JP4006792B2 - 感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、白色ポリエステル層を有するフイルムであって、かつ該フイルムを構成する少なくとも他の一層のポリエステル層がリン元素を含有し適正な静摩擦係数を有する感熱転写受像シート用に使用される白色ポリエステルフイルムに関するものである。
【0003】
さらには、銀塩写真に近い画像が得られる階調性の良好な感熱転写用受像層を有した高級感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムに関するものであり、さらにその製造方法に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは優れた物理的、化学的特性を有しており、繊維、フィルム、その他の成形品としてまた受像シート、磁気記録カード、ラベル、宅配便などの配送伝票、表示板、白板などの基材として白色ポリエステルフイルムが使用されている。
【0005】
特に、これらの用途の中で感熱転写受像シートに白色ポリエステルフイルムを使用されることが提案されている。
【0006】
感熱転写受像シート用途に使用する白色フイルムを得る目的で、フイルム中に各種の無機粒子や非相溶樹脂を多量に含有させることが知られている。
【0007】
無機粒子を含有する白色フイルムとしては、特開昭62−158095号公報には二酸化チタンを含有したもの、特開平1−136783号公報、特開平1−241549号公報には炭酸カルシウムを含有したものが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、二酸化チタンを含有したものは、粒子の屈折率が高いため隠蔽力は優れているものの、例えば、450nm以下の低波長領域での分光反射率の低下が認められ、十分な白度を有するフイルムが得られない。また、炭酸カルシウムを含有したものは、炭酸カルシウム自体が安価であるため、得られるフイルムはコスト的に有利であるが、ボイド形成能が低いため見かけ密度も大きく搬送性に不利であり、また二酸化チタンに比較し、白色性、隠蔽性、機械特性は十分ではなく、工業的に使用でき得る粒子径は大きく、フイルムの表面粗さが大きくなり過ぎる欠点がある。さらに、これらの無機粒子を含有したポリエステルは、無機粒子の粒子表面活性が大きく、ポリエステルフイルム製造工程の溶融時にポリエステルとの相互作用により異物の発生またはそれに由来する粗大突起の発生や発泡するなど耐熱性に劣るなどの欠点がある。
【0009】
一方、ポリエステルに非相溶の樹脂を含有する白色フイルムを感熱転写用受像シートとして使用したものとして、例えば特公平4−16078号公報にはポリエステルに非相溶のポリプロピレンなどを含有した白色フイルムなどが開示されている。しかし、ポリプロピレンなどのポリエステルに非相溶の樹脂を含有したフイルムは、フイルム中に微細な空洞が多数発現するために、無機粒子含有フイルムに比較し、白色性とともに低密度化が可能である反面、微細な空洞、あるいは非相溶性樹脂が原因でフイルム表面の強度が低下し、フイルム表面が剥離したり、フイルム自体の強度が低下し、折れ曲がりやすかったり、破れたり、さらには接着性に劣るなどの欠点がある。このため、上述した問題点を解決するために、例えば、特開平3−207694号公報には、ポリエステルに非相溶の樹脂を含有した白色フイルム面にポリエステルや、あるいはポリエステルに無機粒子を含有したフイルムを積層させることが開示されているものの、このような方法ではフイルムの表面接着性はある程度解消できるが、表面形態の精密な制御が困難であるため白色性、プリンター走行性等のフイルム特性とフイルムを製造する際の製膜安定性に必要な耐熱性を両立させた感熱転写用受像シートを得ることは困難であった。
【0010】
本発明の目的は、白色性、隠蔽性、プリンター走行性、機械特性とともに耐熱性に優れた感熱転写用受像白色ポリエステルフイルムを得るために、特定の二種以上のポリエステル層から構成したフイルムでかつその静摩擦係数を特定範囲とすることによって、上記した従来の欠点を解決することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内層が微細気泡を含有する白色ポリエステル層(A)であって、両外層が他のポリエステル層(B)から構成され、ポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)の積層厚み比が(1000×5 / 65〜300)/1000/(1000×5 / 65〜300)であり、かつB層がリン元素および微細粒子を含有してなる白色ポリエステルフィルムにおいて、前記微細粒子に、微細粒子に対して0.01重量%以上のリン化合物で表面処理を行い、該表面処理後の微細粒子をB層中に含有することにより、B層にリン元素と微細粒子を含有せしめ、かつB層表面同士の静摩擦係数(μs)が0.1〜1であり、かつ該フィルムの密度が0.8g/cm 3 以下0.6g/cm 3 以上であり、かつ該フィルムの光沢度が28%以上であり、かつ該フィルムのヤング率が2.74GPa以上3.72GPa以下であることを特徴とする感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルムによって達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、ポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分から構成されたものであり、例えばジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル化もしくはエステル交換反応後重縮合反応によって製造される。ポリエステルの種類についてはフイルムに成形しうるものであればよく、特に限定されない。フイルムに成形しうる好適なポリエステルとしては、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸を使用したものがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボキシレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。もちろん、これらのポリエステルはホモポリエステルであっても、コポリエステルであってもよく、共重合する成分としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4´−スルホニルジ安息香酸等のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体等、さらには、エチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、平均分子量200〜20000のポリアルキレングリコール等を用いることができる。
