JPH10237275A - ポリエステル組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれからなる成形品

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JPH10237275A
JPH10237275A JP4574597A JP4574597A JPH10237275A JP H10237275 A JPH10237275 A JP H10237275A JP 4574597 A JP4574597 A JP 4574597A JP 4574597 A JP4574597 A JP 4574597A JP H10237275 A JPH10237275 A JP H10237275A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機粒子の粒子分散性に優れたポリエステル
組成物を得、該組成物をフィルムなどに成形加工する際
の溶融熱安定性、延伸性等の成形加工性に優れるととも
に滑り性、耐摩耗性、白色性、隠蔽性の良好なポリエス
テルフィルム等の成形品を得ることを課題とする。該フ
ィルムなどの成形品は、磁気記録媒体用、コンデンサー
用、食品包装用、一般工業用、紙代替用などの用途に好
適に使用することができる。 【解決手段】 ポリエステルに無機粒子および時定のリ
ン化合物を配合してなることを特徴とするポリエステル
組成物およびそれからなるフィルムなどの成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル組成物
およびそれからなる成形品に関するものであり、詳しく
はポリエステルに無機粒子および特定のリン化合物を配
合してなる溶融熱安定性、粒子分散性に優れるポリエス
テル組成物および滑り性、耐摩耗性さらには白色性、隠
蔽性に優れたポリエステル組成物からなるフィルムなど
の成形品に関するものであり、さらに詳しくは、磁気記
録媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用、
紙代替用などに好適なポリエステル組成物およびフィル
ムなどの成形品に関するものであり、特には印画紙、X
線増感紙、受像紙、磁気記録カード、ラベル、宅配便な
どの配送伝票、表示板、白板などの基材として好適なポ
リエステル組成物およびフィルムなどの成形品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートに代表され
るポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有してお
り、繊維、フィルム、その他の成形品として広く使用さ
れている。これらの成形品の中で、フィルムは磁気記録
媒体用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用、紙
代替用等として使用されているが、これらの加工製品の
取扱い性、品質特性向上のため、あるいはフィルムを製
造工程する際、もしくはその加工工程における工程通過
性のために、ポリエステル中に無機粒子などの微粒子を
含有させることによって、フィルムの表面に適度の凹凸
を形成させ、フィルムあるいは加工製品に滑り性や耐摩
耗性を付与することが知られている。例えば特公昭53
−21712号公報ではコンデンサー用ポリエチレンテ
レフタレートフィルムに適したポリエステルの製造法と
して、ホスホン酸系のリン化合物と無機粒子とを併用添
加したり、特開平4−220454号公報では、特定の
リン化合物で表面改質した無機粒子を含有する配向ポリ
エステルフィルムが知られている。
【0003】しかしながら、これらの従来の方法では、
得られるポリエステル組成物の溶融熱安定性に劣り、得
られるフィルムは、滑り性、耐摩耗性が十分でなく、コ
ンデンサー、磁気記録媒体用等として十分な性能を満足
できるものではない。
【0004】一方、フィルムの用途の中で、特に受像
紙、磁気記録カード、ラベル、宅配便などの配送伝票、
表示板、白板などの基材として白色フィルムが使用され
ており、この白色フィルムを得るために白色の無機粒子
を多量にポリエチレンテレフタレートに含有させたフィ
ルムが知られている。例えば、特公昭56−4901号
公報では酸化チタンと硫酸バリウムを多量に添加した
り、特公昭60−30930号公報では硫酸バリウムを
多量に添加したり、さらには特公昭43−12013号
公報では多量の炭酸カルシウムを添加すること、また特
開昭61−209260号公報には白色無機顔料を高濃
度に混練する方法などが知られている。
【0005】しかし、上記従来技術の単にポリエステル
に無機粒子を添加したり、混練する方法によって得られ
る無機粒子含有ポリエステル組成物は、 ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子の分散性に劣
り、無機粒子の粗大粒子あるいは凝集粒子によって、該
ポリエステル組成物を使用してフィルム等の成形品を成
形加工する場合には、延伸製膜時にフィルム破れが多発
する ポリエステルフィルムなどの成形品に成形する際の溶
融工程時に、無機粒子の粒子表面活性によって、粒子と
ポリエステルとの相互作用が生じ、異物の発生や発泡す
るなど耐熱性に劣るなどの欠点があるとともに、得られ
るフィルムなどの成形品は、白度、隠蔽性に劣る。
【0006】また、上記した欠点を解決するために特開
昭62−207337号公報では、ポリエステルと炭酸
カルシウムおよびリン化合物の混合物を単に溶融押出し
た後、フィルムを製造する方法、特開昭63−6622
2号公報ではポリエステルの反応系に炭酸カルシウムお
よびリン化合物を添加する方法、さらに特開平7ー31
6404号公報、特開平7ー331038号公報では、
通常のポリエステルと炭酸カルシウムおよびリン化合物
を混練する方法が開示されている。しかし、これらの方
法でもポリエステルに炭酸カルシウムを効率よく高濃度
に含有させることが困難であったり、粒子の分散性が十
分でなかったり、また、ポリマが高温滞留した場合には
発泡したり、異物が発生したり、得られるポリエステル
組成物の結晶性に変化が生じ、フィルムなどの成形品の
延伸製膜性に劣るなどの問題が生じるとともに、得られ
るフィルムには十分な白度、隠蔽性、光沢性を兼備させ
るのが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機
粒子の粒子分散性、溶融熱安定性、成形加工性が良好
で、かつ滑り性、耐摩耗性、白色性、隠蔽性に優れたフ
ィルムを得ることにあり、無機粒子と特定のリン化合物
を配合したポリエステル組成物およびフィルムによっ
