JP4001307B2 - 微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびビデオプリンター用受像紙 - Google Patents

微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびビデオプリンター用受像紙 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細気泡含有積層ポリエステルフィルムおよびそれをベースフィルムとするビデオプリンター用受像紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種コンピューター、計算機、測定器、複写機、ファクシミリ等のプリンター用受像紙(印字受容体)としては、比較的安価な紙などの支持体上に印字受容層を設けたものが一般的である。
ところが印字用途の急速な多様化に伴い、画質に更なる精細さを要求されるケースが増えてきている。銀塩写真調の画質を要求されるビデオプリンター用受像紙もその一例である。
【0003】
従来のように天然紙そのものを支持体とすると、色材受容層に天然紙表面の粗れが影響し、精細な画像が得られない。また、一般の写真印画紙に倣い、紙にポリオレフィンフィルムを貼合わせて表面の平滑性を改良した受像紙も採用されているが、受像紙製造工程における熱履歴やプリント時に印加される熱が、耐熱性に劣るポリオレフィンフィルムにダメージを与えると言う問題がある。また、耐熱性に優れる微細気泡含有積層ポリエステルフィルムは、通常中間層(微細気泡含有)の粗れがフィルム表面から見えないように、表層に白色顔料を配合し隠蔽性を付与している。ただし、この表層白色顔料含有系では、フィルム表面の光沢が十分でなく、美麗な画像が得られにくいと言う問題がある。
【0004】
微細気泡を含有しながら表層高光沢を満足するには、白色顔料を配合しないクリアなポリエステル層を積層することが好ましいが、この場合、従来の微細気泡含有層は粗れが大きく、クリア層を通して粗れが透けるため、印字画像がちらつき、精細度を欠くと言う問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、耐熱性に優れ、かつ適度な柔軟性および高光沢を有し、例えばビデオプリンター用受像紙に用いたときに良好な印刷適性を呈するフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する積層フィルムによれば、上記課題を容易に解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、密度(ρ)が0.50〜1.20g/cmの微細気泡含有ポリエステルA層と、密度(ρ)がρよりも0.10g/cm以上高くかつ1.10g/cm以上のポリエステルB層とを積層してなるフィルムであって、B層表面の60゜光沢度(G60)と20゜光沢度(G20)が下記式(1)および(2)を同時に満足し、ポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂のA層中の含有量An(重量%)および界面活性剤のA層中の含有量As(重量%)が下記式(3)および(4)を同時に満足し、B層を構成するポリエステルが、白色顔料を実質的に含有しないことを特徴とする微細気泡含有積層ポリエステルフィルム存する。
【0007】
【数2】
20≧G60−50 ………(1)
20≧30 ………(2)
0.005An≦As≦0.2An ………(3)
3≦An≦40 ………(4)
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層フィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルと、グリコ−ルとを主たる出発原料として得られるポリエステルであり、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、さらにはフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等の一種または二種以上を使用することができる。グリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、さらにはジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の一種または二種以上を用いることができる。
【0009】
