JP3254938B2 - ポリエステル組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
ポリエステル組成物およびそれからなる成形品Info
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びそれからなる成形品に関するものであり、詳しくは無
機粒子を含有してなるポリエステル組成物であって、か
つ特定の分離物を有するポリエステル組成物およびそれ
からなるフィルムなどの成形品に関するものであり、さ
らに詳しくは、印画紙、X線増感紙、カード、ラベル、
表示板、白板などの基材として好適なポリエステル組成
物およびフィルムなどの成形品に関するものである。
るポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有してお
り、繊維、フィルム、その他の成形品として広く使用さ
れている。特にこれらの用途の中でカード、ラベル、表
示板、白板などの基材として白色フィルムが使用されて
いる。
機粒子を多量にポリエチレンテレフタレートに添加する
ことはよく知られている。例えば、特公昭59−490
1号公報では酸化チタンと硫酸バリウムを多量に添加し
たり、特公昭60−30930号公報では硫酸バリウム
を多量に添加したり、特公昭60−30930号公報さ
らには、特公昭43−12013号公報では多量の炭酸
カルシウムを添加すること、また特開昭51−2814
1号公報、特開昭61−209260号公報には無機充
填剤粉末や白色無機顔料を高濃度に混練する方法などが
知られている。
ウムを添加したものは粒子の分散性に劣り、得られたポ
リエステルを使用してフィルム成形した場合には十分な
白度、隠蔽力、光沢性を有するフィルムが得られない。
一方、酸化チタンを添加したものは粒子の屈折率が高い
ため隠蔽力は優れているものの、例えば、450nm以
下の低波長領域での分光反射率の低下が認められ、十分
な白度を有するフィルムが得られない。
開示されているような、単に炭酸カルシウムを高濃度に
含有したポリエステルや、特開昭51−28141号公
報、特開昭61−209260号公報に開示されている
ような方法で、単にポリエステルに炭酸カルシウムを高
濃度に混練した場合は、粒子の凝集が起ったり、黄味の
強いポリエステルが得られるため好ましくなく、また、
ポリマが高温滞留した場合には発泡したり、異物が発生
したりする。さらに該ポリエステルから得られるフィル
ムには十分な白度、隠蔽性を兼備させるのが困難であ
る。
昭62−207337号公報では、ポリエステルと炭酸
カルシウムおよびリン化合物の混合物を単に溶融押出し
た後、フィルムを製造する方法、特開昭63−6622
2号公報ではポリエステルの反応系に炭酸カルシウムお
よびリン化合物を添加する方法が開示されている。しか
し、これらの方法でもポリエステルに炭酸カルシウムを
効率よく高濃度に含有させることが困難であったり、粒
子の分散性が十分でなかったり、また、ポリマが高温滞
留した場合には発泡したり、異物が発生したりする。さ
らに、得られるフィルムには十分な白度、隠蔽性、光沢
性を兼備させるのが困難である。
した従来技術の欠点を解消し、多量の無機粒子をポリエ
ステルに含有させ白色性、隠蔽性、光沢性に優れた成形
品を得ることにある。
は、 (1)無機粒子を含有してなるポリエステル組成物であ
って、かつo−クロロフェノール溶解液から得られる各
分離物がそれぞれリン元素を含有し、さらに分離物が下
記式を満足してなることを特徴とするポリエステル組成
物。
テル組成物に対する重量%) B:300℃,8時間溶融加熱処理した時のポリエステ
ル組成物から得られる分離物(ポリエステル組成物に対
する重量%) (2)前記ポリエステル組成物からなるフィルムなどの
成形品によって達成できる。
とグリコール成分から構成されたものであり、例えばジ
カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とグリコ
ールとのエステル化もしくはエステル交換反応ならびに
引続く重縮合反応によって製造される。ポリエステルの
種類については繊維、フィルム、その他の成形品に成形
しうるものであれば特に限定されない。繊維、フィル
ム、その他の成形品に成形しうる好適なポリエステルと
してはジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を使
用したものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリエチ
レン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−
4,4´−ジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2
−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボキシ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキ
サンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でもポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレー
トが好ましい。もちろんこれらのポリエステルはホモポ
リエステルであっても、コポリエステルであってもよ
く、共重合する成分としては、例えば、アジピン酸、セ
バシン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4´−スル