て、上記した従来の欠点を解決することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、ポリエステルに無機粒子および下記式(I)で示さ
れるリン化合物を配合してなることを特徴とするポリエ
ステル組成物およびそれからなるフィルムなどの成形品
によって達成できる。
【0009】
【化2】 (但し、式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数1以上の炭化
水素基、R4 は水素又は炭素数1以上の炭化水素基を示
し、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、同じであってもよく、
異なっていてもよい。XおよびYは、酸素、カルボニル
基、エステル基のいずれかを示し、XおよびYのいずれ
か一方はカルボニル基、エステル基である。m,n,
o,pは、0または1であり、n,pのいずれか一方は
1である。)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルはジカルボ
ン酸成分とグリコール成分から構成されたものであり、
例えばジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体
とグリコールとのエステル化もしくはエステル交換反応
ならびに引続く重縮合反応によって製造される。ポリエ
ステルの種類についてはフィルムなどの成形品に成形し
うるものであれば特に限定されない。フィルムなどの成
形品に成形しうる好適なポリエステルとしてはジカルボ
ン酸成分として芳香族ジカルボン酸を使用したものがよ
く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−p−オキシベンゾエート、ポリエチレン−1,2−
ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4´−ジカ
ルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノ
キシ)エタン−4,4´−ジカルボキシレート、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレン
テレフタレート等が挙げられ、中でもポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボ
キシレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
もちろんこれらのポリエステルはホモポリエステルであ
っても、コポリエステルであってもよく、その際の共重
合成分としては上記したポリエステルを構成する酸成分
およびグリコール成分以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪
族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸等の酸成分、
芳香族グリコール、脂肪族グリコールおよび脂環族グリ
コール等のグリコール成分を挙げることができる。例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボ
ン酸、フタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカ
ルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン
酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカ
リンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸を挙げること
ができる。また、グリコール成分としてはエチレングリ
コール,1,4−ブタンジオール,1,5−ペンタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオ
ール等の脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジ
メタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水
素化ビスフェノールA等の脂環族グリコールなどを挙げ
ることができる。上記した酸成分、グリコール成分は、
一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。ま
た、これらの共重合成分は、ポリエステルを製造する際
に副生するものであってもよい。
【0011】本発明のポリエステルに配合する無機粒子
としては、特に限定されることはなく、例えば炭酸金属
塩、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのケ
イ酸塩、硫酸バリウム、硫化亜鉛、二酸化チタン、乾式
法あるいは湿式法、コロイド状シリカなどの二酸化珪
素、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、酸化マグネ
シウムなどを挙げることができ、中でもフィルムの滑り
性、耐摩耗性、あるいは白色フィルムとした場合の白色
性、隠蔽性、耐熱性の点から、炭酸金属塩、ケイ酸塩、
二酸化チタン、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミ
ニウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウムよりなる群の中か
ら選ばれた少なくとも一種の無機粒子が好ましい。特に
得られるフィルムの滑り性、あるいは白色フィルムとし
た場合の白色性、隠蔽性の点から、炭酸カルシウムが好
ましい。炭酸カルシウムは天然品、合成品のいずれであ
ってもよく、またその結晶形態としてはカルサイト、ア
ラゴナイト、バテライトなどいずれであってもよいが、
フィルムの白色性、隠蔽性の点から天然品が好ましく、
結晶形態としてはカルサイトが好ましい。また他の金属
化合物、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウ
ム、二酸化ケイ素等が含まれていてもよい。さらに炭酸
カルシウム以外に他の無機粒子を配合してもよい。
【0012】本発明における無機粒子のポリエステルへ
の配合量は、特に限定されるものではないが、0.00
01重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量
%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上である。
特に表面光沢性、白色性、機械特性に優れたフィルム等