【0013】
本発明において、白色ポリエステルフイルムを構成する白色ポリエステル層(A)とは、ポリエステルからなる層中に無数の微細な気泡を含有したものであって、この微細な気泡によって光を散乱し、白色不透明とした層である。ポリエステル層中に微細気泡を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、微細気泡生成剤を含有したポリエステルを延伸することでフイルム中に微細気泡を生成させることが好ましい。
【0014】
微細気泡生成剤としては、例えばポリオレフィンに代表されるようなポリエステルに非相溶性の樹脂、あるいは炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸バリウム、タルク等の無機粒子、アクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子などを用いることができる。これらの中で、白色性、隠蔽性、さらには低密度化のためには、ポリエステルに非相溶性のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂が特に好ましい。これらの非相溶性樹脂の中では、白色性、耐熱性、機械特性の点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましく、より好ましくはポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂であり、さらにポリオレフィン系樹脂の中では、白色性、耐熱性、機械特性の点から、ポリメチルペンテンが好ましい。また、これらの非相溶性樹脂は二種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明において、白色ポリエステルフイルムを構成する白色ポリエステル層(A)中の微細気泡生成剤の含有量は、白色性、低密度化、機械特性の点から1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。非相溶性樹脂の含有量が30重量%を越えると、白色性、隠蔽性に優れるものの、耐熱性、機械特性に劣り好ましくない場合がある。
【0016】
また、1重量%未満では充分な微細気泡が発現せず白色度、隠蔽性に劣る場合がある。
【0017】
本発明における白色ポリエステル層(A)には、ポリオキシアルキレングリコールあるいはその共重合体、誘導体を含有してもよく、特に白色ポリエステル層(A)中の微細気泡生成剤が非相溶性樹脂である場合には、ポリエステルと非相溶性樹脂との相溶化剤としての効果を発揮し、非相溶性樹脂の分散状態をコントロールでき、適度な微細気泡の生成が可能となる。特に限定されるものではないが、非相溶性樹脂の分散性、微細気泡の生成の点から、ポリオキシアルキレングリコールあるいはその共重合体、誘導体の含有量は、ポリオキシアルキレングリコール成分として0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%である。含有量が0.1重量%未満では、非相溶性樹脂の分散性に対する効果が小さく、5重量%を越えると熱安定性が低下したりする場合がある。ポリオキシアルキレングリコールあるいはその共重合体、誘導体としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、ポリオキシエチレンゴリコールモノメチルエーテル等を用いることができる。さらにこれらのポリオキシアルキレングリコールあるいはその共重合体、誘導体は、本発明のポリエステルに共重合した後、白色ポリエステル層(A)に含有させてもよい。またこれらのポリオキシアルキレングリコールあるいはその共重合体、誘導体の分子量は特に限定されるものではないが、非相溶性樹脂の分散性、微細気泡の生成の点から、500〜30000が好ましく、より好ましくは1000〜10000である。
【0018】
本発明の白色ポリエステルフイルムを構成するポリエステル層(B)は、溶融製膜によって白色フイルムを製造する際のポリエステルの溶融熱安定性、フイルムの白色性、表面の異物抑制の点から、リン元素を含有する必要があり、リン元素の添加量としては好ましくは100ppm以上、より好ましくは200〜30000ppm、さらに好ましくは300〜20000ppm、最も好ましくは400〜10000ppmである。リン元素量が添加されていないと、溶融製膜時のポリエステルの溶融熱安定性に劣り、発泡が生じたり、フイルム破れが発生するなど製膜性に劣る。
【0019】
本発明のポリエステル層(B)に、リン元素を含有させるために使用するリン化合物は、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体などを用いることができる。具体的にはリン酸、亜リン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニルエステル、リン酸モノあるいはジメチルエステル、ジメチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステルなど、またリン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン等のリン酸金属塩類、さらにはリン酸アンモニウム等のリン化合物を用いることができる。溶融製膜によってフイルムを製造する際の溶融熱安定性、得られるフイルムの白色性などの点から、リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体またはリン酸金属塩類が好ましく、さらに好ましくはリン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸またはそれらの炭素数3以下のアルキルエステル化合物である。また、これらのリン化合物は二種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明のポリエステル層(B)中に、リン元素を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、
