JP2006104454A - ラミネート紙用ポリエステル樹脂及びポリエステルラミネート紙 - Google Patents

ラミネート紙用ポリエステル樹脂及びポリエステルラミネート紙 Download PDF

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Abstract

【課題】
押出し性、容器加工性、色調及び密着性のいずれにも優れたポリエステル樹脂、ポリエステルラミネート紙、及びその製造方法、並びにそれを用いた紙製容器を提供する。
【解決手段】
ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするペレット状のポリエステル樹脂(A)であって、
(1)250℃における溶融張力が0.5〜2.5mNであり、
(2)ペレット表層部の固有粘度IV(S)とペレット中心部の固有粘度IV(C)の差(△IV)が0.1以下である
ことを特徴とするラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)、該ポリエステル樹脂(A)を、紙の少なくとも一方の面に押出しラミネートしてなるポリエステルラミネート紙、及びその製造方法、並びにそれを用いた紙製容器。
【選択図】 なし

Description

本発明はブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とした特定の物性を有するポリエステル樹脂、及びこの樹脂を紙の表面に押出したラミネート紙に関する。詳しくは、押出し性や容器加工性、色調に優れ、更には紙とポリエステルフィルムとの密着性にも優れたポリエステル樹脂及びポリエステルラミネート紙に関し、更には該ラミネート紙の製造方法、及び該ラミネート紙を用いた紙製容器に関する。
近年、電子レンジやオーブン等により加熱調理する食品が広く普及しており、その容器のひとつとして、紙に合成樹脂の薄膜をラミネートした容器(以下、ラミネート紙製容器と略称する)がある。該ラミネート紙製容器は、プラスチック製容器に比べて軽量、安価かつ高耐熱性の長所があり、加えて金属探知器による食品中の異物混入検査が可能である利点も備えており、ケーキや焼き菓子等の加熱調理容器を始め、駅、コンビニエンスストア、食料品店等で販売される弁当用容器やおかずカップ、冷凍食品用トレー等として利用されている。
ラミネート紙容器に使用される合成樹脂としては、ポリメチルペンテン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、中でもポリエステル系樹脂が、食品へのプラスチック臭、紙臭の臭い移りや食品の味変わりの観点から最も優れており、更には耐熱性や加工性も良好で、性能のバランスに優れている為、様々な食品分野で用いられている。
特許文献1には、板紙基質の第一面に水不透層を貼り付け、第二面に水透過性層を貼り付けた耐熱性板紙製品が、食品用容器に使用でき、水不透層の粘結剤としてポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称することがある)を使用した例が開示されている。また、この容器は、食品構成成分に対し不透性であり、加熱時に発泡や爆発することがなく、且つ、その輝度を保つことが開示されている。しかし、この特許文献1においては、PBTの製造法や物性については記載されておらず、特定の物性を有する特定のPBT樹脂を選択した場合に、押出し性、容器加工性、色調、紙とPBTの密着性のいずれにも優れたラミネート紙が得られることについては何ら示唆されていない。
特許文献2には、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称することがある)を含むポリエステルをラミネートした紙よりなる食品包装用容器が開示され、特に押出加工前後での樹脂の極限粘度の比率を特定値以上に保持することによりヒートシール性を改善することが開示されている。しかし、実施例に具体的に開示されているポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある)のみであり、特定の物性を有する特定のPBT樹脂を選択した場合に、押出し性、容器加工性、色調、紙とPBTの密着性のいずれにも優れたラミネート紙が得られることについては何ら示唆されていない。
特許文献3には、PBTを押出しラミネートした電子レンジ加熱用紙容器が開示され、PBT樹脂を使用した容器がPET樹脂を使用した容器に比べて、耐熱性、食品汚染性、食品の付着性に優れ、酸素透過性やヒートシール性に優れることが開示されている。この特許文献3では、PBT樹脂と紙との密着性を良くするために、紙をコロナ放電にて前処理したものを使用する必要があり、単にPBT樹脂を紙上にラミネートしただけでは密着性が十分でなく、製造コストがかかるという問題があった。
また、特許文献3には、特に溶融張力や固有粘度差の観点から、特定の物性を有する特定のPBT樹脂を選択した場合に、押出し性、容器加工性、色調、紙とPBTの密着性のいずれにも優れたラミネート紙が得られることについては何ら示唆されていない。
この特許文献3の実施例においては、固有粘度1.26(オルソクロルフェノール中25℃で測定した値;フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用いて30℃で測定した場合には、約1.39に相当)のPBTが使用されており、通常この程度の固有粘度のPBTを得るためには、ある程度厳しい条件での固相重合法が採用される場合が多いため、ここでは本発明で規定する固有粘度差△IV(ペレットの表面部と中心部の差)が0.1よりも大きいPBTが使用されていると考えられる。
