JP4992171B2 - ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル組成物およびそれからなるフィルムに関するものである。詳しくは、ポリエステルに特定のシリカ系無機粒子およびリン化合物を配合してなる溶融熱安定性、粒子分散性に優れるポリエステル組成物および透明性に優れるとともに、滑り性、耐摩耗性を兼備するフィルムに関するものである。さらに詳しくは、磁気記録媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用などに好適なポリエステル組成物およびフィルムに関するものであり、特には食品包装用、一般工業用等の透明性の要求される分野に好適なポリエステル組成物およびフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊維、フィルム、その他の成形品として広く使用されている。これらの成形品の中でフィルムは、磁気記録媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用等として使用されているが、これらの加工製品の取り扱い性、品質特性向上のためにポリエステル中に無機粒子などの微粒子を含有させ、フィルム表面に適度の凹凸を形成せしめ、フィルムあるいは加工製品に透明性や滑り性、耐摩耗性を付与することが知られている。
【0003】
しかし、単にポリエステル中に無機粒子などの微粒子を含有せしめ、フィルム成形加工しただけでは、フィルムあるいは加工製品の透明性や滑り性、耐摩耗性などの特性を必ずしも十分に満足するものでなく、このために上記特性を付与するために各種の方法が開示されている。
【0004】
例えば、特開昭51−61594号公報では、コンデンサー用フィルムの電気特性、滑り特性の改良として、ホスホン酸系のリン化合物と不活性無機粒子とを併用添加するポリエステルの製造法、特開平4−220454号公報では、フィルムの耐摩耗性、易滑性付与のため、特定のリン化合物で表面処理した無機粒子を含有する配向ポリエステルフィルムが開示されている。さらに特開昭55−54346号公報ではフィルムの透明性、滑り性向上のために、ポリオレフィンワックスで被覆した微粉末シリカを配合したり、特開昭58−171437号公報ではフィルムの成形加工性、滑り性を改良するために、微粉末シリカと特定の金属化合物を配合したポリエステル組成物が開示されている。また、特開平4−298538号公報では、粒子分散性、透明性および走行性を向上せしめるために、シランカップリング剤処理したシリカ粒子を含有したポリエステルフィルムが開示されている。さらに特開平10−237275号公報では、粒子分散性、滑り性、耐摩耗性、白色性、隠蔽性の改良のために、ポリエステルに無機粒子と特定のリン化合物を併用配合することが開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの従来の方法では、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性は必ずしも十分に同時に満足できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記した従来技術の問題点を解消することにあり、粒子分散性が良好で、かつ得られるフィルムの透明性に優れるとともに、良好な滑り性、耐摩耗性を兼備したポリエステル組成物およびフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の目的は、ポリエステルに、比表面積、細孔容積が下記式(1)、(2)および(3)を満足し、かつ平均粒子径0.01〜10μmのシリカ系無機粒子、および下記式(4)で示されるリン化合物を配合してなるポリエステル組成物およびそれからなるフィルムによって達成できる。
【0008】
50≦比表面積≦1000 ・・・(1)
1.3≦細孔容積≦1.6 ・・・(2)
181≦(比表面積/細孔容積)≦330 ・・・(3)
(但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔容積の単位はml/gである。)
【0009】
【化2】
Figure 0004992171
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分から構成されたものが好ましく採用され、例えばジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル化もしくはエステル交換反応ならびに引続く重縮合反応によって製造される。ポリエステルの種類についてはフイルム等の成形品に成形しうるものであれば特に限定されない。フイルム等の成形品に成形しうる好適なポリエステルとしてはジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸、グリコール成分として脂肪族グリコールまたは脂環族グリコールから構成されたものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,3−プロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でもフィルムとした場合の強度などの点からポリエチレンテレフタレート、ポリ−1,3−プロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
【0011】
もちろんこれらのポリエステルはホモポリエステルであってもよく、コポリエステルであってもよく、その際の共重合成分としては上記したポリエステルを構成するジカルボン酸成分およびグリコール成分以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸等の酸成分、芳香族グリコール、脂肪族グリコールおよび脂環族グリコール等のグリコール成分を挙げることができる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びこれらから誘導されるエステル形成性誘導体を挙げることができる。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環族グリコールなどを挙げることができる。上記したジカルボン酸成分、グリコール成分は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、これらの共重合成分は、ポリエステルを製造する際に副生するものであってもよい。さらに、共重合せしめる場合の成分量は特に限定されるものではないが、得られるフィルムの強度、耐熱性等の点から30モル%以下とすることが好ましい。
【0012】
