JP2016132721A - フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット及びその製造方法 - Google Patents

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Takayuki Suzuki
隆行 鈴木
真一郎 松園
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真一郎 松園
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Abstract

【課題】 透明で異物の少ない高品質なポリブチレンテレフタレートフィルムを得ることができるポリブチレンテレフタレートペレット、その混合物、及びその製造方法を提供すること。【解決手段】 無機粒子含有量が、2.5質量%を超えて、9質量%以下であるフィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)、その混合物及びテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分及び1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとの反応によりポリエステルを製造する方法において、無機粒子を、得られるポリエステルに対して2.5質量%を超えて、9質量%以下添加し、反応触媒としてチタン化合物及び周期表第2族元素の化合物を使用することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット、及びその混合物及びポリブチレンテレフタレート及びn製造方法に関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂の中で代表的なエンジニアリンブプラスチックであるポリブチレンテレフタレートは、成形加工の容易さ、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、保香性、その他の物理的、化学的特性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、精密機器部品などの射出成型品に広く使用されている。近年は、その優れた性質を活かし、フィルム、シート、モノフィラメント、繊維などの分野でも広く使用される様になってきた。
特にポリブチレンテレフタレートのフィルムは、優れた加工性、機械的特性、耐熱性、耐薬品性、保香性を有し、単層で、又は他樹脂層との積層フィルムとして種々の用途に広範囲に使用されている。
しかし、ポリブチレンテレフタレートフィルムは、滑り性に劣るためロール状に巻き上げた際に、シワや耳上がり等の不具合が発生し易く、かかる不具合が発生すると商品価値を著しく低下させていた。また、食品包装袋等に加工された場合も、積層保管時の優れたアンチブロッキング性が要求される。
これらの不具合を解消し、要求物性を充足する手段として、アンチブロッキング剤として無機粒子を含有させ、ポリブチレンテレフタレートフィルム表面に凹凸を形成させることで滑り性を改善する方法が挙げられる。
無機粒子の配合方法としては、例えば、重合系の中で添加する重合内添法、予め高濃度で無機粒子を配合したポリブチレンテレフタレートペレットを作製し、フィルム成形時に所定の濃度に希釈して使用するマスターバッチ法、フィルム成形時に無機粒子を成形材料に直接添加して成形する直接添加法などがある。
特許文献1には、ポリブチレンテレフタレートフィルムにアンチブロッキング剤を配合する方法が記載されており、その方法は重合内添法又はマスターバッチ法が好ましいと記載されている。しかしながら、その配合方法に関する詳細な記載は無く、具体的実施例も全く記載されていない。
特許文献2には、無機粒子を重合系の中で添加し、予め高濃度で粒子を配合したポリブチレンテレフタレートペレットを作製し、フィルム成形時に所定の濃度に希釈して使用するマスターバッチ法の技術が提案されている。
しかしながら、無機粒子、例えば表面積の大きいシリカ粒子を高濃度で添加すると、重合速度を遅延させ、生産効率を低下させるという問題があった。また、それを嫌って低濃度でのポリブチレンテレフタレートペレットを調製すると、今度はフィルム透明性を悪化させる問題があった。この文献には、上記問題点の記載や示唆も全く無い。
特開2005−8736号公報 特開2012−77292号公報
本発明の目的は、透明で異物の少ない高品質なポリブチレンテレフタレートフィルムを得ることができるポリブチレンテレフタレートペレット、その混合物、及びその製造方法を提供することである。
本発明の要旨は、無機粒子含有量が、2.5質量%を超えて、9質量%以下であるフィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)である。
また、別の要旨は、上記記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)1〜10質量%及びチタンを、チタン原子として1〜140質量ppm含有するポリブチレンテレフタレートペレット(B)99〜90質量%を含有するポリブチレンテレフタレートペレット混合物である。
また、別の要旨としては、フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)が、無機粒子存在下で重合されたものである上記記載のポリブチレンテレフタレートペレットである。
また、別の要旨は、フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)における無機粒子がシリカ及び/又はゼオライトである上記記載のポリブチレンテレフタレートペレット混合物である。
また、別の要旨は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分及び1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとの反応によりポリエステルを製造する方法において、無機粒子を、得られるポリエステルに対して2.5質量%を超えて、9質量%以下添加し、反応触媒としてチタン化合物及び周期表第2族元素の化合物を使用することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造方法である。
本発明によれば、所定濃度の無機粒子を含有するポリブチレンテレフタレートペレット、又はチタン原子として所定濃度のポリブチレンテレフタレートペレットの混合物を用いることで、透明で異物の少ないポリブチレンテレフタレートフィルムを得ることができる。
エステル化反応工程の一例の説明図 重縮合反応工程の一例の説明図 減圧付加装置の一例の説明図
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において、ポリブチレンテレフタレートペレット(A)及びポリブチレンテレフタレートペレット(B)のポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記することもある。) とは、テレフタル酸単位及び1,4 −ブタンジオール(以下、BGと略記することもある。)単位がエステル結合した構造を有し、ジカルボン酸単位の50モル% 以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール成分の50モ
ル%以上がBG単位から成る高分子を言う。
全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であり、全ジオール単位中のBG単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。テレフタル酸単位又はBG単位が50モル%より少ない場合は、PBTの結晶化速度が低下し、成形性の悪化を招く。
本発明において、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分には特に制限はなく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることが出来る。これらのジカルボン酸成分は、ジカルボン酸として、又は、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料として、ポリマー骨格に導入できる。