本発明の積層フィルムのB層を構成するポリエステルは、実質的に白色顔料を含有しないことが好ましく、さらにはエチレンテレフタレートもしくはエチレン2,6−ナフタレートを主なる構成単位とすることが好ましい。
ここで言う白色顔料を実質的に含有しないとは、例えば二酸化チタン等の白色顔料の含有量が、合わせて1.0重量%未満であること、好ましくは0.1重量%未満であることを言う。
【0010】
ポリエステルB層中に実質的に白色顔料を含有しないことで、積層フィルムのB層側表面の光沢度の向上が効率的になされ、高光沢発現のためのB層厚みを低減できる。その結果、積層フィルム全体の柔軟性が比較的維持されるため、色材受容体として高濃度で精細な画像受容性を呈するために有利である。
本発明の積層フィルムが、昇華型、溶融型等の感熱転写用受像紙基材として十分に高濃度で精細な画像受容性を呈するために、微細気泡を含有するA層の持つクッション性と断熱性が有効に作用している。ここでB層表面に透ける粗れ(ちらつき)を低減し光沢を向上させるために、A層中の気泡のサイズは、より微細でかつ多数あることが好ましい。このようなA層を得るためには、ポリエステルに異種の熱可塑性樹脂を配合し、さらに相当量の界面活性剤を添加して押出し、少なくとも一軸方向に延伸する方法が好ましく用いられる。
【0011】
上記に言う異種の熱可塑性樹脂とは、ポリエステルとともに混練、溶融させた際にポリエステルと相溶せず、ポリエステル中に球状、楕円状、糸引き状等の形で分散する(海島モデル)熱可塑性樹脂を指す。
ポリエステルに対して非相溶な上記熱可塑性樹脂のA層中での含有量An は、ポリエステルとの合計量に対する割合として、通常3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%の範囲である。An が3重量%未満の場合は、フィルム中に形成される気泡の量が少な過ぎるため、十分に軽量化されかつクッション性を備えたフィルムを製造することができない場合がある。一方、An が40重量%を超える場合は、フィルムの機械的強度や熱安定性が不足し、また微細気泡を含有しないB層を積層したとしても、積層フィルム表面が十分に平滑とならないことがある。かかるフィルムは、風合いおよび鮮明な印刷性が要求される受像紙等の用途には不適当になる。またAn が40重量%を超える場合には、延伸時にフィルム破断が頻発するといった生産性上の問題が生じることもある。
【0012】
ここでポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリメチルブテン等のポリオレフィンのほか、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステル等が挙げられるが、これらの中では、コストや生産性の観点からポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンが好ましく、さらに好ましくはポリプロピレンである。なお、以下の説明においては、ポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂をポリプロピレンで以て代表する。
【0013】
上記のポリプロピレンとしては、通常95モル%以上、好ましくは98モル%以上がプロピレン単位を有する結晶性ポリプロピレンホモポリマーが好ましい。非晶性ポリプロピレンの場合は、フィルム製造工程において未配向ポリエステルシートの表面にポリプロピレンがブリードアウトし、冷却ドラムや延伸ロール等の表面が汚染されやすい。また、プロピレン単位以外の例えばエチレン単位が5モル%を超えて共重合されているポリプロピレンの場合は、微細気泡の生成が不足する傾向にある。
【0014】
上記のポリプロピレンのメルトフローインデックス(MFI)は、通常1.0〜30g/10分、好ましくは2.0〜15g/10分の範囲から選択される。MFIが1.0g/10分未満の場合は、生成する気泡が大きくなり過ぎ、延伸時に破断が起こりやすく、MFIが30g/10分を超える場合は、フィルム密度の経時的均一性が悪化して、製造ラインにて生産性が悪化することがある。
【0015】
本発明では、A層中に界面活性剤を含有させることが好ましく、界面活性剤としては非イオン系界面活性剤が好ましい。ここで言う界面活性剤とは、異なる融液ポリマーのブレンド体において、その界面の性質を著しく変じるもの、すなわちポリエステルと当該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂の界面において両者の相溶性を高める作用を持つ化合物を指す。具体的にはポリアルキレングリコール型類、多価アルコール型類、シリコーン系類、等の非イオン系界面活性剤が好ましく、中でもシリコーン系界面活性剤が好ましい。より具体的にはオルガノポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体やポリオキシアルキレン側鎖を有するアルケニルシロキサン等が界面活性化作用が高く、好ましい。
