JP4832235B2 - 二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に関する。更に詳しくは、磁気記録媒体としたときにドロップアウトが少ないなどの優れた平坦性を有しながらも、高速での製膜中に破断や筋状の欠点が生じにくい優れた製膜安定性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどを用いたポリエステルフィルムは、優れた物理的特性および化学的特性を有することから、磁気記録テープのベースフィルムなどに広く用いられている。
磁気記録テープのベースフィルムには、弾性率や熱収縮率などの物理的な特性に加え、フィルム表面の平滑性も非常に重要視されている。これは、ベースフィルムの表面に粗大突起があると、その部分が磁気記録テープとされたときに、ドロップアウトと言われる記録情報の欠陥を引き起こすためである。そして、このような欠陥は、磁気記録テープの磁性層が薄くなるほど、また記録密度が増大するほど発現しやすくなる。例えば、近年実用化された民生用デジタルビデオカセットテープ(以下、“DVC”と称することがある。)は、ベースフィルム表面にわずか0.2μm程度の金属磁性薄膜を形成したものであり、従来の磁気記録媒体では問題とならなかったような突起も問題となる。そのため、ベースフィルムの表面の平滑性は、ますます強くなってきている。
ところで、フィルムの表面に発生する粗大突起は、ポリエステルの製造過程で触媒として用いた金属成分の析出によるものが多い。具体的には、重縮合反応触媒であるアンチモンやゲルマニウムなど、またエステル交換反応触媒として用いるリチウムやマグネシウムなどが挙げられる。このような析出異物による粗大突起を減らす方法として、特許文献1(特開平8−53541号公報)、特許文献2(特開平8−188704号公報)および特許文献3(WO88/08437号パンフレット)では、触媒としてゲルマニウム化合物を用いた場合、粗大突起を形成する析出異物が発生し難いことが教示されている。
ところが、以下に説明する通り、ここに記載されたベースフィルムは、その製造工程が不安定化しやすく、生産性が悪いという欠点があった。
具体的には、ポリエステルフィルムは通常、ポリエステル樹脂を押出機により溶融押出したシート状成形物を回転ドラムなどの移動冷却体表面で急冷した後、2軸延伸して製造される。この際、押出口金と移動冷却体の間にワイヤー状電極を設け、電極と移動冷却体の間に高電圧を印加することによって、シート状樹脂に静電荷を析出させ、該シートを移動冷却体に密着させる方法が広く用いられている(例えば、特公昭37−6142号公報)。
しかし、製造を高速化するために移動冷却体の速度も高めると、シート表面上への単位面積あたりの静電荷量が減少し、安定した均一なシートを得ることが難しくなったり、さらには7μm以下といった薄いフィルムに高倍率で延伸していくと、途中で破断してしまうといった問題が発生してきた。そして、この傾向は、前述の触媒として用いる金属成分を減らすほどより顕著に現れてきた。
そこで、例えば特許文献4(特公昭53−40231号公報)、特許文献5(特開2000−255014号公報)および特許文献6(特開2000―246857号公報)などで、ポリエステル樹脂にアルカリ金属、アルカリ土類金属またはスルホン酸4級ホスホニウム塩を添加し、交流体積抵抗率を下げることが提案されている。しかし、これらの方法では、アルカリ金属やアルカリ土類金属を添加することにより析出異物による粗大突起が増えたり、またスルホン酸4級ホスホニウム塩によってダイ筋といった欠陥が発生し、根本的な解決とはならなかった。また、特許文献7(特開2000−71403号公報)では、2層フィルムとして、一方の層はゲルマニウムを触媒として用いつつそれ以外の金属成分を減らし、他方の層にアルカリ金属、アルカリ土類金属などを加えることでフィルム全体としての交流体積抵抗率を下げることが提案されているが、フィルム全体としてみたとき、交流体積抵抗率を下げた層の割合が薄くなるにしたがって、全体として下げられる交流体積抵抗率には限界があり、これもやはり根本的な解決とはなっていなかった。
特開平8−53541号公報 特開平8−188704号公報 WO88/08437号パンフレット 特公昭53−40231号公報 特開2000−255014号公報 特開2000―246857号公報 特開2000−71403号公報
本発明の目的は、上述の従来の技術が有する問題を解決し、デジタル記録方式などの高密度記録の磁気テープのベースフィルムに要求される、優れた表面の平坦性を持ちながらも、高速での製膜が可能でかつ製膜中に破断や筋状の欠点が生じにくい優れた製膜安定性を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明によれば、本発明の目的は、ポリエステル組成物Aからなるフィルム層Aの片面にポリエステル組成物Bからなるフィルム層Bが積層された二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル組成物Aは、含有する触媒金属残渣量が、組成物の重量を基準として、金属元素量で高々70ppmで、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物の含有量が、ポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01〜1mmol%であること、ポリエステル組成物Bは、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物の含有量が、ポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01mmol%未満であること、フィルム層Aの厚みは、フィルム全体の厚みに対して、60〜95%の範囲にあること、そしてフィルム層A側の表面は、その中心面平均粗さ(Ra)がフィルム層B側のそれよりも小さくかつ高々2nmであることを同時に具備する二軸配向積層ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明によれば、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの好ましい態様として、ポリエステル組成物Bが、平均粒径0.05〜0.5μmの不活性粒子を、組成物Bの重量を基準として0.05〜1.0wt%含有すること、ポリエステル組成物Bが、触媒金属残渣を、組成物Bの重量を基準として金属元素量で100〜400ppmの範囲で含有すること、フィルム全体の厚みが3〜7μmの範囲で、かつ直交する二方向のヤング率の和が10GPa以上であることの少なくともいずれかを具備する二軸配向積層ポリエステルフィルムも提供される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムと、そのフィルム層A側の表面に設けられた強磁性金属薄膜とからなる磁気記録媒体も提供される。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、触媒残渣が少ないことから異物による粗大突起が少なく、しかも一方の表面にのみスルホン酸4級ホスホニウム塩を含有させたことから、磁気記録媒体としたときにドロップアウトが少ない高品質なフィルムを長時間安定して効率よく生産できる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル組成物Aからなるフィルム層Aの片面にポリエステル組成物Bからなるフィルム層Bを積層した二軸配向積層ポリエステルフィルムである。