ホニルジ安息香酸等のジカルボン酸またはそのエステル
形成性誘導体、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多
官能カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、p−
オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体等、さらには、エチレングリコ
ール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、p−キシリ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,3−シクロヘキサンジメタノール、平均分子量
200〜20000のポリアルキレングリコール等が挙
げられる。
のでなく、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化
亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、カオリン、酸化
アルミニウム、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、湿
式および乾式シリカ等を挙げることができる。中でも、
ポリエステル組成物から得られるフィルムなどの成形品
に十分な白度、隠蔽性、光沢性を兼備させる点で炭酸カ
ルシウムが好ましく、また炭酸カルシウムは天然品、合
成品のいずれであってもよく、その結晶形態としてはカ
ルサイト、アナゴライト、バテライトなどが挙げられる
が特に限定されない。また他の金属化合物、例えば、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等が
含まれていてもよく、さらにこれらの炭酸カルシウムは
各種の処理剤で表面処理されたものであることが好まし
い。また、これらの炭酸カルシウムは二種以上を併用し
てもよい。
使用することが好ましく、特にはリン化合物で表面処理
されたものを使用することが得られるポリエステル組成
物中の無機粒子の分散性、ポリエステル組成物の高温滞
留時の異物発生あるいは発泡の抑制の点から好ましい。
表面処理に使用するリン化合物は特に限定されることは
ないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホ
スホン酸およびそれらの誘導体などがあげられる。具体
的にはリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、
リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステ
ル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、ジメチルホ
スフィン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン
酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエス
テルなど、またリン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、
リン酸マグネシウム、リン酸マンガン等のリン酸金属塩
類、さらにはリン酸アンモニウム等のリン化合物を挙げ
ることができる。得られるポリエステル組成物中の無機
粒子の分散性、ポリエステル組成物の品質安定性、ポリ
エステル組成物が高温下で滞留した場合のポリマの発泡
性、無機粒子に起因する異物発生などの点から、上述の
リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスフィン
酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体またはリン酸金属
塩類が好ましく、さらに好ましくはリン酸、亜リン酸、
ホスフィン酸、ホスホン酸またはそれらの炭素数3以下
のアルキルエステル化合物である。また、これらのリン
化合物は二種以上を併用してもよい。
化合物量は、特に限定されるものではないが、無機粒子
に対して0.1重量%以上が好ましく、さらには0.5
重量%〜20重量%、特には2.0重量%〜15重量%
が好ましい。無機粒子に対して0.1重量%未満である
と、無機粒子の分散性が劣ったり、ポリエステル組成物
の高温滞留時に異物発生、発泡が生じるため好ましくな
い場合がある。
処理方法は特に限定されるものではないが、無機粒子と
リン化合物を物理的に混合する方法を挙げることがで
き、例えばロールミル、高速回転式粉砕機、ジェトミル
等の粉砕機、あるいはナウタミキサー、リボンミキサ
ー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用することがで
きる。
組成物から得られるフィルムなどの成形品に十分な白
度、隠蔽性、光沢性を兼備させる点で表面処理された炭
酸カルシウムが好ましく、さらにはリン化合物で表面処
理された炭酸カルシウムが最も好ましい。
は特に限定されることはないが粒子径は平均粒子径が
0.01〜20μm、さらには0.1〜10μm、特に
は0.2〜5μmであることが白色性、隠蔽性、光沢性
の点で好ましい。比表面積は0.5〜100m2 /g、
さらには1〜70m2 /g、特には3〜60m2 gであ
ることが白色性、隠蔽力、光沢性の点で好ましい。粒子
径が平均粒子径で20μmを越えたり、比表面積が0.
