JP4505276B2 - 二軸配向積層ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向積層ポリエステルフィルム Download PDF

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本発明は二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に関する。更に詳しくは、得られる磁気記録媒体に、少ないドロップアウトと、優れたテープスリット性および電磁変換特性とを具備させることができる二軸配向積層ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体に関する。
1995年に実用化された民生用デジタルビデオテープは、厚さ6〜7μmのベースフィルム上にCoの金属磁性薄膜を真空蒸着により設け、その表面にダイヤモンド状カーボン(DLC)膜をコーティングしてなり、DVミニカセットを使用したカメラ一体型ビデオの場合には基本仕様(SD仕様)で1時間の録画時間がある。
このデジタルビデオカセット(DVC)は、世界で初の家庭用デジタルビデオカセットであり、a.小型ボディながら、膨大な情報が記録できる、b.信号が劣化しないから、何年たっても画質・音質が劣化しない、c.雑音の妨害を受けないから高画質・高音質が楽しめる、d.ダビングを繰り返しても映像が劣化しない、などのメリットを持ち、市場の評価は高い。
ところで、近年の磁気記録媒体は、膨大な情報を記録させるために記録密度が高くなっており、磁気記録媒体を構成する支持体の表面は極めて平坦であることが求められてきた。このような要求に対し、特許文献1(WO88/8437号パンフレット)や特許文献2(特開2000−15695号公報)では、積層フィルムの各層を、ゲルマニウム化合物を重合触媒として用いたポリエステルとすることで、粗大異物が減少でき、磁気記録媒体としたときに、ドロップアウトを低減できることが提案されている。
しかしながら、これらの二軸配向積層ポリエステルフィルムは、粗大異物によるドロップアウトは低減できるものの、製膜後の経時でポリエステル内のオリゴマーがフィルム表面に析出しがちであり、該ベースフィルムより作成されるテープのドロップアウトが増加しがちであった。一方、ポリエステル内に存在するオリゴマーを減らすために、ベースフィルムを構成するポリエステルを固相重合したりすると、析出するオリゴマーは減るものの、テープ加工時のスリット性が悪くなり、生産性が悪くなるという欠点があった。
WO88/8437号パンフレット 特開2000−15695号公報
本発明の課題は、上述の従来の二軸配向積層ポリエステルフィルムが有する問題を解消し、粗大異物だけでなく、オリゴマーによるドロップアウトも少なく、しかも優れたスリット性をも得られる磁気記録媒体に具備させることができる二軸配向積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明によれば、本発明の課題は、厚さが2.5μm以上のポリエステル層Aの片面に、厚さが2μm以下のポリエステル層Bが積層された二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステル層Aは、重縮合反応触媒がゲルマニウム化合物である固有粘度0.62以上のポリエステル組成物Aからなり、ポリエステル層Bは、重縮合反応触媒がチタン化合物およびアンチモン化合物であって、該チタン化合物の含有量がチタン元素量で1〜15ppmおよび該アンチモン化合物の含有量がアンチモン元素量で63〜160ppmであり、リン元素量で62〜200ppmのリン化合物を含有する固有粘度0.59以下のポリエステル組成物Bからなり、そしてポリエステル組成物Bは、該組成物の重量を基準として、平均粒径50〜1000nmの不活性粒子Bを0.001〜1重量%含有し、ポリエステル組成物Aとの固有粘度の差が0.10以下である二軸配向積層ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明によれば、本発明の好ましい態様として、ポリエステル層Aのポリエステル層Bと接していない側の表面に、バインダー樹脂C、不活性粒子C、界面活性剤Cおよびシロキサン共重合アクリル樹脂Cからなる皮膜層Cが積層されていること、ポリエステル組成物Bが、炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスを、該組成物の重量を基準として、0.001〜10重量%含有すること、バインダー樹脂Cが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル−ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶性または水分散性の樹脂であること、不活性粒子Cは、平均粒径が5〜100nmであり、皮膜層C中に存在する割合が、0.5〜30重量%であること、シロキサン共重合アクリル樹脂Cは、皮膜層C中に存在する割合が、1〜30重量%であること、ポリエステル層A側の表面は、中心線平均粗さWRaAが0.5〜2.5nmの範囲にあること、ポリエステル層B側の表面は、中心線平均粗さWRaBが2〜20nmの範囲にあること、ポリエステル組成物Aは、実質的に不活性粒子を含有しないこと、ポリエステル組成物Aまたはポリエステル組成物Bが、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル組成物であること、および蒸着型磁気記録媒体の支持体として使用されることの少なくともいずれかを具備する二軸配向積層ポリエステルフィルムも提供される。
さらにまた、本発明によれば、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムとその一方の表面に設けられた金属薄膜とからなる磁気記録媒体も提供される。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、粗大異物やオリゴマーの析出が少ないことから、得られる磁気記録媒体はドロップアウトが少なく、電磁変換特性に優れ、しかもテープ化時のスリット性をも兼備している、すなわち品質も生産性もともに優れており、その工業的価値は極めて高い。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル組成物Aからなるポリエステル層Aの片面に不活性粒子Bを含有するポリエステル組成物Bからなるポリエステル層Bを積層した二軸配向積層ポリエステルフィルムであり、好ましくは、該ポリエステル層Aのポリエステル層Bと接していない表面に皮膜層Cが設けられた二軸配向積層ポリエステルフィルムである。
本発明において、ポリエステル組成物AおよびBを構成するポリエステルは、特に制限されず、脂肪族ポリエステルでも芳香族ポリエステルでも良く、好ましくは芳香族ポリエステルである。また、ポリエステル組成物AおよびBは、それぞれ同じ種類のポリエステルからなっても、異なる種類のポリエステルからなっても良い。
