JP4734973B2 - 食品包装フィルム用ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

食品包装フィルム用ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム Download PDF

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Description

本発明は、微小異物が少なく、かつ良好な静電印加性、保香性を有してなるポリエステル組成物およびそれからなるフィルムに関するものである。得られたフィルムは、特に保香性に優れるため食品包装用途に好ましく用いることができる。
ポリエチレンテレフタレートで代表される飽和ポリエステルは、すぐれた力学特性、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性を有することから、繊維、成形加工品、フィルムの分野に用いられており、特にフィルム分野においては磁気記録媒体用、コンデンサー用、一般工業用等に広く使用されている。
該ポリエステルフィルム用途においては、フィルムの厚み均一性や透明性の点から、ポリエステル組成物を製膜し、フィルム化する際には、未固化のシート状物上面に高電圧を印加し、シート状物を回転冷却ドラムに密着させる方法(以下静電印加キャスト法という)が有効であり、静電印加性は重要な特性である。
さらに、該ポリエステルフィルムを食品包装用途に使用する場合、内容物の香り成分がポリエステルフィルムに吸着したり、ポリエステルのにおいによって内容物の風味が損なわれないこと(保香性)が要求される。
静電印加性を向上させる方法としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物をポリエステルに多量に添加する方法が開示されている。(特許文献1,2参照)
また、アルミニウム化合物と特定のリン化合物を用いた方法が提案されている。(特許文献3参照)
さらには、チタン化合物と特定のリン化合物を用いた方法が開示されている。(特許文献4参照)
しかしながら、単にアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物とリン化合物を添加したり、アルミニウム化合物と特定のリン化合物、さらに、チタン化合物と特定のリン化合物を用いる方法では、静電印加性がある程度改良できるものの、金属化合物由来の異物が発生したり、さらには食品包装用途に使用する際の保香性は必ずしも十分に満足できるものではなかった。
特開昭63−254126号公報 特開昭59−168026号公報 特開2003−165832号公報 特開2004−359744号公報
本発明は前記した従来技術の問題点を解消し、ポリエステル組成物に含有する微小異物が少なく、静電印加性、保香性を同時に満足したポリエステル組成物およびフィルムを提供することを目的としている。
前記した本発明の目的は、マグネシウム化合物、カリウム化合物、および下記式(1)で示されるリン化合物を含有し、かつ各元素量が(2)〜(5)を満足し、溶融比抵抗が1.0×10 7 Ω・cm以下であることを特徴とする食品包装フィルム用ポリエステル組成物およびそれからなる食品包装用フィルムによって達成できる。
Figure 0004734973
(但し、式中、R、Rは炭素数1以上の炭化水素基であり、Rは水素または炭素数
1以上の炭化水素基を示し、R、R、Rは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。nは0または1である。)
300≦Mg≦450 ・・・・(2)
0<K ≦100 ・・・・(3)
3≦Mg/K≦100 ・・・・(4)
3≦(Mg +K/2) / P≦20 ・・・・(5)
〔但し、Mgはポリエステル中のマグネシウム元素の量(ppm)、Kはカリウム元素の量(ppm)、Pはリン元素の量(ppm)を示す。〕
本発明は、マグネシウム化合物、カリウム化合物、および特定の構造式で示されるリン化合物を、特定量含有したポリエステル組成物およびそれからなるフィルムであって、微小異物が少なく、良好な静電印加性、保香性を有し、特、食品包装用に好適に使用することができる。
本発明におけるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分とから構成されたものであり、例えばジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル化もしくはエステル交換反応、ならびに引き続く重縮合反応によって製造される。ポリエステルの種類についてはフィルムなどの成形品に成形しうるものであれば特に限定されない。フィルムなどの成形品に成形しうる好適なポリエステルとしてはジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を使用したものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4‘−ジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボシキレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボシキレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。もちろんこれらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、その際の共重合成分としてはジカルボン酸成分として例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等をあげることができ、グリコール成分としては例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等またはそのエステル形成性誘導体が挙げられ、さらにはパラヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体を挙げることができる。上記したジカルボン酸成分、グリコール成分は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、これらの共重合成分は、ポリエステルを製造する際に副生するものであってもよい。