以下、本発明について、詳述する。
<ポリエステル組成物>
本発明において、ポリエステル組成物AおよびBを構成するポリエステルは、特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などが例示できる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特に本発明の効果が出やすいことから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
これらポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良い。コポリエステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポリエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分などが挙げられる。これら共重合成分の量は、本発明の効果を損なわない限り、20モル%以下、さらには10モル%以下であることが好ましい。さらにトリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の多官能化合物を共重合させることも出来る。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、例えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分についても、上記と同様に考えるとよい。
また、ポリエステル組成物AおよびBは、本発明の目的を損なわない範囲で、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、遮光剤(例えばカーボンブラック、酸化チタン等)の如き添加剤や他の樹脂を必要に応じて含有させることもできる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層A、フィルム層Bが同じポリエステルからなるのが好ましいが、異なるポリエステルからなってもよい。例えば、フィルム層Aとフィルム層Bが共にポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる積層フィルムが好ましいが、フィルム層A(またはフィルム層B)がポリエチレンテレフタレート、フィルム層B(またはフィルム層A)がポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる積層フィルムであっても良い。
前記ポリエステルは従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重縮合せしめる方法で製造することができる。なお、エステル交換反応を経由する場合は、それ自体公知のエステル交換反応触媒を用いることができる。具体的なエステル交換反応触媒としては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、チタンの酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に酢酸塩即ち、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸チタンが好ましく挙げられる。
また、重縮合反応触媒としては、それ自体公知のアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびチタン化合物などが好適に用いることができる。ゲルマニウム化合物としては、例えば特許2792068号に記載されている、無定形酸化ゲルマニウム、結晶性ゲルマニウム、酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、および酸化ゲルマニウムを水に溶解し、これにグリコールを加え水を留去して調整した酸化ゲルマニウムのグリコール溶液などが挙げられる。また、アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ましく挙げられる。さらにまた、チタン化合物としては、有機チタン化合物が好ましく挙げられ、例えば特開平5−298670号に記載されている、チタンのアルコラートや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体例としてチタンテトラブトキシド、チタンイソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
また、前記ポリエステルは、熱安定を高めるために触媒を失活させるリン化合物を含有させることが好ましく、例えば正リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェートなどが好ましく挙げられる。
<ポリエステル組成物A>
本発明における組成物Aは、異物による粗大突起を抑制するために、前述の触媒の残渣は、組成物Aの重量を基準として、金属元素量で70ppm以下であることが必要である。好ましい触媒残渣量の上限は、60ppm以下、さらに45ppm以下である。一方、触媒残渣量の下限は、反応を効率的に進めるために、5ppm以上、さらに10ppm以上であることが好ましい。
このように非常に少ない触媒量で反応を効率的に進めなければならないことから、重縮合反応触媒としては、ゲルマニウム化合物やチタン化合物が好ましい。アンチモン化合物では70ppm以下といった非常に少ない量では十分に効率的に反応を進めることが困難となりやすい。また、エステル化反応を経由する場合は触媒はなくてもよいが、エステル交換反応を経由する場合は、重縮合反応触媒のほかにエステル交換反応触媒が必要となる。そのような場合は、非常に少量で反応を進めやすく、また重縮合反応触媒としても用いることができることから、チタン化合物をエステル交換反応触媒として用いるのが好ましい。