【0016】
A層中における上記界面活性剤の含有量As (重量%)は、ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂の含有量An (重量%)との関係で、0.005An ≦As ≦0.2An であることが好ましく、より好ましくは0.01An ≦As ≦0.1An である。As が0.005An に満たない場合、非相溶樹脂が十分に微分散しないことから、積層フィルム表面(B層側)の光沢が損なわれる傾向にある。一方、As が0.2An を超える場合、もはや非相溶樹脂の微分散化を促進する効果が向上しない上、フィルムの白色度を低下させる等、フィルム品質上悪影響をきたす傾向がある。
【0017】
本発明においては、積層フィルムのB層表面の60゜光沢度(G60)と20゜光沢度(G20)が以下の関係式を満たすことが必要である(JIS Z 8741−1983の方法3および5参照)。
【0018】
【数4】
20≧G60−50 ………▲1▼
20≧30 ………▲2▼
【0019】
B層表面のG20が(G60−50)%未満もしくは30%未満の場合、受容した画像の光沢感、精細さが不足する。G20は(G60−40)%以上でかつ50%以上が好ましく、さらに好ましくは(G60−30)%以上でかつ70%以上である。
【0020】
また、G20が120%を超える場合には、フィルム表面の滑り性が悪化し、キズが入りやすくなる、インクシートとスティッキングして画像抜けを生じる、複数枚の受像紙が重なって搬送される等の問題を生じることがある。したがって、G20の上限は100%が好ましい。
B層の厚みtは通常11μm以下であり、好ましくは1〜8μmである。B層厚みが11μmを超えると、画像を受容する積層フィルム表面の柔軟性が損なわれる傾向にある。一方、B層厚みが1μm未満では、B層表面の光沢が不足する傾向がある。
【0021】
本発明の積層フィルムのB層表面の粗度Raは通常0.03〜0.30μmである。このRaが0.03μmより小さい場合は、フィルム表面が平坦過ぎて、光沢度が上限を超えた場合と同様の問題が生じることがある。一方、0.30μmを超えると、受容した画像の精細さが欠けると言う問題を生じることがある。好ましいRaの範囲は0.04〜0.20μmであり、さらに好ましくは0.05〜0.15μmである。
【0022】
本発明の積層フィルムのA層の密度ρA は、0.50〜1.20g/cm3 、好ましくは0.60〜1.10g/cm3 、さらに好ましくは0.70〜1.05g/cm3 の範囲である。A層の密度が1.20g/cm3 を超える場合は、気泡の含有量が少なすぎ、本発明の積層フィルムが優れた画像受容性を呈するために必要なクッション性が損なわれるので好ましくない。一方、A層の密度が0.50g/cm3 未満の場合には、フィルムの機械的強度や熱安定性が不足し、品質上、また生産連続性の面でも悪影響がある。
【0023】
また、積層フィルムのB層の密度ρB については、ρA よりも0.10g/cm3 以上高くかつ1.10g/cm3 以上である必要があり、好ましくはρA よりも0.10g/cm3 いじょうたかくかつ1.20g/cm3 以上、さらに好ましくは1.30g/cm3 以上の範囲内である。ρB がρA よりも0.10g/cm3 以上高くかつ1.10g/cm3 以上の条件を満たさない場合には、B層表層の光沢度が十分に向上されず、G60とG20の差も低減しない傾向にある。
【0024】
本発明の積層フィルムのA層ポリエステル原料の固有粘度IVは、0.55以上0.80以下であることが好ましい。A層ポリエステル原料の固有粘度が0.55未満の場合は、製膜時にフィルム破断が起こりやすくなり、かつ気泡の大きさが不均一になって密度のコントロールが難しくなるため生産性が低下する傾向がある。一方、IVが0.80を超えると、微細気泡の生成が抑制される傾向にある。
【0025】
積層フィルムのB層ポリエステル原料の固有粘度IVは、A層と同程度であっても異なっていてもよいが、生産連続性を高める上ではA層のIV値より高い方が好ましい。
本発明の積層フィルムは、特にビデオプリンター等の各種受像紙に使用される際、美麗な画像を得ると言う観点から、白色でかつ高い隠蔽度を備えていることが好ましい。そこで本発明のフィルムに白色性、隠蔽性を付与するため、二酸化チタン、硫酸バリウム、およびその他の公知の白色顔料を添加してもよい。さらに白色度を一層高めるため、蛍光増白剤を併用することも有効である。
