JP6822144B2 - マスターバッチ用ポリエステル組成物、フィルム用ポリエステル組成物、及びポリエステルフィルム - Google Patents
マスターバッチ用ポリエステル組成物、フィルム用ポリエステル組成物、及びポリエステルフィルム Download PDFInfo
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Description
[1] ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とするポリエステル、マグネシウム化合物、アルカリ金属化合物、リン化合物、及び滑剤を含むポリエステル組成物であって、前記リン化合物が、リン酸トリアルキルエステルであり、該アルキルエステルのアルキル基が炭素数2〜4のアルキル基であるリン化合物、及びエチルジエチルホスホノアセテートからなる群より選ばれる少なくとも一種であって、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするマスターバッチ用ポリエステル組成物。
(1)ポリエステル組成物中、質量換算でマグネシウム原子を400〜2,700ppm、アルカリ金属原子を40〜270ppm、リン原子を200〜1,700ppm含有する
(2)ポリエステル組成物中、平均粒径0.5〜3.0μmの滑剤を7,000〜20,000ppm含有する
(3)ポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対する、マグネシウム原子の量をm(mol%)、アルカリ金属原子の量をk(mol%)、リン原子の量をp(mol%)としたとき、式Iを満たす
2≦(m+k/2)/p≦3.5 (式I)
(4)溶融比抵抗ρiが0.005×108〜0.05×108Ω・cmを満たす
[2] 前記アルカリ金属が、カリウムである[1]に記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物。
[3] 前記リン化合物が、リン酸トリアルキルエステルであり、該アルキルエステルのアルキル基が炭素数2〜4のアルキル基であるリン化合物である、[1]、[2]のいずれかに記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物。
[4] 前記リン化合物が、リン酸トリエチルである[1]、[2]のいずれかに記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物を含有したフィルム用ポリエステル組成物。
[6] [5]に記載のフィルム用ポリエステル組成物からなるポリエステルフィルム。
本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物は、フィルム原料用ポリエステル樹脂に混合されることでフィルム用ポリエステル組成物となる。
本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物の溶融比抵抗(ρi)は、0.005×108〜0.05×108Ω・cmである必要がある。溶融比抵抗は、後記する実施例の項で記載された方法で測定できる。ポリエステルフィルムの製膜性を改善するためには、フィルム用ポリエステル組成物としての溶融比抵抗が0.1×108〜0.3×108Ω・cmであることが望ましいが、マスターバッチ用ポリエステル組成物の溶融比抵抗が0.05×108Ω・cmよりも高い場合は、フィルム用ポリエステルの製膜性を改善するために多量のマスターバッチの添加量が必要になるため、マスターバッチとしての効能が低く製造コストの増大などの問題がある。マスターバッチ用ポリエステル組成物の溶融比抵抗が0.005×108Ω・cmより低い場合には、マスターバッチの添加量が少なくなりすぎるため偏析が起こりやすく、フィルムの溶融比抵抗にムラが生じ、製膜安定性が低下することがある。より好ましいマスターバッチ用ポリエステル組成物の溶融比抵抗は、0.005×108〜0.025×108Ω・cmである。
本発明で使用する滑剤としてはチタン、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの金属の酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、アルミナ酸塩が例示される。例えば、二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどのほか天然由来のタルク、マイカ、カオリナイト、ゼオライトなどの粒子が上げられるが、これらに限定されない。
滑剤量は、質量基準でマスターバッチ用ポリエステル組成物に対して7000〜20000ppmである。フィルム原料用ポリエステル樹脂に混合してフィルム用ポリエステル組成物にする際は、滑剤量が好ましい量となるよう、マスターバッチ用ポリエステル組成物を添加する。滑剤が7000ppm未満の場合、多量のマスターバッチ用ポリエステル組成物を添加するため、色調及び耐熱性が悪くなる。またマスターバッチとしての効能が低いため、製造コストの増大につながる。滑剤が20000ppmを超える場合、フィルム用ポリエステル組成物中の金属量が減り、溶融比抵抗が上がって製膜性が悪くなるため、好ましくない。また重合時に滑剤の凝集が発生し、ブレンド希釈後の粗大欠点(粗大粒子)数の増加につながるため、好ましくない。滑剤の含有量の下限は、8000ppm以上が好ましく、10000ppm以上がより好ましく、12000ppm以上がさらに好ましい。含有量の上限は、18000ppm以下が好ましい。