(1)ポリエステル層(B)に使用するポリエステルを製造する際の製造工程の任意の段階で、リン化合物を配合・添加する方法、
(2)ポリエステル層(B)に使用するポリエステルとリン化合物を溶融製膜以前の工程で、ブレンドあるいは混合、混練するなどの方法、
等を用いることができる。
【0021】
本発明におけるポリエステル層(B)は、上述したように、リン元素を100ppm以上含有することが重要であるが、得られる白色フイルムにおいて、表面光沢性、白色性、機械特性に優れた白色フイルムを得るために、ポリエステル層(B)中に、さらに微細粒子を含有する。この際の、ポリエステル層(B)の微細粒子の含有量は30重量%以下が好ましく、より好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは5重量%を越え、25重量%以下、特に好ましくは7〜25重量%である。ポリエステル(B)層中の微細粒子の含有量が30重量%を越えると、表面光沢性、溶融製膜時の溶融熱安定性に劣ったり、高温滞留時に粒子表面の活性により、微細粒子とポリエステルとの相互作用が生じ、異物が発生したり、ポリエステルが発泡するなど好ましくない場合がある。
【0022】
本発明のポリエステル層(B)に含有させる微細粒子としては、特に限定されることはなく、無機微細粒子、例えばアクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機微細粒子、あるいは無機物と有機物からなる複合微細粒子であってもよい。これらの微細粒子の中でも、耐熱性、白色性の点から、無機微細粒子が特に好ましい。無機微細粒子としては、例えば炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、クレー、タルク、カオリンなどを挙げることができ、得られるフィルムに十分な白度、隠蔽性を兼備させる点で、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化ケイ素の中から選ばれた少なくとも一種を含有することが好ましい。中でも、少なくとも炭酸カルシウムを含有することが特に好ましい。炭酸カルシウムは天然品、合成品のいずれであってもよく、また、その結晶形態としてはカルサイト、アラゴナイト、バテライトなどいずれであってもよいが、フイルムの白色性、隠蔽性の点から天然品が好ましく、結晶形態としてはカルサイトが好ましい。また他の金属化合物、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素等が含まれていてもよい。さらに炭酸カルシウム以外に他の無機粒子を含有してもよい。また、これらの微細粒子は二種以上を併用してもよい。
【0023】
本発明の微細粒子の粒子径および比表面積は特に限定されることはないが、粒子径は平均粒子径が0.01〜20μm、さらには0.1〜10μm、特には0.2〜5μmであることが白色性、隠蔽性、光沢性の点で好ましい。比表面積は0.5〜100m2 /g、さらには1〜70m2 /g、特には3〜60m2 /gであることが白色性、隠蔽力、光沢性の点で好ましい。粒子径が平均粒子径で20μmを越えたり、比表面積が0.5m2 /g未満であると、フイルムは白色性、隠蔽性に劣り好ましくない場合がある。一方、粒子径が平均粒子径で0.01μm未満であったり、比表面積が100m2 /gを越えると、やはりフイルムの白色性、隠蔽性が劣る場合がある。
【0024】
本発明において、ポリエステル層(B)に使用する微細粒子含有ポリエステルの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば微細粒子をポリエステルに配合・添加する方法などによって得られる。具体的には、
(1)微細粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常の一軸、二軸押出し機を用いて溶融混練する方法、
(2)微細粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダー、ミキサーなどで混合した後、通常のベント式の一軸、二軸押出し機を用いて溶融混練する方法、
(3)ポリエステルの製造反応工程で微細粒子を添加する方法、
等を用いることができる。
【0025】
中でも微細粒子をポリエステルに効率よく高濃度に含有させる、あるいは微細粒子の粒子分散性、得られるフイルムの品質安定性、溶融製膜時の熱安定性などの点から、微細粒子とポリエステルとをベント式の一軸あるいは二軸押出し機を用いて溶融混練する方法が好ましい。
【0026】
また、B層表面の粗大突起を除き平滑な平面を得るため押出機先端にフィルターを取り付け溶融ポリマーを濾過することも望ましい。フィルターの材質としてはカーボン、金属またはセラミックであり、形態としてはそれらの粉体または繊維状物の焼結体が好ましい。
【0027】
本発明におけるポリエステル層(B)中に、リン元素と微細粒子を併用し含有させる方法としては、上述した方法で得たリン元素含有ポリエステルと微細粒子含有ポリエステルとを溶融製膜時に配合し、ポリエステル層(B)としてもよいが、フイルムを製造する際の、溶融製膜時のポリエステルの溶融熱安定性、微細粒子含有ポリエステルの高温滞留時の粒子表面の活性によって生じる、微細粒子とポリエステルとの相互作用による異物発生やポリエステルの発泡抑制などの点から、微細粒子含有ポリエステルを製造する際の、製造工程の任意の段階で上述したリン化合物を配合・添加することが好ましく、特に好ましくは、微細粒子をポリエステルに含有させる際に、予め微細粒子、ポリエステル、リン化合物を混合処理した後、その混合処理品を混練する方法、あるいは微細粒子をリン化合物で表面処理した後、ポリエステルと混練する方法がある。この際に使用するリン化合物量は、特に限定されるものではないが、微細粒子に対して0.01重量%以上が好ましく、さらには0.1重量%〜20重量%、特には2.0重量%〜15重量%が好ましい。微細粒子に対して0.01重量%未満であると、ポリエステルの高温滞留時に異物発生、発泡が生じるため好ましくない場合がある。