5m2 /g未満であると、ポリエステル組成物中の粒子
分散性は良好であるものの、ポリエステル組成物をフィ
ルムに成形した場合、白色性、隠蔽性、光沢性が劣り好
ましくない場合がある。一方、粒子径が平均粒子径で
0.01μm未満であったり、比表面積が100m2 /
gを越えると、ポリエステル組成物中の粒子分散性が著
しく劣ったり、ポリエステル組成物が高温の場に滞留し
た場合に粗大な異物が発生したり、発泡したり、さらに
は、高重合度のポリエステルが得られないため好ましく
ない場合がある。
るものではないが、ポリエステル中に1〜90重量%含
有することが好ましく、より好ましくは5重量%を越
え、80重量%以下、さらに好ましくは10〜70重量
%、特に好ましくは15〜60重量%である。含有量が
1重量%未満であると、ポリエステル組成物をフィルム
に成形した場合、フィルムの白色性、隠蔽性が不十分と
なり好ましくない場合がある。含有量が90重量%を越
えると、ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性
が劣ったり、ポリエステル組成物の高温滞留時に異物が
発生あるいは発泡したり、さらには、高重合度のポリエ
ステルが得られないためフィルム強度が十分でなく好ま
しくない場合がある。
組成物を製造する方法は特に限定されるものではない
が、例えば炭酸カルシウムをポリエステルに配合・添加
する方法などによって得られる。具体的には、炭酸カ
ルシウムとポリエステルとを直接、あるいは予めブレン
ダー、ミキサーなどで混合した後、通常の一軸、二軸押
出し機を用いて溶融混練する方法、炭酸カルシウムと
ポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキ
サーなどで混合した後、通常のベント式の一軸、二軸押
出し機を用いて溶融混練する方法、ポリエステルの製
造反応工程で炭酸カルシウムを添加する方法などを挙げ
ることができる。中でも炭酸カルシウムをポリエステル
に効率よく高濃度に含有させる、あるいは炭酸カルシウ
ムの粒子分散性、得られるポリエステル組成物の品質安
定性、ポリエステル組成物が高温下で滞留した場合のポ
リマの発泡性、炭酸カルシウムに起因する異物発生など
の点から、リン化合物で表面処理した炭酸カルシウムと
ポリエステルとをベント式の一軸あるいは二軸押出し機
を用いて溶融混練する方法が好ましく、さらにはリン化
合物で表面処理した炭酸カルシウム、リン化合物および
ポリエステルとをベント式の一軸あるいは二軸押出し機
を用いて溶融混練する方法が好ましい。
機を用いて溶融混練する際に使用するリン化合物として
は炭酸カルシウムの表面処理に用いられるリン化合物の
中から適宜、選択して使用することができ、好ましくは
リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそ
れらの誘導体またはリン酸金属塩類であり、さらに好ま
しくはリン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸ま
たはそれらの炭素数3以下のアルキルエステル化合物で
ある。また、これらのリン化合物は二種以上を併用して
もよい。また、その際に使用するリン化合物量は、特に
限定されるものではないが、炭酸カルシウムに対して
0.01重量%以上が好ましく、さらには0.1重量%
〜20重量%、特には1.0重量%〜15重量%が好ま
しい。炭酸カルシウムに対して0.01重量%未満であ
ると、炭酸カルシウムの粒子分散性が劣ったり、ポリエ
ステル組成物の高温滞留時に異物発生、発泡が生じるた
め好ましくない場合がある。
造する方法は特に限定されるものではないが、例えば、
押出し条件はポリエステルの融点以上、滞留時間は2時
間以内、好ましくは1分〜1時間であり、ベントは分解
ガス成分、低揮発成分の除去およびポリエステルの分解
抑制のため真空度をできる限り100torr以下、好
ましくは10torr以下、さらには2torr以下と
することが好ましい。
ロフェノール溶解液から得られる各分離物中にそれぞれ
リン元素を含有する必要がある。リン元素量は特に限定
されるものではないが、好ましくは各分離物中のリン元
素含有量はそれぞれ500ppm以上であり、より好ま
しくは1000ppm以上であり、さらに好ましくは2
000ppm以上、特に好ましくは3000ppm以上
