JP2004002515A - ポリエステル樹脂、二軸延伸フィルム及びこれよりなるコンデンサー用絶縁フィルム - Google Patents

ポリエステル樹脂、二軸延伸フィルム及びこれよりなるコンデンサー用絶縁フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた電気絶縁性を有するフイルム等の成型品を与えることのできるポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分中のオルトフタル酸成分の割合が0.05モルppm以上10モルppm以下の範囲であるポリエステル樹脂。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル樹脂に関し、更に詳しくは、優れた電気絶縁性を有するフイルムを形成することのできる、ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂はその優れた力学特性、化学特性を有しており、特に高強度、高ヤング率、寸法安定性、耐加水分解性、耐熱性、電気絶縁性等の特性よりフィルム等に広く用いられている。しかしながらポリエステル樹脂は特にコンデンサー等の誘電体に用いる用途において1〜5μm程度の薄膜に成形した場合には長時間高電圧を印可し保持しておくと徐々に絶縁性が低下し、最終的には絶縁破壊を起こしてしまうことがある。これを改良するために、特開平5−170961号公報に記載の、少なくとも片面に主成分をエチレン系アイオノマー樹脂から構成した0.01〜0.5μmの被膜を形成する技術、或いは特開平7−60925号公報に記載のフィルム内部に炭素数が4以上のアルキレン基を有する共重合ポリエステル層を構成する技術、特開平9−302111号公報に記載の、ポリエステルフイルムの金属元素とリンの含有比とフィルムの最大粗さRmaxを規定する技術等が提案されているが、いずれも製造工程が複雑であったり、効果の点で限界があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術に鑑み、優れた電気絶縁性を与えることのできるポリエステル樹脂を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、電気絶縁性、特に長時間に亘り高電圧が印可された状態での絶縁破壊の改善されたポリエステル樹脂を開発すべく鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂中のオルトフタル酸成分の存在量が、長時間に亘り高電圧が印可された状態での絶縁性保持性能に影響することを見いだした。
【0005】
即ち、市販のポリエステル樹脂では、工業グレードのテレフタル酸又は及びその低級アルキルエステルを原料とするが、通常その原料中に粗原料の品質及び製法に応じた量のオルトフタル酸成分を20〜100モルppm程度含んでおり、それがそのまま減少せずポリエチレンテレフタレ−ト中に含有されることになる。
【0006】
ポリエステル樹脂を二軸延伸フィルムに加工し、特にコンデンサー用絶縁フィルムとした場合に長時間に亘り高電圧が印可された状態で保持すると絶縁性低下による絶縁破壊が生じることがあるが、この絶縁破壊がポリエステル樹脂中のオルトフタル酸成分含有量に左右され、この量を0.05〜10モルppmの範囲にすることで、この絶縁保持性能が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の目的は、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分中のオルトフタル酸成分の割合が0.05モルppm以上10モルppm以下の範囲であるポリエステル樹脂によって達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリエステル樹脂は、テレフタル酸及び/又はその低級アルキルエステルを主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするグリコール成分とをエステル化又はエステル交換反応後、重縮合反応させることにより製造することができる。
【0009】
ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸及び/又はその低級アルキルエステルのいずれをも用いることが出来るが、オルトフタル酸成分を蒸留等の方法で、分離し、低減しやすいことより好ましくはテレフタル酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル等の低級アルキルエステルが、更に好ましくは、ジメチルエステルが用いられる。本発明に於ては、全ジカルボン酸成分中オルトフタル酸成分の量が0.05モルppm以上10モルppm以下であり、更に好ましくは0.05モルppm以上5モルppm以下である。10モルppmを超える場合、得られるポリエステル樹脂の絶縁保持性能が十分でない。又、オルトフタル酸は少ない方が良いが、現実的に一般的な蒸留や晶積による工業的な精製方法で得られた原料を用いたものではこれを0.05ppm未満にすることは困難であり0.05ppmがその下限値となる。
