JP2001001460A - 積層熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

積層熱可塑性樹脂フィルム

Info

Publication number
JP2001001460A
JP2001001460A JP11176155A JP17615599A JP2001001460A JP 2001001460 A JP2001001460 A JP 2001001460A JP 11176155 A JP11176155 A JP 11176155A JP 17615599 A JP17615599 A JP 17615599A JP 2001001460 A JP2001001460 A JP 2001001460A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
layer
film
resin layer
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11176155A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3616731B2 (ja
Inventor
Makoto Iida
真 飯田
Hirobumi Murooka
博文 室岡
Toshifumi Osawa
利文 大澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP17615599A priority Critical patent/JP3616731B2/ja
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to KR1020017016117A priority patent/KR100626129B1/ko
Priority to US10/018,746 priority patent/US6713155B1/en
Priority to PCT/JP2000/003905 priority patent/WO2000079524A1/ja
Priority to DE2000623298 priority patent/DE60023298T2/de
Priority to EP20000937247 priority patent/EP1195748B1/en
Priority to TW89112210A priority patent/TW580696B/zh
Publication of JP2001001460A publication Critical patent/JP2001001460A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3616731B2 publication Critical patent/JP3616731B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ブロッキング性、巻き取り性、加工適性に
優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに、
電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂フィルムを提供
すること。 【解決手段】 塗膜層C、樹脂層B、樹脂層Aが積層さ
れてなるフィルムであって、層Cが特定の物性を有する
不活性粒子Cを含有し、B層が実質的に粒子を含有しな
いか、特定の物性を有する不活性粒子Bを含有し、B層
の表面粗さWRaが特定範囲内であり、A層が、特定の
物性を有する不活性粒子A、(部分ケン化)エステルワ
ックスを含有し、かつ上記A層のB層と接していない表
面の水接触角が70〜90°であるポリエチレンテレフ
タレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートか
らなる積層熱可塑性樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層熱可塑性樹脂
フィルムに関し、さらに詳しくは、耐ブロッキング性、
巻き取り性、加工適性に優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気
記録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑
性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩は
めざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパ
ッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁
性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体
の開発実用化が、進められている。例えば、Coの蒸着
テープ(特開昭54−147010号公報)、Co−C
r合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52−134
706号公報)が知られている。
【0003】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。
これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプ
レーティングなどの薄膜形成手段によって形成される金
属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に薄くなってい
る。このため、上記の高密度磁気記録媒体においては、
非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁気記録
層の表面性に大きな影響を及ぼしている。すなわち、非
磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層表面の凹
凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因と
なる。従って、非磁性支持体の表面は、できるだけ平滑
であることが望ましい。
【0004】一方、非磁性支持体の製膜、製膜工程での
搬送、傷つき、巻き取り、巻出しといったハンドリング
の観点からは、フィルム表面が平滑過ぎるとフィルム−
フィルム相互の滑り性が悪化し、製品歩留りの低下、ひ
いては、製品の製造コストの上昇をきたす。従って、製
造コストという観点では、非磁性支持体の表面は、でき
るだけ粗いことが好ましい。このように、非磁性支持体
の表面は、電磁変換特性という観点からは平滑であるこ
とが要求され、ハンドリング性、製造コストの観点から
は、粗いことが要求される。さらに、金属薄膜型磁気記
録媒体の場合には、金属薄膜とベースフィルムとの密着
性を良好にするため、金属薄膜成形前に、イオンボンバ
ード処理と呼ばれる、ベースフィルム表面をイオンによ
り活性化する処理が施される。この金属薄膜成形時に
は、フィルム表面に高温の熱がかかり、ベースフィルム
が融解してしまったり、あるいは機械特性などの物性の
低下を招かぬように、背面冷却を施している。背面冷却
の方法としては、ドラム状冷却体にベースフィルムを巻
き付けて実施する場合が多く、その際、ドラム表面に金
属薄膜が形成されないようにベースフィルム両端をマス
キングしている。
【0005】従って、上記蒸着工程を通過したサンプル
ロールの両端部には、イオンボンバード処理によって表
面が活性化され、かつ金属薄膜が形成されない部分が、
長手方向に連続的に存在している。この部分は、ロール
状に巻き上げられた状態では、反対面側と高い圧力で接
触することになり、ブロッキングを引き起しやすくな
る。金属薄膜型磁気記録媒体を製造する際には、金属薄
膜を蒸着した後に、バックコート層および必要に応じて
トップコート層を設けるが、これらの加工工程において
上記ブロッキングが発生していると、ベースフィルムの
切断やしわが発生しやすくなり、収率が大幅に低下して
しまうという問題がある。上記のような問題を解決する
ために、例えば特開平9−207290号公報、特開平
9−226063号公報には、A,Bの2層からなり、
A層表面よりもB層表面の方が粗い積層フィルムが提案
されている。しかしながら、このような方法では、電磁
変換特性とハンドリング性、巻き取り性のバランスはあ
る程度取れるものの、まだ不充分であり、かつ上記ブロ
ッキングの発生を抑制する事ができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の欠点を解消し、耐ブロッキング性、巻
き取り性、加工適性に優れ、金属蒸着薄膜型磁気記録媒
体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂
フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
層Bの片面に熱可塑性樹脂層Aが積層されてなるフィル
ムであって、上記B層の表面粗さWRaが0.1〜4n