本発明におけるシリカ系無機粒子は、粒子の50%以上がSiO2で構成された無機粒子である。具体的には乾式法、湿式法等で得られたホワイトカーボン、シリカゾル、シリカ・アルミナ複合粒子等を挙げることができる。中でも得られるフィルムの透明性の点から、湿式法で得られたシリカ系無機粒子が好ましく、特にはSiO2含有量が95%以上の湿式法で得られたシリカ粒子が好ましい。
【0013】
本発明のシリカ系無機粒子の平均粒子径は、ポリエステル中での粒子分散性、得られるポリエステルの高分子量化、さらにはフィルムに成形する際の工程安定性の点から0.01〜10μmであり、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜3μmである。平均粒子径が0.01μm未満であると、ポリエステル製造工程の重縮合反応の段階で、粒子の表面活性によって粒子が凝集し、粒子分散性に劣ったり、ポリマーの溶融粘度が急激に上昇し、高分子量のポリマーが得られない。また、フィルムとした場合には滑り性が十分でなく、耐摩耗性に劣る。 一方、平均粒子径が10μmを越えると、フィルムの溶融成型時にフィルター圧力の急激な上昇が生じたり、得られるフィルムの表面に粗大突起が生じ、耐摩耗性に劣る。
【0014】
本発明におけるシリカ系無機粒子の比表面積、細孔容積は、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性を同時に兼備せしめる点から、下記式(1)、(2)および(3)を満足するものである。シリカ系無機粒子の比表面積、細孔容積がかかる範囲外であると、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性のいずれかの特性に劣る。
【0015】
50≦比表面積≦1000 ・・・(1)
1.3≦細孔容積≦1.6 ・・・(2)
181≦(比表面積/細孔容積)≦330 ・・・(3)
(但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔容積の単位はml/gである。)
好ましいシリカ系無機粒子の比表面積は、ポリエステル中の粒子分散性、フィルムの透明性、耐摩耗性の点から、100〜700m2/gであり、より好ましくは200〜500m2/gである。また、好ましいシリカ系無機粒子の細孔容積は、得られるフィルムの透明性、滑り性を同時に兼備せしめる点から、1.3ml/g以上、1.6ml/g以下である。
さらに、好ましいシリカ系無機粒子の比表面積と細孔容積との関係は、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性を同時に兼備せしめる点から、181≦(比表面積/細孔容積)≦330である。
【0016】
本発明のシリカ系無機粒子のポリエステルへの配合量は、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性の点から、0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上である。一方、配合量の上限は特に限定されないが、得られるポリエステル組成物の熱安定性、粒子分散性の点から、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。
【0017】
本発明におけるポリエステル組成物は、ポリエステルに下記式(4)で示されるリン化合物を配合するものである。
【0018】
【化3】
Figure 0004992171
上記式(4)で示されるリン化合物を配合することにより、併用配合するシリカ系無機粒子の粒子分散性に優れ、シリカ系無機粒子を効率よく高濃度に含有させることができる。さらに得られるフィルムは、粗大突起もなく、透明性を損なうことなく滑り性に優れ、かつ延伸製膜性、フィルム製品の耐摩耗性等の品質特性に優れる。
【0019】
本発明におけるリン化合物は、式(4)で示される化合物であれば特に限定されるものでなく、例えばトリメチルホスホノフォメート、トリエチルホスホノフォメート、トリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリエチル3−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノブチレート、ジイソプロピル(エトキシカルボニルメチル)ホスホネート、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート、ジエチルホスホノ酢酸、トリメチル2−ホスホノアクリレート、トリエチル4−ホスホノクロトネート、アリールジエチルホスホノアセテート、ジメチル(3−オキソプロプル)ホスホネート、ジメチル(3−フェノキシアセトニル)ホスホネート、ジエチル(3−オキソプロプル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソ−2−フェニルエチル)ホスホネート、ジエチル(ヒドロキシメチル)ホスホネート等を挙げることができる。これらのリン化合物は、二種以上を併用してもよい。これらのリン化合物の中では、下記式(5)で示される化合物が好ましく、
【0020】
【化4】
Figure 0004992171
さらに好ましくは、下記式(6)である。
【0021】
【化5】
Figure 0004992171
なお、本発明のリン化合物以外にポリエステル組成物には、他のリン化合物を使用してもよい。それらのリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸ジメチルエステル、フェニルホスフィン酸ジエチルエステルなど、またリン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン等のリン酸金属塩類、さらにはリン酸アンモニウム等のリン化合物を挙げることができる。
【0022】
本発明におけるリン化合物のポリエステルへの配合量は、得られるポリエステル組成物の溶融熱安定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性、フィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性の点から、0.001重量%以上が好ましく、より好ましくは0.01重量%以上であり、さらに好ましくは0.05重量%以上である。 一方、配合量の上限は、得られるポリエステル組成物の溶融熱安定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性の点から、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。リン化合物の配合量が0.001重量%未満であると、シリカ系無機粒子の粒子分散性、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性に劣る場合がある。