【0028】
さらに、微細粒子、ポリエステルおよびリン化合物、あるいは微細粒子とリン化合物の処理方法は、特に限定されるものではないが、例えばロールミル、高速回転式粉砕機、ジェトミル等の粉砕機、あるいはナウタミキサー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用し、物理的に混合する方法を用いることができ、この際、加熱することも好ましく採用することができる。
【0029】
また、本発明の白色ポリエステルフイルムは、溶融製膜によってフイルムを製造する際の溶融熱安定性、ポリエステル中の微細粒子の粒子分散性の点で、白色ポリエステルフイルムから得られる分離物が、FT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトルで1000〜1300cm-1間に吸収バンドを有することが好ましい。分離物がFT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトルで1000〜1300cm-1間に吸収バンドを示さない場合には、ポリエステルの高温滞留時に異物発生、発泡が生じるなどの溶融熱安定性、微細粒子の粒子分散性が劣ったりして好ましくない場合がある。
【0030】
さらに、本発明の白色ポリエステルフイルムは、溶融製膜によってフイルムを製造する際の溶融熱安定性、ポリエステル中の微細粒子の粒子分散性の点で、白色ポリエステルフイルムから得られる分離物が、リン元素を10ppm以上含有することが好ましい。分離物中のより好ましいリン元素含有量は500ppm以上、さらには1000ppm以上、特には2000ppm以上が好ましい。分離物中のリン元素含有量が10ppm未満であるとポリエステルの高温滞留時に異物発生、発泡が生じるなどの溶融熱安定性、微細粒子の粒子分散性が劣ったりして好ましくない場合がある。
【0031】
本発明の白色ポリエステルフイルムから得られる分離物、得られた分離物のFT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトル、リン元素含有量は次の方法で求めたものである。
【0032】
[分離物]
白色ポリエステルフイルムを10倍量のo−クロロフェノールで、150℃、2時間溶解し、得られた溶解液を、分離用超遠心機を用い、遠心力22000Gで60分間遠心分離を行う。分離後、上澄液を傾斜法で除去し、分離物を得る。次いで、分離物中に残存するo−クロロフェノールとポリエステルなどを完全に除去するために得られた分離物に、白色ポリエステルフイルムの溶解に使用したのと同量のo−クロロフェノールを加え、超音波をあてながら30分間撹拌後、再度遠心分離を行い、上澄液を傾斜法で除去する。この操作を計3回繰り返す。次いで得られた分離物に白色ポリエステルフイルムの溶解に使用したo−クロロフェノールと同量のメタノールを加え、超音波を当てながら30分間撹拌後、遠心分離を行い、上澄液を傾斜法で除去する。この操作を計3回繰り返した後、得られた分離物を100℃で24時間真空乾燥し、この乾燥物を白色ポリエステルフイルムから得られる分離物とした。
【0033】
[FT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトル]
上述した分離物をFT−IR(バイオラットデジラボ社製FTS60A/896 分解能4cm-1)の拡散反射法によって測定したスペクトルとポリエステル層(B)に含有させた微細粒子との差スペクトルを求め、分離物のFT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトルとした。
【0034】
[リン元素含有量]
上述した分離物から後に定義する方法で求めた。
【0035】
本発明の白色ポリエステルフイルムから得られる分離物が、FT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトルで特定の吸収バンドを有したり、リン元素を10ppm以上含有することで、溶融製膜によってフイルムを製造する際の溶融熱安定性、微細粒子の粒子分散性が良くなり、さらには白色性に優れたフイルムを得ることができる。
【0036】
本発明の白色ポリエステルフイルムは、上述したように白色ポリエステル層(A)を有するフイルムであって、かつ該フイルムを構成する少なくとも他の一層がリン元素を含有するポリエステル層(B)とから構成されたものであり、特に白色ポリエステル層(A)中に、ポリエステルに非相溶性の樹脂を含有することで、白色性、低密度化に優れ、さらにポリエステル層(B)がリン元素を含有することで、溶融製膜によってフイルムを製造する際のポリエステルの溶融熱安定性が良好で、得られるフイルムは表面光沢性、表面平滑性、機械特性に優れる。さらに、ポリエステル層(B)が、リン元素とともに微細粒子を併用含有することで上記の特性はさらに優れたものとなる。
【0037】
本発明の白色ポリエステルフイルムは、上述したように白色ポリエステル層(A)を有するフイルムであって、かつ該フイルムを構成する少なくとも他の一層がリン元素を含有するポリエステル層(B)とから構成されたものである。内層がポリエステル層(A)であって、両外層がポリエステル層(B)とから構成された三層構造の白色ポリエステルフイルムであり、白色性、隠蔽性、表面光沢性、機械特性の点でよい。ポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)の積層厚み比は、(1000×5 / 65〜300)/1000/(1000×5 / 65〜300)である。
【0038】