上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などが例示できる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましく、特にオリゴマーの削減効果が出やすいことから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
これらポリエステルは、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良い。コポリエステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポリエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分などが挙げられる。これら共重合成分の量は、本発明の効果を損なわない限り、20モル%以下、さらには10モル%以下であることが好ましい。さらにトリメリット酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の多官能化合物を共重合させることも出来る。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、例えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分についても、上記と同様に考えるとよい。
また、ポリエステル組成物AおよびBは、本発明の目的を損なわない範囲で、顔料、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、遮光剤(例えばカーボンブラック、酸化チタン等)の如き添加剤や他の樹脂を必要に応じて含有させることもできる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層A、ポリエステル層Bが同じポリエステルからなるのが好ましいが、異なるポリエステルからなってもよい。例えば、ポリエステル層Aとポリエステル層Bが共にポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる積層フィルムが好ましいが、ポリエステル層A(またはポリエステル層B)がポリエチレンテレフタレート、ポリエステル層B(またはポリエステル層A)がポリエチレン−2,6−ナフタレートからなる積層フィルムであっても良い。
前記ポリエステルは従来から知られている方法で製造することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化反応またはジメチルテレフタレートとエチレングリコールとをエステル交換反応せしめ、次いで反応生成物を重縮合せしめる方法で製造することができる。なお、エステル交換反応を経由する場合は、それ自体公知のエステル交換反応触媒を用いることができる。具体的なエステル交換反応触媒としては、マンガン、カルシウム、マグネシウム、チタンの酸化物、塩化物、炭酸塩、カルボン酸塩等が好ましく、特に酢酸塩即ち、酢酸マンガン、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸チタンが好ましく挙げられる。
本発明におけるポリエステル組成物AおよびBについて、さらに以下で詳述する。
まず、ポリエステル組成物Aは、フィルムとした時の固有粘度が0.62以上である。好ましくは、0.64以上である。フィルムとした時の固有粘度が下限以上であると、押出し溶融時のポリマーの加水分解および熱分解による再生オリゴマーが少なく、磁気記録媒体としたときのドロップアウト(D/O)を抑制できる。このような固有粘度にするには、例えば、固相重合により、固有粘度を0.8以上にしたポリエステルをチップ状にし、それを最終的なポリエステルの水分量が0.01〜0.3重量%になるように170℃で6時間以上乾燥させ、280℃〜310℃にて20分以上かけて溶融押出しすることが挙げられる。
また、ポリエステル組成物Aは、ゲルマニウム化合物を重縮合反応触媒として用いたポリエステルからなる。すなわち、触媒としてゲルマニウム化合物を用い、かつ層Aを構成するポリマーの固有粘度を0.62以上とすることにより、粗大異物を減少できるだけでなく、製膜後にポリエステル層Aの表面はもとよりポリエステル層Bの表面から析出するオリゴマーを減少させることができる。
重縮合反応触媒として用いるゲルマニウム化合物としては、例えば特許2792068号に記載されているものを挙げることができる。さらに詳しくは、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)結晶性ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、および(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解し、これにグリコールを加え水を留去して調整した酸化ゲルマニウムのグリコール溶液などが挙げられる。なお、ゲルマニウム化合物の量が過度に多いと、反応中にDEGが多量に副生して、ポリエステル組成物Aの熱安定性を低下させる。そのため、ポリエステル組成物Aに含有されるゲルマニウム化合物の割合は、該組成物Aの重量を基準として、ゲルマニウム元素(Ge)量で高々50ppmであることが好ましく、さらに好ましくは45ppm以下である。一方、ゲルマニウム化合物の割合の下限は、反応を速やかに進める点から、20ppm以上が好ましく、さらに35ppm以上であることが好ましい。
本発明において、ポリエステル組成物Aは、熱安定性を維持するために、従来ポリエステルの製造工程で添加されるリン化合物を含有することが好ましい。このリン化合物は特に限定されないが、正リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェートなどが好ましい。
ところで、ポリエステル層Aは、実質的に粒子を含有しないことが電磁気変換特性を高くすることができるために好ましい。ただし、磁気記録媒体としたときの走行耐久性を持たせるために不活性微粒子Aを少量含有させることも可能である。その際の微粒子の大きさとして、平均粒径は30〜200nm以下であることが好ましく、添加量としては0.001〜0.2wt%以下(層Aに対して)が電磁気変換特性を悪化させずに走行耐久性を両立させることができるために好ましい。
不活性粒子Aの種類としては、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、(層Aに対して)酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。この中で特に架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、カオリン及びクレーからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。もちろん、上記の種類以外の粒子をフィルム特性に悪影響を及ぼさない範囲で更に添加してもよい。
