JP2010077258A - ポリエステル組成物およびそれを用いたフィルム - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれを用いたフィルム Download PDF

Info

Publication number
JP2010077258A
JP2010077258A JP2008246475A JP2008246475A JP2010077258A JP 2010077258 A JP2010077258 A JP 2010077258A JP 2008246475 A JP2008246475 A JP 2008246475A JP 2008246475 A JP2008246475 A JP 2008246475A JP 2010077258 A JP2010077258 A JP 2010077258A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
polyester composition
film
calcium carbonate
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008246475A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5163396B2 (ja
Inventor
Hitoshi Yoshimura
仁 吉村
Yuzo Shimizu
有三 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2008246475A priority Critical patent/JP5163396B2/ja
Publication of JP2010077258A publication Critical patent/JP2010077258A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5163396B2 publication Critical patent/JP5163396B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Abstract

【課題】 粒子分散性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、色調、ヘイズなどの透明性、耐電圧等の電気特性、また、コストにに優れたポリエステル組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】平均粒子径が0.2〜2.0μmであり、鉄成分を鉄元素として10〜300ppm含有し、0.1〜2重量%の多価カルボン酸化合物で表面処理されたカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子を0.005〜5.0重量%含有し、かつ、特定の化学構造を有するリン化合物をリン元素として10〜100ppm含有することを特徴とするポリエステル組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル組成物およびそれからなるフィルムに関するものであり、詳しくはポリエステル組成物に特定の特徴を有する炭酸カルシウム粒子および特定の構造を有するリン化合物を配合することで、粒子分散性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、色調、ヘイズなどの透明性、耐電圧等の電気特性、また、コストに優れることから磁気記録媒体用、離型用、コンデンサ用フィルムとして好適なポリエステル組成物およびフィルムに関するものである。
一般的にポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートは優れた力学特性、化学特性を有しており、磁気記録媒体用、一般工業用、感熱孔版用、リボン用、反射板用、光学用、食品包装用、紙代替用、離型用、電気絶縁用、コンデンサ用フィルムなど幅広い用途で使用されている。
例えば磁気記録媒体用ポリエステルであれば、易滑性付与のためにポリエステル中に不活性粒子を含有せしめ、成形品の表面に凹凸を形成し、摩擦係数を低下させる方法が数多く提案されている。なかでも炭酸カルシウム粒子は、種々の粒子径のものを製造することができ、しかも比較的安価なことから、従来より多くの提案があり、例えば特許文献1には、炭酸カルシウムと他の粒子種との併用等がある。この方法で得られたポリエステルフィルムの易滑性は改善される。しかしながら、近年特に磁気テープ用途においては、記録密度の上昇に伴い、ベースフィルムに対する要求項目は、より厳しくなり、易滑性、平坦性および耐摩耗性の高度な両立が必要となってきた。これらの要求に対し粒子とポリエステルとの親和性を向上させ、粒子の脱落を防ぐ目的で、粒子の表面処理、例えば特許文献2には、リン酸カルシウムで表面処理すること等が提案されている。また、粒子の結晶構造に着目したもの、例えば特許文献3にはバテライト型炭酸カルシウムや、粒子の形状に着目したもの、例えば特許文献4には、立方体炭酸カルシウムによる易滑性、耐摩耗性の両立が提案されている。しかし、いずれも近年の磁気記録媒体用用途でのますます厳しくなる粒子分散性の向上、表面粗大突起数の低減、低コスト化の要求等満足できるものではなかった。
また、近年の工材用途フィルムの品質向上要求から、主に磁気材料用途に使用されていた炭酸カルシウム粒子含有ポリエステル組成物については、工業材料用途への積極的な展開が行われている。
しかし、例えば、離型用途においては、具体的にはセラミックコンデンサ生産時に使用されるグリーンシート用、液晶偏光板用、フォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキシ樹脂等をコ−ティングして製造される多層基板用などに好適に使用できるが、これらの各種用途については、近年の精密化要求などに伴い、使用される離型フィルムについても微細な欠点の無い、均一な品質が要求されるようになってきた。離型用フィルムから成形される成形体の品質は、基材として使用されるフィルムの精度や品質、特に表面欠点の有無にかかっているが、単なる炭酸カルシウム粒子含有ポリエステル組成物の該用途への転用のみで、それらの特性を十分満足できるものではなかった。
また、コンデンサ用途においても、更なる極薄化要求、それに伴う微量金属成分削減による電気特性の向上の要求、また、ますます厳しくなるコストダウン要求に対して従来の技術では、十分満足できるものはなかった。
特開昭52−78953号公報 特開平1−92265号公報 特開平5−179015号公報 特開平6−345947号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、近年ますます厳しくなる粒子分散性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、色調、ヘイズなどの透明性、耐電圧等の電気特性、また、コストに優れたポリエステル組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