ところで、このように非常に触媒残渣の量が減ると、シート状物に静電荷を析出させ、該シートを移動冷却体に密着させようとしても、十分な静電荷をシート状物に負荷させることが困難となる。そこで、本発明では、ポリエステル組成物Aには、スルホン酸4級ホスホニウム塩を、ポリエステル組成物Aを構成するポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01〜1mmol%含有させることが必要である。好ましいスルホン酸4級ホスホニウム塩の量は、0.05〜0.6mmol%、さらに0.1〜0.4mmol%、特に0.2〜0.3mmol%である。スルホン酸4級ホスホニウム塩の量が下限未満では、十分な静電荷を付与させるのが困難で、他方上限を超えると、ダイ筋が発生しやすくなる。
本発明におけるスルホン酸4級ホスホニウム塩としては、ポリエステルの分子鎖中に共重合されたものが好ましく、例えば下記式で表されるスルホン酸4級ホスホニウム塩を、ポリエステルの反応段階に共存させればよい。
Figure 0004832235
ここで、Aは炭素数1〜12のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜18の芳香族基であり、YおよびYは同一もしくは異なり、水素原子またはエステル形成性官能基であり、R、R、RおよびRは同一もしくは異なり、炭素数1〜18のアルキル基、ベンジル基または炭素数6〜12のアリール基であり、そしてnは1または2である。但し、YとYが同時に水素原子であることはない。
上記式中において、Aが表わす炭素数6〜18の芳香環としては例えばベンゼン環、ナフタレン環およびビフェニル環を好ましいものとして挙げることができる。かかる芳香環は炭素数1〜12のアルキル基で置換されていてもよい。炭素数1〜12のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、例えばメチル、エチル、n―プロピル、iso―プロピル、n―ブチル、sec―ブチル、iso―ブチル、tert―ブチル、n―ペンチル、n―ヘキシル、n―オクチル、n―ノニル、n―デシル、n―ウンデシル、n―ドデシルを挙げることがきる。
およびYは、同一もしくは異なり、水素原子またはエステル形成性官能基である。但し、YとYが同時に水素原子であることはなく、少なくともいずれか一方はエステル形成性官能基である。
エステル形成性官能基としては、たとえば―COOH、―COOR′、―OCOR′、―(CH)m OH、―(OCH)m OH等を挙げることができる。これらの基中、R′は炭素数l〜4の低級アルキル基またはフェニル基であり、mはl〜10の整数である。R′としてはメチル、エチル、n―プロピル、iso−プロピル、n―ブチル等を好ましいものとして挙げることができる。また、スルホン酸4級ホスホニウム塩基の部分を構成する基R、R、RおよびRは、同一もしくは互いに異なり、炭素数l〜18のアルキル基、ベンジル基または炭素数6〜12のアリール基である。炭素数l〜18のアルキル基としては、例えば上記炭素数1〜12のアルキル基の例示基と同じ基およびステアリル基等を挙げることができ、炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニル等を挙げることができる。
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸ブチルトリフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸エチルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸ベンジルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸フェニルトリブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、4―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ビスフエノールA−3,3―ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6―ジカルボキシナフタレン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等を挙げることができる。上記スルホン酸4級ホスホニウム塩は一種のみを単独で用いても二種以上を併用してもよい。
ところで、フィルム層Aは、実質的に粒子を含有しないことが電磁気変換特性を高くすることができるために好ましい。ただし、磁気記録媒体としたときの走行耐久性を持たせるために不活性微粒子Aを少量含有させることも可能である。その際の微粒子の大きさとして、平均粒径は30〜200nm以下であることが好ましく、添加量としては0.001〜0.2wt%以下(組成物Aに対して)が電磁気変換特性を悪化させずに走行耐久性を両立させることができるために好ましい。
不活性粒子Aの種類としては、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、(層Aに対して)酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。この中で特に架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオリン及びクレーからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。もちろん、上記の種類以外の粒子をフィルム特性に悪影響を及ぼさない範囲で更に添加してもよい。
<ポリエステル組成物B>
本発明におけるポリエステル組成物Bは、前述のスルホン酸4級ホスホニウム塩の含有量が、組成物Bを構成するポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01mmol未満、好ましくは実質的に含有しないことが必要である。ポリエステル組成物Aでは、スルホン酸4級ホスホニウム塩を含有させてもダイ筋はさほどひどくならなかったが、ポリエステル組成物Bに含有させると極端にダイ筋が発生しやすくなることが判明した。この理由としては、通常溶融状態のシート状物を冷却移動体に密着させる際、フィルム層Aの表面はできる限り平坦にするため、より粗い表面を形成するフィルム層Bと冷却移動体とを接触させる。そして、このとき、フィルム層Aの上方に位置する静電ワイヤーからシート状物を通して冷却移動体に向けて静電荷を付与するのだが、より静電荷を付与するため、静電ワイヤーの周囲は加熱されている。そのため、溶融状物を押出す吐出口の雰囲気がフィルム層A側とフィルム層B側とでは異なり、フィルム層Bを構成するポリエステル組成物Bにスルホン酸4級ホスホニウム塩が存在すると、ダイ筋が発生しやすくなるのではないかと考えられる。