つぎに、ポリエステル組成物Bは、重縮合反応触媒としてチタン元素量で1〜15ppmのチタン化合物とアンチモン元素量で40〜160ppmアンチモン化合物と、熱安定剤としてリン元素量で10〜200ppmのリン化合物とを含有させた、固有粘度が0.59以下のポリエステル組成物である。ポリエステル組成物B中の、重縮合反応触媒残渣としてあるチタン元素およびアンチモン元素の量と、安定剤としてあるリン元素の量とを、上記の範囲にすることで、アンチモン化合物を重縮合反応触媒として用いながらも、粗大異物の発生を抑制し、しかも固有粘度が0.59以下という低い固有粘度であっても、溶融時の熱劣化などによる異物の発生、ひいてはそれによる突起が、蒸着時のクーリングキャンとの密着性を低下させたり、磁性層面側に転写して電磁変換特性を低下させるなどの問題を抑制できる。なお、ポリエステル組成物Aとポリエステル組成物Bの固有年度の差は、高々0.10であり、これを超えると、後述のスリッット性向上効果やオリゴマーの抑制効果が十分に発現されないことがある。
さらに詳しくは、上述のチタン元素量については、下限未満だと、ポリエステルの反応を十分に進めるために、多量のアンチモン化合物が必要となり、結果として触媒に起因した粗大異物が発生しやすくなり、一方上限を超えるようだと、溶融時の熱劣化などによる異物の発生がしやすくなる。また、上述のアンチモン元素量については、下限未満だと、ポリエステルの反応を十分に進めるために、多量のチタン化合物が必要となって溶融時の熱劣化などによる異物の発生しやすくなり、一方上限を超えると触媒に起因した粗大異物が発生しやすくなる。また、リン元素量については、下限未満だと、溶融時の熱劣化などによる異物の発生しやすくなり、一方上限を超えると触媒に起因した粗大異物が発生しやすくなる。これらの点から、アンチモン元素量(ppm)をチタン元素量(ppm)で割った値は、4〜80、さらに5〜70の範囲にあることが好ましい。さらにまた、固有粘度が上限を超えると、テープ化時のスリットでスリット断面形状が悪くなり、削れ粉が発生する。フィルムの固有粘度を調整する方法としては、例えば使用するポリマーの固有粘度を0.62以下に調整し、溶融押出温度を280〜310℃で20分以上溶融押出しすることにより所望の固有粘度を達成できる。なお、これらのチタン元素、アンチモン元素およびリン元素の量は、重合段階から満足していなくてもよく、それぞれの重合触媒を用いて得られたポリエステルを混合した結果満足していれば良い。なお、重縮合反応触媒として、チタン化合物およびアンチモン化合物を用いない場合、例えばゲルマニウム化合物を用いた場合は、ポリエステル中に存在するジエチレングリコールの割合が増加し、その結果含有する不活性粒子が脱落しやすくなり、磁気記録媒体にしたとき、ドロップアウトが発生することがある。
前記アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ましく挙げられる。
前記チタン化合物としては、有機チタン化合物が好ましく挙げられ、例えば特開平5−298670号に記載されているものを挙げることができる。更に説明すると、チタンのアルコラートや有機酸塩、テトラアルキルチタネートと芳香族多価カルボン酸又はその無水物との反応物等を例示でき、好ましい具体例としてチタンテトラブトキシド、チタンイソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
前記リン化合物としては、特に限定されないが、正リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェートが好ましく挙げられる。
本発明におけるポリエステル層Bは、巻取り性を付与するために不活性粒子Bを含有する。不活性粒子Bは1種類でも2種類以上を併用したものであってもよい。不活性粒子Bの平均粒径(dB)は50〜1000nm、さらには100〜800nm、よりさらには150〜700nm、特に200〜600nmの範囲にあることが好ましい。不活性粒子Bの含有量は、ポリエステル組成物Bの重量を基準として、0.001〜1重量%、さらには0.005〜0.8重量%、よりさらには0.01〜0.6重量%、特に0.01〜0.3重量%が好ましい。不活性粒子Bとしては、不活性粒子Aで説明したものを好適に用いることができる。
ところで、本発明におけるポリエステル層Bは、水接触角が70度以上95度以下であることが好ましい。水接触角が上記範囲よりも小さいとフィルム巻取り性の向上効果やブロッキング改良効果が乏しく、上記範囲よりも大きいと、磁気記録媒体にするときに、バックコート層などとの接着性が低下したりすることがある。
このような表面の水接触角は、例えば炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスを、ポリエステル組成物Bに、該組成物の重量を基準として、0.001〜1重量%含有させることで達成できる。ここで、エステルワックスとは、エステルワックスと部分的にケン化させた部分ケン化エステルワックスとを包含するものである。ポリエステル組成物B中のワックスの割合が上記下限を下回るとフィルム巻取り性の向上効果やブロッキング改良効果が乏しくなることがある。一方、ワックスの割合が上記上限を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写され、そのため、例えば蒸着のための真空引き時にベースフィルムがずれてしまう、また蒸着時にベースフィルムが蛇行してしまうという弊害を生じることがある。さらに、ベースフィルム上に蒸着によって形成される金属薄膜とベースフィルムとの接着性を妨げるといった弊害を生じることもある。
上記脂肪族モノカルボン酸の炭素数は8個以上、好ましくは8〜34個である。この炭素数が8個未満であると、得られたエステルワックスの耐熱性が不充分で、ポリエステルに分散させる際の加熱条件で、該エステルワックスが容易に分解されてしまうため、不適切である。
炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む混合物などが挙げられる。
上記エステルワックスのアルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコールである。さらに耐熱性の観点から、水酸基を3個以上有する多価アルコールであることが好ましい。モノアルコールを用いたのでは、生成したエステルワックスの耐熱性が不足する。
上記水酸基を2個有する多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが好ましく挙げられる。水酸基を3個以上有する多価アルコールとしては、例えばグリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリット、ソルビット、マンニットなどが好ましく挙げられる。
上記脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールから得られるエステルワックスとしては、多価アルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエステル、トリエステルなどが挙げられる。これらの中、耐熱性の観点から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよりもトリエステルが好ましい。これらの中でも、特に好ましいエステルワックスは、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートである。