前記した本発明の目的は、平均粒子径が0.2〜2.0μmであり、鉄成分を鉄元素として10〜300ppm含有し、0.1〜2重量%の多価カルボン酸化合物で表面処理されたカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子を0.005〜5.0重量%含有し、かつ、下記式(1)で表されるリン化合物をリン元素として10〜100ppm含有することを特徴とするポリエステル組成物によって達成される。
Figure 2010077258
(但し、式中、R、R2、は炭素数1以上10以下の炭化水素基である。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。m、nは、0または1である。)
本発明の特定の特徴を有する炭酸カルシウム、特定の構造を有するリン化合物を含有したポリエステル組成物を使用したフィルムは、粒子分散性、耐磨耗性、耐スクラッチ性、色調、ヘイズなどの透明性、耐電圧等の電気特性が良好となり、かつ、低コストで製造することができる。また、本発明のポリエステルフィルムは、その特性から、特に磁気記録媒体用、離型用、コンデンサ用フィルムとして好ましく用いることができる。
炭酸カルシウムには製造方法により、天然の炭酸カルシウムを粉砕、分級した重質炭酸カルシウムと、水酸化カルシウムに炭酸ガスを吹き込む方法等で合成した軽質炭酸カルシウムが挙げられるが、本発明における炭酸カルシウム粒子としては、粒度分布がシャープであり、粒子径制御が容易であるという点で、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)であることが必要である。
また、炭酸カルシウムの結晶形は、カルサイト、アラゴナイト、バテライトの3通りの結晶形が挙げられるが、本発明においては、高温下での重合および製膜を実施する際に、熱的に安定なカルサイト形である必要がある。バテライト、アラゴナイト型は、高温時での熱安定性に乏しいため、重合および製膜を行う際に若干粒子が凝集し、粒子分散性に劣るため好ましくない。結晶構造の区別は従来行われる方法、すなわちX線回折法等によって決定できる。
炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.2〜2.0μmであることが必要であり、好ましくは0.3〜1.8μm、より好ましくは0.4〜1.6μmである。ポリエステルフィルムの滑り性を付与するためには、ある程度の粒子径が必要であり、かつ、逆に大きすぎるとポリエステルフィルムに粗大な突起が発生して、耐摩耗性を低下させる。
本発明における炭酸カルシウム粒子は、凝集性の制御あるいはポリエステルとの親和性向上のために多価カルボン酸化合物で表面処理することが必要である。多価カルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸、スベリン酸、ピメリン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸などの飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和ジカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体およびこれらの金属塩、アンモニウム塩ならびにアルキルエステルやグリコールエステルが挙げられる。カルサイト型合成炭酸カルシウム粒子とポリエステルとの親和性およぼ粒子分散性の観点からポリアクリル酸とその誘導体の共重合物およびその金属塩が特に好ましい。
上記表面処理の量は、炭酸カルシウム粒子に対して0.1〜2重量%であること必要がある。粒子分散性の観点から好ましくは0.3〜1.8重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%である。0.1重量%未満の場合は、表面処理量が少なく炭酸カルシウム粒子に凝集傾向が見られ、また、2重量%より多くても同様に炭酸カルシウム粒子に凝集傾向が見られる。
本発明の炭酸カルシウムは、その合成のプロセスにおいて、最終段階で粉砕処理を実施することで制御することができる。製法の一例を挙げると、常法にて得られた炭酸カルシウム粉末をエチレングリコール懸濁液とし、この懸濁液に表面処理剤を加えた後に、湿式粉砕を行う。ここで表面処理剤の量および湿式粉砕の処理条件を適宜調節することにより、目的とする粒径の粒子を得ることができる。
また、該炭酸カルシウムの鉄成分の含有量は、鉄として10〜300ppmである必要がある。色調の観点からは好ましくは10〜250ppm、より好ましくは10〜200ppmである。鉄の含有量が300ppmより多い場合は、炭酸カルシウム粒子が凝集しポリエステル組成物の濾圧を上げてしまい、ポリエステルフィルムの粗大突起も増加する。また、ポリエステル組成物およびそのフィルムの色調b値が高くなり離型用途に使用した場合に透明性に劣り、コンデンサに使用した場合には絶縁性に劣る電気特性となるため好ましくない。一方、10ppm未満とすることは粗原料である石灰乳からの持込分があり、技術的にこれ以上少なくすることは困難である。鉄成分の含有量を少なくする方法としては、特に限定されないが使用する原料である石灰石(CaCO)において鉱山を選定し、鉄成分含有量の少ないものを使用するか、合成時のpHを調整したり、キレート剤を添加する方法等が挙げられる。炭酸カルシウム粒子は、該石灰石(CaCO)をコークスと共に焼成して生石灰(CaO)とし、水を加えて石灰乳(Ca(OH))とした後、炭酸ガスと反応させることで得られる。
本発明における炭酸カルシウムのポリエステル組成物に対する含有量は0.005〜5.0重量%、好ましくは0.01〜4.0重量%である。含有量が0.005重量%未満ではフィルム等に成形したときに易滑性が不十分となり、一方5.0重量%を越えると分散性が低下し、フィルム表面に粗大突起が発生するなど表面の平坦性が悪化するため好ましくない。
本発明におけるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸あるいはそのジアルキルエステル等の二官能成分とグリコール成分を主原料として重縮合反応によって製造されるポリエステルである。特に、このうちポリエチレンテレフタレートを主体とするものが好ましく、製造方法としては、特に限定はされないが、芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルを主原料としたものに対してコスト的に非常に安価な芳香族ジカルボン酸を主原料としたものが好ましい。コストが低くなる理由としては、主原料の原単位差によるものが最も大きい。但し、製造コストが安価な芳香族ジカルボン酸を主原料として使用する場合は、通常、添加する粒子は凝集傾向になることから、特に、リン化合物の選定および粒子の表面処理、粒子添加時のエチレングリコールのモル比等が非常に重要になる。
