JP3905646B2 - 微細空隙含有白色ポリエステルフィルム - Google Patents

微細空隙含有白色ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微細空隙含有白色ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは硫酸バリウム粒子、ポリメチルペンテン樹脂および熱可塑性ポリエステルエラストマーを含有し、熱転写シート、画像紙、離形シート、カード、ラベル、表示板、白板等の基板に有用な微細空隙含有白色ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機顔料もしくは他種ポリマーを添加することにより白色化したポリエステルフィルムはカード、ラベル、表示板、白板、印面紙、画像紙等の基板として使用され、また電飾板、製図用、ラベル用等の基板として光透過、光拡散性を有する乳白フィルムが使用されている。
【0003】
これらの白色フィルムや乳白フィルムを得るために、白色無機粒子を適当量ポリエステル中に添加含有させることはよく知られている。例えば、特公昭60−30930号公報には、硫酸バリウム粒子を分散含有せしめた二軸延伸ポリエステルフィルムが開示され、硫酸バリウム粒子のまわりにボイド(空所)が形成され、高い不透明度が得られ、印画紙用べースとして好適であることが記載されている。硫酸バリウム粒子を分散含有せしめた二軸延伸ポリエステルフィルムは、ボイド形成に起因するフィルムの柔軟性、パール調光沢を有する表面性などの特微から、印画紙用べースの他に、各種のハードコピー用フィルムのべース、離形シート、その他種々の用途への展開が期待できる。
【0004】
しかし、この二軸延伸ポリエステルフィルムはその表面性、即ち表面粗さ、光沢度が表裏で異なるという問題があった。この欠点を解消するために、脂肪族金属塩を併用することが、特公平7−68371号公報に開示されている。しかしながら、用途の拡大、特にプリンター用印字基材用途の拡大に伴い、印字適性を改良しながら、さらに機械的強度の保持への要求に応えなければならないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解決し、適度のクッション性を有し、印字、印画適性に優れた白色ポリエステルフィルムを生産性よく提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、硫酸バリウム粒子とポリメチルペンテン樹脂および熱可塑性ポリエステルエラストマーとを含有させることにより、白色のパール調の光沢を持ち、印字適性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明は、メルトフローレートが1〜100g/10分であるポリメチルペンテンを1重量%以上3重量%未満、熱可塑性ポリエステルエラストマーを0.1〜2.0重量%および平均粒径が0.1〜4μmの硫酸バリウム粒子を10〜25重量%含有するポリエステルからなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、該二軸配向ポリエステルフィルムが、見掛け密度1.31〜1.45g/cm3かつ空洞率が10〜22%であることを特徴とする微細空隙含有白色ポリエステルフィルムである。
【0008】
本発明におけるポリエステルは、酸成分とグリコール成分とを重縮合反応させて得られる飽和ポリエステルであって、テレフタル酸を酸成分、エチレングリコールをグリコール成分として製造されるポリエチレンテレフタレートがその代表例として挙げられる。かかるポリエステルは、ホモポリマーであってもよく、また第三成分を共重合したものでもよい。本発明においてはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上有するポリエステルが好ましい。
【0009】
また本発明においてはポリエステルの重合度が低すぎると、機械的強度が低下するので、その固有粘度は0.4以上、さらに0.5〜1.2、特に0.55〜0.85であることが好ましい。なお、固有粘度は、O−クロロフェノール中、35℃で測定した値である。
【0010】
本発明におけるポリメテルペンテン(以下、PMPと略することがある)は、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が4−メチル−1−ペンテンを重合して得られるポリマーである。かかるPMPには、4−メチル−1−ペンテン以外の成分を共重合することもできる。4−メチル−1−ペンテン以外の成分としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン等が例示される。
【0011】
かかるPMPのメルトフローレート(以下、MFRと略することがある)は1〜100g/10分の範囲にある必要があり、好ましくは5〜80g/10分、さらに好ましくは8〜50g/10分の範囲である。MFRが1g/10分未満の場合、未延伸シートを延伸する工程でのフィルムの破断頻度が高くなり好ましくない。またMFRが100g/10分を超えると、最終的に得られるフィルムの見掛け密度が高くなり、フィルムの印字適性の改良という当初の目的に反する上、軽量化できないため好ましくない。