の成形品を得るためには5重量%以上が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以上である。一方、配合量の上
限は特に限定されるものではないが、得られるポリエス
テル組成物の熱安定性、粒子分散性の点から好ましくは
90重量%以下であり、より好ましくは85重量%以
下、さらに好ましくは80重量%以下である。無機粒子
の配合量が0.0001重量%未満であるとフィルム成
形した場合、フィルムへの滑り性付与効果や白色フィル
ムとした場合の白色性、隠蔽性に劣る場合がある。
【0013】本発明における無機粒子の粒子径および比
表面積は特に限定されることはないが、粒子径は平均粒
子径で10μm以下が好ましく、より好ましくは0.0
1〜10μmであり、特に平均粒子径が0.02〜5μ
mであることが、フィルムへの滑り性付与効果、さらに
は白色フィルムとした場合の白色性、隠蔽性、光沢性等
の点で好ましい。比表面積は0.5〜500m2 /gが
好ましく、より好ましくは1〜400m2 /g、であ
り、特に2〜400m2 /gであることがポリエステル
中での無機粒子の粒子分散性、フィルムの滑り性や耐摩
耗性、さらには白色フィルムとした場合の白色性、隠蔽
性、光沢性等の点で好ましい。無機粒子の粒子径が平均
粒子径で10μmを越えたり、比表面積が0.5m2
g未満であると、フィルムの耐摩耗性や、白色フィルム
とした場合、白色性、隠蔽性に劣ったりするなど好まし
くない場合がある。一方、比表面積が500m2 /gを
越えると、得られるポリエステル組成物は溶融熱安定性
が低下したり、得られるフィルムの滑り性付与効果が十
分でなかったり、白色フィルムとした場合、白色性、隠
蔽性に劣る場合がある。
【0014】本発明における無機粒子のポリエステルへ
の配合方法は、特に限定されるものではなく、無機粒
子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、
ミキサーなどで混合した後、通常の一軸、二軸押出し機
を用いて溶融混練する配合方法、無機粒子とポリエス
テルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなど
で混合した後、通常のベント式の一軸、二軸押出し機を
用いて溶融混練する配合方法、ポリエステルの製造反
応工程で無機粒子を添加する配合方法などを挙げること
ができる。中でも無機粒子をポリエステルに効率よく高
濃度に含有させる、あるいは無機粒子の粒子分散性、得
られるフィルムの品質安定性、溶融製膜時の熱安定性な
どの点から、又はの無機粒子とポリエステルとを溶
融混練によって配合する方法が好ましく、特にはの無
機粒子とポリエステルとをベント式の一軸あるいは二軸
押出し機を用いて溶融混練する配合方法が好ましい。
【0015】また、この際に使用するポリエステルは特
に限定されないが、無機粒子をポリエステルに効率よく
高濃度に含有させるために、また得られるポリエステル
組成物中の無機粒子の粒子分散性、得られるポリエステ
ル組成物の溶融熱安定性、フィルムなどに成形加工する
際の延伸製膜性の点で、ポリエステル微粉末を含むポリ
エステルとすることが好ましい。全ポリエステルに対す
るポリエステル微粉末の割合は特に限定されないが、得
られる無機粒子含有ポリエステル組成物中の無機粒子の
粒子分散性、ポリエステル組成物の熱安定性(無機粒子
に起因するポリマの発泡、異物の発生)、フィルムなど
に成形加工する際の延伸製膜性の点で、後述するポリエ
ステル微粉末を好ましくは1重量%以上含有するポリエ
ステルであることが好ましく、より好ましくは10重量
%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好まし
くは、50重量%以上であり、全てのポリエステルが微
粉末であってもよい。
【0016】ポリエステル微粉末の量が1重量%未満の
ポリエステルを使用した場合には、得られる無機粒子含
有ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性および
ポリエステル組成物の熱安定性、延伸製膜性に劣ったり
する場合がある。
【0017】ここで言う、ポリエステル微粉末とは、微
粉末であれば特に限定されるものではないが、得られる
ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性、溶融成
形時の熱安定性、無機粒子に起因する異物発生、発泡の
点から、JIS標準ふるいで8メッシュ以下の粒度(J
IS Z8801規格標準網ふるいでふるい目開きが
2.38mmのふるいを通過する粒度)であることが好
ましく、より好ましくは14メッシュ以下(JIS Z
8801規格標準網ふるいでふるい目開きが1.19m
mのふるいを通過する粒度)であり、さらに好ましくは
20メッシュ以下(JIS Z8801規格標準網ふる
いでふるい目開きが0.84mmのふるいを通過する粒
度)であり、特に好ましくは28メッシュ以下(JIS
Z8801規格標準網ふるいでふるい目開きが0.5
9mmのふるいを通過する粒度)である。ポリエステル
微粉末の粒度がJIS標準ふるいで8メッシュを越える
と、得られるポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分
散性に劣ったり、ポリエステル組成物を成形加工する場
合に、溶融成形時の熱安定性に劣り、無機粒子に起因す
る異物発生、発泡が生じ、安定した溶融成形ができず、
例えば溶融製膜でフィルムを得る場合にはフィルム破れ
が発生するなど好ましくない場合がある。
【0018】ポリエステル微粉末を製造する方法は、特
に限定されるものではないが、例えばポリエステルの重
縮合反応によって得られたポリエステルポリマの板状、
角状、円柱状、塊状等のポリマを物理的に粉砕すること
によって得られる。
【0019】その粉砕方法は、公知の粉砕機を使用する
ことができ、例えばロールミル、高速回転式粉砕機、ジ
ェトミル等を挙げることができる。その際、ポリエステ
ルポリマはそのまま粉砕してもよく、さらには粉砕しや
すいように予めポリエステルポリマを結晶化させた後に
粉砕してもよく、特に限定されるものではない。
【0020】本発明におけるポリエステル組成物は、ポ
リエステルに下記式(I)リン化合物を配合する必要が
ある。
【0021】
【化3】 (但し、式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数1以上の炭化
水素基、R4 は水素又は炭素数1以上の炭化水素基を示
し、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、同じであってもよく、
異なっていてもよい。XおよびYは、酸素、カルボニル