m、上記A層が、平均粒径100〜2,000nmの不
活性粒子AをA層に対して0.001〜5重量%、およ
び炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価
アルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスを
A層に対して0.001〜10重量%含有し、かつ上記
A層のB層と接していない表面の水接触角が70〜90
°である積層熱可塑性樹脂フィルムを提供するものであ
る。上記熱可塑性樹脂層Bの熱可塑性樹脂層Aと接して
いない表面には、塗膜層Cが積層されており、上記塗膜
層Cが、平均粒径10〜50nm、体積形状係数0.1
〜π/6の不活性粒子Cを塗膜層Cの固形分に対して
0.5〜30重量%含有することが好ましい。また、上
記熱可塑性樹脂層Bは、実質的に粒子を含有しないこと
が好ましい。さらに、上記熱可塑性樹脂層Bは、体積形
状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不
活性粒子Bを0.001〜0.2重量%含有することも
好ましい。さらに、上記熱可塑性樹脂層Aは、ポリエチ
レンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフ
タレートからなることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において、熱可塑性樹脂層
Aおよび熱可塑性樹脂層Bを形成する熱可塑性樹脂Aお
よびBとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂などを例示することができる。これらのうち、ポリエ
ステル系樹脂、特に芳香族ポリエステルが好ましい。熱
可塑性樹脂AとBとは、異なる種類を用いても良いが、
同種類の方が好ましい。上記芳香族ポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフ
タレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などを例示す
ることができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好まし
い。
【0009】これらポリエステルは、ホモポリエステル
であっても、コポリエステルであっても良い。コポリエ
ステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレング
リコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−
キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピ
ン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの
場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポ
リエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オ
キシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分など
が挙げられる。これら共重合成分の量は、20モル%以
下、さらには10モル%以下であることが好ましい。
【0010】さらにトリメリット酸、ピロメリット酸な
どの3官能以上の多官能化合物を、共重合させることも
できる。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、
例えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分につ
いても、上記と同様に考えてよい。上記ポリエステル
は、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製
造することができる。
【0011】熱可塑性樹脂層Aは、平均粒径100〜
2,000nmの不活性粒子AをA層に対して0.00
1〜5重量%含有する。不活性粒子Aとして好ましい粒
子は、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(架橋シリコ
ーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラ
ミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエス
テルなどからなる粒子)、そのほか(2)金属酸化物
(三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ
素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムな
ど)、(3)金属の炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(カーボンブラッ
ク、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)
粘土鉱物(カオリン、クレー、ベントナイトなど)など
のような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これ
らのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン
樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリ
アミドイミド樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム
(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジル
コニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイア
モンド、およびカオリンからなる微粒子が好ましい。さ
らに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリス
チレン樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミ
ナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、および炭酸カルシ
ウムからなる微粒子である。
【0012】不活性粒子Aの平均粒径(dA)は、10
0〜2,000nm、好ましくは200〜1,500n
m、さらに好ましくは200〜1,000nm、特に好
ましくは200〜800nmである。不活性粒子Aの含
有量は、A層に対して0.001〜5重量%、好ましく
は0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.03〜3
重量%、特に好ましくは0.05〜2.0重量%であ
る。不活性粒子Aの平均粒径が100nm未満、または
含有量がA層に対して0.001重量%未満の場合、巻
き取り性、耐ブロッキング性が不良となる。一方、平均
粒径が2,000nmを超えるか、または含有量がA層
に対して5重量%を超えると、反対面のB層表面への突
起の形状転写や、B層の下からの突起の突き上げによっ
てB層表面が粗くなってしまい、電磁変換特性を悪化さ
せる。
【0013】不活性粒子Aは、1種または2種以上のも
のを混合して使用してもよい。不活性粒子Aが2種以上
の粒子からなる場合、上記不活性粒子Aの平均粒径dA
よりも小さい平均粒径の第2、第3の粒子(微細粒子)
として、例えば、コロイダルシリカ、α、γ、δ、θな
どの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を好ましく
用いることができる。また、平均粒径dAを有する不活
性粒子Aとして例示した粒子種のうち、平均粒径の小さ
い微細粒子も、第2、第3の粒子(微細粒子)として用
いることができる。
【0014】この微細粒子の平均粒径は、好ましくは5
〜400nm、さらに好ましくは10〜300nm、特
に好ましくは30〜250nmの範囲にあり、かつ上記
平均粒径dAよりも50nm以上さらには100nm以
上、特に150nm以上小さいことが好ましい。第2、
第3の粒子(微細粒子)の含有量は、A層に対して好ま
しくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.0
1〜0.7重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重
量%である。
【0015】熱可塑性樹脂層Aは、炭素数が8個以上の
脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる
(部分ケン化)エステルワックスをA層に対して0.0
01〜10重量%含有する。上記脂肪族モノカルボン酸
の炭素数は、8個以上、好ましくは8〜34個である。
炭素数が8個未満であると、得られたエステル生成物の