該ポリエステルは、共重合成分として20モル%以下を他のジカルボン酸やグリコール成分で置き換えてもかまわない。かかる共重合成分の例として、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸成分、およびテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリオキシアルキレングリコール、p−キシリレングリコール、1、4−ヘキサンジメタノール、5−ナトリウムスルホレゾルシン等のジオール成分が挙げられる。また、必要に応じて耐熱安定剤や、抗酸化剤、帯電防止剤の添加物を加えてもかまわない。
本発明のポリエステル組成物は、エステル化反応またはエステル交換反応後、重縮合反応を実施することで得られる。但し、低コスト化の観点からは、エステル化反応で実施することが望ましい。エステル化反応ならびに重縮合反応で製造する際に、エステル化反応性、耐熱性の点からエステル化反応開始前のジオールとジカルボン酸成分のモル比は、1.05〜1.40の範囲であることが好ましい。より好ましくは、1.05〜1.30、さらに好ましくは、1.05〜1.20である。モル比が1.05未満では、エステル化反応が効率的に進まないためタイムサイクルが長くなり商業的なプロセスとしては好ましくなく、炭酸カルシウム粒子の凝集による粗大粒子が発生したりする場合がある。逆にモル比が1.40を超えると副生するジエチレングリコールの増加により、耐熱性が低下したり、粒子分散性が悪化しフィルム中の欠点数が増加する場合がある。
本発明のポリエステル組成物の製造方法において、エステル化反応ならびに重縮合反応で製造する際は、エステル化反応が終了してから、炭酸カルシウム粒子を添加するまでの間に、粒子分散性を向上させ、粗大粒子を抑制する点から低重合体の平均重合度を2.0〜7.0とすることが好ましい。好ましくは2.0〜5.0、より好ましくは、2.0〜3.0である。平均重合度が7.0を超えた後に炭酸カルシウム粒子を添加すると、粒子の分散が阻害され凝集が起こる。また、平均重合度が2.0未満の場合、粒子凝集が急速に進み、ポリエステル組成物中に粗大粒子が生成する。平均重合度を2.0〜7.0とする方法は、特に限定されないが、エステル化反応工程が終了した後、ジオールを追加添加する方法が好ましい。追加添加するジオールの量は、粒子分散性、生産性を考慮すると、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比が1.45〜2.25となるような範囲であることが好ましい。より好ましくは、1.55〜2.15、さらに好ましくは1.65〜2.05となるような範囲である。モル比が2.25より高い場合は、ジオールを追加添加した際に反応温度が急激に低下するため、その時点で炭酸カルシウム粒子を添加すると凝集傾向となったり、温度の復帰を長時間待った場合は、ジエチレングリコールの副生やタイムサイクルの延長を招くため好ましくない。また、モル比が1.45未満の場合も、十分な解重合がなされないため、粒子が凝集傾向となり好ましくない。
本発明の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸およびエチレングリコールでエステル化反応を開始し、反応終了後に、A.アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、リン化合物、ジオール成分を順に添加し、低重合体の平均重合度が2.0〜7.0の範囲で炭酸カルシウム粒子を添加後、引き続き重縮合反応によりポリエステル組成物を製造する方法、B.アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、リン化合物の順に添加し、一定時間溶融保持させ、低重合体の平均重合度が2.0〜7.0の範囲で炭酸カルシウム粒子を添加し、引き続き重縮合反応によりポリエステル組成物を製造する方法、C.ジオール成分、炭酸カルシウム粒子を順に添加した後、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物、リン化合物を順に添加し、引き続き重縮合反応によりポリエステル組成物を製造する方法を挙げることができる。生産性を考慮すると、Aの方法が好ましい。
本発明のリン化合物は、炭酸カルシウム粒子の粒子分散性、粗大粒子の低減、さらには、ポリエステルの溶融熱安定性や色調、更には異物抑制の観点から、下記式(1)で示されるリン化合物を添加する必要がある。特に従来一般的に使用されているリン酸を使用した場合は、非常に酸性度が高いため炭酸カルシウム粒子が凝集したり、リン酸自体が分解しやすいため高温での反応時に黒色異物を発生させたりするため好ましくない。
リン化合物の含有量は、ポリエステル中のリン元素量として、10〜100ppmであることが必要で、より好ましくは15〜85ppm、さらに好ましくは20〜80ppmである。リン元素量が10ppm未満では、炭酸カルシウム粒子の粒子分散性が悪化したり、粗大粒子が生成したりする場合がある。また、100ppmを超える場合には、重合反応時間が遅延しポリエステル組成物の生産性が低下する場合がある。また、該リン化合物の効果は、エステル化反応ならびに重縮合反応で製造する際により顕著である。
Figure 2010077258
(但し、式中、R,R,Rは炭素数1以上10以下の炭化水素基である。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。m、nは、0または1である。)
本発明のリン化合物は、式(1)で示される化合物であれば特に限定されるものでなく、例えばトリメチルホスホノアセテート、メチルジエチルホスホノアセテート、エチルジメチルホスホノアセテート、エチルジエチルホスホノアセテート、トリエチル3−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノプロピネート、トリエチル2−ホスホノブチレート、tert−ブチルジエチルホスホノアセテート、トリメチル2−ホスホノアクリレート、トリエチル4−ホスホノクロトネート、アリールジエチルホスホノアセテート、ジエチル(2−オキソ−2−フェニルエチル)ホスホネート等を挙げることができる。上記したリン化合物は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらのリン化合物のうちでも特に、炭酸カルシウム粒子の粒子分散性、粗大粒子低減、異物抑制の観点からエチルジエチルホスホノアセテートが好ましい。またこれらのリン化合物の添加時期としては、エステル化反応が終了してから、炭酸カルシウム粒子を添加するまでの間に添加することが好ましく、添加方法としては、エチレングリコール溶液、またはエチレングリコールスラリーとして添加することが好ましい。
なお、炭酸カルシウム粒子を熱可塑性ポリエステルへ含有せしめるための添加時期は任意でよいが、好ましくはエステル化反応後から重縮合反応前の間である。なお、このような反応系に添加する製造方法以外に溶融したポリエステルに直接練り込んでもかまわない。