本発明において、BG以外のジオール成分には特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等を挙げることが出来る。
本発明においては、更に、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用することが出来る。
<触媒について>
本発明で使用するPBTは、BGとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)とのエステル化反応(又はエステル交換反応)の際に、触媒としてチタン化合物及び周期表第2族元素の化合物を使用することができる。これらの触媒は、エステル化反応(又はエステル交換反応)時に使用して、そのまま重縮合反応に持ち込んでもよいし、エステル化反応(又はエステル交換反応)では使用せずに、又は、どちらか一方の触媒のみ使用し、他方の触媒は重縮合段階で追加してもよい。更には、エステル化反応(又はエステル交換反応)で、最終的に使用する触媒の一部を使用し、重縮合反応の進行と共に適宜追加することも出来る。
チタン化合物の具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネートが好ましく、その中ではテトラブチルチタネートが好ましい。
周期表第2族元素の化合物の具体例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの各種化合物が挙げられるが、取り扱いや入手の容易さ、触媒効果の点から、マグネシウム化合物またはカルシウム化合物が好ましく、特に、触媒効
果に優れるマグネシウムが好ましい。マグネシウム化合物の具体例としては、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等が挙げられ、カルシウム化合物の具体例としては、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等が挙げられる。これらの中では酢酸マグネシウムが好ましい。
<PBTの製造方法>
PBTの製造方法としては、主原料としてテレフタル酸を用いてエステル化反応を行ういわゆる直接重合法と、主原料としてテレフタル酸ジアルキルエステルを用いてエステル交換反応を行うエステル交換法とに大別される。前者は、初期のエステル化反応で水が生成し、後者は初期のエステル交換反応でアルコールが生成するという違いがあるが、原料の入手安定性、留出物の処理の容易さ、原料原単位の高さ、また、本発明による改良効果という観点からは直接重合法が好ましい。
直接重合法としては、テレフタル酸とBGとを、単数若しくは複数段のエステル化反応槽内で、エステル化反応触媒の存在下にエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、複数段の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下で重縮合反応させる方法が挙げられる。
一方、エステル交換法としては、テレフタル酸ジメチル等のテレフタル酸ジアルキルエステルとBGとを、単数又は複数段のエステル化反応槽内で、エステル交換反応触媒の存在下にエステル交換反応させ、得られたエステル交換反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、複数段の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下で重縮合反応させる方法が挙げられる。
(エステル化反応条件)
エステル化反応の一例としては、その温度は、通常180℃以上、好ましくは200℃以上、特に好ましくは210℃以上であり、通常260℃以下、好ましくは250℃以下、特に好ましくは245℃以下である。また、エステル化反応の圧力は、通常10kPa以上、好ましくは13kPa以上で、通常120kPa以下、好ましくは110kPa以下である。
また、エステル化反応に要する時間は、得られるオリゴマーのエステル化反応率を測定しその範囲を一定にするように調整されるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上であり、通常5時間以下、好ましくは3時間以下である。エステル化反応率は通常92%以上で調整される。エステル化工程を連続式で行う場合、エステル化反応槽での平均滞留時間をエステル化反応に要する時間とみなす。このようにして、エステル化反応生成物としてのオリゴマーが生成する。なお、エステル化反応は回分式でも連続式でも行うことができる。
続いてエステル化反応で得られたオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、重縮合反応触媒の存在下で重縮合反応を行う。
(エステル交換反応条件)
エステル交換反応の一例としては、その温度は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、特に好ましくは180℃以上であり、通常260℃以下、好ましくは245℃以下、特に好ましくは220℃以下である。また、圧力が、通常10kPa以上、好ましくは13kPa以上、特に好ましくは60kPa以上であり、通常133kPa以下、好ましくは120kPa以下、特に好ましくは110kPa以下である。
また、エステル交換反応に要する時間は、例えばエステル交換反応中の留出液量で調整
されるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上であり、通常5時間以下、好ましくは3時間以下である。エステル交換工程を連続式で行う場合、エステル交換反応槽での平均滞留時間をエステル交換反応に要する時間とみなす。このようにして、エステル交換反応生成物としてのオリゴマーが生成する。なお、エステル交換反応は回分式でも連続式でも行うことができる。
続いてエステル交換反応で得られたオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、重縮合反応触媒の存在下で重縮合反応を行う。
(エステル化反応装置/エステル交換反応装置)
エステル化反応槽又はエステル交換反応槽としては、公知のものが使用でき、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽等の型式のいずれであってもよく、また、単数槽としても、同種又は異種の槽を直列に連結した複数槽としてもよい。中でも攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部及び軸受、軸、攪拌翼からなる通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機等の高速回転するタイプも用いることができる。
攪拌の形態にも制限はなく、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部等から直接攪拌する通常の攪拌方法の他、反応液の一部を反応器の外部に配管等で持ち出してラインミキサ−等で攪拌し、反応液を循環させる方法をとることもできる。
攪拌翼の種類も公知のものが選択でき、具体的にはプロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼等が挙げられる。
(重縮合反応条件)
重縮合反応は回分式でも連続式でも行うことができる。
重縮合反応の一例としては、その温度は通常210℃以上、好ましくは220℃以上であり、通常260℃以下、好ましくは250℃以下、特に好ましくは245℃以下である。また、重縮合反応の圧力は、通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、より好ましくは13kPa以下、中でも少なくとも1つの重縮合反応槽においては好ましくは2kPa以下の減圧下である。重縮合反応は攪拌しながら行われる。重縮合反応に要する時間は、得られるポリエステル樹脂の溶融粘度や固有粘度を測定しその範囲を一定にするように調整されるが、通常2〜12時間、好ましくは2〜10時間である。重縮合反応を連続式で行う場合、重縮合反応槽での平均滞留時間を重縮合反応に要する時間とみなす。
(重縮合反応装置)
重縮合反応を行う重縮合反応槽は、通常、温度を制御するための熱媒体ジャケットを具備するものを用いるが、温度制御を容易にするため、重縮合反応槽内部に熱媒体コイルを具備してもよい。重縮合反応槽は、通常、鉛直又は水平方向を中心線とする攪拌装置を具備する。攪拌翼としては、鉛直方向を中心線とする攪拌装置の場合、アンカー翼、パドル翼、ファウドラー翼など、水平方向を中心線とする攪拌装置の場合、メガネ翼、車輪翼など、それぞれ、従前知られるものを利用することができる。