【0023】
本発明におけるポリエステル組成物は、溶融熱安定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性の点から、リン元素を1ppm以上含有することが好ましく、より好ましくは5〜10000ppmであり、さらに好ましくは10〜5000ppmである。
【0024】
本発明におけるシリカ系無機粒子およびリン化合物をポリエステルに配合する方法は、特に限定されることはないが、例えば(1)シリカ系無機粒子およびリン化合物とをポリエステル製造反応工程の任意の段階で添加する配合方法、(2)シリカ系無機粒子およびリン化合物とをポリエステルに溶融混練する配合方法等を挙げることができる。中でもシリカ系無機粒子の粒子分散性、フィルムの透明性、滑り性などの点から、(1)のシリカ系無機粒子およびリン化合物とをポリエステル製造反応工程の任意の段階で添加する配合方法が好ましい。
【0025】
さらに、(1)の方法を詳細に説明する。ポリエステルの製造は、従来公知の任意の方法を採用することができる。例えば、A.ジカルボン酸のジメチルエステルとグリコールとのエステル交換反応ならびに引続く重縮合反応によってポリエステルを製造し、本発明のシリカ系無機粒子およびリン化合物を反応工程に任意の段階で添加する方法、B.ジカルボン酸とグリコールとのエステル化反応ならびに引続く重縮合反応によってポリエステルを製造し、本発明のシリカ系無機粒子およびリン化合物を反応工程に任意の段階で添加する方法を挙げることができる。また、この際、従来公知の反応触媒を使用することができ、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、マンガン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等を挙げることができる。これらの反応触媒は、二種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明におけるポリエステル組成物およびフイルムの固有粘度は、得られるフィルムの強度、耐摩耗性などの点で、0.40dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.45〜1.0dl/gである。
【0027】
本発明のポリエステル組成物からなるフィルムは、未延伸のシート状のものでもよいし、一軸または二軸に延伸された延伸フイルムであってもよい。
【0028】
本発明のポリエステル組成物からなるフイルムの具体的な製造方法を説明する。
ポリエステル組成物を乾燥後、溶融押出しして未延伸シートとし、続いて二軸延伸、熱処理しフイルムにする。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよく、延伸倍率は、通常、縦、横それぞれ2〜5倍が適当である。また、二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸してもよい。この際、本発明のポリエステル組成物と各種のポリエステルとを混合して、シリカ系無機粒子、リン化合物量あるいはリン元素量を目的の応じて適宜変更することができる。また、混合するポリエステルは本発明のポリエステル組成物のベースとなるポリエステルと同一であっても、異なってもよい。
【0029】
上述した方法で、本発明のポリエステル組成物からなるフィルムを得ることができ、磁気記録媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用等の各種用途に使用できる。本発明にフィルム中のシリカ系無機粒子含有量、およびリン元素量は、これらの用途に応じて、適宜、設計することができ、透明性、滑り性、耐摩耗性、電気特性などの点から、シリカ系無機粒子含有量は0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜1重量%である。また、リン元素量は、0.1〜10000ppmが好ましく、より好ましくは0.2〜1000ppmである。
【0030】
なお、本発明のポリエステル組成物およびフイルムには、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、例えばカルボジイミド、エポキシ化合物などの末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに本発明のシリカ系無機粒子以外の各種粒子、例えば炭酸カルシウム等の炭酸金属塩、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、二酸化チタン等の無機粒子、アクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子等も必要に応じて適宜含有していてもよい。
【0031】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0032】
実施例中の特性は次のようにして測定した。
A.粒子の平均粒子径
粒子の平均粒子径はHORIBA製粒径分析装置(LA−700)で測定した。
B.粒子の比表面積
粒子の比表面積は気体吸着法(BET法)により求めた。
C.粒子の細孔容積
粒子の細孔容積は水銀注入法により測定した。
D.ポリエステル組成物の固有粘度
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
E.ポリエステル組成物中のリン元素量
蛍光X線測定により、リン元素の強度を標準物質から得られた検量線と比較
して定量した。
F.ポリエステル組成物中の粒子分散性
粒子分散性はポリエステル組成物を透過型電子顕微鏡観察によって判定した。
○:粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されない。
△:粒子同士の凝集による粗大粒子がわずかに観察される。
×:粒子同士の凝集による粗大粒子が多く観察される。
G.フィルムの透明性
ポリエステル組成物から得られたフィルムをASTM−D−1003−59に準じてフィルムヘイズを測定した。
H.フィルムの滑り性
ポリエステル組成物から得られたフィルムをASTM−D−1894B法に従って測定した。フィルムの滑り性の目安として動摩擦係数(μd)を用いた。
I.フィルムの耐摩耗性
