JP2001001460A - 積層熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents
積層熱可塑性樹脂フィルムInfo
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Abstract
優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気記録媒体としたときに、
電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂フィルムを提供
すること。 【解決手段】 塗膜層C、樹脂層B、樹脂層Aが積層さ
れてなるフィルムであって、層Cが特定の物性を有する
不活性粒子Cを含有し、B層が実質的に粒子を含有しな
いか、特定の物性を有する不活性粒子Bを含有し、B層
の表面粗さWRaが特定範囲内であり、A層が、特定の
物性を有する不活性粒子A、(部分ケン化)エステルワ
ックスを含有し、かつ上記A層のB層と接していない表
面の水接触角が70〜90°であるポリエチレンテレフ
タレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートか
らなる積層熱可塑性樹脂フィルム。
Description
フィルムに関し、さらに詳しくは、耐ブロッキング性、
巻き取り性、加工適性に優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気
記録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑
性樹脂フィルムに関する。
めざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパ
ッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁
性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体
の開発実用化が、進められている。例えば、Coの蒸着
テープ(特開昭54−147010号公報)、Co−C
r合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52−134
706号公報)が知られている。
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。
これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプ
レーティングなどの薄膜形成手段によって形成される金
属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に薄くなってい
る。このため、上記の高密度磁気記録媒体においては、
非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が磁気記録
層の表面性に大きな影響を及ぼしている。すなわち、非
磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層表面の凹
凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因と
なる。従って、非磁性支持体の表面は、できるだけ平滑
であることが望ましい。
搬送、傷つき、巻き取り、巻出しといったハンドリング
の観点からは、フィルム表面が平滑過ぎるとフィルム−
フィルム相互の滑り性が悪化し、製品歩留りの低下、ひ
いては、製品の製造コストの上昇をきたす。従って、製
造コストという観点では、非磁性支持体の表面は、でき
るだけ粗いことが好ましい。このように、非磁性支持体
の表面は、電磁変換特性という観点からは平滑であるこ
とが要求され、ハンドリング性、製造コストの観点から
は、粗いことが要求される。さらに、金属薄膜型磁気記
録媒体の場合には、金属薄膜とベースフィルムとの密着
性を良好にするため、金属薄膜成形前に、イオンボンバ
ード処理と呼ばれる、ベースフィルム表面をイオンによ
り活性化する処理が施される。この金属薄膜成形時に
は、フィルム表面に高温の熱がかかり、ベースフィルム
が融解してしまったり、あるいは機械特性などの物性の
低下を招かぬように、背面冷却を施している。背面冷却
の方法としては、ドラム状冷却体にベースフィルムを巻
き付けて実施する場合が多く、その際、ドラム表面に金
属薄膜が形成されないようにベースフィルム両端をマス
キングしている。
ロールの両端部には、イオンボンバード処理によって表
面が活性化され、かつ金属薄膜が形成されない部分が、
長手方向に連続的に存在している。この部分は、ロール
状に巻き上げられた状態では、反対面側と高い圧力で接
触することになり、ブロッキングを引き起しやすくな
る。金属薄膜型磁気記録媒体を製造する際には、金属薄
膜を蒸着した後に、バックコート層および必要に応じて
トップコート層を設けるが、これらの加工工程において
上記ブロッキングが発生していると、ベースフィルムの
切断やしわが発生しやすくなり、収率が大幅に低下して
しまうという問題がある。上記のような問題を解決する
ために、例えば特開平9−207290号公報、特開平
9−226063号公報には、A,Bの2層からなり、
A層表面よりもB層表面の方が粗い積層フィルムが提案
されている。しかしながら、このような方法では、電磁
変換特性とハンドリング性、巻き取り性のバランスはあ
る程度取れるものの、まだ不充分であり、かつ上記ブロ
ッキングの発生を抑制する事ができない。
ような従来技術の欠点を解消し、耐ブロッキング性、巻
き取り性、加工適性に優れ、金属蒸着薄膜型磁気記録媒
体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性樹脂
フィルムを提供することにある。
層Bの片面に熱可塑性樹脂層Aが積層されてなるフィル
ムであって、上記B層の表面粗さWRaが0.1〜4n
m、上記A層が、平均粒径100〜2,000nmの不
活性粒子AをA層に対して0.001〜5重量%、およ
び炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価
アルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスを
A層に対して0.001〜10重量%含有し、かつ上記
A層のB層と接していない表面の水接触角が70〜90
°である積層熱可塑性樹脂フィルムを提供するものであ
る。上記熱可塑性樹脂層Bの熱可塑性樹脂層Aと接して
いない表面には、塗膜層Cが積層されており、上記塗膜
層Cが、平均粒径10〜50nm、体積形状係数0.1
〜π/6の不活性粒子Cを塗膜層Cの固形分に対して
0.5〜30重量%含有することが好ましい。また、上
記熱可塑性樹脂層Bは、実質的に粒子を含有しないこと
が好ましい。さらに、上記熱可塑性樹脂層Bは、体積形
状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不
活性粒子Bを0.001〜0.2重量%含有することも
好ましい。さらに、上記熱可塑性樹脂層Aは、ポリエチ
レンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフ
タレートからなることが好ましい。
Aおよび熱可塑性樹脂層Bを形成する熱可塑性樹脂Aお
よびBとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂などを例示することができる。これらのうち、ポリエ
ステル系樹脂、特に芳香族ポリエステルが好ましい。熱