基、エステル基のいずれかを示し、XおよびYのいずれ
か一方はカルボニル基、エステル基である。m,n,
o,pは、0または1であり、n,pのいずれか一方は
1である。)
【0022】上記式(I)で示されるリン化合物を配合
することにより、ポリエステルに併用配合する無機粒子
のポリエステル中における粒子分散性に優れ、無機粒子
をポリエステルに効率よく高濃度に含有させることがで
き、更にフィルムなどの溶融成形時の熱安定性、フィル
ムなどに成形加工する際の延伸製膜性、フィルム製品の
耐摩耗性、および白色フィルムとした場合の白色性等の
品質特性などに優れたものとなる。
【0023】本発明におけるリン化合物は、式(I)で
示される化合物であれば特に限定されるものではなく、
例えばトリメチルホスホノフォメート、トリエチルホス
ホノフォメート、トリメチルホスホノアセテート、メチ
ルジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホ
ノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、トリエ
チル3−ホスホノプロピオネート、トリエチル2−ホス
ホノプロピオネート、トリエチル2−ホスホノブチレー
ト、ジイソプロピル(エトキシカルボニルメチル)ホス
ホネート、tert−ブチルジエチルホスホノアセテー
ト、ジエチルホスホノ酢酸、トリメチル2−ホスホノア
クリレート、トリエチル4−ホスホノクロトネート、ア
リールジエチルホスホノアセテート、ジメチル(2−オ
キソプロピル)ホスホネート、ジメチル(3−フェニキ
シアセトニル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソプ
ロピル)ホスホネート、ジエチル(2−オキソ−2−フ
ェニルエチル)ホスホネート、ジエチル(ヒドロキシメ
チル)ホスホネート等を挙げることができる。これらの
リン化合物は、二種以上を併用してもよい。これらのリ
ン化合物の中では、下記式(II)で示される化合物が好
ましく、
【化4】 (但し、式中、R1 ,R2 は炭素数1以上の炭化水素
基、R3 は水素又は炭素数1以上の炭化水素基を示し、
1 ,R2 ,R3 は、同じであってもよく、異なってい
てもよい。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれか
を示す。mは0または1である。)
【0024】さらに好ましくは、下記式(III )であ
る。
【0025】
【化5】 (但し、式中、R1 ,R2 は、炭素数1以上の炭化水素
基を示し、同じであってもよく、異なっていてもよい。
3 は、水素、又は炭素数1以上の炭化水素基を示す。
mは0または1である。)
【0026】なお、本発明のリン化合物以外にポリエス
テル組成物には、他のリン化合物を使用してもよい。そ
れらのリン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸、
ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体などが
挙げられる。具体的にはリン酸、亜リン酸、リン酸トリ
メチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸ト
リフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエス
テル、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、
フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホ
ン酸ジエチルエステルなど、またリン酸カルシウム、リ
ン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン
等のリン酸金属塩類、さらにはリン酸アンモニウム等の
リン化合物を挙げることができる。
【0027】本発明におけるリン化合物のポリエステル
への配合量は、特に限定されるものではないが、0.0
005重量%以上が好ましく、より好ましくは0.00
1重量%以上であり、さらに好ましくは0.005重量
%以上である。一方、配合量の上限は特に限定されるも
のではないが、得られるポリエステル組成物の熱安定
性、粒子分散性の点から好ましくは20重量%以下であ
り、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは
10重量%以下である。リン化合物の配合量が0.00
05重量%未満であるとフィルム成形した場合、フィル
ムへの滑り性付与効果や白色フィルムとした場合の白色
性、隠蔽性に劣る場合がある。
【0028】本発明におけるリン化合物をポリエステル
に配合する方法は、特に限定されるものでなく、例えば
リン化合物および無機粒子とをポリエステルの製造反
応工程の任意の段階で添加する配合方法、リン化合物
をポリエステルの製造反応工程で添加する配合方法によ
って、リン元素含有ポリエステルを製造し、該リン元素
含有ポリエステルに無機粒子を溶融混練する配合方法、
リン化合物および無機粒子とをポリエステルに溶融混
練する配合方法、リン化合物を配合・処理した無機粒
子をポリエステルに溶融混練する配合方法等を挙げるこ
とができる。中でも無機粒子をポリエステルに効率よく
高濃度に含有させるため、あるいは無機粒子の粒子分散
性、溶融製膜時の熱安定性、フィルムなどに成形加工す
る際の延伸製膜性、フィルムの滑り性、あるいは白色フ
ィルムとした場合の白色性等の品質特性などの点から、
リン化合物を配合・処理した無機粒子をポリエステルに
溶融混練する配合方法が好ましく、特にはリン化合物で
表面処理した無機粒子をポリエステルに溶融混練する配
合方法が特に好ましい。
【0029】この際の、無機粒子の表面処理に使用する
本発明のリン化合物量は、特に限定されるものではない
が、無機粒子に対して0.001重量%以上が好まし
く、より好ましくは0.05重量%〜20重量%、さら
に好ましくは0.5重量%〜15重量%である。無機粒
子に対して0.001重量%未満であると、無機粒子の
分散性が劣ったり、ポリエステル組成物の高温滞留時に
異物発生、発泡が生じたり、フィルムの耐摩耗性、ある
いは白色フィルムとした場合の白色性に劣ったりして好
ましくない場合がある。
【0030】また、本発明のリン化合物による無機粒子
の表面処理方法は特に限定されるものではないが、リン
化合物と無機粒子とを物理的に混合する方法を挙げるこ
とができ、例えばロールミル、高速回転式粉砕機、ジェ
トミル等の粉砕機、あるいはナウタミキサー、リボンミ
キサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用すること
