓶(300mL)に、草色、金色、白色のインキで3色印刷した熱収縮フィルムラベルを装着後、通過させて収縮仕上がり性を目視にて判定した。熱収縮フィルムラベルはフィルムを長方形に切り取り、端部を1,3-ジオキソランで溶剤接着させて貼り合わせ(のりしろ5mm)、長さ110mm×折り径110mmの円筒状としたものを使用した。ここでは、円周方向を主収縮方向とし、折り径とは、円筒状のラベルを平らにしたときの幅方向の長さをいう。なお、収縮仕上がり性のランクについては5段階評価を行い、5:仕上がり性最良(0ヶ所)4:仕上がり性良(1ヶ所)3:収縮斑少しあり(2ヶ所)2:収縮斑あり(3〜5ヶ所)1:収縮斑多い(6ヶ所以上)として、4以上を合格レベルとした。
(5)初期破断率
JIS-C-2318に準じ熱収縮フィルムの破断伸度を主収縮方向と直交方向に測定し(試料数n=20、)、破断伸度が5%以下の試料の数(x)を求め、下記(2)式により計算した。サンプルは熱収縮フィルムを巾15mm、長さ100mmの形状に切り取り、長手方向を主収縮方向と直交方向とした。
初期破断率=(x/n)×l00(%)…(2)
(実施例1)
撹拝機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート80モル%、ジメチルイソフタレート20モル%、多価アルコール成分としてエチレングリコール96モル%とダイマージオール3モル%の組成で、多価アルコール成分がモル比でジカルボン酸成分の2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル(醸成分に対して)用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)1モル%(醸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(醸成分に対して)添加し、重縮合した。これによりテレフタル酸成分80モル%、イソフタル酸成分20モル%とエチレングリコール成分96モル%、ダイマージオール成分3モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。ここで、この共重合ポリエステルは固有粘度0.71dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを、延伸温度80℃にて縦方向に1.15倍延伸した。次いで103℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱した後、続けて横方向に第1段延伸を75℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で2.0倍、緩和工程において78℃で3秒の間に6%緩和し、引き続いて80℃[熱伝達係数:0.0014cal/cm2・sec・℃(0.0060J/ cm2・sec・K)]で横延伸倍率の合計が4.0倍になるように横方向に延伸した。次いで73℃で横方向に5%伸張しながら6秒間熱処理を行い厚さ43μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。このときの、主収縮方向は横方向であった。
(実施例2)
実施例1と同様の重合方法により、テレフタル酸成分79モル%、イソフタル酸成分15モル%、ダイマー酸成分6モル%とエチレングリコール成分88モル%、ネオペンチルグリコール成分10モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分2モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.72dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ190μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを、延伸温度78℃にて縦方向に1.20倍延伸した。次いで105℃で[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]8秒間予熱した後続けて横方向に第1段延伸を75℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で1.8倍、緩和工程において76℃で3秒の間に5%緩和し、引き続いて80℃[熱伝達係数:0.0014cal/cm2・sec・℃(0.0060J/ cm2・sec・K)]で横延伸倍率の合計が4.1倍になるように横方向に延伸した。次いで73℃で横方向に5%伸張しながら6秒間熱処理を行い厚さ44μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の重合方法により、テレフタル酸成分97モル%、イソフタル酸成分3モル%とエチレングリコール成分71.5モル%、ネオペンチルグリコール成分28モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分0.5モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ195μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを105℃で9秒間予熱後、横方向83℃で4.3倍に延伸し、次いで75℃で10秒間熱処理をして厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1と同様の重合方法により、テレフタル酸成分92モル%、イソフタル酸成分8モル%とエチレングリコール成分77モル%、1,4一ブタンジオール成分23モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを95℃で8秒間予熱後、横方向80℃で2.3倍、さらに85℃で1.7倍に延伸し、次いで85℃で15秒間熱処理をして厚さ44μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1と同様の重合方法により、テレフタル酸成分62モル%、イソフタル酸成分38モル%とエチレングリコール成分78モル%、ブタンジオール成分21モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを90℃で8秒間予熱後、横方向80℃で1.6倍、さらに75℃で2.5倍延伸し、次いで73℃で10秒間熱処理をして厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例4)