可塑性樹脂AとBとは、異なる種類を用いても良いが、
同種類の方が好ましい。上記芳香族ポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフ
タレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、
ポリエチレン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート)などを例示す
ることができる。これらのうち、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好まし
い。
であっても、コポリエステルであっても良い。コポリエ
ステルの場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートま
たはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合成分
としては、例えばジエチレングリコール、プロピレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレング
リコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−
キシリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピ
ン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタ
ル酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの
場合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポ
リエチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オ
キシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分など
が挙げられる。これら共重合成分の量は、20モル%以
下、さらには10モル%以下であることが好ましい。
どの3官能以上の多官能化合物を、共重合させることも
できる。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、
例えば2モル%以下で、共重合させるのが良い。ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レート以外の他のポリエステルの場合の共重合成分につ
いても、上記と同様に考えてよい。上記ポリエステル
は、それ自体公知であり、かつそれ自体公知の方法で製
造することができる。
2,000nmの不活性粒子AをA層に対して0.00
1〜5重量%含有する。不活性粒子Aとして好ましい粒
子は、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(架橋シリコ
ーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラ
ミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエス
テルなどからなる粒子)、そのほか(2)金属酸化物
(三二酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ
素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムな
ど)、(3)金属の炭酸塩(炭酸マグネシウム、炭酸カ
ルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(カーボンブラッ
ク、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)
粘土鉱物(カオリン、クレー、ベントナイトなど)など
のような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これ
らのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン
樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリ
アミドイミド樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム
(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジル
コニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイア
モンド、およびカオリンからなる微粒子が好ましい。さ
らに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリス
チレン樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム(アルミ
ナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、および炭酸カルシ
ウムからなる微粒子である。
0〜2,000nm、好ましくは200〜1,500n
m、さらに好ましくは200〜1,000nm、特に好
ましくは200〜800nmである。不活性粒子Aの含
有量は、A層に対して0.001〜5重量%、好ましく
は0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.03〜3
重量%、特に好ましくは0.05〜2.0重量%であ
る。不活性粒子Aの平均粒径が100nm未満、または
含有量がA層に対して0.001重量%未満の場合、巻
き取り性、耐ブロッキング性が不良となる。一方、平均
粒径が2,000nmを超えるか、または含有量がA層
に対して5重量%を超えると、反対面のB層表面への突
起の形状転写や、B層の下からの突起の突き上げによっ
てB層表面が粗くなってしまい、電磁変換特性を悪化さ
せる。
のを混合して使用してもよい。不活性粒子Aが2種以上
の粒子からなる場合、上記不活性粒子Aの平均粒径dA
よりも小さい平均粒径の第2、第3の粒子(微細粒子)
として、例えば、コロイダルシリカ、α、γ、δ、θな
どの結晶形態を有するアルミナなどの微粒子を好ましく
用いることができる。また、平均粒径dAを有する不活
性粒子Aとして例示した粒子種のうち、平均粒径の小さ
い微細粒子も、第2、第3の粒子(微細粒子)として用
いることができる。
〜400nm、さらに好ましくは10〜300nm、特
に好ましくは30〜250nmの範囲にあり、かつ上記
平均粒径dAよりも50nm以上さらには100nm以
上、特に150nm以上小さいことが好ましい。第2、
第3の粒子(微細粒子)の含有量は、A層に対して好ま
しくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.0
1〜0.7重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重
量%である。
脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなる
(部分ケン化)エステルワックスをA層に対して0.0
01〜10重量%含有する。上記脂肪族モノカルボン酸
の炭素数は、8個以上、好ましくは8〜34個である。
炭素数が8個未満であると、得られたエステル生成物の
耐熱性が不充分で、熱可塑性樹脂Aに分散させる際の加