耐熱性が不充分で、熱可塑性樹脂Aに分散させる際の加
熱条件で、脂肪族モノカルボン酸が容易に分解されてし
まうため、不適切である。炭素数が8個以上の脂肪族モ
ノカルボン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウ
ンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、
リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン
酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン
酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む酸混合物
などが挙げられる。
【0016】本発明の(部分ケン化)エステルワックス
のアルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アル
コールである。耐熱性の観点から、好ましくは、水酸基
を3個以上有する多価アルコールである。モノアルコー
ルを用いたのでは、生成した(部分ケン化)エステルワ
ックスの耐熱性が不足する。水酸基を2個有する多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカ
ンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどが、好ましい例と
して挙げられる。水酸基を3個以上有する多価アルコー
ルとしては、グリセリン、エリスリット、トレイット、
ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリッ
ト、ソルビット、マンニットなどが挙げられる。
【0017】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールから得られるエステルワックスとしては、多価ア
ルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエ
ステル、トリエステルなどが挙げられる。耐熱性の観点
から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよ
りもトリエステルが好ましい。好ましいエステルワック
スとしては、具体的にはソルビタントリステアレート、
ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパ
ルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが
挙げられる。上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールからなる部分ケン化エステルワックスは、炭素数
が8個以上の高級脂肪酸を、多価アルコールで部分エス
テル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化する
ことにより得られる。具体的には、モンタン酸ジオール
エステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックス
E、ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワック
スFL(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げ
られる。上記(部分ケン化)エステルワックスは、1種
単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂層Aは、上記(部分
ケン化)エステルワックスを、A層に対して0.001
〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、さらに
好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1
〜1重量%含有する。(部分ケン化)エステルワックス
の含有量が、A層中に0.001重量%未満であると、
ブロッキング改良効果が得られない。一方、10重量%
を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げ
たときに接する面とは反対面側に、ブリードアウトによ
ってワックス成分が多量に転写される。そのため、例え
ば、金属蒸着層とベースフィルムの接着性を妨げるなど
の弊害がある。
【0019】また、上記熱可塑性樹脂層AのB層と接し
ていない表面の水接触角は、70〜90°、好ましくは
71〜89°、さらに好ましくは72〜88°、特に好
ましくは74〜86°である。水接触角が70°未満で
は、上記同様、ブロッキング改良効果が得られない。一
方、90°を超えると、バックコート層を塗布する工程
で、塗布斑などの問題が発生する。
【0020】本発明のポリエステルフィルムには、フィ
ルムの製造時および加工時のハンドリング性向上、磁気
テープとしたときの諸特性向上を目的として、磁気テー
プとした場合に磁性層を設ける側の面に、別の熱可塑性
樹脂層Bを設ける。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂層Bの表面粗さWR
aは、0.1〜4nm、好ましくは0.2〜3.5n
m、さらに好ましくは0.3〜3.0nm、特に好まし
くは0.4〜2.5nmである。WRaが、0.1nm
未満であると、フィルムの製造が極めて困難であり、一
方、WRaが4nmを超えると、電磁変換特性が悪化す
る。この表面粗さ(WRa)の調整は、熱可塑性樹脂層
Bに含有させる不活性粒子Bの粒径および/または量に
よって可能である。
【0022】本発明の熱可塑性樹脂層Bは、実質的に粒
子を含有しないものでもよく、不活性粒子Bを含有する
ものでもよい。熱可塑性樹脂層Bが、実質的に粒子を含
有しない場合、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性
に優れるので好ましい。また、熱可塑性樹脂層Bに、電
磁変換特性に悪影響を与えない範囲の粒子を添加する
と、走行耐久性向上の観点から好ましい。具体的には、
体積形状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400n
mの不活性粒子Bを、熱可塑性樹脂層Bに対して0.0
01〜0.2重量%含有させることが好ましい。好まし
い不活性粒子Bの種類としては、上記不活性粒子Aと同
様のものが挙げられる。
【0023】不活性粒子Bの形状は、下式(I)で表さ
れる体積形状係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは
0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であ
るものである。 f=V/R3 ・・・(I) 〔ここで、fは体積形状係数、Vは粒子の体積(μ
3 )、Rは粒子の平均粒径(μm)である。〕 なお、体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状
は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)
が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、
ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活
性粒子Bとして好ましい。体積形状係数(f)が0.1
未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低
下してしまうので好ましくない。不活性粒子Bの平均粒
径dBは、30〜400nm、好ましくは40〜200
nm、さらに好ましくは50〜100nmである。平均
粒径dBが、30nm未満であると、フィルムの滑り性
が不良となることがあり、一方、400nmを超える
と、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあ
るため好ましくない。不活性粒子Bは、1種または2種
以上のものを混合して使用してもよい。
【0024】不活性粒子Bを熱可塑性樹脂層Bに配合す
る場合の含有量は、B層に対して0.001〜0.2重
量%、好ましくは0.01〜0.1重量%、さらに好ま
しくは0.02〜0.05量%である。0,001重量
%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることが
あり、一方、0.2重量%を超えると、磁気記録媒体の
電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくな
い。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂層Bの、熱可塑性樹
脂層Aと接していない表面に、平均粒径10〜50n
m、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.
