JP2003082200A - ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ポリエステル組成物中の粒子分散性が良好で、
かつフィルムの透明性に優れるとともに、良好な滑り
性、耐摩耗性を兼備したポリエステル組成物およびフィ
ルムを得ることを課題とする。 【解決手段】ポリエステルに湿式法で得られる特定のシ
リカ系無機粒子、およびホスフォン酸エステル系のリン
化合物を配合してなるポリエステル組成物およびそれか
らなるフイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル組成
物およびそれからなるフィルムに関するものである。詳
しくは、ポリエステルに特定のシリカ系無機粒子および
リン化合物を配合してなる溶融熱安定性、粒子分散性に
優れるポリエステル組成物および透明性に優れるととも
に、滑り性、耐摩耗性を兼備するフィルムに関するもの
である。さらに詳しくは、磁気記録媒体用、コンデンサ
ー用、食品包装用、一般工業用などに好適なポリエステ
ル組成物およびフィルムに関するものであり、特には食
品包装用、一般工業用等の透明性の要求される分野に好
適なポリエステル組成物およびフィルムに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有してお
り、繊維、フィルム、その他の成形品として広く使用さ
れている。これらの成形品の中でフィルムは、磁気記録
媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用等と
して使用されているが、これらの加工製品の取り扱い
性、品質特性向上のためにポリエステル中に無機粒子な
どの微粒子を含有させ、フィルム表面に適度の凹凸を形
成せしめ、フィルムあるいは加工製品に透明性や滑り
性、耐摩耗性を付与することが知られている。
【0003】しかし、単にポリエステル中に無機粒子な
どの微粒子を含有せしめ、フィルム成形加工しただけで
は、フィルムあるいは加工製品の透明性や滑り性、耐摩
耗性などの特性を必ずしも十分に満足するものでなく、
このために上記特性を付与するために各種の方法が開示
されている。
【0004】例えば、特開昭51−61594号公報で
は、コンデンサー用フィルムの電気特性、滑り特性の改
良として、ホスホン酸系のリン化合物と不活性無機粒子
とを併用添加するポリエステルの製造法、特開平4−2
20454号公報では、フィルムの耐摩耗性、易滑性付
与のため、特定のリン化合物で表面処理した無機粒子を
含有する配向ポリエステルフィルムが開示されている。
さらに特開昭55−54346号公報ではフィルムの透
明性、滑り性向上のために、ポリオレフィンワックスで
被覆した微粉末シリカを配合したり、特開昭58−17
1437号公報ではフィルムの成形加工性、滑り性を改
良するために、微粉末シリカと特定の金属化合物を配合
したポリエステル組成物が開示されている。また、特開
平4−298538号公報では、粒子分散性、透明性お
よび走行性を向上せしめるために、シランカップリング
剤処理したシリカ粒子を含有したポリエステルフィルム
が開示されている。さらに特開平10−237275号
公報では、粒子分散性、滑り性、耐摩耗性、白色性、隠
蔽性の改良のために、ポリエステルに無機粒子と特定の
リン化合物を併用配合することが開示されている。
【0005】しかしながら、これらの従来の方法では、
得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性は必ずし
も十分に同時に満足できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、粒子分散性
が良好で、かつ得られるフィルムの透明性に優れるとと
もに、良好な滑り性、耐摩耗性を兼備したポリエステル
組成物およびフィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ポリエステルに、比表面積、細孔容積が下記式
(1)、(2)および(3)を満足し、かつ平均粒子径
0.01〜10μmのシリカ系無機粒子、および下記式
(4)で示されるリン化合物を配合してなるポリエステ
ル組成物およびそれからなるフィルムによって達成でき
る。
【0008】 50≦比表面積≦1000 ・・・(1) 0.5≦細孔容積 ・・・(2) 100≦(比表面積/細孔容積)≦1500 ・・・(3) (但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔
容積の単位はml/gである。)
【0009】
【化2】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステルは、
ジカルボン酸成分とグリコール成分から構成されたもの
が好ましく採用され、例えばジカルボン酸もしくはその
エステル形成性誘導体とグリコールとのエステル化もし
くはエステル交換反応ならびに引続く重縮合反応によっ
て製造される。ポリエステルの種類についてはフイルム
等の成形品に成形しうるものであれば特に限定されな
い。フイルム等の成形品に成形しうる好適なポリエステ
ルとしてはジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン
酸、グリコール成分として脂肪族グリコールまたは脂環