重縮合反応槽としては、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽等の公知のものを挙げることができる。反応液の粘度が上昇する重縮合の後期は、反応速度よりも物質移動が分子量増大の支配因子になる傾向があるため、副反応を抑制しつつ主反応をおし進めるためには、可能な限り温度を下げ、表面更新性を上げたほうが本発明の目的を達成するには有利であり、表面更新性とプラグフロー性、セルフクリーニング性に優れた薄膜蒸発機能を有した単数又は複数の横型攪拌重合機を選定することが好ましい。
(連続エステル化反応重縮合反応の好適な実施態様)
以下、添付図面に基づき、PBTの連続式製造方法の好ましい実施態様を説明する。図1は、本発明で採用するエステル化反応工程の一例の説明図、図2は、本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図である。
図1において、原料のテレフタル酸は、通常、原料混合槽(図示せず)でBGと混合され、原料供給ライン(1)からスラリーの形態でエステル化反応槽(A)に供給される。また、前述のエステル化反応触媒は、好ましくは触媒調整槽(図示せず)でBGの溶液とした後、触媒供給ライン(3)から供給される。図1では再循環BG(蒸留塔塔底液)の再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)を連結し、両者を混合した後、エステル化反応槽(A)の液相部に供給する態様を示した。なお、触媒は触媒供給ライン(15)、(16)から供給されても良く、(15)、(16)を利用してその他の助剤を添加しても良い。
エステル化反応槽(A)から留出するガスは、留出ライン(5)を経て精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離される。通常、高沸成分の主成分はBGであり、低沸成分の主成分は、水及びTHFである。
精留塔(C)で分離された高沸成分は抜出ライン(6)から抜き出され、ポンプ(D)を経て、一部は再循環ライン(2)からエステル化反応槽(A)に循環され、一部は循環ライン(7)から精留塔(C)に戻される。また、余剰分は抜出ライン(8)から外部に抜き出される。一方、精留塔(C)で分離された軽沸成分はガス抜出ライン(9)から抜き出され、コンデンサ(G)で凝縮され、コンデンサ凝縮液ライン(10)を経てタンク(F)に一時溜められる。タンク(F)に集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン(11)、ポンプ(E)及び循環ライン(12)を経て精留塔(C)に戻され、残部は、抜出ライン(13)を経て外部に抜き出される。コンデンサ(G)はベントライン(14)を経て排気装置(図示せず)に接続されている。エステル化反応槽(A)内で生成したオリゴマーは、抜出ポンプ(B)及びオリゴマーの抜出ライン(4)を経て抜き出され、図2の第1重縮合反応槽(a)に供給される。
図1に示す工程においては、再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)が連結されているが、両者は独立していてもよい。また、原料供給ライン(1)はエステル化反応槽(A)の液相部に接続されていてもよい。
前述の重縮合反応触媒は、調製槽(図示せず)で所定濃度に調製された後、図2におけるライン(L7)を経て、BGの供給ライン(L8)に導入され、BGで更に希釈された後、前述の図1に示すオリゴマーの抜出ライン(4)に供給される。
次に、第1重縮合反応槽(a)に供給されたオリゴマーは、減圧下に重縮合されてプレポリマーとなった後、抜出用ギヤポンプ(c)及び抜出ライン(L1)を経て第2重縮合反応槽(d)に供給される。第2重縮合反応槽(d)では、通常、第1重縮合反応槽(a)よりも低い圧力で更に重縮合が進みポリマーとなる。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)及び抜出ライン(L3)を経て、第3重縮合反応槽(k)に供給される。第3重縮合反応槽(k)は、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。抜出ライン(L3)を通じて第2重縮合反応槽(d)から第3重縮合反応槽(k)に導入されたポリマーは、ここで更に重縮合が進められた後、抜出用ギヤポンプ(m)及び抜出ライン(L5)を経てダイスヘッド(g)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(h)で切断されてペレットとなる。符号(L2)、(L4)、(L6)は、それぞれ、第1重縮合反応槽(a)、第2重縮合反応槽(d)、第3重縮合反応槽(k)のベントラインである。符号(R)、(S)、(T)、(U)はフィルターである。これらのフィルターは必ずしも全部設置する必要はなく、異物除去効果と運転安定性を考慮して適宜設置することができる。
(減圧付加)
本発明においては、重縮合反応槽への減圧付加はBGの蒸気エゼクターによってなされることが好ましい。
BGを蒸気発生装置に供給して得られる蒸気を、蒸気エゼクター駆動用蒸気として用いる。蒸気エゼクターは蒸気エゼクター下流部に設置されたコンデンサ、及び該コンデンサと大気脚を介して接続されたホットウェルタンクを組み合わせて用いる。この方法を用い、吸引ガス中に含まれる有機成分を、コンデンサの封液であるBG中に凝縮させることが可能である。本発明においては、この凝縮液をそのまま又は蒸留精製して、PBTの原料ジオール成分として好ましく使用することができる。
本発明において、PBTの原料ジオール成分として、又は、蒸気エゼクター駆動用蒸気として使用するBGは特に限定されず、公知の製法で得たものを使用することが可能である。また、本発明においては原料ジオール成分としてBGをそのまま使用することが好ましい。
以下、添付図面に基づき、本発明のポリエステル樹脂の製造方法における蒸気エゼクタの適用をPBTの製造方法を例として、また、重縮合反応槽が第1から第3までの3槽である例で説明する。図3は本発明で採用する減圧付加装置(蒸気エゼクターシステム及び蒸留精製システム)の一例の説明図である。
蒸気エゼクター駆動用蒸気として用いるBGは、ポリエステル樹脂の原料ジオール成分としてのBGとは別個に調製することもできるし、ポリエステル樹脂の原料ジオール成分としてのBGの一部を蒸気エゼクター駆動用蒸気として用いることも可能である。
図2における重縮合反応槽(a、d、k)の圧力は図3に示した減圧付加装置を用いてコントロールされる。該減圧付加装置は、蒸気エゼクターシステム及び蒸留精製システムによって構成されている。図3において、外部からのBGの供給ライン(19)を通じて、蒸気エゼクター駆動用のBGを蒸気発生装置(K)に連続的に供給し、蒸気発生装置(K)で240℃に加熱しBG蒸気を発生させ、蒸気エゼクターへの蒸気BGの供給ライン(20)を通じて、各蒸気エゼクター(第1重縮合反応槽用:A1・A3、第2重縮合反応槽用:B1・B3・B5、第3重縮合反応槽用:C1・C3・C5)へ供給する。
第1重縮合反応槽(a)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスは第1重縮合反応槽(a)からのベントライン(21)を経て、1段目の蒸気エゼクター(A1)に導入され、この時蒸気エゼクター(A1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(A2)で凝縮され、凝縮液はバロメトリックコンデンサー(A2)の大気脚(25)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサー(A2)で凝縮しない成分は2段目の蒸気エゼクター(A3)に送られ、蒸気エゼクター(A3)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(A4)で凝縮され、凝縮液は2段目のバロメトリックコンデンサー(A4)の大気脚(26)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。一方、2段目のバロメトリックコンデンサー(A4)で凝縮しない成分は、真空ポンプ(A5)からの吐出ガスライン(24)から系外に排出される。ライン(22、23)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H2、H3)から循環供給する(図示せず)。