特許文献4には、末端カルボキシル基含有量が60ミリ当量/kg未満であるPBT樹脂を、耐熱紙にラミネートした積層体を成形してなる加熱調理用耐熱性紙容器は、成形性、耐熱性に優れ、食品へのポリマー臭の移行がなく、高温での加熱調理用の耐熱性容器として好適であることが開示されている。この特許文献4においても、PBT樹脂と紙との密着性を良くするために、紙をコロナ放電にて前処理したものが使用されており、単にPBT樹脂を紙上にラミネートしただけでは密着性が十分でないという問題があった。
また、特許文献4には、特に溶融張力や固有粘度差の観点から、特定の物性を有する特定のPBT樹脂を選択した場合に、押出し性、容器加工性、色調、紙とPBTの密着性のいずれにも優れたラミネート紙が得られることについては何ら示唆されておらず、これらの特性が総合的に良好なラミネート紙が望まれていた。
この特許文献4においては、PBTの製造法として、特に固相重合法が例示されており、固相重合法を採用した場合には、通常、得られるPBTの固有粘度差△IV(ペレットの表面部と中心部の差)は0.1よりも大きい値となると考えられる。
特開昭52−34009 特開昭55−166247号公報 特開昭64−70620号公報 特開2000−93296号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、押出し性、容器加工性、色調及び密着性のいずれにも優れたポリエステル樹脂、ポリエステルラミネート紙、及びその製造方法、並びにそれを用いた紙製容器を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、PBT樹脂の中でも、(1)特定の溶融張力と(2)特定の固有粘度差(ペレットの表面部と中心部の差)の両者を満たす特定のPBT樹脂を選択することにより、押出し性、容器加工性、色調、紙とPBTの密着性のいずれにも優れ、総合的に良好な特性を有するラミネート紙用ポリエステル樹脂が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするペレット状のポリエステル樹脂(A)であって、
(1)250℃における溶融張力が0.5〜2.5mNであり、
(2)ペレット表層部の固有粘度IV(S)とペレット中心部の固有粘度IV(C)の差(△IV)が0.1以下である
ことを特徴とするラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)、に存する。
また、該ポリエステル樹脂(A)を、紙の少なくとも一方の面に押出しラミネートしてなることを特徴とするポリエステルラミネート紙、及びその製造方法、並びにこれを成形加工してなるポリエステルラミネート紙製容器、に存する。
本発明により、従来のラミネート紙を製造する際に見られたフィルムの蛇行やネックインなどが著しく改良され、押出し性、容器加工性、色調及び密着性のいずれにも優れたポリエステルラミネート紙を得ることができる。また、ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とした樹脂を構成要素としているため、バリヤー性、耐熱性に優れており、水分、油分を含む食品の長期保存用、および電子レンジやオーブンレンジの加熱調理用の食品包装容器として好適である。

特には電子レンジやオーブンにて加熱調理される耐熱性の食品包装容器などの原紙として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするポリエステル樹脂(A)とは、紙上に押出しラミネートされるポリエステルであって、多価アルコール成分として1,4−ブタンジオール、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体を用いて重合することにより得られるポリエステルである。主たる繰り返し単位とは、ブチレンテレフタレート単位が、全多価カルボン酸−多価アルコール単位中の70モル%以上であることを意味し、好ましくは80モル%以上、更には90モル%、特には95モル%以上であるのが好ましい。
ポリエステル樹脂(A)に用いられるテレフタル酸以外の多価カルボン酸成分の例としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、或いは上記多価カルボン酸のエステル形成性誘導体(例えばテレフタル酸ジメチル等の多価カルボン酸の低級アルキルエステル類等)が挙げられる。これらの多価カルボン酸成分は単独でテレフタル酸と共に用いても良いし、複数をテレフタル酸と混合して用いても良い。
一方、1,4−ブタンジオール以外の多価アルコール成分の一例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族多価アルコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等の芳香族多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これら多価アルコール成分は単独で1,4−ブタンジオールと共に用いても良いし、複数を1,4−ブタンジオールと混合して用いても良い。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、本発明の要件を満たせば、単独であってもよいし、或いは末端カルボキシル基濃度、融点、触媒量等の異なる複数のポリエステルの混合物を溶融しペレット状に成形したものであってもよい。
また、本発明で使用するポリエステル樹脂(A)を製造する際には、触媒としては通常チタン化合物が使用され、具体例としては、酸化チタン、四塩化チタン等の無機チタン化合物、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等が挙げられる。これらの中ではテトラアルキルチタネートが好ましく、その中ではテトラブチルチタネートが特に好ましい。
触媒としては、チタン化合物の他に、スズ化合物が触媒として併用されていても良い。
スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などが挙げられる。