族グリコールから構成されたものがよく、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリ−1,3−プロピレンテ
レフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、
中でもフィルムとした場合の強度などの点からポリエチ
レンテレフタレート、ポリ−1,3−プロピレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレートが好ましい。
【0011】もちろんこれらのポリエステルはホモポリ
エステルであってもよく、コポリエステルであってもよ
く、その際の共重合成分としては上記したポリエステル
を構成するジカルボン酸成分およびグリコール成分以外
の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環
族ジカルボン酸等の酸成分、芳香族グリコール、脂肪族
グリコールおよび脂環族グリコール等のグリコール成分
を挙げることができる。具体的には、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ
酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、
マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸及びこれらから誘導されるエス
テル形成性誘導体を挙げることができる。また、グリコ
ール成分としてはエチレングリコール、1,3−プロピ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族
グリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェ
ノールA等の脂環族グリコールなどを挙げることができ
る。上記したジカルボン酸成分、グリコール成分は、一
種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。ま
た、これらの共重合成分は、ポリエステルを製造する際
に副生するものであってもよい。さらに、共重合せしめ
る場合の成分量は特に限定されるものではないが、得ら
れるフィルムの強度、耐熱性等の点から30モル%以下
とすることが好ましい。
【0012】本発明におけるシリカ系無機粒子は、粒子
の50%以上がSiO2で構成された無機粒子である。
具体的には乾式法、湿式法等で得られたホワイトカーボ
ン、シリカゾル、シリカ・アルミナ複合粒子等を挙げる
ことができる。中でも得られるフィルムの透明性の点か
ら、湿式法で得られたシリカ系無機粒子が好ましく、特
にはSiO2含有量が95%以上の湿式法で得られたシ
リカ粒子が好ましい。
【0013】本発明のシリカ系無機粒子の平均粒子径
は、ポリエステル中での粒子分散性、得られるポリエス
テルの高分子量化、さらにはフィルムに成形する際の工
程安定性の点から0.01〜10μmであり、好ましく
は0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜3μmであ
る。平均粒子径が0.01μm未満であると、ポリエス
テル製造工程の重縮合反応の段階で、粒子の表面活性に
よって粒子が凝集し、粒子分散性に劣ったり、ポリマー
の溶融粘度が急激に上昇し、高分子量のポリマーが得ら
れない。また、フィルムとした場合には滑り性が十分で
なく、耐摩耗性に劣る。 一方、平均粒子径が10μm
を越えると、フィルムの溶融成型時にフィルター圧力の
急激な上昇が生じたり、得られるフィルムの表面に粗大
突起が生じ、耐摩耗性に劣る。
【0014】本発明におけるシリカ系無機粒子の比表面
積、細孔容積は、得られるフィルムの透明性、滑り性、
耐摩耗性を同時に兼備せしめる点から、下記式(1)、
(2)および(3)を満足するものである。シリカ系無
機粒子の比表面積、細孔容積がかかる範囲外であると、
得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性のいずれ
かの特性に劣る。
【0015】 50≦比表面積≦1000 ・・・(1) 0.5≦細孔容積 ・・・(2) 100≦(比表面積/細孔容積)≦1500 ・・・(3) (但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔
容積の単位はml/gである。) 好ましいシリカ系無機粒子の比表面積は、ポリエステル
中の粒子分散性、フィルムの透明性、耐摩耗性の点か
ら、100〜700m2/gであり、より好ましくは2
00〜500m2/gである。また、好ましいシリカ系
無機粒子の細孔容積は、得られるフィルムの透明性、滑
り性を同時に兼備せしめる点から、0.7ml/g以上
であり、より好ましくは1.0ml/g以上である。さ
らに、好ましいシリカ系無機粒子の比表面積と細孔容積
との関係は、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐摩
耗性を同時に兼備せしめる点から、125≦(比表面積
/細孔容積)≦1000であり、より好ましくは、15
0≦(比表面積/細孔容積)≦800である。
【0016】本発明のシリカ系無機粒子のポリエステル
への配合量は、得られるフィルムの透明性、滑り性、耐
摩耗性の点から、0.001重量%以上が好ましく、よ
り好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.