ポリエステルの重合時にこれら化合物を添加した場合、マグネシウム原子、アルカリ金属原子は、ほぼ添加量がそのままポリエステル組成物中に残存するが、リン原子は減圧環境下で重合系外へ留去することがあるため、添加量と残存量の関係を予め把握した上で、リン化合物の添加量を決める必要がある。滑剤は、ほぼ添加量がそのままポリエステル組成物中に残存する。
2≦(m+k/2)/p≦3.5 (式I)
リン原子がマグネシウムイオンとアルカリ金属イオンを異物化させることなく、安定化させていると考えられる。マグネシウムイオンが2価であるのに対してアルカリ金属イオンが1価であることから、マグネシウムイオンとアルカリ金属イオンの量の和を(m+k/2)と表し、これをpで除した比「(m+k/2)/p」をリン原子に対する、マグネシウムイオンとアルカリ金属イオンの相対的な量としている。
「(m+k/2)/p」の値が3.5を超える場合、リン原子の量がマグネシウム原子とアルカリ金属原子に対して相対的に少なく、マグネシウムイオンとアルカリ金属イオンを安定化し、ポリエステル中に分散させる効果が低くなり不溶性の異物(マグネシウム塩、アルカリ金属塩)の生成量が多くなる。さらに異物化したマグネシウムは溶融比抵抗を下げる効果がなくなるため、マグネシウム添加量に対して溶融比抵抗が高くなる。また、耐熱性の低下を招きフィルムの着色が酷くなる。「(m+k/2)/p」の値が2未満の場合には、リン原子の量がマグネシウム原子とアルカリ金属原子に対して相対的に過剰になり、過剰なリン化合物がマグネシウムイオンと相互作用するため、マグネシウムイオンの電荷が溶融比抵抗を下げる効果に寄与せず、マグネシウム添加量に対して溶融比抵抗が高くなる。「(m+k/2)/p」は、2.3以上、3以下であることがより好ましく、2.5以上、3以下であることがさらに好ましい。
式Iにおける、「(m+k/2)/p」は、マスターバッチ用ポリエステル組成物中の各原子の含有量からも算出できる。
R<1.2×10−2/(m+k/2) (式II)
(ここで、R=ρi×10−8)
マグネシウム化合物、アルカリ金属化合物は溶融比抵抗を下げる効果を有しており、またマグネシウムイオンが2価であるのに対してアルカリ金属イオンが1価であることから、マグネシウムイオンとアルカリ金属イオンの量の和である(m+k/2)が溶融比抵抗に大きく作用する因子である。
添加した金属が異物化した場合、異物化した金属がほとんど溶融比抵抗に寄与しないため、異物化していない系に比べ、溶融比抵抗が高くなる。そのため、式IIから外れる場合は、添加した金属量に対する溶融比抵抗が高く、異物化している金属が多くなっている可能性がある。一般的に、金属量と溶融比抵抗の値は反比例の関係にあると言える。図1は、後記する実施例1〜9、比較例1〜5の金属量(m+k/2)と溶融比抵抗の値(ρi)の関係をプロットした図である。図の中で、実施例は「◇」、比較例は「●」で表している。この図より、本願発明の効果が得られる範囲は、曲線より下の範囲であることが分かる。この曲線は、R=1.2×10−2/(m+k/2)の曲線であることから、上記式IIが導かれた。
本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物は、重合触媒成分を含んでいる。アンチモン化合物を用いる場合、マスターバッチ用ポリエステル組成物中、質量換算でアンチモン原子として50〜300ppm含有していることが好ましい。アルミニウム化合物を用いる場合、マスターバッチ用ポリエステル組成物中、質量換算でアルミニウム原子として20〜100ppm含有していることが好ましい。チタン化合物を用いる場合、マスターバッチ用ポリエステル組成物中、質量換算でチタン原子として5〜150ppm含有していることが好ましい。スズ化合物を用いる場合、マスターバッチ用ポリエステル組成物中、質量換算でスズ原子として50〜200ppm含有していることが好ましい。ゲルマニウム化合物を用いる場合、マスターバッチ用ポリエステル組成物中、質量換算でゲルマニウム原子として50〜200ppm含有していることが好ましい。これら金属の重合触媒のうち、アンチモン化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、スズ化合物の場合は、ほぼ添加量がそのままポリエステル組成物中に残存するが、ゲルマニウム化合物の場合は、減圧環境下で重合系外へ留去することがあるため、ポリエステル組成物中の残存量が上記の範囲になるよう添加量を調整することが望ましい。
これらの添加剤は、合計でマスターバッチ用ポリエステル組成物中に、好ましくは10質量%以下の割合で添加することができ、より好ましくは5質量%以下の割合である。
本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物の固有粘度(IV)は、0.3〜0.7dl/gであることが好ましい。マスターバッチ用ポリエステル組成物は、フィルム原料用ポリエステル樹脂に混合されてフィルム用ポリエステル組成物となり、フィルムへと成形される。マスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットでの固有粘度(IV)が相対的に高い値や低い値であっても、フィルム原料用ポリエステル樹脂で希釈されて、フィルムとしての固有粘度(IV)が好ましい範囲であれば問題ない。
本発明のフィルム用ポリエステル組成物は、上記マスターバッチ用ポリエステル組成物と、フィルム原料用ポリエステル樹脂(組成物)を任意の割合で混合したものである。本発明のフィルム用ポリエステル組成物から公知の製膜法を用いて、ポリエステルフィルムを得ることが可能である。