本発明におけるアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物は、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属化合物としては、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物のうちリチウム化合物、カリウム化合物が粗大粒子低減の点から好ましい。また、アルカリ土類金属化合物としては、カルシウム、マグネシウムなどの酢酸塩、酸化物が好ましく、特に粒子分散性の観点から酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムが好ましい。このようなアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の添加時期としては、エステル化反応が終了してから、炭酸カルシウム粒子を添加するまでの任意の時期に添加することが好ましく、添加方法としては、エチレングリコール溶液、またはエチレングリコールスラリーとして添加することが好ましい。これらは、二回以上に分割して添加したり、二種以上の化合物を併用して添加しても構わない。
本発明におけるポリエステル組成物の固有粘度は、得られるフィルムの強度、加工性等の点で、0.40dl/g以上が好ましく、より好ましくは0.45〜1.0dl/gである。
また、本発明のポリエステル組成物には、他の熱可塑性組成物、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等、また各種の添加剤、例えばカルボジイミド、エポキシ化合物等の末端封鎖剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等、さらに本発明の炭酸カルシウム粒子以外の各種粒子、例えばシリカ系無機粒子、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、二酸化チタン等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等も必要に応じて適宜含有していてもよい。
本発明の製造方法から得られるポリエステル組成物は、ポリエステルフィルムに成型することができる。ポリエステルフィルムは、未延伸のシート状でもよいし、一軸または二軸に延伸された延伸フィルムであってもよい。また、製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下の製法を挙げることができる。すなわち、ポリエステル組成物を乾燥後、溶融押出しして未延伸シートとし、続いて二軸延伸、熱処理しフィルムにする。二軸延伸は縦、横逐次延伸あるいは二軸同時延伸のいずれでもよく、延伸倍率は、通常、縦、横それぞれ2〜5倍が適当である。また、二軸延伸後、さらに縦、横方向のいずれかに再延伸してもよい。この際、本発明のポリエステル組成物と各種のポリエステルとを混合してもよく、該ポリエステルは、本発明のポリエステルの触媒や添加物と同一であっても、異なってもよい。
上述した方法で、本発明のポリエステルフィルムを得ることができ、各種用途に使用できるが、特に磁気記録媒体用、離型用、コンデンサ用ポリエステルフィルムに好適に使用できる。
磁気記録媒体用途に関しては、近年、磁気記録システムのコンパクト化が進み、テープの走行系はますます厳しくなっており、磁気テープには固定ピンなどとの耐削れ性が求められている。そこで、表面の平滑性を損なわず、高速巻取り性、耐削れ性に優れたポリエステルフィルムとして好適に使用できる。
離型用ポリエステルフィルムに関しては、具体的にはセラミックコンデンサ生産時に使用されるグリーンシート用、液晶偏光板用、フォトレジスト用、またポリエステルフィルム上にエポキシ樹脂等をコ−ティングして製造される多層基板用などに好適に使用できる。これらの各種用途については、近年の精密化要求などに伴い、使用される離型フィルムについても微細な欠点の無い、均一な品質が要求されるようになってきた。離型用フィルムから成形される成形体の品質は、基材として使用されるフィルムの精度や品質、特に表面欠点の有無にかかっている。本発明のポリエステル組成物を使用することで、表面の平滑性に優れ、特にフィルム表面の微細な欠点が少ない離型用ポリエステルフィルムを提供することができる。
また、コンデンサ用途に関しては、近年の電気機器の小型化に伴い、フィルムコンデンサも小型化の要求が高まる傾向にあり、このような状況下で使用されるフィルムは、さらに薄膜化し、フィルムにかかる電位傾度が高まるため、フィルムコンデンサが絶縁破壊を起こす問題があるが、本発明のポリエステル組成物は、金属成分の含有量が少なく、粒子分散性に優れることから絶縁破壊抵抗値の高い電気特性に優れたフィルムを得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)炭酸カルシウム粒子の平均粒子径
粒子のエチレングリコール分散液を水に希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA700)を用いて粒度分布の測定を行う。光線透過率80〜95%になるように水希釈濃度を調整し、測定温度25℃、循環速度570ml/minで測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒子径を平均粒子径とした。
(2)炭酸カルシウム粒子の結晶構造
RIGAKU製X線回折RAD−2Cにより測定した。X線回折で2θ=29.4に強いピークがあればカルサイト結晶とした。
(3)ポリエステル組成物の固有粘度
25℃でオルトクロロフェノール中、0.1g/cc濃度で測定した。
(4)ポリエステル組成物の色調
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピューター形式SM−3)を用いて、ハンター値(L値、b値)として測定した。
(5)ポリエステル低重合体の平均重合度
高速液体クロマトグラム(島津製LC−10ADvp)を用いて重合度分布を測定し、平均重合度を算出した。
(6)炭酸カルシウム粒子およびポリエステル組成物の金属元素量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、各元素に対する蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
(7)ポリエステル組成物のカルボキシル末端基濃度
Mauriceの方法に準じた。ポリエステル組成物2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mlに溶解し、N/20−NaOHメタノール溶液によって滴定し、カルボキシル末端基濃度を測定し、当量/ポリエステル10gの値で示した。
(8)ポリエステル組成物のDEG(ジエチレングリコール)含有量
ポリエステル組成物をモノメタノールアミンで加熱分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。
(9)ポリエステル組成物中の粒子分散性
粒子分散性はポリエステル組成物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、以下の方法により判定した。
○:粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されない。
△:粒子同士の凝集による粗大粒子がわずかに観察される。
×:粒子同士の凝集による粗大粒子が多く観察される。
(10)ポリエステル組成物中のポリマー濾過性