5重量%以上である。一方、配合量の上限は特に限定さ
れないが、得られるポリエステル組成物の熱安定性、粒
子分散性の点から、好ましくは20重量%以下であり、
より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重
量%以下である。
【0017】本発明におけるポリエステル組成物は、ポ
リエステルに下記式(4)で示されるリン化合物を配合
するものである。
【0018】
【化3】 上記式(4)で示されるリン化合物を配合することによ
り、併用配合するシリカ系無機粒子の粒子分散性に優
れ、シリカ系無機粒子を効率よく高濃度に含有させるこ
とができる。さらに得られるフィルムは、粗大突起もな
く、透明性を損なうことなく滑り性に優れ、かつ延伸製
膜性、フィルム製品の耐摩耗性等の品質特性に優れる。
【0019】本発明におけるリン化合物は、式(4)で
示される化合物であれば特に限定されるものでなく、例
えばトリメチルホスホノフォメート、トリエチルホスホ
ノフォメート、トリメチルホスホノアセテート、メチル
ジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノ
アセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリエチ
ル3−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノ
プロピネート、トリエチル2−ホスホノブチレート、ジ
イソプロピル(エトキシカルボニルメチル)ホスホネー
ト、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート、ジ
エチルホスホノ酢酸、トリメチル2−ホスホノアクリレ
ート、トリエチル4−ホスホノクロトネート、アリール
ジエチルホスホノアセテート、ジメチル(3−オキソプ
ロプル)ホスホネート、ジメチル(3−フェノキシアセ
トニル)ホスホネート、ジエチル(3−オキソプロプ
ル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソ−2−フェニ
ルエチル)ホスホネート、ジエチル(ヒドロキシメチ
ル)ホスホネート等を挙げることができる。これらのリ
ン化合物は、二種以上を併用してもよい。これらのリン
化合物の中では、下記式(5)で示される化合物が好ま
しく、
【0020】
【化4】 さらに好ましくは、下記式(6)である。
【0021】
【化5】 なお、本発明のリン化合物以外にポリエステル組成物に
は、他のリン化合物を使用してもよい。それらのリン化
合物としては、例えばリン酸、亜リン酸、リン酸トリメ
チルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリ
フェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステ
ル、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、フ
ェニルホスフィン酸ジメチルエステル、フェニルホスフ
ィン酸ジエチルエステルなど、またリン酸カルシウム、
リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガ
ン等のリン酸金属塩類、さらにはリン酸アンモニウム等
のリン化合物を挙げることができる。
【0022】本発明におけるリン化合物のポリエステル
への配合量は、得られるポリエステル組成物の溶融熱安
定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性、フィルムの透明
性、滑り性、耐摩耗性の点から、0.001重量%以上
が好ましく、より好ましくは0.01重量%以上であ
り、さらに好ましくは0.05重量%以上である。 一
方、配合量の上限は、得られるポリエステル組成物の溶
融熱安定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性の点から、
5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以
下、さらに好ましくは1重量%以下である。リン化合物
の配合量が0.001重量%未満であると、シリカ系無
機粒子の粒子分散性、得られるフィルムの透明性、滑り
性、耐摩耗性に劣る場合がある。
【0023】本発明におけるポリエステル組成物は、溶
融熱安定性、シリカ系無機粒子の粒子分散性、得られる
フィルムの透明性、滑り性、耐摩耗性の点から、リン元
素を1ppm以上含有することが好ましく、より好まし
くは5〜10000ppmであり、さらに好ましくは1
0〜5000ppmである。
【0024】本発明におけるシリカ系無機粒子およびリ
ン化合物をポリエステルに配合する方法は、特に限定さ
れることはないが、例えば(1)シリカ系無機粒子およ
びリン化合物とをポリエステル製造反応工程の任意の段
階で添加する配合方法、(2)シリカ系無機粒子および
リン化合物とをポリエステルに溶融混練する配合方法等
を挙げることができる。中でもシリカ系無機粒子の粒子
分散性、フィルムの透明性、滑り性などの点から、
(1)のシリカ系無機粒子およびリン化合物とをポリエ
ステル製造反応工程の任意の段階で添加する配合方法が
好ましい。
【0025】さらに、(1)の方法を詳細に説明する。
ポリエステルの製造は、従来公知の任意の方法を採用す
ることができる。例えば、A.ジカルボン酸のジメチル
エステルとグリコールとのエステル交換反応ならびに引
続く重縮合反応によってポリエステルを製造し、本発明
のシリカ系無機粒子およびリン化合物を反応工程に任意
の段階で添加する方法、B.ジカルボン酸とグリコール
とのエステル化反応ならびに引続く重縮合反応によって
ポリエステルを製造し、本発明のシリカ系無機粒子およ
びリン化合物を反応工程に任意の段階で添加する方法を
挙げることができる。また、この際、従来公知の反応触
媒を使用することができ、例えば、アルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、マンガン化