フィルム原料用ポリエステル樹脂(組成物)には、溶融比抵抗を下げるためのアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を含有していなくてもよく、また含有していてもよい。アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を含有せず溶融比抵抗が高いフィルム原料用ポリエステル樹脂に、本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物を混合した場合には、一般的なフィルム用ポリエステル組成物と同等以上の製膜性を達成することができる。すでにアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を含有するフィルム原料用ポリエステル組成物に、本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物を混合した場合には、その製膜性をさらに高めることができる。
フィルム原料用ポリエステル樹脂(組成物)に使用可能なポリエステルは、前記マスターバッチ用ポリエステル組成物に使用可能なポリエステルと同様である。フィルム原料用ポリエステル樹脂(組成物)に使用するポリエステルと、マスターバッチ用ポリエステル組成物に使用するポリエステルが、同じ構成成分からなるポリエステルであることは好ましい態様である。
フィルム用ポリエステル組成物中のマグネシウム原子量は15〜150ppm、アルカリ金属量は1.5〜15ppm、リン原子量は7〜80ppmであることが望ましい。具体的には、本発明のマスターバッチ用ポリエステル組成物を1〜20質量%含んだフィルム用ポリエステル組成物とすることが好ましく、該マスターバッチ用ポリエステル組成物を2〜10質量%含んだフィルム用ポリエステル組成物とすることがより好ましい。このような範囲となるようにマスターバッチ用ポリエステル組成物を混合すると、溶融比抵抗、色調、耐熱性のバランスに優れたフィルムを得ることができる。フィルムでの色調(Co−b)は、実施例の項で説明する方法で測定した場合、0〜6であることが好ましく、0〜5.2であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。
ポリエステル組成物(ポリエステル樹脂)をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃にて測定した。
275℃で溶融させたポリエステル組成物の両端部に2本の電極(直径0.6mmのステンレス針金)が置かれ、幅2cmの2枚の石英板で挟む形で、幅2cm、厚さ0.6mmの均一な溶融ポリエステル組成物の層を形成し、280℃の温度条件下、120Vの直流電圧を印加した時の電流(io)を測定し、これを次式に当てはめて溶融比抵抗値ρi(Ω・cm)を求めた。
ρi(Ω・cm)=(A/L)×(V/io)
[A:電極面積(cm2)、L:電極間距離(cm)、V:電圧(V)]
A(cm2)=[溶融ポリエステル組成物層の幅]×[厚み]=2(cm)×0.06(cm)であり、V=120(V)である。Lは電極の直径を含めずに測定した値で、1.3cmである。
厚みが5mm、内径50mmのステンレス製円形リング中でポリエステル組成物を[融点+20℃]に加熱溶融させてサンプルピースを作製し、蛍光X線分析により、元素量を求め、ppm(質量基準)で表示した。なお、定量の際には、予め各元素量既知のサンプルから求めた検量線を使用した。
色差計(日本電色工業(株)製、ZE−2000)を用いて、ポリエステル組成物のペレットまたはフィルムの色差(L、a、b)を測定した。ペレットは測定セルに入れて反射法で測定した。フィルムは10枚重ねて反射法で測定した。
マスターバッチ用ポリエステル組成物を混合して製膜したポリエステルフィルムをガラスアンプルに投入し、窒素置換後、13.3kPaの減圧下(窒素雰囲気)でガラスアンプルの封を実施し、300℃で2時間加熱処理した時の加熱処理前後の固有粘度を測定した。耐熱性は、加熱処理による固有粘度低下(ΔIV=[加熱処理後のIV]−[加熱処理前のIV])で表示する。通常、加熱処理で固有粘度は低下するので、ΔIVの絶対値が小さいほど、耐熱性は良好である。
粗大欠点数の測定は、位相差光学顕微鏡(Nikon社製、)、対物レンズ(同社製、倍率10倍、開口度0.5)を用いて観察したキャストフィルム中の粒子の画像から画像解析により粒子の大きさと個数を計測する。この粒子は、滑剤が凝集したものが主であり、マグネシウムイオン、アルカリ金属イオン由来の異物が凝集したものも含まれる。画像解析では、10μm以上の凝集した粒子数を計測し、視野を変えながら20回の計測を行い、合計の凝集した粒子数を求め、視野面積1平方mm当たりの10μm以上の凝集した粒子数を計算し、粗大欠点数とした。粗大欠点数が300個未満を○、300個以上を×と判断した。
レーザー光散乱方式の粒度分布計(Leeds&Northrup社製、Microtrac HRA model9320−X100)を用いて、滑剤のエチレングリコールスラリーを水で希釈して実質的に水系で測定した。測定結果の体積累計50%径を平均粒径とした。
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸、エチレングリコール、三酸化二アンチモン0.54重量部仕込んだ。さらにテレフタル酸に対して、ジエチレングリコール抑制剤として0.3mol%のトリエチルアミンを加え、240℃、ゲージ圧0.35MPaでエステル化に生成する水を逐次除去しながら2時間エステル化反応を行った。
続いて、1時間で系の温度を280℃まで昇温して、この間に系の圧力を徐々に減じて150Paとし、この条件下で1時間重縮合反応を行い、フィルム原料用ポリエステル樹脂(X)を得た。得られたポリエステル樹脂の固有粘度は0.62dl/g、溶融比抵抗は3.2×108Ω・cmであった。
(1)シリカスラリーの調整
ホモジナイザー付きの分散槽にエチレングリコール5リットルと平均粒径2.4μmのシリカ粒子(富士シリシア化学製、サイリシア310)750gを入れて8000rpmで2時間攪拌分散し、150g/lのスラリーとした。