ところで、ポリエステル組成物Bが形成するフィルム層Bは、フィルム全体の厚みに対して40%以下しかないことから、静電密着性は前述のフィルム層Aによって確保できるが、さらに静電密着性を向上させるために、ポリエステル組成物Bは触媒残渣を、組成物Bの重量を基準として金属元素量で、100〜400ppm、200〜300ppm含有することが好ましい。該触媒残渣量が下限未満だと、静電密着性向上効果が乏しく、他方上限を超えると、析出異物による粗大突起が、フィルム層Aの表面を突き上げたり、フィルム層Aの表面に転写して、フィルム層Aの表面性を低下させてしまうことがある。
このような観点から、重縮合反応触媒としては、チタン化合物やゲルマニウム化合物では必要とされる触媒量が少ないことから、アンチモン化合物が好ましい。もちろん、アンチモン化合物と併用する形でチタン化合物やゲルマニウム化合物など他の重縮合触媒を用いることも好ましい。また、静電密着性を向上させやすいことから、アルカリ金属やアルカリ土類金属をエステル交換反応触媒として用いることも好ましい。
本発明におけるポリエステル組成物Bは、巻取り性を付与するために不活性粒子Bを含有することが好ましい。不活性粒子Bは1種類でも2種類以上を併用したものであってもよい。不活性粒子Bの平均粒径(dB)としては、50〜1000nm、さらには100〜800nm、よりさらには150〜700nm、特に200〜600nmの範囲にあることが好ましい。また、不活性粒子Bの含有量としては、ポリエステル組成物Bの重量を基準として、0.001〜1重量%、さらには0.005〜0.8重量%、よりさらには0.01〜0.6重量%、特に0.01〜0.3重量%が好ましい。具体的な不活性粒子Bとしては、不活性粒子Aで説明したものを好適に用いることができる。
<フィルム層B>
本発明におけるフィルム層Bは、水接触角が70度以上95度以下であることが好ましい。水接触角が上記範囲よりも小さいとフィルム巻取り性の向上効果やブロッキング改良効果が乏しく、上記範囲よりも大きいと、磁気記録媒体にするときに、バックコート層などとの接着性が低下したりすることがある。
このような表面の水接触角は、例えば炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスを、ポリエステル組成物Bに、該組成物の重量を基準として、0.001〜1重量%含有させればよい。ここで、エステルワックスとは、エステルワックスと部分的にケン化させた部分ケン化エステルワックスとを包含するものである。ポリエステル組成物B中のワックスの割合が上記下限を下回るとフィルム巻取り性の向上効果やブロッキング改良効果が乏しくなることがある。一方、ワックスの割合が上記上限を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写され、そのため、例えば蒸着のための真空引き時にベースフィルムがずれてしまう、また蒸着時にベースフィルムが蛇行してしまうという弊害を生じることがある。さらに、ベースフィルム上に蒸着によって形成される金属薄膜とベースフィルムとの接着性を妨げるといった弊害を生じることもある。
上記脂肪族モノカルボン酸の炭素数は8個以上、好ましくは8〜34個である。この炭素数が8個未満であると、得られたエステルワックスの耐熱性が不充分で、ポリエステルに分散させる際の加熱条件で、該エステルワックスが容易に分解されてしまうため、不適切である。
炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む混合物などが挙げられる。
上記エステルワックスのアルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコールである。さらに耐熱性の観点から、水酸基を3個以上有する多価アルコールであることが好ましい。モノアルコールを用いたのでは、生成したエステルワックスの耐熱性が不足する。
上記水酸基を2個有する多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが好ましく挙げられる。水酸基を3個以上有する多価アルコールとしては、例えばグリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリット、ソルビット、マンニットなどが好ましく挙げられる。
上記脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールから得られるエステルワックスとしては、多価アルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどが挙げられる。これらの中、耐熱性の観点から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよりもトリエステルが好ましい。これらの中でも、特に好ましいエステルワックスは、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートである。
上記脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる部分ケン化エステルワックスは、多価アルコールを炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸で部分エステル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化することにより得られる。具体的には、例えばモンタン酸ジオールエステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックスE、ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワックスFL(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げられる。かかる(部分ケン化)エステルワックスは1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記(部分ケン化)エステルワックスのポリエステル組成物Bへの添加量は、該組成物の重量を基準として、0.001〜1重量%、さらに0.003〜0.5重量%、よりさらに0.005〜0.5重量%、特に0.01〜0.3重量%であることが好ましい。この(部分ケン化)エステルワックスの添加量が下限未満であると、フィルム巻取り性の向上が不十分であり、ブロッキング改良効果も得られない。一方、上限を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写され、そのため、例えば蒸着のための真空引き時にベースフィルムがずれてしまう、また、蒸着時に蛇行してしまうという弊害を生じる。さらに、ベースフィルム上に蒸着によって形成される金属薄膜とベースフィルムとの接着性を妨げるといった弊害も生じる。