5〜30重量%含有している塗膜層Cが積層されている
と、金属蒸着型磁気記録媒体としたときの走行耐久性に
優れるので好ましい。塗膜層Cを形成する樹脂として
は、例えば、水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹
脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特
に水性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0026】この水性ポリエステル樹脂としては、酸成
分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−ス
ルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸
カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリッ
ト酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多
価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパ
ン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物など
の多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポ
リエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエス
テル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマ
ーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマー
がミクロな粒子内で特定の物理的構成〔IPN(相互侵
入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアク
リル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポ
リエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散する
タイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分
散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性
を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カル
ボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていても
よい。
【0027】上記塗膜層Cに含有される不活性粒子Cと
しては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、
比較的低比重のものが好ましい。例えば、耐熱性ポリマ
ー(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、
架橋ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポ
リエステル、全芳香族ポリエステルなど)からなる粒
子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどから
なる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、特に好まし
くは架橋シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル
型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメ
チルメタクリレートの粒子など)が挙げられる。
【0028】不活性粒子Cの平均粒径dCは、10〜5
0nm、好ましくは15〜45nm、さらに好ましくは
18〜40nmである。平均粒径が10nm未満では、
フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、50
nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良と
なることがあるため好ましくない。
【0029】不活性粒子Cの形状は、上式(I)で表さ
れる体積形状係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは
0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であ
るものである。体積形状係数(f)が0.1未満の粒
子、例えば薄片状の粒子では、充分な走行耐久性を得る
のが難しい。
【0030】不活性粒子Cの含有量は、塗膜層Cの固形
分に対して0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重
量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。含有量
が、0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性が不
良となることがあり、一方、30重量%を超えると、磁
気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため
好ましくない。
【0031】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの全厚
みは、通常2.5〜20μm、好ましくは3.0〜10
μm、さらに好ましくは4.0〜10μmである。熱可
塑性樹脂層Aの層厚みは、好ましくは積層熱可塑性樹脂
フィルムの全厚みの1/2以下、さらに好ましくは1/
3以下、特に好ましくは1/4以下である。熱可塑性樹
脂層Bの厚みは、好ましくは積層熱可塑性樹脂フィルム
の全厚みの1/2以上、さらに好ましくは2/3以上、
特に好ましくは3/4以上である。塗膜層Cの厚みは、
通常1〜100nm、好ましくは2〜5nm、さらに好
ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmであ
る。
【0032】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、従
来から知られている、または当業界に蓄積されている方
法に準じて製造することができる。そのうち、熱可塑性
樹脂層Aと熱可塑性樹脂層Bとの積層構造は、共押し出
し法により製造するのが好ましく、塗膜層Cの積層は、
塗布法により行うのが好ましい。
【0033】例えば、二軸配向ポリエステルフィルムで
説明すると、押し出し口金内または口金以前(一般に前
者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック
方式と呼ぶ)で上記不活性粒子A、ならびに(部分ケン
化)エステルワックスを微分散し、含有させた熱可塑性
樹脂Aと、必要に応じて不活性粒子Bを含有する熱可塑
性樹脂Bとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶
融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造と
なし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃
の温度でフィルム状に共押し出ししたのち、40〜90
℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得
る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一
軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(T
g+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガ
ラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましく
は3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方
向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段
目延伸は横方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃
の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0
〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、
縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。す
なわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うと
よい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは
12〜35倍、さらに好ましくは15〜30倍である。
【0034】さらに、上記二軸配向フィルムは、(Tg
+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃
で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が
付与される。また、熱固定時間は、1〜60秒が好まし
い。なお、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造に際し、熱
可塑性樹脂A、Bに所望により上記不活性粒子以外の添
加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗
調整剤などを添加含有させることができる。
【0035】本発明の熱可塑性樹脂層Bへの、塗膜層C
の積層は、水性塗液を塗布する方法で行う。塗布は、最
終延伸処理を施す以前の熱可塑性樹脂層Bの表面に行
い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸す
るのが好ましい。この延伸の前ないし途中で塗膜は乾燥
される。その中で、塗布は、未延伸積層フィルムまたは
縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦(一軸)延伸積層
フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限
定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法
などが挙げられる。
【0036】上記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は、
0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.
5〜4重量%であることが好ましい。そして、塗液(好
ましくは水性塗液)には、本発明の効果を妨げない範囲
で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散
剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができ
る。
【0037】本発明において、磁気記録媒体としてのヘ
ッドタッチ、走行耐久性を始めとする各種性能を向上さ
せ、同時に薄膜化を達成するには、積層フィルムのヤン
グ率を、縦方向および横方向でそれぞれ、通常、450
kg/mm2 以上および600kg/mm2 以上、好ま
しくは480kg/mm2 以上および680kg/mm
2 以上、さらに好ましくは550kg/mm2 以上およ
び800kg/mm2以上、特に好ましくは550kg
/mm2 以上および1,000kg/mm2 以上とす
る。また、熱可塑性樹脂A、Bの結晶化度は、熱可塑性
樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50
%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28
〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回る
と、熱収縮率が大きくなるし、一方、上限を上回るとフ
ィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と
摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0038】本発明によれば、上記熱可塑性樹脂層Bの
片面に上記熱可塑性樹脂層Aが積層されてなる積層熱可
塑性樹脂フィルム、および、熱可塑性樹脂層Bの熱可塑
性樹脂層Aと接していない表面に塗膜層Cが積層されて
いる積層熱可塑性樹脂フィルムのそれぞれをベースフィ
ルムとする磁気記録媒体が、同様に提供される。
【0039】本発明の積層フィルムから磁気記録媒体を
製造する実施態様は、下記のとおりである。すなわち、
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂層B、好ましく
は塗膜層Cの表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティングなどの方法により、鉄、コバルト、ク
ロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よ
りなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目
的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン
(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層
を順次設け、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Aの磁
性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層
を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/
N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウ
ト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録
媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、
アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディ
ジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8
ミリ、DDSIV用磁気テープ媒体として極めて有用であ
る。
【0040】また、本発明の積層フィルムは、熱可塑性
樹脂層B、好ましくは塗膜層Cの表面に、鉄または鉄を
主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダ
ーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましく
は0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要によ
り、熱可塑性樹脂層Aの磁性層とは反対側の表面に、公
知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短
波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性
に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度
記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることができる。
また、必要に応じて、熱可塑性樹脂層Bまたは塗膜層C
の表面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層として微細
な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同
様の有機バインダー中に分散し、塗設することもでき
る。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記
録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、
ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコー
ダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタル
βカム、D2、D3、SXなど用磁気テープ媒体として
極めて有用である。
【0041】さらに、本発明の積層フィルムは、熱可塑
性樹脂層B、好ましくは塗膜層Cの表面に、酸化鉄また
は酸化クロムなどの針状微細磁性粉、またはバリウムフ
ェライトなどの板状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に
分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜
1μmとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑
性樹脂層Aの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法で
バックコート層を設けることにより、特に短波長領域で
の出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ド
ロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用酸化
物塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要
に応じて、熱可塑性樹脂層Bまたは塗膜層Cの表面に、
上記酸化物粉末含有磁性層の下地層として微細な酸化チ
タン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機
バインダー中に分散し、塗設することもできる。この酸
化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用デー
タストリーマー用QICなどの高密度記録用酸化物塗布
型磁気記録媒体として有用である。
【0042】上記のW−VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものである。それゆ
え、本発明のフィルムは、これらHDTV対応VTR用
磁気記録媒体に極めて有用なベースフィルムということ
ができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例における
「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および
重量%である。また、本発明における物性値および特性
は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ、定義されるも
のである。
【0044】(1)固有粘度 オルソクロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から
求めた。 (2)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:60nm以
上) 株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグ
ル パーティクル サイズ アナライザー(Centr
ifugal Particle SizeAnaly
zer)」を用いて測定した。得られる遠心沈降曲線を
基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線か
ら、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」
を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とした
(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、
頁242〜247)。
【0045】(3)粒子の平均粒径(II)(平均粒径:
60nm未満) 小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散
乱法を用いて測定した。すなわち、ニコンプインストゥ
ルメント株式会社(Nicomp Instrumen
ts Inc.)製の商品名「NICOMP MODE
L 270 SUBMICRON PARTICLE
SIZER」により求められる全粒子の50%の点にあ
る粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)と
した。
【0046】(4)体積形状係数(f) 走査型電子顕微鏡により、用いたサイズに応じた倍率に
て各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼック
ス500(日本レギュレーター社製)を用い、投影面最
大径(D)(μm)および粒子の体積(V)(μm3
を算出し、下式(II)により計算した。 f=V/D3 ・・・(II)
【0047】(5)熱可塑性樹脂層A、Bの厚み、およ
び、フィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに
10点測定し、その平均値を用いた。熱可塑性樹脂層
A、Bの層厚については、薄い熱可塑性樹脂層の層厚み
を下記に述べる方法にて測定し、厚い熱可塑性樹脂層の
層厚みは、全厚みより塗膜層および薄い熱可塑性樹脂層
の層厚を引き算して求めた。すなわち、二次イオン質量
分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層か
ら深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最
も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+ )と熱可塑性
樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C+ )の濃度比(M
+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ5,000n