第2重縮合反応槽(d)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスはベントライン(31)を経て、1段目の蒸気エゼクター(B1)に導入され、この時蒸気エゼクター(B1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(B2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(36)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサー(B2)で凝縮しない成分は2段目の蒸気エゼクター(B3)に送られ、この蒸気エゼクター(B3)から排出されるBG蒸気は、2段目のバロメトリックコンデンサー(B4)で凝縮され、凝縮液は大気脚(37)を通じてホットウ
ェルタンク(H2)に集められる。一方、2段目のバロメトリックコンデンサー(B4)で凝縮しない成分は3段目の蒸気エゼクター(B5)に送られ、この蒸気エゼクター(B5)から排出されるBG蒸気は、3段目のバロメトリックコンデンサー(B6)で凝縮され、凝縮液は大気脚(38)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。一方、3段目のバロメトリックコンデンサー(B6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(B7)を用いて吐出ガスライン(35)から系外に排出される。ライン(32、33、34)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1、H2、H3)から循環供給する(図示せず)。
第3重縮合反応槽(k)から留出したテトラヒドロフラン、水を主成分とするガスはベントライン(41)を経て、1段目の蒸気エゼクター(C1)に導入され、この時蒸気エゼクター(C1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(C2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(46)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められる。一方、バロメトリックコンデンサー(C2)で凝縮しなかった成分は2段目の蒸気エゼクター(C3)に送られ、この2段目の蒸気エゼクター(C3)から排出されるBG蒸気は、2段目のバロメトリックコンデンサー(C4)で凝縮され、凝縮液は大気脚(47)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められる。一方、2段目のバロメトリックコンデンサー(C4)で凝縮しなかった成分は3段目の蒸気エゼクター(C5)に送られ、この3段目の蒸気エゼクター(C5)から排出されるBG蒸気は、3段目のバロメトリックコンデンサー(C6)で凝縮され、凝縮液は大気脚(48)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められる。一方、3段目のバロメトリックコンデンサー(C6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(C7)を用いて吐出ガスライン(45)から系外に排出される。ライン(42、43、44)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1、H2、H3)から循環供給する(図示せず)。
ホットウェルタンク(H1、H2、H3)に集められたBGを主成分とする液体は、ホットウェルタンク(H1、H2、H3)からバッファ−タンク(H5)への凝縮液の抜き出しライン(54)、ポンプ(H4)を通してバッファータンク(H5)に送られ、その全量をポンプ(H6)、バッファータンク(H5)から原料スラリー調製槽へのBGの供給ライン(55)を通じて、未精製のまま原料スラリー調製槽へ移送され、原料ジオール成分の一部として用いられる。ライン(51、52、53)は、ホットウェルタンク(H1、H2、H3)への外部からのBG供給ラインである。尚、連続重縮合プロセスの運転安定時の外部からのBGの供給ラインは、ライン(19)とライン(51、52、53)のみであり、それぞれBGの供給量を一定質量流量に設定する。また、バッファータンク(H5)の全量をポンプ(H6)、ライン(56)を通じて、蒸留精製塔(J1)で精製した後、ポンプ(J2)、ライン(58)を通じて原料スラリー調製槽へ移送し原料BGの一部としても良い。蒸留精製塔(J1)で分離された高沸成分は熱交換器(J3)を経由して蒸留精製塔(J1)に戻され、余剰分はポンプ(J4)から外部に抜き出される。一方、蒸留精製塔(J1)で分離された軽沸成分は、抜出ライン(57)を経て外部に抜き出される。
(PBTの粒状体)
前記の重縮合反応により得られたPBTを、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜出ダイに移送してストランド状に抜き出し、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断してペレット状又はチップ状の粒状体とする。
得られたペレットは必要に応じて融点以下で不活性ガス雰囲気下又は減圧下で固相重縮合を行ってもよい。
<無機粒子について>
PBTペレット(A)において、用いられる無機粒子としては、具体的には、炭酸カル
シウム、酸化カルシウム、ゼオライト、非晶性アルミノシリケート、カオリン、クレー、合成シリカ、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粒子が挙げられ、好ましくはゼオライト、合成シリカの粒子であり、特に好ましくは合成シリカの粒子である。これらは単独又は2種以上を混合して使用される。なお、ゼオライトや合成シリカは、タルクに比べて、フィルム透明性が良好となる。
無機粒子の含有量は、PBTに対して下限は2.5質量%を超えて、好ましくは3.0質量%以上である。また、上限は、9質量%以下、好ましくは8質量%以下である。アンチブロッキング剤の使用量2.5質量%以下では、透明性の良いフィルムが得られず、一方、9質量%より多すぎると、反応速度が低下し生産効率が低下し、フィルム透明性が損なわれる。
<PBTペレット(A)について>
本発明における、無機粒子含有PBTペレット(A)の調製方法は、PBTペレットと無機粒子とをドライブレンドした後、1軸又は2軸の押出機等の溶融混練機で溶融混練する方法、無機粒子を溶融混練機に直接添加して溶融混練する方法、無機粒子の存在下で重合しPBTペレット(A)を得る方法等が挙げられる。ペレット混合物をフィルムとしたときの透明性向上、フィッシュアイ防止等の観点から、無機粒子の存在下で重合しPBTペレット(A)を得る方法が好ましい。
尚、無機粒子の存在下で重合する方法について更に詳しく述べると、無機粒子の添加は、PBTの製造工程のいずれであってもよい。また、複数の工程で分割してなされてもよいが、フィルムとしたときの透明性やフィッシュアイ防止等の観点からは、原料仕込み時から重縮合反応開始前までの間、特に重縮合反応開始前に添加することが好ましい。無機粒子の添加量は、上記含有量と同様である。
<PBTペレット(B)について>
一方、本発明において、PBTペレット(B)は、実質的に不活性粒子を含有しないPBTペレットであり、ここで、実質的に不活性粒子を含有しないとは、不活性粒子を全く含有しないか、又は、含有しても(B)成分単独として耐ブロッキング性の付与に寄与しない程度の量以下であることを意味する。
<PBTペレット(B)のTi触媒量>
本発明で使用するPBTペレット(B)は、チタンを含有し且つその量がチタン原子として1質量ppm以上140質量ppm以下、1ppm質量以上含有する。上記の値はPBTに対する原子の質量比である。
本発明において、上記のチタン含有量の下限は、1質量ppm、好ましくは5質量ppm、更に好ましくは10質量ppm、特に好ましくは20質量ppm、一層好ましくは35質量ppmである。チタン含有量の上限は、好ましくは140質量 ppm 、更に好ましくは80質量ppm、特に好ましくは60質量ppm である。チタンの含有量が14
0質量ppmより多い場合は、色調、耐加水分解性、透明性、成形性などが悪化し、しかも、異物も増加する傾向にあり、1質量ppmより少ない場合は重合性が悪化することがある。
<PBTペレット(B)の固有粘度>
本発明で使用するPBTペレット(B)のPBTの固有粘度は、通常0. 60〜2.