上記脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる部分ケン化エステルワックスは、多価アルコールを炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸で部分エステル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化することにより得られる。具体的には、例えばモンタン酸ジオールエステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックスE、ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワックスFL(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げられる。かかる(部分ケン化)エステルワックスは1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
上記(部分ケン化)エステルワックスのポリエステル組成物Bへの添加量は、該組成物の重量を基準として、0.001〜1重量%、さらに0.003〜0.5重量%、よりさらに0.005〜0.5重量%、特に0.01〜0.3重量%であることが好ましい。この(部分ケン化)エステルワックスの添加量が下限未満であると、フィルム巻取り性の向上が不十分であり、ブロッキング改良効果も得られない。一方、上限を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げたときに接する反対側の面に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写され、そのため、例えば蒸着のための真空引き時にベースフィルムがずれてしまう、また、蒸着時に蛇行してしまうという弊害を生じる。さらに、ベースフィルム上に蒸着によって形成される金属薄膜とベースフィルムとの接着性を妨げるといった弊害も生じる。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層A側の表面の中心面平均粗さ(以下、WRaAと称する。)が0.5nm以上2.5nm以下であることが好ましい。該表面粗さが上限を超えると電磁変換特性が低下しやすく、下限未満だと走行性が悪化することがある。さらに好ましいWRaAは0.7nm以上2.2nm以下であり、特に好ましいWRaAは0.8nm以上1.7nm未満である。
また、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層B側の表面の中心面平均粗さ(WRaB)は、2nm以上20nm以下、さらに4.0nm以上15nm以下、よりさらに4.5nm以上12nm以下、特に5.0〜10nmの範囲にあることが好ましい。該WRaBが上限を超えると、電磁変換特性等が低下しやすく、一方、該該WRaBが下限未満だと、その平坦性の故に、ベースフィルムの製膜工程での搬送、傷付き、巻取り、巻出しといったハンドリング性の悪化をきたし、またロールに巻いたときの形状(ロールフォーメーション)が悪化し、生産性の悪化、製品歩留りの低下、ひいては製品の製造コストの上昇をきたすことがある。なお、該WRaBは、上述のWRaAよりも粗いことが好ましく、さらに0.1nm以上、特に0.5nm以上粗いことが好ましい。
WRaは、使用した重合触媒および熱安定剤、含有される不活性粒子の種類や粒径、ポリエステル層Aとポリエステル層Bの層厚比、フィルム製造時の縦延伸温度および/または横延伸温度による粒子の突き出し具合や表面の平坦化などによっても調整できる。
ところで、上述したWRaA、WRaBを所望の範囲に調整するために、層Bに含有せしめた不活性粒子Bの平均粒径とポリエステル層Aの厚さとが特定の関係を満たすようにするのが好ましい。具体的には、不活性粒子Bが不活性粒子が1種類の場合はその平均粒径を、また、不活性粒子Bが2種類以上の不活性粒子を併用したものである場合は不活性粒子のうち最も平均粒径の大きな不活性粒子の平均粒径を、dB(μm)とし、ポリエステル層Aの厚さをtA(μm)としたときに、dB/tAは、0.01以上0.5以下、更に0.02以上0.4以下、特に0.03以上0.1以下であることが好ましい。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムの厚みは、積層フィルム全体の厚みは、3μm以上8μm以下であることが好ましい。ポリエステル層Aの厚みは、2.5μm以上、好ましくは3.5μm以上、より好ましくは4.0μm以上である。ポリエステル層Aの厚みが下限未満であると、オリゴマーの析出抑制効果が乏しくなったり、ポリエステル層B中の不活性粒子Bによる突き上げで二軸配向積層ポリエステルフィルムのポリエステル層A側の表面の平坦性が損なわれてしまう。また、ポリエステル層Bの厚みは、2.0μm以下、好ましくは1.7μm以下、さらに好ましくは1.5μm以下である。ポリエステル層Bの厚みが上限を超えると、ポリエステル層Aによるオリゴマーの析出抑制効果が乏しくなったり、ポリエステル層B中の不活性粒子Bによって二軸配向積層ポリエステルフィルムのポリエステル層A側の表面の平坦性が損なわれてしまう。ポリエステル層Bの厚みの下限は、ポリエステル層Bによるテープ加工時のスリット性向上効果を発現する観点から、好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、特に好ましくは1.1μm以上である。これらの点から、ポリエステル層Aとポリエステル層Bの厚みの比は、2.5〜6、特に3〜5の範囲にあることが好ましい。なお、このとき、平坦面を形成する層Aと走行面を形成するポリエステル層Bとの層厚構成は、ポリエステル層Aの表面に前記表面欠陥が生じないように、ポリエステル層Bに添加する不活性粒子の平均粒径dBとポリエステル層Aの厚さとが、前述の関係を満足するように構成されるのが好ましい。また、ポリエステル層Bの厚さと不活性粒子Bとの関係は、前記平均粒径dBに対し、ポリエステル層Bの厚みが1/2倍以上(μm)であることが好ましい。
ところで、本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、磁気テープとした場合の磁性層、すなわち金属薄膜との密着性向上やポリエステル層Aからのオリゴマーの析出を抑制できるなど、諸特性向上のため、磁性層を設ける側の表面、すなわち二軸配向積層ポリエステルフィルムのポリエステル層Aのポリエステル層Bと接していない表面に、皮膜層Cを設けることが好ましい。
前記皮膜層Cは、バインダー樹脂C、不活性粒子C、界面活性剤Cおよびシロキサン共重合アクリル樹脂Cからなる。
前記バインダー樹脂Cは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などの水溶性または水分散性樹脂が好ましく挙げられ、特に水溶性または水分散性ポリエステル樹脂が好ましい。