また、チタン化合物の他に、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物の他、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、それらのエステルや金属塩などの燐化合物、水酸化ナトリウム、安息香酸ナトリウムなどの反応助剤を併用してもよい。
本発明で使用するポリエステル樹脂(A)の第1の特徴は、250℃における溶融張力が0.5〜2.5mNであることであり、例えば、東洋精機(株)製キャピログラフにより求めることができるものである。溶融張力は押出性及び容器加工性と密接な関係をし、高速ラミネートが可能なこと等から、下限は0.55以上が好ましく、0.60以上がより好ましく、0.65以上が更に好ましく、一方上限は、2.0以下が好ましく、1.80以下がより好ましく、1.40以下が更に好ましく、1.30以下が特に好ましい。
溶融張力が0.5(mN)未満であると、押出し時のポリエステル(A)樹脂のネックイン現象が大きく、Tダイ巾に対するポリエステルラミネート紙の取り幅が著しく少なかったり、ラミネート後の中心部と端部のポリエステル厚みの差が著しく大きくなり成形加工に使用出来ないので好ましくない。一方、溶融張力が2.5(mN)を大きく越えると、押出機への負荷が大きく、押出し量が制限され、高速押出しの障害となるだけでなく、ポリエステル(A)と紙面との密着性が著しく低下するので好ましくない。
また、本発明で使用するポリエステル樹脂(A)の第2の特徴は、ペレット表層部の固有粘度IV(S)とペレット中心部の固有粘度IV(C)との差△IV(=|IV(S)−IV(C)|)が0.1以下であることであり、これによりポリエステル樹脂と耐熱紙の密着性を向上させることができる。△IVが0.1を超えると、紙とPBTとの密着性が低下するので好ましくない。詳細な理由は明らかでないが、△IVが0.1以下であると、ペレットの表層部と中心部の固有粘度差が小さいことから、ポリエステル樹脂(A)の分子量分布が均質となる傾向があり、また、溶融しにくい高分子量成分の含有量が少なくなる傾向があることから、ラミネートするポリエステル樹脂(A)が耐熱紙に浸透し易くなり、密着性が改善されるものと推定される。また、△IVが0.1を超えるペレットは、押出し中の圧力変動が大きく、フィルムに厚みムラが発生したり、フィルムが蛇行するので好ましくない。△IVは、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.03以下、更に好ましくは0.01以下である。
本発明において、ペレットの表層部(S)と中心部(C)の固有粘度の差(△IV)とは、ペレット全体を基準として、ペレットの外周部から5±1重量%以内の部分(表層部)の固有粘度IV(S)とペレット中心から5±1重量%以内の部分(中心部)の固有粘度IV(C)との差を言う。
ペレットの表層部と中心部の固有粘度は、PBTが可溶である溶媒中にペレットを静置し、経時的に新鮮な溶媒と置換する操作を繰り返すことによって、ペレット表層から順にPBT溶液のフラクションを得、ペレットを溶かしはじめた最初のフラクションと、ペレットが完全に溶解した最後のフラクションから、各々の溶媒を除去し、ペレット表層部と中心部のPBTを別々に得、それぞれの固有粘度を測定することによって求めることができる。ここで使用する溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノール、o−クロロフェノール、テトラクロロエタン/フェノール混合溶媒等である。
ペレットの外周および中心から5±1重量%以内のフラクションを得るためには、予め溶媒に対するペレットの溶解度を確認後、その溶解度に応じて、ペレット全体の5±1重量%以内となるようなフラクションを採取してもよいし、短時間毎のフラクションを採取し、ペレット全体の5±1重量%以内となるようにいくつかのフラクションを混合することによりペレットの表層部及び中心部を得ることができる。
一般的には、固相重合をした場合には、固相重合の前後でのペレット全体の平均IVの上昇が大きい場合に、△IVが大きくなる傾向がある。
本発明において、ペレット状とは、粒状であれば特に形状に制限はなく、円柱状、球状又は板状でもよいが、代表的には円柱状である。ペレットサイズが大きすぎる場合には、△IVが大きくなる傾向があり、一方、ペレットサイズが小さすぎる場合には、成型時のブリッジングや食い込み不良の原因となる。よって、本発明のペレットサイズは、円柱状のペレットの場合には、ペレットの平均径、即ち、ペレットの長軸方向に垂直な断面の短径と長径の平均値(各ペレットについて、長軸方向に垂直な断面の短径と長径を足して2で割った値を求め、ラミネートするペレットの中から任意に選んだ100個について、それらの値の平均をとった値)の上限が、好ましくは5.0mm、より好ましくは4.0mm、さらに好ましくは3.5mm、特に好ましくは3.0mmであり、下限が、好ましくは1.0mm、好ましくは1.5mm、より好ましくは2.0mm、特に好ましくは2.5mmである。
ペレットの長軸方向の平均の長さ(各ペレットについて、長軸方向の長さを求め、ラミネートするペレットの中から任意に選んだ100個について、それらの値の平均をとった値)も同様の理由から、通常1〜6mm、中でも2〜4mmが好ましい。
なお、ペレットが、球状の場合には、球の平均直径が上記の平均径に該当し、また、板状の場合には、板の平均厚みが平均径に該当し、板の最長径が上記の平均長さに該当する。
また、本発明で使用するポリエステル樹脂(A)のペレットを100粒採取し秤量した場合のペレット重量は、通常1.8〜3.5gであり、好ましくは2.0〜3.0g、更に好ましくは2.1〜2.6gであるのがよい。