00dL/g、好ましくは0.65〜1.80dL/g、更に好ましくは1.20〜1.45dL/gである。固有粘度が0.60dL/g未満の場合は、フィルム成形中の溶融体粘度が低く上手くフィルム成形できなかったり、フィルム化できてもダイラインと呼ばれるスジが出たり、T ダイ成形においては端部が安定せず、フィルム幅が変動する。一
方、2.00dL/gを超える場合は、溶融粘度が高くなり、流動性が悪化して、成形性
が悪化する傾向にある。
<ペレット混合方法について>
本発明のペレット混合物調製方法としては、前記PBTペレット(A)と前記PBTペレット(B)とを、ドライブレドし、1軸又は2軸の押出機等の溶融混練機で溶融混練してペレット化する方法、前記PBTペレット(A)と前記PBTペレット(B)とをドランブレンドした後、成形機に供給して直接成形する方法が挙げられるが、中で、前記PBTペレット(A)と前記PBTペレット(B)とをドライブレンドした後、成形機に供給して直接成形する方法によるのが好ましい。
<ペレット混合比について>
本発明のペレット混合物は、前記PBTペレット(A)と、前記PBTペレット(B)を混合することにより得られたものであって、その組成割合は、前者(A)成分を1〜10質量%、後者(B)成分を99〜90質量%とすることが好ましく、前者(A)成分を1〜8質量%、後者(B)成分を99〜92質量%とするのが更に好ましく、前者(A)成分を1〜4質量%、後者(B)成分を99〜96質量%とするのが更に好ましく、前者(A)成分を1〜3質量%、後者(B)成分を99〜97質量%とするのが特に好ましい。前者(A)成分が前記下限以上、上限以下では透明性が良好になる。
<組成物>
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTに、必要に応じて下記の各種添加剤やPBT以外の樹脂を添加して樹脂組成物とすることができる。又、該樹脂組成物を用いて成形体にすることができる。
(安定剤)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、必要に応じて各種安定剤を添加することができる。安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3',5'−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール化合物;ジラウ
リル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリ
ルチオジプロピオネート)等のチオエーテル化合物;トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の燐化合物などの抗酸化剤等が挙げられる。これらの安定剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。安定剤の添加効果を得るためには、PBT100質量部に対し前記安定剤を0.01質量部以上添加することが好ましく、0.05質量部以上添加することがより好ましい。一方、経済性の観点から、PBT100質量部に対し前記安定剤を1質量部以下添加することが好ましい。
(離型剤)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、必要に応じて各種離型剤を添加することができる。離型剤としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルに代表される長鎖脂肪酸及びそのエステル、シリコーンオイル等の離型剤等が挙げられる。これらの離型剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。離型剤の添加効果を得るためには、PBT100質量部に対し前記離型剤を通常0.01質量部以上添加することが好ましく、0.05以上添加することがより好ましい。一方、経済性の観点から、PBT100質量部に対し前記離型剤を1質量部以下添加することが好ましい。
(充填材)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、強化充填材を配合することができる。強化充填材としては、特に制限されないが、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素チタン酸カリウム繊維、金属繊維などの無機繊維、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維などの有機繊維などが挙げられる。これらの強化充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。上記の強化充填材の中では、無機充填材、特にガラス繊維が好適に使用される。
強化充填材が無機繊維又は有機繊維である場合、その平均繊維径は、特に制限されないが、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μm、更に好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmである。また、平均繊維長は、特に制限されないが、通常0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmである。
強化充填材は、PBTとの界面密着性を向上させるため、収束剤又は表面処理剤で表面処理して使用することが好ましい。収束剤又は表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。強化充填材は、収束剤又は表面処理剤により予め表面処理しておくことができ、又は、PBTの調製の際に、収束剤又は表面処理剤を添加して表面処理することもできる。強化充填材の添加量は、PBT100質量部に対し、通常150質量部以下、好ましくは5〜100質量部である。
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、強化充填材と共に他の充填材を配合することができる。配合する他の充填材としては、例えば、板状無機充填材、セラミックビーズ、アスベスト、ワラストナイト、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、カオリン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。板状無機充填材を配合することにより、成形品の異方性及びソリを低減することができる。板状無機充填材としては、例えば、ガラスフレーク、雲母、金属箔などを挙げることができる。これらの中ではガラスフレークが好適に使用される。その他の充填材の添加量は、PBTペレット混合物又はPBT100質量部に対し、通常150質量部以下、好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜70質量部以下である。
(難燃剤)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、難燃性を付与するために難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、特に制限されず、具体的には、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、その他の有機難燃剤、無機難燃剤などが挙げられる。有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ポリペンタブロモベンジルアクリレート等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。リン化合物としては、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等が挙げられる。その他の有機難燃剤としては、例えば、メラミン、シアヌール酸などの窒素化合物などが挙げられる。その他の無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。これらの難燃剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。難燃剤の添加量は、PBT100質量部に対し、通常50質量部以下、好ましくは10〜40質量部である。
(その他の添加剤)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、必要に応じ、その他慣用の添加剤などを配合することができる。かかる添加剤としては、特に制限されず、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤の他、触媒失活剤、結晶核剤、結晶化促進剤などが挙げられる。これらの添加剤は、重合途中又は重合後に添加することができる。更に、ポリエステル樹脂に、所望の性能を付与するため、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの安定剤、染顔料などの着色剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤などを配合することができる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。その他の添加剤の添加量は、PBT100質量部に対し、通常5質量部以下、好ましくは0.05〜2質量部である。