本発明の基材となる白色ポリエステルフイルムを製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば白色ポリエステル層(A)を構成するポリエステルとポリエステル層(B)を構成するポリエステルとを乾燥後、別々に溶融して、ダイより共押出し、固化前に積層融着させる。B層にリン元素を含有させることにより粗大突起の生成が抑制されるが、このとき、粗大突起を除くため少なくともB層溶融組成物を金属焼結フィルターで濾過することが好ましい。リン化合物の反応性の観点よりステンレス粉焼結体またはステンレス繊維焼結体が更に好ましい。また本発明の静摩擦係数(μs)を得るための好ましいフィルターのカット精度としては100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、最も好ましくは20μm以下である。もちろん、A層溶融組成物を濾過することもより好ましい方法である。その後、口金より吐出させ冷却ドラム上で冷却固化させ未延伸シートとし、続いて二軸延伸、熱処理し、フイルムにする。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよく、延伸倍率は特に限定されるものではないが通常は縦、横それぞれ2.0〜5.0倍が適当である。また、二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸してもよい。このとき機械軸方向および幅方向の静摩擦係数を適性化しやすいという理由で再延伸は同時二軸延伸で行うことが好ましい。
【0039】
なお、本発明の白色ポリエステルフイルムの各層中には、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに無機粒子以外に有機粒子、例えばアクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機粒子も必要に応じて適宜含有していてもよい。
【0040】
また、本発明の白色ポリエステルフイルムは、感熱受像層を設けるための接着性向上のために、その少なくとも片面に易接着層を設けてもよい。易接着層の種類については特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を挙げることができ、これらの一種もしくは二種以上の混合物およびエポキシ、メラミン、オキサゾリン、イソシアネートなどの架橋剤を併用したものなどを用いることができる。白色ポリエステルフイルムの少なくとも片面に易接着層を設ける方法は特に限定されるものではないが、例えば白色ポリエステルフイルムの製造工程中において結晶配向が完了する前のポリエステルフイルムの表面に、上述したアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の水分散または水溶液を、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、バーコート法などを用いて塗布し、その後延伸、熱固定を経て結晶配向を完了させる方法が好ましい。また、易接着層の厚みは特に限定されるものではないが、接着性の点から、0.001〜5.0μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜2.0μm、さらには0.05〜0.5μmが好ましい。
【0041】
さらに本発明の白色ポリエステルフイルムを感熱転写受像シートとして用いる場合は上記により得られた白色ポリエステルフイルムにさらに感熱転写受像層を設ける。受像層の厚みは特に限定されないが、通常は好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.02〜2μmである。0.01μmより小さい場合、インクとの親和性が不良となる傾向がある。また5μmより大きい場合、印刷濃度、画像再現性やドット再現性に劣る傾向がある。感熱転写記録用受像シートの場合に用いられる受像層形成塗液は環境汚染や防爆性の点で水系が好ましい。
【0042】
上述の方法で本発明の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムを得ることができる。本発明の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムの白色とは、後に定義する白色度が65%以上のものをいう。隠蔽性の点から、白色度は70%以上が好ましく、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0043】
本発明のB層表面同士の静摩擦係数(μs)は0.1〜1である。好ましくは0.3〜0.7、更に好ましくは0.4〜0.6である。この値が大きいほど滑りにくくプリンター走行性が悪い。静摩擦係数(μs)が1を超えるとプリンター走行性が悪く転写しにくく、静摩擦係数(μs)が0.1未満では逆に滑りすぎてカラー時の印刷位置合わせが困難となる場合がある。静摩擦係数を小さくするためには表面粗さを粗くすればよいが、単に粒径の大きな粒子を大量に添加し表面を粗くする方法では、破れなどが起こり製膜性が極めて悪い。また粗くすると表面転写性が低下し転写抜けまたは光沢が低下し印刷の高級感がなくなる問題もある。適度な静摩擦係数を持った白色ポリエステルフイルムを得る方法としては、例えばポリエステル層(B)にリン元素を含有させ粗大粒子を抑制し、場合によっては金属フィルターなどの溶融物の濾過、または同時二軸延伸などを適宜組み合わせることにより得ることができるが、本発明の範囲内であれば上記の方法に限定されない。
【0044】
また、本発明の白色ポリエステルフィルムは、巻き姿の点から、機械軸方向の静摩擦係数(μs(MD))と幅方向の静摩擦係数(μs(TD))との比は0.7〜1.3が好ましく、より好ましくは0.9〜1.1である。この値が大きいと横方向に滑りすぎロール端面のずれを生じやすくなり、一方この値が小さいと縦方向に滑りすぎ瘤上の皺が生じ、巻き姿が悪化しやすくなる。
【0045】
さらに、本発明の感熱転写用受像白色ポリエステルフイルムは、フイルムの密度が0.6〜0.8g/cm3 である。密度が1.35g/cm3 を越える場合は白色性、隠蔽性に劣り好ましくない場合がある。
【0046】