熱条件で、脂肪族モノカルボン酸が容易に分解されてし
まうため、不適切である。炭素数が8個以上の脂肪族モ
ノカルボン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウ
ンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン
酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、
ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、
リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン
酸、ヘントリアコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン
酸、エルカ酸、リノール酸およびこれらを含む酸混合物
などが挙げられる。
のアルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アル
コールである。耐熱性の観点から、好ましくは、水酸基
を3個以上有する多価アルコールである。モノアルコー
ルを用いたのでは、生成した(部分ケン化)エステルワ
ックスの耐熱性が不足する。水酸基を2個有する多価ア
ルコールとしては、エチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカ
ンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどが、好ましい例と
して挙げられる。水酸基を3個以上有する多価アルコー
ルとしては、グリセリン、エリスリット、トレイット、
ペンタエリスリット、アラビット、キシリット、タリッ
ト、ソルビット、マンニットなどが挙げられる。
コールから得られるエステルワックスとしては、多価ア
ルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエ
ステル、トリエステルなどが挙げられる。耐熱性の観点
から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよ
りもトリエステルが好ましい。好ましいエステルワック
スとしては、具体的にはソルビタントリステアレート、
ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパ
ルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが
挙げられる。上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールからなる部分ケン化エステルワックスは、炭素数
が8個以上の高級脂肪酸を、多価アルコールで部分エス
テル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化する
ことにより得られる。具体的には、モンタン酸ジオール
エステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックス
E、ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワック
スFL(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げ
られる。上記(部分ケン化)エステルワックスは、1種
単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
ケン化)エステルワックスを、A層に対して0.001
〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、さらに
好ましくは0.05〜2重量%、特に好ましくは0.1
〜1重量%含有する。(部分ケン化)エステルワックス
の含有量が、A層中に0.001重量%未満であると、
ブロッキング改良効果が得られない。一方、10重量%
を超えると、フィルム製造工程で、ロール上に巻き上げ
たときに接する面とは反対面側に、ブリードアウトによ
ってワックス成分が多量に転写される。そのため、例え
ば、金属蒸着層とベースフィルムの接着性を妨げるなど
の弊害がある。
ていない表面の水接触角は、70〜90°、好ましくは
71〜89°、さらに好ましくは72〜88°、特に好
ましくは74〜86°である。水接触角が70°未満で
は、上記同様、ブロッキング改良効果が得られない。一
方、90°を超えると、バックコート層を塗布する工程
で、塗布斑などの問題が発生する。
ルムの製造時および加工時のハンドリング性向上、磁気
テープとしたときの諸特性向上を目的として、磁気テー
プとした場合に磁性層を設ける側の面に、別の熱可塑性
樹脂層Bを設ける。
aは、0.1〜4nm、好ましくは0.2〜3.5n
m、さらに好ましくは0.3〜3.0nm、特に好まし
くは0.4〜2.5nmである。WRaが、0.1nm
未満であると、フィルムの製造が極めて困難であり、一
方、WRaが4nmを超えると、電磁変換特性が悪化す
る。この表面粗さ(WRa)の調整は、熱可塑性樹脂層
Bに含有させる不活性粒子Bの粒径および/または量に
よって可能である。
子を含有しないものでもよく、不活性粒子Bを含有する
ものでもよい。熱可塑性樹脂層Bが、実質的に粒子を含
有しない場合、磁気記録媒体としたときの電磁変換特性
に優れるので好ましい。また、熱可塑性樹脂層Bに、電
磁変換特性に悪影響を与えない範囲の粒子を添加する
と、走行耐久性向上の観点から好ましい。具体的には、
体積形状係数0.1〜π/6、平均粒径30〜400n
mの不活性粒子Bを、熱可塑性樹脂層Bに対して0.0
01〜0.2重量%含有させることが好ましい。好まし
い不活性粒子Bの種類としては、上記不活性粒子Aと同
様のものが挙げられる。
れる体積形状係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは
0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であ
るものである。 f=V/R3 ・・・(I) 〔ここで、fは体積形状係数、Vは粒子の体積(μ
m3 )、Rは粒子の平均粒径(μm)である。〕 なお、体積形状係数(f)がπ/6である粒子の形状
は、球(真球)である。すなわち、体積形状係数(f)
が0.4〜π/6のものは、実質的に球ないしは真球、
ラグビーボールのような楕円球を含むものであり、不活
性粒子Bとして好ましい。体積形状係数(f)が0.1
未満の粒子、例えば薄片状の粒子では、走行耐久性が低
下してしまうので好ましくない。不活性粒子Bの平均粒
径dBは、30〜400nm、好ましくは40〜200
nm、さらに好ましくは50〜100nmである。平均
粒径dBが、30nm未満であると、フィルムの滑り性
が不良となることがあり、一方、400nmを超える
と、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあ
るため好ましくない。不活性粒子Bは、1種または2種
以上のものを混合して使用してもよい。
る場合の含有量は、B層に対して0.001〜0.2重
量%、好ましくは0.01〜0.1重量%、さらに好ま
しくは0.02〜0.05量%である。0,001重量
%未満であると、フィルムの滑り性が不良となることが
あり、一方、0.2重量%を超えると、磁気記録媒体の
電磁変換特性が不良となることがあるため好ましくな
い。
脂層Aと接していない表面に、平均粒径10〜50n
m、体積形状係数0.1〜π/6の不活性粒子Cを0.