ポリエステル組成物中の粗大粒子量の指標として、富士フィルター製フジメルトスピニングテスター(MST−C400)を用いて濾過圧力を測定した。ポリエステル組成物のチップをあらかじめ150℃で4時間乾燥後、メルトスピニングテスターのシリンダー温度300℃で、濾過面積2.0cmのフィルタ−目開き5μm焼結繊維フィルター、吐出量10g/minの条件下測定し、6時間後圧力と初期圧力Pの差を濾過圧力ΔPとして判定した。濾過圧力が小さいほど、粗大粒子量が少なく良好である。
(11)ポリエステルフィルムの表面粗大突起の数
フィルムの測定面100cm同士を2枚重ね合わせて静電気力(印加電圧5.4kV)で密着させた後、2枚のフィルム間で粗大突起の光の干渉によって生じるニュートン環から粗大突起の高さを判定した。突起高さ0.5〜1.0μmに相当するものの個数を数えた。尚、光源はハロゲンランプに564nmのバンドパスフィルターをかけて用いた。
(12)ポリエステルフィルムの滑り性
ポリエステルフィルムをASTM−D−1894B法に従って測定した。フィルムの滑り
性の目安として動摩擦係数(μd)を用いた。数値が小さいほど滑り性が良好である。
(13)フィルム表面粗さ(SRa、SRz値)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて測定し、得られたる表面のプロファイル曲線より、JIS・B0601に準じ、算術平均粗さSRa値、十点平均面粗さSRz値を求めた。測定条件は下記のとおり。
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
表面の中心線平均粗さSRaが15〜35nm、十点平均粗さSRzが1000nm以下を合格レベルとした。
(14)ポリエステルフィルムの耐摩耗性
ポリエステル組成物を通常の方法で二軸延伸フィルムとし、1/2インチにスリットしたテープ状ロールをステンレス鋼SUS304製ガイドロールに巻き付け角60°、250m/分の速度、張力95gで500mにわたって擦りつけ、ガイドロール表面に発生する白粉量によって次のようにランク付けし、2級以上を合格とした。
1級・・・白粉発生まったくなし
2級・・・白粉発生が少量見られる
3級・・・白粉発生が見られる
4級・・・白粉発生がかなり多い
(15)ポリエステルフィルムの耐スクラッチ性
前記したフィルムの耐摩耗性の評価を行い、その時にフィルムに入った傷を50倍顕微鏡で観察し、視野あたりの傷の本数を求め、2級以上を合格とした。
1級・・・全く傷がない
2級・・・傷が1〜3本
3級・・・傷が4〜10本
4級・・・傷が11本以上
(16)ポリエステルフィルムのヘイズ
JIS K7105−1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM−2DP(C光用))を用いて測定した。
(17)ポリエステルフィルムの色調
フィルムを東京電色(株)製「TC−1800MKII」を用いてJIS Z−8722の方法に準じて、透過法によるb値を測定した。
(18)フィルムコンデンサ製造の際の加工性(素子巻収率)
ポリエステルフィルムの片面に、表面抵抗が2Ω/cmとなるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するようにストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅39.0mm、マージン部の幅1.0mmの繰り返し)。次に、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅20mmのテープ状に巻き取り、リールにした。得られたリールの左マージンおよび右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部から0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約20μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW−4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま130℃の温度と20kg/cmの圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型のフィルムコンデンサ素子を得た。
上記のフィルムコンデンサの製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、シワやズレが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(以下、これを素子巻収率と称する。)。素子巻収率は、高いほど好ましい。素子巻収率が95%以上のものを優「○」とし、95%未満80%以上のものを良「△」とし、そして80%未満のものを不良「×」とした。良「△」以上のものが、実用可能なレベルである。
(19)フィルムコンデンサの耐電圧評価
上記の方法で得られたフィルムコンデンサ素子を試料とし、春日製高電圧直流電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、10mA以上流れたときに絶縁破壊したとした。絶縁破壊電圧は、50個の測定結果の平均値をフィルム厚みで割り返した値を耐電圧とした。耐電圧が0.350kv/μm以上のものを良好と評価し優「○」とし、そして0.350kv/μm未満を不良「×」とした。
実施例1
(炭酸カルシウム粒子の製造)
鉄元素を60ppm含有する石灰乳にCO2ガスを導通して炭酸化反応を完結させ、得られた炭酸カルシウム粒子シードの水分散体に石灰乳を添加しながら1.1μmの粒径まで熟成させたあと、脱水した。該炭酸カルシウム粒子の鉄元素含有量は、70ppmであった。その後、ポリアクリル酸アンモニウム塩を炭酸カルシウムに対して1重量%になるように添加後、エチレングリコールでスラリー化し、湿式粉砕することで1.1μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子の50重量%エチレングリコールスラリーを得た。その後、エチレングリコールで10重量%の濃度に希釈し、10μmのフィルターで濾過して使用した。
(ポリエステル組成物1の製造)
反応開始モル比1.15のテレフタル酸、エチレングリコールを140〜260℃で水を留出させながらエステル化反応を行う。エステル化反応が終了した後、常圧下、三酸化アンチモンをアンチモン元素として230ppm、酢酸マグネシウム・4水和物をマグネシウム元素として100ppm、さらにエチルジエチルホスホノアセテートをリン元素として40ppmとなる量添加し、さらにモル比がトータル1.85となる量(0.7モル追加添加)のエチレングリコールを追加添加した後、ポリエステルの平均重合度が2.5となるまで保持し、平均粒子径1.1μmで1重量%ポリアクリル酸アンモニウム塩で表面処理された鉄を70ppm含有するカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子の10重量%エチレングリコールスラリーを、炭酸カルシウム粒子がポリエステルに対して1.0重量%となるように添加した。引き続いて、反応系を常圧から100Paまで徐々に下げ、290℃まで昇温して重縮合反応を終了させポリエステル組成物Aを得た。ポリエステル組成物の特性を表1に示した。固有粘度0.62dl/gであり、カルボキシル末端基35eq/t、DEG1.1重量%、SEMでの観察から炭酸カルシウム粒子の凝集による粗大粒子は観察されず、また、濾過圧力も小さく、粒子分散性は良好であった。ポリエステル組成物1の製造条件を表1に特性を表2に示した。