【0012】
また、PMPのポリエステル中への添加量は、ポリエステル樹脂に対し1重量%以上3重量%未満の範囲、好ましくは1.5〜2.5重量%の範囲である。かかる添加量が1重量%未満の場合、最終的に得られるフィルムの見掛け密度が高くなり、空洞率が減少し印字適性が低下するため好ましくない。他方3重量%以上であると、未延伸シートを延伸する工程でのフィルムの破断頻度が高くなり好ましくない。
【0013】
本発明においては、ポリエステルにPMPを配合させるが、この前に予め該PMP樹脂を必要濃度以上に、例えば5〜15重量%をポリエステルに対して含有するマスターチップを作成し、製膜に先立ってポリエステルチップで希釈して所望のPMP濃度を得ることがPMPの分散性を高める上で好ましい。必要に応じてこのマスターチップに硫酸バリウムや他の白色無機顔料を含有(例えば練り込み含有させる)させても良い。この白色無機顔料の代表例として、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化珪素、タルク、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等があげられる。また、無機顔料の平均粒径は0.1〜4μmが望ましい。
【0014】
ポリエステルとPMP樹脂の混合、または白色無機顔料とPMP樹脂およびポリエステル樹脂の混合は公知の混合手段を用いることができるが、溶融混練法で行うのが好ましい。たとえば、PMP樹脂およびポリエステル樹脂を、必要に応じて白色無機顔料を一軸または二軸押出磯で溶融混練し、マスターチップとする方法が挙げられる。
【0015】
本発明における熱可塑性ポリエステルエラストマー(以下、TPEEと略することがある)は、PMP添加によるデラミ(層状剥離)性の発生を抑制する効果がある。かかるTPEEは、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体であり、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウム等の如き芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸成分の少なくとも一種、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオールまたはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれた低分子ジオール成分の少なくとも一種および平均分子量が約400〜5000のポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも一種の3成分からなるブロック共重合体を挙げることができる。
【0016】
これらの中、デラミ性改良の点から、ポリテトラメテレンテレフタレート系ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。このハードセグメントを構成するポリエステル部分は、テレフタル酸またはこれとイソフタル酸を組合せた酸成分とテトラメチレングリコール成分とからなるポリテトラメチレンテレフタレートを主たる成分とするが、この酸成分の一部(通常30モル%以下)を他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置き換えることや、グリコール成分の一部(通常30モル%以下)をテトラメチレングリコール成分以外の低分子グリコール成分で置き換えたポリエステルであってもよい。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分の一部は、テトラメチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置き換えたポリエーテルであってもよい。
【0017】
本発明におけるTPEEには、安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じ含有させることができる。またTPEEの重合度は、固有粘度で0.8〜1.7、さらには0.9〜1.5であることが好ましい。なお、固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃で測定した値である。
【0018】
本発明におけるTPEEの融点は160〜230℃の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは180〜220℃の範囲である。TPEEの融点が160℃未満または230℃より高い場合、フィルムの耐デラミ性が改良されず、好ましくない。
【0019】