5〜30重量%含有している塗膜層Cが積層されている
と、金属蒸着型磁気記録媒体としたときの走行耐久性に
優れるので好ましい。塗膜層Cを形成する樹脂として
は、例えば、水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹
脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特
に水性ポリエステル樹脂が好ましい。
分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−ス
ルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸
カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリッ
ト酸モノカリウム塩、p−ヒドロキシ安息香酸などの多
価カルボン酸の1種以上よりなり、グリコール成分が、
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパ
ン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物など
の多価ヒドロキシ化合物の1種以上より主としてなるポ
リエステル樹脂が好ましく用いられる。また、ポリエス
テル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマ
ーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマー
がミクロな粒子内で特定の物理的構成〔IPN(相互侵
入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアク
リル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポ
リエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散する
タイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分
散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性
を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カル
ボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていても
よい。
しては、特に限定されないが、塗液中で沈降しにくい、
比較的低比重のものが好ましい。例えば、耐熱性ポリマ
ー(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、
架橋ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポ
リエステル、全芳香族ポリエステルなど)からなる粒
子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどから
なる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、特に好まし
くは架橋シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル
型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメ
チルメタクリレートの粒子など)が挙げられる。
0nm、好ましくは15〜45nm、さらに好ましくは
18〜40nmである。平均粒径が10nm未満では、
フィルムの滑り性が不良となることがあり、一方、50
nmを超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良と
なることがあるため好ましくない。
れる体積形状係数(f)が0.1〜π/6、好ましくは
0.2〜π/6、さらに好ましくは0.4〜π/6であ
るものである。体積形状係数(f)が0.1未満の粒
子、例えば薄片状の粒子では、充分な走行耐久性を得る
のが難しい。
分に対して0.5〜30重量%、好ましくは2〜20重
量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。含有量
が、0.5重量%未満であると、フィルムの滑り性が不
良となることがあり、一方、30重量%を超えると、磁
気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるため
好ましくない。
みは、通常2.5〜20μm、好ましくは3.0〜10
μm、さらに好ましくは4.0〜10μmである。熱可
塑性樹脂層Aの層厚みは、好ましくは積層熱可塑性樹脂
フィルムの全厚みの1/2以下、さらに好ましくは1/
3以下、特に好ましくは1/4以下である。熱可塑性樹
脂層Bの厚みは、好ましくは積層熱可塑性樹脂フィルム
の全厚みの1/2以上、さらに好ましくは2/3以上、
特に好ましくは3/4以上である。塗膜層Cの厚みは、
通常1〜100nm、好ましくは2〜5nm、さらに好
ましくは3〜10nm、特に好ましくは3〜8nmであ
る。
来から知られている、または当業界に蓄積されている方
法に準じて製造することができる。そのうち、熱可塑性
樹脂層Aと熱可塑性樹脂層Bとの積層構造は、共押し出
し法により製造するのが好ましく、塗膜層Cの積層は、
塗布法により行うのが好ましい。
説明すると、押し出し口金内または口金以前(一般に前
者はマルチマニホールド方式、後者はフィードブロック
方式と呼ぶ)で上記不活性粒子A、ならびに(部分ケン
化)エステルワックスを微分散し、含有させた熱可塑性
樹脂Aと、必要に応じて不活性粒子Bを含有する熱可塑
性樹脂Bとを、それぞれさらに高精度ろ過したのち、溶
融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造と
なし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃
の温度でフィルム状に共押し出ししたのち、40〜90
℃の冷却ロールで急冷固化し、未延伸積層フィルムを得
る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一
軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(T
g+70)℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガ
ラス転移温度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましく
は3.0〜7.5倍の倍率で延伸し、次いで上記延伸方
向とは直角方向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段
目延伸は横方向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃
の温度で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0
〜7.5倍の倍率で延伸する。さらに、必要に応じて、
縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。す
なわち、2段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うと
よい。全延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは
12〜35倍、さらに好ましくは15〜30倍である。
+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃
で熱固定結晶化することによって、優れた寸法安定性が
付与される。また、熱固定時間は、1〜60秒が好まし
い。なお、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造に際し、熱
可塑性樹脂A、Bに所望により上記不活性粒子以外の添
加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの固有抵抗
調整剤などを添加含有させることができる。
の積層は、水性塗液を塗布する方法で行う。塗布は、最
終延伸処理を施す以前の熱可塑性樹脂層Bの表面に行
い、塗布後にはフィルムを少なくとも一軸方向に延伸す
るのが好ましい。この延伸の前ないし途中で塗膜は乾燥
される。その中で、塗布は、未延伸積層フィルムまたは
縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦(一軸)延伸積層
フィルムに行うのが好ましい。塗布方法としては特に限
定されないが、例えば、ロールコート法、ダイコート法
などが挙げられる。
0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.