この水溶性または水分散性ポリエステル樹脂としては、酸成分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポリエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。なおここでいう、水溶性または水分散性とは、水に溶解、乳化、微分散するタイプを意味し、本発明においては、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
前記不活性粒子Cとしては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、比較的低比重のものが好ましい。例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましく挙げられる。
前記不活性粒子Cの平均粒径(dC)は、10〜50nm、好ましくは12〜45nm、さらに好ましくは15〜40nmである。この平均粒径が10nm未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、50nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくない。
前記不活性粒子Cの形状は、後述の体積形状係数(f)が0.1〜π/6、さらに0.2〜π/6、特には0.4〜π/6が好ましい。体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活性粒子Cとして好ましい。体積形状係数(f)が0.1未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低下してしまうので好ましくない。
前記不活性粒子Cの含有量は、皮膜層C(塗液の固形分)に対し、0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。この含有量が0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、30重量%を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため、好ましくない。皮膜層Cの厚みは、通常1〜100nm、好ましくは2〜50nm、さらに好ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmである。
本発明の二軸配向積層ポリエステルフィルムは、従来から知られている、または当業界に蓄積されている方法に準じて製造することができる。ポリエステル層Aとポリエステル層Bとの積層構造は、共押出し法により製造するのが好ましい。さらにまた、表面に皮膜層Cを積層する場合、積層方法は塗布法により行うのが好ましい。
さらに詳しく、製造方法を例示すると、押出し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で、不活性粒子Bを微分散、含有させた固有粘度を有するポリエステル組成物B(必要なら、上記(部分ケン化)エステルワックスも含有)と、必要に応じて不活性粒子Aを含有させた固相重合された高い固有粘度を有するポリエステル組成物Aとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造となし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でフィルム状に共押出ししたのち、40〜90℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、製膜方向に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍率で、好ましくは2.7〜4.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向とは直角方向に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で3.0〜7.0倍の倍率で、好ましくは3.5〜5.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、製膜方向および/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは10〜35倍、さらに好ましくは12〜30倍である。
また、熱固定は3ゾーン以上で実施することが好ましい。この時3ゾーンの場合は第1番目のゾーンの温度を横延伸温度と最高熱固定温度の中間の温度とすることが好ましく、160〜200℃が好ましい。第2番目のゾーンの温度を200〜230℃の温度とし、第3番目のゾーン(最後の熱固定ゾーン)は第2番目のゾーンよりも低い温度とし、その範囲は170〜210℃が好ましい。3ゾーン以上の場合は1番目のゾーンの温度と最高の熱固定温度のゾーン間で傾斜をつけて温度を増加させることが好ましい。また最後の熱固定ゾーンは最高の熱固定温度よりも低いことが好ましく、その範囲は170〜210℃が好ましい。
さらに、この最後の熱固定ゾーンではレール幅を好ましくは、フィルムの幅に対して0.5〜5%縮めることにより、縦熱収と横熱収の比を0.9〜1.5の範囲に設定することが可能となる。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。熱固定ゾーン以降の冷却ゾーンの温度は80〜130℃の範囲に設定することにより縦熱収と横熱収の比を0.9〜1.5の範囲に設定することが容易になるために好ましい。
また、各ロール速度とフィルムの実速度の差が0〜1.5%以内とすることにより傷のほとんどないフィルムを得ることができるので好ましい。
なお、ポリエステル組成物Aおよびポリエステル組成物Bには、所望により上記不活性粒子以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗調整剤などを添加含有させてもよい。
本発明におけるポリエステル層Aへの皮膜層Cの積層は、水性塗液を塗布する方法で行うのが好ましい。
塗布は最終延伸処理を施す以前のポリエステル層Aの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ないし途中で皮膜は乾燥される。その中で、塗布は、未延伸積層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦(一軸)延伸積層フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法などが挙げられる。
前記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.5〜4重量%であることが好ましい。そして、水性塗液には、本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができる。
また、ポリエステル層Aおよびポリエステル層Bの結晶化度は、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方上限を上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