本発明において、ポリエステル中へのTPEEの配合割合はポリエステル樹脂に対し0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%である。TPEEの添加量が0.1重量%未満の場合、最終的に得られるフィルムの耐デラミ性が向上せず、好ましくない。また、2重量%を超えてTPEEを添加しても耐デラミ性の効果は飽和してしまう。
【0020】
本発明における硫酸バリウム粒子はその製法によって限定されることはなく、例えば沈降性硫酸バリウム、水簸性硫酸バリウム等を好ましく挙げることができる。かかる硫酸バリウムは市場から容易に入手することができる。硫酸バリウム粒子の平均粒径は0.1〜4μm、好ましくは0.4〜3μmさらに好ましくは0.6〜1.8μmである。平均粒子径が0.1μm未満であるとポリエステル中に均一に分散させることが困難であり好ましくない。また4μmより大きい硫酸バリウムは製造コストが高く、かつ得られた硫酸バリウムの粗大粒子や凝集粒子によりフィルム延伸時の破断が多くなり好ましくない。
【0021】
硫酸バリウム粒子は粒子径ができるだけ揃っていること、換言すると粒径分布がシャープであることが好ましく、この為ポリエステルに添加する迄の任意の段階で分級処理を施すことが好ましい。この分級処理は任意の方法を用いることができ、例えば濾別法、沈降分級法、風力分級法、サンドグラインダー法等を挙げることができる。
【0022】
硫酸バリウム粒子のポリエステル中への添加量は10〜25重量%であり好ましくは15〜20重量%である。この含有量が10重量%より少ないと、所望の空洞率が得られず、クッション性が低下するばかりか白色度が不足し、フィルムに印刷をした場合鮮鋭性が損なわれ好ましくない。また、ポリエステル中の硫酸バリウムの含有量が25重量%を超えると、フィルム延伸時の破断が多くなり好ましくない。
【0023】
本発明において、ポリエステルに硫酸バリウムを配合させる方法としては、予め該硫酸バリウムを必要濃度以上に、例えば30〜70重量%をポリエステルに対して含有するマスターチップを作成し、製膜に先立ってポリエステルチップで希釈して所望の硫酸バリウム濃度を得ることが硫酸バリウムの分散性を高める上で好ましい。その際の混合手段としては公知の混合手段を用いることができるが、溶融混練法で行うのが好ましい。
【0024】
本発明においては硫酸バリウム粒子と共に融点120〜320℃、さらに好ましくは融点が150℃〜280℃の脂肪酸金属塩を添加してもよい。融点が120℃より低いものはポリエステルの溶融押出時に気化し易いこと、また製膜工程中の加熱工程で脂肪酸金属塩がフィルム表面にブリードアウトし、製膜工程中のロール表面を汚す等の問題が発生し、好ましくない。一方融点が320℃より高いものはポリエステル中に均一に分散せしめることが困難となり、好ましくない。また、フィルムを形成するポリエステルとの関係で、脂肪酸金属塩の融点は、該ポリエステルの融点より50℃以上高くない、さらには20℃以上高くないことが好ましい。上記融点を満足する脂肪酸金属塩の中でも炭素数8以上の脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。さらに具体的にはステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム等が好ましく例示できる。特に好ましくはステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウムを挙げることができる。
【0025】
ポリエステル中の脂肪酸金属塩の含有量は、硫酸バリウム粒子に対するモル比が0.005〜0.050となるようにすることが望ましい。該含有比が0.005より小さくなると、実質的に有効なポリエステルの降温時結晶化を抑制する効果が発現しない。一方該含有比が0.050を超えると、ポリエステルの結晶化を抑制する効果がほぼ飽和して増大せず、さらに該含有比が大きくなるとむしろ抑制効果が減少する傾向を示すので好ましくない。この結晶化抑制効果により、延伸工程での破断が防止でき、製品フィルムの表裏差を実質的に無くすことができる。
【0026】
硫酸バリウム粒子と脂肪酸金属塩の添加時期は製膜以前の段階であれば特に制限されない。例えばポリエステル製造時、殊にエステル化反応もしくはエステル交換反応終了後に添加する方法、ポリエステル製造後に添加する方法、一種の添加物を含有するポリエステルに残りの添加物を混合し、溶融混練する方法、一種の添加物を含有するポリエステルと残りの添加物を含有するポリエステルとを溶融混練する方法等を挙げることができる。さらに硫酸バリウム粒子と脂肪酸金属塩を同時にポリエステルチップと混ぜ溶融混練してもよく、この方法はポリエステルの結晶化を抑制する効果が他の方法より顕著で好ましい。
【0027】
なお、この添加含有量の調整方法として、予め硫酸バリウム粒子と脂肪酸金属塩を所定比率で、かつ高濃度のマスターチップを得、これを硫酸バリウム及び脂肪酸金属塩未添加のポリエステルで希釈する方法を好ましく用いることができる。また必要に応じて、例えば二軸延伸フィルムの隠蔽性(遮光性)の向上、表面粗さの制御のため、硫酸バリウム以外の無機微粒子を適量含有せしめてもよく、フィルムの色相を制御するために蛍光増白剤、有色顔料、染料などを添加してもよい。