(2)マスターバッチ用ポリエステル組成物の製造
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えたステンレス製オートクレーブにテレフタル酸、エチレングリコールを仕込んだ。ポリエステルの理論量に対して、シリカスラリーをシリカが16,000ppmとなるよう仕込み、トリエチルアミンをテレフタル酸に対して0.3mol%になるように加え、常法に従いエステル化反応を行い、オリゴマーを得た。
続いて、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加し、1時間で系の温度を280℃まで昇温して、この間に系の圧力を徐々に減じて150Paとし、この条件下で80分間重縮合反応を行い、マスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。アルミニウム原子、マグネシウム原子、カリウム原子は、添加量がそのまま残存量(含有量)となったが、リン原子は、重縮合反応工程で一部が重合系外へ留去したため、添加量に対して残存量(含有量)が減少した(以下の例でも同様である。)。
(3)ポリエステルフィルムの製膜
上記で製造したマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットと、フィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で5:95の割合で混合し、135℃で10時間真空乾燥した。次いで、二軸押出機に定量供給し、280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、厚さ1400μmのキャストフィルムを得た。
次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向フィルムを得た。引き続いて、テンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルム幅長を固定した状態で、260℃、0.5秒間赤外線ヒーターで加熱し、さらに200℃で23秒間3%の弛緩処理をし、厚さ100μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。粗大欠点数は、キャストフィルムで測定した。
実施例1の重合方法において、シリカスラリー、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対して、シリカとして8000ppm、アルミニウム原子として30ppm、マグネシウム原子として500ppm、カリウム原子として50ppm、リン原子として330ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
得られたマスターバッチ用ポリエステル組成物とフィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で10:90の割合で混合し、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムの製膜を行った。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として80ppm、マグネシウム原子として2500ppm、カリウム原子として250ppm、リン原子として1650ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として250ppm、リン原子として530ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリプロピルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸リチウム二水和物、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、リチウム原子として90ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、エチルジエチルホスホノアセテートをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、シリカスラリー、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してシリカとして12000ppm、アルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
得られたマスターバッチ用ポリエステル組成物とフィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で6.7:93.3の割合で混合し、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムの製膜を行った。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、シリカスラリー、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してシリカとして18000ppm、アルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表1に示す。