本発明のポリエステル組成物は、微小異物抑制、静電印加性、保香性の点から、マグネシウム化合物、カリウム化合物および下記一般式(1)で示されるリン化合物を含有し、かつ各元素量が下記式(2)〜(5)を満足する必要がある。
Figure 0004734973
(但し、式中、R、Rは炭素数1以上の炭化水素基であり、Rは水素または炭素数
1以上の炭化水素基を示し、R、R、Rは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。nは0または1である。)
300≦Mg≦450 ・・・・(2)
0<K ≦100 ・・・・(3)
3≦Mg/K≦100 ・・・・(4)
3≦(Mg +K/2) / P≦20 ・・・・(5)
〔但し、Mgはポリエステル中のマグネシウム元素の量(ppm)、Kはカリウム元素の量(ppm)、Pはリン元素の量(ppm)を示す。〕
本発明におけるマグネシウム元素の含有量は、300〜450ppmであることが必要であり、好ましくは、300〜370ppm、より好ましくは315〜350ppmである。マグネシウム元素の含有量が、300ppm未満であると得られるポリエステルの静電印加性が低下し、生産性が低下する。一方、450ppmを超えると、ポリエステル中の微小異物が増大する。
本発明で使用するマグネシウム化合物としては、特に限定されないが、保香性の点から、グリコール可溶性であるものが望ましい。例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩などの脂肪族カルボン酸、塩化物などのハロゲン化物、水酸化物、メチラート、エチラート、エチレングリコラートなどのアルコラートを挙げることができ、具体的には酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、マグネシウムグリコラートなどを挙げることができる。本発明ではこれらのマグネシウム化合物の中でも、得られるポリエステル組成物の微小異物抑制、静電印加性、保香性の点から、飽和脂肪族カルボン酸マグネシウムがよく、その中でも保香性の点から、酢酸マグネシウムがもっとも好ましい。
本発明におけるカリウム元素の含有量は0ppmを超え、100ppm以下であることが必要である。好ましくは、10〜80ppm、より好ましくは20〜60ppmである。カリウム元素を含有しない場合は、静電印加性、保香性が低下する。一方、100ppmを超えると、微小異物が増大する。
本発明で使用するカリウム化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、酢酸カリウム、炭酸カリウム、安息香酸カリウム、リン酸カリウム、ホスホン酸カリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのカリウム化合物のうち、微小異物抑制、保香性の点から、水酸化カリウムがもっとも望ましい。
本発明のポリエステル組成物は、マグネシウム化合物、カリウム化合物の各元素量の比、(Mg/K)が3〜100であることが必要であり、好ましくは3〜50、より好ましくは3〜20である。(Mg/K)が3〜100であると、微小異物が抑制でき、静電印加性、保香性を兼備することができる。(Mg/K)が3未満であると、静電印加性が低下する。一方、(Mg/K)が100を超えると、微小異物が増大し、保香性が悪化する。
本発明のポリエステル組成物は、マグネシウム化合物、カリウム化合物、および式(1)で示されるリン化合物の各元素量の比、(Mg +K/2) / Pの値が、3〜20であることが必要である。3〜20であると、静電印加性、保香性を兼備することができる。好ましくは3〜15、より好ましくは3〜10である。 (Mg +K/2) / Pの値が3未満であると静電印加性が低下する。一方、(Mg +K/2) / Pの値が20を超えると、保香性が低下する。
本発明のポリエステル組成物は、式(1)で示されるリン化合物を含有する必要がある。式中、R、Rは炭素数1以上の炭化水素基とする必要があるが、静電印加性、保香性の点から、炭素1以上3以下の炭化水素基が好ましい。Rは水素または炭素数1の炭化水素基である必要があるが、保香性の点から炭素数1以上3以下の炭化水素基が好ましい。R,R、Rは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xはカルボニル基、エステル基のいずれかを示し、nは0または1である。具体的には、トリメチルホスホノフォメート、トリエチルホスホノフォメート、トリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、エチルジエチルホスホノアセテート、トリエチル―3−ホスホノプロピオネート、トリエチル−2−ホスホノプロピオネート、トリエチル−2−ホスホノブチレート、ジイソプロピル(エトキシカルボニルメチル)ホスホネート、tert-ブチルジエチルホスホノアセテート、ジエチルホルホノ酢酸、トリエチル−4−ホスホノクロトネート、アリールジエチルホルホノアセテート、ジメチル(2−オキソプロピル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソ−2−フェニルエチル)ホスホネート、ジエチル(ヒドロキシメチル)ホスホノアセテート等を挙げることができる。これらのリン化合物は、二種以上を併用してもよい。これらのリン化合物のうちでも特に、得られるポリエステルの微小異物抑制、保香性の点からエチルジエチルホスホノアセテートが好ましい。