また、本発明の感熱転写用受像白色ポリエステルフイルムは、ヤング率は2.74GPa以上3.72GPa以下である。ヤング率が2GPa未満であると、フイルムの加工品が折れ曲がったり、破れたりし、好ましくない場合がある。
【0047】
また、階調性の高い良好な画像の得られる感熱転写受像シートの用途は明るい画像が好まれる傾向にあるため光沢感があることが好まれる。具体的な光沢度としては30〜120%が好ましい。更に好ましくは30〜100%であり、最も好ましくは50〜80%である。
【0048】
また、良好な感熱転写画像を得るためには、平滑な感熱転写受像面が好ましい。感熱転写受像層のレベリング効果の観点からも平滑で粗大突起の少ない白色ポリエステルフイルムが望ましい。具体的には5μm以上の粗大突起が実質的にないことが好ましい。
【0049】
【特性の測定方法および効果の評価方法】
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は、次の通りである。
【0050】
A.微細粒子の比表面積、粒子径:
比表面積はBET法表面積測定装置で測定し、また、粒子径は堀場製作所製超遠心式粒度分布測定装置 CAPA−700を用いて測定した。
【0051】
B.リン元素量:
a)ポリエステル組成物および分離物中のリン元素量:
ポリエステル組成物および分離物を酸で湿式分解し、リンモリブデンブルー比色法で測定した。
【0052】
b)ポリエステル層(B)のリン元素量:
2次イオン質量分析装置を用いて、白色ポリエステルフイルムのポリエステル層(B)面の表層から深さ1000nm以内の範囲のリン元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(31P+ /12C+ )を求め、測定サンプルにイオン注入法によって得たリン元素量既知フイルムのリン元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(31P+ /12C+ )からポリエステル層(B)のリン元素量を求めた。条件は次の通り。
【0053】
イ.測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS) ドイツ、ATOMIKA社製 A−DIDA3000
ロ.測定条件
1次イオン種 O2 +
1次イオン加速電圧 12kV
1次イオン電流 250nA
ラスター領域 400μm□
分析領域 ゲート率90%
測定真空度 2×10-8Torr
電子スプレー条件 0.6kV−3.0A
C.ポリエステルの固有粘度:
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
【0054】
D.フイルムの耐熱性:
フイルムを十分乾燥した後、窒素雰囲気下で300℃、8時間溶融加熱処理し、そのときの発泡状態、変色などを観察した。
【0055】
E.フイルムの密度:
見掛け密度をASTM−D−1505−68により測定した5個の平均値を用いた。
【0056】
F.フイルムの白色性:
日立自記分光光度計EPE−2を用いてタングステン光源で測定した450nmおよび550nmのフイルムの各反射率R450 およびR550 から次式によって算出した。
【0057】
白色度(%)=4R450 −3R550
G.フイルムの隠蔽性:
マクベス社透過濃度計TD−504で、フイルムの可視光線透過濃度を測定し、隠蔽性とした。ここでいう透過濃度は次式より算出した。
【0058】
O・D=−log(T/100)
ここで O・D:透過濃度[−]
T :可視光透過率[%]
H.フイルムの光沢性:
JIS Z84741に従い、60度鏡面光沢を測定し、フイルムの光沢度を測定した。
【0059】
I.フイルムの強度:
ヤング率はJIS−Z1702−1976に準じて、幅10mm、長さ100mmの短冊片を試料として、20mm/分の引っ張り速度で測定したフイルムの縦および横方向の平均値とした。
【0060】
J.階調性:
本発明で得られた白色ポリエステルフイルムの片面に以下の受像層形成塗液を塗布し感熱転写受像シートを得る。
【0061】
「受像層形成塗液」:
ワックス系組成物(A):アクリル酸−酢酸ビニル−エチレン共重合ワックス水分散体
帯電防止剤(B):予め水酸化カリウムで中和したアシッドホスホオキシ(ポリオキシエチレングリコール)モノメタクリレート(オキシエチレングリコールの繰り返し単位数n=5)/ブチルアクリレート/アクリル酸を70/25/5(重量%)の比率で乳化重合させた分子量約15万のリン酸系導電性ポリマー水分散体
添加粒子(C):シリカ(平均粒径0.3μm)
界面活性剤(D):フッ素系界面活性剤
(A)/(B)を固形分重量比70/30で混合し、水で希釈して固形分濃度1重量%としたものに、(C)を固形分に対して4重量%、(D)を塗液の全重量に対して0.05重量%添加して混合した。
【0062】
上記の受像層形成塗液を、乾燥後の厚みが0.1μmとなるようグラビアコーターで塗布し、120℃で2分間乾燥させ、感熱転写受像シートを得る。
【0063】
カラープリンターとして「Professional Color Point 2」(セイコー電子工業(株)製)、熱転写インクリボンとして専用のCH705(イエロー、マゼンタ、シアン、セイコー・アイ・サプライ(株)製)を用いて、上記で得られた感熱転写受像シートにテストパターン印刷した。そして印刷面の階調性を目視で判定し、以下の3段階評価を行った。B以上を良好とした。なお、このときの印刷は、階調印刷である「PALMIX」モード(8階調)で行った。
【0064】
A:5階調以上が再現できる。
【0065】
B:3階調以上が再現できる。
【0066】
C:階調性が出ない。
【0067】
K.印字品質:
上記Jで得られた転写画像について目視で鮮明さおよびコントラストの程度を下記の5段階で評価した。
【0068】
L.摩擦係数(μs、μs(MD)、μs(TD)):
ASTM−D1894−63に規定された方法に従って、スリップテスターを用いて、フイルムのB面同士の静摩擦係数を縦方向(μs(MD))、横方向(μs(TD))について25℃、65%RHにて測定し、5点の平均値とした。
【0069】
μs=0.5×(μs(MD)+μs(TD))