【0010】
本発明のポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば全ジオール成分を基準として10モル%以下、好ましくは5モル%以下の割合で、エチレングリコール以外の他のグリコール成分が共重合されていてもよい。
ここで、他のグリコール成分としては、例えばプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族グリコール、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシエトキシ)ジフェニルスルホン等の芳香族グリコール、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシン、カテコール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホン等のジフェノール類等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもどちらでも良い。
【0011】
本発明におけるポリエステル樹脂の製造は、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法による。即ち、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを、スラリー調製槽に投入して攪拌下に混合して原料スラリーとなし、エステル化反応槽で常圧〜加圧下、加熱下で、エステル化反応或いはエステル交換反応させた後、得られたエステル化反応或はエステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体を重縮合槽に移送し、重縮合触媒の存在下に、常圧から漸次減圧としての減圧下、加熱下で、溶融重縮合させる。尚、低級アルキルエステルの場合は、比較的低い融点を持つため、エステル交換反応槽に直接投入し、融解後反応してもよい。これらは連続式、又は回分式でなされ、又、エステル化反応槽、及び重縮合槽は、それぞれ一段としても多段としてもよい。
【0012】
ここで、原料スラリーの調製は、通常、テレフタル酸又はその低級アルキルエステルとエチレングリコールとを、前記共重合成分と共に、ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比を、好ましくは1.0〜3.0、更に好ましくは1.2〜2.0の範囲として、通常、常温〜100℃、好ましくは30〜80℃の温度で、均一に混合することによりなされる。
【0013】
又、エステル化反応或いはエステル交換反応は、エステル交換反応の場合にはエステル交換触媒の存在下に、通常240〜280℃程度の温度、通常0〜4×10Pa程度の加圧下で、攪拌下に1〜10時間程度でなされ、又、溶融重縮合は、重縮合触媒及び安定剤の存在下に、通常250〜290℃程度の温度、常圧から漸次減圧として最終的に通常1333〜13.3Pa程度の減圧下で、攪拌下に1〜20時間程度でなされる。
【0014】
ジカルボン酸アルキルエステルとエチレングリコールのエステル交換反応触媒として酢酸マグネシウム・4水塩、酢酸マンガン・4水塩、酢酸カルシウム・1水塩等公知のものが使用できるが、特に酢酸カルシウム・1水塩等のカルシウム化合物が好ましい。
又、重縮合触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、蓚酸ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド等のゲルマニウム化合物、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、メトキシアンチモン等のアンチモン化合物、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、蓚酸チタン、蓚酸チタンカリウム等のチタン化合物等が用いられるが、ポリエステル樹脂自体の熱安定性の点で、アンチモン化合物が好ましい。
【0015】
尚、重縮合時には、前記重縮合触媒と共に、正燐酸、トリス(トリエチレングリコール)ホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、トリエチレングリコールアシッドホスフェート、亜燐酸等の燐化合物を安定剤として共存させるのが好ましい。
これらの重縮合触媒及び安定剤の反応系への添加は、前記スラリー調製工程、前記エステル化反応或いはエステル交換反応工程の任意の段階、又は、溶融重縮合工程の初期の段階のいずれであってもよいが、安定剤は、スラリー調製槽に添加するのが好ましく、又、重縮合触媒は、エステル化反応槽(多段の場合は最終段の反応槽)、又は、エステル化反応生成物を重縮合槽に移送する配管等に添加するのが好ましい。
【0016】
溶融重縮合された樹脂は、通常、重縮合槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながら若しくは水冷後、カッターで切断されてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。