本発明において、式(1)で示されるリン化合物以外のリン化合物、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリメチルエステル等を使用した場合は、微小異物が増大し、保香性が悪化する。
本発明は上述したように、マグネシウム化合物、カリウム化合物、特定の構造式で示されるリン化合物を特定量含有することによって、微小異物を抑制でき、静電印加性が良好となり、さらには、保香性を向上せしめることができる。理由は明らかではないが、マグネシウム化合物以外のアルカリ土類金属化合物を用いた場合、またはカリウム化合物以外のアルカリ金属化合物を用いた場合、リン化合物として、ごく一般的なリン酸、リン酸エステル、あるいはホスホン酸等を用いた場合には、微小異物抑制、静電印加性、保香性を同時に満足できない。
本発明のポリエステル組成物は、従来公知の任意の方法で製造することができる。例えば、(A)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重合反応によって高分子量ポリマーを得る方法、(B)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重合反応によって高分子量ポリマーを得る方法等が挙げられる。
本発明のポリエステル組成物にマグネシウム化合物、カリウム化合物、リン化合物を含有させる方法は特に限定されるものではなく、従来公知の任意の方法を採用できる。中でも、微小異物の抑制、耐熱性の点から、ポリエステル製造反応工程の任意の段階で添加する方法が好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、耐熱性、保香性等の点から、アンチモン化合物をアンチモン元素量で50〜500ppm含有することが好ましく、より好ましくは100〜400ppmである。50ppm未満であると、ポリエステル重合反応の進行が遅延し、ポリエステル組成物の耐熱性、保香性が低下する場合がある。一方、500ppmを超えると、還元されたアンチモン金属に起因する黒色異物が発生し、微小異物が増大する場合がある。本発明に使用するアンチモン化合物としては、特に限定されないが、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコラートなどの一種または二種以上を用いることができ、中でも異物抑制、重合反応性の点から三酸化アンチモンが好ましい。
本発明のポリエステル組成物にアンチモン化合物を含有する方法は特に限定されるものではないが、ポリエステル製造反応工程の任意の段階で添加する方法が好ましく、エステル化もしくはエステル交換反応終了直後に添加し、重合触媒として添加することが好ましい。
さらに本発明のポリエステル組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で他の金属を含有してもよく、例えばコバルト、亜鉛等の元素を含む化合物を含有してもよい。
本発明でいう静電印加性とは、上述した静電印加キャスティング法における、ポリエステルの冷却ドラムへの密着性のことをいう。製膜時の静電印加性と、フィルムに使用するポリエステルの溶融比抵抗とは相関があり、溶融比抵抗が低いポリエステルほど、静電印加性が向上し、得られるフィルムの厚さ均一性や透明性が向上する。本発明のポリエステル組成物は、静電印加性の点から、溶融比抵抗が、1.0×10Ω・cm以下であることが必要である。より好ましくは0.8×10Ω・cm以下であり、さらに好ましくは0.5×10Ω・cm以下である。溶融比抵抗が1.0×10Ω・cmより高いと、静電印加性に劣る。
本発明のポリエステルフィルムは、未延伸のシート状でもよいし、一軸または二軸に延伸された延伸フィルムであってもよい。また、製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の製法を挙げることができる。すなわち、得られたポリエステル組成物を乾燥した後、押出機を用いてキャスティングドラム上に押出して未延伸フィルムを得る。続いて二軸延伸、熱処理しフィルムにする。二軸延伸は、縦、横それぞれ2〜5倍が適当であり、また、二軸延伸後、さらに縦、横方法のいずれかに再延伸してもよい。この際、本発明のポリエステル組成物と各種のポリエステルとを混合することができる。
本発明におけるポリエステル組成物には、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、例えばカルボジイミド、エポキシ化合物等の末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を必要に応じて適宜含有してもよい。
本発明のポリエステルフィルムは保香性に優れるため、特に食品包装用途に適している。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
・ ポリエステル組成物中の金属元素の含有量
アルカリ金属元素量は原子吸光法により、その他金属元素量は蛍光X線測定により、各元素の検量線から定量した。
・ ポリエステル組成物の溶融比抵抗(ρ)
290℃で溶融したポリエステル中に2枚の電極板を置き、500Vの電圧を印加した時の電圧(V‘)を測定し、比抵抗(ρ)を次式により求め、静電印加性の指標とした。この溶融比抵抗値が低いほど、静電印加性に優れる。
ρ(Ω・cm)=V・S・R/I・V‘
V:印加電圧(V)
S:電極面積(cm
R:抵抗体抵抗
I:電極間距離(cm)
V‘:測定電圧(V)
・ ポリエステル組成物の微小異物
ポリエステル組成物約0.02gを、約280℃で加熱したホットプレート上でカバーガラス2枚に挟み、溶融し、プレパラートを作成した。このプレパラートをマイクロスコープ(×450倍、暗視野)で観察し、観察できるすべての光点を数え、その個数より判定した。