ができる。さらに、この表面処理条件も、温度・時間を
適宜本発明の目的に合わせ設定することができる。
【0031】本発明におけるポリエステル組成物は、溶
融熱安定性、フィルムなどに成形加工する際の延伸製膜
性、得られるフィルムの滑り性、耐摩耗性、あるいは白
色フィルムとした場合の白色性等の点からリン元素を1
ppm以上含有することが好ましい。より好ましくは1
ppm〜20000ppmであり、さらに好ましくは5
ppm〜10000ppm、特に好ましくは10〜10
000ppmである。ポリエステル組成物中のリン元素
含有量が1ppm未満であると、ポリエステル組成物の
熱安定性が低下し、フィルムなどの成形品に溶融成形す
る際、異物が発生したり、発泡したり、またフィルムな
どに成形加工する際の延伸製膜性、得られるフィルムの
滑り性、耐摩耗性、あるいは白色フィルムとした場合の
白色性等に劣る場合がある。
【0032】本発明におけるポリエステル組成物は、得
られるポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性、
フィルムなどに成形する際の溶融工程時の熱安定性、延
伸製膜性の点から、組成物のカルボキシル末端基濃度を
50当量/ポリエステル106 g以下とすることが好ま
しく、より好ましくは40当量/ポリエステル106
以下であり、さらに好ましくは35当量/ポリエステル
106 g以下、特に好ましくは30当量/ポリエステル
106 g以下である。ポリエステル組成物のカルボキシ
ル末端基濃度が50当量/ポリエステル106 gを越え
ると無機粒子の粒子分散性に劣ったり、フィルムなどに
成形する際の溶融工程時の熱安定性、延伸製膜性に劣る
場合がある。
【0033】本発明のポリエステル組成物のカルボキシ
ル末端基濃度を50当量/ポリエステル106 g以下と
する方法としては、例えば上述したポリエステル組成物
を製造する際に、リン化合物および無機粒子のポリエス
テルへの配合方法、配合条件を適宜変更したり、さらに
はポリエステルとしてポリエステル微粉末を使用する方
法を挙げることができるが、特に限定されるものではな
い。
【0034】本発明のポリエステル組成物は、ポリエス
テルに無機粒子と特定のリン化合物を配合することで、
ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性、フィル
ムなどに成形加工する際の溶融熱安定性、延伸性等の成
形加工性に優れるとともに、ポリエステル組成物から得
られるフィルムの滑り性、耐摩耗性、あるいは白色フィ
ルムとした場合の白色性、隠蔽性等に優れる。この理由
は定かではないが、ポリエステル中の無機粒子の粒子表
面に、本発明のリン化合物が作用することによって生じ
た結果と考えられる。
【0035】本発明のポリエステル組成物から各種の成
形品を得る方法は特に限定されるものではないが、溶融
紡糸によって繊維、押出し成形あるいは射出成形などに
よって各種の成型品、また、溶融押出しによってシート
状あるいはその後延伸することでフィルムを製造するこ
とができる。
【0036】本発明のポリエステル組成物からなるフィ
ルムの具体的な製造方法を説明するとポリエステル組成
物を乾燥後、溶融押出しして、未延伸シートとし、続い
て二軸延伸、熱処理し、フィルムにする。二軸延伸は
縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよ
く、延伸倍率は特に限定されるものではないが通常は
縦、横それぞれ2.0〜5.0倍が適当である。また、
二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸して
もよい。この際、本発明のポリエステル組成物と各種の
ポリエステルと混合して無機粒子、リン化合物量を目的
に応じて適宜変更することができる。また、混合する各
種のポリエステルは本発明のポリエステル組成物のベー
スとなるポリエステルと同一であっても、異なってもよ
い。
【0037】上述の方法でポリエステル組成物から本発
明のフィルムを得ることができる。本発明のフィルムは
特に限定されないが、磁気記録媒体用、コンデンサー
用、食品包装用、一般工業用等のフィルムを得るための
好ましい無機粒子の含有量としては、0.0001〜5
重量%であり、より好ましくは0.0001〜2重量
%、さらに好ましくは0.005〜1重量%である。無
機粒子の含有量が0.0001未満であると、得られる
フィルムの滑り性に劣る場合がある。一方、無機粒子の
含有量が5重量%を越えると、得られるフィルムの耐摩
耗性に劣る場合がある。
【0038】一方、本発明のポリエステル組成物から白
色性、隠蔽性に優れた白色フィルムを得るための好まし
い無機粒子の含有量としては、5重量%以上であり、よ
り好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは7〜8
0重量%、特に好ましくは10〜80重量%である。ポ
リエステル中の無機粒子の含有量が5重量%未満である
と白色性、隠蔽性に劣る場合がある。
【0039】さらに、本発明の白色フィルムは、白色
性、隠蔽性の点から、後に定義する白度は60%以上が
好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましく
は75%以上、特に好ましくは80%以上である。白度
が60%未満であると白色性、隠蔽性に劣り好ましくな
い場合がある。
【0040】また、本発明の白色ポリエステルフィルム
は、フィルムの密度が1.50g/cm3 以下が好まし
く、より好ましくは1.40g/cm3 以下、さらに好
ましくは0.5〜1.35g/cm3 、特には0.6〜
1.30g/cm3 である。密度が1.50g/cm3
を越える場合は白色性、隠蔽性に劣り好ましくない場合
がある。
【0041】なお、本発明のポリエステル組成物および
成形品には、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、
例えばカルボジイミド、エポキシ化合物などの末端封鎖
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性
剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに、有機粒子、例えばア
クリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子も
必要に応じて適宜含有していてもよい。
【0042】また本発明のフィルムは、本発明のポリエ
ステル組成物からなる層と他のポリエステル層からなる
複合フィルムであってもよい。その際の積層構成は二層