本発明によれば、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bが積層されてなる積層ポリエステルフィルム、およびポリエステル層Aのポリエステル層Bと接していない表面に皮膜層Cが積層されている積層ポリエステルフィルムのそれぞれをベースフィルムとする磁気記録媒体が同様に提供される。
本発明の積層ポリエステルフィルムから磁気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりである。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層A、好ましくは皮膜層Cの表面、すなわち平坦面側の表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物より成る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的や用途などの必要に応じてダイアモンド状カーボン(DLC)等の保護層やフッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、更に層B側の表面に公知のバックコート層を設けることにより、特に短波長領域の出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録用デジタルビデオカセットレコーダ(DVC)、データ8ミリ、マンモス、AIT用テープ媒体として極めて有用である。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステル層A側の表面、すなわち平坦面側表面に、鉄または鉄を主成分とする針状微細磁性粉を塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のバインダーに均一分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し、更に層B側の表面に公知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/N等の電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることもできる。また、必要に応じて層A側の表面に、該メタル粉含有磁性層の下地層として微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散、塗設することもできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、データ8ミリ、DDS4、デジタルβカム、D2,D3,SX、LTO、DLT等用テープ媒体として極めて有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明における各特性は、以下の方法によって測定または評価される。また、実施例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、「重量部」および「重量%」である。
(1)不活性粒子AおよびBの平均粒径
島津製作所製CP−50型セントリフューグル パーティクルサイズ アナライザー(Centrifugal Particle Size Analyzer)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(Book「粒度測定技術」日刊工業新聞発行、1975年、頁242〜247参照)。
(2)不活性粒子Cの平均粒径
光散乱法、すなわち、Nicomp Instruments Inc.社製の NICOMP MODEL 270 SUBMICRON PARTICLE SIZER により求められる全粒子の50重量%の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。
(3)層厚
フィルムの全厚はマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。層厚は、薄い側の層厚を以下に述べる方法にて測定し、また厚い側の層厚は全厚より薄い側の層厚に引き算して求める。即ち、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ5000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M/C)を粒子濃度とし、表面から深さ5000nmまで厚さ方向の分析を行う。表層では表面という界面の為に粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安定値1になった後、上昇或いは減少して安定値2になる場合と、単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、前者の場合は(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与える深さよりも深い)をもって、当該層の層厚とする。
測定条件は以下の通りである。
1)測定装置
二次イオン質量分析装置(SIMS):PERKIN ELMER社製 6300
2)測定条件一次イオン種:O
一次イオン加速電圧:12kV
一次イオン電流:200nA
ラスター領域:400μm□
分析領域:ゲート30%
測定真空度:6.0×10−9Torr
E−GUNN:0.5kV−3.0A
なお、表層から5000nmの範囲に最も多く含有する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線高電子分光法)等で上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚を求める。
(4)中心面平均粗さ(WRa)
非接触式三次元表面粗さ計(WYKO社製:NT−2000)を用いて測定倍率25倍、測定面積246.6μm×187.5μm(=0.0462mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内臓された表面解析ソフトにより中心面平均粗さWRaを以下の式より求める。
Figure 0004505276
ここで、上記式中のZjkは測定方法(246.6μm)、それと直行する方法(187.5μm)をそれぞれm分割、n分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における2次元粗さチャート上の高さである。
(5)固有粘度
o−クロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から求める。
(6)磁気テープの製造
得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムのポリエステル層A側の表面に、真空蒸着によりコバルト−酸素薄膜を110nmの厚みで形成する。次にコバルト−酸素薄膜層上に、スパッタリング法によりダイヤモンド状カーボンを10nmの厚みで形成させ15000m巻き取った。更に含フッ素カルボン酸系潤滑剤を順次設ける。続いて、コバルト−酸素薄膜を形成したのとは反対側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を厚みが500nmとなるように設け、スリッターにより幅8mm及び6.35mmにスリットし、市販のリールに巻き取り、磁気テープを作成した。