(PBT以外の樹脂)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTには、必要に応じて、PBT以外の樹脂を配合することができる。PBT以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。PBT以外の樹脂の添加量は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、通常90質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは3〜50質量部以下である。
(配合方法)
前記の種々の添加剤や樹脂の配合方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸又は2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。各成分は、付加的成分を含めて、混練機に一括して供給することができ、又は、順次供給することもできる。また、付加的成分を含めて、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくこともできる。
(成形方法)
本発明のPBTペレット混合物又は本発明の製造方法で得られたPBTは、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押し出し成形、プレス成形などの成形法によって成形体とすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した物性及び評価項目の測定方法は次の通りである。
<固有粘度(IV)>
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において濃度1.0g/dLのポリマー溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(1)より求めた。
IV=((1+4KHηsp0.5−1)/(2KHC)・・・(1)
(但し、ηSP=η/η0−1であり、ηはポリマー溶液落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。)
<末端カルボキシル基濃度>
試料を粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で
室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mlを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mlを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら撹拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。また、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料を溶解させずに同様の操作を実施し、以下の式<2>によって末端カルボキシル基量(酸価)を算出した。
末端カルボキシル量(当量/トン)=(a−b)×0.1×f/w・・・(2)
(ここで、aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μl)、wはポリエステル樹脂の試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。)
なお、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は以下の方法で求めた。試験管にメタノール5mlを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液の指示薬として1〜2滴加え、0.lNの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mlで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2ml採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)。以下の式<3>によって力価(f)を算出した。
力価(f)=0.1Nの塩酸水溶液の力価×0.1Nの塩酸水溶液の採取量(μl)/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μl)・・・(3)
<ペレット色調>
ペレット状ポリエステルを内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定用セルに充填し、測色色差計Z300A(日本電色工業(株)社製)を使用して、JIS Z8730の参考例1に記載されるLab表示系におけるハンターの色差式の色座標によるb値を、反射法により、測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
<フィッシュアイ(FE)>
Film Quality Testing System(オプティカルコントロールシステムズ社 形式FS−5)を使用し、厚さ50μmのフィルムを成形し、1m2当たりの25μm以上のフィッシュアイ数を測定した。
<二軸延伸方法>
フィッシュアイ測定と同様のFilm Quality Testing System(オプティカルコントロールシステムズ社、形式FS−5)を使用し、厚さ135μmのフィルムを成形した。二軸延伸機(T.M.Long社製)を用いて、上記で得られたフィルムを60℃で2分間予熱した後、20,000%/分の延伸速度で、縦方向3.0倍、横方向3.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸し、延伸後、60℃で3分間の熱固定を行うことにより、二軸延伸フィルムを成形した。
<ヘーズ測定>
上記方法で得られた厚さ15μmのフィルムを75mm×30mmの大きさに切り出し、積分球式ヘーズメーター(日本電色工業社製、「NDH−1001DP型」)を使用してヘーズを測定した。5点測定し、その平均値をフィルムヘーズとした。
(実施例1)
<PBTペレット(A)の製造方法>
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計、留出管、減圧用排気口を備えた反応容器に、ジメチルテレフタレート(帝人製)132質量部、BG74質量部及び触媒としてテトラブチルチタネートをあらかじめ6質量%溶解させた―BG溶液0.6質量部を仕込み、窒素―減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
系内を撹拌しながら150℃まで加温後、210℃に昇温しながらエステル交換反応によって生成するメタノールを留出させつつ3時間反応した。
続いて、無機粒子としてシリカ(富士シリシア化学(株)製 サイリシア310P)をあらかじめ10質量%混合させたBG粒子スラリーを45質量部を仕込み、触媒としてテトラブチルチタネートをあらかじめ6質量%溶解させた1,4−ブタンジオール溶液0.59質量部を仕込み、及び酢酸マグネシウムをあらかじめ10質量%溶解させたBG溶液を0.64質量部仕込んだ。
次に、1時間かけて240℃まで昇温するとともに、1.5時間かけて0.4kPaになるように減圧し、同減圧度で1.5時間重縮合反応を行い、反応系を常圧に戻し重縮合を終了した。得られたPBTを反応槽の底部からストランドとして抜き出し、10℃の水中を潜らせた後、カッターでストランドをカットすることによりPBTペレット(A)を得た。
得られたPBTの固有粘度(IV)は0.69dL/g、末端カルボキシル基量24当量/トンあった。減圧開始から重縮合終了までを重縮合時間として、固有粘度/重縮合時間を重縮合速度とした。重縮合速度は0.19dL/g/hであった。
<PBT(B)の製造方法>
図1に示すエステル化工程、図2に示す重縮合工程及び、図3の減圧付加装置を有する連続製造装置により、以下のようにしてPBTを製造した。
先ず、テレフタル酸1.00モルに対して、BG1.80モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率99%の低分子量体オリゴマーを充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化反応槽(A)に、40kg/hとなる様に連続的に供給した。同時に、再循環ライン(2)から185℃の精留塔(C)の塔底成分(98質量%以上がBG)を13.2kg/hで供給し、再循環ライン(2)に連結されている触媒供給ライン(3)から3.0質量%BG溶液に調製された60℃の触媒溶液を254g/hで供給した。触媒には、テトラ−n−ブトキシチタネートを用いた。