実施例1と同様の重合方法により、テレフタル酸成分83モル%、2,6一ナフタレンジカルボン酸成分17モル%とエチレングリコール成分83モル%、ブタンジオール成分15モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分2モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70dL/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを105℃で8秒間予熱後、横方向に85℃で2.5倍さらに90℃で1.16倍延伸し、次いで73℃で10秒間熱処理を行い厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(実施例3)
撹枠機、温度計及び部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに二塩基酸成分としてジメチルテレフタレート28モル%、ジメチルナフタレート72モル%、グリコール成分としてエチレングリコール88モル%とダイマージオール11モル%の組成で、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(醸成分に対して)を用いて、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)1モル%(醸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル%(醸成分に対して)添加し、重縮合した。これによりテレフタル酸成分28モル%、2,6一ナフタレンジカルボン酸成分72モル%と、エチレングリコール成分88モル%、ダイマージオール成分11モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.69d1/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを、延伸温度80℃[熱伝達係数:0.0201cal/cm2・sec・℃(0.0837J/ cm2・sec・K)]にて縦方向に1.15倍延伸した。その後、103℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱し、次に横方向に第1段延伸として75℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で2.0倍、ついで78℃で3秒の間に6%の緩和工程を経て、引き続き第2段階延伸として80℃[熱伝達係数:0.0014cal/cm2・sec・℃(0.0060J/ cm2・sec・K)]で合計4.0倍まで延伸し、ついで73℃で5%伸張しながら6秒間熱処理を行い、厚さ43μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
(実施例4)
実施例3と同様の重合方法により、テレフタル酸成分51モル%、イソフタル酸成分5モル%、2,6一ナフタレンジカルボン酸成分35モル%、ダイマー酸成分9モル%と、エチレングリコール成分89モル%、ネオペンチルグリコール成分10モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70d1/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを、延伸温度78℃[熱伝達係数:0.0201cal/cm2・sec・℃(0.0837J/ cm2・sec・K)]にて縦方向に1.20倍延伸した。その後、ついで105℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱後、横方向に第1段延伸として75℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で1.8倍、ついで78℃で5%の緩和工程を経て、引き続き第2段階延伸として80℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で合計4.1倍まで延伸し、ついで73℃で5%伸張しながら6秒間熱処理を行い、厚さ44μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
(実施例5)
実施例3と同様の重合方法により、テレフタル酸成分30モル%、2,6一ナフタレンジカルボン酸成分70モル%と、エチレングリコール成分89モル%、ダイマージオール成分10モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70d1/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ400μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを80℃[熱伝達係数:0.0201cal/cm2・sec・℃(0.0837J/ cm2・sec・K)]で縦方向に2.3倍延伸し、105℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱後、横方向に85℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で2.5倍、ついで88℃で5%の緩和工程を経て、さらに90℃[熱伝達係数:0.0016cal/cm2・sec・℃(0.0065J/ cm2・sec・K)]で1.6倍延伸し、ついで75℃で5%伸張しながら10秒間熱処理を行い、厚さ43μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
(比較例5)