【0070】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0071】
本発明を説明する原料の調合は以下の方法によった。
【0072】
原料A:
固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートチップと非相溶性樹脂としてポリメチルペンテンを混合し、フィダーを用い押出し機に供給し、温度290℃で混練し、ポリメチルペンテン10重量%含有ポリエチレンテレフタレート組成物を得た。
【0073】
原料B、C:
表1に示した如く、原料Aと同様の方法で、非相溶性樹脂および相溶化剤を混合し、非相溶性樹脂を含有するポリエステルを得た。
【0074】
原料D:
平均粒子径0.9μm、比表面積10.0m2 /gのカルサイト型天然炭酸カルシウムの粉体50重量部および固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートチップ50重量部を容器固定型混合機である(株)カワタ製スーパーミキサー内に仕込み、回転翼の回転数500rpmで攪拌しながら昇温し、缶内温度が50℃に達した時点で、リン化合物としてリン酸トリメチルを炭酸カルシウムに対して6重量%となるように噴霧させながら添加した。その後10分間混合処理した。
【0075】
得られた混合処理品をフィダーを用いベント式二軸押出し機に供給し、ベント口を8torrの真空度に保持し、温度290℃、滞留時間1分で混練し、炭酸カルシウムを50重量%含有するポリエチレンテレフタレートを得た。組成物中のリン元素量は比色法によって測定したところ1300ppmであった。
【0076】
原料E〜H:
表2に示した如く、原料Dと同様の方法で、無機微細粒子の種類、量および表面処理に使用するリン化合物を変更して、リン元素および無機微細粒子を含有するポリエステルを得た。
【0077】
実施例1
白色ポリエステル層(A)として、原料Aのポリメチルペンテン10重量%含有ポリエチレンテレフタレート組成物と固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートとをポリメチルペンテンが5重量%となるように配合・乾燥し、一方、ポリエステル層(B)として、原料Dのリン元素および炭酸カルシウム含有ポリエチレンテレフタレート組成物と固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートとを炭酸カルシウムが14重量%となるように配合・乾燥し、それぞれ別々に常法より溶融した後、シート状に共押出して、積層、融着させて急冷固化し、未延伸積層フイルムを作成した。次いで、この未延伸フイルムを95℃で2.5倍に縦延伸した後、130℃で2.8倍に横延伸し、150℃で縦1.2倍、横1.2倍に同時二軸延伸し、220℃で加熱処理して、内層がポリエステル層(A)65μm、両外層がそれぞれポリエステル層(B)5μmの三層積層フイルムを得た。ポリエステル層(B)のリン元素含有量は370ppm、また、フイルムから得られた分離物はFT−IRの拡散反射法によって得られたスペクトルで1000〜1300cm-1間に吸収バンドを有するとともに、分離物中のリン元素含有量は2400ppmであった。
【0078】
得られたフイルムの特性を表4、表5に示した。白度85%、O・D1.0、ヤング率3.13GPaと白色性、隠蔽性、機械特性ともに優れていた。また、フイルムの耐熱性を評価したところ、発泡も見受けられず、変色もなく耐熱性にも優れるものであった。
【0079】
また、得られたフイルムに感熱転写受容層を塗布し、受像シートとして印字品質を評価したところ、印字の鮮明さ、コントラスト共に良好な画像が得られた。また階調性も良好であった。
【0080】
比較例1
実施例1においてポリエステル層(B)を使用しないで単層で押出した以外は、実施例1と同様の方法で白色ポリエステルフイルムを得た。
【0081】
また、得られたフィルムに感熱転写受容層を塗布し、受像シートとして印字品質を評価したところ、印字の鮮明さ、コントラスト共に不良な画像が得られた。また階調性も不良であった。
【0082】
比較例2
白色ポリエステル層(A)として、原料Aのポリメチルペンテン10重量%含有ポリエチレンテレフタレート組成物と固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートとをポリメチルペンテンが5重量%となるように配合・乾燥し、一方、ポリエステル層(B)として、炭酸カルシウムをリン化合物によって表面処理しない以外は、原料Dと同様の方法で、炭酸カルシウムを50重量%含有するポリエチレンテレフタレートを得た。次いで、該炭酸カルシウム含有ポリエチレンテレフタレート組成物と固有粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレートとを炭酸カルシウムが14重量%なるように配合・乾燥し、それぞれ別々に常法より溶融した後、シート状に共押出して、積層、融着させて急冷固化し、未延伸積層フイルムを作成した。次いで、この未延伸フイルムを95℃で3.0倍に縦延伸した後、130℃で3.36倍に横延伸し、220℃で加熱処理して、内層がポリエステル層(A)65μm、両外層がそれぞれポリエステル層(B)5μmの三層積層フイルムを得た。ポリエステル層(B)からはリン元素は検出されず、また、フイルムから得られた分離物はFT−IRの拡散反射法によって得られたスペクトルで1000〜1300cm-1間に吸収バンドがなく、分離物からはリン元素が検出されなかった。
【0083】
得られたフイルムの特性を表4、表5に示した。O・D0.7、ヤング率3.12GPaと隠蔽性、機械特性は良好であったものの、白度54%と白色性にやや劣り、フイルム表面に気泡による破れ斑点が生じていた。また、フイルムの耐熱性を評価したところ、発泡が激しく、変色も認められ、耐熱性にも劣るものであった。
【0084】
また、得られたフイルムに感熱転写受容層を塗布し、受像シートとして印字品質を評価したところ、印字の鮮明さ、コントラスト共に不良な画像が得られた。また階調性も不良であった。
【0085】
比較例3