である。分離物がリン元素を含有しない場合にはポリエ
ステル組成物のo−クロロフェノール溶解液から得られ
る分離物が本発明のB/A≦2.0を満足することがで
きず、ポリエステル組成物中の無機粒子の粒子分散性が
劣ったり、ポリエステル組成物の高温滞留時に異物が発
生したり、あるいは発泡したりして好ましくない。ま
た、分離物中に含有するリン元素の形態は特に限定され
るものではない。
−クロロフェノール溶解液から得られる分離物が下記式
を満足する必要がある。 B/A≦2.0 A:ポリエステル組成物から得られる分離物(ポリエス
テル組成物に対する重量%) B:300℃,8時間溶融加熱処理した時のポリエステ
ル組成物から得られる分離物(ポリエステル組成物に対
する重量%) 好ましくはB/A≦1.5であり、さらに好ましくはB
/A≦1.3である。
ステル組成物中の無機粒子の粒子分散性が劣ったり、ポ
リエステル組成物の高温滞留時に異物が発生したり、あ
るいは発泡したりして好ましくない。
得られる分離物とは、ポリエステルと無機粒子を含有し
てなるポリエステル組成物をo−クロロフェノールで溶
解後、分離用超遠心機を用いて分離されたものであり、
分離物は次の方法で求めたものである。
エステル組成物を10倍量のo−クロロフェノールで、
150℃、2時間溶解し、得られた溶解液を、分離用超
遠心機を用い、遠心力22000Gで60分間遠心分離
を行なう。分離後、上澄液を傾斜法で除去し、分離物を
得る。次いで、分離物中に残存するo−クロロフェノー
ルとポリエステルを完全に除去するために得られた分離
物に、さらにポリエステル組成物の溶解に使用したのと
同量のo−クロロフェノールを加え、超音波をあてなが
ら30分間攪拌後、再度遠心分離を行ない、上澄液を傾
斜法で除去する。この操作を計3回繰り返す。次いで得
られた分離物にポリエステル組成物の溶解に使用したo
−クロロフェノールと同量のメタノールを加え、超音波
をあてながら30分間攪拌後、遠心分離を行ない、上澄
液を傾斜法で除去する。この操作を計3回繰り返した
後、得られた分離物を100℃で24時間真空乾燥す
る。乾燥後、得られた分離物を秤量し、無機粒子を含有
してなるポリエステル組成物に対する重量%で求める。
エステル組成物を300℃、8時間溶融加熱処理した
後、分離物Aと同様の方法で求める。
含有量は特に限定されるものではないが、リン元素含有
量は100〜30000ppmが好ましく、より好まし
くは200〜20000pm、さらに好ましくは300
〜10000ppm、特に好ましくは500〜8000
ppmである。リン元素量が100ppm未満であると
ポリエステル中の炭酸カルシウムの粒子分散性に劣った
り、ポリエステル組成物の高温滞留時に異物発生、発泡
が生じ好ましくない場合がある。一方、30000pp
mを越えると高重合度のポリエステルが得られず好まし
くない場合がある。
機粒子、特に炭酸カルシウムを高濃度に含有させる際、
あるいは得られるポリエステル組成物は、ポリエステル
に添加・配合する無機粒子とポリエステルとの相互作用
・反応によって生じると考えられる、 ポリエステル組成物中の粒子分散性が劣る。 ポリエステル組成物が高温滞留した場合に変性し、異
物となる。 ポリエステル組成物が高温滞留した場合に、ポリマが
発泡する。 等の各種欠点・問題点があり、該ポリエステル組成物か
ら良好な成形品あるいはフィルムなどを得ることが困難
であった。しかし、本発明は無機粒子を含有するポリエ
ステル組成物であっても、該ポリエステル組成物のo−
クロロフェノール溶解液から得られる各分離物がそれぞ
れリン元素を含有し、かつ分離物が下記式を満足するこ
とで、従来の欠点・問題点を解消したのである。 B/A≦2.0 A:ポリエステル組成物から得られる分離物(ポリエス
テル組成物に対する重量%) B:300℃,8時間溶融加熱処理した時のポリエステ
ル組成物から得られる分離物(ポリエステル組成物に対
する重量%) 従来の欠点・問題点を解消し得た原因は定かではない
が、無機粒子を含有するポリエステル組成物から得られ
る分離物(主体は無機粒子)が、リン元素を含有し、か
つ分離物が上述の式を満足することで、無機粒子とポリ
エステルとの相互作用・反応が抑制され、従来の欠点・
問題点であったポリエステル組成物中の無機粒子の粒子
分散性、および高温滞留時の異物発生あるいは発泡など
が解消できたもの考えられる。
形品を得る方法は特に限定されるものではないが、溶融