(7)スリット性
前記(5)で磁気テープを製造する際に、スリッターによりスリットしたときの切断加工の切り口、すなわちテープ両端部を光学顕微鏡で倍率975倍にて観察し、以下の基準で評価した。
○:断面に盛り上りがなく、スリット屑も認められない
△:断面に盛り上りがあり、粉状あるいは細長いスリット屑が少量認められる
×:断面に盛り上りがあり、粉状あるいは細長いスリット屑がかなり明確に認められる
(8)電磁変換特性(C/N)
C/Nの測定は、前記(5)で作成した6.35mmテープを、市販のHi8用VTR(SONY株式会社製、EV−BS3000)を用いて、7MHz±1MHzの条件で行った。このC/Nを市販のHi8用ビデオテープ(SONY株式会社製、蒸着型テープ E6−120HME4)と比較して、+3dB以上のテープを◎、+1〜+3dBのテープを○、+1dB未満〜−1.0dbのテープを△、−1.0db未満のテープを×として、評価した。
(9)ドロップアウト(DO)
株式会社シバソク製のドロップアウトカウンターを使用して、3μsec/10dB以上のドロップアウトを10分間測定し、1分当たりの個数に換算して、下記の基準で判定する。
◎:ドロップアウト 3ケ/分未満
○:ドロップアウト 3ケ/分以上、6ケ/分未満
×:ドロップアウト 6ケ/分以上
(10)オリゴマー量
層A側(皮膜層Cがある場合は皮膜層Cの表面):105℃、3時間熱処理したフィルムの層A側を、光学顕微鏡で975倍の倍率で10視野観察する。大きさ0.5μ以上のオリゴマー数をカウントし、下記基準で判定する。
◎:200個/mm以下
○:200個/mmを超え400個/mm以下
△:400個/mmを超え800個/mm未満
×:800個/mm以上
層B側:150℃、30分間熱処理したフィルムの層B側を、光学顕微鏡で975倍の倍率で10視野観察する。大きさ0.5μ以上のオリゴマー数をカウントし、下記基準で判定する。
◎:400個/mm以下
○:400個/mmを超え800個/mm以下
△:800個/mmを超え1200個/mm未満
×:1200個/mm以上
[実施例1]
<樹脂A1の作成>
テレフタル酸100部、エチレングリコール70部、酸化ゲルマニウム触媒を0.006部で添加して定法に従い、直重法にて重合反応を行った。反応の最後に安定剤として亜リン酸を0.01部添加し固有粘度0.55のプレポリマーを得た。続いてこのポリマーを0.5mmHgの高真空下230℃で10時間固相重合を行い樹脂A1を得た。樹脂A1の固有粘度は0.86であった。
<樹脂B1の作成>
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部の混合物に、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水塩0.025部を添加し、内温を150℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リン酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、三酸化アンチモン0.03部添加した。系内に混入した水を充分留出させた後、滑剤である不活性粒子Bとして、平均粒径300nmのシリコーン粒子および平均粒径70nmのθ型アルミナを、表1に示す含有量になるように添加して充分撹拌した後、次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温295℃)にて重縮合を行い、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。このポリエチレンテレフタレート組成物に、炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスとしてソルビタントリステアレート(融点55℃)の粉末を、表1に示す含有量になるようにベント付き二軸ルーダーにて練り込み、固有粘度0.62のポリエステル層B用のポリエチレンテレフタレート組成物(樹脂B1)を得た。樹脂B1中の触媒残渣であるアンチモン元素量は250ppmであった。
<樹脂B2の作成>
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部の混合物に、エステル交換触媒として酢酸カルシウム・1水塩を0.018部、酢酸マグネシウム・4水塩を0.060部を添加し、内温を150℃から徐々に上げながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が95%となった時点で、安定剤として亜リン酸を0.01部添加し、充分撹拌した後、エチレングリコール2.5部中で無水トリメリット酸0.8部とテトラブチルチタネート0.65部を反応せしめた液(液中のチタン元素の割合は11重量%)0.014部を添加して充分撹拌した後、次いで反応生成物を重合反応器に移し、高温真空下(最終内温295℃)にて重縮合を行い、固有粘度0.60のポリエステルB用のポリエチレンテレフタレート組成物(樹脂B2)を得た。樹脂B2中の触媒残渣であるチタン元素量は10ppmであった。
<二軸配向積層ポリエステルフィルムの作成>
得られた樹脂A1は170℃でポリマーの水分率が0.1重量%になるまで4時間乾燥した。また、樹脂B1と樹脂B2の重量比50:50の混合物Bを、170℃でポリマーの水分率が0.05重量%になるまで5時間乾燥した。そして、乾燥された樹脂A1と混合物Bとを2台の押し出し機に供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、樹脂A1からなるポリエステル層Aの片面に混合物Bからなるポリエステル層Bを積層させ、急冷して厚さ93μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.4倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層側に下記に示す組成(固形分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を、乾燥後の得られる皮膜層Cの厚みが8nmになるようにキスコート法にて塗布した。
<塗液の固形分組成>
バインダー:アクリル変性ポリエステル(高松油脂株式会社製、IN−170−6) 60%
不活性粒子C:アクリルフィラー(平均粒径20nm、体積形状係数0.40、日本触媒株式会社製、エポスター) 10%
界面活性剤:(三洋化成製、ナロアクティーN85) 15%
続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.3倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、3ゾーンある熱固定ゾーンでそれぞれ200℃、230℃、180℃の熱風で4秒間熱固定し第3ゾーンで幅方向に1.5%弛緩処理を実施した。さらに冷却ゾーンの温度を100℃として、全厚み6.4μmで、ポリエステル層Aの厚み5.1μm、ポリエステル層Bの厚み1.3μmの二軸配向積層ポリエステルフィルムを得た。なお、ポリエステル層A、Bの厚みについては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