合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン
化合物等を挙げることができる。これらの反応触媒は、
二種以上を併用してもよい。
【0026】本発明におけるポリエステル組成物および
フイルムの固有粘度は、得られるフィルムの強度、耐摩
耗性などの点で、0.40dl/g以上が好ましく、よ
り好ましくは0.45〜1.0dl/gである。
【0027】本発明のポリエステル組成物からなるフィ
ルムは、未延伸のシート状のものでもよいし、一軸また
は二軸に延伸された延伸フイルムであってもよい。
【0028】本発明のポリエステル組成物からなるフイ
ルムの具体的な製造方法を説明する。ポリエステル組成
物を乾燥後、溶融押出しして未延伸シートとし、続いて
二軸延伸、熱処理しフイルムにする。二軸延伸は縦、横
逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよく、延伸
倍率は、通常、縦、横それぞれ2〜5倍が適当である。
また、二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延
伸してもよい。この際、本発明のポリエステル組成物と
各種のポリエステルとを混合して、シリカ系無機粒子、
リン化合物量あるいはリン元素量を目的の応じて適宜変
更することができる。また、混合するポリエステルは本
発明のポリエステル組成物のベースとなるポリエステル
と同一であっても、異なってもよい。
【0029】上述した方法で、本発明のポリエステル組
成物からなるフィルムを得ることができ、磁気記録媒体
用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用等の各種
用途に使用できる。本発明にフィルム中のシリカ系無機
粒子含有量、およびリン元素量は、これらの用途に応じ
て、適宜、設計することができ、透明性、滑り性、耐摩
耗性、電気特性などの点から、シリカ系無機粒子含有量
は0.0001〜5重量%が好ましく、より好ましくは
0.001〜1重量%である。また、リン元素量は、
0.1〜10000ppmが好ましく、より好ましくは
0.2〜1000ppmである。
【0030】なお、本発明のポリエステル組成物および
フイルムには、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加
剤、例えばカルボジイミド、エポキシ化合物などの末端
封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面
活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに本発明のシリカ系
無機粒子以外の各種粒子、例えば炭酸カルシウム等の炭
酸金属塩、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、酸化アル
ミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、二酸化チ
タン等の無機粒子、アクリル酸類、スチレンなどを構成
成分とする有機粒子等も必要に応じて適宜含有していて
もよい。
【0031】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。
【0032】実施例中の特性は次のようにして測定し
た。 A.粒子の平均粒子径 粒子の平均粒子径はHORIBA製粒径分析装置(LA
−700)で測定した。B.粒子の比表面積 粒子の比表面積は気体吸着法(BET法)により求め
た。 C.粒子の細孔容積 粒子の細孔容積は水銀注入法により測定した。 D.ポリエステル組成物の固有粘度 o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。 E.ポリエステル組成物中のリン元素量 蛍光X線測定により、リン元素の強度を標準物質から得
られた検量線と比較して定量した。 F.ポリエステル組成物中の粒子分散性 粒子分散性はポリエステル組成物を透過型電子顕微鏡観
察によって判定した。 ○:粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されない。 △:粒子同士の凝集による粗大粒子がわずかに観察され
る。 ×:粒子同士の凝集による粗大粒子が多く観察される。 G.フィルムの透明性 ポリエステル組成物から得られたフィルムをASTM−
D−1003−59に準じてフィルムヘイズを測定し
た。 H.フィルムの滑り性 ポリエステル組成物から得られたフィルムをASTM−
D−1894B法に従って測定した。フィルムの滑り性
の目安として動摩擦係数(μd)を用いた。 I.フィルムの耐摩耗性 ポリエステル組成物から得られたフィルムを1/2イン
チ幅にスリットしたものをテープ走行性試験機を使用し
てガイドピン(表面粗度Ra100nm)上を走行させ
る(走行速度300m/分、走行回数1回、巻き付け角
度60°、走行張力60g)。この時フィルムに入った
傷を顕微鏡で観察し、耐摩耗性を判定した。 ○:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり5本未満で
ある。 △:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり5〜10本
未満である。 ×:幅2.5μm以上の傷がテープ幅当たり10本以上
である。
【0033】実施例1 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコー
ル70重量部とを酢酸カルシウム・1水和物0.09重
量部を触媒として140〜230℃でメタノールを留出
させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反
応終了後、三酸化アンチモン0.03重量部、リン化合
物としてトリエチルホスホノアセテートを0.07重量
部を添加し、次いでシリカ系無機粒子としてSiO2
95%以上の湿式法から得られたシリカ粒子[平均粒子
径2.0μm、比表面積290m 2/g、細孔容積1.