実施例3と同様の重合方法により、テレフタル酸成分100モル%と、エチレングリコール成分68モル%、ネオペンチルグルゴール成分31モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.70d1/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ195μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを110℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱後、横方向に83℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で4.5倍に延伸し、ついで70℃で10秒間熱処理をして厚さ43μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
(比較例6)
実施例3と同様の重合方法により、テレフタル酸成分8モル%と、2,6一ナフタレンジカルボン酸成分92モル%、エチレングリコール成分90モル%、1,4一ブタンジオール成分10モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.68d1/gであった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを105℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱後、横方向に90℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で2.3倍、さらに85℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で1.7倍に延伸し、ついで90℃で5%伸張しながら15秒間熱処理をして厚さ46μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フルムを得た。
(実施例6)
実施例3と同様の重合方法により、テレフタル酸成分78モル%、イソフタル酸成分22モル%と、エチレングリコール成分81モル%、ブタンジオール成分18モル%、ポリテトラメチレングリコール(分子量650)成分1モル%からなる共重合ポリエステルを得た。この共重合ポリエステルは固有粘度0.67d1/9であった。このポリエステルを280℃で溶融押出し後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを90℃[熱伝達係数:0.0015cal/cm2・sec・℃(0.0062J/ cm2・sec・K)]で8秒間予熱後、横方向に80℃[熱伝達係数:0.0011cal/cm2・sec・℃(0.0045J/ cm2・sec・K)]で1.6倍、さらに75℃[熱伝達係数:0.0014cal/cm2・sec・℃(0.0060J/ cm2・sec・K)]で2.5倍延伸し、ついで60℃で10秒間熱処理をして厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系樹脂フィルムを得た。
ここで、ダイマー酸はユニケマ社製「プリポール1009」を、ダイマージオールとしては、東亜合成化学(株)社製「HP−1000」を使用した。
得られたフィルムの物性値を表1に示す。
Figure 2011094159
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、低温から高温までの幅広い温度域、特に低温域において優れた収縮仕上がり性を有し、収縮斑、シワ、歪みが極めて少ない美麗な収縮仕上がり外観を得ることができ、かつ耐破れ性も優れており、収縮ラベル、キャップシール、収縮包装などの用途に好適に用いられるものである。

Claims (7)

  1. ポリエステルからなり、主収縮方向の65℃における動的粘弾性のtanδ値が0.15以上、tanδ値が最大となる温度が65℃以上、100℃以下であって、そのtanδ最大値が0.40以上、80℃温水中で10秒処理した後の上記主収縮方向の熱収縮率が30%以上、厚みが10〜200μmであることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. 請求項1記載のフィルムの主収縮方向の60℃における動的粘弾性のtanδ値が0.05以上であることを特徴とする熱収性ポリエステル系フィルム。
  3. 請求項1あるいは2記載のフィルムの主収縮方向の動的粘弾性のtanδ値が最大となる温度が65℃以上、80℃未満であることを特徴とする熱収性ポリエステル系フィルム。
  4. 請求項1、2、3のいれかに記載のフィルムの主収縮方向に直交する方向の初期破断率が0%であることを特徴とする熱収性ポリエステル系フィルム。
  5. 請求項1、2、3、4のいずれかに記載のフィルムの80℃温水中で10秒処理した後の、主収縮方向に直交する方向の熱収縮率が10%以下であることを特徴とする熱収性ポリエステル系フィルム。
  6. 請求項1、2、3、4、5のいれかに記載のポリエステルがダイマー酸成分及び/又はダイマージオール成分を少なくとも一構成成分としてなることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  7. 請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法であって、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
    (1)横延伸工程に先だって、熱伝導係数を0.0013カロリー/cm 2 ・sec・℃)(SI単位では0.0054(J/ cm 2 ・sec・K))以下の低風速で、フィルム温度がTg+0℃〜Tg+60℃になるまで加熱を行う工程
    (2)上記予備加熱に引き続いて行う第1段の横方向の延伸であって、予熱温度−30℃〜予熱温度−20℃の温度で、1.8〜2.3倍延伸する工程
    (3)上記第1段の横方向延伸に引き続いて、第1段横延伸温度+3〜+5℃の温度範囲で横方向に3〜10%緩和する工程
    (4)次に、前記第1段横延伸温度+5〜+10℃の温度範囲で1次横延伸倍率とここでの延伸倍率の積が3.8〜4.2倍となるように延伸する工程
    (5)前記第1段横延伸温度〜第1段横延伸温度−5℃の温度範囲で横方向に3〜8% 伸長する工程
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