<表面粗さ>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層A側の表面の中心面平均粗さ(以下、WRaAと称する。)がフィルム層Bのそれよりも小さくかつ2.0nm以下であることが必要である。該表面粗さが上限を超えると電磁変換特性が低下しやすく、下限未満だと走行性が悪化することがある。そして、本発明の特徴の一つは、このように極めて平坦な表面粗さを有する二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、製膜安定性を向上できたことにある。好ましいWRaAは0.5nm以上1.8nm以下であり、特に好ましいWRaAは0.7nm以上1.6nm以下である。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、前述のとおり、フィルム層B側の表面の中心面平均粗さ(WRaB)がフィルム層A側の表面粗さよりも大きいことが、フィルムの取扱い性の観点から必要であり、さらにWRaBはWRaAよりも0.1nm以上、特に0.5nm以上粗いことが好ましい。好ましいWRaBは、2nm以上20nm以下、さらに4.0nm以上15nm以下、よりさらに4.5nm以上12nm以下、特に5.0〜10nmの範囲である。該WRaBが上限を超えると、電磁変換特性等が低下しやすく、一方、該該WRaBが下限未満だと、その平坦性の故に、ベースフィルムの製膜工程での搬送、傷付き、巻取り、巻出しといったハンドリング性の悪化をきたし、またロールに巻いたときの形状(ロールフォーメーション)が悪化し、生産性の悪化、製品歩留りの低下、ひいては製品の製造コストの上昇をきたすことがある。
WRaは、使用した重合触媒および熱安定剤、含有される不活性粒子の種類や粒径、フィルム層Aとフィルム層Bの層厚比、フィルム製造時の縦延伸温度および/または横延伸温度による粒子の突き出し具合や表面の平坦化などによっても調整できる。
ところで、上述したWRaA、WRaBを所望の範囲に調整するために、層Bに含有せしめた不活性粒子Bの平均粒径とフィルム層Aの厚さとが特定の関係を満たすようにするのが好ましい。具体的には、不活性粒子Bが不活性粒子が1種類の場合はその平均粒径を、また、不活性粒子Bが2種類以上の不活性粒子を併用したものである場合は不活性粒子のうち最も平均粒径の大きな不活性粒子の平均粒径を、dB(μm)とし、フィルム層Aの厚さをtA(μm)としたときに、dB/tAは、0.01以上0.5以下、更に0.02以上0.4以下、特に0.03以上0.1以下であることが好ましい。
<厚み>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは、積層フィルム全体の厚みは、3μm以上7μm以下、さらに3.5以上6.5μm以下であることが好ましい。厚みが下限未満では、磁気記録テープとしたときに、十分な寸法安定性を具備させるのが難しくなる。他方、上限を超えると、磁気記録テープとしたときに、巻き長が短くなり、高記録容量とすることが困難となる。
ところで、本発明の特徴の一つは、フィルム層Aの厚さが、フィルム全体の厚みに対して、60〜95%の範囲にあることである。フィルム層Aの厚さが下限未満となると、スルホン酸4級ホスホニウム塩による静電密着性向上効果が乏しくなり、またフィルム層Bの粗大突起によって表面の平坦性が損なわれやすくなる。一方、フィルム層Aの厚さが上限を超えると、スルホン酸4級ホスホニウム塩によるダイ筋が発生しやすくなったり、フィルム層Bの表面が削れ易くなったりする。好ましいフィルム層Aの厚さは、フィルム全体の厚みに対して、67〜92%、さらに72〜89%の範囲である。
<ヤング率>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムのヤング率は、特に制限されないが、本発明による製膜安定性の向上効果が発現しやすいことから、製膜方向と幅方向のヤング率の和は、少なくとも10GPaであることが好ましい。
<皮膜層C>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気テープとした場合の磁性層、すなわち金属薄膜との密着性向上やフィルム層Aからのオリゴマーの析出を抑制できるなど、諸特性向上のため、磁性層を設ける側の表面、すなわち二軸配向積層ポリエステルフィルムのフィルム層A側の表面に、皮膜層Cを設けることが好ましい。
前記皮膜層Cとしては、バインダー樹脂C、不活性粒子C、界面活性剤Cおよびシロキサン共重合アクリル樹脂Cからなるようなものが挙げられる。
前記バインダー樹脂Cは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの水溶性または水分散性樹脂が好ましく挙げられ、特に水溶性または水分散性ポリエステル樹脂が好ましい。具体的な水溶性または水分散性ポリエステル樹脂としては、酸成分がイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるものが好ましく挙げられる。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。なおここでいう、水溶性または水分散性とは、水に溶解、乳化、微分散するタイプを意味し、本発明においては、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
前記不活性粒子Cとしては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、比較的低比重のものが好ましい。例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましく挙げられる。
前記不活性粒子Cの平均粒径(dC)は、10〜50nm、好ましくは12〜45nm、さらに好ましくは15〜40nmである。この平均粒径が10nm未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、50nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
前記不活性粒子Cの形状は、後述の体積形状係数(f)が0.1〜π/6、さらに0.2〜π/6、特には0.4〜π/6が好ましい。体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活性粒子Cとして好ましい。体積形状係数(f)が0.1未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低下してしまうので好ましくない。
前記不活性粒子Cの含有量は、皮膜層C(塗液の固形分)に対し、0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。この含有量が0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、30重量%を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため、好ましくない。皮膜層Cの厚みは、通常1〜100nm、好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmである。
