JP2013049785A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応槽でエステル化反応を行い、次いでエステル化物を重縮合反応槽へ移行し、減圧下で重縮合反応をしてポリエステルを製造するに際し、エステル化反応率が80〜94%のエステル化物にエステル化物の温度が220〜250℃で、無機粒子に対し0.1〜2.0重量%の多価カルボン酸化合物を表面処理した無機粒子を、ポリエステルに対し0.05〜5.0重量%となるようにスラリーとして添加した後に減圧下、重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
粒子のEG分散液を水に希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA700)を用いて粒度分布の測定を行った。濃度については、光線透過率80〜95%になるように水で希釈調製し、測定温度25℃、循環速度570ml/minで測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒子径を平均粒子径とした。
熱媒をジャケットに供給することにより加熱している重縮合反応槽において、下記式よりエステル化物1kgに対する反応系内への供給熱量W(W/kg)を算出した。
W=W1−W2
W1=(T1×c1×V1)/m
W2=(T2×c2×V2)/m
(W1:ジャケットに供給した熱媒の熱量(W/kg)、W2:ジャケットから排出した熱媒の熱量(W/kg)、T1:ジャケットに供給した熱媒の温度(K)、c1:ジャケットに供給した熱媒の比熱(J/(kg・K)、V1:ジャケットへの熱媒の供給量(kg/sec))、T2:ジャケットから排出した熱媒の温度(K)、c2:ジャケットから排出した熱媒の比熱(J/(kg・K))、V2:ジャケットからの熱媒の排出量(kg/sec)、m:エステル化物の重量(kg))
また、重縮合反応槽へ反応系外からの熱媒の供給を停止した際(V1=V2=0)、熱量は0Wとなる。
25℃でオルトクロロフェノール中、0.1g/ml濃度で測定した。
スガ試験機(株)社製の色差計(SMカラーコンピューター形式SM−3)を用いて、ハンター値(b値)として3回測定し、平均値を色調とした。
エステル化反応で留出した水の量から算出した。
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用いて、各元素に対する蛍光X線強度を求め、あらかじめ作成しておいた検量線より求めた。
Mauriceの方法に準じた。エステル化物2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mlに溶解し、N/20−水酸化ナトリウムメタノール溶液によって滴定し、エステル化物のカルボキシル末端基を測定し、eq/ポリエステル1tの値で示した。
ポリエステルをモノメタノールアミンで加熱分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積から求めた。
粒子分散性はポリエステルを走査型電子顕微鏡(SEM:日立製作所社製、S−4000型)で観察し、以下の方法により判定した。○、△はフィルムにした場合に問題ないレベルであり、×はフィルムにした場合に問題がある。
○:粒子同士の凝集による粗大粒子は観察されない。
△:粒子同士の凝集による粗大粒子がわずかに観察される。
×:粒子同士の凝集による粗大粒子が多く観察される。
異物が混入したポリエステルチップをヘキサフルオロイソプロパノールで溶解させ、異物のみを取り出し、SEMに付属したエネルギー分散型X線分析装置(EDX:堀場製作所社製、EMAX−7000型)および赤外顕微鏡(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NICOLET CONTINUμM型)を備えたフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、NICOLET6700型)を用いて、組成分析を行い、ポリエステルチップ300g中のエステル化物のカルボキシル末端基と無機粒子が反応したカルボン酸金属塩と同定できた異物の個数をカウントした。
ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびそのオリゴマーを溶融貯留したエステル化反応槽にテレフタル酸とEGのスラリー(モル比1.15)を3時間連続的に供給した。スラリーを供給しながら、0.1MPaの加圧下、255℃でエステル化反応を行い、反応時間4時間でエステル化反応率92%のエステル化物を得た。次いで、供給分のエステル化物を、270℃の重縮合反応槽に移行した。
移行開始より、重縮合反応槽ジャケットへの熱媒の供給を停止し、反応系外から反応系内へ供給する熱量を0Wとした。移行終了後、エステル化物に、常圧下、三酸化アンチモン/酢酸マグネシウム・4水和物/酢酸リチウム・2水和物をアンチモン元素として230ppm、マグネシウム元素として65ppm、リチウム元素として2ppmとなるように添加した。該金属化合物は、ポリエステルに対し3.0重量%のEGを用いて、EGスラリーとして添加した。2分後、トリメチルホスフェートをリン元素として45ppmとなるように添加した。更にその2分後に、粒子に対し1.0重量%のポリアクリル酸アンモニウム塩(東亜合成株式会社製:A−30SL)を表面処理した平均粒子径1.1μmの炭酸カルシウム粒子の20重量%EGスラリーを、炭酸カルシウム粒子としてポリエステルに対して1.0重量%となるように添加した。粒子添加前のエステル化物は、エステル化反応率が93%、カルボキシル末端基が730eq/t、温度が240℃であった。
また、粒子添加後のエステル化物の温度は230℃となった。2分間攪拌後、重縮合反応槽を常圧から100Paまで徐々に下げ、290℃まで昇温して重縮合反応を終了した。重縮合反応時の加熱は、重縮合反応槽ジャケットへ熱媒として320℃のフェニルエーテル・ビフェニル混合物(比熱2.4×103J/(kg・K))を0.3kg/sec以下で供給することにより、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kgあたり30W以下に制御した。得られたポリエステルは固有粘度0.62dl/g、b値8、DEG1.1重量%であり、SEMでの観察から、粒子分散性も良好であった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示した。