以上であれば特に限定されるものでない。例えば、本発
明のポリエステル組成物からなる層の少なくとも片面に
他のポリエステルからなる層、例えば透明なポリエステ
ルの層、粗面化層、極性基や親水基を有する層を積層し
てもよい。これらの層の厚みは特に限定されないが、
0.001〜20μmが好ましい。これらの複合フィル
ムは、白色性に加えて、優れた表面光沢性、逆に粗面化
により艶消し性や筆記性が良好となる。
【0043】さらに、本発明のポリエステルフィルム
は、フィルムの接着性のために、その少なくとも片面に
易接着層を設けてもよい。易接着層の種類については特
に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メチル
メタクリレート、メチルアクリレートなどを用いて調整
されるアクリル系樹脂、イソフタル酸、アジピン酸、エ
チレングリコール、ポリエチレングリコールなどと、ジ
イソシアネートとから調整されるポリウレタン系樹脂、
テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−
スルホイソフタル酸の金属塩、イソフタル酸、アジピン
酸、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなど
を用いて調整されるポリエステル系樹脂等を挙げること
ができ、これらの中でも水分散または水溶性樹脂が接着
性、取扱い性の点から好ましい。ポリエステルフィルム
の少なくとも片面に易接着層を設ける方法は特に限定さ
れるものではないが、例えばポリエステルフィルムの製
造工程中で、上述したアクリル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリエステル系樹脂等の水分散または水溶液を従
来公知のリバースコート法、グラビアコート法、ダイコ
ート法、ワイアーバー法などを用いて塗布することが好
ましい。また、易接着層の厚みは特に限定されるもので
はないが、接着性の点から、0.001〜5.0μmの
範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜2.0μ
m、さらには0.05〜0.5μmが好ましい。
【0044】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。
【0045】実施例中の特性は次のようにして測定し
た。
【0046】A.無機粒子の比表面積、粒子径 比表面積はBET法表面積測定装置で測定し、また、粒
子径は堀場製作所製超遠心式粒度分布測定装置 CAP
A−700を用いて測定した。
【0047】B.リン元素量 無機粒子、ポリエステル組成物を酸で湿式分解し、リン
−モリブデン酸ブルー比色法で測定した。
【0048】C.ポリエステルの固有粘度 o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
【0049】D.ポリエステル組成物中の無機粒子分散
性 粒子分散性は、無機粒子含有ポリエステル組成物を透過
型電子顕微鏡観察によって判定した。
【0050】 ○:凝集粒子あるいは粗大粒子は観察されない。 △:凝集粒子あるいは粗大粒子がわずかに観察される。 ×:凝集粒子あるいは粗大粒子が多く観察される。
【0051】E.ポリエステル組成物のカルボキシル末
端基濃度 Mauriceの方法に準じた。ポリエステル組成物2
gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)5
0mlに溶解し、N/20−NaOHメタノール溶液に
よって滴定し、カルボキシル末端基濃度を測定し、当量
/ポリエステル106 gの値で示した。
【0052】F.ポリエステル組成物の熱安定性 ポリエステル組成物を十分乾燥した後、窒素雰囲気下で
300℃、8時間溶融加熱処理し、その時の発泡状態、
変色などを観察した。
【0053】G.フィルムの密度 見掛け密度をASTM−D−1505−68により測定
した。
【0054】H.フィルムの白色性 日立自記分光光度計EPE−2を用いてタングステン光
源で測定した450nmおよび550nmの厚さ75μ
mのフィルム各反射率R450 およびR550 から次式によ
って算出した。
【0055】白度(%)=4R450 −3R550
【0056】I.フィルムの隠蔽性 マクベス社透過濃度計TD−504で、厚さ75μmの
フィルムの可視光線透過濃度を測定し、隠蔽性とした。
ここでいう透過濃度は次式より算出した。
【0057】O・D=−log(T/100) ここで O・D;透過濃度[−] T ;可視光透過率[%]
【0058】J.フィルムの光沢性 JIS Z84741に従い、60度鏡面光沢を測定
し、フィルムの光沢度を測定した。
【0059】K.フィルムの強度 ヤング率はJIS−Z1702−1976に準じて、幅
10mm、長さ100mmの短冊片を試料として、20
mm/分の引っ張り速度で測定したフィルムの縦および
横方向の平均値。
【0060】L.フィルムの滑り性 フィルムを1/2インチ幅にスリットし、テープ走行性
試験機を使用し、20℃、55RH%雰囲気で走行さ
せ、初期の滑り性(μk)を下記の式より求めた。
【0061】μk=0.733log(T1/T2) ここで、T2は入側張力、T1は出側張力である。ガイ
ド径は6mmφであり、ガイド材質はSUS27、巻き
付け角は180°、走行速度は3.3cm/秒である。
【0062】上記μkが0.35以下であるものが滑り
性が良好である。ここで、μkが0.35は、フィルム
加工時または製品としたときの滑り性が極端に悪くなる
かどうかの限界である。
【0063】M.フィルムの耐摩耗性 フィルムを1/2インチ幅にスリットしたものをテープ
走行性試験機を使用してガイドピン(表面粗度Ra10
0nm)上を走行させる(走行速度300m/分、走行
回数1回、巻き付け角60°、走行張力60g)。この
時フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、耐摩耗性を判
定した。幅2.5um以上の傷がテープ幅あたり3本未
満は耐摩耗性が良好で、8本以上は耐摩耗性に劣る。
【0064】実施例1 平均粒子径1.1μm、比表面積8.0m2 /gのカル
サイト型天然炭酸カルシウムの粉体を容器固定型混合機
である(株)カワタ製スーパーミキサー内に仕込み、回
転翼の回転数760rpmで攪拌しながら昇温し、缶内
温度が40℃に達した時点で、リン化合物としてトリエ
チルホスホノアセテートを炭酸カルシウムに対して4重
量%となるように噴霧させながら添加した。その後10
分間混合し、表面処理した。得られた炭酸カルシウム中
のリン元素量を比色法によって測定したところ8300
ppm含まれていた。