本発明において、△IVが0.1以下のペレット状ポリエステル樹脂(A)は、溶融重合法、又は、溶融重合反応後にマイルドな条件で固相重合する方法のいずれでも製造することができ、また、連続法と回分法のいずれでもよいが、連続法による溶融重合法の方が、より容易に△IV値が0.1以下のペレットを製造できるという点で好ましい。
本発明において溶融重合を採用する場合の方法に特に制限はないが、直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合することが好ましい。例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分を、1基又は複数基のエステル化反応槽内で、エステル化反応触媒の存在下に、好ましくは150〜280℃、より好ましくは180〜265℃の温度、好ましくは6.67〜133kPa、より好ましくは9.33〜101kPaの圧力で、攪拌下に2〜5時間で連続的にエステル化反応させる。次いで、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを重縮合反応槽に移送し、1基又は複数基の重縮合反応槽内で、重縮合反応触媒の存在下に、好ましくは210〜280℃、より好ましくは220〜265℃の温度、好ましくは26.7kPa以下、より好ましくは20kPa以下の減圧下で、攪拌下に2〜5時間で連続的に重縮合反応させることができる。重縮合反応により得られたポリブチレンテレフタレート樹脂は、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら又は水冷されたのちに、ペレタイザーで切断されてペレット状とされる。
本発明で使用する△IVが0.1以下のポリエステル樹脂(A)は、溶融重合の後に固相重合を行うことにより製造することもできる。例えば、回分法等による溶融重合法で、エステル交換反応、又はエステル化反応と重縮合反応を行い、比較的高い固有粘度を有するポリエステル樹脂を得た後、該樹脂を1.33〜26.6kPaの減圧下、160〜170℃で、1〜2時間加熱する等のマイルドな条件下で固相重合することにより、実施可能である。ここで、通常の固相重合で採用されるようなある程度厳しい条件、例えば、0.1kPa以下の減圧下、約200℃で、7〜10時間加熱するような条件を採用すると、△IVが0.1を超える可能性があるため、ポリエステル樹脂(A)の製造条件としては好ましくない。
用いるエステル化反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、塔型連続反応槽などを挙げることができる。エステル化反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。本発明に用いる重縮合反応槽の型式に特に制限はなく、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを挙げることができる。重縮合反応槽は、1基とすることができ、あるいは、同種又は異種の複数基の槽を直列させた複数槽とすることもできる。
本発明のポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、0.8dl/g以上、更には0.9dl/g以上、特には1.0dl/g以上が好ましく、一方上限は1.5dl/g以下、1.4dl/g以下、更には1.3dl/g以下、特には1.2dl/g以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A)の固有粘度が0.8dl/g未満であると、成形品の機械的強度が低下するおそれがある。固有粘度が1.5dl/gを超えると、樹脂(A)の溶融粘度が高くなり、流動性が低下して、成形性が低下するおそれがあり、また樹脂(A)と紙面との密着性が低下する傾向がある。なお、本発明においてPBTの固有粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒を用いて30℃で測定した溶液粘度から求められる値である。
本発明で使用されるポリエステル樹脂(A)の降温結晶化温度は、ラミネート後の容器の耐熱性の点から、170℃以上が好ましく、175℃以上がより好ましい。本発明において、降温結晶化温度は、示差走査熱量計で、降温速度20℃/分の条件で測定した結晶化温度を意味し、この降温結晶化温度は、PBTが溶融した状態から降温速度20℃/分で冷却したときに現れる結晶化による発熱ピークの温度である。
本発明で使用されるポリエステル樹脂(A)の末端カルボキシル基量は、通常50eq/t以下である。好ましくは30eq/t以下であり、より好ましくは25eq/t以下である。末端カルボキシル基量は、PBTをベンジルアルコール等の有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム等のベンジルアルコール溶液を用いて中和滴定することにより求めることができる。PBTの末端カルボキシル基量を50eq/t以下とすることにより、特に本発明の樹脂の熱老化安定性(滞留安定性)を改善することができ、また、耐加水分解性を著しく高めることができる。
本発明で使用するポリエステル樹脂(A)は、チタン原子とスズ原子の合計含有量が100ppm以下であるのが好ましい。これらの原子は、重合反応の触媒残渣であるチタン化合物やスズ化合物として含有されるものである。触媒として、チタン化合物以外にスズ化合物を併用しない場合は、ポリエステル樹脂(A)は実質的にスズ原子を含まないため、チタン原子の含有量が100ppm以下であるポリエステル樹脂(A)が好ましい。