紡糸によって繊維、押出し成形あるいは射出成形などに
よって各種の成型品、また、溶融押出しによってシート
状あるいはその後延伸することでフィルムを製造するこ
とができる。得られる各種の成形品は滑り性、光沢性、
白色性、隠蔽性などに優れたものである。
ルムの具体的な製造方法を説明するとポリエステル組成
物を乾燥後、溶融押出しして、未延伸シートとし、続い
て二軸延伸、熱処理し、フィルムにする。二軸延伸は
縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよ
く、延伸倍率は特に限定されるものではないが通常は
縦、横それぞれ2.0〜5.0倍が適当である。また、
二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸して
もよい。この際本発明のポリエステル組成物と各種のポ
リエステルと混合して無機粒子の含有量を目的に応じて
適宜変更することができる。また、混合する各種のポリ
エステルは本発明のポリエステル組成物のベースとなる
ポリエステルと同一であっても、異なってもよい。
明のフィルムを得ることができる。本発明のフィルムは
特に限定されないが、白色性、光沢性、隠蔽性に優れた
二軸延伸フィルムを得るためには、フィルム中の無機粒
子の含有量は5重量%を越え、40重量%以下とするこ
とが好ましく、さらには7〜30重量%、特に10〜2
0重量%とすることが好ましい。無機粒子の含有量が5
重量%以下であると白色性、隠蔽性に劣り好ましくない
場合がある。含有量が40重量%を越えるとフィルムの
機械特性に劣り好ましくない場合がある。またフィルム
の密度は0.80〜1.38g/cm3 が好ましい。密
度が0.80g/cm3 未満の場合はフィルムの生産性
や機械特性に劣り、密度が1.38g/cm3 を越える
場合は白色性、隠蔽性に劣り好ましくない場合がある。
成形品には、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、
例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活
性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに他の無機粒子、有機
粒子、例えば二酸化チタン、硫酸バリウム、クレー、タ
ルク、カオリン、アルミナ、湿式および乾式、球状シリ
カ等の無機粒子、アクリル酸類、スチレンなどを構成成
分とする有機粒子も必要に応じて適宜配合、添加しても
よい。
ステル組成物からなる層と他のポリエステル層からなる
複合フィルムであってもよい。その際の積層構成は二層
以上であれば特に限定されるものでない。例えば、本発
明のポリエステル組成物からなる層の少なくとも片面に
他のポリエステルからなる層、例えば透明なポリエステ
ルの層、粗面化層、極性基や親水基を有する層を積層し
てもよい。これらの層の厚みは特に限定されないが、
0.001〜20μmが好ましい。これらの複合フィル
ムは、白色性に加えて、優れた表面光沢性、逆に粗面化
により艶消し性や筆記性が、また接着性が良好となる。
明する。実施例中の特性は次のようにして測定した。
子径は堀場製作所製超遠心式粒度分布測定装置 CAP
A−700を用いて測定した。
中のリン元素量 分離物、ポリエステルおよび無機粒子を酸で湿式分解
し、リンモリブデンブルー比色法で測定した。
℃で溶融プレス冷却後、顕微鏡観察によって判定した。 ○;凝集粒子あるいは粗大粒子は観察されない。 △;凝集粒子あるいは粗大粒子がわずかに観察される。 ×;凝集粒子あるいは粗大粒子が多く観察される。
フィルムの可視光線透過濃度を測定し、隠蔽性とした。
ここでいう透過濃度は次式より算出した。 O・D=−log(T/100) ここで O・D;透過濃度[−] T ;可視光透過率[%]
源で測定した450nmおよび550nmの厚さ50μ
mのフィルム各反射率R450 およびR550から次式によ
って算出した。 白度(%)=4R450 −3R550
し、フィルムの光沢度を測定した。
カルシウムの粉体を容器固定型混合機であるヘンシェル
ミキサー内に仕込み、回転翼の回転数1500rpmで
攪拌しながら昇温し、缶内温度が50℃に達した時点
で、リン化合物としてリン酸トリメチルを炭酸カルシウ
ムに対して5重量%となるように噴霧させながら添加し