【0026】
白色顔料は2種類以上含有させることもできるが、その場合、少なくとも二酸化チタン、硫酸バリウムまたは炭酸カルシウムを含有させることが好ましい。
これらの添加剤はAB両層に添加することができる。ただしB層表面の光沢向上のため、A層にのみ添加し、B層を構成するポリエステルは白色顔料を実質的に含有しないことが好ましい。A層における白色顔料の好ましい含有量は、1〜20重量%、さらには2〜15重量%である。
【0027】
好適に使用し得る蛍光増白剤の例としては、チバガイギー社製の商品「ユビテック」、イーストマン社製の商品「OB1」等が挙げられる。各層における蛍光増白剤の好ましい含有量は、0〜0.30重量%の範囲である。
本発明の積層フィルムの透過濃度は、通常0.3以上であり、好ましくは0.5以上である。透過濃度が0.3未満の場合は、フィルムの遮光性が不足し、受像紙として(受容画像)の品質が低下する。
【0028】
また本発明の積層フィルムの白色度は、JIS L1015−1992のC法によるW値で表すことができる。通常フィルムW値は75以上であり、好ましくは80以上である。W値が75より小さい場合には、色彩の変調により、受像紙として(受容画像)の高級感を損なう傾向にある。
【0029】
本発明の積層フィルム表面に滑り性を付与するために、B層に適宜粒子を添加することができる。特にB層に上記白色顔料を添加しない場合、かかる粒子の添加が有効である。添加粒子の例としては、シリカ、アルミナ等の酸化金属、炭酸カルシウム等の塩、その他架橋高分子からなる有機粒子等が挙げられる。添加する粒子の粒径は通常3μm以下である。粒径が3μmを超えると、B層が接する層との間で界面剥離を生じたり、フィルムからの粒子の脱離、光沢度の低下等の問題を生じる傾向がある。またその添加量は通常2重量%以下、好ましくは0.7重量%以下である。添加量が2重量%を超えると、粒子の脱離や光沢度の低下等の問題が生じる傾向にある。
【0030】
なお本発明においては、ポリエステルおよび/または当該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂中に前記の白色顔料、蛍光増白剤、滑剤の他にも、必要に応じて公知の酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、界面活性剤などの添加剤を配合することができる。
本発明のフィルムは、異なる原料配合からなる少なくとも二つの層AおよびBから構成されている。そしてフィルム化には、一般に所定に配合されたポリマーを溶融、押出しした後、少なくとも一軸方向にロール延伸法、テンター法等に従って延伸を施せばよい。なお、微細気泡を良好に形成するとともにフィルム強度や寸法安定性を適度に満足させるためには、二軸延伸方法および熱処理方法を併用することが好ましい。
【0031】
ここで二軸延伸を用いた場合の一例を詳細に説明する。
層構成はB/A/Bの2種3層もしくはB/Aの2種2層が基本となるが、更なる多層構成であっても差し支えない。まず、各層に対する配合の原料を、各層に対応する押出機に供給し、各押出機ライン毎に溶融混練した後、各層のポリマーを、通常マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てダイへ導く。
【0032】
次に、ダイから押し出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性、冷却効果を向上させるためには、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法が好ましく採用される。
【0033】
静電印加密着法とは、通常、シートの上面側にシートの流れと直交する方向に線状電極を張り、該電極に約5〜15kVの直流電圧を印加することによりシートに静電荷を与え、ドラムとの密着性を向上させる方法である。
次いで、得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。本発明のポリエステルフィルムに含有する微細気泡は、かかる延伸によって生成される。
【0034】
まず、通常70〜150℃、好ましくは75〜130℃の延伸温度、通常2.5〜6.0倍、好ましくは3.0〜5.0倍の延伸倍率の条件下、前記未延伸シートを一方向(縦方向)に延伸する。かかる延伸にはロールおよびテンター方式の延伸機を使用することができる。次いで通常75〜150℃、好ましくは80〜140℃の延伸温度、通常2.5〜6.0倍、好ましくは3.0〜5.0倍の延伸倍率の条件下、一段目と直交する方向(横方向)に延伸を行い、二軸配向フィルムを得る。かかる延伸には、テンター方式の延伸機を使用することができる。