得られたマスターバッチ用ポリエステル組成物とフィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で4.4:95.6の割合で混合し、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムの製膜を行った。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として400ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として30ppm、マグネシウム原子として500ppm、カリウム原子として50ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として2000ppm、カリウム原子として50ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリエチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として1000ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリメチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してアルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
製膜方法は実施例1と同様の方法でフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の重合方法において、シリカスラリー、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリメチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してシリカとして5000ppm、アルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
得られたマスターバッチ用ポリエステル組成物とフィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で16:84の割合で混合し、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムの製膜を行った。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1の重合方法において、シリカスラリー、塩基性酢酸アルミニウム、酢酸マグネシウム二水和物、酢酸カリウム、リン酸トリメチルをそれぞれポリエステルの理論量に対してシリカとして30000ppm、アルミニウム原子として60ppm、マグネシウム原子として1000ppm、カリウム原子として100ppm、リン原子として660ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様な方法でマスターバッチ用ポリエステル組成物のペレットを得た。得られたポリエステル組成物の物性を表2に示す。
得られたマスターバッチ用ポリエステル組成物とフィルム原料用ポリエステル樹脂(X)のペレットを質量比で2.7:97.3の割合で混合し、実施例1と同様な方法でポリエステルフィルムの製膜を行った。得られたフィルムの特性を表2に示す。
比較例1のマスターバッチ用ポリエステル組成物は、リン化合物の含有量が相対的に少ない((m+k/2)/pの比が大きい)ため、マグネシウム量が同じ実施例1と比べて色調が悪く、得られたフィルムの耐熱性が悪い。比較例2では、リン化合物の含有量が相対的に多い((m+k/2)/pの比が小さい)ため、溶融比抵抗が高く製膜性が悪いと言える。比較例3では、マグネシウム量とアルカリ金属量の合計が相対的に多い((m+k/2)/pの比が大きい)ため、色調が悪い。比較例4では、カリウム化合物の含有量が多いため、実施例1と比べて色調が悪く、得られたフィルムの耐熱性が悪い。比較例5では、リン化合物としてリン酸トリメチルを用いたものであるが、溶融比抵抗が高く、製膜性が悪いと言える。比較例6では、マスターバッチとしての滑剤量が少ないため、多量のマスターバッチをフィルムに添加するため、フィルムとしての色調が悪い。比較例7では、マスターバッチとしての滑剤量が多いため、マスターバッチの添加量が少なく、フィルムとしての溶融比抵抗が低く、製膜性が悪いと言える。またマスターバッチの重合時に多量の滑剤を添加するため、粗大欠点数が多い。
Claims (3)
- ジカルボン酸成分とグリコール成分を構成成分とするポリエステル、マグネシウム化合物、アルカリ金属化合物、リン化合物、及び滑剤を含むポリエステル組成物であって、前記リン化合物が、リン酸トリアルキルエステルであり、該アルキルエステルのアルキル基が炭素数2〜4のアルキル基であるリン化合物であり、下記(1)〜(4)を満足することを特徴とするマスターバッチ用ポリエステル組成物。
(1)ポリエステル組成物中、質量換算でマグネシウム原子を400〜2,700ppm、アルカリ金属原子を40〜270ppm、リン原子を200〜1,700ppm含有する
(2)ポリエステル組成物中、平均粒径0.5〜3.0μmの滑剤を7,000〜20,000ppm含有する
(3)ポリエステルを構成するジカルボン酸成分に対する、マグネシウム原子の量をm(mol%)、アルカリ金属原子の量をk(mol%)、リン原子の量をp(mol%)としたとき、式Iを満たす
2≦(m+k/2)/p≦3 (式I)
(4)溶融比抵抗ρiが0.005×108〜0.025×108Ω・cmを満たす - 前記アルカリ金属が、カリウムである請求項1に記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物。
- 前記リン化合物が、リン酸トリエチルである請求項1、2のいずれかに記載のマスターバッチ用ポリエステル組成物。
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