6ml/g(粒子の比表面積/細孔容積=181)]の
エチレングリコールスラリーをシリカ粒子が2重量%と
なるように添加した。引き続いて、反応系を−101k
Paとし、290℃に昇温し、重縮合反応を終了した。
ポリエステル組成物特性を表1,2に示した。固有粘度
0.620dl/g、リン元素量80ppmであり、シ
リカ粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されず、粒子
分散性は良好であった。
【0034】一方、上述の方法でシリカ粒子を添加して
いないポリエステルを製造した。次いで、得られたシリ
カ粒子含有ポリエステル組成物とシリカ粒子を含有しな
いポリエステルとをシリカ粒子が0.015重量%とな
るように混合した後、十分乾燥した。引き続いて該乾燥
品を押出し機に供給して290℃で溶融し、T型口金よ
りシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化
せしめ未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを
95℃に加熱して縦方向に3.3倍延伸し、さらに10
5℃に加熱して横方向に3.3倍延伸し、210℃で加
熱処理して、厚さ50μmのフィルムを得た。得られた
フイルム特性結果を表2に示した。フイルムの透明性、
滑り性、耐摩耗性ともに良好であった。
【0035】比較例1 リン化合物を変更した以外は実施例1と同様の方法でポ
リエステル組成物およびフィルムを得た。
【0036】得られたポリエステル組成物およびフィル
ム特性結果を表1,2に示した。得られたポリエステル
組成物は粒子分散性に劣り、さらに得られたフィルムは
透明性、耐摩耗性に劣るものであった。
【0037】実施例2〜6、比較例2〜5 実施例2〜6、比較例2〜5は、無機粒子種類あるいは
リン化合物の種類、配合量を変更した以外は実施例1と
同様の方法で、ポリエステル組成物およびフィルムを得
た。得られたポリエステル組成物およびフィルム特性結
果を表1,2に示した。
【0038】実施例2〜6は、いずれも本発明の範囲内
で、得られたポリエステル組成物は粒子分散性に優れ、
またフイルムは透明性に優れ、かつ滑り性、耐摩耗性と
もに良好であった。
【0039】一方、比較例2〜5は、ポリエステルに配
合する無機粒子種類、細孔容積、あるいは比表面積と細
孔容積との関係が本発明の範囲外であり、得られたフイ
ルムは、透明性、耐摩耗性に劣るものであった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【発明の効果】本発明は上述したように、ポリエステル
に特定のシリカ系無機粒子およびリン化合物を配合して
なるポリエステル組成物であって、粒子分散性が良好
で、かつ該ポリエステル組成物から透明性に優れ、良好
な滑り性、耐摩耗性を兼備したフィルムを得ることがで
きる。さらに該フィルムは、磁気記録媒体用、コンデン
サー用、食品包装用、一般工業用などに好適に使用する
ことができ、特には食品包装用、一般工業用等の透明性
の要求される分野に好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AA46 AB26 AC15 AD02 AD06 AE12 AF22 AF27 AF28 AF30 AH04 AH14 AH19 BA01 BB06 BB07 BB08 BC01 4J002 CF031 CF051 CF061 CF071 CF081 DJ016 EW127 FD17 GG02 GQ00 GS00 GT00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルに、比表面積、細孔容積が下
    記式(1)、(2)および(3)を満足し、かつ平均粒
    子径0.01〜10μmのシリカ系無機粒子、および下
    記式(4)で示されるリン化合物を配合してなるポリエ
    ステル組成物。 50≦比表面積≦1000 ・・・(1) 0.5≦細孔容積 ・・・(2) 100≦(比表面積/細孔容積)≦1500 ・・・(3) (但し、式中、比表面積の単位はm2/gであり、細孔
    容積の単位はml/gである。) 【化1】
  2. 【請求項2】シリカ系無機粒子が湿式法で得られた粒子
    である請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】シリカ系無機粒子の配合量が0.001重
    量%以上である請求項1または2に記載のポリエステル
    組成物。
  4. 【請求項4】リン化合物の配合量が0.001重量%以
    上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエス
    テル組成物。
  5. 【請求項5】シリカ系無機粒子および式(4)で示され
    るリン化合物の配合がポリエステル製造工程の任意の段
    階で添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載のポリエステル組成物。
  6. 【請求項6】シリカ系無機粒子および式(4)で示され
    るリン化合物の配合がポリエステルへの混練である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  7. 【請求項7】ポリエステル組成物がリン元素を1ppm
    以上含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れか1項に記載のポリエステル組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリ
    エステル組成物からなるフィルム。
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