更に、本発明においては、ポリエステル樹脂(A)中の、チタン原子の含有量自体を特定量とすることが、ラミネート紙の色調変化が少ないという点で好ましい。具体的には、ポリエステル樹脂(A)中のチタン原子含有量の下限が、好ましくは10ppm以上、より好ましくは15ppm以上、更に好ましくは20ppm以上である。一方上限は、好ましくは90ppm以下、より好ましくは85ppm以下、更に好ましくは80ppm以下、特に好ましくは70ppm下である。チタン原子の含有量が100ppmより多い場合は、押出ラミネートの際にポリエステルのネックイン現象が大きくなったり、押出しラミネート後のポリエステルの黄変やフィッシュアイが著しくなる傾向がある他、食品を充填した容器を高温で長時間加熱した際に、外観変化や食品の接触部が味変わり等を起こす場合もある。一方、10ppmより少ない場合は、ポリエステル重合効率が低下する傾向がある。なお、チタン原子又はスズ原子の含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Induced Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂(A)には、更に本発明の特性を損なわない範囲において、強化充填剤を配合することができる。強化充填剤としては有機物であっても無機物であっても良い。具体例としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ガラスビーズ、モンモリロナイト、マイカ、タルク、カオリン、炭素繊維、ウィスカー、ワラストナイト、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。
これらは単独で用いても複数配合しても良い。
また本発明のポリエステル樹脂(A)には、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエステル以外の樹脂(例えばポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミドやポリフェニレンエーテル等のエンジニアリングプラスチックス、ゴム等)、有機架橋粒子、無機粒子等、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、離型剤、着色剤、印刷性改良剤等の第3成分が適量配合されていても良い。
本発明において、ポリエステル樹脂(A)に、上述した種々の添加剤や他の樹脂を配合する方法は、公知の方法であれば特に限定されず、例えば、(1)ポリエステル樹脂(A)の製造段階で添加する方法、(2)ペレット状のポリエステル樹脂(A)にドライブレンドする方法、(3)ポリエステル樹脂の一部を他の樹脂又は添加物等と予め混合したマスターバッチを製造し、これを残りの原料ポリエステルと混合する方法、又は、(4)ポリエステル樹脂(A)をラミネートする際の溶融混練中に添加する方法等が挙げられる。
本発明に使用される紙とは、日本製紙連合会の分類に基づく紙、板紙のほか、不織布も含まれる。日本製紙連合会の分類に基づく紙としては、コップ原紙などの加工原紙、純白ロール紙、クラフト紙などの包装用紙、上質紙、インクジェット紙などの印刷・情報用紙、ポリエステル繊維などを合成樹脂製繊維を配合した機能紙などが挙げられ、板紙としては、コートボール紙などが挙げられる。中でも、紙器用板紙、純白ロール紙、晒クラフト紙が食品用容器成形の観点の点で好ましい。紙は全面が着色されたもの、あらかじめ表面に文字、模様、絵などが印刷されたものであってよい。
本発明の紙の、JIS P8119に準拠した測定により求められる平滑度は、ポリエステルとの密着性の点で、10秒以上が好ましく、より好ましくは50秒以上であり、更に好ましくは100秒以上であり、特に好ましくは200秒以上である。平滑度が10秒未満であると、紙と密着させるために、ポリエステル樹脂(A)の固有粘度を下げる必要が出て来る為、Tダイから紙面上のラミネートに至るフィルムのネッキング現象が大きく、生産歩留まりが低下する場合があるので好ましくない。また、紙の秤量は、通常10〜500g/m、好ましくは15〜400g/m、更に好ましくは20〜300g/mである。
本発明に係るポリエステルラミネート紙は、紙に薄膜状にした上記ポリエステル樹脂又は樹脂組成物をラミネートすることによって得られ、少なくとも一方の面にラミネートしたもののほか、双方の面にラミネートしたものも含む。ラミネートすることにより、紙に離型性、耐熱性、耐水性、および耐油性などの機能を付与することができる。ポリエステル樹脂組成物をラミネートしない紙の面は、そのままでもよいし、ポリエステル樹脂組成物、他樹脂製のフィルムまたはシート、もしくは、これらの積層体をラミネートしてもよい。他の樹脂製フィルムまたはシートは、あらかじめ着色されていてもよく、文字、模様、絵などを印刷されたものであってもよい。この他の樹脂製フィルムまたはシートに絵などを印刷し、この表面にポリエステル層を形成すると、絵などが表面に露出せず、外観の美麗なラミネート紙とすることができる。他の樹脂製フィルムまたはシートとしては、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂、アルミニウム箔などが挙げられ、また、発泡体であってもよい。
本発明のポリエステルラミネート紙を成形する方法は特に限定されるものではなく、公知の種々の方法を採用することができる。具体例としては、充分に乾燥したペレット状のポリエステル樹脂(A)を、スクリュー式押出機にて溶融混練し、Tダイから溶融フィルムを基材の耐熱紙上に連続的に押し出し、チルロールで冷却、加圧しながら巻き取ることによってポリエステル樹脂でラミネートされた紙を得ることができる。
ポリエステルラミネート紙を成形する際の、ポリエステル樹脂(A)の押出し温度は、通常樹脂温度で230℃〜320℃であり、240℃〜310℃が好ましく、250℃〜305℃がより好ましく、255℃〜300℃が更に好ましく、特には260℃〜295℃が好ましい。樹脂温度が320℃を越えると、熱分解によりネックイン現象や耳暴れが大きくなり、ポリエステルの高速押出しが困難となったり、トリミング量が大きくなったりして、押出し性が低下する傾向がある他、ラミネートされたポリエステルが黄変したり、保臭性や保味性が不十分となる傾向がある。また、チルロール温度は、通常20℃以上、好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上である。