(磁気記録媒体用ポリエステルフィルムの製造)
炭酸カルシウム粒子を添加しないこと以外は、上述と同様の方法で無粒子のポリエステル組成物2を製造した。ポリエステル組成物2と該フィルムのエッジ部分等の回収原料をA層(9μm)へ、ポリエステル組成物2(10重量%)とポリエステル組成物1(炭酸カルシウム粒子含有:90重量%)をB層(2μm)としたA/Bタイプの11μm磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムを製造した。具体的には、これらの原料について、減圧乾燥機にて乾燥し、押出機に供給した。ポリエステル組成物は押出機にて280℃で溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、Tダイに供給しシート状に成形した後、ワイヤー状電極にて静電印加しながら、表面温度20℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。得られたキャストフィルムは、90℃に設定したロール群で加熱し、縦方向に3.0倍延伸後、テンターに導き、100℃の熱風で予熱後、横方向に3.3倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で200℃の熱風にて熱処理を行い、室温まで徐冷後、巻き取った。ポリエステルフィルムの特性を表3に示した。フィルムに欠点は少なく、滑り性、耐摩耗性、耐スクラッチ性ともに良好であった。
実施例2〜18
反応開始EGモル比、リン化合物の種類、量、低重合体の粒子添加前反応系内EGモル比、平均重合度、炭酸カルシウム粒子の平均粒径、鉄含有量、表面処理量、添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2、3に示す。
実施例19
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール62部(エステル交換反応開始前のEGモル比1.93)に酢酸マグネシウム・4水和物をマグネシウム元素として100ppm、三酸化アンチモンをアンチモン元素として230ppm添加し、エステル交換反応を行い、その後反応生成物にリン化合物としてエチルジエチルホスホノアセテートをリン元素として40ppmとなる量添加した。その後常圧で攪拌しながら反応系内のモル比を1.6、ポリエステルの平均重合度が2.5になるまでEGを留出させた後に、実施例1と同様に炭酸カルシウム粒子の10%エチレングリコールスラリーを、炭酸カルシウム粒子がポリエステルに対して1.0重量%となるように添加した。引き続いて、反応系を常圧から100Paまで徐々に下げ、290℃まで昇温して重縮合反応を終了させポリエステル組成物を得た。また、実施例1と同様の方法でポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2、3に示す。
比較例1〜13
リン化合物の種類や量、低重合体の粒子添加前反応系内EGモル比、平均重合度、炭酸カルシウム粒子の結晶形態、含有量、平均粒径、鉄含有量、表面処理剤の種類と量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステル組成物およびポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2、3に示す。
(離型用ポリエステルフィルムの製造)
実施例20〜38
実施例1〜19と同様の方法でポリエステル組成物1を得た。炭酸カルシウム粒子を含有しないポリエステル組成物2と該フィルムの回収原料をA層(20μm)とし、得られた炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル組成物1とポリエステル組成物2を50:50で混合しB層(10μm)として、A/Bタイプの30μm離型用ポリエステルフィルムを得た。具体的には、これらのポリエステル1、2をそれぞれ160℃で8時間減圧乾燥した後、別々の押出機に供給し、275℃で溶融押出して高精度濾過した後、2層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。この未延伸積層フィルムをリニアモーター式の同時二軸延伸機により95℃で長手方向に3.6倍、及び幅方向にそれぞれ4.1倍、トータルで14.8倍延伸しその後、再度180℃で1.05倍幅方向に延伸し、定長下、220℃で3秒間熱処理した。温度の異なるゾーンの間にはシャッターを設けることで、フィルム上下の温度差は1℃とした。その後長手方向に1%、幅方向に2%の弛緩処理を施し、総厚み30μmの離型用ポリエステルフィルムを得た。結果を表4に示す。
比較例14〜26
比較例1〜13と同様の方法でポリエステル組成物1を得た。離型用ポリエステルフィルムについては、上記実施例20〜38と同様の方法で得た。結果を表4に示す。
実施例39〜57
実施例1〜19と同様の方法で炭酸カルシウム粒子を含有するポリエステル組成物1を得た。また、同様の方法で炭酸カルシウム粒子の代わりに平均粒径0.1μmの凝集シリカ粒子を1重量%含有したポリエステル3を製造した。ポリエステル組成物1とポリエステル組成物3を10:90で混合し、1.5μmの単層のコンデンサ用ポリエステルフィルムをえた。具体的には、ポリエステル組成物1、3を165℃で真空乾燥し、押出機に供給し、285℃で溶融させた後、スリット間隙を形成する一対のリップを持ち一方のリップにスリット幅方向に沿って配列された複数のスリット間隙調整用ボルトが設けられた口金を通して吐出させシート化し、表面温度25℃の冷却ドラムにてキャストした。このフィルムをステンター法同時二軸延伸により、105℃に加熱し長手方向に3.5倍延伸、105℃で幅方向に3.8倍に延伸し、引き続き235℃で熱処理を行い、235℃で長手方向に0.5%、幅方向に1.0%、180℃で長手方向に0.5%、幅方向に1.0%、160℃で長手方向に1.5%、幅方向に1.0%弛緩処理をし、1.5μmのコンデンサ用ポリエステルフィルムを得た。
上記条件で製造した二軸延伸フィルムの片面に表面抵抗が2Ω/cmとなるようにアルミニウムを真空蒸着した後、蒸着フィルムを左または右に幅0.5mmのマージン部を有する4.5mm幅のテープ状になるようスリットし、70本のテープ状スリット品を採取した(以後、リールサンプルと称す)。その後、巻回してコンデンサを得た。一つのリールサンプルのマージン幅の最大値は、0.64mm、最小値は0.35mmであり、素子巻収率が98.0%であった。
比較例27〜39
比較例1〜13と同様の方法でポリエステル組成物1を得た。コンデンサ用ポリエステルフィルムおよびコンデンサについては、上記実施例39〜57と同様の方法で得た。結果を表5に示す。