5〜4重量%であることが好ましい。そして、塗液(好
ましくは水性塗液)には、本発明の効果を妨げない範囲
で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散
剤、紫外線吸収剤、増粘剤などを添加することができ
る。
ッドタッチ、走行耐久性を始めとする各種性能を向上さ
せ、同時に薄膜化を達成するには、積層フィルムのヤン
グ率を、縦方向および横方向でそれぞれ、通常、450
kg/mm2 以上および600kg/mm2 以上、好ま
しくは480kg/mm2 以上および680kg/mm
2 以上、さらに好ましくは550kg/mm2 以上およ
び800kg/mm2以上、特に好ましくは550kg
/mm2 以上および1,000kg/mm2 以上とす
る。また、熱可塑性樹脂A、Bの結晶化度は、熱可塑性
樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50
%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28
〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回る
と、熱収縮率が大きくなるし、一方、上限を上回るとフ
ィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイドピン表面と
摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
片面に上記熱可塑性樹脂層Aが積層されてなる積層熱可
塑性樹脂フィルム、および、熱可塑性樹脂層Bの熱可塑
性樹脂層Aと接していない表面に塗膜層Cが積層されて
いる積層熱可塑性樹脂フィルムのそれぞれをベースフィ
ルムとする磁気記録媒体が、同様に提供される。
製造する実施態様は、下記のとおりである。すなわち、
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂層B、好ましく
は塗膜層Cの表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティングなどの方法により、鉄、コバルト、ク
ロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よ
りなる強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目
的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン
(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層
を順次設け、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Aの磁
性層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層
を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/
N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウ
ト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録
媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、
アナログ信号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディ
ジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8
ミリ、DDSIV用磁気テープ媒体として極めて有用であ
る。
樹脂層B、好ましくは塗膜層Cの表面に、鉄または鉄を
主成分とする針状微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダ
ーに均一に分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましく
は0.1〜1μmとなるように塗布し、さらに必要によ
り、熱可塑性樹脂層Aの磁性層とは反対側の表面に、公
知の方法でバックコート層を設けることにより、特に短
波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性
に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度
記録用メタル塗布型磁気記録媒体とすることができる。
また、必要に応じて、熱可塑性樹脂層Bまたは塗膜層C
の表面に、上記メタル粉含有磁性層の下地層として微細
な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同
様の有機バインダー中に分散し、塗設することもでき
る。このメタル塗布型磁気記録媒体は、アナログ信号記
録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、W−VHS、
ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレコー
ダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV、ディジタル
βカム、D2、D3、SXなど用磁気テープ媒体として
極めて有用である。
性樹脂層B、好ましくは塗膜層Cの表面に、酸化鉄また
は酸化クロムなどの針状微細磁性粉、またはバリウムフ
ェライトなどの板状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化
ビニル・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に
分散し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜
1μmとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑
性樹脂層Aの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法で
バックコート層を設けることにより、特に短波長領域で
の出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ド
ロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用酸化
物塗布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要
に応じて、熱可塑性樹脂層Bまたは塗膜層Cの表面に、
上記酸化物粉末含有磁性層の下地層として微細な酸化チ
タン粒子などを含有する非磁性層を磁性層と同様の有機
バインダー中に分散し、塗設することもできる。この酸
化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信号記録用デー
タストリーマー用QICなどの高密度記録用酸化物塗布
型磁気記録媒体として有用である。
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものである。それゆ
え、本発明のフィルムは、これらHDTV対応VTR用
磁気記録媒体に極めて有用なベースフィルムということ
ができる。
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例における
「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および
重量%である。また、本発明における物性値および特性
は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ、定義されるも
のである。
求めた。 (2)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:60nm以
上) 株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグ
ル パーティクル サイズ アナライザー(Centr
ifugal Particle SizeAnaly
zer)」を用いて測定した。得られる遠心沈降曲線を
基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線か
ら、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」
を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とした