又、前記溶融重縮合後の樹脂粒状体は、その後の乾燥、固相重縮合、或いは成形等に供するに先立って常法に従って加熱結晶化処理してもよい。その乾燥は、好ましくは除湿空気或いは乾燥窒素下に、好ましくは90〜160℃、更に好ましくは100〜150℃の加熱下に、樹脂粒状体の含水率を、好ましくは0.05重量%以下、更に好ましくは0.03重量%以下となるまで乾燥させる。又、その固相重縮合は、ポリエステル樹脂を更に高重合度化させると共に、環状三量体等の反応副生成物を低減化すること等を目的として、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、大気圧以下の条件下で、通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃の温度でなされる。
【0017】
本発明のポリエステル樹脂には、必要に応じて、顔料、染料、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、遮光剤、艶消剤等の添加剤を配合することが出来る。
又、本発明のポリエステル樹脂をフィルム用途に用いる場合にはフィルムに滑り性を与えるため、樹脂中にフィラーを含有させる事が一般的に行われるが、このフィラーとして炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、架橋有機粒子、の内少なくとも1種を含有したものがフィルムとした場合に絶縁性能上好ましく、これらの量は好ましくは500〜10000ppm、更に好ましくは1000〜7000ppm程度が用いられる。フィラー粒径は通常0.05〜10μである。又、触媒成分として用いたカルシウム化合物、リン化合物とポリエステルがポリエステル合成時に反応析出した析出粒子等を含んでいてもよい。尚、架橋有機粒子としてはポリスチレン/ジビニルベンゼン粒子、ポリメチルメタクリレート/ジビニルベンゼン粒子、ポリシロキサン粒子等が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂の固有粘度は特に制限はないが、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比1:1)中、30℃にて測定した固有粘度が0.4〜1.2の範囲内にあることが好ましく、該範囲内にある時には、樹脂を成形品とした際の機械強度と成形性とを更に高い水準にて両立させることができる。該固有粘度は特に、0.5〜1.0の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂を用いて二軸配向フィルムを製造するには従来公知のフィルムの成形方法を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押し出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フイルムを得、次いで該未延伸フイルムを差速ロール、テンターで逐次二軸方向に延伸したり、加速テンターで同時二軸延伸後、熱固定し、必要であれば熱弛緩処理することによって二軸配向フィルムを製造することができる。その際、フイルムの表面特性、密度、熱収縮率の性質は、延伸条件その他の製造条件により適宜選定しうる。具体的には、ポリエステル樹脂を押出装置に供給し、ポリエステル樹脂の融点以上の温度で溶融押出してスリット状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。
二軸延伸シートを得るには、前記未延伸シートをまず第一軸方向に延伸する。延伸温度範囲は通常、70〜150℃、延伸倍率は2.5〜6倍程度とし、温度と倍率を適宜組み合わせることにより、所望の配向度となるようにする。延伸は一段階または二段階以上で行うことができる。
【0019】
次に第二軸方向、すなわち第一軸方向と直交する方向に延伸する。一軸配向フィルムを、通常、80〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で2.5〜5倍程度に延伸を行い、二軸に配向したフィルムを得る。なお、第一軸方向の延伸を二段階以上で行うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好ましい。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する方法も可能であるが、いずれにしても長手方向の総合延伸倍率を3.5倍以上とすることが好適である。
かくして得られたフィルムを、通常、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で1秒〜5分間程度熱処理する。この再、熱処理工程内または熱処理後に長手方向または横方向、あるいは両方向に再延伸を行ってもよい。
熱処理温度は、延伸条件にもよるが、通常、180〜250℃、さらに好ましくは200〜240℃の範囲である。
本発明の二軸配向フィルムの厚さは、通常0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmである。0.5μm未満ではフィルムに腰がないため、ハンドリング性が劣る傾向があり、10μmを越えると静電容量が出にくく、フィルコンデンサーとした時に、容量が出にくく素子が大型化してしまう傾向がある。