【0028】
次に、本発明のフィルムの製造方法について具体的に説明する。
【0029】
本発明の二軸配向フィルムはその製造法によって制限されることはなく、例えば従来から知られている逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、インフレーション法等によって製造することができる。これらのうち逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法においては、所定の組成のポリエステルをダイを通して溶融押出し、予め20〜40℃程度に設定されたキャスティングドラム上にて急冷固化せしめ未延伸フィルムを得る。得られた未延伸フィルムの厚みは0.25mm以上であることが好ましい。未延伸フィルムはその後、一般によく知られた条件で延伸するが、流れ方向に1.5〜4.5倍、これと直角方向に1.5〜4.5倍、面積倍率で6〜15倍に延伸するのが好ましい。延伸温度は、90℃〜140℃が好ましい。
【0030】
また二軸延伸後、必要に応じて熱固定を行うことができる。熱固定温度は180〜250℃が好ましい。二軸延伸後のフィルム厚みは25〜250μmであることが好ましい。
【0031】
必要に応じて工程中に表面改質剤(各種易接着、帯電防止等)を片面または両面に塗布することができる。この場合塗布工程は縦延伸の後が好ましい。
【0032】
本発明のフィルムの見掛け密度は、1.31〜1.45g/cm3の範囲であり、好ましくは1.31〜1.40g/cm3の範囲である。1.31g/cm3未満であると機械的な強度や延伸性が不足するため好ましくない。また1.45g/cm3より大きい場合はクッション性が不足して印字適性が不十分で、かつ重く好ましくない。
【0033】
本発明のフィルムの空洞率は10〜22%の範囲であり、好ましくは13〜20%の範囲である。空洞率が10%未満ではクッション性が不足し、印字適性が不十分であり望ましくない。また22%を超すと製造時に延伸性が悪く、フィルム切断による歩留まりが低下し望ましくない。
【0034】
見掛け密度と空洞率は、前述に記載の配合成分、配合量そして製膜条件の好ましい範囲を選択することにより、好適な範囲の値が得られるものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、各特性値の測定方法は下記の通りである。
【0036】
(1)見掛け密度
10cm×10cmの大きさの試料を採り、その試料の厚みをマイクロメーターで測定し、試料の体積を求め、次いで試料の重量を測定し、1cm当りの重量を算出する。試料数を5枚として、その平均値を見掛け密度とする。
【0037】
(2)空洞率
下記式に従って計算して求めた。
空洞率(%)=(1−見掛け密度/真密度)×100
上記式中、真密度は、ポリマー密度、顔料密度および添加量から計算して求めた値である。
(ポリエステルの密度:1.40g/cm3 硫酸バリウムの密度:4.47g/cm3
【0038】
(3)粒子の平均粒径
島津製作所製CP―50型セントリフュグル パーティクル サイズ アナライザー(Cenirifugal Particle Size Analyzer)を用いて測定した。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とした(Book「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0039】
(4)融点
柳本製作所製MICRO MELTING POINT APPARATUSを用いて測定した。
【0040】
(5)メルトフローレート
ASTM D−1238に準じ、260℃、5kg荷重下で測定した。
【0041】
(6)破断強度
引張試験機(東洋ボールドウィン製,テンシロン)を用いて,温度20℃、相対湿度50%に調節された室内において、幅10mm、長さ150mmにサンプリングした該フィルムを、チャック間100mm、引張速度10mm/分にて引っ張り、得られた応力−歪み曲線の破断時の応力から求めた。
【0042】
この破断強度が11kg/mm2未満であるとフィルムを所望のサイズに裁断する際破断を生じ易く、またプリンターなどの印刷機器での搬送不良を起こし易くなるため好ましくない。
【0043】
(7)濡れ性
▲1▼接触角: 協和科学(株)製接触角精密測定装置CA−1型を使用し、ASTM D2578−1967の方法に準じて測定した。純水をフィルム地膚面(塗工されていない面)上に滴下、1分後の水滴の形状を写真撮影し、画面上から接触角を読み取った。n=5の平均値を接触角とする。
▲2▼塗工性:縦延伸後のフィルムに実施例および比較例で示した組成の水溶液(水分散性共重合ポリエステル樹脂、水分散性アクリル樹脂、架橋アクリル樹脂フィラー、界面活性剤を56:25:10:9の割合で含む4%濃度水溶液)をロールコーターで塗布したときの塗布面を目視観察し、下記の基準で評価した。
○:塗液のはじきの無いもの
×:塗液のはじきの有るもの
【0044】
(8)延伸性