また、紙上にラミネートされるポリエステルフィルムの膜厚は、通常25μm以下であり、好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。一方、下限は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、更に好ましくは10μm以上である。本発明のポリエステル樹脂(A)を用いることにより、膜厚が薄い場合でも良好な密着性を示すラミネート紙を製造することができる。
このようにして得られた本発明のポリエステルラミネート紙は、密着性、耐熱性、成形性に優れた樹脂材料として紙製容器に好適であり、水分、油分を含む食品等の保存あるいは、冷凍食品や冷蔵食品の電子レンジ加熱、オーブンレンジ加熱等、高温での耐熱性が要求される食品包装用の製紙容器に好適に使用できる。
本発明のラミネート紙製容器は、上述したポリエステルラミネート紙を適当な大きさにカッティングし、平板状にして多数枚積み重ねたときには、一枚または多数枚を一度に成形金型に移送し、または、ロール状に巻回したときには、巻き戻しながら成形金型に移送して、熱成形することによって得られる。熱成形方法は、従来から知られている方法でよく、例えば、真空成形法、圧空成形法、プレス成形法などが挙げられる。加熱成形の際の温度は、通常90〜160℃、好ましくは100〜150℃、更に好ましくは110〜140℃である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの例に限定されない。なお、ラミネートするポリエステル樹脂の物性測定法、ポリエステルラミネート紙の特性評価法、及びポリエステル樹脂の製造法は以下のとおりである。
[ポリエステル樹脂の物性測定法]
(1)熱特性
ポリエステル樹脂試料を約10mg削り出し、セイコーインスツルメント社製のDSC(示差走査熱量計「DSC220U型」)を使用し、窒素雰囲気下、アルミパンに封入した試料を、30〜300℃の範囲で±20℃/分のスピードで昇降温し、ポリエステル樹脂の融点(Tm)℃、降温結晶化温度(Tc)℃を測定した。
(2)固有粘度
ポリエステル樹脂を120℃で約6時間熱風乾燥した後、ウベローデ型粘度計を使用し、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒3
0℃でポリエステル樹脂自体の固有粘度[η](dl/g)を測定した。
(3)Ti原子含有量
Induced Coupled Plasma(ICP)によりポリエステル樹脂中のチタン触媒金属濃度(重量比)を定量した。
(4)溶融張力
ポリエステル樹脂を120℃で約6時間で乾燥した後、東洋精機(株)キャピログラフによりシリンダー温度250℃における溶融張力(mN)を測定した。引き取りスピードは20m/分、キャピラリは、径/長=0.5mm/5mmを使用し、ピストンスピード=5mm/分とした。シリンダ内にペレット10gを投入した後、5分間かけ溶融し、6〜7分時の平均値を溶融張力として採用した。
(5)△IV値
ポリエステル樹脂(PBTペレット)10.0g及びHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)25mlを200ml三角フラスコに入れて撹拌し、HFIP溶液のみを100mlナスフラスコへ移しPBTペレット残渣と分離した。HFIP溶液からHFIPを留去した後、ナスフラスコを100℃で24時間減圧乾燥し、更に溶媒を除去し、0.3gのPBTペレット表層部(S)(ペレット全体の3重量%)を得た。次いで、前述のPBTペレット残渣にHFIP25mlを加え撹拌し、PBTペレット残渣量が0.8gとなるまで溶解した後、PBTペレット残渣を回収し、この残渣を100℃24時間減圧乾燥し、PBTペレット中心部(C)0.5g(ペレット全体の5重量%)を得た。得られたペレット表層部(S)と中心部(C)の各々について、ウベローデ型粘度計を使用し、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒3
0℃で固有粘度[η](dl/g)を測定し、それらの差△IV(=|IV(S)−IV(C)|)を求めた。
[ポリエステルラミネート紙の特性評価法]
(1)ラミネート層厚み
ラミネート紙を、幅方向の両端部および中央部の3か所で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、型式:S−2500)を使用して、1000倍に拡大して写真を撮影した。この拡大写真に写っている薄膜状のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の部分を、JIS1級金尺を使用して測定し、3か所の測定結果の平均値をラミネート層の厚さ(μm)として算出した。
(2)押出し性評価
ダイ巾値を(W(A))、紙上にラミネートされたPBT巾を押出方向1m間隔で10点測定した平均値を(W(B))、両端部付近において膜厚が18ミクロンを超える部分のPBT巾方向長さの合計を(W(C))として、ネックイン量(%)、トリミング量(%)及び取り巾量(%)を下記式により算出した。また、表1及び表2中のラミネート速度とは、安定して押出しが可能となる最速のラインスピードである。この押出ラミネート速度が、140m/分を超える場合を◎、130〜140m/分の場合を○、130m/分未満を×、として押出し性を評価した。
ネックイン量(%)={[W(A)−W(B)]/W(A)}×100
トリミング量(%)=[W(C)/W(B)]×100
取り巾量(%)={[W(B)−W(C)]/W(A)}×100
(3)密着性評価