【0020】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものでは無い。なお、実施例中の各値は以下の方法によって求めた。
(A)ポリマー物性評価
(1)固有粘度:フェノール/テトラクロロエタン(重量比1:1)混合溶媒中、30℃にて常法に従って測定した。
(2)ジカルボン酸成分中のオルトフタル酸成分含有量:ポリエステル樹脂をミクロボンベ中で加メタノール分解し、メチルエステル化されたフタル酸成分析出物をクロロホルムで均一溶解しガスクロマトグラフで定量分析を行った。
(3)ジエチレングリコール(DEG)の共重合量:苛性ソーダの含水メタノール溶液で煮沸還流下ポリマーを分解し、テレフタル酸を加えてアルカリ液を中和後、固形物を濾別後ガスクロマトグラフィ−を用い、エチレングリコールとジエチレングリコールとの面積比より求めた。
(B)フィルム表面性測定
(1)中心線平均粗さ(Ra) (μm)
(株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表したとき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
【0021】
【数1】
Figure 2004002515
(C)電気的特性評価
(i)耐電圧特性(絶縁破壊電圧)
JIS C−2319に準じて測定を行った。すなわち、10kV直流耐電圧試験機を用い、23℃、50%RHの雰囲気下にて、100V/秒の昇圧速度で上昇させ、フィルムが破壊し短絡した時の電圧を読み取った。
(ii)絶縁抵抗特性
(静電容量の測定)実施例―1に記載した方法でフィルム及びフィルムコンデンサーを作成し、横河ヒューレットパッカード社製のLCRメータ4284A(商品名)を用い、得られたコンデンサの静電容量C[F]を測定した。測定は23℃、50%RHの雰囲気下で行った。
(絶縁抵抗値の測定)横河ヒューレットパッカード社製の高抵抗計4329A(商品名)を用い、得られたコンデンサの電極間に100Vの直流電圧を印加し、コンデンサの抵抗値R[Ω]を測定した。電圧印加は1分間行い、その間電流値をレコーダーに記録した。電流値は電圧印加直後に最大値を示した後低下するが、その最大値を測定値Rとした。測定は23℃、および105℃にて行った。コンデンサの絶縁抵抗の評価は、C×R(CR値)[Ω・F]にて行った。CR値が大きい方が絶縁抵抗が良好であることを示す。
(iii)絶縁抵抗耐久特性(耐久試験残存率)
得られたコンデンサーを85℃の恒温槽に保持し、その両極にDC250Vを連続的に印可し、絶縁破壊を起こすまでの耐久性を試験した。被検コンデンサーは同時に10本を試験し、200時間試験後に絶縁性を保持している割合を耐久試験残存率とした。
【0022】
[実施例1]
精留塔を備えた攪拌機付きエステル反応槽に市販のテレフタル酸ジメチル(オルトフタル酸ジメチル25ppm含有)を再結晶法にて精製しオルトフタル酸ジメチル1.5ppmに低減したもの50重量部、エチレングリコール31重量部を仕込み、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03重量部を添加して、反応温度150〜240℃にて常圧下エステル交換反応させ反応時間4時間にて低次重縮合物を得た。この低次重縮合物を留出管を備えた攪拌機付き重合反応槽に移しこれにトリメチルフォスフェート0.034重量部及び滑剤としてエチレングリコールに10重量%濃度に分散させた天然炭酸カルシウム(レーザー回折法で測定した平均粒子径=2.0μm)を0.5重量部添加した後、三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、240〜280℃減圧下重縮合反応を行い、所定の溶融粘度に到達した後、常法によりチップ化し、固有粘度0.64dl/g、DEG共重合量1.4モル%のポリエステル樹脂を得た。
【0023】
このポリマーを加メタノール分解しガスクロマトグラフでオルトフタル酸成分量を求めたところ全ジカルボン酸成分に対して1.5モルppmであった。
また、得られた樹脂のぺレットを、180℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度300℃で溶融し、幅1mmのスリット状ダイを通して表面温度40℃の回転冷却ドラム上に押し出し、未延伸フイルムを得た。
得られた未延伸フイルムを92℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIRヒータにて加熱して縦方向に3.5倍に延伸し、続いてステンターに供給し、100℃にて横方向に4.0倍に延伸した。得られたフイルムを200℃の温度で5秒間熱固定し、厚み2μmの二軸配向フイルムを得た。
このフィルムを幅15mmにスリットし、このフィルム2枚を厚さ3μmアルミ箔2枚と交互に重ねたものを巻き込んで容量0.2μFのポリエステルフィルムコンデンサーを作成した。このフィルムコンデンサーを60℃の恒温槽に入れその両極に直流電圧50Vを印可し、絶縁の保持性を評価した。得られたフイルム特性と絶縁保持性を表1に示す。
【0024】