エステル化反応槽(A)の内温を230℃、圧力は70kPaとし、生成する水とTHF及び余剰のBGを、エステル化反応槽留出ライン(5)から留出させ、精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98質量%以上がBGであり、精留塔(C)の液面が一定になる様に、精留塔塔底液抜出ライン(8)を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、水とTHFを主体とする低沸成分はガス抜出ライン(9)を経て塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサ(G)で凝縮させた。凝縮液は、凝縮液タンク(F)の液面が一定になる様に、凝縮液排出ライン(13)より外部に排出した。
エステル化反応槽(A)で生成したオリゴマーは、抜出ポンプ(B)を使用し、オリゴマー抜出ライン(4)から抜き出し、エステル化反応槽(A)内液のテレフタル酸ユニット換算での平均滞留時間が3時間になる様に液面を制御した。オリゴマー抜出ライン(4)から抜き出したオリゴマーは、第1重縮合反応槽(a)に連続的に供給した。系が安定した後、エステル化反応槽(A)の出口で採取したオリゴマーのエステル化率は97.5%であった。
第1重縮合反応槽(a)の内温を246℃、圧力2.4kPaとし、滞留時間が120分になる様に液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続された第1重縮合反応槽(a)のベントライン(L2)から、水、THF、BGを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。第1重縮合反応槽(a)から反応物抜出ライン(L1)を経て抜き出した反応物は第2重縮合反応槽(d)に連続的に供給した。
第2重縮合反応槽(d)の内温を239℃、圧力150Paとし、滞留時間が90分になる様に液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続された第2重縮合反応槽(d)のベントライン(L4)から、水、THF、BGを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、反応物抜出用ギヤポンプ(e)により反応物抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。
第3重縮合反応槽(k)の内温を238℃、圧力130Paとし、滞留時間が60分になる様に液面制御を行い、更に、重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、フィルター(U)を経由して、ダイスヘッド(g)からストランド状に連続的に抜き出し、回転式カッター(h)でカッティングした。尚、それぞれの重縮合反応槽(a、d、k)の圧力は図3に示した減圧付加装置を用いてコントロールした。ここで、減圧付加装置に用いる蒸気エゼクターにおいて、BGを加熱する部分にはモリブデンを含むステンレス鋼(SUS316L)を使用した。
蒸気エゼクター駆動用の蒸気として、BGを用いた。BGをBG供給ライン(19)を通じて、蒸気エゼクター駆動用BGの蒸気発生装置(K)へ連続的に供給し、蒸気発生装置(K)で240℃に加熱して発生させたBG蒸気をエゼクターへの蒸気BGの供給ライン(20)を通じて、各蒸気エゼクター(第1重縮合反応槽用:A1・A3、第2重縮合反応槽用:B1・B3・B5、第3重縮合反応槽用:C1・C3・C5)へ供給した。
第1重縮合反応槽(a)から留出したTHF、水を主成分とするガスはベントライン(21)を経て、1段目の蒸気エゼクター(A1)に導入され、この時蒸気エゼクター(A1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(A2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(25)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められた。バロメトリックコンデンサー(A2)で凝縮しなかった成分は2段目の蒸気エゼクター(A3)に送られ、蒸気エゼクター(A3)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(A4)で凝縮され、凝縮液は2段目のバロメトリックコンデンサー(A4)の大気脚(26)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。2段目のバロメトリックコンデンサー(A4)で凝縮しなかった成分は、真空ポンプ(A5)を用いて吐出ガスライン(24)から系外に排出された。ライン(22、23)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H2、H3)から循環供給した(図示せず)。
第2重縮合反応槽(d)から留出したTHF、水を主成分とするガスはベントライン(31)を経て、1段目の蒸気エゼクター(B1)に導入され、この時蒸気エゼクター(B1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(B2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(36)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められた。バロメトリックコンデンサー(B2)で凝縮しなかった成分は2段目の蒸気エゼクター(B3)に送られ、この蒸気エゼクター(B3)から排出されるBG蒸気は、2段目のバロメトリックコンデンサー(B4)で凝縮され、凝縮液は大気脚(37)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められた。2段目のバロメトリックコンデンサー(B4)で凝縮しなかった成分は3段目の真空ポンプ(B5)に送られ、この蒸気エゼクター(B5)から排出されるBG蒸気は、3段目のバロメトリックコンデンサー(B6)で凝縮され、凝縮液は大気脚(38)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。3段目のバロメトリックコン
デンサー(B6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(B7)を用いて吐出ガスライン(35)から系外に排出された。ライン(32、33、34)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1、H2、H3)から循環供給した(図示せず)。
第3重縮合反応槽(k)から留出したTHF、水を主成分とするガスはベントライン(41)を経て、1段目の蒸気エゼクター(C1)に導入され、この時蒸気エゼクター(C1)から排出されるBG蒸気は、バロメトリックコンデンサー(C2)で凝縮され、凝縮液は大気脚(46)を通じてホットウェルタンク(H1)に集められた。バロメトリックコンデンサー(C2)で凝縮しなかった成分は2段目の蒸気エゼクター(C3)に送られ、この2段目の蒸気エゼクター(C3)から排出されるBG蒸気は、2段目のバロメトリックコンデンサー(C4)で凝縮され、凝縮液は大気脚(47)を通じてホットウェルタンク(H2)に集められた。2段目のバロメトリックコンデンサー(C4)で凝縮しなかった成分は3段目の蒸気エゼクター(C5)に送られ、この3段目の蒸気エゼクター(C5)から排出されるBG蒸気は、3段目のバロメトリックコンデンサー(C6)で凝縮され、凝縮液は大気脚(48)を通じてホットウェルタンク(H3)に集められた。3段目のバロメトリックコンデンサー(C6)で凝縮しなかった成分は真空ポンプ(C7)を用いて吐出ガスライン(45)から系外に排出される。ライン(42、43、44)は液体BGの供給ラインであり、全量をホットウエルタンク(H1、H2、H3)から循環供給した(図示せず)。
ホットウェルタンク(H1、H2、H3)に集められたBGを主成分とする液体は、ホットウェルタンクから(H1、H2、H3)バッファ−タンク(H5)への凝縮液の抜き出しライン(54)、ポンプ(H4)を通してバッファータンク(H5)に送られ、その全量をポンプ(H6)、バッファータンク(H5)から原料スラリー調製槽へのBGの供給ライン(55)を通じて、未精製のまま原料スラリー調製槽へ移送し、原料ジオール成分の一部として用いられた。
ライン(51、52、53)は、ホットウェルタンク(H1、H2、H3)へのBGの外部からのBGの供給ラインであり、蒸気エゼクター駆動用の蒸気として用いたのと同じBG溶液を供給した。尚、連続重縮合プロセスの運転安定時の外部からのBG溶液の供給ラインは、ライン(19)とライン(51、52、53)であり、それぞれBGの供給量を一定質量流量に設定した。
得られたPBTペレットは、195℃、5時間、1torr減圧下で固相重合を行った。
<PBTペレット(A)、(B)の混合方法>