<二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、従来から知られている、または当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。フィルム層Aとフィルム層Bとの積層構造は、共押出し法により製造するのが好ましい。さらにまた、表面に皮膜層Cを積層する場合、積層方法は塗布法により行うのが好ましい。
さらに詳しく、製造方法を例示すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、ポリエステル組成物Bとポリエステル組成物Aとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。このとき、フィルム層Aの表面に冷却ロールの凹凸がつかないように、冷却ロールの表面と接するのはフィルム層Bとし、フィルム層A側から静電ワイヤーにより、冷却ロールに向けて電荷を付与するのが好ましい。
その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、製膜方向に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で、好ましくは2.7〜4.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で3.0〜7.0倍の倍率で、好ましくは3.5〜5.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、製膜方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
また、熱固定は3ゾーン以上で実施することが好ましい。この時3ゾーンの場合は第1番目のゾーンの温度を横延伸温度と最高熱固定温度の中間の温度とすることが好ましく、160〜200℃が好ましい。第2番目のゾーンの温度を200〜230℃の温度とし、第3番目のゾーン(最後の熱固定ゾーン)は第2番目のゾーンよりも低い温度とし、その範囲は170〜210℃が好ましい。3ゾーン以上の場合は1番目のゾーンの温度と最高の熱固定温度のゾーン間で傾斜をつけて温度を増加させることが好ましい。また最後の熱固定ゾーンは最高の熱固定温度よりも低いことが好ましく、その範囲は170〜210℃が好ましい。
さらに、この最後の熱固定ゾーンではレール幅を好ましくは、フィルムの幅に対して0.5〜5%縮めることにより、縦熱収と横熱収の比を0.9〜1.5の範囲に設定することが可能となる。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。熱固定ゾーン以降の冷却ゾーンの温度は80〜130℃の範囲に設定することにより縦熱収と横熱収の比を0.9〜1.5の範囲に設定することが容易になるために好ましい。
また、各ロール速度とフィルムの実速度の差が0〜1.5%以内とすることにより傷のほとんどないフィルムを得ることができるので好ましい。
なお、ポリエステル組成物Aおよびポリエステル組成物Bには、所望により上記不活性粒子以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤などを添加含有させてもよい。
本発明におけるフィルム層Aへの皮膜層Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが好ましい。
塗布は最終延伸処理を施す以前のフィルム層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ないし途中で皮膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延伸積層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦(一軸)延伸積層フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法などが挙げられる。
前記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができる。
<磁気記録媒体>
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムから磁気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりである。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、フィルム層A、好ましくは皮膜層Cの表面、すなわち平坦面側の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的や用途などの必要に応じてダイアモンド状カーボン(DLC)等の保護層やフッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に層B側の表面に公知のバックコート層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録用デジタルビデオカセットレコーダ(DVC)、データ8ミリ、マンモス、AIT用テープ媒体として極めて有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明における各特性は、以下の方法によって測定または評価される。また、実施例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重量%」である。
(1)皮膜層中の不活性粒子の平均粒径
フィルムの皮膜層の表面に、白金スパッター装置により白金薄膜蒸着層を厚み2〜3nmで設け、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジース S−4700)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、それらの平均値を平均粒径とした。
(2)ポリエステルフィルム中の不活性粒子の平均粒径(DP)
フィルム表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製P3−3型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSRM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーに結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行い、それらの結果から下記式によって求めた数平均粒径dを平均粒径とする。
d=Σdi/n
ここで、diは粒子の円相当径(μm)、nは個数である。