【0065】表面処理した炭酸カルシウム15重量部と
固有粘度0.65dl/gのJIS標準ふるいで35メ
ッシュ以下の粒度(JIS Z8801規格標準網ふる
いでふるい目開きが0.42mmのふるいを通過する粒
度)を有するポリエチレンテレフタレートの微粉末85
重量部とを混合した後、フィダーを用いベント式二軸押
出機に供給し、ベント口を10torrの真空度に保持
し、温度285℃、滞留時間1分で混練し、炭酸カルシ
ウムを15重量%、リン元素を255ppm含有するポ
リエステル組成物を得た。混練時に異物の発生もなく、
発泡も見受けられなかった。また、得られた組成物のカ
ルボキシル末端基濃度は25当量/ポリエステル106
gであり、組成物中の炭酸カルシウムの粒子分散性も良
好であった。該ポリエステル組成物を窒素雰囲気下で3
00℃、8時間溶融加熱処理し、耐熱性を測定した結
果、溶融加熱処理時に発泡も認められず、変色も観察さ
れず、耐熱性に優れていた。
【0066】一方、得られた炭酸カルシウム含有ポリエ
ステル組成物を十分乾燥した後、押出し機に供給して2
85℃で溶融し、T型口金よりシート状に押し出し、3
0℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ未延伸フィルムを得
た。次いで未延伸フィルムを95℃に加熱して縦方向に
3.3倍延伸し、さらに120℃に加熱して横方向に
3.3倍延伸し、220℃で加熱処理して、延伸製膜を
1時間行い、厚さ75μmのフィルムを得た。1時間の
延伸製膜の間、フィルム破れなどの発生もなかった。得
られたフィルムの特性結果を表3に示す。
【0067】密度は1.23g/cm3 で白色性、隠蔽
性、光沢性、ヤング率ともに優れていた。
【0068】比較例1 リン化合物で表面処理していない炭酸カルシウムを使用
した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステル組
成物および該組成物を用いフィルムを得た。表1,2,
3に結果を示した。
【0069】ベント式二軸押出機を用いて無機粒子含有
ポリエステル組成物を製造する際に、ポリマ中に発泡が
生じ、組成物中の炭酸カルシウムの粒子分散性は劣るも
のであった。また、該ポリエステル組成物を窒素雰囲気
下で300℃、8時間溶融加熱処理し、耐熱性を調査し
た結果、溶融加熱処理時に発泡が認められ、変色し、耐
熱性に劣っていた。該ポリエステル組成物のフィルム溶
融製膜時にフィルム中に発泡に起因する気泡が認められ
たり、異物が確認され、さらにフィルム破れが多発し、
満足なフィルムを得ることができなかった。得られたフ
ィルムは白色性、隠蔽性等の特性に劣るものであった。
【0070】比較例2,3 炭酸カルシウムの表面処理に使用するリン化合物として
ジメチルメチルホスホネート、カルボキシエチルホスフ
ィン酸を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、ポ
リエステル組成物および該組成物を用いフィルムを得
た。表1,2,3に結果を示した。
【0071】ベント式二軸押出機を用いて無機粒子含有
ポリエステル組成物を製造する際に、ポリマ中に発泡が
生じ、組成物中の炭酸カルシウムの粒子分散性は劣るも
のであった。また、該ポリエステル組成物を窒素雰囲気
下で300℃、8時間溶融加熱処理し、耐熱性を調査し
た結果、溶融加熱処理時に発泡が認められ、変色し、耐
熱性に劣っていた。該ポリエステル組成物のフィルム溶
融製膜時にフィルム中に発泡に起因する気泡が認められ
たり、異物が確認され、さらにフィルム破れが多発し、
満足なフィルムを得ることができなかった。得られたフ
ィルムは白色性、隠蔽性等の特性に劣るものであった。
【0072】実施例2〜12 無機粒子の種類および量、リン化合物の種類および量を
変更した以外は、実施例1と同様の方法で、ポリエステ
ル組成物を得、引続き該組成物を用いフィルムを得た。
表1,2,3に結果を示した。
【0073】いずれもベント式二軸押出機を用いた無機
粒子含有ポリエステル組成物の製造する際の、ポリマの
発泡や異物発生は認められず、無機粒子の粒子分散性も
良好であり、該ポリエステル組成物を窒素雰囲気下で3
00℃、8時間溶融加熱処理し、耐熱性を調査した結
果、溶融加熱処理時に発泡、変色も観察されず、耐熱性
に優れていた。さらに該ポリエステル組成物を使用した
フィルムの延伸製膜性も良好で、得られたフィルム特性
にも優れるものであった。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】実施例13 平均粒子径1.1μm、比表面積8.0m2 /gのカル
サイト型天然炭酸カルシウムの粉体15重量部と固有粘
度0.65dl/gのJIS標準ふるいで35メッシュ
以下の粒度(JIS Z8801規格標準網ふるいでふ
るい目開きが0.42mmのふるいを通過する粒度)を
有するポリエチレンテレフタレートの微粉末85重量部
とを容器固定型混合機である(株)カワタ製スーパーミ
キサー内に仕込み、混合撹拌した後、フィダーを用いベ
ント式二軸押出機に供給し、次いで押出機に設置した注
入ノズルからリン化合物としてトリエチルホスホノアセ
テートを炭酸カルシウムに対して4重量%となるように
添加した。ベント口を10torrの真空度に保持し、
温度285℃、滞留時間1分で混練し、炭酸カルシウム
を15重量%、リン元素を320ppm含有するポリエ
ステル組成物を得た。混練時に異物の発生もなく、発泡
も見受けられなかった。また、得られた組成物のカルボ
キシル末端基濃度は20当量/ポリエステル106 gで
あり、組成物中の炭酸カルシウムの粒子分散性も良好で
あった。該ポリエステル組成物を窒素雰囲気下で300
℃、8時間溶融加熱処理し、耐熱性を測定した結果、溶
融加熱処理時に発泡も認められず、変色も観察されず、
耐熱性に優れていた。
【0078】一方、得られたポリエステル組成物を十分
乾燥した後、押出し機に供給して285℃で溶融し、T
型口金よりシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで
冷却固化せしめ未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フ
ィルムを95℃に加熱して縦方向に3.3倍延伸し、さ
らに100℃に加熱して横方向に3.3倍延伸し、20
0℃で加熱処理して、延伸製膜を1時間行い、厚さ75
μmのフィルムを得た。1時間の延伸製膜の間、フィル
ム破れなどの発生もなかった。得られたフィルムの密度
は1.23g/cm3 、白度82%、O・D0.8、光
沢度25%、ヤング率3.58GPaと白色性、隠蔽
性、機械特性等に優れていた。
【0079】実施例14 テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコー
ル70重量部とを酢酸マグネシウム・4水和物0.06
重量部を触媒として常法に従いエステル交換反応を行っ
た。エステル交換反応終了後、三酸化アンチモン0.0
3重量部、リン化合物としてトリエチルホスホノアセテ
ート0.03重量部を添加し、次いで平均粒子径0.3
μmのコロイド状シリカを含有するエチレングリコール
スラリーを粒子量で0.15重量部となるように添加し
た。引き続いて常法に従い重縮合反応を行い、固有粘度
0.62dl/g、リン元素量32ppmのポリエステ
ル組成物を得た。ポリエステル組成物中のコロイド状シ
リカ粒子の分散性は極めて良好であった。
【0080】一方、得られたポリエステル組成物を十分
乾燥した後、押出し機に供給して285℃で溶融し、T
型口金よりシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで
冷却固化せしめ未延伸フィルムを得た。次いで未延伸フ
ィルムを95℃に加熱して縦方向に3.5倍延伸し、さ
らに100℃に加熱して横方向に3.6倍延伸し、20
0℃で加熱処理して、厚さ12μmのフィルムを得た。
得られたフィルムのμkは、0.21であり、耐摩耗性
評価は、幅2.5um以上の傷がテープ幅あたり2本
で、滑り性、耐摩耗性ともに優れていた。
【0081】比較例4 リン化合物としてジメチルメチルホスホネートを使用し
た以外は実施例14と同様の方法でポリエステル組成物
及びフィルムを得た。ポリエステル組成物の固有粘度は
0.62dl/g、リン元素量は35ppmであり、コ
ロイド状シリカ粒子の分散性を透過型電子顕微鏡により
観察した結果、凝集粒子が観察された。
【0082】また、得られたフィルムのμkは、0.3
3であり、耐摩耗性評価は、幅2.5um以上の傷がテ
ープ幅あたり10本で、耐摩耗性に劣っていた。
【0083】
【発明の効果】本発明は上述したように、ポリエステル
に無機粒子および特定のリン化合物を配合してなるポリ
エステル組成物およびそれからなるフィルムなどの成形
品であり、ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散
性、フィルムなどに成形加工する際の溶融熱安定性、延
伸性等の成形加工性に優れるとともに、ポリエステル組
成物から得られるフィルムは、滑り性、耐摩耗性に優れ
るとともに、無機粒子を多量に含有したフィルムは、白
色フィルムとして白色性、隠蔽性等に優れる。
【0084】該フィルムなどの成形品は、磁気記録媒体
用、コンデンサー用、食品包装用、一般工業用、紙代替
用などの用途に好適に使用することができるとともに、
無機粒子を多量に含有した白色フィルムは、印画紙、X
線増感紙、受像紙、磁気記録カード、ラベル、宅配便な
どの配送伝票、表示板、白板などの基材として好適に使
用することができる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに無機粒子および下記式
    (I)で示されるリン化合物を配合してなることを特徴
    とするポリエステル組成物。 【化1】 (但し、式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数1以上の炭化
    水素基、R4 は水素、又は炭素数1以上の炭化水素基を
    示し、R1 ,R2 ,R3 ,R4 は、同じであってもよ
    く、異なっていてもよい。XおよびYは、酸素、カルボ
    ニル基、エステル基のいずれかを示し、XおよびYのい
    ずれか一方はカルボニル基、エステル基である。m,
    n,o,pは、0または1であり、n,pのいずれか一
    方は1である。)
  2. 【請求項2】 無機粒子が炭酸金属塩、ケイ酸塩、二酸
    化チタン、硫酸バリウム、二酸化珪素、酸化アルミニウ
    ム、硫化亜鉛、リン酸カルシウムよりなる群の中から選
    ばれた少なくとも一種の粒子であることを特徴とする請
    求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】 無機粒子の配合量が0.0001重量%
    以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    ポリエステル組成物。
  4. 【請求項4】 無機粒子の平均粒子径が10μm以下で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載のポリエステル組成物。
  5. 【請求項5】 リン化合物の配合量が0.0005重量
    %以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1項に記載のポリエステル組成物。
  6. 【請求項6】 無機粒子および式(I)で示されるリン
    化合物の配合が混練であることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  7. 【請求項7】 無機粒子および式(I)で示されるリン
    化合物の配合がポリエステルの製造工程の任意の段階で
    添加であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    項に記載のポリエステル組成物。
  8. 【請求項8】 ポリエステル組成物がリン元素を1pp
    m以上含有してなることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載のポリエステル組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポ
    リエステル組成物からなる成形品。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    ポリエステル組成物からなるフィルム。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のフィルムが白色で
    あることを特徴とする白色ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100341940B1 (ko) * 1999-06-29 2002-06-24 조 정 래 난연성 폴리에스터의 제조방법
JP2003082200A (ja) * 2001-09-14 2003-03-19 Toray Ind Inc ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム
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