【0035】
上記の一方向の延伸を2段階以上で行う方法も採用することができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが好ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が7〜30倍になるように同時二軸延伸することも可能である。熱処理は、150〜250℃で、30%以内の伸長、制限収縮または定長下で1秒〜5分間行う。二軸延伸後、さらに110℃〜180℃の温度で縦方向に1.05〜2.0倍再延伸を行った後、熱処理する方法も採り得る。この際、再縦延伸前熱固定、再縦延伸後縦弛緩、再縦延伸前または後微小倍率縦延伸等の手法を適宜採用することも可能である。また、同様に横方向に再延伸を行ってもよい。また、必要に応じて製膜工程内で各種の表面処理等を施しても構わない。
【0036】
また上記の微細気泡含有積層ポリエステルフィルムの厚さは、通常20〜250μm、好ましくは25〜200μmの範囲となる。
本発明のフィルムは、その特徴を生かし、積層フィルム単体として、また紙、合成紙、プラスチックフィル等の他の素材との貼合わせ体としてビデオプリンター用を始めとする各種感熱転写用受像紙、ラベル、記録紙、ポスター、シールプリント用台紙、平版印刷板、包装材料、付箋などに好適に使用される。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例におけるシリコーン系界面活性剤は東レ・ダウシリコーン社製「SH193」を示す。また各種評価方法は以下に示すとおりである。
【0038】
(1)ポリエステルの固有粘度IV (dl/g)
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および白色顔料を除去したポリエステル1gに対し、フェノール/テトラクロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒を100mlの比で加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)融点(℃)
パーキンエルマー社製DSC7型を用いて昇温速度:10℃/分で測定し、得られた結晶融解によるピーク(ピークトップ)の温度を融点とした。
【0039】
(3)メルト・フロー・インデックス MFI (g/10分)
JIS K−7210−1995に従って、230℃、21.2Nで測定した。この値が高いほどポリマーの溶融粘性が低いことを示す。
(4)添加物の平均粒径(μm)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)で測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径とした。
【0040】
(5)光沢度(%)
JIS Z−8741−1983の方法3(60゜光沢度)、同方法5(20゜光沢度)によって、B層表面のMD方向に光を入射して測定した。なお測定面はキャスト面(キャストロール接触面側)に相当した。測定数nは3とし、その平均値を算出した。
(6)中心線平均表面粗さRa(μm)
小坂研究所製の万能表面形状測定器SEー3Fを用いて測定した。下記の条件でB層表面につき12回測定し、上下2点を除いた10点の平均値をとった。
・触針先端径:2μm ・測定力:0.03gf
・測定長 :2.5mm ・カットオフ値:0.8mm
【0041】
(7)フィルム密度(g/cm3
フィルムの任意の部分から10cm×10cmの正方形のサンプルを切り出し、重量を測定した。次いでマイクロメーターで任意の9ヶ所の厚みを測定し、その平均値と重量とから単位体積当たりの重量を計算し、積層フィルムの密度値とした。測定数nは5とし、その平均値をフィルム密度とした。またAB各層の厚みを走査型電子顕微鏡で観察し、B層の密度値からA層の密度値を算出した。
(8)透過濃度
マクベス濃度計TD−904型を使用し、ビジュアル光による透過濃度を測定した。測定点数nは5とした。この値が大きいほど光線透過率が低いことを示す。
【0042】
(9)白色度(W値)
日本電色工業(株)製測色計300A型(C光源2゜視野)を用いて、JISL1015−1992のC法によりB層表面を測定した。測定点数nは5とし、その平均値を算出した。
(10)プリント時の画像光沢感、精細度の評価