(3)フィルム厚み
フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりのフィルム厚みとした。
一方、A層およびB層の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、不活性粒子の多い方の層をB層、少ない方の層をA層とし、不活性粒子の存在量が変化する厚みの位置を、100箇所求め、それらの平均値からA層とB層の厚みを求めた。
(4)被膜層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、樹脂種の違いによる層の境界線を100箇所測定し、それらの値より皮膜層の厚みを求めた。
(5)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
(6)ポリマー中の元素量:
フィルム層Aまたはフィルム層B中の触媒(チタン、アンチモン、ゲルマニウム、マンガンおよびアルミニウムなど)残渣としての金属元素量およびスルホン酸4級ホスホニウム塩としてのリン元素量およびイオウ元素量は、フィルム各層から削り取ったサンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270Eを用いて測定した。なお、マグネシウムなどの一部金属元素については、ポリマーをオルトクロロフェノールに溶解した後、0.5規定塩酸で抽出操作を行い、この抽出液について日立製作所製Z−6100形偏光ゼーマン原子吸光光度計を用いて定量した。なお、触媒としてではなく、不活性粒子として酸化チタン粒子やアルミナ粒子などが添加されている場合、それら粒子に由来する金属元素量は上記元素量から除く。
(7)表面粗さ(WRa)
Veeco社製、非接触式三次元粗さ計(WYKO NT−2000)を用いて、測定倍率25倍、測定面積247μm×188μm(0.046mm2 )の条件にて、測定数(n)10以上で測定を行い、該粗さ計に内蔵され表面解析ソフトにより、下記式により計算された中心面平均粗さ(WRa)を求める。
Figure 0004832235
jkはX軸方向(247μm)、それと直行するY軸方向(188μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に於けるX、Y平面における直行するZ軸方向の高さである。
(8)固有粘度
o−クロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から求める。
(9)ダイ筋特性
ダイ筋部分の厚みがフィルム厚みの±5%に達した場合をダイ筋の管理限界とし、この管理限界値を超えるまでの連続成形時間で、下記基準により評価した。なお、ダイ筋の測定は、アンリツ(株)製フィルム厚み連続電子マイクロメーターを用い、フィルムを厚み方向に対してプローブで挟んでプローブ間の距離から厚みを連続的にフィルムの幅方向に沿って2m測定し、平均厚みに対する最大厚みもしくは最小厚みの差から求めた。
○:48時間以上
△:24時間以上〜48時間未満
×:24時間未満
(10)製膜安定性
フィルムを二軸延伸製膜した場合の製膜性を観察し、下記の基準で評価した。
○:破断は起こらず、極めて安定に製膜が可能。4日間以上無切断
△:時々破断が起こり、製膜が不安定。切断頻度1回/4日間以上〜1回/1日未満
×:破断が多発し、実質的に安定な製膜が不可能。切断頻度1回/日以上
(11)磁気テープの製造およびテープのドロップアウト(D.O)特性
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムのフィルム層A側の表面に、真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110nmの厚みで形成する。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを10nmの厚みで形成させ15000m巻き取った。更に含フッ素カルボン酸系潤滑剤を順次設ける。続いて、コバルト−酸素薄膜を形成したのとは反対側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を厚みが500nmとなるように設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットし、市販のリールに巻き取り、磁気テープを作成した。
市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(キャノン製FV200)を用いて作成した磁気テープに録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数えることによりドロップアウト(DO)の測定をした。DOは常温常湿(25℃、60%RH)でテープ製造後の初期特性および60分100回走行後の特性を調べた。DOは小さい値の方が良い。
○:ドロップアウト 3個/分未満
△:ドロップアウト 3個/分以上、10ケ/分未満
×:ドロップアウト 10個/分以上
[実施例1]
<樹脂A1の作成>
テレフタル酸100部、エチレングリコール70部を用い、酸化ゲルマニウム、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)を表1に示す元素量となるように添加し定法に従い、直重法にて重合反応を行った。反応の最後に安定剤として亜リン酸を0.01部添加し固有粘度0.55のプレポリマーを得た。続いて、このプレポリマーを0.5mmHgの高真空下230℃で10時間固相重合を行い樹脂A1を得た。樹脂A1の固有粘度は0.86であった。
<樹脂B1の作成>
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部の混合物に、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水塩を表1に示す元素量となるように添加し、内温を150℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リン酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、三酸化アンチモンを表1に示す元素量となるように添加した。系内に混入した水を充分留出させた後、滑剤である不活性粒子Bとして、平均粒径300nmのシリコーン粒子および平均粒径50nmのθ型アルミナを、表1に示す含有量になるように添加して充分撹拌した後、次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温295℃)にて重縮合を行い、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。このポリエチレンテレフタレート組成物に、(部分ケン化)エステルワックスとしてソルビタントリステアレート(融点55℃)の粉末を、表1に示す含有量になるようにベント付き二軸ルーダーにて練り込み、固有粘度0.62のフィルム層B用のポリエチレンテレフタレート組成物(樹脂B1)を得た。