mまで厚さ方向の分析を行った。表層では表面という界
面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて
粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安
定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、
単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、
前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度
を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安
定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与え
る深さよりも深い)をもって、薄い熱可塑性樹脂層の厚
み(μm)とした。
【0048】測定条件は、以下のとおりである。 (a)測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エル
マー株式会社(PERKIN ELMER INC.)
製、「6300」 (b)測定条件 一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5KV−3.0A
【0049】なお、表層から5,000nmの範囲に最
も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子
粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面から
エッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォ
ーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分
光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚
(μm)を求めた。
【0050】(6)塗膜層Cの厚み フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロ
トームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片
(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成した。
この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:
H−800型)にて観察し、塗膜層Cの境界面を探して
塗膜層の厚み(nm)を求めた。
【0051】(7)接触角 協和科学(株)製、接触角測定装置を用いて測定した。
フィルムサンプルを、温度25℃、湿度50%の環境下
に24時間以上置いたのち、フィルム上に蒸留水を5m
g滴下し、水平の方向から20秒後に写真を撮影した。
フィルムと水滴の接線が形成する角度を接触角(°)と
した。
【0052】(8)中心線平均粗さ(表面粗さ)(WR
a) WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「T
OPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積2
42μm×239μm(0.058mm2 )の条件にて
測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデー
タ)を得た。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析によ
り、下式(III)によって定義される中心線平均粗さ(W
Ra)を得た。
【0053】
【数1】
【0054】また、Zjkは、測定方向(242μm)、
それと直交する方向(239μm)を、それぞれM分
割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に
おける三次元粗さチャート上の高さである。
【0055】(10)ヤング率 東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品
名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に
調節された室内において、長さ300mm、幅12.7
mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張
り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用い
て下式(V)によって計算した。 E=△σ/△ε ・・・(V) ここで、Eはヤング率(kg/mm2 )、△σは直線上
の2点間の元の平均断面積による応力差、△εは同じ2
点間のひずみ差である。
【0056】(11)ブロッキング剥離力 ロール状フィルムの長手方向に100mm、幅方向に2
00mmの長方形にサンプリングし、熱可塑性樹脂層A
(ベースフィルム)側に、室温20±2℃、湿度40±
5%の環境下で、コロナ処理を施した。
【0057】上記コロナ処理は、春日電気株式会社製、
商品名「CG−102」型の高周波電源を用いて、以下
の条件にて処理した。 電流;4.5A 電極間距離;1.0mm 処理時間;1.2m/分の速度で、電極間を通過させて
処理した。 フィルムの処理した面を、直ちにフィルムの熱可塑性樹
脂層Aと反対側の面と接触させ、100kg/cm2
圧力にて温度60℃、湿度80%の環境下で17時間エ
イジングさせたのち、上記引っ張り試験機、商品名「テ
ンシロン」を用いて、幅100mm当たりの剥離力を求
めた。
【0058】(9)巻き取り性 スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600
mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度1
00m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面
に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以
下の基準にて巻き取り性を評価した。 ◎;良品ロールの本数28本以上 ○;良品ロールの本数25〜27本 ×;良品ロールの本数16〜24本 ××;良品ロールの本数15本以下 (13)バックコート塗布適性(加工適性) 下記磁気テープの製造加工工程において、バックコート
塗布後の熱可塑性樹脂層Aの表面を目視観察し、以下の
基準にて評価した。 ○;バックコート層に、塗布斑、ハジキがない。 ×;バックコート層に、塗布斑か、ハジキが認められ
る。
【0059】(12)磁気テープの製造および特性(電
磁変換特性)評価 本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの塗膜層Cの表面
に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜
を0.2μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1
μm)形成した。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモ
ンドライクカーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カル
ボン酸系潤滑層を順次設け、さらに熱可塑性樹脂層Aの
表面に、公知の方法でバックコート層を設けた。その
後、8mm幅にスリットし、市販の8mmビデオカセッ
トにローディングした。次いで、下記の市販の機器を用
いてテープの特性(C/N)を測定した。
【0060】使用機器 8mmビデオテープレコーダー、ソニー株式会社製、商
品名「EDV−6000」 C/N測定:株式会社シバソク製、ノイズメーター C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/Nを0dBとし、相対値で評価した。
【0061】(14)不活性粒子A、Bの調製 不活性粒子Aとして、下記のものを使用した。 真球状シリカ;平均粒径600nm 球状シリカ;平均粒径400nm θ型アルミナ;平均粒径60nm シリコーン;平均粒径500nm 架橋ポリスチレン;平均粒径800nm バテライト結晶系炭酸カルシウム;平均粒径200nm
【0062】不活性粒子Bとして、下記のものを使用し
た。 真球状シリカ;平均粒径200nm(体積形状係数;
0.5) 球状シリカ;平均粒径60nm(体積形状係数;0.
5)
【0063】(15)(部分ケン化)エステルワックス
の調製 炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価ア
ルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスとし
て下記のものを使用した。 (a−1);ソルビタントリステアレート(融点55
℃) (a−2);モンタン酸ジオールエステルを水酸化カル
シウムでケン化したもの、ヘキスト株式会社製、商品名
「ワックスE」、(融点86℃) (a−3);グリセリントリパルミタート (a−4);モンタン酸ジオールエステルを水酸化カル
シウムでケン化したもの、ヘキスト株式会社製、商品名
「ワックスOP」、(融点81℃) (a−5);ペンタエリスリットトリペヘネート
【0064】実施例1 ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、エ
ステル交換触媒として酢酸マンガン、重合触媒としてト
リメリット酸チタン、安定剤として亜リン酸を、さらに
滑剤(不活性粒子B)として平均粒径60nmの球状シ
リカ(体積形状係数0.5)を、樹脂中に0.03%添
加して、常法により重合し、固有粘度0.60の熱可塑
性樹脂層B用のポリエチレンテレフタレート(樹脂B
1)を得た。さらに、上記と同様の方法で、滑剤(不活
性粒子A)として、平均粒径600nmの真球状シリカ
および平均粒径60nmのθ型アルミナを、樹脂中にそ
れぞれ0.12%および0.2%添加して、常法により
重合し、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレー
トを得た。得られたポリエチレンテレフタレート99.
7%に、ソルビタントリステアレート(a−1)の粉末
0.3%をまぶし、ベント付き二軸ルーダーにて練り込
み、固有粘度0.59の熱可塑性樹脂層A用のポリエチ
レンテレフタレート(樹脂A1)を得た。
【0065】得られた樹脂A1、樹脂B1を、それぞれ
170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、
溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11
μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマ
ニホールド型共押し出しダイを用いて、樹脂層Aの片面
に樹脂層Bを積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸
積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0066】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.