[実施例2]
実施例1におけるテレフタル酸ジメチル、エチレングリコール、酢酸マンガン四水塩の仕込み量をそれぞれ半量にして実施例1と同様の条件でエステル交換反応を行い低次重縮合物を得た。これに市販のテレフタル酸(不純物としてオルトフタル酸3ppm)を43重量部、エチレングリコール20重量部より調製したスラリーを連続的に供給しつつ240〜250℃にてエステル化反応を行い低次重縮合物を得た。このものを重合反応槽に移しこれにトリメチルフォスフェート0.034重量部及び滑剤としてエチレングリコールに10重量%濃度に分散させた天然炭酸カルシウム(レーザー回折法で測定した平均粒子径=2.0μm)を0.5重量部添加した後三酸化アンチモン0.035重量部を添加し、240〜280℃減圧下重縮合反応を行い、所定の溶融粘度に到達した後、チップ化し、固有粘度0.62dl/g、DEG共重合量2.0モル%のポリエステル樹脂を得た。
このポリマーを加メタノール分解しガスクロマトグラフでオルトフタル酸成分量を求めたところ全ジカルボン酸成分に対して各々オルトフタル酸2.0モルppmであった。
得られたポリエステル樹脂ポリマーからは実施例1と同様にフィルムを製造し、フィルムコンデンサーを作成し絶縁保持性を評価した。得られたフィルムの特性を併せて表1に示す。
【0025】
[実施例3]
市販の高純度テレフタル酸ジメチル(不純物としてオルトフタル酸ジメチル8ppm)50重量部、エチレングリコール31重量部、エステル交換触媒として酢酸カルシウム一水塩0.094重量部を使用して実施例1と同様にして低次重縮合物を得た。これに正リン酸0.063重量部を添加しついで、滑剤としてエチレングリコールに10重量%濃度に分散させた天然炭酸カルシウム(レーザー回折法で測定した平均粒子径=2.0μm)を0.5重量部添加した後重合反応槽に移し三酸化アンチモン0.024重量部を添加し、240−280度C減圧下常法にて重縮合反応を行い、所定の溶融粘度に到達した後、常法によりチップ化し、固有粘度0.64dl/g、DEG共重合量1.4モル%のポリエステル樹脂を得た。
【0026】
このポリマーを加メタノール分解しガスクロマトグラフでオルトフタル酸成分量を求めたところ全ジカルボン酸成分に対して7.5モルppm)であった。
得られたポリエステル樹脂ポリマーからは実施例1と同様にフィルムを製造し、フィルムコンデンサーを作成し絶縁保持性を評価した。得られたフィルムの特性を併せて表1に示す。
【0027】
[比較例1]
実施例3において、テレフタル酸ジメチルとしてオルトフタル酸ジメチル15ppm含有のものを用いたこと以外は同様の操作を行なって固有粘度0.62dl/g、DEG共重合量1.2モル%のポリエステル樹脂ポリマーを得た。このポリマーを加メタノール分解しガスクロマトグラフでオルトフタル酸成分量を求めたところ全ジカルボン酸成分に対して15モルppmであった。
得られたポリエステル樹脂ポリマーから実施例3と同様にフィルムを製造した。得られたフィルムの特性とを併せて表1に示す。
【0028】
[比較例2]
実施例3において、テレフタル酸ジメチルとしてオルトフタル酸ジメチル25ppm含有のものを用いたこと以外は同様の操作を行なって固有粘度0.62dl/g、DEG共重合量1.2モル%のポリエステル樹脂ホモポリマーを得た。
このポリマーを加メタノール分解しガスクロマトグラフでオルトフタル酸成分量を求めたところ全ジカルボン酸成分に対して25モルppmであった。
得られたポリエステル樹脂ポリマーから実施例3と同様にフィルムを製造した。得られたフィルムの特性とを併せて表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004002515
【0030】
【表2】
Figure 2004002515
表1からも明らかな通り、本発明のポリエステル樹脂よりなるフィルムは、優れた絶縁性、とりわけ優れた絶縁保持性を有している。
【0031】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は優れた絶縁性、とりわけ優れた絶縁保持性を有し、その二軸配向フイルムは絶縁用フィルム、特にコンデンサー誘電フィルム用途において好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分中のオルトフタル酸成分の割合が0.05モルppm以上10モルppm以下の範囲であるポリエステル樹脂。
  2. テレフタル酸のジメチルエステルを主成分とするジカルボン酸成分を原料として得られるものである請求項1のポリエステル樹脂。
  3. カルシウム、リン及びアンチモン元素を含有する請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
  4. 炭酸カルシウム、カオリン、シリカ及び架橋有機粒子から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂を、溶融成型して得られるシートを二軸延伸して得られる二軸延伸フィルム。
  6. 請求項5に記載の二軸延伸フィルムよりなるコンデンサー用絶縁フィルム。
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