<二軸配向積層ポリエステルフィルムの作成>
得られた樹脂A1は170℃でポリマーの水分率が0.1重量%になるまで4時間乾燥した。また樹脂B1を、170℃でポリマーの水分率が0.05重量%になるまで5時間乾燥した。そして、乾燥された樹脂A1と樹脂B1とを2台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融した後、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、樹脂A1からなるフィルム層Aの片面に混合物Bからなるフィルム層Bを積層させ、静電密着法で冷却ドラムに接触急冷させて厚さ95μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。なお、ポリエステルB層側をドラム接触面とし、冷却ドラムの上方の位置(冷却ドラムとの距離は垂直方向で5mmの位置)に直径0.2mmΦの静電ワイヤーを配置し、これに6KVの電圧を印加しドラムへの密着性を高めた。
得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.4倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層側に下記に示す組成(固形分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を、乾燥後の得られる皮膜層Cの厚みが8nmになるように塗布した。
<塗液の固形分組成>
・バインダー:アクリル変性ポリエステル 75%
・・ポリエステル成分:イソフタル酸(95モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
・・アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(90モル%)、グルシジルメタクリレート(10モル%)、
・・ポリエステル成分/アクリル樹脂成分の重量比=5/5
・不活性粒子C:アクリルフィラー(平均粒径14nm、体積形状係数0.40、日本触媒株式会社製、エポスター) 10%
・界面活性剤:(三洋化成製、ナロアクティーN85) 15%
続いてステンターに供給し、120℃にて横方向に4.3倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、3ゾーンある熱固定ゾーンでそれぞれ200℃、230℃、180℃の熱風で4秒間熱固定し第3ゾーンで幅方向に1.5%弛緩処理を実施した。さらに冷却ゾーンの温度を100℃として、全厚み6.4μmで、フィルム層Aの厚み5.1μm、フィルム層Bの厚み1.3μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、フィルム層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例2〜5、比較例1〜4]
A層、B層の触媒化合物、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物、層厚み構成、含有不活性粒子を表1に示すように変更するほかは実施例1と同様にして積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。次に得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムを用いて実施例1と同様にして磁気テープを得た。各特性の測定結果は表1に示すとおりであった。
Figure 0004832235
表1中の、SPはスルホン酸4級ホスホニウム塩、ワックスは(部分けん化)エステルワックス、STSはソルビタントリステアレート、Mnはマンガン、Sbはアンチモン、Geはゲルマニウムを意味する。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、粗大突起がなく極めて平坦表面性を有することから、強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体のベースフィルムとして好適に利用できる。

Claims (6)

  1. ポリエステル組成物Aからなるフィルム層Aの片面にポリエステル組成物Bからなるフィルム層Bが積層された二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、
    ポリエステル組成物Aは、含有する触媒金属残渣量が、組成物の重量を基準として、金属元素量で高々70ppmで、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物の含有量が、ポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01〜1mmol%であること、
    ポリエステル組成物Bは、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物の含有量が、ポリエステルの繰り返し単位のモル数を基準として、0.01mmol%未満であること、
    フィルム層Aの厚みは、フィルム全体の厚みに対して、60〜95%の範囲にあること、そして
    フィルム層A側の表面は、その中心面平均粗さ(WRaA)がフィルム層B側のそれよりも小さくかつ高々2nmであることを同時に具備することを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステル組成物Bが、平均粒径0.05〜0.5μmの不活性粒子を、組成物Bの重量を基準として0.05〜1.0wt%含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル組成物Bが、触媒金属残渣を、組成物Bの重量を基準として金属元素量で100〜400ppmの範囲で含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. フィルム全体の厚みが3〜7μmの範囲で、かつ直交する二方向のヤング率の和が10GPa以上である請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. フィルム層A側の表面に強磁性金属薄膜層が設けられる磁気記録媒体のベースフィルムとして用いられる請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムと、そのフィルム層A側の表面に設けられた強磁性金属薄膜とからなる磁気記録媒体。
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