3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層B面側に下記に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート
法により塗布した。 バインダー:アクリル変性ポリエステル(高松油脂株式
会社製、IN−170−6)、67% 不活性粒子C:アクリルフィラー(平均粒径30nm)
(体積形状係数0.40)(日本触媒株式会社製、MA
02W)、6% 界面活性剤X:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−
208.5)、1% 界面活性剤Y:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−
240)、26% C層厚み(乾燥後):5nm
【0067】続いてステンターに供給し、110℃にて
横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4
μmで、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み1.0μm
の積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィ
ルムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについては、2台の
押し出し機の吐出量により調整した。このフィルムの熱
可塑性樹脂層Bの表面粗さWRaは、1.7nm、この
フィルムのヤング率は縦方向500kg/mm 2 、横方
向700kg/mm2 であった。この積層フィルムのそ
の他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸
着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0068】実施例2,4 熱可塑性樹脂層Aに含有させる不活性粒子Aの種類、平
均粒径、添加量、および(部分ケン化)エステルワック
スの種類、添加量を表1に示すとおり変更し、熱可塑性
樹脂Bに粒子を含有させない以外は、実施例1と同様に
して積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィル
ムの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表2に示す。
【0069】実施例3 熱可塑性樹脂層Aに含有させる不活性粒子Aの種類、平
均粒径、添加量を表1に示すとおり変更し、塗膜層C中
に含有させる不活性粒子Cを、コアシェルフィラー(コ
ア;架橋ポリスチレン、シェル;ポリメチルメタクリレ
ート)(平均粒径;30nm、体積形状係数0.45)
ジェイエスアール株式会社製、商品名「SX8721
(D)−12」に変更した以外は、実施例1と同様にし
て積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルム
の特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型
磁気テープの特性を表2に示す。
【0070】実施例5〜6 熱可塑性樹脂層Aに含有させる不活性粒子Aの種類、平
均粒径、添加量、および(部分ケン化)エステルワック
スの種類、添加量を表1に示すとおり変更し、ジメチル
テレフタレートの代わりに2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルを同モル量使用した以外は、実施例1と同
様にして熱可塑性樹脂層A、B用のポリエチレン−2,
6−ナフタレート(PEN)(樹脂A2、B2)を得
た。この樹脂A2、B2を、それぞれ170℃で6時間
乾燥後、実施例1と同様にして、各層厚みを調整し、厚
さ89μmの未延伸積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
【0071】得られた未延伸フィルムを予熱し、さらに
低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.
6倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層B面側に表1に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を実施例1と
同様に塗布した。
【0072】続いてステンターに供給し、155℃にて
横方向に5.7倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み4.4
μm、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み0.6μmの
積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィル
ムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについては、2台の押
し出し機の吐出量により調整した。実施例5において、
このフィルムの熱可塑性樹脂層Bの表面粗さWRaは、
0.9nm、このフィルムのヤング率は縦方向550k
g/mm2 、横方向1,050kg/mm2 であった。
実施例6において、このフィルムの熱可塑性樹脂層Bの
表面粗さWRaは、1.1nm、このフィルムのヤング
率は縦方向550kg/mm2 、横方向1,050kg
/mm2であった。この積層フィルムのその他の特性、
およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テー
プの特性を表2に示す。
【0073】比較例1 熱可塑性樹脂層Aに(部分ケン化)エステルワックスを
含有させない以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑
性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ブロッキ
ング剥離力を測定する際に、フィルムが密着しており、
むりやり剥がそうとすると破れてしまった。その他の特
性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気
テープの特性を表4に示す。
【0074】比較例2 ソルビタントリステアレート(a−1)の添加量を12
%にした以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑性樹
脂フィルムを得た。得られたフィルムは、磁気テープの
製造工程においてバックコートに塗布する際、ハジキが
発生してしまい、通常の塗布ができなかった。その他の
特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁
気テープの特性を表4に示す。
【0075】比較例3 熱可塑性樹脂層Bに添加する不活性粒子Bとして、平均
粒径200nmの真球状シリカ(体積形状係数;0.
5)を0.2%添加する以外は、実施例1と同様にして
積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルム
は、熱可塑性樹脂層B表面粗さWRaが本発明の範囲外
となり、電磁変換特性に劣っていた。その他の特性、お
よびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープ
の特性を表4に示す。
【0076】比較例4 熱可塑性樹脂層Aに不活性粒子Aを添加しない以外は、
実施例5と同様にして積層熱可塑性樹脂フィルムを得
た。得られたフィルムは、ブロッキング剥離力の測定の
際、フィルムが密着しており、測定不能であった。その
他の特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表4に示す。
【0077】比較例5 熱可塑性樹脂層B中に、ソルビタンモノアセテート0.
2%を含有させる以外は、実施例5と同様にして積層熱
可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ブロ
ッキング剥離力の測定の際、フィルムが密着しており、
測定不能であった。その他の特性、およびそのフィルム
を用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表4に示
す。
【0078】表1から明らかなように、本発明による積
層熱可塑性樹脂フィルムは、片面が非常に平坦で、優れ
た電磁変換特性を示すとともに、巻き取り性が極めて良
好であり、かつ耐ブロッキング性が良好である。一方、
本発明の要件を満たさないものは、これらの特性を同時
に満足できない。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】*1:PETはポリエチレンテレフタレー
ト、PENはポリエチレン−2,6−ナフタレートを表
す。 *2:バテライト結晶系炭酸カルシウム
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、耐ブロッキング性、巻
き取り性、加工適性に優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気記
録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性
樹脂フィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 101/16 G11B 5/73 G11B 5/73 C08L 101/00 //(C08L 101/16 91:06) (72)発明者 大澤 利文 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内 Fターム(参考) 4F100 AH02H AK01A AK01B AK42B BA02 BA03 BA07 CA17B CC00C DD07A DE01A DE01B DE01C GB41 JA20A JA20C JB16A JB16B JL00 JL01 JL05 YY00A YY00C 4J002 AE032 BC033 BG003 CC183 CF041 CL063 CP033 DA037 DE047 DE217 DG037 DJ017 EF026 EF056 FD173 FD177 GF00 5D006 CB01 CB05 CB06 CB07 CB08 EA03 FA05 FA09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂層Bの片面に熱可塑性樹脂
    層Aが積層されてなるフィルムであって、上記B層の表
    面粗さWRaが0.1〜4nm、上記A層が、平均粒径
    100〜2,000nmの不活性粒子AをA層に対して
    0.001〜5重量%、および炭素数が8個以上の脂肪
    族モノカルボン酸および多価アルコールからなる(部分
    ケン化)エステルワックスをA層に対して0.001〜
    10重量%含有し、かつ上記A層のB層と接していない
    表面の水接触角が70〜90°であることを特徴とする
    積層熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂層Bの熱可塑性樹脂層Aと
    接していない表面に、塗膜層Cが積層されており、上記
    塗膜層Cが、平均粒径10〜50nm、体積形状係数
    0.1〜π/6の不活性粒子Cを塗膜層Cの固形分に対
    して0.5〜30重量%含有する請求項1に記載の積層
    熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂層Bが、粒子を含有しない
    請求項1または2記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂層Bが、体積形状係数0.