Figure 2010077258
Figure 2010077258
Figure 2010077258
Figure 2010077258
Figure 2010077258

Claims (6)

  1. 平均粒子径が0.2〜2.0μmであり、鉄成分を鉄元素として10〜300ppm含有し、0.1〜2重量%の多価カルボン酸化合物で表面処理されたカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子を0.005〜5.0重量%含有し、かつ、下記式(1)で表されるリン化合物をリン元素として10〜100ppm含有することを特徴とするポリエステル組成物。
    Figure 2010077258
    (但し、式中、R、R2、は炭素数1以上10以下の炭化水素基である。Xは、カルボニル基、エステル基のいずれかを示す。m、nは、0または1である。)
  2. ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応し、次いで重縮合してポリエステルを製造するに際して、エステル化反応開始前のジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比が1.05〜1.40であり、エステル化反応が終了した後にジオール成分を追加添加して、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を1.45〜2.25の範囲とすることでエステル化反応後の低重合体の平均重合度を2.0〜7.0とした後に炭酸カルシウム粒子を添加し、重縮合反応を実施することを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2記載のポリエステル組成物からなるポリエステルフィルム。
  4. 請求項1または2記載のポリエステル組成物からなる磁気記録媒体用ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1または2記載のポリエステル組成物からなる離型用ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1または2記載のポリエステル組成物からなるコンデンサ用ポリエステルフィルム。
JP2008246475A 2008-09-25 2008-09-25 ポリエステル組成物およびその製造方法からなる離型用、あるいはコンデンサ用フィルム Active JP5163396B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008246475A JP5163396B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 ポリエステル組成物およびその製造方法からなる離型用、あるいはコンデンサ用フィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008246475A JP5163396B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 ポリエステル組成物およびその製造方法からなる離型用、あるいはコンデンサ用フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010077258A true JP2010077258A (ja) 2010-04-08
JP5163396B2 JP5163396B2 (ja) 2013-03-13

Family

ID=42208068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008246475A Active JP5163396B2 (ja) 2008-09-25 2008-09-25 ポリエステル組成物およびその製造方法からなる離型用、あるいはコンデンサ用フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5163396B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013049785A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Toray Ind Inc ポリエステルの製造方法
WO2016152762A1 (ja) * 2015-03-23 2016-09-29 丸尾カルシウム株式会社 硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物
JP2022105328A (ja) * 2020-12-31 2022-07-13 コーロン インダストリーズ インク ポリエステル離型フィルム

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5577773B2 (ja) * 2010-03-16 2014-08-27 東レ株式会社 ポリエステル組成物の製造方法およびそれを用いたフィルム

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03269016A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Unitika Ltd ポリエステルの製造法
JPH06271682A (ja) * 1993-03-22 1994-09-27 Teijin Ltd ポリエステル組成物の製造方法
JPH10237275A (ja) * 1997-02-28 1998-09-08 Toray Ind Inc ポリエステル組成物およびそれからなる成形品
JPH10509129A (ja) * 1994-11-21 1998-09-08 ミネラルス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 炭酸カルシウムの精製方法
JP2004002515A (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂、二軸延伸フィルム及びこれよりなるコンデンサー用絶縁フィルム
JP2004346117A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Mitsubishi Polyester Film Copp 離型フィルム用ポリエステルフィルム
JP2008063538A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Mitsubishi Polyester Film Copp 離型フィルム用ポリエテルフィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03269016A (ja) * 1990-03-16 1991-11-29 Unitika Ltd ポリエステルの製造法
JPH06271682A (ja) * 1993-03-22 1994-09-27 Teijin Ltd ポリエステル組成物の製造方法