未延伸シートをまず縦方向に、次いで横方向に所定条件で延伸する時、フィルムの破断頻度により、下記の基準で評価した。
○:殆ど破断が起こらない
△:時々破断するが製品はできる
×:度々破断し、定尺品ができない
【0045】
(9)印字適性
フィルムの塗布面側に下記組成のインク受容層を3μm(固形分)の厚みにバーコートした後、日立製 VY200プリンターにてプリントしプリント状態を観察し下記の基準で評価した。
<顔料受容性組成物>
ポリエステル樹脂 70重量部(バイロン200:東洋紡製)
ポリエステル樹脂 30重量部(バイロン290:東洋紡製)
アミノ変性シリコーン 5重量部(KF393:信越化学工業製)
エポキシ変性シリコーン 5重量部(X22−343:信越化学工業製)
メチルエチルケトン 350重量部
トルエン 350重量部
<評価基準>
○;印字、画像が鮮明
×;印字、画像が不鮮明で一部欠落している
【0046】
(10)耐デラミ性
フィルムの地膚面側(塗工処理されていない面)に18mm幅のセロテープを貼り、貼付部分の10cmの長さに亘って直径20mmの金属ロールを圧着し、10往復させてセロテープを密着させた後、セルハンテープを密着させた後、セロハンテープの端を持って急速に引き剥がす。この時セロハンテープにフィルムが剥ぎ取られた面積の程度により、下記の基準で評価した。
○:殆ど剥がれないか、剥がれても長径2mm以下の剥がれが5個所以内
△:剥がれた面積が全体の30%未満
×:剥がれた面積が全体の30%以上
【0047】
(11)固有粘度
O−クロロフェノール溶液に溶かし35℃の条件にて測定した。
【0048】
[実施例1〜6、比較例1〜7]
固有粘度([η])が0.64のポリエチレンテレフタレート樹脂(ポリエステルAと称する)、ポリエステルAと表1に記載された平均粒径の沈降性硫酸バリウム粒子を夫々170℃で3時間乾燥しポリマー中の硫酸バリウム濃度が40重量%になるように二軸押出機に供給し、280℃で溶融混練し、急冷固化して硫酸バリウムマスターチップ(ポリエステルBと称する)、表1記載されたメルトフローレートのポリメチルペンテン樹脂とTPEEおよびポリエステルAとを混合し、二軸押出機で混練したマスターチップ(ポリエステルCと称する)を作成した。そして、ポリマー中の硫酸バリウム濃度、ポリメチルペンテンの含有量、メルトフローレートおよびTPEEの含有量が表1に記載される値となるように、ポリエステルAと各マスターチップ(ポリエステルB、ポリエステルC)をブレンドし、160℃で乾燥したのち、280℃で溶融押出し、40℃に保持したキャスティングドラム上で急冷固化せしめ未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを100℃で縦方向に2.8倍に延伸後、フィルムの片面にテレフタル酸−イソフタル酸−スルホイソフタル酸−エチレングリコール−ネオペンチレングリコール共重合体を56重量部、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル−アクリル酸−メタクリルアミド−Nーメチロールアクリルアミド共重合体を25重量部、架橋アクリルフィラー(40nm径)を10重量部及びエチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体を9重量部の割合で含む4%濃度水溶液(塗液)を上記フィルムの片面にロールコーターで塗布し、次いで120℃で横方向に3.0倍に延伸したのち、240℃で熱処理し、厚みが100μmの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0003905646
【0050】
実施例のフィルムは白色ポリエステルフィルムとして満足な特性を示している一方、比較例のフィルムは本発明の要件を満たしていないため、不満足な結果である。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、適度のクッション性を有し、印字、印画適性に優れた白色ポリエステルフィルムを、安定した製膜性をもって提供することができる。本発明の微細空隙含有ポリエステルフィルムは、プリンター用画像紙を始めとして、被熱転写シート、カード、表示板、白板、印画紙、電飾板、製図用紙、離形シート、金属フィルム、蒸着粘着テープの基材として有用に用いることができる。

Claims (1)

  1. メルトフローレートが1〜100g/10分であるポリメチルペンテンを1重量%以上3重量%未満、熱可塑性ポリエステルエラストマーを0.1〜2.0重量%および平均粒径が0.1〜4μmの硫酸バリウム粒子を10〜25重量%含有するポリエステルからなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、該二軸配向ポリエステルフィルムが、見掛け密度1.31〜1.45g/cm3かつ空洞率が10〜22%であることを特徴とする微細空隙含有白色ポリエステルフィルム。
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