参考例3]
樹脂B1と樹脂B2の割合を75重量%と25重量%に変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例4]
塗膜C中の不活性粒子Cの添加量を15重量%とする以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例5]
不活性粒子Cの平均粒径を30nmに、添加量を5重量%とした以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例6]
ポリエステル層B中の不活性粒子Bを、平均粒径500nmのシリコーン粒子および平均粒径70nmのθ型アルミナに変更し、かつそれぞれのポリエステル層Bに対する含有量を表1に示すとおり変更した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例1]
樹脂A1の代わりに樹脂B2を使用した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例2]
樹脂A1に滑剤(不活性粒子B)として、平均粒径300nmのシリコーン粒子および平均粒径70nmのθ型アルミナを、樹脂中にそれぞれ0.12重量%および0.2重量%となるように添加し、ソルビタントリステアレート(融点55℃)の粉末を、樹脂中に0.2重量%となるように練りこんで樹脂B3を得た。そして、混合物Bの代わりに樹脂B3を使用した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例3]
樹脂B2を定法に従って固相重合し、固有粘度0.8のポリマーB4を得た。層Aに使用する樹脂A1の代わりに樹脂B4を使用する以外は全て実施例1と同様に実施し積層フィルムを得た。この積層フィルムの特性、およびこのフィルムを用いて強磁性薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与したあとのテープのスリット性および強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例4]
樹脂B2に、滑剤である不活性粒子Bとして、平均粒径300nmのシリコーン粒子および平均粒径70nmのθ型アルミナを、樹脂中にそれぞれ0.12重量%および0.20重量%添加し、ソルビタントリステアレート(融点55℃)の粉末を、樹脂中に0.2重量%となるように練りこんで樹脂B5を得た。そして、混合物Bの代わりに樹脂B5を使用した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[比較例5]
樹脂B1中の不活性粒子B(シリコーン粒子およびθ型アルミナ)とエステルワックスの含有量を、それぞれ0.12%重量、0.20重量%および0.20重量%に変更して樹脂B6を得た。そして、混合物Bの代わりに樹脂B6を使用した以外は、実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムの特性、およびこのフィルムを支持体として強磁性金属薄膜およびダイヤモンド状カーボンを付与した強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
Figure 0004505276
表1中のSTSはソルビタントリステアレート、C/Nは電磁変換特性、D.O.はドロップアウトを意味する。
表1から明らかなように、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、表層部A側にゲルマニウム触媒を使用し固有粘度が一定の範囲にあり、表層部Bにアンチモン触媒およびチタン触媒を一定の範囲量用い、表層部A、Bの固有粘度差が一定の範囲にあるものは、テープのスリット性が良く、オリゴマーの発生が少ないことから、テープ性能の高いフィルムおよびテープを提供することができる。一方、本発明の要件を満たさないものは、これらの特性を同時に満足できない。

Claims (8)

  1. 厚さが2.5μm以上のポリエステル層Aの片面に、厚さが2μm以下のポリエステル層Bが積層された二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、
    ポリエステル層Aは、重縮合反応触媒がゲルマニウム化合物である固有粘度0.62以上のポリエステル組成物Aからなり、
    ポリエステル層Bは、重縮合反応触媒がチタン化合物およびアンチモン化合物であって、該チタン化合物の含有量がチタン元素量で1〜15ppmおよび該アンチモン化合物の含有量がアンチモン元素量で63〜160ppmであり、リン元素量で62〜200ppmのリン化合物を含有する固有粘度0.59以下のポリエステル組成物Bからなり、そして
    ポリエステル組成物Bは、該組成物の重量を基準として、平均粒径50〜1000nmの不活性粒子Bを0.001〜1重量%含有し、ポリエステル組成物Aとの固有粘度の差が0.10以下である
    ことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  2. ポリエステル層Aのポリエステル層Bと接していない側の表面に、バインダー樹脂C、不活性粒子C、界面活性剤Cおよびシロキサン共重合アクリル樹脂Cからなる皮膜層Cが積層されている請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  3. ポリエステル組成物Bが、炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステルワックスを、該組成物の重量を基準として、0.001〜10重量%含有する請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステル層A側の表面は、中心線平均粗さWRaAが0.5〜2.5nmの範囲にある請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  5. ポリエステル層B側の表面は、中心線平均粗さWRaBが2〜20nmの範囲にある請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  6. ポリエステル組成物Aまたはポリエステル組成物Bが、ポリエチレンテレフタレートからなるポリエステル組成物である請求項1記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. 蒸着型磁気記録媒体の支持体として使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜6に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムとそのポリエステル層A側の表面に設けられた金属薄膜とからなることを特徴とする磁気記録媒体。
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