紙基材にポリエステル樹脂を押出ラミネートする際、紙と溶融ポリエステルの間に200mm角のアルミ箔片を一片がMD方向(押出方向)に対して垂直となるよう挿入し、ポリエステルと紙が密着していない部分を有するラミネートサンプルを得た。次いでラミネートサンプルから幅15mm、長さ150mmの短冊状に切り出した。この短冊サンプルは、密着部位75mmと非密着部位75mmからなるようにした。非密着部位のポリエステル端と紙端それぞれを引張り試験機のチャックに挟み、200mm/min.のスピードで引張り、ポリエステルフィルムと紙の密着性を下記基準で評価した。尚、試験試料数n=10本で実施した。
◎:引張り試験機による試験では、試験片10本すべてでポリエステルフィルムが延性破壊し、ポリエステル端と紙端を手でゆっくり引っ張った場合、ラミネートした紙が破壊した。
○:引張り試験機による試験では、試験片10本すべてでポリエステルフィルムが延性破壊したが、ポリエステル端と紙端を手でゆっくり引っ張った場合には、フィルムと紙間での剥離が観察された。
×:引張り試験機による試験中にポリエステルフィルムと紙間での5mm以上剥離が、1本以上の試験片で観察された。
(4)容器加工性評価
ポリエステルラミネート紙を8号ギャザー型の雄雌金型を有する熱プレス機に30枚重ねて入れ、130℃で3秒間成形加工した。加工性は下記基準で評価した。尚、試験は同じ条件で10個(試験個数n=10)作成し、目視評価で実施した。
○:成形後、容器概観には変化なかった。
×:成形後、ポリエステルフィルムと紙に一部剥離が見られた。
(5)色調評価
ポリエステルラミネート紙の色調を目視にて下記基準で評価した。
◎:板紙の元の白さに比べて殆ど変化無いレベル。
○:板紙の白さに比べるとやや黄色変化有る。
×:板紙本来の白さに比べると黄変量が大きい。
[実施例1〜6及び比較例1〜5]
(ポリエステル樹脂の製造法)
下記の実施例及び比較例において使用した各ポリエステル樹脂は、重合触媒としてチタン系重合触媒を使用し、テレフタル酸及び1,4-ブタンジオールを、常法に従って直接
重合することにより製造したものであり、ブチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエステル(ポリブチレンテレフタレート;PBT)であって、各々表1及び表2に示す物性を有するものであった。
実施例1〜6および比較例1のPBTについては、溶融重合法により、ポリエステル樹脂の固有粘度が表1及び表2に示した所定の値になるまで重合した。一方、比較例2〜5のPBTについては、溶融重合法により重合した特定の固有粘度を有するポリエステル樹脂を、更に固相重合法により重合することにより製造した。以下に各製法の詳細を説明する。
(実施例1)
テレフタル酸1モルに対して1,4−ブタンジオールを1.8モルの割合で両原料をスラリー調製槽に供給し、攪拌装置で混合して調製したスラリーを温度230℃、圧力78.7kPa(590mmHg)に調整したエステル化反応槽に連続的に供給すると共に、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネート(PBT収量中50ppm)を連続的に供給し、攪拌装置による攪拌下に滞留時間3時間としてエステル化反応させて、エステル化反応率97.5%のオリゴマーを得た。
エステル化反応により得られたオリゴマーを温度250℃、圧力2.66kPa(20mmHg)に調整した第1重縮合反応槽に連続的に供給し、攪拌装置の攪拌下に滞留時間2時間で重縮合反応させ、固有粘度0.250dl/gのプレポリマーを得た。そのプレポリマーを温度250℃、圧力0.133kPa(1mmHg)に調整した第2重縮合反応槽に連続的に供給し、攪拌装置の攪拌下に滞留時間3時間で重縮合反応を更に進めて、ポリマー抜き出しダイに移送し、ダイスから円柱状にポリマーを押出し、20℃の冷却水で0.9秒間冷却した後、カッターを用いてカットし、ポリブチレンテレフタレート粒状ペレット(PBTペレット)を得た。この中から100粒のペレットを採取し秤量(以下、この重量をペレット重量とする)したところ2.5gであった。
(実施例2)
第2重縮合反応槽における滞留時間を3.6時間とした以外は、実施例1と同様な操作を行った結果、ペレット重量2.6g(100粒)のPBTペレットを得た。
(実施例3)
第2重縮合反応槽における滞留時間を1.6時間とした以外は、実施例1と同様な操作を行った結果、ペレット重量2.5g(100粒)のPBTペレットを得た。
(実施例4)
チタン系重合触媒90ppmを用い、第2重縮合反応槽における滞留時間を3.9時間とした以外は、実施例1と同様な操作を行った結果、ペレット重量2.5g(100粒)のPBTペレットを得た。
(実施例5)
チタン系重合触媒180ppmを用いた以外は、実施例1と同様な操作を行った結果、ペレット重量2.4g(100粒)のPBTペレットを得た。
(実施例6)
チタン系重合触媒50ppmを用いて直接重合法により作製した固有粘度[η]=0.85、ペレット重量2.4g(100粒)のペレットを、窒素雰囲気下、170℃で2時間固相重合処理を行い、固有粘度[η]=0.90のPBTペレットを得た。
(比較例1)
第2重縮合反応槽における滞留時間を2時間とした以外は、実施例1と同様な操作を行った結果、ペレット重量2.4g(100粒)のPBTペレットを得た。
(比較例2)
チタン系重合触媒50ppmを用いて直接重合法により作製した固有粘度[η]=0.70、ペレット重量2.4g(100粒)のPBTペレットを、窒素雰囲気下、200℃で8時間、固相重合処理を行い、固有粘度[η]=1.34のPBTペレットを得た。
(比較例3)
チタン系重合触媒50ppmを用いて直接重合法により作製した固有粘度[η]=0.70、ペレット重量2.4g(100粒)のPBTペレットを、窒素雰囲気下、200℃で10時間、固相重合処理を行い、固有粘度[η]=1.64のPBTペレットを得た。
(比較例4)