(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、
頁242〜247)。
60nm未満) 小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散
乱法を用いて測定した。すなわち、ニコンプインストゥ
ルメント株式会社(Nicomp Instrumen
ts Inc.)製の商品名「NICOMP MODE
L 270 SUBMICRON PARTICLE
SIZER」により求められる全粒子の50%の点にあ
る粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)と
した。
て各粒子の写真を撮影し、画像解析処理装置ルーゼック
ス500(日本レギュレーター社製)を用い、投影面最
大径(D)(μm)および粒子の体積(V)(μm3 )
を算出し、下式(II)により計算した。 f=V/D3 ・・・(II)
び、フィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに
10点測定し、その平均値を用いた。熱可塑性樹脂層
A、Bの層厚については、薄い熱可塑性樹脂層の層厚み
を下記に述べる方法にて測定し、厚い熱可塑性樹脂層の
層厚みは、全厚みより塗膜層および薄い熱可塑性樹脂層
の層厚を引き算して求めた。すなわち、二次イオン質量
分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層か
ら深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最
も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+ )と熱可塑性
樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C+ )の濃度比(M
+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ5,000n
mまで厚さ方向の分析を行った。表層では表面という界
面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて
粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安
定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、
単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、
前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度
を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安
定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与え
る深さよりも深い)をもって、薄い熱可塑性樹脂層の厚
み(μm)とした。
マー株式会社(PERKIN ELMER INC.)
製、「6300」 (b)測定条件 一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5KV−3.0A
も多く存在する粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子
粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面から
エッチングしながらFT−IR(フーリエトランスフォ
ーム赤外分光法)、粒子によってはXPS(X線光電分
光法)などで上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚
(μm)を求めた。
トームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片
(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成した。
この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:
H−800型)にて観察し、塗膜層Cの境界面を探して
塗膜層の厚み(nm)を求めた。
フィルムサンプルを、温度25℃、湿度50%の環境下
に24時間以上置いたのち、フィルム上に蒸留水を5m
g滴下し、水平の方向から20秒後に写真を撮影した。
フィルムと水滴の接線が形成する角度を接触角(°)と
した。
a) WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「T
OPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積2
42μm×239μm(0.058mm2 )の条件にて
測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデー
タ)を得た。上記粗さ計内蔵ソフトによる表面解析によ
り、下式(III)によって定義される中心線平均粗さ(W
Ra)を得た。
それと直交する方向(239μm)を、それぞれM分
割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に
おける三次元粗さチャート上の高さである。
名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に
調節された室内において、長さ300mm、幅12.7
mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張
り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用い
て下式(V)によって計算した。 E=△σ/△ε ・・・(V) ここで、Eはヤング率(kg/mm2 )、△σは直線上
の2点間の元の平均断面積による応力差、△εは同じ2
点間のひずみ差である。
00mmの長方形にサンプリングし、熱可塑性樹脂層A
(ベースフィルム)側に、室温20±2℃、湿度40±
5%の環境下で、コロナ処理を施した。
商品名「CG−102」型の高周波電源を用いて、以下
の条件にて処理した。 電流;4.5A 電極間距離;1.0mm 処理時間;1.2m/分の速度で、電極間を通過させて
処理した。 フィルムの処理した面を、直ちにフィルムの熱可塑性樹
脂層Aと反対側の面と接触させ、100kg/cm2 の
圧力にて温度60℃、湿度80%の環境下で17時間エ
イジングさせたのち、上記引っ張り試験機、商品名「テ
ンシロン」を用いて、幅100mm当たりの剥離力を求
めた。
mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度1
00m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面
に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以
下の基準にて巻き取り性を評価した。 ◎;良品ロールの本数28本以上 ○;良品ロールの本数25〜27本 ×;良品ロールの本数16〜24本 ××;良品ロールの本数15本以下 (13)バックコート塗布適性(加工適性) 下記磁気テープの製造加工工程において、バックコート
塗布後の熱可塑性樹脂層Aの表面を目視観察し、以下の
基準にて評価した。 ○;バックコート層に、塗布斑、ハジキがない。 ×;バックコート層に、塗布斑か、ハジキが認められ
る。
磁変換特性)評価 本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムの塗膜層Cの表面
に、真空蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜
を0.2μmの厚みになるように2層(各層厚約0.1
μm)形成した。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモ
ンドライクカーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カル
ボン酸系潤滑層を順次設け、さらに熱可塑性樹脂層Aの
表面に、公知の方法でバックコート層を設けた。その
後、8mm幅にスリットし、市販の8mmビデオカセッ
トにローディングした。次いで、下記の市販の機器を用
いてテープの特性(C/N)を測定した。
品名「EDV−6000」 C/N測定:株式会社シバソク製、ノイズメーター C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/Nを0dBとし、相対値で評価した。
た。 真球状シリカ;平均粒径200nm(体積形状係数;
0.5) 球状シリカ;平均粒径60nm(体積形状係数;0.