○:0〜9個/μg
△:10〜49個/μg
×:50個/μg以上
・ ポリエステルフィルムの保香性
フィルムと250℃に加熱された電解クロム酸処理鋼板を50m/minでラミネートし、その直後、水槽で急冷した。ラミネートした金属板のフィルム面を内面として絞り成型機で80〜100℃において成形した金属缶を得、金属缶内に香料水溶液(d−リモネン20ppm水溶液)を入れ、密封後1ヶ月放置し、その後、開封して官能検査によって、臭気の変化を以下で評価し、1級以上を合格とした。
1級・・・臭気に変化が認められない。
2級・・・臭気にわずかに変化が認められる。
3級・・・臭気に顕著な変化が認められる。
実施例1
テレフタル酸86重量部とエチレングリコール39重量部とのエステル化反応物(低重合体)をエステル交換反応槽で240℃で溶融し、これにテレフタル酸86重量部、およびエチレングリコール39重量部を加え、250℃で攪拌しながらエステル化反応を続け、水の留出量が理論留出量の97%以上に達したエステル化反応物からテレフタル酸86重量部に相当する反応物を重縮合反応槽に移行した。引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、水酸化カリウムを0.007重量部添加し、続いて酢酸マグネシウム4水塩を0.28重量部、三酸化アンチモン0.026重量部、エチルジエチルホスホノアセテート0.07重量部添加した。その後、エステル化反応生成物を攪拌しながら、反応系を250℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物の特性を表1に示す。微小異物は、5個/μgであり、溶融比抵抗は0.45×10Ω・cmであった。微小異物、静電印加性の指標である溶融比抵抗とも良好であった。
得られたポリエステル組成物を乾燥した後、押出機を用いてキャスティングドラム上に溶融押出して未延伸フィルムを得た。この際、押出口金と回転冷却ドラムの間にワイヤー状電極を設けて高電圧を印加し、該シートを冷却体表面に密着させた。未延伸フィルムを90℃で長手方向に3.5倍、次いで105℃で幅方向に3.5倍に延伸した。さらにこの二軸延伸フィルムを定長下190℃で熱処理し、厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。製膜性は良好で、得られたポリエステルフィルムの保香性も優れていた。
実施例2〜6
マグネシウム化合物、カリウム化合物、リン化合物の量および種類を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例2〜6は、いずれも本発明の範囲内で、得られたポリエステル組成物は微小異物、静電印加性に優れ、得られたポリエステルフィルムの保香性も良好であった。
比較例1
マグネシウム化合物、リン化合物の量を変更し、アルカリ金属化合物の量と種類を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびフィルムを得た。結果を表1に示す。ポリエステル組成物の微小異物は、42個/μgであり、溶融比抵抗は4.5×10Ω・cmであった。得られたポリエステルフィルムの保香性試験では、臭気に変化が見られた。微小異物、静電印加性の指標である溶融比抵抗、保香性とも満足のいくレベルではなかった。
比較例2〜6
アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属化合物、リン化合物の量や種類を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびフィルムを得た。特性結果を表1に示す。
比較例2は、マグネシウム化合物の含有量、アルカリ金属化合物の種類が本発明の範囲外であり、微小異物、溶融比抵抗、保香性とも劣っていた。
比較例3は、マグネシウム化合物の含有量、アルカリ金属化合物の種類が本発明の範囲外であり、微小異物、溶融比抵抗、保香性とも劣っていた。
比較例4は、アルカリ金属化合物を含有しないものであり、微小異物、溶融比抵抗、保香性とも劣っていた。
比較例5は、カリウム化合物の含有量およびMg/Kが本発明の範囲外であり、微小異物、溶融比抵抗、保香性とも劣っていた。
比較例6は、アルカリ土類金属化合物の種類が本発明の範囲外であり、微小異物、溶融比抵抗、保香性とも劣っていた。
Figure 0004734973

Claims (3)

  1. マグネシウム化合物、カリウム化合物、および下記式(1)で示されるリン化合物を含有し、かつ各元素量が(2)〜(5)を満足し、溶融比抵抗が1.0×10 7 Ω・cm以下であることを特徴とする食品包装フィルム用ポリエステル組成物。
    Figure 0004734973
    (但し、式中、R、Rは炭素数1以上の炭化水素基であり、Rは水素または炭素数
    1以上の炭化水素基を示し、R、R、Rは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。nは0または1である。)
    300≦Mg≦450 ・・・・(2)
    0<K≦100 ・・・・(3)
    3≦Mg/K≦100 ・・・・(4)
    3≦(Mg +K/2) / P≦20 ・・・・(5)
    〔但し、Mgはポリエステル中のマグネシウム元素の量(ppm)、Kはカリウム元素の量(ppm)、Pはリン元素の量(ppm)を示す。〕
  2. アンチモン化合物を、アンチモン元素として50〜500ppm含有していることを特徴とする請求項1に記載の食品包装フィルム用ポリエステル組成物。
  3. 請求項1または2記載の食品包装フィルム用ポリエステル組成物からなる食品包装用フィルム。
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