チタン系重合触媒50ppmを用いて直接重合法により作製した固有粘度[η]=0.70、ペレット重量2.4g(100粒)のPBTペレットを、窒素雰囲気下、200℃で6時間、固相重合処理を行い、固有粘度[η]=1.13のPBTペレットを得た。
(比較例5)
チタン系重合触媒50ppmを用いて直接重合法により作製した固有粘度[η]=0.85、ペレット重量2.5g(100粒)のペレットを、窒素雰囲気下、200℃で4時間固相重合処理を行い、固有粘度[η]=1.03のPBTペレットを得た。
なお、上述した実施例1〜6及び比較例1〜5において得られたペレットのサイズは、長軸方向に垂直な断面の短径と長径の平均値が2.61〜2.75mm、長軸方向の平均の長さが、実施例1〜6では、3.00〜3.11mm、比較例1〜5では、4.50〜4.58mmであった。
(ラミネート紙及び紙製容器の製造法)
下記表1及び表2に記載の各原料PBTのペレットを熱風乾燥機にて乾燥し、次いでリップ幅2000mm、リップギャップ0.5mmのTダイに装着された90mm単軸押出機のホッパーに投入し、樹脂温度290℃、スクリュー回転数16rpm、下記表1及び表2に記載のラインスピードで、白色紙上にPBTが15ミクロンの厚みとなるように押出しラミネートした。ここで用いた白色紙は、平滑度30秒、35g/mの紙である。
比較例1については蛇行が激しい為ラインスピードは100m/分とした。尚、ラミネートに際してはチルロールを30℃にコントロールし、チルロールとリップ間隔は100mmとした。得られたラミネート紙より、130℃の熱プレス成形機を用いてギャザー容器を作成し、種々評価を行った。その結果を表1及び表2に示した。
Figure 2006104454
Figure 2006104454
なお、比較例2〜5においては、PBTペレットを紙上に押出しラミネートする際に、押出機のスクリュ負荷が上がり、また、圧力変動が生じ、フィルム厚にバラツキが生じていた。また、吐出量を上げたところ、ラミネート紙に未溶融物が生じていた。
表1及び表2の結果から、以下のことが分かる。
(1)表1の実施例1〜6によれば、ポリエステル樹脂(A)として、本発明の溶融張力及び固有粘度差△IVのいずれの条件をも満たすものを使用した場合には、押出し時のネックイン現象が小さい一方で、Tダイ巾に対するラミネート紙の取り幅が大きく、また高速ラミネートが可能であり押出し性に優れることが分かる。更に、実用レベルの密着性を示し、容器加工性も良好で総合的に良好な性能を有することが分かる。
また、実施例1〜4を実施例5と比較すると、チタン原子含有量が180ppmの場合に比べて、50ppm又は90ppmの場合には、ラミネート紙の色調変化が少ないことが分かる。
(2)表2の比較例1によれば、溶融粘度が0.5mNよりも低いポリエステル樹脂(A)を使用した場合には、押出し時のネックイン現象が大きい一方で、Tダイ巾に対するラミネート紙の取り幅が小さく、また高速ラミネートが困難であり押出し性が実用的でないことが分かる。更に、容器加工性も劣る。
(3)表2の比較例2〜5によれば、固有粘度差△IVが0.1を超えるポリエステル樹脂(A)を使用した場合には、紙とPBTの密着性が悪いことが分かる。
(4)表2の比較例2と3によれば、溶融張力が2.5mNを超える場合には、紙とPBTとの密着性が悪く、また押出し性、容器加工性も劣ることが分かる。

Claims (10)

  1. ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするペレット状のポリエステル樹脂(A)であって、
    (1)250℃における溶融張力が0.5〜2.5mNであり、
    (2)ペレット表層部の固有粘度IV(S)とペレット中心部の固有粘度IV(C)の差(△IV)が0.1以下である
    ことを特徴とするラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)。
  2. 250℃における溶融張力が0.55〜1.40mNである請求項1に記載のラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)。
  3. チタン原子を10〜85ppm(重量比)含有する請求項1又は2に記載のラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)。
  4. 固有粘度が、0.8〜1.3dl/gである請求項1〜3のいずれかに記載のラミネート紙用ポリエステル樹脂(A)。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の該ポリエステル樹脂(A)を、紙の少なくとも一方の面に押出しラミネートしてなることを特徴とするポリエステルラミネート紙。
  6. ブチレンテレフタレート繰り返し単位を主成分とするペレット状のポリエステル樹脂(A)であって、
    (1)250℃における溶融張力が0.5〜2.5mNであり、
    (2)ペレット表層部の固有粘度IV(S)とペレット中心部の固有粘度IV(C)の差(△IV)が0.1以下である
    ポリエステル樹脂(A)を、紙の少なくとも一方の面に押出しラミネートすることを特徴とするポリエステルラミネート紙の製造方法。
  7. 該ポリエステル樹脂(A)の、250℃における溶融張力が0.55〜1.40mNである請求項6に記載のポリエステルラミネート紙の製造方法。
  8. 該ポリエステル樹脂(A)が、チタン原子を10〜85ppm(重量比)含有する請求項6又は7に記載のポリエステルラミネート紙の製造方法。
  9. 該ポリエステル樹脂(A)の固有粘度が、0.8〜1.3dl/gである請求項6〜8のいずれかに記載のポリエステルラミネート紙の製造方法。
  10. 請求項5に記載のポリエステルラミネート紙を成形加工してなることを特徴とするポリエステルラミネート紙製容器。
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