5)
の調製 炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価ア
ルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスとし
て下記のものを使用した。 (a−1);ソルビタントリステアレート(融点55
℃) (a−2);モンタン酸ジオールエステルを水酸化カル
シウムでケン化したもの、ヘキスト株式会社製、商品名
「ワックスE」、(融点86℃) (a−3);グリセリントリパルミタート (a−4);モンタン酸ジオールエステルを水酸化カル
シウムでケン化したもの、ヘキスト株式会社製、商品名
「ワックスOP」、(融点81℃) (a−5);ペンタエリスリットトリペヘネート
ステル交換触媒として酢酸マンガン、重合触媒としてト
リメリット酸チタン、安定剤として亜リン酸を、さらに
滑剤(不活性粒子B)として平均粒径60nmの球状シ
リカ(体積形状係数0.5)を、樹脂中に0.03%添
加して、常法により重合し、固有粘度0.60の熱可塑
性樹脂層B用のポリエチレンテレフタレート(樹脂B
1)を得た。さらに、上記と同様の方法で、滑剤(不活
性粒子A)として、平均粒径600nmの真球状シリカ
および平均粒径60nmのθ型アルミナを、樹脂中にそ
れぞれ0.12%および0.2%添加して、常法により
重合し、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレー
トを得た。得られたポリエチレンテレフタレート99.
7%に、ソルビタントリステアレート(a−1)の粉末
0.3%をまぶし、ベント付き二軸ルーダーにて練り込
み、固有粘度0.59の熱可塑性樹脂層A用のポリエチ
レンテレフタレート(樹脂A1)を得た。
170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、
溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11
μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマ
ニホールド型共押し出しダイを用いて、樹脂層Aの片面
に樹脂層Bを積層させ、急冷して厚さ89μmの未延伸
積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて3.
3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層B面側に下記に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)をキスコート
法により塗布した。 バインダー:アクリル変性ポリエステル(高松油脂株式
会社製、IN−170−6)、67% 不活性粒子C:アクリルフィラー(平均粒径30nm)
(体積形状係数0.40)(日本触媒株式会社製、MA
02W)、6% 界面活性剤X:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−
208.5)、1% 界面活性剤Y:(日本油脂株式会社製、ノニオンNS−
240)、26% C層厚み(乾燥後):5nm
横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4
μmで、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み1.0μm
の積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィ
ルムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについては、2台の
押し出し機の吐出量により調整した。このフィルムの熱
可塑性樹脂層Bの表面粗さWRaは、1.7nm、この
フィルムのヤング率は縦方向500kg/mm 2 、横方
向700kg/mm2 であった。この積層フィルムのそ
の他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸
着型磁気テープの特性を表1に示す。
均粒径、添加量、および(部分ケン化)エステルワック
スの種類、添加量を表1に示すとおり変更し、熱可塑性
樹脂Bに粒子を含有させない以外は、実施例1と同様に
して積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィル
ムの特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表2に示す。
均粒径、添加量を表1に示すとおり変更し、塗膜層C中
に含有させる不活性粒子Cを、コアシェルフィラー(コ
ア;架橋ポリスチレン、シェル;ポリメチルメタクリレ
ート)(平均粒径;30nm、体積形状係数0.45)
ジェイエスアール株式会社製、商品名「SX8721
(D)−12」に変更した以外は、実施例1と同様にし
て積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルム
の特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型
磁気テープの特性を表2に示す。
均粒径、添加量、および(部分ケン化)エステルワック
スの種類、添加量を表1に示すとおり変更し、ジメチル
テレフタレートの代わりに2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルを同モル量使用した以外は、実施例1と同
様にして熱可塑性樹脂層A、B用のポリエチレン−2,
6−ナフタレート(PEN)(樹脂A2、B2)を得
た。この樹脂A2、B2を、それぞれ170℃で6時間
乾燥後、実施例1と同様にして、各層厚みを調整し、厚
さ89μmの未延伸積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。
低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて3.
6倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次いで
縦延伸フィルムの層B面側に表1に示す組成(固形分換
算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を実施例1と
同様に塗布した。
横方向に5.7倍に延伸した。得られた二軸延伸フィル
ムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み4.4
μm、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み0.6μmの
積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィル
ムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについては、2台の押
し出し機の吐出量により調整した。実施例5において、
このフィルムの熱可塑性樹脂層Bの表面粗さWRaは、
0.9nm、このフィルムのヤング率は縦方向550k
g/mm2 、横方向1,050kg/mm2 であった。
実施例6において、このフィルムの熱可塑性樹脂層Bの
表面粗さWRaは、1.1nm、このフィルムのヤング
率は縦方向550kg/mm2 、横方向1,050kg
/mm2であった。この積層フィルムのその他の特性、
およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テー
プの特性を表2に示す。
含有させない以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑
性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ブロッキ
ング剥離力を測定する際に、フィルムが密着しており、
むりやり剥がそうとすると破れてしまった。その他の特
性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気
テープの特性を表4に示す。
%にした以外は、実施例1と同様にして積層熱可塑性樹
脂フィルムを得た。得られたフィルムは、磁気テープの
製造工程においてバックコートに塗布する際、ハジキが
発生してしまい、通常の塗布ができなかった。その他の
特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁
気テープの特性を表4に示す。
粒径200nmの真球状シリカ(体積形状係数;0.
5)を0.2%添加する以外は、実施例1と同様にして
積層熱可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルム
は、熱可塑性樹脂層B表面粗さWRaが本発明の範囲外
となり、電磁変換特性に劣っていた。その他の特性、お
よびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープ
の特性を表4に示す。
実施例5と同様にして積層熱可塑性樹脂フィルムを得
た。得られたフィルムは、ブロッキング剥離力の測定の
際、フィルムが密着しており、測定不能であった。その
他の特性、およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表4に示す。
2%を含有させる以外は、実施例5と同様にして積層熱
可塑性樹脂フィルムを得た。得られたフィルムは、ブロ
ッキング剥離力の測定の際、フィルムが密着しており、
測定不能であった。その他の特性、およびそのフィルム
を用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表4に示
す。
層熱可塑性樹脂フィルムは、片面が非常に平坦で、優れ
た電磁変換特性を示すとともに、巻き取り性が極めて良
好であり、かつ耐ブロッキング性が良好である。一方、
本発明の要件を満たさないものは、これらの特性を同時
に満足できない。
ト、PENはポリエチレン−2,6−ナフタレートを表
す。 *2:バテライト結晶系炭酸カルシウム
き取り性、加工適性に優れ、特に金属蒸着薄膜型磁気記
録媒体としたときに電磁変換特性に優れた積層熱可塑性
樹脂フィルムを得ることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 熱可塑性樹脂層Bの片面に熱可塑性樹脂
層Aが積層されてなるフィルムであって、上記B層の表
面粗さWRaが0.1〜4nm、上記A層が、平均粒径
100〜2,000nmの不活性粒子AをA層に対して
0.001〜5重量%、および炭素数が8個以上の脂肪
族モノカルボン酸および多価アルコールからなる(部分
ケン化)エステルワックスをA層に対して0.001〜
10重量%含有し、かつ上記A層のB層と接していない
表面の水接触角が70〜90°であることを特徴とする
積層熱可塑性樹脂フィルム。 - 【請求項2】 熱可塑性樹脂層Bの熱可塑性樹脂層Aと
接していない表面に、塗膜層Cが積層されており、上記
塗膜層Cが、平均粒径10〜50nm、体積形状係数
0.1〜π/6の不活性粒子Cを塗膜層Cの固形分に対
して0.5〜30重量%含有する請求項1に記載の積層
熱可塑性樹脂フィルム。 - 【請求項3】 熱可塑性樹脂層Bが、粒子を含有しない
請求項1または2記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。 - 【請求項4】 熱可塑性樹脂層Bが、体積形状係数0.
1〜π/6、平均粒径30〜400nmの不活性粒子B
を熱可塑性樹脂層Bに対して0.001〜0.2重量%
含有する請求項1または2記載の積層熱可塑性樹脂フィ
ルム。 - 【請求項5】 熱可塑性樹脂層Aが、ポリエチレンテレ
フタレートからなる請求項1〜4のいずれか1項記載の
積層熱可塑性樹脂フィルム。 - 【請求項6】 熱可塑性樹脂層Aが、ポリエチレン−
2,6−ナフタレートからなる請求項1〜4のいずれか
1項記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
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