ポリエステル組成物から得られたフィルムを1/2インチ幅にスリットしたものをテープ走行性試験機を使用してガイドピン(表面粗度Ra100nm)上を走行させる(走行速度300m/分、走行回数1回、巻き付け角度60°、走行張力60g)。この時フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、耐摩耗性を判定した。
○:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり5本未満である。
△:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり5〜10本未満である。
×:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり10本以上である。
【0033】
実施例1
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部とを酢酸カルシウム・1水和物0.09重量部を触媒として140〜230℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、三酸化アンチモン0.03重量部、リン化合物としてトリエチルホスホノアセテートを0.07重量部を添加し、次いでシリカ系無機粒子としてSiO2が95%以上の湿式法から得られたシリカ粒子[平均粒子径2.0μm、比表面積290m2/g、細孔容積1.6ml/g(粒子の比表面積/細孔容積=181)]のエチレングリコールスラリーをシリカ粒子が2重量%となるように添加した。引き続いて、反応系を−101kPaとし、290℃に昇温し、重縮合反応を終了した。ポリエステル組成物特性を表1,2に示した。固有粘度0.620dl/g、リン元素量80ppmであり、シリカ粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されず、粒子分散性は良好であった。
【0034】
一方、上述の方法でシリカ粒子を添加していないポリエステルを製造した。
次いで、得られたシリカ粒子含有ポリエステル組成物とシリカ粒子を含有しないポリエステルとをシリカ粒子が0.015重量%となるように混合した後、十分乾燥した。引き続いて該乾燥品を押出し機に供給して290℃で溶融し、T型口金よりシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを95℃に加熱して縦方向に3.3倍延伸し、さらに105℃に加熱して横方向に3.3倍延伸し、210℃で加熱処理して、厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフイルム特性結果を表2に示した。フイルムの透明性、滑り性、耐摩耗性ともに良好であった。
【0035】
比較例1
リン化合物を変更した以外は実施例1と同様の方法でポリエステル組成物およびフィルムを得た。
【0036】
得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表1,2に示した。得られたポリエステル組成物は粒子分散性に劣り、さらに得られたフィルムは透明性、耐摩耗性に劣るものであった。
【0037】
実施例2、3、5、6、比較例2〜5、参考例4
実施例2、3、5、6、比較例2〜5、参考例4は、無機粒子種類あるいはリン化合物の種類、配合量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびフィルムを得た。得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結果を表1,2に示した。
【0038】
実施例2、3、5、6は、いずれも本発明の範囲内で、得られたポリエステル組成物は粒子分散性に優れ、またフイルムは透明性に優れ、かつ滑り性、耐摩耗性ともに良好であった。
【0039】
一方、比較例2〜5は、ポリエステルに配合する無機粒子種類、細孔容積、あるいは比表面積と細孔容積との関係が本発明の範囲外であり、得られたフイルムは、透明性、耐摩耗性に劣るものであった。
【0040】
【表1】
Figure 0004992171
【0041】
【表2】
Figure 0004992171
【0042】
【発明の効果】
本発明は上述したように、ポリエステルに特定のシリカ系無機粒子およびリン化合物を配合してなるポリエステル組成物であって、粒子分散性が良好で、かつ該ポリエステル組成物から透明性に優れ、良好な滑り性、耐摩耗性を兼備したフィルムを得ることができる。さらに該フィルムは、磁気記録媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用などに好適に使用することができ、特には食品包装用、一般工業用等の透明性の要求される分野に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. ポリエステルに、比表面積、細孔容積が下記式(1)、(2)および(3)を満足し、かつ平均粒子径0.01〜10μmのシリカ系無機粒子、および下記式(4)で示されるリン化合物を配合してなるポリエステル組成物。
    50≦比表面積≦1000 ・・・(1)
    1.3≦細孔容積≦1.6 ・・・(2)
    181≦(比表面積/細孔容積)≦330 ・・・(3)
    (但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔容積の単位はml/gである。)
    Figure 0004992171
  2. シリカ系無機粒子が湿式法で得られた粒子である請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. シリカ系無機粒子の配合量が0.001重量%以上である請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
  4. リン化合物の配合量が0.001重量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  5. シリカ系無機粒子および式(4)で示されるリン化合物の配合がポリエステル製造工程の任意の段階で添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  6. シリカ系無機粒子および式(4)で示されるリン化合物の配合がポリエステルへの混練である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  7. ポリエステル組成物がリン元素を1ppm以上含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル組成物からなるフィルム。
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