JPH10509129A (ja) * 1994-11-21 1998-09-08 ミネラルス・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 炭酸カルシウムの精製方法
JPH10237275A (ja) * 1997-02-28 1998-09-08 Toray Ind Inc ポリエステル組成物およびそれからなる成形品
JP2004002515A (ja) * 2002-05-31 2004-01-08 Mitsubishi Chemicals Corp ポリエステル樹脂、二軸延伸フィルム及びこれよりなるコンデンサー用絶縁フィルム
JP2004346117A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Mitsubishi Polyester Film Copp 離型フィルム用ポリエステルフィルム
JP2008063538A (ja) * 2006-09-11 2008-03-21 Mitsubishi Polyester Film Copp 離型フィルム用ポリエテルフィルム

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013049785A (ja) * 2011-08-31 2013-03-14 Toray Ind Inc ポリエステルの製造方法
WO2016152762A1 (ja) * 2015-03-23 2016-09-29 丸尾カルシウム株式会社 硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物
CN107429079A (zh) * 2015-03-23 2017-12-01 丸尾钙株式会社 固化型树脂组合物用表面处理碳酸钙填料、和含有该填料的固化型树脂组合物
JPWO2016152762A1 (ja) * 2015-03-23 2018-01-11 丸尾カルシウム株式会社 硬化型樹脂組成物用表面処理炭酸カルシウム填料、及び該填料を含有してなる硬化型樹脂組成物
US10336888B2 (en) 2015-03-23 2019-07-02 Maruo Calcium Co., Ltd. Surface-treated calcium carbonate filler for curable resin composition, and curable resin composition containing filler
CN107429079B (zh) * 2015-03-23 2019-08-23 丸尾钙株式会社 固化型树脂组合物用表面处理碳酸钙填料、和含有该填料的固化型树脂组合物
JP2022105328A (ja) * 2020-12-31 2022-07-13 コーロン インダストリーズ インク ポリエステル離型フィルム
JP7488248B2 (ja) 2020-12-31 2024-05-21 コーロン インダストリーズ インク ポリエステル離型フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5163396B2 (ja) 2013-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5577773B2 (ja) ポリエステル組成物の製造方法およびそれを用いたフィルム
JP6083378B2 (ja) ポリエステル組成物およびポリエステルフィルム
JP5163396B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法からなる離型用、あるいはコンデンサ用フィルム
US5674589A (en) Copolyester compositions comprising poly(ethylene naphthalate bibenzoate) biaxially oriented copolyester films
WO1999015590A1 (fr) Composition de polyester et film obtenu a partir de celle-ci
JP2003246870A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
US4727108A (en) Polyester compositions and process of preparing polyester films from them
JP2010260953A (ja) ポリエステル組成物およびポリエステルフィルム
JP2006249439A (ja) ポリエステルフィルム
JP4010064B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム
JP3799211B2 (ja) フィルム用ポリエステル組成物の製造方法
JP3083702B2 (ja) ポリエチレンナフタレートの製造方法
JP4992171B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム
JPS61209128A (ja) 磁気記録媒体用二軸延伸ポリエステルフイルム
JPH11348210A (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP4832235B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP3785823B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれからなるフィルム
WO2001019902A1 (fr) Composition de polyester, film constitue de celle-ci et support d'enregistrement magnetique
JP2013147616A (ja) ポリエステル組成物の製造方法およびそれを用いたポリエステル組成物とポリエステルフィルム
JP2007224238A (ja) ポリエステル組成物の製造方法
JP2008024746A (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JP3160161B2 (ja) ポリエチレンナフタレートの製造方法
JP2013049785A (ja) ポリエステルの製造方法
JP3289476B2 (ja) オリゴマ量および異物量が少ないポリエステル
JPH10237275A (ja) ポリエステル組成物およびそれからなる成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121203

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151228

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5163396

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151228

Year of fee payment: 3