得られたPBTペレット(A)、(B)をそれぞれ、3.0質量%、97.0質量%でドライブレンドし、ペレット混合物を得た。得られたペレット混合物を用いてFilm Quality Testing System(オプティカルコントロールシステムズ社 形式FS−5)を使用し、成形温度270℃で厚さ135μ、50μmのフィルムをそれぞれ成形した。厚さ50μmのフィルムはフィッシュアイを測定した。
続いて、二軸延伸機(T .M .Long社製) を用いて、上記で得られた厚さ13
5μmフィルムを60℃で2分間予熱した後、20,000%/分の延伸速度で、縦方向3.0倍、横方向3.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸し、延伸後、60℃で3分間の熱固定を行うことにより、二軸延伸フィルムを成形した。得られたフィルムのヘーズを測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2016132721
(実施例2)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法に,おいて、無機粒子としてシリカ(富士
シリシア化学(株)製 サイリシア310P)をあらかじめ10質量%混合させたBG粒子スラリーを75質量部を仕込み、得られたPBTペレット(A)、(B)をそれぞれ、1.8質量%、98.2質量%でドライブレンドした以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。
(実施例3)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法に,おいて、無機粒子としてシリカ(富士
シリシア化学(株)製 サイリシア310P)をあらかじめ10質量%混合させたBG粒子スラリーを120質量部を仕込み、得られたPBTペレット(A)、(B)をそれぞれ、1.1質量%、98.9質量%でドライブレンドした以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。
(実施例4)
実施例1のPBTペレット(B)の製造方法に,おいて、再循環ライン(2)に連結さ
れている触媒供給ライン(3)から3.0質量%BG溶液に調製された60℃の触媒溶液を508g/hで供給した以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。
(実施例5)
実施例1のPBTペレット(B)の製造方法に,おいて、再循環ライン(2)に連結さ
れている触媒供給ライン(3)から3.0質量%BG溶液に調製された60℃の触媒溶液を762g/hで供給した以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。
(実施例6)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法に,おいて、無機粒子としてゼオライト(
水澤化学工業(株)製 シルトンJC−20)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。
(比較例1)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法に,おいて、無機粒子としてシリカ(富士
シリシア化学(株)製 サイリシア310P)をあらかじめ10質量%混合させたBG粒子スラリー30質量部を仕込み、得られたPBTペレット(A)、(B)をそれぞれ、4.5質量%、95.5質量%でドライブレンドした以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。実施例1と比較すると、透明性が悪化した。
(比較例2)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法において、無機粒子としてシリカ(富士シリシア化学(株)製、サイリシア310P)をあらかじめ10質量%混合させたBG粒子スラリー180質量部を仕込み、得られたPBTペレット(A)、(B)をそれぞれ、0.75質量%、99.25質量%でドライブレンドした以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。実施例1と比較すると、透明性が悪化し、FEも多かった。
(比較例3)
実施例1のPBTペレット(A)の製造方法に,おいて、二軸押出機(日本製鋼所社製
、型式:TEX30HBT、スクリュウ構成:ステンレス合金製)を使用し、無機粒子としてシリカ(富士シリシア化学(株)製 サイリシア310P)をフィーダー用いて添加しようとしたところ、粒子が嵩高いため正確に定量フィードできず、粒子添加量が安定した溶融混練ペレットを得ることができなかった。
(比較例4)
実施例1のPBTペレット(B)の製造方法に,おいて、再循環ライン(2)に連結さ
れている触媒供給ライン(3)から3.0質量%BG溶液に調製された60℃の触媒溶液を953g/hで供給した以外は、実施例1と同様に行った。得られた分析値をまとめて表1に示す。実施例1と比較すると、FEが多かった。
本発明によれば、所定濃度の無機粒子を含有するPBTペレット、又はチタン原子として所定濃度のPBTペレットの混合物を用いることで、透明で異物の少ないPBTフィルムを得ることができる
1:原料供給ライン
2:再循環ライン
3:触媒供給ライン
4:オリゴマーの抜出ライン
5:留出ライン
6:抜出ライン
7:循環ライン
8:抜出ライン
9:ガス抜出ライン
10:凝縮液ライン
11:抜出ライン
12:循環ライン
13:抜出ライン
14:ベントライン
15:触媒供給ライン
16:触媒供給ライン
19、51、52、53 外部からの1,4−ブタンジオールの供給ライン
20 エゼクターへの蒸気1,4−BGの供給ライン
21 第1重縮合反応槽からのベントライン
31 第2重縮合反応槽からのベントライン
41 第3重縮合反応槽からのベントライン
22、23、32、33、34、42、43、44 1,4−BGの供給ライン
24、35、45 真空ポンプからの吐出ガスライン
25、26、36、37、38、46、47、48 バロメトリックコンデンサーの大気

54 ホットウェルタンクからバッファ−タンクへの凝縮液の抜き出しライン
55 バッファータンクから原料スラリー調製槽への1,4−BGの供給ライン
56 バッファータンクから蒸留精製塔への1,4−BGの供給ライン
57 低沸点成分の抜き出しライン
58 蒸留精製塔から原料スラリー調製槽への1,4−BGの供給ライン
59 高沸点成分の抜き出しライン
A:エステル化反応槽
B:抜出ポンプ
C:精留塔
D、E:ポンプ
F:タンク
G:コンデンサ
L1、L3:抜出ライン
L2、L4、L6:ベントライン
L5:ポリマー抜出ライン
L7:金属化合物供給ライン
L8:BG供給ライン
a:第1重縮合反応槽
c、e、m:抜出用ギヤポンプ
d:第2重縮合反応槽
k:第3重縮合反応槽
g:ダイスヘッド
h:回転式カッター
R、S、T、U:フィルター
A1、A3、B1、B3、B5、C1、C3、C5 エゼクター
A2、A4、B2、B4、B6、C2、C4、C6 バロメトリックコンデンサー
A5、B7、C7 真空ポンプ
H1、H2、H3 ホットウェルタンク
H4、H6、J2、J4 ポンプ
H5 バッファータンク
J1 蒸留精製塔
J3 蒸留精製塔のリボイラー
K エゼクター駆動用1,4−ブタンジオールの蒸気発生装置

Claims (5)

  1. 無機粒子含有量が、2.5質量%を超えて、9質量%以下であるフィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)。
  2. 請求項1に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)1〜10質量%及びチタンを、チタン原子として1〜140質量ppm含有するポリブチレンテレフタレートペレット(B)99〜90質量%を含有するポリブチレンテレフタレートペレット混合物。
  3. フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)が、無機粒子存在下で重合されたものである請求項1に記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  4. フィルム用ポリブチレンテレフタレートペレット(A)における無機粒子がシリカ及び/又はゼオライトである請求項2に記載のポリブチレンテレフタレートペレット混合物。
  5. テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸成分及び1、4ブタンジオールを主たる成分とするジオールとの反応によりポリエステルを製造する方法において、無機粒子を、得られるポリエステルに対して2.5質量%を超えて、9質量%以下添加し、反応触媒としてチタン化合物及び周期表第2族元素の化合物を使用することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造方法。
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