EGのテレフタル酸に対するモル比を変更し、無機粒子添加前のエステル化反応率を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。実施例2では、EGのモル比を上げることで、DEG量が若干高い値となったが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。実施例3、4では、エステル化反応率が低いため、重縮合反応時間が長くなり、b値、DEG量が若干増加した。重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。実施例4では、カルボキシル末端基と無機粒子が若干反応したため、DEG量が多く、また粒子の凝集が見られたが、問題ないレベルであった。結果を表1〜3に示す。
無機粒子として、酸化アルミニウム、二酸化チタンを用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを得た。酸化アルミニウムについて、実施例1に比べ若干粒子分散性に差が見られたものの問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子の平均粒子径を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。実施例7では平均粒子径を下げたために若干粒子の凝集が見られたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子の添加量、スラリー濃度を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。実施例11では、炭酸カルシウム粒子の添加量を増やすことにより、粒子の凝集が見られたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
表面処理剤の量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。いずれも、粒子の凝集が見られたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子のスラリー濃度を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。実施例14では、溶媒であるEGの量が増えることにより、若干DEG量が高くなった。また、粒子添加によるエステル化物の温度低下が大きく、粒子が凝集したが、問題ないレベルであった。重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
エステル化物を重縮合反応槽へ移行する際、反応系外から反応系内へ供給する熱量を変更させた以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。重縮合反応槽ジャケットへの熱媒の供給量を0.1kg/secとすることにより、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kgに対し10Wとした。粒子添加前のエステル化物温度が250℃と高くなり、無機粒子の表面処理剤が一部分解し、粒子の凝集が若干見られた。また、b値やDEG量も高くなったが問題のないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子のスラリー濃度およびエステル化物を重縮合反応槽へ移行する際、反応系外から反応系内へ供給する熱量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。熱媒を冷却装置に通し、220℃のフェニルエーテル・ビフェニル混合物のジャケットへの供給量を0.05kg/secとすることにより、温度制御を行った。粒子添加前のエステル化物温度が下がり、粒子の凝集が若干みられたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、重縮合反応触媒の添加時期およびエステル化物を重縮合反応槽へ移行する際、反応系外から反応系内へ供給する熱量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。熱媒を冷却装置に通し、250℃のフェニルエーテル・ビフェニル混合物のジャケットへの供給量を0.05kg/secとすることにより、温度制御を行った。粒子添加前のエステル化物温度が高いため、粒子の凝集、DEG量、b値の増加が見られたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、重縮合反応触媒に用いるEG量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。実施例19では、EGの量が増えることにより、若干DEG量が高くなった。また、重縮合反応時間が長くなり、b値が若干増加したが、問題ないレベルであった。重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。実施例20では、EGの量が減ることにより、粒子添加前のエステル化物温度が高くなり、粒子の凝集、DEG量、b値の増加が見られたが、問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
重縮合反応時、反応系外から反応系内へ供給する熱量を変更させた以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。重縮合反応槽ジャケットへの熱媒の供給量を0.7kg/sec以下とすることにより、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kgあたり70W以下に制御した。重縮合反応時にエステル化物に供給する熱量を上げることにより、b値、DEG量が増加したが問題ないレベルであった。また、重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかった。結果を表1〜3に示す。
EGのテレフタル酸に対するモル比を1.85とし、粒子添加前のエステル化反応率を98%とした以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。重縮合反応時の真空度不良や異物の発生はなかったが、得られたポリエステルはDEGの量が多くなった。結果を表1〜3に示す。また、エステル化反応時間が長くなり、生産性が低下した。
粒子添加前のエステル化反応率を低下させた以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。エステル化物のカルボキシル末端基が高く、粒子の凝集が見られた。また、重縮合反応時間が長く、得られたポリエステルのDEG量、b値共に高い値となった。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子の添加量、スラリー濃度を変更させた以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。炭酸カルシウム粒子の添加量を増やすことにより、粒子の凝集が多く見られた。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子に多価カルボン酸化合物を表面処理しなかった以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。重縮合反応時の分解ガス発生に伴う真空度不良、異物化が見られた。粒子の凝集が見られ、DEG量、b値共に高い値となった。結果を表1〜3に示す。また、発生した異物の組成分析を実施した結果、カルボン酸金属塩であった。
表面処理剤の量を増加させること以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。得られたポリエステルは粒子の凝集が多く見られた。結果を表1〜3に示す。
表面処理剤としてリン酸カルシウムを用いること以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。得られたポリエステルは粒子の凝集が多く見られた。結果を表1〜3に示す。
炭酸カルシウム粒子を粉末のまま添加すること以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。炭酸カルシウム粒子の粉末が飛散、異物化したため、異物数が多く見られた。結果を表1〜3に示す。また、発生した異物の組成分析を実施した結果、炭酸カルシウム粒子およびカルボン酸金属塩であった。
無機粒子添加時、エステル化物の温度を変更させた以外は実施例1と同様の方法で、ポリエステルを得た。エステル化物の温度は、重縮合反応槽へエステル化物を移行後、重縮合反応槽ジャケットへの熱媒の供給量を0.16kg/secとすることにより、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kgに対し16Wとし、粒子添加前のエステル化物温度を255℃とした。高温下で表面処理剤が分解、エステル化物のカルボキシル末端基と無機粒子が反応することにより、重縮合反応時の分解ガス発生に伴う真空度不良、異物化が見られた。粒子の凝集が多く見られ、DEG量、b値共に高い値となった。結果を表1〜3に示す。また、発生した異物の組成分析を実施した結果、カルボン酸金属塩であった。
Claims (8)
- ジカルボン酸成分とジオール成分とをエステル化反応槽でエステル化反応させ、次いでエステル化物を重縮合反応槽へ移行し、減圧下で重縮合反応をしてポリエステルを製造する際、エステル化反応率が80〜94%および温度が220〜250℃のエステル化物に、無機粒子に対し0.1〜2.0重量%の多価カルボン酸化合物を表面処理した無機粒子を、ポリエステルに対し0.05〜5.0重量%となるようにスラリーとして添加した後に減圧下、重縮合反応することを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 無機粒子スラリーの添加開始から減圧開始までの間のエステル化物の温度低下が5〜20℃であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
- エステル化物の移行開始から減圧開始するまでの間、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kg当たり15W以下とすることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステルの製造方法。
- 重縮合反応槽を減圧して重縮合反応する際、反応系外から反応系内へ供給する熱量をエステル化物1kg当たり60W以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- エステル化物の移行後、無機粒子添加前に重縮合反応触媒、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物の少なくとも1つをジオールの溶液またはスラリーとして添加する際、ジオールの量がポリエステルに対し1.0〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 無機粒子の平均粒子径が0.2〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 無機粒子スラリーの濃度が5.0〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
- 無機粒子が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステルの製造方法。
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