た。その後10分間混合し、表面処理した。得られた炭
酸カルシウム中のリン元素量を比色法によって測定した
ところ8300ppm含まれていた。
固有粘度0.65dl/gのポリエチレンテレフタレー
トチップ70重量部とを混合した後、フィダーを用いベ
ント式二軸押出し機に供給し、次いで押出し機に設置し
た注入ノズルからリン化合物としてリン酸トリメチルを
炭酸カルシウムに対して2重量%となるように添加し
た。ベント口を10torrの真空度に保持し、温度2
90℃、滞留時間3分で混練し、炭酸カルシウムを30
重量%含有するポリエチレンテレフタレートを得た。混
練時に異物の発生もなく、発泡も見受けられなかった。
また、得られた組成物中の炭酸カルシウムの粒子分散性
も良好であった。さらに組成物中のリン元素量は比色法
によって測定したところ1550ppmであった。
乾燥した後、窒素雰囲気下で300℃、8時間溶融加熱
処理したポリエステル組成物のo−クロロフェノール溶
解液から分離物を得た。ポリエステル組成物から得られ
た分離物は31重量%(対ポリエステル組成物)であ
り、リン元素を3600ppm含有し、また、300
℃、8時間溶融加熱処理したポリエステル組成物から得
られた分離物は32重量%(対ポリエステル組成物)で
あり、リン元素を3500ppm含有し、ポリエステル
組成物から得られた分離物に対する300℃、8時間溶
融加熱処理したポリエステル組成物から得られた分離物
の比は1.03であった。さらに、ポリエステル組成物
の窒素雰囲気下で300℃、8時間溶融加熱処理時に
も、ポリエステル組成物が変性、異物化することなく、
発泡も見受けられず、熱安定性に優れていた。
ポリエチレンテレフタレートと固有粘度0.65dl/
gのポリエチレンテレフタレートを炭酸カルシウムが1
5重量%になるように混合し、十分乾燥した後、押出し
機に供給して290℃で溶融し、T型口金よりシート状
に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ未延
伸フィルムを得た。次いで未延伸フィルムを95℃に加
熱して縦方向に3.3倍延伸し、さらに100℃に加熱
して横方向に3.3倍延伸し、200℃で加熱処理し
て、厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルム
の特性結果を表2に示す。密度は1.26g/cm3 で
白色性、隠蔽性、光沢性ともに優れていた。
し、かつベント式二軸押出し時にリン化合物を添加しな
い以外は、実施例1と同様の方法で、ベント式二軸押出
し機を用いて炭酸カルシウム30重量%含有するポリエ
チレンテレフタレートおよびフィルムを得た。表1,2
に各種特性結果を示した。
ウム30重量%含有するポリエチレンテレフタレートを
製造する際に、ポリマ中に発泡が生じたり、炭酸カルシ
ウムの粒子分散性に劣るものであった。
乾燥した後、窒素雰囲気下で300℃、8時間溶融加熱
処理したポリエステル組成物のo−クロロフェノール溶
解液から分離物を得た。ポリエステル組成物から得られ
た分離物は35重量%(対ポリエステル組成物)、ま
た、300℃、8時間溶融加熱処理したポリエステル組
成物から得られた分離物は88重量%(対ポリエステル
組成物)であり、いずれの分離物ともにリン元素を含有
しておらず、ポリエステル組成物から得られた分離物に
対する300℃、8時間溶融加熱処理したポリエステル
組成物から得られた分離物の比は2.51であった。さ
らに、ポリエステル組成物の窒素雰囲気下で300℃、
8時間溶融加熱処理時には、ポリエステル組成物が変
性、異物化するとともに、著しく発泡が見受けられ、熱
安定性に劣っていた。また、フィルム製造時に発泡によ
る破れがひどく、得られたフィルムは白色性、隠蔽性、
光沢性に劣るものであった。
粒子の種類、量およびリン化合物の種類、量を変更して
ポリエステル組成物およびフィルムを得た。
り、得られたポリエステル中の無機粒子の分散性は良好
であり、またポリエステル組成物の窒素雰囲気下で30
0℃、8時間溶融加熱処理時には、ポリエステル組成物
が変性、異物化することなく、発泡も見受けられず、熱
安定性に優れていた。
フィルムは白色性、隠蔽性ともに優れていた。
有してなるポリエステル組成物であって、かつ特定の分
離物を有するポリエステル組成物であり、無機粒子の分
散性、耐熱性の優れたポリエステル組成物を得ることが
でき、該ポリエステル組成物からは白色性、隠蔽性、光