    1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不活性粒子B
    を熱可塑性樹脂層Bに対して0.001〜0.2重量%
    含有する請求項1または2記載の積層熱可塑性樹脂フィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂層Aが、ポリエチレンテレ
    フタレートからなる請求項1〜4のいずれか1項記載の
    積層熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂層Aが、ポリエチレン−
    2,6−ナフタレートからなる請求項1〜4のいずれか
    1項記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
JP17615599A 1999-06-22 1999-06-23 積層熱可塑性樹脂フィルム Expired - Fee Related JP3616731B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17615599A JP3616731B2 (ja) 1999-06-23 1999-06-23 積層熱可塑性樹脂フィルム
US10/018,746 US6713155B1 (en) 1999-06-22 2000-06-15 Magnetic recording medium and base film for the same
PCT/JP2000/003905 WO2000079524A1 (fr) 1999-06-22 2000-06-15 Support d'enregistrement magnetique et film de base associe
DE2000623298 DE60023298T2 (de) 1999-06-22 2000-06-15 Magnetaufzeichnungsfilm und basisfilm dafür
KR1020017016117A KR100626129B1 (ko) 1999-06-22 2000-06-15 자기기록매체 및 그것을 위한 베이스 필름
EP20000937247 EP1195748B1 (en) 1999-06-22 2000-06-15 Magnetic recording medium and base film therefor
TW89112210A TW580696B (en) 1999-06-22 2000-06-21 Magnetic recording medium and base film for the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17615599A JP3616731B2 (ja) 1999-06-23 1999-06-23 積層熱可塑性樹脂フィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001001460A true JP2001001460A (ja) 2001-01-09
JP3616731B2 JP3616731B2 (ja) 2005-02-02

Family

ID=16008633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17615599A Expired - Fee Related JP3616731B2 (ja) 1999-06-22 1999-06-23 積層熱可塑性樹脂フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3616731B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002248726A (ja) * 2001-02-27 2002-09-03 Teijin Ltd 積層ポリエステルフィルム
JP2002248722A (ja) * 2001-02-23 2002-09-03 Teijin Ltd 積層ポリエステルフィルム
WO2007111098A1 (ja) 2006-03-24 2007-10-04 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 透明バリア性シート及びその製造方法
EP1908587A1 (en) * 2005-07-11 2008-04-09 Teijin Dupont Films Japan Limited Laminate film
CN113309167A (zh) * 2021-06-03 2021-08-27 湘潭大学 一种水底疏浚清淤车履齿及其制造方法
JP2023137960A (ja) * 2022-03-18 2023-09-29 サイデン化学株式会社 撥水コーティング組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002248722A (ja) * 2001-02-23 2002-09-03 Teijin Ltd 積層ポリエステルフィルム
JP2002248726A (ja) * 2001-02-27 2002-09-03 Teijin Ltd 積層ポリエステルフィルム
EP1908587A1 (en) * 2005-07-11 2008-04-09 Teijin Dupont Films Japan Limited Laminate film
EP1908587A4 (en) * 2005-07-11 2012-08-15 Teijin Dupont Films Japan Ltd LAMINATE FILM
WO2007111098A1 (ja) 2006-03-24 2007-10-04 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 透明バリア性シート及びその製造方法
CN113309167A (zh) * 2021-06-03 2021-08-27 湘潭大学 一种水底疏浚清淤车履齿及其制造方法
JP2023137960A (ja) * 2022-03-18 2023-09-29 サイデン化学株式会社 撥水コーティング組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP3616731B2 (ja) 2005-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1195748B1 (en) Magnetic recording medium and base film therefor
JP3920033B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP3195219B2 (ja) 積層フイルム
JP3616731B2 (ja) 積層熱可塑性樹脂フィルム
JP4266528B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP2002160337A (ja) ポリエステルフィルム
JP3195235B2 (ja) 積層フィルム
JP3626588B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2002248722A (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP4014392B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP4097503B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP3933360B2 (ja) 積層熱可塑性樹脂フィルム
JP3942410B2 (ja) 積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JP3797903B2 (ja) 2軸配向ポリエステルフィルムの製造方法および磁気記録媒体の製造方法
JP3856626B2 (ja) 積層熱可塑性樹脂フィルム
JP3856630B2 (ja) 積層熱可塑性樹脂フィルム
JP4746163B2 (ja) 積層フィルム
JP2003103739A (ja) 積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JPH11216823A (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP2005103787A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2004195825A (ja) 積層ポリエステルフィルム、フィルムロールおよび磁気記録媒体
JP2004071116A (ja) 光テープ用積層ポリエステルフィルム
JP2004202940A (ja) 積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体
JPH11309820A (ja) 積層フィルム
JP2000037838A (ja) 複合ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040408

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040518

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040714

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20040908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041019

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081112

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091112

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101112

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111112

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121112

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees