JP4626343B2 - ポリブチレンテレフタレートペレット、そのコンパウンド製品および成形品ならびにそれらの製造方法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレートペレット、そのコンパウンド製品および成形品ならびにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレートペレット、そのコンパウンド製品および成形品ならびにそれらの製造方法に関し、詳しくは、色調、耐加水分解性、透明性に優れ、異物が低減され、生産性が改善された、ポリブチレンテレフタレートペレット、そのコンパウンド製品および成形品ならびにそれらの製造方法に関する。以下、ポリブチレンテレフタレートをPBTと略記することがある。
熱可塑性ポリエステル樹脂の中で代表的なエンジニアリングプラスチックであるPBTは、成形加工の容易さ、機械的物性、耐熱性、耐薬品性、保香性(フレーバーバリア性)、その他の物理的、化学的特性に優れていることから、自動車部品、電気・電子部品、精密機器部品などの射出成形品に広く使用されている。近年は、その優れた性質を活かし、フィルム、シート、フィラメント等の分野でも広く使用される様になってきた。これらの用途では、一般に押出成形で製品を得ることから、射出成形に比べてより高い分子量のPBTが求められている。
通常、PBTはテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールとを触媒を使用してエステル化反応またはエステル交換反応を経て溶融重縮合を行い、必要に応じて固相重合して製造される。ところで、PBTは、高い温度で長時間曝されると、劣化が進んで色調の悪化や末端カルボキシル基濃度の上昇を招くという問題がある。そして、製造時の熱履歴は、PBTが高分子量になるほど多く受けるため、溶融重合では、固有粘度が高いPBTほど上記の問題は顕著である。
上記の問題を解決するために、溶融重合を比較的低温かつ短時間で行い、その後に、融点以下の温度で固相重合させる方法が広く採用されている。固相重合は、色調改善や末端カルボキシル基濃度低減の観点からは優れた重合方法であるが、一方で、重合時間が長くなる、エネルギーロスが大きい、設備が過大になる等の問題を抱えている。更に、通常、固相重合は円柱状や球状のペレットの形で行われるが、重合により生成する低分子量成分の揮散が起こり易い表層部は高分子量になり易く、中心部は分子量が上がり難い。従って、ペレット内で粘度差が生じる。この粘度差は、押出機や成形機内でのペレット溶融時のムラを招き、スクリュー駆動用モーターの負荷増大の原因となるばかりではなく、その変動をも引き起こし、ひいては製品品質の変動も引き起こすため、生産上の問題となっている。
更に、ペレット内の粘度差が大きい場合、高分子量部分と低分子量部分とが十分に混合しないため、異物(フィッシュアイ)が発生し易いという問題がある。斯かる問題は、フィルム、シート、フィラメント等のPBTにとって新しい用途では、一般に、成形の際、練り効果の低いスクリューが使用されること、PBTが多く使用されてきたコンパウンド製品用途に比べて樹脂以外の充填材や添加剤が少ないこと等によって助長される。
上記の異物は、フィルムやシートにおいては、商品価値を著しく落とし、フィラメントにおいては、これを基点に成形時に破断を起こすため、大きな問題となっている。また、これらの用途では、上記の様に分子量の高いPBTが求められており、固相重合反応を一層進めることが必要となり、その結果、ペレット表層部と中心部の粘度差が益々大きくなる傾向にあり、フィシュアイの問題がよりクローズアップされている。
上記の問題を解決するため、固相重合を行わず、重合プロセス内に設置したフィルターでフィッシュアイ原因物質を除去することにより、フィッシュアイ量を特定量以下に抑えたフィルムが提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、従来の製造法ではチタン触媒の使用量が多いため、これらの一部が失活して析出する結果、フィルターのライフが著しく短いという問題がある。また、PBT中に残存する触媒は、PBTの末端カルボキシル基濃度の上昇や、着色を伴う反応を助長し、PBTの熱劣化の原因となる。そして、斯かる熱劣化は、PBT製造時の熱履歴だけでなく、混練や成形時の熱履歴によっても起こる。従って、熱劣化防止の観点からは、重合時や混練時や成形時は出来る限り温度を下げる方が好ましいが、重合時の温度を下げ、同じ分子量のPBTを得ようとすると、重合時間を長くせざるを得ず、結局、熱履歴という観点からは、問題は未解決のままである。
一方、触媒量を多くすれば、低温で重合時間を短くして同じ分子量のPBTを得ることが出来るが、触媒は上記の様に異物の増大や着色や劣化を促進するため、結局、この方法によっても、品質の良い製品を得ることは出来ない。
上記の従来技術の問題点は次の様に要約される。すなわち、触媒量を下げ、重合温度を下げ、重合時間を短くすると、必然的に低分子量のPBTしか得られず、熱劣化を抑制しながら高分子量のPBTを得ようとすれば、固相重合を行うしかない。しかしながら、固相重合されたPBTには上記の様な溶融押出時の変動やフィッシュアイ生成の問題があり、特に混練時や成形時においても熱劣化を防止しようとして成形温度を低くすると、益々、ペレット表層部の高分子量成分と中心部の低分子量領域との混合が困難となるため、これらの問題が大きくなるというジレンマがある。
更に、近年、PBTは食品包装用のフィルム等に多く使用される様になってきたが、PBTの末端には、水酸基やカルボキシル基などの他に、原料などに由来するメトキシカルボニル基が残存していることがあり、斯かる基は、成形中の熱や、電子レンジによる加熱、食品中に含まれる酵素や酸や塩基により、メタノールの他、その酸化物であるホルムアルデヒドや蟻酸を発生し、毒性問題を惹起している。また、蟻酸は金属製の重合装置や成形機器、真空関連機器などを痛める原因にもなっており、その低減が求められている。
特開2003−73488号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、色調、耐加水分解性、透明性、成形安定性に優れ、異物が低減された成形品を製造するためのPBTペレットを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、チタン触媒の含有量および末端メトキシカルボニル基濃度が特定値以下であり、且つ、ペレットの中心部と表層部の固有粘度の差が特定値以下であるPBTによって、上記の課題を容易に解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明の第1の要旨は、チタンを含有し且つその量がチタン原子として90重量ppm以下であり、末端メトキシカルボニル基濃度が0.5μeq/g以下、溶液ヘイズが5%以下であるポリブチレンテレフタレートから成るペレットであって、ペレットの平均固有粘度が0.90〜2.00dL/gであり、ペレットの中心部と表層部の固有粘度の差が0.10dL/g以下であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートペレットに存する。
(但し、溶液ヘイズは、ポリブチレンテレフタレート2.7gをフェノール/テトラクロロエタン混合液(重量比3/2)20mLに溶解させた溶液の濁度の値とする。)
本発明の第2の要旨は、原料の少なくとも一部に上記のポリブチレンテレフタレートペレットを使用して成ることを特徴とするコンパウンド製品に存し、本発明の第3の要旨は、原料の少なくとも一部として、上記のポリブチレンテレフタレートペレットを使用し、押出機を使用して混練することを特徴とするコンパウンド製品の製造方法に存する。
本発明の第4の要旨は、成形材料の少なくとも一部に上記のコンパウンド製品を使用して成ることを特徴とする成形品に存し、本発明の第5の要旨は、成形材料の少なくとも一部として上記のコンパウンド製品を使用し、射出成形機を使用して成形することを特徴とする成形品の製造方法に存する。
そして、本発明の第6の要旨は、原料の少なくとも一部に上記のポリブチレンテレフタレートペレットを使用して成ることを特徴とする成形品に存し、本発明の第7の要旨は、原料の少なくとも一部として、上記のポリブチレンテレフタレートペレットを使用し、押出機を使用して成形することを特徴とする成形品の製造方法に存する。
本発明により、色調、耐加水分解性、透明性、成形安定性に優れ、異物が低減されたPBT成形品およびその製造方法を提供することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
本発明において、PBTとは、テレフタル酸単位および1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有し、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位から成り、ジオール単位の50モル%以上が1,4−ブタンジオール単位から成るポリエステルを言う。全ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であり、全ジオール単位中の1,4−ブタンジオール単位の割合は、好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。テレフタル酸単位または1,4−ブタンジオール単位が50モル%より少ない場合は、PBTの結晶化速度が低下し、成形性の悪化を招く。
本発明において、テレフタル酸以外のジカルボン酸成分には特に制限はなく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることが出来る。これらのジカルボン酸成分は、原料として、ジカルボン酸、または、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を使用して、ポリマー骨格に導入できる。
本発明において、1,4−ブタンジオール以外のジオール成分には特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール等を挙げることが出来る。
本発明においては、更に、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを共重合成分として使用することが出来る。
本発明のPBTは、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸(又はテレフタル酸ジアルキル)を原料とし、触媒としてチタン化合物を使用して得られる。
チタン触媒の具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネートが好ましく、その中ではテトラブチルチタネートが好ましい。
チタンの他に、スズが触媒として使用されていてもよい。スズは、通常、スズ化合物として使用され、その具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などが挙げられる。
スズはPBTの色調を悪化させるため、その添加量はスズ原子として、通常200重量ppm以下、好ましくは100重量ppm以下、更に好ましくは10重量ppm以下、中でも添加しないことが好ましい。
また、チタンの他に、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物の他、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、それらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウム等の反応助剤を使用してもよい。
本発明のPBTの特徴の1つは、チタンを含有し且つその量がチタン原子として90重量ppm以下である点にある。上記の値はPBTに対する原子の重量比である。
本発明において、上記のチタン含有量の下限は、通常10重量ppm、好ましくは15重量ppm、更に好ましくは20重量ppm、特に好ましくは25重量ppmであり、上限は、好ましくは80重量ppm、更に好ましくは70重量ppm、一層好ましくは50重量ppm、特に好ましくは40重量ppm、中でも33重量ppmが好適である。チタンの含有量が90重量ppmを超える場合は、PBTを製造する際や混練の際、フィルムやシートを成形する際の熱履歴によって、色調の悪化や、末端カルボキシル基濃度の増大による耐加水分解性などの悪化を招くだけでなく、触媒残渣由来のフィッシュアイの増加を招き、特に触媒が失活した場合に顕著となる。一方、極端に少な過ぎる場合はPBTの重合性が悪化し、結果的に重合温度を上げる必要があるため、色調の悪化や、耐加水分解性の悪化を招く。
チタン原子などの金属含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のPBTの末端カルボキシル基濃度は、通常0.1〜50μeq/g、好ましくは1〜40μeq/g、更に好ましくは5〜30μeq/g、特に好ましくは10〜25μeq/gである。末端カルボキシル基濃度が高すぎる場合は耐加水分解性が悪化することがある。また、フィルムやシートの成形時の熱履歴でPBTのカルボキシル基末端は増加する傾向にある一方で、他のカルボキシル末端が少ない樹脂と混合されている場合には、フィルムやシートの単位重量当たりの末端カルボキシル基は減少するケースもあるが、最終的な製品であるフィルムやシートでの末端カルボキシル基濃度は、他の樹脂の重量も含めたフィルムやシートの単位重量当たり、通常0.1〜50μeq/g、好ましくは1〜40μeq/g、更に好ましくは5〜30μeq/g、特に好ましくは10〜25μeq/gである。
PBTの末端カルボキシル基濃度は、PBTを有機溶媒などに溶解し、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液を使用して滴定することにより求めることが出来る。
また、本発明のPBTの末端ビニル基濃度は、通常0.1〜15μeq/g、好ましくは0.5〜10μeq/g、更に好ましくは1〜8μeq/gである。末端ビニル基濃度が高すぎる場合は、色調悪化の原因となる。成形時の熱履歴により、末端ビニル基濃度は更に上昇する傾向にあるため、成形温度が高い場合や、リサイクル工程を有する製造方法の場合には、更に色調悪化が顕著となる。
PBTの末端には、水酸基、カルボキシル基、ビニル基の他に、原料由来のメトキシカルボニル基が残存していることがあり、特に、テレフタル酸ジメチルを原料とする場合には多く残存することがある。ところで、メトキシカルボニル末端は、フィルムやシートの成形時による熱により、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸を発生し、特に、食品用途に使用される場合には、これらの毒性が問題になる。また、蟻酸は金属製の成形機器やこれに付随する真空関連機器などを腐食することがある。そこで、本発明のPBTにおける末端メトキシカルボニル基濃度は0.5μeq/g以下でなければならない。末端メトキシカルボニル基濃度は、好ましくは0.3μeq/g以下、更に好ましくは0.2μeq/g以下、特に好ましくは0.1μeq/g以下である。
上記の末端ビニル基濃度および末端メトキシカルボニル基濃度は、重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=7/3(体積比)の混合液にPBTを溶解させ、H−NMRを測定することによって定量することが出来る。この際、溶媒シグナルとの重なりを防ぐため、重ピリジン等の塩基性成分などを極少量添加してもよい。
本発明のPBTの平均固有粘度は0.90〜2.00dL/gでなければならない。平均固有粘度は、好ましくは1.00〜1.80dL/g、更に好ましくは1.10〜1.40、特に好ましくは1.20〜1.30dLgである。固有粘度が0.90dL/g未満の場合は、押出成形においてダイからのドローダウンが激しくなる傾向があり、成形性が悪くなるだけでなく、成形品の機械的強度が不十分となり、2.00dL/gを超える場合は溶融粘度が高くなり、流動性が悪化して、成形性や製品の表面性が悪化する傾向にある。上記の固有粘度は、フェノール/テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、30℃で測定した値である。本発明において、平均固有粘度とは、ペレット全体を溶解させて得られた際の固有粘度を指す。
本発明のPBTのペレットの中心部と表層部の固有粘度の差は0.10dL/g以下でなければならない。固有粘度の差は、好ましくは0.07dL/g以下、更に好ましくは0.05dL/g以下、特に好ましくは0.03dL/g以下である。ペレット中心部と表層部の固有粘度の差が0.10dL/gより大きい場合、フィッシュアイの増加や、延伸切れ等、成形時のトラブルの原因となるだけでなく、押出機のトルク負荷の上昇や、トルク変動の原因となり、製品品質の不安定さを招く。
本発明において、ペレットの中心部と表層部の固有粘度の差とは、中心部および外周部からそれぞれ10重量%以内の2部分の固有粘度の差を言う。ペレットの中心部と表層部の固有粘度は、PBTが可溶である溶媒中にペレットを静置し、経時的に新鮮な溶媒と置換する操作を繰り返すことによって、ペレット表層から順にPBT溶液のフラクションを得、ペレットを溶かし始めた最初のフラクションと、ペレットが完全に溶解した最後のフラクションから、溶媒を除去し、ペレット表層部と中心部のPBTを別々に得、それぞれの固有粘度を測定することによって求めることが出来る。操作上、完全な表層部と完全な中心部を得るにはフラクションを無限回得る操作が必要になるため、本発明では、中心部および表層部から10重量%以内であるフラクションを、それぞれ中心部、表層部と定義する。
本発明の条件を満たす限り、PBTの製造法に制限はないが、色調の悪化や、末端カルボキシル基濃度の増加を抑制しながら、フィッシュアイを低減し、フィルム、シート、フィラメントに適した高分子量のPBTを得るためには、触媒添加量を90重量ppm以下に抑え、低温で短時間の溶融重合を行う方法が好ましいが、前述の様に、一般的には、触媒使用量を減らし、温度を低く、短時間で溶融重合を行うと、フィルム、シート、フィラメントに適した高分子量のPBTを得ることは困難である。そこで、本発明の用途に適したPBTを得る方法の一例として、触媒の失活を防止すると同時に、重縮合時の界面更新を良くし、圧力を低くする方法が挙げられる。
触媒が失活すると、析出が起こり、PBTのヘイズが上昇する。本発明で使用されるPBTの溶液ヘイズは、フェノール/テトラクロロエタンの混合液(重量比3/2)20mLに、PBT2.7gを溶解させた溶液の濁度の値として、5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。触媒失活に起因するヘイズは、フィルム、シート、フィラメントの透明性悪化を招き、商品価値をも著しく損なう。
次に、原料にテレフタル酸を使用した直接重合法による本発明のPBTの製造方法の一例について説明する。PBTの製造方法は、原料供給またはポリマーの払い出し形態から回分法と連続法に大別される。初期のエステル化反応を連続操作で行って、それに続く重縮合を回分操作で行う他、逆に、初期のエステル化反応を回分操作で行って、それに続く重縮合を連続操作で行う方法もある。本発明においては、生産性や製品品質の安定性、本発明による改良効果の観点から、連続的に原料を供給し、連続的にエステル化反応を行う方法が好ましく、エステル化反応に続く重縮合反応も連続的に行ういわゆる連続法が好ましい。
本発明においては、エステル化反応槽にて、チタン触媒の存在下、少なくとも一部の1,4−ブタンジオールをテレフタル酸とは独立にエステル化反応槽に供給しながら、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを連続的にエステル化する工程が好ましく採用される。すなわち、本発明においては、触媒に由来するヘイズや異物を低減し、触媒活性を低下させないため、原料スラリー又は溶液として、テレフタル酸と共に供給される1,4−ブタンジオールとは別に、しかも、テレフタル酸とは独立に1,4−ブタンジオールをエステル化反応槽に供給する。以後、当該1,4−ブタンジオールを「別供給1,4−ブタンジオール」と称することがある。
上記の「別供給1,4−ブタンジオール」には、プロセスとは無関係の新鮮な1,4−ブタンジオールを充当することが出来る。また、「別供給1,4−ブタンジオール」は、エステル化反応槽から留出した1,4−ブタンジオールをコンデンサ等で捕集し、そのまま、または、一時タンク等へ保持して反応槽に還流させたり、不純物を分離、精製して純度を高めた1,4−ブタンジオールとして供給したりすることも出来る。以後、コンデンサ等で捕集された1,4−ブタンジオールから構成される「別供給1,4−ブタンジオール」を「再循環1,4−ブタンジオール」と称することがある。資源の有効活用、設備の単純さの観点からは、「再循環1,4−ブタンジオール」を「別供給1,4−ブタンジオール」に充当することが好ましい。
また、通常、エステル化反応槽より留出した1,4−ブタンジオールは、1,4−ブタンジオール成分以外に、水、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)、ジヒドロフラン、アルコール等の成分を含んでいる。従って、上記の留出1,4−ブタンジオールは、コンデンサ等で捕集した後、または、捕集しながら、水、THF等の成分と分離、精製し、反応槽に戻すことが好ましい。
そして、本発明においては、「別供給1,4−ブタンジオール」の内、10重量%以上を反応液液相部に直接戻すことが好ましい。ここで、反応液液相部とは、エステル化反応槽の気液界面の液相側を示し、反応液液相部に直接戻すとは、配管などを使用して「別供給1,4−ブタンジオール」が気相部を経由せずに直接液相部分に供給されることを表す。反応液液相部に直接戻す割合は、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。反応液液相部に直接戻す「別供給1,4−ブタンジオール」が少ない場合は、チタン触媒が失活する傾向にある。
また、反応器に戻す際の「別供給1,4−ブタンジオール」の温度は、通常50〜220℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは150〜190℃である。「別供給1,4−ブタンジオール」の温度が高過ぎる場合はTHFの副生量が多くなる傾向にあり、低過ぎる場合は熱負荷が増すためエネルギーロスを招く傾向がある。
また、本発明においては、触媒の失活を防ぐため、エステル化反応に使用されるチタン触媒の内、10重量%以上をテレフタル酸とは独立に反応液液相部に直接供給することが好ましい。ここで、反応液液相部とは、エステル化反応槽の気液界面の液相側を示し、反応液液相部に直接供給するとは、配管などを使用し、チタン触媒が反応器の気相部を経由せずに直接液相部分に供給されることを表す。反応液液相部に直接添加するチタン触媒の割合は、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
チタン触媒は、溶媒などに溶解させたり又は溶解させずに直接エステル化反応槽の反応液液相部に供給することも出来るが、供給量を安定化させ、反応器の熱媒ジャケット等からの熱による変性などの悪影響を軽減するためには、1,4−ブタンジオール等の溶媒で希釈することが好ましい。この際の濃度は、溶液全体に対するチタン触媒の濃度として、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましくは0.08〜8重量%である。また、異物低減の観点から、溶液中の水分濃度は、通常0.05〜1.0重量%とする。溶液調製の際の温度は、失活や凝集を防ぐ観点から、通常20〜150℃、好ましくは30〜100℃、更に好ましくは40〜80℃である。また、触媒溶液は、劣化防止、析出防止、失活防止の点から、別供給1,4−ブタンジオールと配管などで混合してエステル化反応槽に供給することが好ましい。
本発明の連続法の一例は、次の通りである。すなわち、テレフタル酸を主成分とする前記ジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とする前記ジオール成分とを原料混合槽で混合してスラリーとし、単数または複数のエステル化反応槽内で、チタン触媒の存在下に、連続的にエステル化反応させ、得られたエステル化反応生成物としてのオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、単数または複数の重縮合反応槽内で、重縮合触媒の存在下に、好ましくは連続的に、攪拌下で重縮合反応させる。
上記のエステル化反応の温度は、通常180〜260℃、好ましくは200〜245℃、更に好ましくは210〜235℃、圧力(絶対圧力、以下同じ)は、通常10〜133kPa、好ましくは13〜101kPa、更に好ましくは60〜90kPa、反応時間は、通常0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間である。また、重縮合反応の温度は、通常210〜280℃、好ましくは220〜265℃、更に好ましくは230〜245℃、圧力は、通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、更に好ましくは13kPa以下、反応時間は、通常2〜15時間、好ましくは3〜10時間である。この際、重縮合段階で新たに触媒の添加をしてもよいし、エステル化反応で使用した触媒をそのまま重縮合触媒として使用して新たに触媒の添加を行わなくてもよい。重縮合反応により得られたポリマーは、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷後、カッターで切断され、ペレット化される。
本発明において、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのモル比は、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
Figure 0004626343
上記の「エステル化反応槽に外部から供給される1,4−ブタンジオール」とは、原料スラリー又は溶液として、テレフタル酸と共に供給される1,4−ブタンジオールの他、これらとは独立に供給する1,4−ブタンジオール、触媒の溶媒として使用される1,4−ブタンジオール等、反応槽外部から反応槽内に入る1,4−ブタンジオールの総和である。
上記のBM/TMの値が1.1より小さい場合は、転化率の低下や触媒失活を招き、5.0より大きい場合は、熱効率が低下するだけでなく、THF等の副生物が増大する傾向にある。BM/TMの値は、好ましくは1.5〜4.5、更に好ましくは2.0〜4.0、特に好ましくは3.1〜3.8である。
本発明において、エステル化反応は、反応時間短縮のため、1,4−ブタンジオールの沸点以上の温度で行うことが好ましい。1,4−ブタンジオールの沸点は反応の圧力に依存するが、101.1kPa(大気圧)では230℃、50kPaでは205℃である。
エステル化反応槽としては、公知のものが使用でき、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などの何れの型式であってもよく、また、単数槽としても、同種もしくは異種の槽を直列または並列させた複数槽としてもよい。中でも、攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部、軸受、軸、攪拌翼から成る通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機などの高速回転するタイプも使用することが出来る。
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部などから直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサー等で攪拌し、反応液を循環させる方法も採ることが出来る。
攪拌翼の種類は、公知のものが選択でき、具体的には、プロペラ翼、スクリュー翼、タービン翼、ファンタービン翼、デイスクタービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼などが挙げられる。
PBTの製造においては、通常、複数の反応槽を使用し、好ましくは2〜5の反応槽を使用し、順次に分子量を上昇させていく。通常、初期のエステル化反応に引き続き、重縮合反応が行われる。
PBTの重縮合反応工程は、単数の反応槽を使用しても、複数の反応槽を使用してもよいが、好ましくは複数段の反応槽を使用する。反応槽の形態は、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などの何れの型式であってもよく、また、これらを組み合わせることも出来る。中でも、攪拌装置を有する反応槽が好ましく、攪拌装置としては、動力部、軸受、軸、攪拌翼から成る通常のタイプの他、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機などの高速回転するタイプも使用することが出来る。
攪拌の形態は、特に制限されず、反応槽中の反応液を反応槽の上部、下部、横部などから直接攪拌する通常の攪拌方法の他、配管などで反応液の一部を反応器の外部に持ち出してラインミキサー等で攪拌し、反応液を循環させる方法も採ることが出来る。中でも、少なくとも重縮合反応槽の1つは、水平方向に回転軸を有する表面更新とセルフクリーニング性に優れた横型の反応器を使用することが推奨される。
また、着色や劣化を抑え、ビニル基などの末端の増加を抑制するため、少なくとも1つの反応槽において、通常1.3kPa以下、好ましくは0.5kPa以下、更に好ましくは0.3kPa以下の高真空下で、通常225〜255℃、好ましくは230〜250℃、更に好ましくは233〜245℃の温度で行うのがよい。
更に、PBTの重縮合反応工程は、一旦、溶融重縮合で比較的分子量の小さい、例えば、固有粘度0.1〜1.0程度のPBTを製造した後、引き続き、PBTの融点以下の温度で固相重合させることも出来るが、前述の通り、本発明においては、ペレット表層部と中心部の固有粘度の差が0.10dL/g以下であることが必要である。
本発明のPBTは、触媒由来の異物が飛躍的に低減されているため、当該異物を除去しなくてもよいが、ポリマー前駆体やポリマーの流路にフィルターを設置することにより、更に品質の優れたポリマーが得られる。本発明においては、上述の理由により、従来のPBTの製造設備で使用されているものと同じ目開きのフィルターを使用した場合は、その交換までの寿命を長くすることが可能である。また、交換までの寿命を同じに設定するならば、更に目開きの小さいフィルターを設置することが可能になる。
フィルターの設置位置が製造プロセスの余りにも上流側の場合は、下流側で発生する異物の除去が行えず、下流側の粘度が高い所ではフィルターの圧力損失が大きくなり、流量を維持するためには、フィルターの目開きを大きくしたり、フィルターの濾過面積や配管などの設備を過大にする必要があったり、また、流体通過時に高剪断を受けるため、剪断発熱によるPBTの劣化が不可避となる。従って、フィルターの設置位置は、PBT又はその前駆体の固有粘度が通常0.10〜1.20、好ましくは0.20〜1.00、更に好ましくは0.50〜0.90の位置が選択される。
フィルターを構成する濾材としては、金属ワインド、積層金属メッシュ、金属不織布、多孔質金属板などの何れでもよいが、濾過精度の観点から、積層金属メッシュ又は金属不織布が好ましく、特に、その目開きが焼結処理により固定されているものが好ましい。フィルターの形状としては、バスケットタイプ、ディスクタイプ、リーフディスクタイプ、チューブタイプ、フラット型円筒タイプ、プリーツ型円筒タイプ等の何れの型式であってもよい。また、プラントの運転に影響を与えない様にするため、複数のフィルターを設置し、切り替えて使用できる構造にしたり、オートスクリーンチェンジャーを設置することが好ましい。
フィルターの絶対濾過精度は、特に制限されないが、通常0.5〜200μm、好ましくは1〜100μm、更に好ましくは5〜50μm、特に好ましくは10〜30μmである。絶対濾過精度が大きすぎる場合は製品中の異物低減効果がなくなり、小さすぎる場合は生産性の低下やフィルター交換頻度の増大を招く。絶対濾過精度とは、粒径が既知でかつ揃ったガラスビーズ等の標準粒径品を使用し濾過テストを行った場合に、完全に濾別除去される場合の最低粒径を示す。
以下、添付図面に基づき、PBTの製造方法の好ましい実施態様を説明する。図1は、本発明で採用するエステル化反応工程またはエステル交換反応工程の一例の説明図、図2は、本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図である。
図1において、原料のテレフタル酸は、通常、原料混合槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールと混合され、原料供給ライン(1)からスラリーの形態で反応槽(A)に供給される。一方、原料がテレフタル酸ジアルキルの場合は通常溶融した液体として1,4−ブタンジオールと独立に反応槽(A)に供給される。また、チタン触媒は、好ましくは触媒調整槽(図示せず)で1,4−ブタンジオールの溶液とした後、触媒供給ライン(3)から供給される。図1では再循環1,4−ブタンジオールの再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)を連結し、両者を混合した後、反応槽(A)の液相部に供給する態様を示した。
反応槽(A)から留出するガスは、留出ライン(5)を経て精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離される。通常、高沸成分の主成分は1,4−ブタンジオールであり、低沸成分の主成分は、直接重合法の場合は水およびTHFである。
精留塔(C)で分離された高沸成分は抜出ライン(6)から抜き出され、ポンプ(D)を経て、一部は再循環ライン(2)から反応槽(A)に循環され、一部は循環ライン(7)から精留塔(C)に戻される。また、余剰分は抜出ライン(8)から外部に抜き出される。一方、精留塔(C)で分離された軽沸成分はガス抜出ライン(9)から抜き出され、コンデンサ(G)で凝縮され、凝縮液ライン(10)を経てタンク(F)に一時溜められる。タンク(F)に集められた軽沸成分の一部は、抜出ライン(11)、ポンプ(E)及び循環ライン(12)を経て精留塔(C)に戻され、残部は、抜出ライン(13)を経て外部に抜き出される。コンデンサ(G)はベントライン(14)を経て排気装置(図示せず)に接続されている。反応槽(A)内で生成したオリゴマーは、抜出ポンプ(B)及び抜出ライン(4)を経て抜き出される。
図1に示す工程においては、再循環ライン(2)に触媒供給ライン(3)が連結されているが、両者は独立していてもよい。また、原料供給ライン(1)は反応槽(A)の液相部に接続されていてもよい。
図2において、前述の図1に示す抜出ライン(4)から供給されたオリゴマーは、第1重縮合反応槽(a)で減圧下に重縮合されてプレポリマーとなった後、抜出用ギヤポンプ(c)及び抜出ライン(L1)を経て第2重縮合反応槽(d)に供給される。第2重縮合反応槽(d)では、通常、第1重縮合反応槽(a)よりも低い圧力で更に重縮合が進みポリマーとなる。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)及び抜出ライン(L3)を経て、第3重縮合槽(k)に供給される。第3重縮合反応槽(k)は、複数個の攪拌翼ブロックで構成され、2軸のセルフクリーニングタイプの攪拌翼を具備した横型の反応槽である。抜出ライン(L3)を通じて第2重縮合反応槽(d)から第3重縮合反応槽(k)に導入されたポリマーは、ここで更に重縮合が進められた後、抜出用ギヤポンプ(m)及び抜出ライン(L5)を経てダイスヘッド(g)から溶融したストランドの形態で抜き出され、水などで冷却された後、回転式カッター(h)で切断されてペレットとなる。符号(L2)、(L4)、(L6)は、それぞれ、第1重縮合反応槽(a)、第2重縮合反応槽(d)、第3重縮合反応槽(k)のベントラインである。
次に、本発明に係るPBTペレットのコンパウンド製品について説明する。本発明のコンパウンド製品は、成形原料の少なくとも一部に前述のPBTペレットを使用して成ることを特徴とする。ここに、コンパウンド製品とは、複数の原料、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク等の強化充填材、可塑剤、着色剤、難燃剤などの添加剤をPBTに加えて混練した材料をいう。斯かるコンパウンド製品は、例えば、家電・OA機器、自動車などの部品の成形材料として使用される。
コンパウンド製品に配合される上記以外の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤の他、滑剤、離型剤、触媒失活剤、結晶核剤、結晶化促進剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、発泡剤、耐衝撃性改良剤などが挙げられる。
また、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を配合することが出来る。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
前記の種々の充填材や添加剤や樹脂の配合方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸または2軸の押出機を混練機として使用して成形加工前に予め製造しておく方法や成形時に各成分を混合する方法が挙げられる。特に、予め製造しておく方法を採用する場合には本発明による改良効果が大きい。各成分は、付加的成分を含めて、混練機に一括して供給してもよいし、順次供給してもよい。配合量は、コンパウンド製品の使用目的などに応じて適宜に選択される。
コンバウンド成形品の混練温度は、特に制限されないが、混練温度が高いと色調の悪化や、末端カルボキシル基濃度の上昇、ひいては耐加水分解性の悪化を招くため、通常270℃以下、好ましくは265℃以下、更に好ましくは260℃以下である。本発明のコンバウンド製品は、原料PBT中に、押出機の負荷の増大や変動などの原因となるペレット中の粘度差が小さいため、上記の様な低温で混練しても、押出機の負荷が小さく、その変動も小さいため、これまで困難であったコンパウンド製品の製造安定性と混練時の熱劣化防止を両立させることが出来る。
前述の家電・OA機器、自動車などの部品(成形品)の製造は、本発明に従って、成形材料の少なくとも一部として上記のコンバウンド成形品を使用し、射出成形機を使用して成形することにより行うことが出来る。この場合、コンパウンド製品の溶融温度(具体的には樹脂の溶融温度)は、上記と同様の範囲から選択される。また、後述する押出機を使用した成形品の製造方法の場合と同様に、成形材料の少なくとも一部としてリサイクル原料を使用することも出来る。
次に、本発明に係るPBTペレットの成形品について説明する。本発明の成形品は、成形原料の少なくとも一部に前述のPBTペレットを使用して成ることを特徴とする。成形品の形態としては、例えば、フィルム、シート又はフィラメントが挙げられる。なお、本発明においてフィルムとシートは何れも2次元的に広がった成形体を示すが、その境界の厚さは1/100インチ(0.254mm)である。PBTでは、この厚さを境に用途が異なることが多い。
本発明のフィルム又はシートの製造方法は、特に限定されず、公知の種々の方法を採用することが出来る。例えば、Tダイキャスティング法、空冷インフレーション法、水冷インフレーション法、カレンダー法などが挙げられる。また、公知の多層化装置(例えばマルチマニホールドTダイ、スタックプレートダイス、フィードブロック、多層インフレーションダイス)等を使用して多層フィルムを得ることも出来る。これらの方法は、PBT樹脂を乾燥した後、必要に応じて他の樹脂や熱安定剤などの添加剤と混合した後に適用される。
更に必要に応じ、公知の方法に従って、一軸または二軸延伸して延伸フィルムを得ることも出来る。二軸延伸は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であっても構わない。更に、熱処理工程を得て、フィルムの寸法安定化処理を行っても構わない。
本発明のフィラメントの製造方法は、特に制限されず、例えば、モノフィラメントの場合には、単軸押出機に原料樹脂を連続的に供給し、溶融しながら連続的に先端部のノズルから糸状に押し出し、通常3〜50℃、好ましくは5〜20℃の水や空気で一旦冷却固化させ、未延伸のモノフィラメントを得る。この際、温度が高すぎると溶融樹脂が結晶化して上手く延伸されなかったり白化したりして好ましくない。続いて、当該樹脂のガラス転移温度付近の温度、好ましくは40〜280℃に設定した媒体(温水、蒸気または空気)槽内でモノフィラメントを再加熱し、その際、槽の前後に設置された駆動ロールの速度差を利用し、通常1.5倍以上、好ましくは1.8〜6倍に延伸処理する。延伸操作は多段で行うことも出来る。その場合には、延伸温度を下流に行くほど高く設定することが好ましく、最終的には、後収縮を防止するため、60〜280℃の槽内で延伸せずに、数%程度弛緩させることが好ましい。
本発明において、フィルム、シート、フィラメントの成形温度は、特に制限されないが、成形温度が高いと色調の悪化や、末端カルボキシル基濃度の上昇、ひいては耐加水分解性の悪化を招くため、通常270℃以下、好ましくは265℃以下、更に好ましくは260℃以下である。本発明の成形品(フィルム、シート、フィラメント)は、原料PBT中にフィッシュアイの原因となる高粘度物が含まれていないため、上記の様な低温で成形しても、フィッシュアイの発生が少なく、これまで困難であったフィッシュアイ低減と成形時の熱劣化防止を両立させることが出来る。
本発明の成形品を製造する際には、必要に応じ、慣用の添加剤などを配合することが出来る。斯かる添加剤としては、特に制限されず、例えば、コンパウンド製品において説明した各種の添加剤や樹脂が挙げられる。また、これらの配合方法もコンパウンド製品において説明したと同様の方法が採用される。
また、本発明においては、廃棄物低減、コスト低減、本発明の改良効果の観点から、
本発明のPBTペレットを使用して得られたコンパウンド製品を成形した際に生成するランナーやスプール等の成形品以外の部分、フィルム端部またはシート端部に代表される製造時に生成した商品価値のない部分などを原料や材料と混合してリサイクルすることが好ましい。この際、ランナーやスプール、フィルム端部やシート端部などをそのままの形状でリサイクルしてもよいし、原料の供給器や成形機のスクリューへの食い込み性に悪影響を及ぼす等、生産に不都合が生じる場合は、造粒、切断、粉砕などの加工を施してもよい。以下、前記のリサイクルされる部分をリサイクル原料と呼ぶ。
原料または材料に占めるリサイクル原料の比率は、リサイクル原料を含む全原料または全材料の重量をA、リサイクル原料の重量をCとする時、以下の式(2)を満たすことが好ましい。中でも以下の式(3)、特には以下の式(4)を満たすことが推奨される。
Figure 0004626343
リサイクル原料の比率が高い場合は、色調の悪化や、異物の増大、末端カルボキシル基濃度の上昇を招き、リサイクル原料の比率が低い場合は、廃棄物低減、コスト低減の観点からの効果が見られなくなる傾向にある。
本発明の成形品は、高粘度物に由来するフィッシュアイが大幅に低減されているだけではなく、色調、耐加水分解性、熱安定性、透明性、成形性に優れており、特に、リサイクル原料を使用した場合にこれらの効果が大きい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の諸例で採用した物性および評価項目の測定方法は次の通りである。
(1)エステル化率:
以下の計算式(5)によって酸価およびケン化価から算出した。酸価は、ジメチルホルムアミドにオリゴマーを溶解させ、0.1NのKOH/メタノール溶液を使用して滴定により求めた。ケン化価は0.5NのKOH/エタノール溶液でオリゴマーを加水分解し、0.5Nの塩酸で滴定し求めた。
Figure 0004626343
(2)固有粘度(IV):
ウベローデ型粘度計を使用し次の要領で求めた。すなわち、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、30℃において、濃度1.0g/dLのポリマー溶液および溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式(6)より求めた。
Figure 0004626343
(3)ペレット中心部と表層部の固有粘度の差(ΔIV):
PBTペレット20gをヘキサフルオロイソプロパノール200mL中に静置し、経時的に新鮮なヘキサフルオロイソプロパノールと置換する操作を20回繰り返し、全てを溶解させた。この時、1回目に得られた溶液(フラクション1)と20回目に得られた溶液(フラクション20)から、エバポレーター及び真空乾燥器でヘキサフルオロイソプロパノールを除去した。得られたPBTの重量がそれぞれ2g未満であることを確認し、それぞれの固有粘度を測定し、それらの差を求めた。
(4)PBT中のチタン濃度:
電子工業用高純度硫酸および硝酸でPBTを湿式分解し、高分解能ICP(Inductively Coupled Plasma)−MS(Mass Spectrometer)(サーモクエスト社製)を使用して測定した。
(5)末端カルボキシル基濃度:
ベンジルアルコール25mLにPBT0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定して求めた。
(6)末端メトキシカルボニル基濃度および末端ビニル基濃度:
重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=7/3(体積比)の混合溶媒1mLにPBT約100mgを溶解させ、重ピリジン36μLを添加し、50℃でH−NMRを測定し求めた。NMR装置には日本電子(株)製「α−400」又は「AL−400」を使用した
(7)溶液ヘイズ:
フェノール/テトラクロロエタン=3/2(重量比)の混合液20mLにPBT2.70gを110℃で30分間溶解させた後、30℃の恒温水槽で15分間冷却し、日本電色(株)製濁度計(NDH−300A)を使用し、セル長10mmで溶液の濁度を測定した。値が低いほど透明性が良好であることを示す。
(8)ペレット色調:
日本電色(株)製色差計(Z−300A型)を使用し、L、a、b表色系におけるb値で評価した。値が低いほど黄ばみが少なく色調が良好であることを示す。
(9)ホルムアルデヒド発生量:
PBT1gとpH=2.29に調整した塩酸水溶液5mLとを、10mLのヘッドスペース瓶に入れて、120℃で1時間攪拌抽出した。この液を冷却した後、クロマトディスクで濾過した。更に、この液約3gを精秤し、0.25%2,4−ジニトロフェニルヒドラジン−6N塩酸溶液0.2mLとヘキサン1mLを入れて、50℃で20分反応させ、ヘキサン相をガスクロマトグラフィー(島津(株)製「GC2010」、カラム:「HP−5MS」)で分析した。
(10)フィシュアイ数:
先ず、PBTを窒素雰囲気下120℃で8時間乾燥し、オプティカルコントロールシステムズ社製フィルム成形機(型式ME−20/26V2)を使用し、厚さ50μmのフィルムを得た。シリンダ及びダイの温度は、各実施例および比較例中に示した通りとした。次いで、得られたフィルムのフィシュアイ数を次の要領で測定した。すなわち、Film Quality Testing System[オプティカルコントロールシステムズ社 形式FS−5]を使用し、当該フィルム1m当たりの大きさ200μmを超えるフィッシュアイの数を測定した。
(11)成形時のΔAV:
上記(10)において得られたフィルムの末端カルボキシル基濃度を測定し、成形前後(原料ペレットとフィルム)の末端カルボキシル基濃度の上昇を成形時のΔAVとした。
(12)押出機のモータートルク安定性:
上記(10)におけるフィルム成形時のモータートルク値(Nm)の安定性を観察して評価した。フィルム成形中、トルク変動が10%以内の場合を○、10%を超える場合を×として評価した。
実施例1:
図1に示すエステル化工程と図2に示す重縮合工程を通し、次の要領でPBTの製造を行った。先ず、テレフタル酸1.00モルに対して、1,4−ブタンジオール1.80モルの割合で混合した60℃のスラリーをスラリー調製槽から原料供給ライン(1)を通じ、予め、エステル化率99%のPBTオリゴマーを充填したスクリュー型攪拌機を有するエステル化のための反応槽(A)に、40.0kg/hとなる様に連続的に供給した。同時に、再循環ライン(2)から185℃の精留塔(C)の塔底成分を18.4kg/hで供給し、触媒供給ライン(3)から触媒として65℃のテトラブチルチタネートの6.0重量%1,4−ブタンジオール溶液を95g/hで供給した(理論ポリマー収量に対し30重量ppm)。この溶液中の水分は0.20重量%であった。
反応槽(A)の内温は230℃、圧力は78kPaとし、生成する水とTHF及び余剰の1,4−ブタンジオールを、留出ライン(5)から留出させ、精留塔(C)で高沸成分と低沸成分とに分離した。系が安定した後の塔底の高沸成分は、98重量%以上が1,4−ブタンジオールであり、精留塔(C)の液面が一定になる様に、抜出ライン(8)を通じてその一部を外部に抜き出した。一方、低沸成分は塔頂よりガスの形態で抜き出し、コンデンサ(G)で凝縮させ、タンク(F)の液面が一定になる様に、抜出ライン(13)より外部に抜き出した。
反応槽(A)で生成したオリゴマーの一定量は、ポンプ(B)を使用し、抜出ライン(4)から抜き出し、反応槽(A)内液の平均滞留時間が3.5hrになる様に液面を制御した。抜出ライン4から抜き出したオリゴマーは、第1重縮合反応槽(a)に連続的に供給した。系が安定した後、反応槽(A)の出口で採取したオリゴマーのエステル化率は97.5%であった。
第1重縮合反応槽(a)の内温は245℃、圧力2.1kPaとし、滞留時間が90分になる様に液面制御を行った。減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L2)から、水、THF、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、初期重縮合反応を行った。抜き出した反応液は第2重縮合反応槽(d)に連続的に供給した。
第2重縮合反応槽(d)の内温は241℃、圧力150Paとし、滞留時間が90分になる様に液面制御を行い、減圧機(図示せず)に接続されたベントライン(L4)から、水、THF、1,4−ブタンジオールを抜き出しながら、更に重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、抜出用ギヤポンプ(e)により抜出ライン(L3)を経由し、第3重縮合反応槽(k)に連続的に供給した。第3重縮合反応槽(k)の内温は238℃、圧力は140Pa、滞留時間は90分とし、更に、重縮合反応を進めた。得られたポリマーは、ダイスヘッド(g)からストランド状に連続的に抜き出し、回転式カッター(h)でカッティングした。この様にして得られた平均固有粘度(平均IV)が1.00dL/g、チタン含有量が30重量ppm、ΔIVが0.01dL/g未満のPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数が少なく、外観良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表1に示した。
実施例2:
実施例1において、第2重縮合反応槽(d)の内温を243℃、第3重縮合反応槽(k)の圧力を130Pa、滞留時間を100分とした他は実施例1と同様に行った。この様にして得られた平均IVが1.25dL/g、チタン含有量が30重量ppm、ΔIVが0.01dL/g未満のPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数が少なく、外観良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表1に示した。
実施例3:
実施例1において、第2重縮合反応槽(d)の内温を244℃、滞留時間を80分、第3重縮合反応槽(k)の圧力を130Pa、滞留時間を120分とした他は実施例1と同様に行った。この様にして得られた平均IVが1.35dL/g、チタン含有量が30重量ppm、ΔIVが0.01dL/g未満のPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。平均IVが高いにも拘わらず、フィッシュアイ数が少なく、外観良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表1に示した。
参考例1
実施例1において、テトラブチルチタネートの使用量を理論ポリマー収量に対して75重量ppmとし、第2重縮合反応槽(d)の内温を242℃、滞留時間を80分、第3重縮合反応槽(k)の圧力を130Paとした他は実施例1と同様に行った。この様にして得られた平均IVが1.25dL/g、チタン含有量が75重量ppm、ΔIVが0.01dL/g未満のPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数が少なく、外観良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表1に示した。
実施例
実施例2のPBTペレットを使用し、265℃でフィルムを成形し、評価した。フィッ
シュアイ数が少なく、外観良好なフィルムが得られた。結果をまとめて表1に示した。
比較例1:
タービン型攪拌翼を具備した内容積200Lのステンレス製反応容器に、テレフタル酸ジメチル(DMT)272.9mol、1,4−ブタンジオール327.5mol、テトラブチルチタネート0.038モル(チタン量として理論収量ポリマー当たり30重量ppm)を仕込み十分窒素置換させた。続いて系を昇温し、60分後に温度210℃、窒素下大気圧で、生成するメタノール、1,4−ブタンジオール、THFを系外に留出させながら、2時間エステル交換反応させた(反応開始時間は、所定温度、所定圧力に達した時点とした)。
ベント管およびダブルヘリカル型攪拌翼を有する内容積200Lのステンレス製反応器に、上記で得られたオリゴマーを移送した後、温度245℃、圧力100Paまで60分かけて到達させ、その状態のまま1.5時間重縮合反応を行った。反応終了後、ポリマーをストランド状に抜き出し、ペレット状に切断した。この様にして得られたPBTペレットを、内容積100Lのダブルコーン型のジャケット付き固相重合装置に仕込み、減圧/窒素置換を3回繰り返した。次いで、圧力を130Paにコントロールし、200℃まで昇温させ、経時的にサンプリングし、IVをチェックしながら、最終的にIVが1.25になった時点で固相重合を終了させた。このPBTからのホルムアルデヒド発生量は、0.8重量ppmであった。この様にして得られた平均IVが1.25dL/g、チタン含有量が30重量ppm、ΔIVが0.19dL/gのPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数が多く、外観不良のフィルムとなった。また、押出機のトルクの変動が大きかった。結果をまとめて表1に示した。
比較例2:
比較例1のPBTペレットを使用し、280℃でフィルムを成形し、評価した。フィルム中のフィッシュアイ数は比較例1に比べ若干減少するにとどまり、外観不良は解消されなかった。また、成形後の末端カルボキシル基濃度の上昇が大きかった。また、押出機のトルクの変動が大きかった。結果をまとめて表1に示した。
比較例3:
比較例1において固相重合時間を延長し、平均IVが1.35dL/g、チタン含有量30重量ppm、ΔIVが0.24dL/gのPBT得た。このPBTからのホルムアルデヒド発生量は、0.7重量ppmであった。このPBTペレットペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数は比較例1より更に多く、外観不良のフィルムとなった。また、押出機のトルクの変動が大きかった。結果をまとめて表1に示した。
比較例4:
実施例1において、テトラブチルチタネートの使用量を理論ポリマー収量に対して100重量ppmとし、第2重縮合反応槽(d)の内温を240℃、滞留時間を80分とした他は実施例1と同様に行った。この様にして得られた平均IVが1.25dL/g、チタン含有量が100重量ppm、ΔIVが0.01dL/g未満のPBTペレットを使用し、250℃でフィルムを成形し、評価した。フィッシュアイ数が多く、外観不良のフィルムとなった。結果をまとめて表1に示した。
実施例6:
実施例2で使用したPBTペレット70重量部と、実施例2で得られたフィルム(R0)を粉砕・乾燥したもの30重量部をブレンドし、実施例2と同様の方法でフィルムを成形した。次に、該1回リサイクル原料入りフィルム(R1)30重量部と、実施例2で使用したPBTペレット70重量部とをブレンドし、実施例2と同様の方法でフィルムを成形した(R2)。この操作を繰り返し、3回リサイクル原料入りフィルム(R4)を得た。この様にリサイクル原料を混合する操作を繰り返しても、良好な品質のPBTフィルムが得られた。結果をまとめて表2に示した。
比較例5:
比較例1のPBTペレットを使用し、実施例6と同様の方法で3回リサイクル原料入りフィルム(R4)を得た。末端カルボキシル基濃度の上昇が大きく、フィッシュアイが多く色調や強度に劣るPBTフィルムしか得られなかった。結果をまとめて表2に示した。
Figure 0004626343
Figure 0004626343
本発明で採用するエステル化反応工程またはエステル交換反応工程の一例の説明図 本発明で採用する重縮合工程の一例の説明図
符号の説明
1:原料供給ライン
2:再循環ライン
3:触媒供給ライン
4:抜出ライン
5:留出ライン
6:抜出ライン
7:循環ライン
8:抜出ライン
9:ガス抜出ライン
10:凝縮液ライン
11:抜出ライン
12:循環ライン
13:抜出ライン
14:ベントライン
A:反応槽
B:抜出ポンプ
C:精留塔
D、E:ポンプ
F:タンク
G:コンデンサ
L1、L3、L5:抜出ライン
L2、L4、L6:ベントライン
a:第1重縮合反応槽
d:第2重縮合反応槽
k:第3重縮合反応槽
c、e、m:抜出用ギヤポンプ
g:ダイスヘッド
h:回転式カッター

Claims (18)

  1. チタンを含有し且つその量がチタン原子として90重量ppm以下であり、末端メトキシカルボニル基濃度が0.5μeq/g以下、溶液ヘイズが5%以下であるポリブチレンテレフタレートから成るペレットであって、ペレットの平均固有粘度が0.90〜2.00dL/gであり、ペレットの中心部と表層部の固有粘度の差が0.10dL/g以下であることを特徴とするポリブチレンテレフタレートペレット。
    (但し、溶液ヘイズは、ポリブチレンテレフタレート2.7gをフェノール/テトラクロロエタン混合液(重量比3/2)20mLに溶解させた溶液の濁度の値とする。)
  2. ペレットの平均固有粘度が1.10〜1.40dL/gである請求項1に記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  3. ポリブチレンテレフタレートのチタン含有量が50重量ppm以下である請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  4. ポリブチレンテレフタレートの末端カルボキシル基濃度が0.1〜50μeq/gである請求項1〜3の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  5. ポリブチレンテレフタレートの末端ビニル基濃度が0.1〜15μeq/gである請求項1〜4の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  6. ペレットの中心部と表層部の固有粘度の差が0.05dL/g以下である請求項1〜の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレット。
  7. 原料の少なくとも一部に請求項1〜の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレットを使用して成ることを特徴とするコンパウンド製品。
  8. 原料の少なくとも一部として、請求項1〜の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレットを使用し、押出機を使用して混練することを特徴とするコンパウンド製品の製造方法。
  9. 押出機による混練樹脂温度が270℃以下である請求項に記載の製造方法。
  10. 成形材料の少なくとも一部に請求項のコンパウンド製品を使用して成ることを特徴とする成形品。
  11. 成形材料の少なくとも一部として、請求項のコンパウンド製品を使用し、射出成形機を使用して成形することを特徴とする成形品の製造方法。
  12. 成形時の溶融樹脂温度が270℃以下である請求項11に記載の製造方法。
  13. 成形材料の少なくとも一部としてリサイクル原料を使用する請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 原料の少なくとも一部に請求項1〜の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレットを使用して成ることを特徴とする成形品。
  15. 成形品が、フィルム、シート又はフィラメントである請求項1に記載の成形品。
  16. 原料の少なくとも一部として、請求項1〜の何れかに記載のポリブチレンテレフタレートペレットを使用し、押出機を使用して成形することを特徴とする成形品の製造方法。
  17. 成形時の溶融樹脂温度が270℃以下である請求項16に記載の製造方法。
  18. 原料の少なくとも一部としてリサイクル原料を使用する請求項16又は17に記載の製造方法。
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