積層フィルムサンプルをダイアホイルヘキスト社製ポリエステルフィルムW900E100(厚み100μm)に貼合せた後、ビデオプリンター(シャープ社製GZ−P11W)にて、色材受容層を塗工したB層側のフィルム面上に熱転写記録を行い、得られたハードコピーの画質を目視にて観察し、画像の光沢感および精細度(ちらつき)の観点から、最も高品質と認められるものを3、3に次いで高品質と認められるものを2、やや劣るが実用可能レベルの物を1、光沢感が低くもしくは精細度に欠け実用上問題あるものを×、として評価した。
【0043】
実施例1
固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレートチップに対し、MFIが10g/分の結晶性ポリプロピレンチップを15重量%、シリコーン系界面活性剤を1.2重量%、平均粒径0.3μmの酸化チタンを2.5重量%および蛍光増白剤OB1を0.05重量%配合して均一にブレンドしたポリエステル原料A1を調整した。
【0044】
また、実質的に顔料、粒子を含有しない固有粘度:0.68のポリエチレンテレフタレート原料B1を作製した。
上記の各原料を各々別個のベント式二軸押出機中に投入し、280℃で溶融し、得られた溶融体を同一のダイスに導き、原料A1が内層、原料B1がその両外層となるように溶融積層してスリット状に押出し、30℃のキャストロール上にて冷却し2種3層の未配向シートを得た。そしてフィルムの流れ方向(縦方向)に80℃で3.4倍ロール延伸した後、さらに横方向に105℃で3.2倍テンター延伸し、さらにテンター延伸機内で220℃で5秒間熱処理を行い、最終的に厚み比4/30/4μmの微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの特性は下記表1に示すとおりである。
【0045】
実施例2
実施例1において、原料A1中のシリコーン系界面活性剤含有量を0.4重量%とする以外は実施例1と同様にして、微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。
実施例3
実施例2において、シリコーン系界面活性剤の含有量を0.2重量%とし、原料B1中に平均粒径1.45μmの二酸化珪素を600ppm配合する以外は実施例2と同様にして、微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。
【0046】
比較例1
実施例1において、原料B1中に平均粒径0.3μmの酸化チタンを7.0重量%および蛍光増白剤OB1を0.05重量%配合する以外は実施例1と同様にして、微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。
比較例2
実施例1において、原料A1中のシリコーン系界面活性剤含有量を0.05重量%とする以外は実施例1と同様にして、微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。
【0047】
比較例3
実施例1において、原料A1中のシリコーン系界面活性剤含有量を4.0重量%とする以外は実施例1と同様にして、微細気泡を含有する二軸配向フィルムを得た。
以上、得られた結果をまとめて下記表1および2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004001307
【0049】
【表2】
Figure 0004001307
【0050】
【発明の効果】
本発明のフィルムは、高い光沢感を有し、ちらつきのない均一性のある表面を呈するフィルムであり、ビデオプリンター用受像紙等の印字基材として用いるのに好適であり、その工業的価値は非常に高い。

Claims (2)

  1. 密度(ρ)が0.50〜1.20g/cmの微細気泡含有ポリエステルA層と、密度(ρ)がρよりも0.10g/cm以上高くかつ1.10g/cm以上のポリエステルB層とを積層してなるフィルムであって、B層表面の60゜光沢度(G60)と20゜光沢度(G20)が下記式(1)および(2)を同時に満足し、ポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂のA層中の含有量An(重量%)および界面活性剤のA層中の含有量As(重量%)が下記式(3)および(4)を同時に満足し、B層を構成するポリエステルが、白色顔料を実質的に含有しないことを特徴とする微細気泡含有積層ポリエステルフィルム。
    Figure 0004001307
  2. 請求項1に記載の微細気泡含有積層ポリエステルフィルムのB層表面に色材受容層を設けてなることを特徴とするビデオプリンター用受像紙。
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