沢性に優れた成形品が得られる。特にポリエステル組成
物をフィルム成形した場合には白度、隠蔽力、光沢性に
優れた白色フィルムを製造することができ、印画紙、X
線増感紙、カード、ラベル、表示板、白板などの基材と
して好ましく用いられる。
Claims (10)
- 【請求項1】 無機粒子を含有してなるポリエステル組
成物であって、かつo−クロロフェノール溶解液から得
られる各分離物がそれぞれリン元素を含有し、さらに分
離物が下記式を満足してなることを特徴とするポリエス
テル組成物。 B/A≦2.0 A:ポリエステル組成物から得られる分離物(ポリエス
テル組成物に対する重量%) B:300℃,8時間溶融加熱処理した後のポリエステ
ル組成物から得られる分離物(ポリエステル組成物に対
する重量%) - 【請求項2】 無機粒子の含有量が1〜90重量%であ
ることを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成
物。 - 【請求項3】 無機粒子が炭酸カルシウム粒子であるこ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエ
ステル組成物。 - 【請求項4】 各分離物のリン元素含有量がいずれも5
00ppm以上であることを特徴とする請求項1〜3の
いずれか1項に記載のポリエステル組成物。 - 【請求項5】 リン化合物で表面処理された無機粒子と
ポリエステルとがベント式押出し機で混練されてなるポ
リエステル組成物であることを特徴とする請求項1〜4
のいずれか1項に記載のポリエステル組成物。 - 【請求項6】 リン化合物で表面処理された無機粒子、
リン化合物およびポリエステルがベント式押出し機で混
練されてなるポリエステル組成物であることを特徴とす
る請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル組
成物。 - 【請求項7】 リン元素を100〜30000ppm含
有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
記載のポリエステル組成物。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポ
リエステル組成物からなる成形品。 - 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポ
リエステル組成物からなるフィルム。 - 【請求項10】 請求項9に記載のフィルムが白色であ
ることを特徴とする白色フィルム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28958094A JP3254938B2 (ja) | 1994-11-24 | 1994-11-24 | ポリエステル組成物およびそれからなる成形品 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28958094A JP3254938B2 (ja) | 1994-11-24 | 1994-11-24 | ポリエステル組成物およびそれからなる成形品 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08143756A JPH08143756A (ja) | 1996-06-04 |
JP3254938B2 true JP3254938B2 (ja) | 2002-02-12 |
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JP3593817B2 (ja) | 1996-09-27 | 2004-11-24 | 東レ株式会社 | 白色ポリエステルフィルム |
JP3953825B2 (ja) * | 2002-02-15 | 2007-08-08 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及びフィルム |
-
1994
- 1994-11-24 JP JP28958094A patent/JP3254938B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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