実施例1においてポリエステル層(B)に実質的に粒子未添加のPETを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で白色ポリエステルフイルムを得た。
【0086】
ポリエステル層(B)からはリン元素は検出されず、また、フイルムから得られた分離物はFT−IRの拡散反射法によって得られたスペクトルで1000〜1300cm-1間に吸収バンドがなく、分離物からはリン元素が検出されなかった。
【0087】
得られたフイルムの特性を表4,表5に示した。O・D0.8、ヤング率2.55GPaと隠蔽性、機械特性は良好であったものの、白度59%と白色性にやや劣り、フイルム表面に気泡による破れ斑点が生じていた。
【0088】
また、得られたフイルムに感熱転写受容層を塗布し、受像シートとして印字品質を評価したところ、印字の鮮明さ、コントラスト共に良好な画像が得られた。また階調性も良好であった。しかしながら、プリンター走行性は悪いものであった。
【0089】
実施例2、3、5〜7、比較例3
7B層を押し出す押出機に金属フィルター08D(日本精線(株)社製)を装着させB層溶融組成物を濾過した以外は実施例1と同様の方法で表3、表4に示した如く、ポリエステル層(A)、ポリエステル層(B)を変更してフイルムを得た。また、実施例7では、再生原料として実施例1で得られたフイルムを粉砕したものを白色ポリエステル層(A)に20重量%用いた。
【0090】
表4、表5に各種特性結果を示した。
【0091】
実施例2、3、5〜7は本発明の範囲内であり、得られたフイルムは白色性、隠蔽性、機械特性ともに優れていた。また、いずれのフイルムも耐熱性を評価したところ、発泡も見受けられず、変色もなく耐熱性にも優れるものであった。
【0092】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0093】
【発明の効果】
微細な気泡を含有する白色ポリエステル層(A層)を有し、少なくとも他の1層のポリエステル層(B層)がリン元素を含有してなり、かつB層表面同士の静摩擦係数(μs)が0.1〜1であることを骨子とする感熱転写受像シート用白色ポリエステルフイルムであり、白色性、隠蔽性、表面平滑性、画像特性、プリンター走行性、機械特性とともに耐熱性に優れる。
Claims (15)
- 内層が微細気泡を含有する白色ポリエステル層(A)であって、両外層が他のポリエステル層(B)から構成され、ポリエステル層(B)/ポリエステル層(A)/ポリエステル層(B)の積層厚み比が(1000×5/65〜300)/1000/(1000×5/65〜300)であり、かつB層がリン元素および微細粒子を含有してなる白色ポリエステルフィルムにおいて、前記微細粒子に、微細粒子に対して0.01重量%以上のリン化合物で表面処理を行い、該表面処理後の微細粒子をB層中に含有することにより、B層にリン元素と微細粒子を含有せしめ、かつB層表面同士の静摩擦係数(μs)が0.1〜1であり、かつ該フィルムの密度が0.8g/cm3以下0.6g/cm 3 以上であり、かつ該フィルムの光沢度が28%以上であり、かつ該フィルムのヤング率が2.74GPa以上3.72GPa以下であることを特徴とする感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムの白色度が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムの光学濃度が0.8以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルム層(A)が非相溶性樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステル層(A)中の非相溶性樹脂の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項4に記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 非相溶性樹脂がポリオレフィンまたはポリスチレンであることを特徴とする請求項4または5に記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- ポリオレフィンがポリメチルペンテンであることを特徴とする請求項6に記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 微細粒子の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 微細粒子の平均粒子径が0.01〜20μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 微細粒子が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムから本文中に規定した方法によって得られる分離物が、FT−IRの拡散反射法によって得られるスペクトルで1000〜1300cm−1間に吸収バンドを有してなることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルからフィルムから本文中に規定した方法によって得られる分離物がリン元素を10ppm以上含有してなることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- B層表面の機械軸方向の静摩擦係数(μs(MD))と幅方向の静摩擦係数(μs(TD))の比が0.7〜1.3であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- ポリエステル層(B)を溶融押出する際に少なくとも一度金属フィルターで濾過することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
- 白色ポリエステルフィルムを製造する方法において、ポリエステルを逐次二軸延伸後さらに同時二軸延伸することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の感熱転写受像シート用白色ポリエステルフィルム。
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